はじめに
このたびは、ヤマハウインドMIDIコントローラーWX5をお買い求めいただきまして、まことにあり
がとうございます。WX5は、音源に接続して管楽器感覚で手軽に演奏を楽しむことができるMIDIコ
ントローラーです。WX5の音源としてはWXシリーズ対応音源であるバーチャルアコースティック
トーンジェネレーターVL70-mや、一般のMIDI対応音源(トーンジェネレーターMUシリーズなど)
が利用できます。
WX5の優れた性能をフルに発揮させるとともに、末永くご愛用いただくために、ご使用の前にこの
取扱説明書をよくお読みくださいますようお願いいたします。
安全上のご注意 ご使用の前に、必ずこの「安全上のご注意」をよくお読みください。
ここに示した注意事項は、製品を安全に正しくご使用いただき、あなたや他の人々への危害や損害を未然に防止するためのものです。
注意事項は、危害や損害の大きさと切迫の程度を明示するために、誤った取り扱いをすると生じることが想定される内容を「警告」と「注
意」に区分しています。いずれもお客様の安全や機器の保全に関する重要な内容ですので、必ずお守りください。
記号表示について
記号は、危険、警告または注意を示します。
記号は、禁止行為を示します。記号の中に具体的な内容が描かれているものもあります。
記号は、行為を強制したり指示したりすることを示します。記号の中に具体的な内容が描かれているものもあります。
*お読みになった後は、使用される方がいつでも見られる所に必ず保管してください。
警告 この表示内容を無視した取り扱いをすると、死亡や重傷を負う可能性が想定されます。
この機器の内部を開けたり、内部の部品を分解したり改造したりし
ない。
感電や火災、または故障などの原因になります。異常を感じた場
合など、機器の点検修理は必ずお買い上げの楽器店または巻末の
ヤマハ電気音響製品サービス拠点にご依頼ください。
浴室や雨天時の屋外など湿気の多いところで使用しない。また、
本体の上に花瓶や薬品など液体の入ったものを置かない。
感電や火災、または故障の原因になります。
電源アダプターコード/プラグがいたんだ場合、または、使用中
に音が出なくなったり異常なにおいや煙が出た場合は、すぐに電
源スイッチを切り電源プラグをコンセントから抜く。(乾電池を使
用している場合は、乾電池を本体から抜く。)
感電や火災、または故障のおそれがあります。至急、お買い上げ
の楽器店または巻末のヤマハ電気音響製品サービス拠点に点検を
(4)
ご依頼ください。
2
電源は必ず交流100Vを使用する。
エアコンの電源など交流200Vのものがあります。誤って接続す
ると、感電や火災のおそれがあります。
電源アダプターを使用する場合は、指定の電源アダプター(PA3B)以外は使用しない。
(異なった電源アダプターを使用すると)故障、発熱、発火などの
原因になります。
手入れをするときは、必ず電源プラグをコンセントから抜く。
また、濡れた手で電源プラグを抜き差ししない。
感電のおそれがあります。
電源プラグにほこりが付着している場合は、ほこりをきれいに拭き
取る。
感電やショートのおそれがあります。
注意 この表示内容を無視した取り扱いをすると、傷害を負う可能性または物的損害が発生する可能性が想定されます。
電源アダプターコードをストーブなどの熱器具に近づけたり、無
理に曲げたり、傷つけたりしない。また、電源アダプターコード
に重いものをのせない。
電源アダプターコードが破損し、感電や火災の原因になります。
電源プラグを抜くときは、電源アダプターコードを持たずに、必
ず電源プラグを持って引き抜く。
電源アダプターコードが破損して、感電や火災が発生するおそれ
があります。
タコ足配線をしない。
音質が劣化したり、コンセント部が異常発熱し
て発火したりすることがあります。
使用しないときや落雷のおそれがあるときは、必ずコンセントか
ら電源プラグを抜く。
感電、ショート、発火などの原因になります。
乾電池はすべて+/−の極性表示通りに正しく入れる。
正しく入れていない場合、発熱、発火、液漏れのするおそれがあ
ります。
乾電池は一度に全部を交換する。乾電池は新しいものと古いもの
を一緒に使用しない。また、種類の異なったもの(アルカリとマ
ンガン、メーカーの異なるもの、メーカーは同じでも商品の異な
るものなど)を一緒に使用しない。
発熱、発火、液漏れの原因になります。
乾電池を分解したり、火の中に入れたりしない。
乾電池の中のものが目に入ると危険です。また、火の中に入れる
と破裂するおそれがあります。
直射日光のあたる場所(日中の車内など)やストーブの近くなど極
端に温度が高くなるところ、逆に温度が極端に低いところ、また
ほこりや振動の多いところで使用しない。
本体のパネルが変形したり内部の部品が故障したりする原因になり
ます。
テレビやラジオ、スピーカーなど他の電気製品の近くで使用しない。
デジタル回路を多用しているため、テレビやラジオなどに雑音が
生じる場合があります。
不安定な場所に置かない。
機器が転倒して故障したり、お客様がけがをしたりする原因にな
ります。
本体を移動するときは、必ず電源アダプターコードなどの接続
ケーブルをすべて外した上で行う。
コードをいためたり、お客様が転倒したりするおそれがあります。
本体を手入れするときは、ベンジンやシンナー、洗剤、化学ぞう
きんなどは絶対に使用しない。また、本体上にビニール製品やプ
ラスチック製品などを置かない。
本体のパネルや鍵盤が変色/変質する原因になります。お手入れ
は、柔らかい布で乾拭きしてください。
本体の上に乗ったり重いものをのせたりしない。また、ボタンや
スイッチ、入出力端子などに無理な力を加えない。
本体が破損したり、お客様がけがをしたりする原因になります。
大きな音量で長時間ヘッドフォンを使用しない。
聴覚障害の原因になります。
使い切りタイプの乾電池は、充電しない。
充電すると液漏れや破裂の原因になります。
長時間使用しない場合は、乾電池を本体から抜いておく。
