fx-991ES
取扱説明書
保証書付
ご使用の前に「安全上のご注意」をよくお読みの上、
正しくお使いください。
本書はお読みになった後も大切に保管してください。
J
J
RCA501267-001V01
http://www.casio.co.jp/edu/
はじめに
このたびはカシオ製品をお買い上げいただき、誠にありがとう
ございます。
■ 使い始めるときは(ハードケースについて)
本機を使い始める際は、本機をスライドさせてハードケースか
ら取り外し、下図の要領で本機の背面にハードケースを取り付
けます。
A 使い終わったら
本機を上方向にスライドさせて、背面に取り付けたハードケー
スを取り外し、使い始める前の状態に戻してください。
■ 本機の状態を初期状態に戻すには
次の操作を行うことで、本機の計算モード、すべてのセットアッ
プ情報、およびすべてのメモリー内容を一括してクリアし、本機
を初期状態に戻すことができます。
19(CLR)3(All)=(Yes)
●本機の計算モードや設定について詳しくは、「計算モードと
セットアップについて」(15ページ)を参照してください。
●本機のメモリーについて詳しくは、「各種メモリーの利用」
(43ページ)を参照してください。
– 1 –
■ 本書の表記について
本書中では各種操作を次のルールに従って表記します。
●各キーは、キーの表面に印刷されている文字で表されていま
す。
例:1、2、+、-、!、Aなど
● 連続したキー操作は次のように表記します。
例:!2)+!3=
表記通りの順番にキーを押すことを表します。
● ほとんどのキーには複数の機能が割り当てられており、1
やSを押すことで、キーの表面に印刷されている文字が表
す機能とは別の機能を呼び出すことができます。
sin–1{D}
キー表面の機能
あるキーに割り当てられた別機能を使う場合の操作は、次の
ように表記します。
例:1s(sin
直前までのキー操作で呼び出される機能を、
()で括って表記
● 画面上に表示されているメニュー項目を数字キーで選ぶ操
作は、次のように表記します。
例:1(Setup)
直前のキー操作で選択されるメニュー項目を、
()で括って表記
●カーソルキー(右イラスト参照)は、キー
の上下左右の端を押して操作します。上
下左右の端を押す操作を、それぞれ
fcdeのように表記します。
–1
)1=
s
別機能
REPLAY
– 2 –
■ 本書中の例題について
本書中の例題の操作を行う際には、例題に付けられたマークに
応じて、設定を切り替えることが必要です。
●次のマークが付いた例題では、表示形式設定の切り替えが必
要です。
マーク 設 定
A 表示形式として「自然表示」を選択します。
a 表示形式として「ライン表示」を選択します。
切り替え操作については「表示形式設定を切り替えるには」
(16ページ)を参照してください。
●次のマークが付いた例題では、角度設定の切り替えが必要で
す。
マーク 設 定
z 角度設定として「Deg」を選択します。
Z 角度設定として「Rad」を選択します。
切り替え操作については「角度設定を切り替えるには」(16
ページ)を参照してください。
– 3 –
安全上のご注意
このたびは本機をお買上げいただきま
して、誠にありがとうございます。ご使
用になる前に、この「安全上のご注意」を
よくお読みの上、正しくお使いくださ
い。なお、本書はお読みになった後も大
切に保管してください。
この表示を無視して誤っ
た取り扱いをすると、人が
傷害を負う可能性が想定
注意
される内容および物的損
害のみの発生が想定され
る内容を示しています。
電池について
● 本機で使用している電池を取り外
した場合は、誤って電池を飲むこ
とがないようにしてください。特
に小さなお子様にご注意くださ
い。
● 電池は小さなお子様の手の届かな
い所へ置いてください。万一、お子
様が飲み込んだ場合は、ただちに
医師と相談してください。
● 電池は、充電や分解、ショートする
恐れのあることはしないでくださ
い。また、加熱したり、火の中へ投
入したりしないでください。
– 4 –
● 電池は使い方を誤ると液もれによ
る周囲の汚損や、破裂による火災・
けがの原因となることがあります。
次のことは必ずお守りください。
−
u 極性(◯と◯の向き)に注意して
+
正しく入れてください。
u 本機で指定されている電池以外
は使用しないでください。
火中に投入しないでください
● 本機を火中に投入しないでくださ
い。破裂による火災・けがの原因と
なることがあります。
●本書中の表示/イラストは、印刷のため実物と異なることが
あります。
●本書の内容に関しては、将来予告なしに変更することがあり
ます。
●本書の内容については万全を期して作成いたしましたが、万
一ご不審な点や誤りなど、お気づきのことがありましたらご
連絡ください。
●本機使用により生じた損害、逸失利益、および第三者からの
いかなる請求につきましても、当社ではいっさいその責任を
負えませんので、あらかじめご了承ください。
– 5 –
ご使用上の注意
● お買上げ直後、本機を使用する前に必ずOキー
を押してください。
● 本機が正常に使用できても、定期的に必ず電池
を交換してください。
fx-991ES ......................................... 3年(LR44)
特に消耗済みの電池を放置しておきますと、液もれ
をおこし故障などの原因になることがありますの
で、計算機内には絶対に残しておかないでください。
● 付属の電池は、工場出荷時より微少な放電によ
る消耗が始まっています。そのため、製品の使用
開始時期によっては、所定の使用時間に満たな
いうちに寿命となることがあります。あらかじ
めご了承ください。
● 本機に記憶させた内容は、ノートに書くなどし
て、本機とは別に必ず控えを残してください。本
機の故障、修理や電池消耗などにより、記憶内容
が消えることがあります。
