Page 1
ユーザ・マニュアル
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ
デジタル・ストレージ
オシロスコープ
071-1069-01
このマニュアルは、ファームウェア FV:v 1.00 以上に
対応しています。
www.tektronix.com
Page 2
Copyright © Tektronix, Inc. All rights reserved.
当社の製品は、米国その他各国における登録特許および出願中特許の対象となっ
ています。本書の内容は、すでに発行されている他の資料の内容に代わるもので
す。また製品の仕様は、予告なく変更させていただく場合がありますので、予め
ご了承ください。
Tektronix, Inc., P.O. Box 500, Beaverton, OR 97077
TEKTRONIX および TEK は、 Tektronix, Inc. の登録商標です。
Page 3
WARRANTY SUMMARY
(TDS 1000- and TDS 2000-Series Digital Storage Oscilloscopes)
Tektronix warrants that the products that it manufactures and sells will be free from defects
in materials and workmanship for a period of three (3) years from the date of shipment
from an authorized Tektronix distributor. If a product or CRT proves defective within the
respective period, Tektronix will provide repair or replacement as described in the
complete warranty statement.
To arrange for service or obtain a copy of the complete warranty statement, please contact
your nearest Tektronix sales and service office.
EXCEPT AS PROVIDED IN THIS SUMMARY OR THE APPLICABLE WARRANTY
STATEMENT, TEKTRONIX MAKES NO WARRANTY OF ANY KIND, EXPRESS
OR IMPLIED, INCLUDING WITHOUT LIMITATION THE IMPLIED WARRANTIES
OF MERCHANTABILITY AND FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE. IN NO
EVENT SHALL TEKTRONIX BE LIABLE FOR INDIRECT, SPECIAL OR
CONSEQUENTIAL DAMAGES.
Page 4
WARRANTY SUMMARY
(P2200 Probe)
Tektronix warrants that the products that it manufactures and sells will be free from defects
in materials and workmanship for a period of one (1) year from the date of shipment. If a
product proves defective within the respective period, Tektronix will provide repair or
replacement as described in the complete warranty statement.
To arrange for service or obtain a copy of the complete warranty statement, please contact
your nearest Tektronix sales and service office.
EXCEPT AS PROVIDED IN THIS SUMMARY OR THE APPLICABLE WARRANTY
STATEMENT, TEKTRONIX MAKES NO WARRANTY OF ANY KIND, EXPRESS
OR IMPLIED, INCLUDING WITHOUT LIMITATION THE IMPLIED WARRANTIES
OF MERCHANTABILITY AND FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE. IN NO
EVENT SHALL TEKTRONIX BE LIABLE FOR INDIRECT, SPECIAL OR
CONSEQUENTIAL DAMAGES.
Page 5
目次
安全にご使用いただくために v ......................
このマニュアルについて vii ..........................
ヘルプ・システム ix ..............................
マニュアルの表記方法について xi ..................
不要品の廃棄方法について xii ......................
お問い合わせについて xiii ..........................
はじめに 1 ........................................
機能概要 2 ......................................
インストレーション 4 ............................
機能チェック 5 ..................................
プローブを安全に使用するには 6 ..................
プローブ・チェック・ウィザード 7 ................
手動によるプローブ補正 8 ........................
プローブの減衰率の設定方法 9 ....................
自己校正について 10 ..............................
電源ケーブル 4 ................................
セキュリティ・ループ 4 ........................
オシロスコープの基本的機能 11 ......................
オシロスコープの設定 12 ..........................
オートセット(AUTOSET) 12 ...................
設定の保存 12 ..................................
設定の呼出 12 ..................................
工場出荷時設定 13 ..............................
トリガ 13 ........................................
トリガ・ソース 14 ..............................
トリガの種類 15 ................................
トリガ・モード 15 ..............................
結合(カップリング) 15 ........................
位置(ポジション) 16 ..........................
スロープとレベル 16 ............................
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
i
Page 6
目次
波形取り込み 17 ..................................
取り込みモード 17 ..............................
時間軸 18 ......................................
波形のスケールと位置 18 ..........................
垂直軸スケールと位置 18 ........................
水平軸スケールと位置(プリトリガ) 19 ..........
波形測定 24 ......................................
目盛 24 ........................................
カーソル 25 ....................................
自動測定 25 ....................................
各部の名称と機能 27 ................................
表示エリア 28 ....................................
メッセージ・エリア 31 ..........................
メニューの操作方法 32 ............................
垂直軸部 34 ......................................
水平軸部 35 ......................................
トリガ部 36 ......................................
その他の機能 38 ..................................
コネクタ 39 ......................................
測定例 41 ..........................................
基本的な測定例 42 ................................
オートセットを使用する 42 ......................
自動測定の実行 43 ..............................
2 つの信号からゲインを計算する 46 ...............
カーソルによる測定例 48 ..........................
リンギング周波数を測定する 48 ..................
リンギング振幅を測定する 49 ....................
パルス幅を測定する 50 ..........................
立上り時間を測定する 51 ........................
波形の詳細解析例 54 ..............................
ノイズを含んだ信号を観測する 54 ................
アベレージングによりノイズを分離する 55 ........
単発波形の測定例 56 ..............................
オシロスコープの設定を変えてみる 57 ............
伝搬遅延の測定例 58 ..............................
ii
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 7
パルス幅の測定例 60 ..............................
ビデオ信号の測定例 62 ............................
ビデオ・フィールドにトリガする 63 ..............
ビデオ・ラインにトリガする 64 ..................
ウィンドウで波形細部を観測する 66 ..............
差動通信信号の測定例 68 ..........................
ネットワークのインピーダンス観測例 70 ............
詳細説明 73 ........................................
波形取込(ACQUIRE) 74 .........................
オートセット(AUTOSET) 79 .....................
正弦波 81 ......................................
方形波またはパルス 82 ..........................
ビデオ信号 83 ..................................
カーソル(CURSOR) 84 ..........................
工場出荷時設定(DEFAULT SETUP) 85 .............
表示(DISPLAY) 86 ..............................
ヘルプ(HELP) 89 ...............................
水平軸(HORIZONTAL ) 90 ........................
演算(MATH ) 93 .................................
波形測定(MEASURE ) 94 .........................
プリント(PRINT) 96 .............................
プローブ・チェック(PROBE CHECK) 96 ............
保存/ 呼出(SAVE/RECALL) 97 .....................
トリガ(TRIGGER ) 99 ............................
ユーティリティ(UTILITY ) 110 .....................
垂直軸(VERTICAL ) 112 ...........................
目次
FFT演算 115 ........................................
時間軸領域で信号を表示する 116 ....................
FFTスペクトラムを表示する 118 .....................
FFTウィンドウを選択する 120 .......................
FFTスペクトラムの拡大と位置調整 124 ...............
FFT スペクトラムをカーソルで測定する 126 ..........
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
iii
Page 8
目次
TDS2CMA型コミュニケーション・モジュール 127 .......
拡張モジュールのインストールと取り外し 127 ........
インストールを確認する 130 ........................
インストールできないとき 130 ......................
スクリーン・データを外部デバイスに送る 131 ........
RS-232 の設定とテスト 134 ..........................
バイナリ・データの転送 141 ......................
RS-232 I/O エラー・レポート 141 ..................
GPIB の設定とテスト 143 ...........................
コマンド入力について 150 ..........................
付録 A: 仕様 151 ...................................
付録 B: アクセサリ 169 ...............................
付録 C: クリーニング 173 .............................
付録 D: 工場出荷時設定 175 ...........................
付録 E: GPIB と RS-232 179 ..........................
索引 181 ..........................................