乾電池が消耗し、乾電池から液漏れが発生し、本体を損傷するお
それがあります。
乾電池は子供の手の届くところに置かない。
お子様が誤って飲み込むおそれがあります。また、電池の液漏れ
などにより炎症を起こすおそれがあります。
他の機器と接続する場合は、すべての機器の電源を切った上で行
う。また、電源を入れたり切ったりする前に、必ず機器のボ
リュームを最小(0)にする。
感電または機器の損傷のおそれがあります。
不適切な使用や改造により故障した場合の保証はいたしかねます。
また、データが破損したり失われたりした場合の保証はいたしかね
ますので、ご了承ください。
使用後は、必ず電源を切りましょう。
また、使用済みの乾電池は、各自治体で決められたルールに従って廃棄し
ましょう。
(4)
3
WX5の特長
MID I対応音源をサックスやクラリネット、リコー
ダーなどとほぼ同じ奏法(タイトリップ/ルーズリッ
プ奏法)で演奏可能。マウスピースもサックスタイプ
とリコーダータイプの2種類から選択できます。
2種類の高品位センサー(リップセンサー/ウインドセ
ンサー)を内蔵。リップセンサーで音程(ピッチベン
ド/モジュレーション)、ウインドセンサーで音量(ベ
ロシティ、ブレスコントローラー/エクスプレッショ
ン/ボリューム)をコントロールできます。
2つのLEDがセンサーの反応などを表示するため、容
易に動作確認できます。
運指法は「WX(a)、WX(b)、WX(c)、フルート」の4
種類。「WX(a/b/c)」はサックス運指が基本になって
います。
音源は一般のMIDI音源を利用可能。ヤマハバーチャ
ルアコースティックトーンジェネレーターVL70-m
には、WXシリーズ対応の専用端子が用意され、電源
供給からエフェクトまで、手軽に高品位な演奏を楽
しむことができます。
音源側のヘッドフォン端子を使用すれば、夜間も演
奏可能です。
オクターブキーにより、±3オクターブまでワンタッ
チでトランスポーズでき、約7オクターブの音域で演
奏可能です。
WX5本体からプログラムチェンジデータを音源側に
MIDI送信可能。WX5で音源の音色を切り替えること
ができます。
キーホールドボタンに4種類の機能(ノーマル/ フォ
ロー/ポルタメント/サステイン)を持たせることが可
能。演奏の表現力が拡がります。
息の強さを検知するウインドセンサーの感度を、5段
階(ソフト〜ハード)で設定できます。
リップでの音程変化に加えて、ピッチベンドホイール
を使って大きな音程変化が得られます。
同梱品について
パッケージを開けたら、以下の同梱品を確認してください。
・マウスピースキャプ(装着済み)
※ 演奏時は、マウスピースキャップ
を取り外してください。
・マウスピース(装着済み)
リード付[サックスタイプ]
・WX5本体
・取扱説明書(本書)
・マウスピース
リードなし
[リコーダータイプ]
・リコーダークリーム
・ストラップ
・WX専用ケーブル
・ソフトケース
4
・保証書
・ご愛用者カード
目次
各部の名称と機能.......................................................................6
セットアップ ........................................................................ 8
電源の準備 ...................................................................... 8
家庭用コンセントから電源をとるときは ........................ 8
乾電池を使うときは ...........................................................8
WXIN端子を持つ音源
(ヤマハVL70-mなど)と接続する場合............................ 9
音源との接続方法 ............................................................... 9
一般のMIDI音源
(ヤマハMUシリーズなど)と接続する場合 ..................... 9
第 1 章 演奏の準備と基本的な演奏方法 ......................... 10
演奏の準備............................................................................ 10
電源オン............................................................................ 10
マウスピースの選択 ........................................................10
奏法の設定
(タイトリップ奏法/ルーズリップ奏法)....................... 10
2つのセンサーについて
(ウインドセンサー/リップセンサー)...........................11
基本的な演奏方法............................................................... 12
運指について....................................................................12
オクターブ変更 ................................................................ 13
ピッチベンドホイール .................................................... 13