● 極端な温度条件下での使用や保管は避けてくだ
さい。
低温では表示の応答速度が遅くなったり、点灯しな
くなったり、電池寿命が短くなったりします。また、
直射日光の当たる場所や窓際または暖房器具の近く
など、極端に温度が高くなる場所には置かないでく
ださい。
ケースの変色や変形、または電子回路の故障の原因
になります。
● 湿気やほこりの多い場所での使用や保管は避け
てください。
水が直接かかるような使用は避けるとともに、湿気
やほこりにも十分ご注意ください。
電子回路の故障の原因となります。
– 6 –
● 落としたり、強いショックを与えないでくださ
い。
●「ひねり」や「曲げ」を与えないでください。
ズボンのポケットに入れるなど、「ひねり」や「曲げ」
を与える恐れがあることをしないでください。
● 分解しないでください。
● ボールペンなど鋭利なものでキー操作をしない
でください。
● お手入れの際は、乾いた柔らかい布をご使用く
ださい。
特に汚れがひどい場合は、中性洗剤液に浸した布を
固くしぼってお拭きください。なお、シンナーやベン
ジンなどの揮発性溶剤は使用しないでください。
キーの上の文字が消えたり、ケースにシミをつけて
しまう恐れがあります。
– 7 –
目次
はじめに ............................................................... 1
■使い始めるときは(ハードケースについて)........................... 1
■ 本機の状態を初期状態に戻すには ......................................... 1
■ 本書の表記について ............................................................... 2
■ 本書中の例題について ........................................................... 3
安全上のご注意 .................................................... 4
ご使用上の注意 .................................................... 6
計算を始める前に .............................................. 11
■ 電源を入れるには ................................................................. 11
■ 電源を切るには .................................................................... 11
■ コントラストを調節するには ............................................... 11
■ キーの見かたの基本ルール .................................................. 12
■ 画面表示について ................................................................. 12
計算モードとセットアップについて ................. 15
■ 計算モードについて ............................................................. 15
■ セットアップについて ......................................................... 16
■ 計算モードと各種設定をクリアするには ............................. 19
式や数値の入力について ................................... 20
■計算式の入力(書式通り入力方式)....................................... 20
■ 計算式の訂正 ........................................................................ 22
■ エラー位置表示について ...................................................... 24
■ 自然表示での入力操作 ......................................................... 25
計算結果の無理数表示について ......................... 30
■ '形式の演算範囲について ................................................. 31
基本計算(COMP).............................................. 33
■ 四則演算 ............................................................................... 33
■ 分数計算 ............................................................................... 34
■ パーセント計算 .................................................................... 37
■度分秒(60進数)計算 ............................................................. 38
マルチステートメントと計算履歴 ..................... 40