iv
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 9
安全にご使用いただくために
安全にご使用いただくため、機器をご使用になる前に、次の事項を必ず
お読みください。
本機器のサービスは専門のサービス員のみが行なえます。
発火および人体保護における注意事項
適切な電源ケーブルの使用 電源ケーブルは、製品に付属したもの、ま
たは使用する電源電圧に対応したもののみご使用ください。
プローブの接続について 感電の危険がありますので、プローブ・チッ
プ(プローブの先端)を電圧源に接続したままで抜き差ししないでくだ
さい。
適切な接地(グランド) 本機器は、アース線付きの 3 線式電源コード
を通じて接地されます。感電を避けるため、必ずアース端子のあるコン
セントに差し込んでください。3-2アダプタを使用して 2 線式電源に接
続する場合も、必ずアダプタのアース線を接地してください。
適切なプローブの接続 グランド・リードを電圧源に接続しないでくだ
さい。
入力端子の定格について 発火や感電の危険がありますので、各入力端
子への信号入力は、定格表示以内にしてください。詳細については、仕
様のページを参照してください。
キャビネット、カバーの取り外し 機器内部には高電圧の箇所がありま
すので、カバーやパネルを取り外さないでください。
適切なヒューズの使用 発火等の危険がありますので、指定された定格
のヒューズ以外は使用しないでください。
被測定回路への接触 電源が入った状態の被測定回路のコネクタおよび
部品には触れないでください。
故障と思われる場合 故障と思われる場合は、必ず当社サービス受付セ
ンターまたは販売店までご連絡ください。
機器の放熱 本機器が過熱しないよう、十分に放熱してください。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
v
Page 10
安全にご使用いただくために
機器が濡れた状態では使用しないでください。
爆発性のガスがある場所では使用しないでください。
機器の表面は常にきれいにしてください。
機器保護における注意事項
本マニュアルで使用されている用語およびマークの意味は、次のとおりです。
警告:
人体や生命に危害をおよぼすおそれのある場合に、その危険を避
けるための注意事項が記されています。
注意:
取り扱い上の一般的な注意事項や機器を損傷するおそれのある場
合の注意事項が記されています。
機器に表示されている用語の意味は、次のとおりです。
DANGER :ただちに人体や生命に危害をおよぼす危険があることを示し
ています。
WARNING :間接的に人体や生命に危害をおよぼす危険があることを示
しています。
CAUTION :機器および周辺機器に損傷をおよぼす危険があることを示
しています。
機器に表示されているマークの意味は、次のとおりです。
vi
保護用接地端子
を示します。
メイン・スイッチ
オフ(パワー)
測定用グランド
端子を示します。
メイン・スイッチ
オン(パワー)
マニュアルの該当
箇所を参照してく
ださい。
測定用入力端
子を示します。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 11
このマニュアルについて
このマニュアルでは、TDS1000 シリーズおよび TDS2000 シリーズ デ
ジタル・ストレージ・オシロスコープの操作方法について説明します。
マニュアルの構成は、以下のとおりです。
H 「はじめに」では、オシロスコープの基本構成とインストレーショ
ンについて説明します。
H 「オシロスコープの基本的機能」では、オシロスコープの基本的な
機能(トリガ、データの取込、波形のスケールおよび位置調整、測
定方法、機器の設定方法など)について説明します。
H 「各部の名称と機能」では、オシロスコープの基本的な動作原理に
ついて説明します。
H 「測定例」では、実際 の測定で発生する 諸問題 を 解決 するヒントに
なるようなさまざ まな測定について説明します。
H 「詳細説明」では、オシロスコープの各機能を詳細に説明します。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
vii
Page 12
このマニュアルについて
H 「FFT演算 」では、FFT演算機能の使用方法について説明します。
H 「TDS2CMA 型 コミュニケーション・モ ジュール」では、プリンタ
やPC をオシロスコープと共 に使用する際 のRS-232 、GPIB 、セント
ロニクスの各ポ ートの設定方法について説明します。
H 「付録 A 仕様」では、オシロスコープの電 気的特 性 、 環境 特 性 、機
械的特 性の ほかに、各 種の規格と承認について説明します。
H 「付録B アクセサリ」では、標準とオプションのアクセサリについ
て説明します。
H 「付録C クリーニング」では、オシロスコープのクリーニングにつ
いて説明します。
H 「付録D 工場出荷時 設定」では、 工 場出荷時 設定を 呼 び出したとき
のメ ニューや前面 パネル設定が記載されています。
H 「付録E GPIB と RS232 」では、 GPIB と RS232 インタ フェースを 比
較します。
viii
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 13
ヘルプ・システム
本オシロスコープは、全機能をカバーするヘルプ・システム を装備 して
います。ヘ ルプ・システム を利 用して、以下の情報 を表示できます。
H 「メ ニュー・シス テム の使用方法」などのオシロスコープを使用す
る上での一般情報
H 「垂直軸位置コントロール」などの具体的なメ ニュー・コントロー
ルに関 する情報
H 「ノ イズの 低減 」など、オシロスコープ使用中に発生する 可能性 の
ある問題 への対処 方法
ヘ ルプ・システム には、 情報 にアクセスするために 3つの方法が用意さ
れています。
このマニュアルについて
メニュー指定
前面 パネルの ヘルプ (HELP) ボ タンを押 すと、オシロスコープは最後
にスクリーンに表示されたメ ニューの情報 を表示します。水平軸位置
(HORIZONTAL POSITION) ノブの下にあるヘルプスクロール LED
が点灯し、このノブにヘ ルプ・スクロール機能が付与 されたことを示し
ます。ヘ ルプの内容が1 ページ以上の場合は、水平軸 位置ノブを回すと
ページを切り替 えることができます。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
ix
Page 14
このマニュアルについて
ハイパーリンク
ヘ ルプの説明文 には、< オートセット > のように <かぎ括弧>で囲まれた
箇所が含 まれていることがあります。これら は、他のトピ ックへのリン
クです。ヘルプスクロール ノ ブを回すと、あるリンクから 他のリンク
へハ イライト箇所が移 動します。トピックを読む を押 すと、ハ イライ
ト表示されたリンクに対応するトピ ックを表示します。戻る を押 す
と、前のトピ ックに戻 ります。
索引
前面 パネルの ヘルプ ボ タンを押 して、次にサイド・メ ニューの 索引
オプション・ボ タンを押します。参照したいトピ ックが含 まれるページ
が見 つかるまで 次ページ または 前ページ を押 します。前面 パネルの
ヘルプスクロール ノ ブを回すと、ヘ ルプ・ト ピ ックが ハイライト表示
されます。トピックを読む を押 すと、該 当するトピックが表示されま
す。
終了 ボ タンを押すか 、任 意の メ ニュー・ ボ タンを 押すとスクリー
注:
ンからヘルプ情報 が消 え、波形表示に戻ります。
x
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 15
マニュアルの表記方法について
このマニュアルでは、次のような表記方法で説明しています。
H オシロスコープ前面パネルの押 しボ タンや ノ ブとデ ィ スプレイに表
示されるメ ニュー項目 は、ヘルプ (HELP )、プリント(PRINT )
のようにボ ールド体で表記します。
H オプション・ボタンに対応してスクリーン右 サイドに表示される メ
ニュー項目も ピーク 、範囲指定のようにボ ールド体で表記します。
前面パネルの押しボタンと各種ノ
ブはボールドで表記します。
このマニュアルについて
このボタンをオプション・
ボタンと呼びます。
オプション・ボ タンは、スクリーン・ボタン、サイドメ ニュー・ボ
注:
タン、ベーゼル・ボ タン、またはソフ ト・キ ーなどと呼ば れることがあ
ります。
"
H
マークは、次のように使用します。
ユーティリティ (UTILITY )
"
オプション
"
RS-232
これは、まず前面パネルの ユーティリティ (UTILITY )ボタンを押
し、表示されるメ ニュー項目から オプション を選択 し、さらに
RS-232 オプション・ボタンを押 すことを意味します。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
xi
Page 16
このマニュアルについて
不要品の廃棄方法について
水銀を含んだ部品の取り扱いについて
液晶 ディスプレイのバックライト蛍光管 には、 水銀 が 含 まれています。本
機器を廃棄する場合は、ご 使用の地域の、 水銀 を含んだ 廃棄物の処理方法
にしたがって処理してください。Tektronix 社(米国)には、Tektronix
RecyclingOperation(RAMS) 部門があり、ここに発送 することで、 適切
な方法で処理 することもできます。RAMS への発送 方法等 については、
Tektronix 社または当社 お客 様コールセンターまでご連絡くだ さい。
xii
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 17
お問い合わせについて
製品について 当社製品に関するお問い合わせは、北米地域からは
次のフリー・ダイアルがご利用になれます(英語のみ)。
1-800-833-9200
6:00 a.m.~ 5:00 p.m. Pacific time
電子メールをご利用の方は、次のメール・アドレスでお問
い合わせください。
TechSupport@tektronix.com
日本国内では、日本テクトロニクス(株)
お客様コールセンターまでお問い合わせください。
電話: 03-3448-3010 Fax: 0120-046-011
E-mail: ccc.jp@tektronix.com
電話受付時間 / 9:00~ 12:00・ 13:00~ 19:00
このマニュアルについて
月曜~金曜(休祝日を除く)
サービス・
サポート
ご意見、
ご感想は
日本国内での修理についてのお問い合わせは、日本テクト
ロニクス(株) サービス受付センターでお答えします。
電話: 0120-741-046 FAX: 0550-89-8268
電話受付時間 / 9:00 ~12:00 ・13:00 ~19:00
月曜~金曜(休祝日を除く)
ワールド・ワイドのサービス体制については、Tektronix
のホーム・ページをご参照ください。
Tektronix 社または日本テクトロニクス(株)までお寄せ
ください。
Tektronix, Inc.
14200 SW Karl Braun Drive
P.O. Box 500
Beaverton, OR 97077
USA
日本テクトロニクス株式会社
〒141-0001 東京都品川区北品川 5-9-31
お客様コールセンター(上記参照)
ホームページ www.tektronix.com
www.tektronix.co.jp
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
xiii
Page 18
このマニュアルについて
xiv
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 19
はじめに
TDS1000 およびTDS2000 シリーズ デジタル・ストレージ・オシロス
コープは、グランド基準の信号測定が行える小型 ・軽量 のオシロスコー
プです。
この章 では、機能概要 のほか に、次に示す内容について説明します。
H 機器のインストール
H 機能チ ェック
H プローブのチ ェックと補正
H プローブの減衰率 の設定
H 自己校正について
初めて電源を入れる場合、 言語設定は「English ( 英語)」に設定
注:
されています。 日 本語 メ ニューを表示する場合は、前 面 パネルの ユー
ティリティ(UTILITY ) ボ タンを押し、ディ スプレイの右側 にある一番
下のオプション・ボ タンを繰返 し押 し、「日 本語」を選択 します。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
1
Page 20
はじめに
機能概要
TDS1000 およびTDS2000 シリーズ デジタル・ストレージ・オシロス
コープは、次の機種 で構成されています。
チャンネ
機種名
TDS1002
型
TDS1012型
TDS2002型
TDS2012
TDS2014
TDS2022
TDS2024
H ヘルプ・システム
H カラーまたはモノ クロLCD ディ スプレイ
H 20MHz帯域制限選択可 能
H 各チ ャンネル2500 ポイントの波形レコード
型
型
型
型
ル数
2 60 MHz 1.0 GS/s
2 100 MHz 1.0 GS/s
2 60 MHz 1.0 GS/s
2 100 MHz 1.0 GS/s
4 100 MHz 1.0 GS/s
2 200 MHz 2.0 GS/s
4 200 MHz 2.0 GS/s
周波数帯域
サンプル・
レート
ディスプレイ
モノクロ
モノクロ
カラー
カラー
カラー
カラー
カラー
H オートセット・ メニュー
H プローブ・チ ェック・ウィザ ード
H リードア ウト付カー ソル測定
H トリガ周波 数リードア ウト
H 11 種類 の自 動波形測定
H 波形のア ベレージング機能と ピーク 検出機能を装備
2
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 21
はじめに
H メイン、ウィ ンド ウの 2 つの 時間 軸
H FFT演算機能
H パルス 幅トリガ機能
H ビデオ・トリガ機能
H 外部トリガ
H 設定と波形の保存 / 呼出が 可能
H バリアブル・パーシスタンス(蓄積 )波形表示
H オプションのTDS2CMA型拡張モジュールにより、 RS-232、GPIB
およびセントロニクス・インタフェ ースが装着可 能
H 10 ヶ国の言 語からメ ニュー表示を選択可 能
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
3
Page 22
はじめに
インストレーション
電源ケーブル
電源ケーブルは、オシロスコープに付属しているものを使用してくださ
い。使用電源は、90~ 264 VAC
400 Hz 電源使用時 は、 90 ~ 132 VAC
す。電源ケーブルのオプションについては、171 ページを参照してくだ
さい。
セキュリティ・
ループ
RMS、
45 ~ 66 Hz に対応しています。
、360 ~440 Hz に対応しま
RMS
セキュリティ・
ケーブル
電源ケーブル
セキュリティ・ループ
オシロスコープ 後部パネルとオプションの拡張モジュールには、 盗難防
止用のセ キュリティ・ループ(上図参照)が付いています。必要に応じ
て、このループにケーブルを通します。
4
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 23
機能チェック
オシロスコープが正しく動作することを確認 するための機能チェック方
法について説明します。
ON/OFF ボタン
.......
1.
ON/OFF ボタンを押して電源をオンにします。
パワーオン・テストにパスしたことを確認しま
す。前面パネルの工場出荷時設定(DEFAULT
SETUP) ボタンを押します。工場出荷時には、
プローブの減衰率は 10 × に設定されています。
はじめに
PROBE COMP
(プローブ補正)端子
CH 1
P2200 型 電圧プローブのスイッチを 10×に設
2.