キーホールド....................................................................14
プログラムチェンジボタンの活用................................. 16
音色変更(プログラムチェンジナンバーの変更).......... 16
バンクセレクトナンバーの送信 ..................................... 17
MIDI送信チャンネルの変更............................................ 18
パラメーターリセット .................................................... 18
モノ/ポリ/ポルタメントの変更 ..................................... 19
第 3 章 その他の設定
−センサーの調整・チューニング・メンテナンスなど− .................25
ウインドセンサー/リップセンサーの調整.................. 25
ウインドセンサーの調整
(WINDZERO/WINDGAIN)...................................... 25
リップセンサーの調整(LIPZERO/LIPGAIN)......... 26
チューニング ................................................................27
音源側の設定 .......................................................................27
メンテナンスについて .................................................28
MIDIシステムセットアップ例....................................29
音色を足元で切り替える................................................. 29
シーケンサーによる録音/再生(自動演奏).................... 29
運指表 ........................................................................................... 30
故障かな?と思ったら ................................................................36
MIDIデータフォーマット ........................................................... 37
インプリメンテーションチャート ............................................. 38
仕様 .............................................................................................39
インデックス(アルファベット/カナ)....................................... 40
キー操作表....................................................................................42
ユーザーサポートサービスのご案内 .........................................43
保証とアフターサービス............................................................. 43
この取扱説明書本文中のイラストは操作説明のためのもので、
実際とは異なる場合があります。
第 2 章 WX5 のコントロール−各種設定 .................. 20
セットアップボタンの設定 ............................................. 20
感度(ソフトウェアウインドゲイン)の設定.................. 20
オクターブトランスポーズ............................................. 21
オーディション機能オン/オフ....................................... 21
ディップスイッチの設定..................................................22
これは日本電子機械工業会
音楽を楽 し むエチケット
楽 しい音楽も時と場所によっては大変気になるものです。隣近所への配慮を充
分にい たしましょう。
静かな夜間には小さな音でもよ く通り、特に低音は床や壁などを伝わりやすく、
思わぬところで迷惑をかけてしまうこ とがあります。適度な音量を心がけ、窓を
閉めたりヘッ ドフ ォ ンをご使用になるのもひとつの方法です。
ヘッ ド フォンを ご使用になる場合には、耳をあまり刺激 し ないよ う適度な音量で
お楽しみください。
「音のエチケット」キャンペー
ンのシンボルマークです。
5
各部の名称と機能
1
3 2
WIND GAIN
WIND ZERO
Vel
Win
Win
LIP
LIP
LIP
LIP+
nrm fix
B/C EXP
nrm hrd
tht loos
nrm wide
P/B M/W
off on
LIP GAIN
LIP ZERO
VOL
A C
B Fl
off on
off on
PB gen
MW filt
6
Trn s
Fing
Fast
Hi ct
Whl
7
4
@
POWER
OFF
+ –
MIDI OUT
WX OUT
ON DC IN 12V
8
9
0
!