■ マルチステートメントを使った計算 .................................... 40
■ 計算履歴とリプレイ機能の利用 ........................................... 40
各種メモリーの利用 ........................................... 43
■アンサーメモリー(Ans)....................................................... 43
■独立メモリー(M)................................................................. 45
■変数メモリー(A, B, C, D, X, Y)........................................... 47
■ メモリー内容を一括してクリアするには ............................. 48
– 8 –
カルク機能(数式記憶機能)................................ 49
■ カルク機能の概要 ................................................................. 49
■ カルク機能を使った計算例 .................................................. 50
ソルブ機能(COMP)........................................... 52
■ ソルブ機能で実行可能な式について .................................... 52
■ ソルブ機能の操作 ................................................................. 53
■ ソルブ機能を使った計算例 .................................................. 55
関数計算 ............................................................. 56
■ 円周率πと自然対数の底 e .......................................... 56
■ 三角関数と逆三角関数 ......................................................... 57
■ 角度単位変換 ........................................................................ 57
■ 双曲線関数と逆双曲線関数 .................................................. 58
■ 指数関数と対数関数 ............................................................. 59
■ べき乗関数とべき乗根関数 .................................................. 60
■ 積分計算 ............................................................................... 61
■ 微分計算 ............................................................................... 63
■
Σ計算 ................................................................................... 65
■座標変換(直交座標↔極座標).............................................. 66
■ その他の関数 ........................................................................ 67
■ 関数を使った応用例題 ......................................................... 70
表示変換機能 ..................................................... 72
■ Eng変換と逆Eng変換 ........................................................... 72
■ S-D変換 ................................................................................ 72
複素数計算(CMPLX)......................................... 75
■ 複素数計算の概要 ................................................................. 75
■共役複素数(Conjg).............................................................. 77
■絶対値と偏角の計算(Abs, arg)............................................ 78
■ 計算結果表示形式の強制指定 ............................................... 78
■ 複素数計算の例題 ................................................................. 79