定し、オシロスコープの CH1 コネクタの突起
に合わせて差し込み、時計方向にロックされる
まで回します。
プローブ・チップ(プローブ先端のフック)を
プローブ補正( PROBE COMP ) 端子に、グラ
ンド・リード(ワニ口クリップ付)をアース端
子に接続します。
前面パネルの オートセット(AUTOSET )ボ
3.
タンを押します。オートセット機能により、左
図のように矩形波(振幅:約 5V、周波数:約
1kHz )が表示されれば、オシロスコープは正
しく機能しています。
前面パネルの CH1 MENUボタンを 2 回押し、
CH1 の波形を消去します。別のチャンネルを
チェックする場合は、チェックするチャンネル
のメニュー・ボタンを押し、手順 2、3 を繰り
返します。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
5
Page 24
はじめに
プローブを安全に使用するには
プローブを安全に使用するために、プローブにはフィ ンガ・ガードが付
いています。
フィンガ・ガード
警告:
ガードより手 前(ケーブル側 )を持 ってください。
感電を防ぐ ため、プローブの先端を電圧源に接続したまま、プローブの
金 属部分に触れないでください。
プローブを接続する順序 としては、まずプローブをオシロスコープに接
続し、次に、プローブのグランド・リードを被測定回路のグランド・ポ
イントに接続します。
感電を防ぐ ため、プローブを使用して測定する場合、フィ ンガ・
6
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 25
プローブ・チェック・ウィザード
プローブ・チェ ック・ウィザ ードを使用すると、プローブが正 しく動作
しているかどうかをすば やく確認 できます。この機能によって、プロー
ブの補正(通常 はプローブ本体やプローブ・コネクタをドライバで調整
します) や、(CH 1 MENUなどの)垂直軸 チャ ンネルの プローブ減衰率
の設定もできます。
入力チャ ンネルにプローブを接続するたびにチェ ックすることをお勧め
します。
プローブ・チェ ック・ウィザ ードを使用するには、前面 パネルのプロー
ブチェック (PROBE CHECK ) ボ タンを押 します。プローブが 正 しく接
続され、適切 に補正 され、さらにオシロスコープの垂直軸メ ニュー・ス
クリーンの プローブ で、接続してあるプローブに対応する減衰率 が選
はじめに
択 されている場合は、スクリーンの下部にプローブ・チェックにパスし
たことを示すメ ッセージが表示されます。パスしなか った場合は、問題
解決 のためのガイドラインがスクリーンに表示されます。
プローブ・チェ ックは、1
注:
います。外部トリガ(EXT TRIG) では動作しません。
前面 パネル 外部トリガ BNC コネクタに接続したプローブを補正 する
には、以下の手順 に従 います。
1.
プローブを(CH1 などの)任 意のチャ ンネルに接続します。
2.
前面 パネルのプローブチェック (PROBECHECK )ボ タンを押 して、
スクリーンに表示される指示に従 います。
3.
プローブが正 しく動作すること、および適切 に補正されていること
を確認後、外部トリガBNC コネクタに接続します。
×、10 ×、100 ×
のプローブに対応して
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
7
Page 26
はじめに
手動によるプローブ補正
プローブ・チェ ックのもう1 つの方法は、手 動による調整です。
プローブ補正
(PROBE COMP )
端子
CH 1
プローブ補正過大
プローブ補正不足
オートセット
(
AUTOSET
ボタン
)
垂直軸チャンネル・メニューのプローブ減衰率
1.
切り替えで10 × を選択します。P2200 型プロー
ブのスイッチを 10 × に設定し、プローブを
CH1 コネクタの突起に合わせて差し込み、時
計方向にロックされるまで回します。
プローブ・チップ(プローブ先端のフック)を
2.
プローブ補正(PROBE COMP) 端子の~5 V コ
ネクタに、グランド・リード(ワニ口クリップ
付)をアース端子に接続し、オートセット
(AUTOSET) ボタンを押します。
表示される波形を確認します。
3.
適切なプローブ補正
8
表示される方形波の水平部がフラットになるよ
4.
うに、マイナス・ドライバで調整します。
必要に応じて、他のチャンネルも繰り返します。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 27
プローブの減衰率の設定方法
使用するプローブの 減衰率によって、オシロスコープに表示される 垂直
軸のスケールは 異なったものになります。プローブ・チェック機能によっ
て、オシロスコープ垂直軸 チャンネル・メニューのプローブ減衰率 設定
が、使用するプローブの減衰率 に合致しているかどうかを確認できます。
ここでは、オシロスコープの設定を、使用するプローブの減衰率に合わ
せる手順を説明します。変更するチャンネルの メニュー(MENU )ボタ
ンを押 し、表示されるメ ニューでプローブ を押 すたびに、減衰率が切り
替わります。使用するプローブの減衰率に設定します。
工場出荷時は、 10 X に設定されています。
注:
はじめに
P2200 型 電圧プローブで設定されている減衰率 と、オシロスコープの メ
ニューの減衰率 が同じ値になっていることを確認 してください。P2200 型
電圧プローブの減衰率 は、1×と 10×で切り替 えられます。
減衰率設定スイッチ
減衰比が1X に設定されている場合、P2200型 プローブはオシロス
注:
コープの周波 数帯域を 6 MHz に 制限します。オシロスコープの周波 数
帯域を 最大まで 利用したいときは、スイッチを 10 X にしてください。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
9
Page 28
はじめに
自己校正について
測定 時と前回の 自己校正実行時の周 囲温度差が 5 ℃ 以上ある場合、セル
フテストで異常が発生したり、測定 誤差が 大きくなったりします。高確
度測定のためには、測定の前に自己校正の 実行をおすすめします。
自己校正の 手順を次に示します。オシロスコープの入力コネクタからプ
ローブを外します。ユーティリティ(UTILITY)ボタンを押して、表示
されるサイド・メ ニューから 自己校正 を選択 し、スクリーンの指示に
従 います。
10
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 29
オシロスコープの基本的機能
この章 では、オシロスコープを操作する前に理解 しておくべ き事項を説
明します。各機能について次の順 に説明します。
H オシロスコープの設定
H トリガ
H 波形取り込み
H 波形のスケール、位置
H 波形測定
オシロスコープの主要 回路と、各回路の関係 を表したブロック・ダイア
グラム を次に示します。
各入力
チャンネル
外部トリガ
AC 電源
垂直軸
ゲイン
位置
トリガ
波形取込
モード
時間軸
波形レコード
2500
ポイント
表示
コンピュー
タ・インタ
フェース
TDS2CMA 型
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
11
Page 30
オシロスコープの基本的機能
オシロスコープの設定
オシロスコープを使用するにあたって、次の 3 つの機能を理解しておく
必要 があります。
オートセット(AUTOSET )
前面パネルの オートセット (AUTOSET )ボ タンを押すと機能します。
オシロスコープは、入力された信号から 、最適 な垂直軸 / 水平軸 スケー
ル、トリガ設定を自動的に調節 します。オートセットを実行すると、信
号のタイプによって、数種類 の自動測定がスクリーン上に表示されます。
設定の保存
設定の保存 方法には 2 種類 あります。ひとつは、オシロスコープの電源
がオフ になるときに自 動的に保存 されます。この場合の設定は、電源が
オフ になる直前の設定が保存 され、次の電源投入時に、自動的に呼び出
されます。設定を変更した場合、5 秒以上の間隔 をおいてから 電源を切っ
てください。
もうひ とつは、保存/呼出メ ニューを使用してオシロスコープのメモ リに
保存 する方法で、10 種類 までの設定を保存 できます。
設定の呼出
オシロスコープは、2 つの設定を呼び出すことができます。すなわち、
電源を切 る前に最後 に保存した設定、または工場出荷時 の設定(デフォ
ルト設定)を呼び出せます。工場出荷時設定については175 ページを参
照してください。
12
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 31
トリガ
オシロスコープの基本的機能
工場出荷時設定
オシロスコープは、工場出荷時 には通常 の測定を前提 に設定されていま
す。測定中に設定がわから なくなったり、最初から 測定をやり直す場合
などに、前面 パネルの工場出荷時設定 (DEFAULT SETUP ) ボ タンを押
すと、いつでも工 場出荷時 の設定を呼 び出せます。
オシロスコープにおけるトリガは、波形を取り込んで表示するきっかけ
をつくります。トリガを適切に設定することで、不安定に重 なり合った
波形や、表示されていない状態から 、安定した波形を表示できます。
トリガされた
波形表示
トリガについては、36 ページの「トリガ部」と99 ページの「トリガ」も
参照してください。
トリガされていない
波形表示
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
13
Page 32
オシロスコープの基本的機能
RUN/STOP または 単発信号( SINGLE SEQ ) ボタンを押 すと、波形取込
が開始され、オシロスコープは以下のステップを実行します。
1.
波形レコードを構成するのに十分なデータをトリガ・ ポイントの左
側に取り込みます。
2.
トリガ条件 が発生するのを待っている間、波形の取り込みを続けま
す。
3.
トリガ条件 を検 出します。
4.
波形レコードが満 たされるまで取り込みを続けます。
5.