#
$
%
^
&
*
6
5
(
)
1 マウスピース
WX5専用のマウスピースです。リード付[サックスタイプ]と
リードなし[リコーダータイプ]の2種類が用意されています。
工場出荷時にはリード付[サックスタイプ]が装着されていま
す。取り外し・取り替えの際は、必ず「メンテナンスについて」
の項(→28ページ)を参照してください。
2 LED1インジケーター
3 LED2インジケーター 11ページ
LED1はリップセンサー、LED2はウインドセンサーの状態を
知らせます。
% 電源スイッチ(POWERON/OFF) 10ページ
WX5の電源をオン/オフするスイッチです。
^ 電源アダプター接続端子(DCIN12V) 8ページ
電源アダプターPA-3Bを接続します。
& MIDIOUT端子 9ページ
WX専用ケーブルを使用しない場合、MIDIケーブルでMIDI音
源のMIDIIN端子と接続します。
* WXOUT端子 9ページ
WX専用ケーブルで、MIDI音源などのWXIN端子と接続します。
4 演奏用キー 12,30ページ
演奏に使用するキーです。選択した運指(表)にしたがって、
キーを押さえて音程を変更します。
5 バッテリーカバー 8ページ
乾電池を入れ替えるときに取り外します。
6 センサー調整用ボリューム(WINDGAIN/WINDZERO/LIP
GAIN/LIPZERO) 25ページ
ウインドセンサー、リップセンサーの調整用ボリュームです。
LIPZEROは指で、その他は小型のマイナスドライバーで調整
します。
ディップスイッチ(SW1-1〜1-8、SW2-1〜2-8) 22ページ
7
WX5の基本的な機能(奏法、運指など)を設定します。
オクターブ[アップ2],[アップ1],[ダウン1],[ダウン2]キー
8
13
ページ
オクターブキーを押しながら演奏用キーを押さえることによ
り、演奏音のオクターブを切り替えます。
9 ストラップリング 7ページ
付属品のストラップのフックをこのリングに取り付けます。
0 セットアップボタン 20ページ
ソフトウェアウインドゲインなど、WX5に関するさまざまな
設定を変更します。
! サムフック(親指掛け) 7ページ
右手親指をそえることにより、演奏中の安定性を向上させます。
@ ピッチベンドホイール 13ページ
ホイールを回すことにより、音程を滑らかに変化させます。
ピッチベンド以外の機能も設定できます。
( ケーブルホルダー 8ページ
接続したケーブルを、WX5に固定します。
) ウォータードレイン
水滴や息がここから出ます。ふさがないようにしてください。
●ストラップリングの使い方
付属品のストラップを使用する場合は、ストラップのフッ
クをこのリングに取り付けます。
●サムフック(親指掛け)の使い方
サムフックに右手親指をそえることにより、演奏中の安定
性を向上させることができます。
サムフックは可動式です。位置を調整したい場合は、ドラ
イバーでネジをゆるめ自分にフィットする位置に移動して
ネジを固定します。
# キーホールドボタン 14ページ
演奏音にサステインをかけるなど、4種類のキーホールド機能
を設定できます。
$ プログラムチェンジボタン 16ページ
プログラムチェンジボタンを押しながら演奏用キーを押すこと
により、音源側の音色ナンバーを変更します。
7
セットアップ
・ WX5はMIDIコントローラーですので、WX5だけで音を鳴らすことはできません。別売のヤマハVL70-mやXG音源
(MUシリーズ)などの音源を準備してください。
・ 音源との接続方法には、同梱のWX専用ケーブルを使用する方法と別売のMIDIケーブルを使用する方法があります。
WX専用ケーブルを使用する場合は、ケーブルを通して音源からWX5に電源が供給されるので、電源は不要です。
MIDIケーブルを使用する場合は、別売の電源アダプターPA-3B、または乾電池(単4乾電池×6本)が必要になります。
・ WX専用ケーブルを使用する場合、MIDIデータはケーブルを通して音源に送信されるのでMIDIケーブルは不要です。
電源の準備
WX5のMIDIOUT端子を使用する場合は、電源が必要になります。電源アダプター、または乾電池を用意し、以下を参照して電源
の準備をしてください。
WX5のWXOUT端子を使用する場合(→9ページ参照)、WX専用ケーブルを通して外部音源から電源が供給されるため、電源の準
備は不要です。
家庭用コンセントから電源をとるときは
別売の電源アダプターPA-3Bをご使用ください。
1 アダプターのプラグを電源 アダ プタ ー(DCIN)端子へさし込み
ます。
2 アダプターを家庭用(AC100V)コンセントにさし込みます。
AC100V
POWER
OFF + –
ON DC IN 12V
MIDI OUT
WX OUT
DC-IN端子
3 電源アダプターのケーブルをケーブルホルダーに固定します。
さらにMIDIケーブルも固定する場合は、電源アダプターの
ケーブルの後に(上に)固定します。