統計計算(STAT)................................................ 80
■ 統計計算の概要 .................................................................... 80
■ 一変数統計演算 .................................................................... 89
■回帰演算(二変数統計演算).................................................. 93
n進計算(BASE-N)........................................... 107
■ n進計算の概要 ................................................................... 107
■ 入力時の基数指定 ............................................................... 110
■ 負数計算および論理演算 .................................................... 110
– 9 –
方程式計算(EQN)............................................ 112
■方程式計算の概要(操作の流れ)......................................... 112
■ 方程式計算のタイプについて ............................................. 113
■ 係数の入力について ........................................................... 114
■ 解の表示について ............................................................... 115
■ 方程式計算の例題 ............................................................... 116
行列計算(MATRIX)......................................... 119
■ 行列計算の概要 .................................................................. 119
■ 行列の入力と編集 ............................................................... 123
■ 行列計算の実行 .................................................................. 126
関数式からの数値テーブル生成(TABLE)
■数値テーブル生成の概要(操作の 流れ).............................. 131
■ 関数式の登録と
■ 数値テーブル画面について ................................................ 134
x値の指定について ................................... 133
.............. 131
ベクトル計算(VECTOR)................................. 135
■ ベクトル計算の概要 ........................................................... 135
■ ベクトルの入力と編集 ....................................................... 139
■ ベクトル計算の実行 ........................................................... 141
科学定数 ........................................................... 146
■ 科学定数の使い方 ............................................................... 146
■ 科学定数一覧 ...................................................................... 147
単位換算 ........................................................... 150
■ 単位換算コマンドの使い方 ................................................ 150
■ 単位換算コマンド一覧 ....................................................... 152
技術情報 ........................................................... 154
■ 計算の優先順位 .................................................................. 154
■ スタック数の制限について ................................................ 156
■演算範囲・演 算 桁 数・精度について ..................................... 157
■ エラーメッセージについて ................................................ 159