取り込んだ波形を表示します。
エ ッジ・トリガとパルス幅 トリガでは、オシロスコープはトリガ周
注:
波数 を決 定するためにトリガ・イベ ントが発生するレートをカウ ント
し、スクリーン右 下にトリガ周波数 を表示します。
トリガ・ソース
オシロスコープがトリガを発生させるのに使用するソ ース(トリガ・ソー
ス)として、入力チャンネル、外部トリガ、またはAC 電源ライン(エッ
ジ・トリガ選択時 のみ使用可 能)のいずれかを選択 できます。
14
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 33
オシロスコープの基本的機能
トリガの種類
本オシロスコープでは、エ ッジ、ビデオ、およびパルス幅の3種類のト
リガが用意されています。
トリガ・モード
トリガ条件 を検出しないときのオシロスコープの動作については、トリ
ガ・モ ードで選択します。オートまたはノ ーマルのモードが選択 できま
す。
単 発信号の取り込みを 実 行するには、前面 パネルの 単発信号(SINGLE
SEQ) ボタンを 押します。
結合(カップリング)
トリガ結 合(カップリング)によって、トリガ回路を通過する信号成分
を選択できます。不要な成分を除去することによって、安定した波形を
表示できます。
トリガ結合を使用するには、前面 パネルの TRIG MENU ボタンを押 して、
エッジ または パルス のトリガ・タイプを選択し、 結合 オプションを 選
択します。
トリガ 結合は、トリガ・シス テムを通過する信号にのみ 影響しま
注:
す。スクリーン上に表示される信号の帯域 または結 合には影響 しませ
ん。
前面 パネルの トリガ波形表示 (TRIG VIEW ) ボ タンを押 している間は、
トリガ回路を通過している信号を表示できます。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
15
Page 34
オシロスコープの基本的機能
位置(ポジション)
前面パネルの 水平軸位置 (HORIZONTAL POSITION)ノブを回すと、
トリガ・ポ イントとスクリーン中央(左右中央点 )との間の時 間が設定
されます。水平軸 スケール、位置、プリトリガの設定方法については、
19 ページを参照してください。
スロープとレベル
スロープとレベ ルによって、トリガの発生をコントロールします。スロー
プ(エ ッジ・トリガの場合のみ)では、信号の立 ち上がりエ ッジでトリ
ガするのか 、または立 ち下がりエ ッジでトリガするのか を設定します。
トリガ・レベ ルでは、エ ッジ上のどの電圧レベルでトリガするのかを設
定します。
トリガ・レベルは、
垂直方向の電圧で
設定します。
立ち上りエッジ 立ち下りエッジ
トリガ・スロープは、
立ち上りまたは立ち下り
から選択します。
16
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 35
波形取り込み
取り込んだ波形データは、アナログ信号から デジタル信号に変換されま
す。変換 において、3 種類 の取り込み方法が選択 できます。また、デー
タの取り込み速度 は、時間軸 スケールの設定で変更できます。
取り込みモード
3 種類ある波形取り込み モードを次に説明します。
サンプル
サンプル・モ ードでは、一定間隔 で信号をサンプリングし、波形を生成
します。一般的な波形取り込みモ ードです。
しか し、サンプル・ポ イント間で発生する、急激 な信号の変化 を取りこ
ぼす可能性 があります。これは、エ イリアシング(20 ページを参照)
オシロスコープの基本的機能
として表示されることがあります。このような場合には、次に説明する、
ピ ーク検 出モ ードを使用する必要 があります。
ピーク (ピーク 検出)
ピーク 検出モードでは、サンプル間隔内における最大値と最小値を記録
し、この間を塗 りつぶして表示します。サンプル・モードでは見落 とし
てしまう、グリッチも表示できます。ただし、最大値 と最小値間を塗り
つぶ して表示しますので、ノ イズのように見える場合があります。
平均
平均モードでは、信号を 複数回取り込み、各サンプル・ポイントの平均
値を 計算して表示します。信号に含まれるノイズ成分を抑えて表示でき
ます。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
17
Page 36
オシロスコープの基本的機能
時間軸
デジタル・オシロスコープでは、連続していない時間ポ イントにおける
入力信号の電圧値を読み取り、波形を生成します。時間軸の設定は、こ
の時 間ポイントの間隔を決 定します。
時 間軸 の設定は、前面 パネルの 水平軸 ( HORIZONTAL)SEC/DIV ノ
ブを回して設定します。
波形のスケールと位置
スクリーンに表示された波形は、スケールと位置を変更できます。波形
のスケールを変更すると波形の大 きさが、また位置を変更すると上下左
右 に移 動できます。
波形目盛 の左 端にはチャ ンネル・インジケータが表示され、各波形のグ
ランド・レベ ルを指し示します。
表示エ リアとリードアウトについては、28 ページを参照してください。
垂直軸スケールと位置
複数 の波形を同時 に表示させた場合、垂直 方 向に波形を移 動することで、
波形の比較 が容易 になります。
垂直 方向のスケールを変更すると、波形のグランド・ポイントを基準に
して、波形は拡大 、縮小 されます。
詳細は、34 ページの「垂直軸 部」と112 ページの「垂直軸 」を参照して
ください。
18
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 37
オシロスコープの基本的機能
水平軸スケールと位置(プリトリガ)
水平軸 位置を調整することで、トリガ・ポ イントを基 準 にして、 観測し
たいポ イントまで波形を移 動できます。実際 には、トリガ・ポ イントと
ディ スプレイの左右 中央点の間の時間を設定します。
たとえば、グリッチの原因を突き止めたい場合、まず、グリッチにトリガ
し、水平軸位置を調整してプリトリガ(トリガ以前の波形データ)を十分
にとります。これにより、グリッチ以前の波形データが解析 できます。
水平軸 スケールは、前面 パネルの SEC/DIV ノ ブを回して設定します。
たとえば、立上りエッジのオーバーシュートを測定するために、ある波
形の1周期 だけを観 測したい場合、SEC/DIVノブを回して水平軸 スケー
ルを変更します。
水平軸スケールの設定は、s/div を単位としてディスプレイ下のリードア
ウトに表示されます。 水平軸スケールは、取り込んでいるす べての波形に
共通に 適用されます。ただし、ウィンドウ波形は異なった時間軸スケール
で表示されます。ウィ ンドウ 波形については、92 ページを参照してくださ
い。
詳細は、35 ページの「水平軸 部」と90 ページの「水平軸 」を参照してくだ
さい。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
19
Page 38
オシロスコープの基本的機能
時間領域のエイリアシング
オシロスコープが、正確 な波形レコードを構成するのに必要な速度でサ
ンプルしていないときに、エイリアシングという現 象が発生します。エ
イリアシングが発生すると、オシロスコープは実際 の入力波形よりも低
い周波数 の波形を表示したり、トリガが不 安定になったり、安定した波
形を表示できなくなります。
実際の信号波形
エイリアシング
による波形
サンプル・ポイント
オシロスコープが信号を正確 に表現 する能力は、プローブの周波数帯域 、
オシロスコープの周波数帯域 、およびサンプリング・レートの影響を受
けます。エ イリアシングを防止 するには、入力信号に含 まれる最高周波
数 成分の2 倍 以上のレートでサンプリングする必要 があります。
オシロスコープのサンプリング・レートが理論 上表現できる最 高周波数
をナ イキスト周波数と呼びます。波形を再現 するのに必要なサンプル・
レートは、しばしばナイキ スト・レートとも呼ばれ、ナイキスト周波数
の2倍 です。
20
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 39
オシロスコープの基本的機能
周波数帯域 が60MHz と100MHz のオシロスコープは、最大 サンプル・
レートが 1GS/s となります。周波数帯域 が 200 MHz の機種 は、最大 サ
ンプル・レートが2GS/sとなります。どちら の場合も、最大 サンプル・
レートは周波数帯域 の10 倍以上です。これら の高サンプル・レートによっ
てエ イリアシングの発生が抑 えられます。
エ イリアシングの発生を確か めるには、次のような方法があります。
H SEC/DIVノブを回して水平軸スケールを変更します。波形の形状が
大きく変わる場合 エイリアシングの発生が 疑われます。
H 波形取り込みモードでピーク 検 出モ ードを選択します(17 ページ参
照)。このモ ードでは、サンプル・ポ イント間の最大値 と最小値 を
表示しますので、取りこぼしていた信号が観測できます。波形の形
状が大 きく変わる場合エ イリアシングの発生が疑 われます。
H トリガ周波数が表示されている値 よりも高速 の場合、エ イリアシン
グが発生しているか、または波形がトリガ・レベ ルと複数 回交差し
ている可能性があります。波形の形状が、選択 したトリガ・レベル
において、1 サイクルについて1 トリガになっているか どうかを確認
します。複数 のトリガが発生しているような場合は、1 サイクルにつ
いて1 トリガになるようにトリガ・レベ ルを変更します。それにもか
か わら ず、トリガ周波数 が実際 に表示される値 よりも高速 の場合
は、エ イリアシングの発生が疑 われます。
トリガ周波数が遅 い場合は、この測定は意味 を持ちません。
H 観測している信号がトリガ・ソースでもある場合、 目盛またはカー
ソルを使って表示波形の周波数を推定します。次に、この値 とトリ
ガ周波 数リードア ウトを 比較します。 値が 大 きく 違 っている場合、
エイリアスの発生が 疑われます。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
21
Page 40
オシロスコープの基本的機能
次の表は、水平軸 スケールに対 するサンプル・レートと、エ イリアシン
グを発生させないで測定できる最高周波数 を示します。もっとも高速の
SEC/DIV 設定では、オシロスコープの入力アンプの帯域制限 により、
エイリアシングが発生しないようになっています。
サンプル・モードでエイリアシングを防ぐ設定
水平軸スケール
(SEC/DIV)
25 ~ 250.0 ns
サンプル・
レート
1 GS/s
または
最高周波数
200.0 MHz**
2 GS/s*
500.0 ns 500.0 MS/s 200.0 MHz**
1.0 s
2.5 s
5.0 s
10.0 s
25.0 s
50.0 s
100.0 s
250.0 s
500.0 s
* 機種 に依存
250.0 MS/s 125.0 MHz**
100.0 MS/s 50.0 MHz**
50.0 MS/s 25.0 MHz**
25.0 MS/s 12.5 MHz**
10.0 MS/s 5.0 MHz
5.0 MS/s 2.5 MHz
2.5 MS/s 1.25 MHz
1.0 MS/s 500.0 kHz
500.0 kS/s 250.0 kHz
22
** 減衰比が 1 × のプローブ では、周波 数帯域 が
6 MHz に低 下
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 41
オシロスコープの基本的機能
サンプル・モードでエイリアシングを防ぐ設定(続き)
水平軸スケール
(SEC/DIV)
サンプル・
レート
最高周波数
1.0 ms 250.0 kS/s 125.0 kHz
2.5 ms 100.0 kS/s 50.0 kHz
5.0 ms 50.0 kS/s 25.0 kHz
10.0 ms 25.0 kS/s 12.5 kHz
25.0 ms 10.0 kS/s 5.0 kHz
50.0 ms 5.0 kS/s 2.5 kHz
100.0 ms 2.5 kS/s 1.25 kHz
250.0 ms 1.0 kS/s 500.0 Hz
500.0 ms 500.0 S/s 250.0 Hz
1.0 s 250.0 S/s 125.0 Hz
2.5 s 100.0 S/s 50.0 Hz
5.0 s 50.0 S/s 25.0 Hz
10.0 s 25.0 S/s 12.5 Hz
25.0 s 10.0 S/s 5.0 Hz
50.0 s 5.0 S/s 2.5 Hz
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
23
Page 42
オシロスコープの基本的機能
波形測定
オシロスコープは、時間に対する電圧値 の変化 をグラフ として表示しま
すので、表示される波形から 特性値 を測定できます。
測定方法としては、目盛 による測定、カーソ ルによる測定および自動測
定があります。
目盛
波形 目盛を使用すると、 視覚的に 値を推測できます。たとえ ば、波形の
振幅値は、100 mV より 少し 小さい、などと読 むことができます。
波形 目盛で測定する場合は、 大きな目盛と 小さな 目盛で 値を読み取り、
垂直軸または 水平軸スケールを かけ 算します。
例として、波形の 最大値と最小値の差が、 大きな 目盛で 5 目盛読み取れ、
このときの垂直軸 スケールが 100 mV/div だったならば、この波形のピー
ク・ピ ーク電圧は、次のように計算 できます。
5 div × 100 mV/div = 500 mV
カーソル
カーソル
24
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 43
オシロスコープの基本的機能
カーソル
カーソ ルによる波形測定では、 1 対のカーソルを波形に沿 って移 動させ
ることで、表示されるリードアウ トを読み取ります。カーソ ルには、電
圧測定用の電圧カーソ ルと、時 間測定用の時 間カーソルがあります。
カーソ ル使用時は、測定したい表示波形のチャンネルをよく確認 してく
ださい。
カーソ ルを使用するには、前面パネルのカーソル (CURSOR )ボタンを
押 します。
電圧カーソル
電圧カーソ ルは、水平 バー・カーソ ルとして表示され、垂直 方向 の電圧
パラメ ータを測定します。
時間カーソル
時間カー ソルは、垂直バー・カーソルとして表示され、水平方向のパラ
メータを測定します。
自動測定
前面 パネルの波形測定 (MEASURE )ボ タンを押 すと、最大5 つの自動
測定が行えます。自動測定では、すべ ての計算 を自動的に実 行します。
計算 には、取り込んだ波形データが使用されますので、目盛 による読み
取りの間違 いもなく、またカーソ ル測定よりも正確 に測定できます。
測定結果 はリードアウ トに表示され、波形を取り込む ごとに自動的に更
新 されます。
詳細は、94 ページの「波形測定」を参照してください。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
25
Page 44
オシロスコープの基本的機能
26
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 45
各部の名称と機能
前面 パネルの操作ボ タンは、各機能(水平軸 、垂直軸、トリガなど)ご
とにレイアウ トされています。この章 では、各部の名称と機能について
簡単 に説明します。
2 チャンネル・モデル
4 チャンネル・モデル
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
27
Page 46
各部の名称と機能
表示エリア
ディ スプレイには、波形の他に波形のスケールや設定内容も表示されま
す。ここでは、ディスプレイに表示されるリードアウ ト(波形や設定に
関 する情報 )について説明します。
注:
FFT演算の表示については、 119ページを参照してください。
6
15
1
CH1 500mVB
Default setup recalled
W
24 3
Trig'd
M Pos:-11.30ms
5
750mV CH1 W 100ms M 500ms CH2 200mV
1.00000kHz
16
28
7
1.