MIDIケーブル
電源アダプターのコード
乾電池を使うときは
1 コインを使って、バッテリーカバーをはずします。
2 市販の乾電池(単4乾電池)を6本入れます。イラストに合わせ
て、向きを間違えないように入れてください。
3 バッテリーカバーを閉めます。
・ 乾電池は早めにおとりかえいただくことをおすすめしま
す。電池がなくなると、音が小さくなったり、音が出なく
なったりします。また電池が消耗すると、LEDインジケー
ターが点滅します。このような場合は、6本とも新しいも
のと交換してください。
・ 乾電池が入っていても、電源アダプターが接続されると、
自動的に電源アダプターから電源が供給されるようになり
ます。
8
・ 電源アダプターをご使用になる場合は、必ず別売の専用ア
ダプターPA-3Bをご使用ください。他の電源アダプター使
用による障害は、保証期間内でも保証いたしかねる場合が
ございますので、充分にご注意ください。
音源との接続方法
セットアップ
WXIN端子を持つ音源(ヤマハVL70-mな
ど)と接続する場合
ヤマハバーチャルアコースティックトーンジェネレーター
VL70-mはWXシリーズとの相性を重視して設計されているた
め、WX5の機能を最大限に発揮することができる音源です。
接続は、付属品のWX専用ケーブルを使ってWX5のWXOUT
端子とVL70-mのWXIN端子をつなぐだけです。
この接続でVL70-mからWX5に電源も供給されます。
WX5
VL70-m WXIN端子
WX専用ケーブル
WXOUT
WX IN BREATH
PHONES
端子
・ WX5側
WX専用ケーブルのネジがついている方を、WXOUT端子の矢
印が上側になるように差し込み、ネジを右に回して固定しま
す。固定した後に、WX専用ケーブルをケーブルホルダーに固
定します。
・ VL70-m側
WX専用ケーブルのもう一方の突起を、WXIN端子の溝に合わ
せて、しっかりと差し込みます。VL70-mリアパネルの
HOSTSELECTスイッチは「MIDI」に設定します。
また、ブレスモードは「BC/WX」に設定してください。
・ ヤマハウインドトーンジェネレーターWT11(別売)を音源
として使用することもできます。
VIRTUAL ACOUSTIC TONE GENERATOR
POWER/VOL
PART MIDI BANK/PGM#VOL EXP PANREV CHO VAR KEY
PUSH ON/OFF
HOST SELECT
スイッチ「MIDI」
PLAY EDIT
UTIL
EFFECT
BC/WX
VELOCITY
TOUCH EG
BREATH
MODE
VOICE
VL-XG
一般のMIDI音源(ヤマハMUシリーズな
ど)と接続する場合
※8ページを参照して電源の準備を行ってください。
WX5の演奏は、MIDI対応の音源モジュール/シンセサイザー/
サンプラー/リズムマシンなどで鳴らすことができます。
接続は、別売のMIDIケーブルを使ってWX5のMIDIOUT端子
とMIDI音源のMIDIIN端子をつなぎます。
WX5
MIDIケーブル
MIDIOUT
PART
MIDI/
ALL
WX
ENTER
SELECT
EXIT
VALUE
端子
MIDIIN
端子
実際に演奏する前には、音源側の各種設定が必要です。詳細
は、音源の取扱説明書、ならびに、本書27ページ「音源側の設
定」を参照してください。
また、WX IN端子のない音源を使用する場合は、ディップス
イッチ(→22ページ参照)を以下のように設定してください。
SW1-1(Vel) → ON
SW1-2(Win) → ON
SW1-3(Win) → OFF
この設定により、息による音量/音色のコントロールがスムー
ズになります。
・ WX5の機能や演奏表現力を十分に発揮させるためには、ブ
レスコントロール(コントロールチェンジナンバー2)が受
信できる音源の使用をおすすめします。ヤマハVL70-mは
ブレスコントロールを受信します。
ブレスコントロールデータが受信できると、息で音量/音色
をコントロールできます。また、音源にはブレスコント
ロールで色々な効果を付けられるものもあります。
・ ヤマハMUシリーズなどのXG音源を使用する場合、音源側
のAC(アサイナブルコントローラー)設定で「ブレスコント
ローラー受信可能」にすることもできますが、WX5側の「ウ
インドセンサー値のMIDIデータ設定 」を「エクスプレッショ
ン」に設定した方が(→22ページ参照)、ボリュームコント
ロールに優れます。
・
WX専用ケーブルで、WX5とヤマハパワーボックスBT7(別
売)を接続し、BT7とMIDI音源を接続することもできます。
MIDI音源
9
第1 章 演奏の準備と基本的な演奏方法
演奏の準備
電源オン
電源スイッチを「ON」方向に動かして、電源を入れます。電源
が入るとWX5のLED1インジケーターが点灯し、WX5を吹く
と演奏できます。
POWER
OFF