■ 故障かなと思う前に… ....................................................... 163
リファレンス情報 ............................................ 164
■ 電源および電池交換 ........................................................... 164
仕様 .................................................................. 166
応用例題 ........................................................... 167
■土木・測 量 ........................................................................... 167
■物理 .................................................................................... 171
保証・アフターサービスについて ..................... 175
保証規定 ........................................................... 177
– 10 –
計算を始める前に
■ 電源を入れるには
電源を入れるには、Oを押します。
●このとき、前回電源を切った際に選択されていた計算モード
(15ページ)になります。
■ 電源を切るには
電源を切るには、1A(OFF)を押します。
電源を切っても、次の情報は保持されます。
●計算モードと各種設定状態(15ページ)
●アンサーメモリー(43ページ)、独立メモリー(45ページ)、変
数メモリー(47ページ)の内容
■ コントラストを調節するには
液晶表示が薄すぎたり濃すぎたりして見づらい場合は、コント
ラストを調節します。
1. 1N(SETUP)を押します。
u セットアップ画面が表示されます。
2. cを押して次画面を表示します。
3. 6(]CONT')を押します。
u コントラスト画面が表示されます。
4. dまたはeを押して調節します。
5. 調節が済んだらAを押します。
● N を押して表示される計算モード画面でdeを押して
も、コントラストを調整することができます。
ご注意
コントラストの調節を行っても液晶表示が見づらい場合は、電
池が消耗しています。新しい電池に交換してください。
– 11 –
■ キーの見かたの基本ルール
本機への入力操作は、すべて本機のキーを使って行いま
す。
キーを単独で押した場合は、そのキーの表面に印刷されている
数字や演算子の入力(1、+など)、または機能の実行(A、Y
など)ができます。
キーの上に表示されている機能は、呼び出し方や使用可能な
モードに応じて色分けされています。
● キーの上に黄色で表示されている関数や機能は、1を押し
た後にそのキーを押すことで入力または実行することがで
きます。
例:1s(sin
● キーの上に赤色で表示されている変数、定数、記号は、Sを
押した後にそのキーを押すことで入力することができます。
例:Sy(A)、S5(
● キーの上に紫色で表示されているか、紫色のブラケット({ })
で囲って表示されている文字は、CMPLXモード(複素数計算、
75ページ参照)で利用します。
● キーの上に緑色で表示されているか、緑色のブラケット({ })
で囲って表示されている文字は、BASE-Nモード(
107ページ参照)で利用します。
–1
)、1Y(INS)
e)
n進計算、
■ 画面表示について
本機は31ドット×96ドットの液晶画面表示を備えています。
この液晶画面への各種の情報表示ついて説明します。
A 入力式と計算結果の表示について
本機のディスプレイは、入力した計算式と計算結果の出力を、同
時に表示できます。入力式と計算結果は、最大3行を使って表示
されます。
入力式表示
計算結果表示
CMPLX
{
– 12 –
A 自然表示とライン表示について
表示形式には、分数や無理数などを教科書通りの書式で表示可
能な「自然表示」形式と、個々の式や数値をすべて1行で表示する
「ライン表示」形式があります。
自然表示形式の場合
ライン表示形式の場合
●表示形式の切り替えは、本機のセットアップ画面で行います
(16ページ参照)。
Math
A シンボル表示について
現在の計算モードや設定状態、計算の経過などが、ディスプレイ
の最上部にシンボルで表示されます。
表示例
シンボル表示には、それぞれ次の意味があります。
※ 各シンボルの表示位置の左から右の順にリストしています。
シンボル 意 味 参照先
S
A
M
STO た表示です。1t(STO)を押したとき
RCL 関連した表示です。tを押したときに点
CMPLX
1を押したときに点灯し、次のキーを
押すと消えます。
Sを押したときに点灯し、次のキーを
押すと消えます。
独立メモリーにデータが登録されている
間、点灯します。
変数メモリーへのデータの登録に関連し
に点灯し、次のキーを押すと消えます。
変数メモリーからのデータの呼び出しに
灯し、次のキーを押すと消えます。
– 13 –
−
−
45
47
シンボル 意 味 参照先
STAT STATモード時に点灯します。 80
CMPLX CMPLXモード時に点灯します。 75
MAT MATRIXモード時に点灯します。 119
VCT VECTORモード時に点灯します。 135
7
角度設定が「度」の場合に点灯します。
角度設定が「ラジアン」の場合に点灯し
8
ます。
角度設定が「グラード」の場合に点灯し
9
ます。
FIX 表示桁数設定がFix時に点灯します。
SCI 表示桁数設定がSci時に点灯します。