波形取込モ ードをアイコンで表します。
8
サンプル・ モード
ピーク( 検出) モード
平均モード
9
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
10
14
13 12 11
Page 47
トリガの状態が表示されます。
2.
各部の名称と機能
Armed.
この状態では、すべ てのトリガは無視 されます。
R
Ready.
T
Tri
を取り込んでいます。
Stop.
Acq.Complete.
R
Auto.
シロスコープ内部でトリガを発生し、波形を取り込んでいます。
Scan.
キャン・ モードについては、78 ページを参照してください。
3.
水平 方向 のトリガ・ ポ ジションを示します。トリガ・ ポ ジション
は、前面 パネルの 水平軸位置 (HORIZONTAL POSITION)ノブで
設定できます。
プリトリガ(トリガ以前のデータ)を取り込んでいます。
プリトリガの取り込みを終了し、トリガを待 っています。
’d.
トリガを受け付け、ポ ストトリガ(トリガ以後のデータ)
波形取り込みは停止 しています。
単 発信号の取込を終 了しています。
オート・トリガ・モ ードです。トリガがない場合でも、オ
スキャン・モードで連続的に波形を取り込んでいます。ス
4.
ディ スプレイ中央からトリガ・ポ ジションまでの時 間を示します。
ディ スプレイ中央 が 0 になります。
5.
エッジまたはパルス 幅のトリガ・レ ベルを示します。
6.
表示されているチャ ンネルのグランド・レベ ルを示します。マーカ
が表示されていないときは、波形は表示されていません。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
29
Page 48
各部の名称と機能
7.
矢印のアイコンは、波形が 反転していることを示します。
8. 入力チャ ンネルの垂直軸 スケール(VOLTS/DIV)が表示されます。
9.
アイコンは、そのチャ ンネルに帯域制限 が適 用されていること
B
W
を示します。
10. メイン波形の 時間 軸設定を示します。
11.
ウィンド ウ波形( 拡大波形)の 時間 軸設定を示します。
12.
トリガ・ソ ースを示します。
13.
トリガの種類 をアイコンで表示します。
- エッジ・トリガ( 立ち上がり エッジ)でトリガします。
- エッジ・トリガ( 立ち下がり エッジ)でトリガします。
- ビデオ・トリガ(ライン同期 )でトリガします。
- ビデオ・トリガ(フィ ールド同期 )でトリガします。
- パルス 幅トリガ(プラス極性 )でトリガします。
- パルス 幅トリガ(マイ ナス 極性)でトリガします。
30
14.
エッジまたはパルス 幅トリガのレ ベルを電圧 値で示します。
15.
ここには、測定ヒントなどの メッセージが表示されます。一部の
メッセージは 3 秒間だけ表示されます。
保存されている波形を 呼び出すと、
ドア ウトはリ ファレンス波形に 関する 情報を表示します。
16.
トリガ周波数 を示します。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
RefA1.00V 500µ s
のようにリー
Page 49
各部の名称と機能
メッセージ・エリア
オシロスコープ・スクリーンの下部にメ ッセージ・エ リアがあります。
前図の15 の位置に、以下のようなヒント・メ ッセージが表示されます。
H 他のメニューへのアクセス方法。例 えば 、TRIG MENU ボ タンを 押
すと、次のコメ ントが表示されます。
ホールドオフは水平軸メニューで設定してください。
H 次に必要とされる操作方法。例 えば 、波形測定 (MEASURE )ボ タン
を押 すと、次のコメ ントが表示されます。
スクリーン・ボタンを押して項目を変更してください。
H オシロスコープが 実行した動作を示す情報 。 例えば 、 工場出荷時設
定 (DEFAULT SETUP) ボタンを 押すと、次のコ メントが表示され
ます。
工場出荷時設定が呼び出されました。
H 表示されている波形に 関する 情報 。 例 え ば 、オートセット(AUTO-
SET)ボタンを 押すと、次のようなコ メントが表示されます。
CH1で方形波またはパルスが検出されました。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
31
Page 50
各部の名称と機能
メニューの操作方法
TDS1000/TDS2000 シリーズでは、メ ニュー方式の操作を 採用していま
す。
前面 パネルのメ ニュー・ボ タンを押 すと、スクリーンの右 部分に、対応
するメ ニューが表示されます。各メ ニューは、スクリーンの右側 にある
ラベル表示のないボ タンを押したときに使用できる選択肢 (オプション)
を示します。なお、本オシロスコープに関 連する一部のドキュメントで
は、このオプション・ボタンをスクリーン・ボ タン、サイドメ ニュー・
ボ タン、ベ ーゼ ル・ ボ タン、 ソフ ト・ キ ーなどと表示することがありま
す。
メ ニュー・オプションを表示するには、4つの方法があります。
H ページ(サブメニュー ) 切替オプション : いくつかのメニューでは、
一番 上のオプション・ボタンを選択 することによって、2 つまたは
3 つのサブ メニューを 切 り替えることができます。一 番上の ボタンを
押すたびに選択肢が 切り 替わります。たとえ ば、保存 /呼出 (SAVE/
RECALL) メニュー で一番 上のボ タンを押 すと、設定 と 波形 のサ
ブメ ニューが切 り替わります。
H 回転オプション : オプション・ ボタンを 押すたびに、パラ メータを
異なる 値に設定します。たとえ ば、CH 1 MENU ボタンを 押して、
次に一 番 上のオプション・ ボ タンを 押 すと、 結 合方法が DC → AC
→ GND → DC → ・・・と 切り 替わります。
32
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 51
各部の名称と機能
H 動作オプション: オプション・ボタンを押 すと、オシロスコープは
ただちにそれに対応する動作を行います。たとえば、表示(DIS-
PLAY) ボタンを 押 してから、次に コントラスト増加 オプション・
ボタンを 押すと、ただちにコントラストが増加します。
H 選択メニュー : それぞれのオプションに異 なるボ タンが割 り当てら
れます。現在選択 しているオプションはハイライト表示されます。
たとえば、 波形取込(ACQUIRE) ボ タンを押 すと、オシロスコープ
はさまざ まな波形取込モ ードを表示します。どれかのモ ードを選択
するには、対応するボ タンを押 します。
ページ切り替え
または
動作 選択 回転
または
または
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
33
Page 52
各部の名称と機能
垂直軸部
位置 位置
カーソル 1
垂直軸
演算
全機種
CH 1 / CH 2 / CH 3 / CH 4 、
カーソル 2
位置 カーソル1/位置 カーソル2ノブ
34
入力チャ ンネル波形を垂直 方向に移動します。カーソルLEDが点灯して
カーソ ル・メニューが表示されている場合は、カーソルが移 動します。
CH 1 / CH 2 / CH 3 / CH 4
メニュー(
MENU
) ボタン
各チャ ンネルの入力メニューを表示します。また、各チャンネルの表示
をオン/オフ します。
VOLTS/DIV (CH 1 / CH 2 / CH 3 / CH 4)
ノブ
垂直軸スケールを変更します。
演算(MATH MENU )ボタン
波形演算メ ニューを表示します。また、演算 波形の表示をオン/オフします。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 53
水平軸部
各部の名称と機能
水平軸
位置
ヘルプ
スクロール
標準位置
2 チャンネル・モデル
水平軸
標準位置
位置
ヘルプスクロール
4 チャンネル・モデル
位置ノブ
すべ ての表示波形の水平 方向 のポジションを調整します。ノブを回した
ときの移動量は、時間軸スケールによって異 なります。波形の拡大 表示
については、92 ページを参照してください。
移 動量を大 きくするには、水平軸 スケールを 遅 い設定にしてから移
注:
動し、もう一 度元の 水平軸スケールに 戻してください。
ヘルプ・ト ピックを表示している場合は、水平軸位置ノブを使用してリ
ンクまたは 索引をスクロールできます。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
35
Page 54
各部の名称と機能
水平軸メニュー(HORIZ MENU ) ボタン
水平軸メニューを表示します。
標準位置(SET TO ZERO ) ボタン
水平軸位置をす ばやく標 準位置( ゼロ)に設定します。
SEC/DIV ノブ
メイン 時間 軸の 水平軸(時間)スケール(SEC/DIV )を設定します。
ウィンド ウ波形が表示されている場合は、ウィンドウの 時間スケールを
設定します。ウィ ンドウの設定方法については、92 ページを参照してく
ださい。
トリガ部
レベル
トリガ設定
50% 振幅
強制トリガ
トリガ波形表示
プローブチェック
プローブ補正
トリガ トリガ
トリガ波形表示
強制トリガ
4 チャンネル・モデル
50% 振幅
レベル
トリガ設定
2 チャンネル・モデル
レベル / トリガ設定(LEVEL/USER SELECT )ノブ レベ ル・ノブ
36
は、トリガ・レベ ル設定では、波形を取り込む きっかけをつくるトリガ
の電圧を設定します。またこのノブには、下表に示されるように別の機
能が割 り当てられています。代替 機能としてノブが使用されている場合
は、トリガ設定LED が点灯 します。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 55
各部の名称と機能
トリガ設定 説明
ホールドオフ 次のトリガを受け付けるまでの時間を設定します。
ホールドオフについては、109 ページを参照してくだ
さい。トリガ・レベルとホールドオフの機能を切り替
えるには、水平軸メニューのトリガノブ オプション・
ボタンを使用します。
ビデオ・ライン
番号
パルス幅 トリガ・タイプがパルス に設定され、サイドメニュー
トリガ・タイプがビデオ に、同期オプションがライン
に設定されているときにトリガするライン番号を設定