ON DC IN 12V
+ –
MIDI OUT
WX OUT
電源スイッチを「OFF」方向に動かすと、電源が切れます。
・ 奏法の設定(→10ページ参照)やセンサーの調整状態(→25
ページ参照)により、電源を入れて もLED1インジケーター
が点灯しない場合もあります。
マウスピースの選択
WX5には、2種類のマウスピースが用意されています。奏法
に合わせてマウスピースを選びましょう。(マウスピースを取
り外す場合は、マウスピース内部のカンチレバーを折り曲げな
いように注意してください。→28ページ参照)
奏法の設定
(タイトリップ奏法/ルーズリップ奏法)
WX5では、タイトリップ奏法とルーズリップ奏法の2種類か
ら奏法を選ぶことができます。それぞれの奏法の特長は、以下
のようになっています。
・ 2つの奏法の切り替えは、ディップスイッチを使用しま
す。(→22ページ参照)
・ 工場出荷時は「タイトリップ奏法」が設定されています。
◆タイトリップ奏法
サキソフォンやクラリネットのように、ある程度マウスピース
をかんだ状態を基本にする奏法です。リップ(くわえる強さ)の
強弱によって、ピッチをベンドさせる(音程を上下に変化させ
る)ことができます。(正確な音程は耳で確認することにより保
ちます。)
演奏する人やその日のコンディションなどに応じて微調整は必
要ですが、実際の管楽器に近いフィーリングで演奏できるた
め、サキソフォンなどの演奏経験者に適している奏法です。
ベンドダウン状態
基本状態
ベンドアップ状態
(MAX)
リード付[サックスタイプ]
リップ(リードをくわえる強さ)でピッチ(音程)を変化させるこ
とができます。サックスやクラリネットとほぼ同じ奏法で吹く
ことができます。
リードなし[リコーダータイプ]
リコーダーと同じ奏法で吹くことができます。
このマウスピースを使用する場合は、奏法を「ルーズリップ」に
設定し(→11ページ参照)、センサーを調整してください(→
26ページ参照)。
・ 工場出荷時には、本体にリード付きのマウスピースが装着
されています。
ピッチベンドダウン
(音程が下がる)
<実際の演奏方法>
・ ベンドダウン… くわえる強さを弱めます。
・ ベンドアップ…
くわえる位置をマウスピースの先端方向に移
動します。
・ リップレンジ(リップをくわえる強さに対する変化幅)、
リップデータ(リップをくわえることによって与えられる
効果[ピッチベンド/モジュレーション])を切り替えること
ができます。(→22,23ページ)
ピッチベンドアップ
(音程が上がる)
10
第1 章 演奏の準備と基本的な演奏方法
◆ルーズリップ奏法
ただくわえただけの状態を基本にする奏法です。タイトリップ
奏法に比べ、リップによるベンドアップレンジ(音程の可変幅)
を広く設定できます。(リップによるベンドダウンはかかりま
せん。)
基本状態
・ リードなしマウスピースを使用する場合は、必ず「ルーズ
リップ奏法」に設定してください。
・ リップレンジ(リップをくわえる強さに対する変化幅)、
リップデータ(リップをくわえることによって与えられる
効果[ピッチベンド/モジュレーション])を切り替えること
ができます。(→22,23ページ)
ベンドアップ状態(MAX)
ピッチベンドアップ
(音程が上がる)
2つのセンサーについて
(ウインドセンサー/リップセンサー)
WX5には、ウインドセンサーとリップセンサーの2種類のセ
ンサーがあります。必要に応じて、演奏前に各センサーを調整
します。(→25ページ参照)
・ 各センサーは、工場出荷時にタイトリップ奏法での一般的
な使用状態に対応するように調整されています。
◆LEDインジケーターについて
●LED1…リップセンサーのデータを表示
以下のベンドの状態は前項のイラストを参照してください。
・ タイトリップ奏法に設定されている場合、工場出荷時に以下の
ようにセンサーは調整されています。
点灯…センターよりリードが開いている(ベンドダウン)
消灯…センター(ピッチベンドデータ「0」)
点灯…センターよりリードが閉じている(ベンドアップ)
ルーズリップ奏法に設定されている場合、以下のようにインジ
・
ケーターが点灯/消灯するように
センサーを調整します。
(→22
ページ参照)
消灯…センター(ピッチベンドデータ「0」)
点灯…リードが閉じている(ベンドアップ)
・ フルート運指に設定されている場合(→12ページ参照)、以下
のようにインジケーターが点灯/消灯するようにセンサーを調
整します。なお、この運指では、タイトリップ奏法/ルーズ
リップ奏法の設定は無効になります。
消灯…リードが完全に開いている(運指の音が鳴る)
点灯…リードが閉じている(運指の音より、オクターブが
高い音が鳴る)
●LED2…ウインドセンサーのデータを表示
点灯…息圧力あり(音源に接続されている場合、音が鳴っ
ている)
消灯…息圧力なし(音源に接続されている場合、音が消え
ている)
・ 電池がなくなると、LEDインジケーターが2つとも点滅し