表示形式として「自然表示」が選択され
Math
ているときに点灯します。
リプレイ可能な計算履歴が記憶されて
▼
いるときや、前画面/次画面があると 40
▲
きに点灯します。
マルチステートメントによる計算の実
Disp
行中に点灯します。
ご注意
複雑な演算を実行したときなど、実行結果を表示するのに時間
がかかる場合に、表示上はシンボルのみ点灯した状態となりま
す。
16
17
16
40
– 14 –
計算モードとセットアップにつ いて
「計算モード」は、本機で何の計算を行うかを選択する、最も基本
的な設定項目です。また「セットアップ」に含まれる各項目に
よって、計算時の入出力や演算のしかたなどに関する設定を行
います。
■ 計算モードについて
本機は、常にいずれか1つの計算モードで動作します。本機が備
えている計算モードは、次の8種類です。
モード 説 明 参照先
COMP
(標準計算)
CMPLX
(複素数計算)
STAT
(統計計算、
回帰計算)
BASE-N
(n進計算)
EQN
(方程式計算)
MATRIX
(行列計算)
TABLE
(テーブル計
算)
VECTOR
(ベクトル計
算)
関数計算を含む、一般の計算を行う
計算モードです。計算モードのリ
セット操作(19ページ参照)を実行す
ると、本モードに切り替わります。
複素数演算を行う計算モードです。
一変数統計演算や回帰演算、確率分
布演算を行う計算モードです。
2進、8進、10進、16進の変換や計算、
論理計算を行う計算モードです。
連立方程式演算、高次方程式演算を
行う計算モードです。
行列データを用いた演算を行う計算
モードです。
関数式より数値テーブルを作成する
計算モードです。
ベクトルデータを用いた演算を行う
計算モードです。
33, 52
75
80
107
112
119
131
135
– 15 –
A 計算モードを選ぶには
1. Nを押します。
u 計算モードの選択画面が表示
されます。
2. 選びたい計算モードに対応した数字キーを押します。
u 例えばCMPLXモードを選ぶには、2を押します。
■ セットアップについて
本機による計算時の入出力や演算のしかたなどに関する設定を
行うことができます。設定には、1N(SETUP)を押して表示
されるセットアップ画面で行います。セットアップ画面は次の
2画面があり、cまたはfを押して切り替えます。
c
f
●セットアップ画面に含まれる「]CONT'」(コントラスト設
定)については、「コントラストを調節するには」(11ページ)
を参照してください。
A 表示形式設定を切り替えるには
本機のディスプレイへの入力式や計算結果の表示形式を、「自然
表示」と「ライン表示」の間で切り替えることができます。
表示形式設定 操作(押すキー)
自然表示 1N1(MthIO)
ライン表示 1N2(LineIO)
A 角度設定を切り替えるには
三角関数計算で利用する角度の単位を、「度」、「ラジアン」、「グ
ラード」の間で切り替えることができます。
π
(90° = ラジアン = 100グラード)
2
– 16 –
角度設定 操作(押すキー)
度 1N3(Deg)
ラジアン 1N4(Rad)
グラード 1N5(Gra)
A 表示桁数設定を切り替えるには
計算結果として表示する桁数を、「小数点以下桁数固定」(0〜9桁
の間で指定可)、「有効桁数指定」(1〜10桁の間で指定可)、「指数
化表示設定」(2通りの設定から選択可)の間で切り替えることが
できます。
表示桁数設定 操作(押すキー)
小数点以下桁数 1N6(Fix)
設定 0(0桁固定)〜9(9桁固定)
有効桁数設定 1N7(Sci)
指数表示範囲設定 1N8(Norm)
設定に応じた計算結果表示について
● Fix(小数点以下桁数固定)を選択すると、0〜9桁の間で指定し
た桁数に応じて、小数点以下が表示されます。また、計算結果
は指定した桁の1桁下で四捨五入され、指定した桁までが表
示されます。
例:100÷7 = 14.286 (Fix3の場合)
● Sci(有効桁数指定)を選択すると、1〜10桁の間で指定した桁
数と指数によって計算結果が表示されます。また、計算結果
は指定した桁の1桁下で四捨五入され、指定した桁までが表
示されます。
例:1÷7 = 1.4286 ×10
1(有効桁1桁)〜9、0(有効桁10桁)
1(Norm1)または2(Norm2)
14.29 (Fix2の場合)
–1
(Sci5の場合)
1.429 ×10
–1
(Sci4の場合)
– 17 –
● Norm1またはNorm2を選択すると、それぞれ次の範囲となっ
た場合は指数表示となります。
–2
Norm1:10
>x, x≧ 10
Norm2:10–9 >x, x≧ 10
10
10
例:1÷200 = 5×10–3(Norm1の場合)
0.005 (Norm2の場合)
A 分数表示設定を切り替えるには
分数計算時の計算結果を仮分数で表示するか、帯分数で表示す
るかを切り替えることができます。
分数表示設定 操作(押すキー)
帯分数表示 1Nc1(ab/c)
仮分数表示 1Nc2(d/c)
A 複素数表示設定を切り替えるには
複素数計算結果の表示形式を、「直交座標形式」と「極座標形式」
の間で切り替えることができます。
CMPLX
CMPLX
直交座標形式 極座標形式
複素数表示設定 操作(押すキー)
直交座標形式 1Nc3(CMPLX)1(a+bi)
極座標形式 1Nc3(CMPLX)2(r∠θ)
A 統計表示設定を切り替えるには
STATモード時のSTATエディタ画面上に頻度(FREQ)の列を表示
するか、しないかを切り替えることができます。
STAT
STAT
FREQ列非表示時 FREQ列表示時
– 18 –
統計表示設定 操作(押すキー)
FREQ列を表示する 1Nc4(STAT)1(ON)
FREQ列を表示しない 1Nc4(STAT)2(OFF)
A 小数点表示設定を切り替えるには