します。
でパルス幅が選択されているときにトリガするパルス
幅を設定します。
トリガ・メニュー( TRIG MENU )ボタン トリガ・メ ニューが表示
されます。
50% 振幅(SET TO 50% )ボタン トリガ・レ ベルを、入力信号の
50 % 振幅レベ ルに設定します。
強制トリガ( FORCE TRIG )ボタン トリガの有無に関係 なく、 強制
的に波形を取り込みます。波形取り込みが停止 している場合は機能しま
せん。
トリガ波形表示( TRIG VIEW )ボタン このボ タンを 押 している間
は、トリガ信号が表示されます。トリガ結 合(カップリング)を変更し
た場合に、どうような効果が 得られるか確認 できます。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
37
Page 56
各部の名称と機能
その他の機能
メニュー
プリント
全機種
保存 / 呼出
ユーティリティ
波形測定
カーソル
波形取込
表示
ヘルプ
工場出荷時設定
オートセット
単発信号
保存/ 呼出ボタン 設定と波形の保存/ 呼出メニューが表示されます。
波形測定ボタン 波形の自 動測定メ ニューが表示されます。
波形取込ボタン 波形取込メ ニューが表示されます。
表示ボタン 表示メ ニューが表示されます。
カーソル・ボタン カーソル・メ ニューが表示されます。カーソルおよ
びカーソ ル・メニューが表示されている間は、カーソルは垂直軸位置ノ
ブで移 動できます。カーソ ルが表示されていても、カーソル・メ ニュー
が消 えている場合、カーソ ルは移 動できません(カーソ ル・メニューの
項目 でオフ を選択するとカーソ ルは表示されません)。
38
ユーティリティ・ボタン ユーティ リティ ・メ ニューが表示されます。
ヘルプ・ボタン ヘ ルプ・メ ニューが表示されます。
工場出荷時設定(DEFAULT SETUP)ボタン 工 場出荷時 の設定が呼び
出されます。
オートセット・ボタン 最適な波形表示になるよう、オシロスコープを
自動的に最適な設定にします。
単発信号 (SINGLE SEQ) ボタン 単一の波形を取り込み停止します。
RUN/STOP ボタン 連続して波形を取り込むか、または取り込みを 停
止します。
プリント・ボタン プリント動作を開始 します。オプショ ナル・アクセ
サリのセントロニクス/ RS-232 / GPIB 拡張モ ジュールを装備 する必要
があります。169 ページを参照してください。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 57
コネクタ
各部の名称と機能
外部トリガ
プローブ補正
2 チャンネル・モデル
プローブ補正
4 チャンネル・モデル
プローブ補正端子
プローブ補正 用の信号出力端子とグランド端子です。使用する電圧プ
ローブとオシロスコープの入力回路の補正 に使用します。手順 について
は、8 ページを参照してください。プローブ補正 端子のグランド端子お
外部トリガ
よび BNC コネクタのシールド部(外側 のリング部)は、大 地グランド
に接続されます。
注意:
電圧源をグランド端子に接続すると、オシロスコープや被測定回
路が損傷を受けることがありますので、電圧源をグランド端子に接続し
ないでください。
CH 1 / CH 2 / CH 3 / CH 4
コネクタ
信号入力コネクタです。
外部トリガ入力コネクタ
外部トリガ信号用の入力コネクタです。このコネクタに入力した信号を
トリガとして使用する場合、トリガ・ソ ース(Ext またはExt/5) はトリ
ガ・メ ニューで選択 します。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
39
Page 58
各部の名称と機能
40
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 59
測定例
この章 では、いくつか の測定例を 紹介 します。ごく簡単 な測定例 ですの
で、これを参考 にし、測定上の問題解決 に応用してください。
H 基本的な測定例
H カーソルによる測定例
H 詳細な波形解析例
オートセットを使用する
波形測定
2 つの信号から ゲインを計算 する
リンギ ングの周波数 / 振幅 を測定する
パルス幅 を測定する
立ち上り 時間を測定する
ノイズを 含んだ信号を 観測する
平均機能により ノイズを分離 する
H 単発波形の測定例
オシロスコープの設定を変えてみる
H 伝搬遅延の測定例
H パルス幅の測定例
H ビデオ信号の測定例
ビデオ・ フィールド / ラインにトリガする
ウィンド ウで波形細部を 観測する
H 波形演算機能を使用した差動通信信号の測定例
H XY モードとパーシスタンスを使用したネットワークのインピーダン
ス観測例
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
41
Page 60
測定例
基本的な測定例
測定する信号の 振幅や周波 数の概略 値 がわからない場合でも、波形を簡
単に表示し、周波 数、周期、P-P ( ピーク・ピーク)電圧を測定できま
す。
CH 1
オートセットを使用する
波形を表示する手順 を次に示します。
1.
前面 パネルの CH1 MENU ボ タンを押 し、サイド・メ ニューに表示
される プローブ のボ タンを繰り返し押して 10× を 選択します。
P2200 型プローブの減衰率 設定スイッチを 10× に 切 り替 えます。
2.
42
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 61
測定例
CH 1 のプローブを信号に接続します。
3.
4. 前面パネルの オートセット (AUTOSET )ボタンを押 します。
未知 の信号に対しても最適な波形表示になるよう、 自動的に 垂直軸、 水
平軸およびトリガが設定されます。表示された波形は、必要に応じてマ
ニュアル(手 動)で設定を変更することもできます。
オシロスコープは、検 出した信号のタイプに対応した自 動測定結果
注:
をスクリーンの波形表示エ リアに表示します。
オートセットについては、79 ページも参照してください。
自動測定の実行
本オシロスコープは、表示されている波形から自動的に波形パラメ ータ
を測定できます。周波数、周期、P-P(ピ ーク・ピ ーク)電圧値 、立上
り時 間、および + パルス幅 の測定手順 を次に示します。
1.
前面 パネルの 波形測定 (MEASURE )ボ タンを押 し、波形測定メ
ニューを表示します。
2.
一番 上のオプション・ボ タンを押すと、Measure 1 メ ニューが現れ
ます。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
43
Page 62
測定例
3.
表示されるサブ メ ニューで 項目 オプション・ ボ タンを 押して、周波
数 を選択します。
測定値 のボ ックスに周波数が表示され、一定の間隔で 値が更新 され
ます。
測定値 ボ ックスにクエスチョン・マーク(?) が表示される場合は、測
注:
定しているチャ ンネルの VOLT/DIV ノブを回して感度を上げる か、ま
たは SEC/DIV 設定を変更します。
4.
戻る ボ タンを押 します。
5.
上から 二番目のオプション・ボタンを押すと、Measure 2 メ ニュー
が現 れます。
6.
表示されるサブ メ ニューで 項目 を 押 して、 周期 を 選択 します。
測定値 のボ ックスに周期が表示され、一定の間隔で 値が更新 されま
す。
7.
戻る ボ タンを押 します。
8.
上から 三番目のオプション・ボタンを押すと、Measure 3 メ ニュー
が現 れます。
9.
表示されるサブ メ ニューで 項目 を 押 して、 P-P 値 を 選択 します。
測定値 のボックスにP-P値が表示され、一定の間隔で値が更 新され
ます。
10.
戻る ボ タンを押 します。
44
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 63
測定例
11.
下から 2番目のオプション・ボタンを押すと、 Measure 4 メ ニュー
が現 れます。
12.
表示されるサブメ ニューで項目 を押 して、立上り時間 を選択 しま
す。
測定値 のボ ックスに 立上り時 間が表示され、一定の間 隔で値が更新
されます。
13.
戻る ボ タンを押 します。
14. 一番 下のオプション・ボ タンを押 すと、Measure 5 メ ニューが現 れ
ます。
15.
表示されるサブメ ニューで項目 を押 して、+ パルス幅 を選択 しま
す。
測定値 のボックスに 正のパルス幅が表示され、一定の間 隔で値が更
新されます。
16.
戻る ボ タンを押 します。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
45
Page 64
測定例
2 つの信号からゲインを計算する
オーディ オ・アンプのゲ イン(利得)を測定する例を考 えます。オシロ
スコープの 2 つのチャ ンネルを、下図のように、アンプの入力と出力に
接続します。表示される 2 つの信号レベルを測定し、この値からゲ イン
を計算します。
CH 1 CH 2
46
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 65
測定例
2 つのチ ャンネルをオンにし、波形を表示する手順 を次に示します。
1.
各チャ ンネルの波形が表示されていない場合は、まず CH1 MENU ボ
タン、次に CH2 MENU ボ タンを押 します。
2.
前 面パネルの オートセット ( AUTOSET) ボタンを押 します。
2 つのチ ャンネルに対して波形測定を行う手順 を次に示します。
1.
前面 パネルの 波形測定 (MEASURE )ボ タンを押 し、波形測定メ
ニューを表示します。
2. 一番 上のオプション・ ボ タンを 押すと、Measure 1 メ ニューが 現れ
ます。
3.
表示されるサブメ ニューで、チャネル を押 して CH1 を 選択 しま
す。
4.
項目 ボ タンを繰り 返し押して P-P値 を選択します。
5.
戻る ボ タンを押 します。
6.
上から 二番目のオプション・ボタンを押すと、Measure 2 メ ニュー
が現 れます。
7.
表示されるサブメニューで、 チャネル ボ タンを押 して CH2 を選択
します。
8.
項目 ボ タンを繰り 返し押して P-P値 を選択します。
9.