ます。このような場合は、乾電池を6本とも新しいものと
交換してください。
WX5にはセンサーの状態を表す2つのLEDインジケーターが
あります。それぞれのインジケーターは次のような状態を表し
ます。
LED2 LED1
■タンギングについて
一般の管楽器同様、音にアタック感をつけたり、同じ音を繰り返し
速く演奏したりする時に必要なの がタンギングという奏法です。
「フー、フー」と吹くと、速く吹けませんし、音の切れも良 くあり ま
せん。これに対し、
吹くと、音にアタック感が付き切れも良くなります。これがタン
ギングです。
運指同様、ある程度習熟が必要ですが、慣れるに従って速いタンギ
ングができるようになります。タンギングに関してはサックス、リ
コーダーや、フルートなどの教則本を参考にしてください。
その他、息やリップのコントロール方法も一般の管楽器とほとん
ど同じですので、市販されている管楽器教則本や練習曲集などを
有効に活用してください。
舌の先を使って
「トゥー、トゥー」という感じで
11
第1 章 演奏の準備と基本的な演奏方法
基本的な演奏方法
WIND GAIN
WIND ZERO
LIP GAIN
LIP ZERO
Vel
Trns
Win
Fing
Win
LIP
Fast
LIP
Hi ct
LIP
Whl
LIP+
nrm fix
B/C EXP
VOL
A C
B Fl
nrm hrd
tht loos
off on
nrm wide
off on
P/B M/W
PB gen
off on
highD#キー
highDキー
B
A#
A
G
G#
LOWB
オクターブキーアップ2
オクターブキーアップ1
オクターブキーダウン1
オクターブキーダウン2
演奏用キー
セットアップボタン
MW filt
運指について
WX5には4種類の運指が用意されています。それぞれの運指
の特長と、運指表(→30ページ参照)を参考に、自分に最も適
した運指を選択してください。
※運指の選択はディップスイッチを使用します。(→23ページ参照)
◆サックス(a)
サックスの基本運指をもとにしています。またすべてのオク
ターブにおいて同じ運指(オクターブの切り替えのみ)も可能な
ので、簡単に覚えることができます。
◆サックス(b)
サックス(a)運指にトリルキーの機能をさらに追加したもの
で、速くて細かな動きの多い曲の演奏に適しています。ヤマハ
WX11の運指とほぼ同じです。
◆サックス(c)
サックス(a)運指に、微妙な音程/音色変化を伴う換え指がさら
に追加されています。同じ音程の音でもこれらの換え指を使う
と、サックスと同じようにニュアンスに富んだ表現が可能にな
ります。
※ 音源側のピッチベンドレンジは「2(±200セント)」に設定してくだ
さい。
12
全音トリル
半音トリル
F
E
F#
D
D#
C
ピッチベンド
ホイール
OFF
+ –
MIDI OUT
WX OUT
POWER
ON DC IN 12V
◆ フルート
フルートに近い運指なので、フルートの演奏経験者に適してい
ます。リードをくわえるとピッチは変更されず、オクターブが
高くなります。リップセンサーはオクターブ切り替えに使用さ
れ、ピッチベンド、またはコントロールチェンジの出力はでき
ません。(→11ページ参照)
「フルート」運指に設定すると、タイトリップ奏法/ルーズリッ
プ奏法の設定は無効になります。
■全音トリルキー、半音トリルキー
運指に加えて全音トリルキーを押すと、演奏音が全音アップしま
す。運指に加えて半音トリルキーを押すと、演奏音が半音アップし
ます。
第1 章 演奏の準備と基本的な演奏方法
オクターブ変更
オクターブキーを押しながら演奏することにより、演奏音のオ
クターブを切り替えることができます。
オクターブキー[アップ2]
通常の演奏音よりも3オクターブ上がります。
オクターブキー[アップ1]と[アップ2]
通常の演奏音よりも2オクターブ上がります。
オクターブキー[アップ1]
通常の演奏音よりも1オクターブ上がります。
オクターブキー[ダウン1]
通常の演奏音よりも1オクターブ下がります。
オクターブキー[ダウン1]と[ダウン2]
通常の演奏音よりも2オクターブ下がります。
オクターブキー[ダウン2]
通常の演奏音よりも3オクターブ下がります。
ピッチベンドホイール
◆ ピッチベンドホイールの機能変更
ピッチベンドホイールをアップ方向、またはダウン方向いっぱ
いまで回した状態で、セットアップボタンとオクターブキーを
押すことにより、ピッチベンドホイールの機能を変更できま
す。機能を変更すると、アップ/ダウン操作で出力するMIDI
データが変わります。
ピッチベンドホイール+セットアップボタン+オクターブキー
Fing
Win
LIP
Fast
LIP
Hi ct
LIP
Whl
LIP+
nrm fix
B/C EXP
VOL
A C
B Fl
nrm hrd
tht loos
off on
nrm wide