小数点をドット(.)で表示するか、カンマ(,)で表示するかを切
り替えることができます。
小数点表示設定 操作(押すキー)
小数点をドット(.)で
表示
小数点をカンマ(,)で
表示
●小数点表示は、演算結果表示にのみ適用されます。小数点入
力表示 (.キーを押したときの表示) には適用されません。
1Nc5(Disp)1(Dot)
1Nc5(Disp)2(Comma)
■ 計算モードと各種設定をクリアするには
計算モードとすべてのセットアップ情報を一括してクリアし、
各設定を下記の初期状態に戻すことができます。
計算モード .................... COMP (標準計算モード)
表示形式設定 ................. MthIO (自然表示)
角度設定 ........................ Deg (度数法)
表示桁数設定 ................. Norm1 (指数表示1)
分数表示設定 ................. d/c (仮分数表示)
複素数表示設定 ............. a+bi (直交形式で出力)
統計表示設定 ................. OFF (FREQ(頻度)列非表示)
小数点表示設定 ............. Dot (小数点を「
計算モードと各種設定をクリアするには、次の操作を行います。
19(CLR)1(Setup)=(Yes)
u クリアを実行しない場合は、=を押す代わりにA(Cancel)
を押してください。
.」で表示)
– 19 –
式や数値の入力について
本節では、計算式の入力や、入力した計算式の訂正のしかた、自
然表示選択時の入力方法などについて説明します。
●特に断りのない限り、本節で説明するすべての操作は、自然
表示/ライン表示のいずれの選択時でも行うことができま
す。自然表示/ライン表示の切り替えについては、「表示形式
設定を切り替えるには」(16ページ)を参照してください。
■ 計算式の入力(書式通り入力方式)
本機は紙に書いた通りに計算式を入力し、=を押すと計算が実
行される「書式通り入力方式」を採用しています。加減乗除、関
数、カッコの優先順位は、自動的に判別されます。
- 2 (5+4)−2×(−3)=
a
2(5+4)-
2*y3=
A カッコ付き関数(sin, cos,
''
'など)の入力につい
''
て
本機では、次の関数は開きカッコ付きで入力されます。引数の末
尾に閉じカッコ())を入力することが必要です。
–1
sin(, cos(, tan(, sin
sinh–1(, cosh–1(, tanh–1(, log(, ln(, e^(, 10^(, '(, 3'(, Abs(,
Pol(, Rec(,
det(, Trn(, Rnd(
- sin 30=
a
●自然表示形式では入力方法が異なる関数があります。「自然
表示での入力操作」(25ページ)を参照してください。
(, cos–1(, tan–1(, sinh(, cosh(, tanh(,
∫(, d/dx(, Σ(, P(, Q(, R(, arg(, Conjg(, Not(, Neg(,
s30)=
sを押すとsin(が入力される
– 20 –
A 乗算記号(×)の省略について
次の乗算記号(×)は、入力を省略することができます。
・(の前 …… 2×(5+4)など
・カッコ付き関数の前 …… 2
・前置 記 号(負符号を除く)の前 …… 2×h123など
・メモ リー、定数、乱数の前 …… 20
×sin(30)、2×'(3) など
×A、2×π、2×iなど
A 計算式末尾のカッコの省略について
=直前の)は、省略しても入力したとみなされます。「計算式
末尾の閉じカッコの省略について」(34ページ)も参照してくだ
さい。
A 画面幅に収まらない計算式の表示について
一度に表示可能な桁数(ライン表示時で14桁)を超えて計算式の
入力を行うと、表示が自動的にスクロールし、画面に収まらない
部分が隠れます。このとき、画面の左端に「]」が表示されます。
入力した計算式 —— 1111+2222+3333+444
画面への表示 ———
●「 ]」が表示された状態では、dキーを押してカーソルを移
動し、表示を左スクロールすることができます。
Math
カーソル
A 入力文字数(バイト数)について
● 本機は計算式の入力エリアとして、99バイトが確保されてお
り、1つの計算式につき99バイトまで入力可能です。基本的に
1キー入力(数字や演算子、関数などの1つの入力)につき1バ
イトです。 1s(sin
の機能を呼び出すような場合は、2キー入力で1バイトとなり
ます。ただし、自然表示での入力を行う関数は、1つの入力で
数バイトを使用します。詳しくは「自然表示での入力操作」
(25ページ)を参照してください。
–1
)のように2つのキー操作によって1つ
– 21 –
●通常、入力位置を表すカーソルは「I」(または「 」)の点滅に
よって表示されますが、89バイト目以降の入力になると、
カーソルが「
切りの良いところで一度入力を終了し、計算結果を得てくだ
さい。
● 得られた計算結果からさらに計算を続ける場合は、G キー
を利用すると便利です。G キーについては「アンサーメモ
リー(Ans)」(43ページ)を参照してください。
」の点滅に変わります。このような場合は、区
I
■ 計算式の訂正
入力中の計算式を訂正する操作について説明します。訂正の操
作は、挿入モードと上書きモードで異なる場合があります。
A「挿入モード」と「上書きモード」について
入力時に、カーソル位置に文字が追加挿入される状態のことを
「挿入モード」、カーソル位置の文字が入力した文字に置き換わ
る状態を「上書きモード」と呼びます。
元の式 +を押すと
挿入
モード時
上書き
モード時
本機の初期状態では「挿入モード」で計算式の入力が行われま
す。必要に応じて「上書きモード」に切り替えて入力を行うこと
も可能です。
●挿入モードでは、入力位置に「