戻る ボ タンを押 します。
CH1 と CH2 の P-P 値を読み取ります。
10.
アンプの電圧ゲ インは、次の式から計算 できます。
出力のP −P値
電圧ゲイン
電圧ゲイン (dB) = 20
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
=
入力のP −P値
x log
(電圧ゲイン )
10
47
Page 66
測定例
カーソルによる測定例
カーソ ルを使用すると、電圧および時 間測定が簡単 に行えます。
リンギング周波数を測定する
立上り エッジのリン ギング周波 数測定手順を次に示します。
1.
前面 パネルの カーソル (CURSOR )ボ タンを押 してカーソ ル・メ
ニューを表示します。
2.
一番上の 項目 オプション・ボ タンを押して 時間 を選択 します。
3. チャネル オプション・ボ タンを押 して CH1 を 選択 します。
4.
前 面パネルの カーソル 1 ( CURSOR 1 ) ノブを回し、リンギ ングの
最初のピークにカーソルを合わせます。
5. 前面 パネルの カーソル 2 ( CURSOR 2) ノブを回し、リンギ ングの
2 番目 のピ ークにカーソ ルを合わせます。
カーソ ル・メニューには、カーソ ル間の時 間および周波数 (ここではリ
ンギ ング周波数 )が表示されます。
48
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 67
リンギング振幅を測定する
次に、リンギ ング振幅 の測定手順 を次に示します。
1.
前面 パネルの カーソル (CURSOR )ボ タンを押 してカーソ ル・メ
ニューを表示します。
2.
一番上の 項目 オプション・ボ タンを押して 電圧 を選択 します。
3. チャネル オプション・ボ タンを押 して CH1 を 選択 します。
4.
前 面パネルの カーソル 1 ( CURSOR 1 ) ノブを回し、リンギ ングの
最大値にカー ソルを合わせます。
5.
前 面パネルの カーソル 2 ( CURSOR 2 ) ノブを回し、リンギ ングの
最小値にカー ソルを合わせます。
測定例
カーソ ル・メ ニューには、次に示す値 が表示されます。
H デルタ(リン ギングの ピーク・ ピーク電圧)
H カー ソル 1 (グランドから カー ソル 1 までの電圧)
H カー ソル 2 (グランドから カー ソル 2 までの電圧)
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
49
Page 68
測定例
パルス幅を測定する
ここでは、パルス幅を測定する例を考えます。パルス幅測定には、時間
(垂直)カーソルを使用します。測定手順を次に示します。
1.
前面 パネルの カーソル (CURSOR )ボ タンを押 し、カーソ ル・メ
ニューを表示します。
CH1 と CH2 位置ノ ブの下にある LED が点灯し、垂直軸位置 ノ ブを
回すと、それぞ れカーソル1とカーソル2が移動するようになります。
2.
チャネル オプション・ボ タンを押 して CH1 を 選択 します。
3.
項目 オプション・ボ タンを押して 時間 を選択 します。
4.
前面 パネルの カーソル 1 (CURSOR 1 )ノ ブを回し、パルスの立上
りエ ッジにカーソ ルを合わせます。
5.
前面 パネルの カーソル 2 (CURSOR 2 )ノ ブを回し、パルスの立下
りエ ッジにカーソ ルを合わせます。
カーソ ル・メ ニューには、次に示す値 が表示されます。
H カー ソル 1 (トリガ・ ポイントから カー ソル 1 までの 時間)
H カー ソル 2 (トリガ・ ポイントから カー ソル 2 までの 時間)
H デルタ(パルス 幅)
50
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 69
波形測定メ ニューで、正パルス幅の自動測定が可 能です。94 ページ
注:
を参照してください。
測定例
正 パルス幅 測定は、オートセット・メ ニューで 単一の方形波オプション
を選択したときにも表示されます。82 ページを参照してください。
立上り時間を測定する
パルス 幅測定の次は、パルスの 立上り 時間を測定します。通 常、立上り
時間は、10% 振幅から 90% 振幅までに かかる 時間を意味します。立上
り 時間の測定 手順を次に示します。
1.
前面 パネルの SEC/DIV ノ ブを回し、波形のエ ッジを表示します。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
51
Page 70
測定例
2.
前 面 パネルの VOLTS/DIV ノ ブ、 垂直軸位置 ( VERTICAL POSI-
TION)ノブを回し、波形の振幅 が約 5div(大 きな目盛 で 5 目盛 )
になるようにします。
CH1 メ ニューが表示されていない場合は、前面 パネルの
3.
CH1 MENU ボタンを押 し、CH 1 メ ニューを表示します。
4.
Volts/Div オプション・ ボタンを 押して 微調整 を選択 します。
5.
VOLTS/DIV ノブを回し、波形振幅 がち ょうど 5 目盛 になるよう調整
します。
CH1 の 垂直軸位置 ノ ブを回し、 ベ ースライン( 最小振幅値 )を 目
6.
盛中 央から下へ 2.5 div( 大きな目盛で 2.5 目盛) 移動します。
7.
前面 パネルの カーソル (CURSOR )ボ タンを押 してカーソ ル・メ
ニューを表示します。
8.
項目 オプション・ボ タンを押して 時間 を選択 します。
9.
前 面 パネルの カーソル 1 ( CURSOR 1) ノブを回し、目盛 中 央から
2div下の目盛と、波形が 交差する ポイントまでカー ソルを 移 動し
ます。この ポ イントが、 10% の 振幅ポ イントになります。
52
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 71
10.
11.
5 目盛
測定例
前 面 パネルの カーソル 2 ( CURSOR 2) ノブを回し、目盛 中 央から
2div上の目盛と、波形が 交差する ポイントまでカー ソルを 移 動し
ます。この ポイントが、 90% の 振幅ポイントになります。
立上り 時間は、デルタ の ボックスに表示されます。
波形測定 メニューの 自動測定で、 立上り 時間測定が 可能です。 94
注:
ページを参照してください。
立 上り時 間測定は、オートセット・メ ニューで 立上りエ ッジ・オプショ
ンを選択 したときにも表示されます。82 ページを参照してください。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
53
Page 72
測定例
波形の詳細解析例
ノ イズを多く含 んだ信号の 解析 を 考えてみます。下図 に示すような、 ノ
イズを多く含んだ波形にも、重要 な波形情報 が埋もれている可能性があ
ります。
ノイズを含んだ信号を観測する
ノ イズを含 んだ信号において、ノイズおよびグリッチをはっきりと観測
する手順 を次に示します。
1.
前面 パネルの 波形取込 (ACQUIRE )ボ タンを押 して波形取込メ
ニューを表示します。
2.
ピーク オプション・ボ タンを押 します。
3.
前面パネルの 表示 (DISPLAY )ボタンを押して表示メ ニューを表示
します。次に、メ ニューの コントラスト増加 または コントラスト
低下 のボタンを 押して表示コントラストを調整します。
ピーク 検出機能により、ノイズやグリッチがはっきりと観測できます。
水平(時間)軸のスケールが遅い場合でも、グリッチを確実に検出でき
ます。
54
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 73
測定例
アベレージングによりノイズを分離する
次に、ノ イズの影響 を抑えて信号をはっきりと表示させる手順を次に示
します。
1.
前面 パネルの 波形取込 (ACQUIRE )ボ タンを押 して波形取込メ
ニューを表示します。
2.
メニューから 平均 を選択します。
3.
平均回数 のオプション・ボ タンを 繰り返し押 し、回数 の違 いによる
波形の見 え方を確認 します。
アベ レージングでは、ノ イズによる影響 を抑えることができますので、
ノ イズに埋もれていた信号の詳細を観 測できます。下の 例 では、 ノイズ
に埋 もれていたエ ッジ部がはっきりと観測できます。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
55
Page 74
測定例
単発波形の測定例
機器に使用されている接点 式リレーの接点不良 について考えます。リレー
の接点が開く際 に、アークが発生しているようです。リレーの接点は
1 分間に 1 回しか開 閉しませんので、接点間の電圧は単発波形取り込み
が必要 です。
単 発波形取り込みの手順 を次に示します。
1. 予想 される波形に合わせて、前 面 パネルの VOLTS/DIV および
SEC/DIV ノブを回して垂直軸 と水平軸 のスケールを調整します。
2. 前面 パネルの 波形取込 (ACQUIRE )ボ タンを押 して波形取込メ
ニューを表示します。
3.
メニューから ピーク を選択します。
4.
前面 パネルの トリガ・メニュー (TRIG MENU ) ボ タンを押 して
トリガ・メ ニューを表示します。
5.
スロープ オプション・ボ タンを押 して 立上り を 選択します。
6.
前面パネルの レベル (LEVEL )ノブを回し、トリガ・レベルを、リ
レー接点の開閉の電圧差の半 分の値 に設定します。
7.
前面 パネルの 単発信号 (SINGLE SEQ )ボ タンを押 すと、取り込
みを開始 します。
リレーの接点が開くと、オシロスコープはトリガし、波形を表示します。
56
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 75
測定例
オシロスコープの設定を変えてみる
最初 の取り込みで表示された波形は、リレーの接点が開 くタイ ミ ングで
トリガしています。大きなスパイク波形は、リレー回路のインダクタン
スによるものです。このインダクタンスにより、接点のアークを引き起
こし、接点の劣 化の原因 にもなります。
垂直軸 、水平軸 およびトリガの設定を変え、波形を取り直してみます。
オシロスコープの設定を変えて次の取り込みを実行すると(単発信号ボ
タンを押 すと)、リレーの接点が開くタイミングをより詳細に観測でき
ます。次の例 では、接点が開 く前のチャ タリングが観測されています。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
57
Page 76
測定例
伝搬遅延の測定例
マイクロプロセッサ回路のメモ リ・タイミ ングを例に、CS (チップ・セ
レクト)信号とデータ出力信号間の伝搬遅延 の測定例 を示します。
Data CS
CS
Data
CH 1 CH 2
58
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 77
伝搬遅延 の測定手順 を次に示します。
1.
波形が表示されていない場合は、前面パネルの CH 1 MENU ボタ
ン、CH 2 MENU ボ タンを押 します。
2.
前面 パネルの オートセット (AUTOSET )ボ タンを押 し、オート
セット機能により波形を表示します。
3.
必要 に応じて、垂直軸 、水平軸のスケール、ポジションを微 調整し
ます。
4.
前面 パネルの カーソル (CURSOR )ボ タンを押 してカーソ ル・メ
ニューを表示します。
5.
項目 オプション・ボ タンを押して 時間 を選択 します。
測定例
6.
チャネル オプション・ボ タンを押 して、 CH1 を 選択 します。
7.