off on
P/B M/W
PB gen
off on
MW filt
オクターブキー
[アップ2],[アップ1],
[ダウン1],[ダウン2]
ピッチベンドホイール+セットアップボタン+オクターブキー[アップ2]
「ピッチベンドアップ」データ
「ピッチベンドダウン」データ
ピッチベンドは、演奏した音の音程を滑らかにアップ、または
ダウンさせる(ベンドする)機能です。微妙な音程の変化はリッ
プでもコントロールできますが、ピッチベンドホイールは、よ
り大きな効果を得ることができます。
ホイールを上(マウスピース側)に回すと、鳴っている音の音程
が上がり、下に回すと音程が下がります。
ベンドアップ
ベンドダウン
・ ストラップやサムフック(可動式)を使用すると楽器が安定
し、ホイール操作が容易になります。(→7ページ参照)
・ ピッチベンドレンジ(変化させる音程の幅)は音源側で設定
します。
・ ピッチベンドホイールを動かした状態で、電源を入れない
でください。ホイールの中心位置がずれ、正確なピッチで
演奏できなくなります。
・ ピッチベンドホイールを操作するときは、誤ってキーホー
ルドボタンを押さないようにご注意ください。
ピッチベンドホイール+セットアップボタン+オクターブキー[アップ1]
「モジュレーションホイール」データ
「ピッチベンドダウン」データ
ピッチベンドホイール+セットアップボタン+オクターブキー[ダウン1]
「コントロールチェンジ#16(0-127)」データ
「コントロールチェンジ#17(0-127)」データ
ピッチベンドホイール+セットアップボタン+オクターブキー[ダウン2]
「ブライトネス(コントロールチェンジ#74)アップ」データ
「ブライトネス(コントロールチェンジ#74)ダウン」データ
・「ブライトネス」機能を選択した場合、ピッチベンドホイー
ルのセンター位置でデータ「64」を出力し、アップで「127」
方向に増加、ダウンで「0」方向に減少します。
・ GMの規格では、コントロールチェンジ#16,17は汎用操作
子とされていて、何も定義されていません。VL70-mのコ
ントロールエディット機能などを使用すれば、スクリー
ム、グロウルなど、音源側で好みの効果を設定できます。
・ 工場出荷時は、電源を入れると「ホイールアップ:ピッチ
ベンドアップ、ホイールダウン:ピッチベンドダウン」が
選ばれるよう設定されています。ディップスイッチを操作
することにより、電源投入時の設定を変更できます。(→
24ページ参照)
13
第1 章 演奏の準備と基本的な演奏方法
キーホールド
キーホールドは特定の音を鳴らした状態(ホールド)にして、複
数の音を同時に鳴らす機能のことです。キーホールドボタンと
オクターブキーを組み合わせて押さえることにより、キーホー
ルドボタンに4種類の機能(ノーマルホールド/フォローホール
ド/サステイン/ポルタメント)を設定することができます。
VL70-mのような「モノフォニック音源」を利用している場合
は、ノーマルホールド/フォローホールド機能は働きません。
オクターブキーアップ2
オクターブキーダウン2
キーホールドボタン
WIND GAIN
WIND ZERO
Vel
Win
Win
LIP
LIP
LIP
LIP+
nrm fix
B/C EXP
nrm hrd
tht loos
nrm wide
P/B M/W
off on
LIP GAIN
LIP ZERO
VOL
A C
B Fl
off on
off on
PB gen
MW filt
◆ ノーマルホールド
キーホールドボタンとオクターブキー[ダウン1]を押して設定
Trns
Fing
Fast
Hi ct
Whl
します。
WX5を吹いたときに、運指の音の他に、ある特定の音を常に
鳴らす(ホールドする)ようにする設定です。
音量、音色の変化やピッチベンドなどのニュアンスの変化を、
オクターブキーアップ1
オクターブキーダウン1
両方の音に同時につけることができます。
ホールドがかかっていない状態から、ホールドをかける
場合
1 WX5を吹き、音を鳴らします。
2 キーホールドボタンを押し、すぐに離します。これで、鳴
らしている音がホールドされます。
3 運指を変え、別の音を鳴らします。2でホールドした音も
一緒に鳴ります。以後は、運指の音とホールドされた音が
同時に鳴るようになります。
14
OFF + –
MIDI OUT
WX OUT
POWER
ON DC IN 12V
すでにホールドがかかっている状態から、ホールドする
音を変更する場合
1
WX5を吹き、ホールドされている音とは別の音を鳴らします。
2 キーホールドボタンを押し、すぐに離します。これで、そ
れまでホールドされていた音は消え、新しい音がホールド
されます。
3 運指を変え、別の音を鳴らします。2でホールドした音も
一緒に鳴ります。
WX5を吹いていない(音を鳴らしていない)ときに、キー
ホールドボタンを押すと、ホールドが解除され通常の状態
に戻ります。