では、文字の入力位置に「 」が点滅します。
●ライン表示時は、初期状態では挿入モード、入力中に
1Y(INS)を押すと上書きモードに切り替わります。自然
表示時は常に挿入モード固定で、1Y(INS)は別の働きと
なります(28ページの「関数内への数値の取り込み操作」を参
照)。
カーソル
カーソル
」が点滅します。上書きモード
I
– 22 –
A 直前の文字を訂正するには
カーソルが入力行の最後尾にあるとき、Yを押すと、直前に入
力した文字が削除されます。
- 369×12を369×13と入力してしまった
369*13
Y
2
A 不要な文字を削除するには
dまたはeを使って不要な文字の直後(挿入モード時)または
不要な文字の下(上書きモード時)にカーソルを合わせ、Yを押
します。Yを1回押すごとに、下記のように1文字が削除されま
す。
- 369×12を369××12と入力してしまった
挿入モード時:カーソル位置直前の1文字を削除
369**12
dd
Y
上書きモード時:カ ー ソ ル 位 置 の 1文字を削除
369**12
ddd
Y
– 23 –
A 計算式の途中の誤りを訂正するには
挿入モード時は、dまたはeを使って間違った文字の直後に
カーソルを合わせ、Yを押して削除した後、入力し直します。上
書きモード時は、d またはe を使って間違った文字の下に
カーソルを合わせ、そのまま入力し直します。
- sin(60)をcos(60)と入力してしまった
挿入モード時:
c60)
dddY
s
上書きモード時:
c60)
dddd
s
A 計算式の途中に文字を挿入するには
必ず挿入モードで操作を行ってください。dまたはeで挿入
したい箇所にカーソルを合わせ、入力します。
■ エラー位置表示について
演算実行時(=を押したとき)に、計算式に数学的な誤り(Math
ERROR)や構文上の誤り(Syntax ERROR)などがあった場合、
エラーメッセージを表示します。このような場合、dまたはe
キーを押すとエラー位置にカーソルが移動し、計算式を訂正す
ることができます。
– 24 –
- 14÷10×2=を誤って14÷0×2=と入力した
(挿入モードで操作するものとします。)
14/0*2=
e
(またはd)
ここにエラーがある
d1
=
● エラーメッセージ画面でe(またはd) の代わりにAを押
すと、計算式がクリアされます。
■ 自然表示での入力操作
表示形式設定(16ページ参照)で「自然表示」を選択すると、分数
や一部の関数などを教科書通りの書式で入力・表示することが
できます。
ご注意
●入力する計算式によっては、計算式が画面の縦方向にも広が
ります。計算式は、縦方向で2画面分(31ドット×2)の大きさ
になるまで、入力することができます。
● 関数やカッコを使用することで入れ子を作ることができま
すが、入れ子を多く作るとキー入力を受け付けなくなること
があります。その場合は計算式を分割し、何回かに分けて計
算してください。
– 25 –
A 自然表示形式での入力に対応した関数と記号
次の関数と記号が、自然表示形式での入力に対応しています。
●「 バイト数」欄の数字は、自然表示形式での入力時に使われる
各キーごとのバイト数を表します。
関数/記号 入力キー バイト数
分数(仮分数) ' 9
帯分数 1'(()13
log(a,b)(対数) & 6
10^x(常用対数) 1l($)4
e^x(自然対数) 1i(%)4
平方根(') ! 4
立方根(3') 1!(#)9
2乗 w 4
3乗 1w(x3)4
–1乗(逆数) E 5
べき乗 6 4
べき乗根 16(")9
積分 7 8
微分 17(F)6
Σ計算 1&(8)8
Abs(絶対値) 1w(Abs) 4
カッコ (および) 1
A 自然表示形式による入力例
●以下の操作例は、表示形式設定として「自然表示」を選択した
上で、実行してください。
●自然表示形式での入力時は、カーソルが表示される位置とサ
イズに注目して、操作を行ってください。
2
1+—
(
5
2
を入力する
)
(1+'
Math
1
– 26 –
2c
Math
5
Math
e
Math
)w
Math
Math
=
●入力式と結果が縦方向に表示しきれない場合、入力式の上部
が表示されません。この状態で、入力式のスクロールはでき
ません。再度入力した計算式を表示したい場合は、一度Aを
押してからeを押してください。
3
2 2
+1を入力する
26
3
e
+1
3 1+'2+3 を入力する
1+!
2
e
Math
Math
Math
Math
Math
Math
Math
– 27 –
4 1+
+3
1
∫
x+1dxを入力する
0
1+7
Math
Math
S)(X)+1
Math
e0
Math
f1
Math
e
Math
A 関数内への数値の取り込み操作
自然表示での入力時には、数値やカッコで括られた範囲内など
入力済みの計算式の一部を、関数内に取り込むことができます。
- 1+(2+3)+4のカッコ内を'に取り込む
カーソルをここに移動
1Y(INS)
カーソルの形がこのように変化する
!
カッコ内の範囲が'に取り込まれる
●開きカッコの手前でなく、数字や分数の手前にカーソルがあ
る場合は、その数字や分数が取り込み範囲となります。
Math
Math
Math
– 28 –
●関数の手前にカーソルがある場合は、その関数全体が取り込
み範囲となります。
上記の例と同様の数値の取り込み操作が可能な関数、および取
り込み前後の状態は、次の通りです。
取り込み前の状態:
関数 入力キー 取り込み後の状態
分数 '
log(a, b) &
e^x 1i(e^)
平方根 !
下記の関数も同様に取り込みが可能です。
1l($)、6、1!(#)、16(")、1=(Abs)
●帯分数キー(1'(())では取り込みは行われません。
取り込み前の状態:
関数 入力キー 取り込み後の状態
積分 7
微分 17(F)
Σ計算 1&(8)
– 29 –