前面パネルの カーソル 1(CURSOR 1 )ノ ブを回し、CS (チップ・
セレクト)のエ ッジにカーソ ルを合わせます。
8.
前 面パネルの カーソル 2 ( CURSOR 2 ) ノブを回し、データ出力の
エッジにカー ソルを合わせます。
9.
デルタのボ ックスに、伝搬 遅延時間が表示されます。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
59
Page 78
測定例
パルス幅の測定例
ある回路で信号のパルス幅を測定する例を考えます。エ ッジ・トリガに
よって信号が特定されましたが、パルスに何か問題 がありそうな状況を
想 定します。
パルス幅のアベ レーション測定を設定するには、以下の手順 に従います。
1.
波形が表示されていない場合は、前面パネルの CH 1 MENU ボ タン
を押 します。
2.
前面 パネルの オートセット (AUTOSET )ボ タンを押 し、オート
セット機能により波形を表示します。
3.
表示されるオートセット・ メニューで単一の方形波のオプション・
ボタンを 押すと、スクリーンに信号の 1 サイクル分が表示され、パ
ルス 幅測定を 実行します。
4.
前面 パネルの トリガ・メニュー (TRIG MENU )ボ タンを押してト
リガ・メ ニューを表示します。
5.
項目 オプション・ボ タンを繰り返 し押して、パルス を選択 します。
60
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 79
6.
チャネル オプション・ボ タンを 繰り返 し押して、 CH1 を 選択 しま
す。
7.
トリガレベル (TRIGGER LEVEL) ノ ブを回して、信号のボト ム
近くにトリガ・レ ベルを設定します。
8.
サブ メニューの 条件 オプション・ ボタンを 押して、 = (一致 ) を選
択します。
9.
パルス幅 オプション・ボ タンを 押 し、 トリガ設定( USER SE-
LECT)ノ ブを回してパルス幅を手順 3 で計 測された値 に設定しま
す。
10.
次へ を押 すと 画面が切 り替わります。モード で ノーマル を 選択 し
ます。
測定例
これで、安定した表示が得ら れます。
11.
サブ メ ニューの 条件 オプション・ ボ タンを 押 すと、 ¸、<、または
>を選択できます。指定した 条件に合 致するパルスを 検出すると、
トリガを発生します。
オシロスコープによってトリガとみなされたイベ ントの周波数 のみ
注:
がトリガ周波数 として表示されます。パルス幅 トリガ・モードでは入力
信号の周波数 よりも低 い場合があります。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
61
Page 80
測定例
ビデオ信号の測定例
医療 機器のビデオ回路において、ビデオ出力信号を観測する例を考えま
す。ビデオ出力信号は NTSC 方式であるとして説明します。
75
ターミネーション
CH 1
62
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 81
測定例
通常のビデオ・システム では75Ω のケーブルを使用します。オシロ
注:
スコープの信号入力は、75Ω のケーブル以外では正 しく終 端されませ
ん。不正確 な振幅測定を防ぐために、信号源に接続した75Ω 同軸ケーブ
ルとオシロスコープBNC 入力の間に75Ω フィ ードスルー・ターミ ネー
ション(当社部品番号 011-0055-02 )を使用してください。
ビデオ・フィールドにトリガする
自動測定 ビデオ信号のフィ ールドでトリガする手順 を次に示します。
1.
前 面パネルの オートセット ( AUTOSET ) ボタンを 押します。全
フィールドでトリガするビデオ信号が表示されます。
2.
スクリーンに表示される AUTOSETメ ニューで、 奇数フィールド
(OddsField)、または偶数フィールド (EvenField)のオプション・ボ
タンを押 すと、それぞれ奇数 または偶数フィ ールドのみでトリガし
ます。
手動測定 ビデオ信号の種類 によっては、 手動の測定が適 している場合
があります。手 動による手順 を次に示します。
1.
前面 パネルの トリガ・メニュー (TRIG MENU ) ボ タンを押 して
トリガ・メ ニューを表示します。
2.
一番 上のオプション・ボ タンを押して ビデオ を選択 します。
3.
チャネル オプション・ボ タンを押 して CH1 を 選択 します。
4.
同期 オプション・ボ タンを 押 して、 All Fields 、 Odd Field 、また
は Even Field のいずれか を選択します。
5.
規格 オプション・ボ タンを押 して、NTSC を 選択 します。
6.
前面パネルの SEC/DIV ノ ブを回し、フィ ールド波形がスクリーンに
表示されるよう調整します。
7.
前面 パネルの VOLTS/DIV ノ ブを回し、ビデオ信号全体がスクリー
ンに表示されるよう調整します。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
63
Page 82
測定例
ビデオ・ラインにトリガする
自動測定
フィールド内のビデオ・ラインでトリガする 手順を次に示します。
1.
前面 パネルの オートセット (AUTOSET)ボ タンを押 します。
2. 一番上のオプション・ボタンで ライン を 選択すると、全ラインで 同
期します。AUTOSET メニューには、全ライン(All Lines) とライン
番号(Line Number)の 選択肢があります。
手動測定
ビデオ信号の種類 によっては、手 動の測定が適 している場合がありま
す。手 動による手順 を次に示します。
1.
前面 パネルの トリガ・メニュー (TRIG MENU ) ボ タンを押 して
トリガ・メ ニューを表示します。
2.
一番 上のオプション・ボ タンを押して ビデオ を選択 します。
3.
同期 オプション・ボ タンを 押 して、 AllLines または LineNumber
を選択します。次に、トリガ設定 (USER SELECT )ノ ブを回し
てライン番 号を指定します。
4.
規格 オプション・ボ タンを押 して、NTSC を 選択 します。
5.
SEC/DIV ノブを回し、 1 ライン分の波形が表示できるように調整し
ます。
6.
前面 パネルの VOLTS/DIV ノ ブを回し、ビデオ信号全体がスクリー
ンに表示されるよう調整します。
64
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 83
75
ターミネーション
CH 1
測定例
ビデオ信号
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
65
Page 84
測定例
ウィンドウで波形細部を観測する
ウィ ンドウ 機能を使用すると、メ イン波形の表示を変更することなく、
波形の特定の部分を詳細に観測できます。ここでは、カラー・バースト
信号を詳細に観 測する手順 を示します。
1. 水平軸メニュー(HORIZ MENU ) ボ タンを 押 し、表示される メ
ニュー項目で メイン を選択 します。
2.
範囲指定 オプション・ボ タンを押 します。
3.
SEC/DIV ノブを回して水平軸 スケールを 500 ns に設定します。こ
の設定が拡大 表示の水平軸 設定になります。
4.
水平軸位置 ノ ブを回し、ウィ ンド ウ の位置( 拡大 表示する位置)を
設定します。
66
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 85
5.
拡大 オプション・ボ タンを 押 すと、 ウィ ンド ウの部分が拡大 表示さ
れます。
6.
SEC/DIV ノブ、水平軸位置 ノ ブを回して詳細に観 測する部分を調整
します。
メイン または 拡大 オプション・ボ タンを 切り替 えることで メ イン
波形と拡大 波形が交互 に表示できます。
測定例
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
67
Page 86
測定例
差動通信信号の測定例
シリアル・データ通信リンクに問題 があり、信号品質を確認 する例 を考
えます。ここでは、シリアル・データを取り込み、データ信号のレベル
と遷移時間を確認します。
差動信号ですので、演算 機能を使用して波形を観 測します。
CH 1 CH 2
68
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 87
最初に、使用する2 つのプローブを 補正してください。差動信号で
注:
は、プローブ補正 の差がエ ラーとなって現 れる場合があります。
差動信号の測定手順 を次に示します。
1.
前面 パネルの CH1 MENU ボ タンを押 し、サイド・メ ニューに表示
される プローブ のボ タンを繰り返し押して 10× を 選択します。
2.
前面 パネルの CH2 MENU ボ タンを押 し、サイド・メ ニューに表示
される プローブ のボ タンを押 して 10× を 選択 します。
P2200 型 電圧プローブの減衰率 設定スイッチを 10 ×に設定します。
3.
4.
オートセット(AUTOSET )ボタンを押 します。
測定例
5.
演算(MATHMENU )ボタンを押 して演算メ ニューを表示します。
6.
サイド・ メニューに表示される 演算 の ボタンを 押して、 − (マイ
ナス)を選択します。
7.
CH1 - CH2 オプション・ボタンを 押すと、2 つの信号の差動信号が
観測できます。
8.
演算 波形の垂直軸 方 向 のスケールと位置を調 節するには、次の手順
を実 行します。
チャンネル1 とチャ ンネル2 の波形をスクリーンから削除します。
a.
CH 1 と CH 2 の VOLTS/DIV および垂直軸位置 ノ ブを回して、
b.
垂直軸スケールと位置を調 節します。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
69
Page 88
測定例
波形を安定させるには、単発信号 (SINGLE SEQ) ボ タンを押 して波形
の取り込みをコントロールします。単発信号 ボ タンを押すたびに、オシ
ロスコープは波形データを取り込みます。取り込んでから、波形測定、
カーソ ル測定もでき、また波形の保存 も行えます。
演算 波形に使用するソ ース波形の垂直 感度設定は同 一である必要 があ
注:
ります。感度設定が異 なっていて、カーソ ル測定をしようとすると、レベ
ルとデルタのリードアウ トに U (Unknown) が表示されます。
ネットワークのインピーダンス観測例
広 い温度 範 囲で使用するネットワーク回路を設 計 した場合、温度 変 化に
よる回路インピ ーダンスの変動を確認 する必要 があります。
ここでは、回路の入力と出力をオシロスコープに接続し、温度の変化に
よる入出力の様子を観 測する手順 を説明します。
70
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 89
CH 1 CH 2
測定例
被測定回路
入力
出力
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
71
Page 90
測定例
回路の入出力の様子を XY 表示で観 測する手順 を、次に示します。
1.
前面 パネルの CH1 MENU ボ タンを押 し、プローブ オプション・ ボ
タンを繰り返し押して 10× を 選択します。
2.
前面 パネルの CH2 MENU ボ タンを押 し、プローブ オプション・ ボ
タンを押 して 10× を 選択 します。
P2200 型 電圧プローブの減衰率 設定スイッチを 10 ×に設定します。
3.
4.
ネットワ ーク回路の入力に CH1 プローブ、出力に CH2 プローブを
接続します。
5.
オートセット (AUTOSET) ボタンを押 します。
CH1、 CH2 の波形が同じ程度の 振幅で表示されるよう、両チャンネ
6.
ルの VOLTS/DIV ノ ブを回して調整します。
7.
前面 パネルの 表示 (DISPLAY)ボ タンを押 します。
8.
軸設定 オプション・ボ タンを 繰り返 し押して XY を 選択 します。
回路の入出力特性 がリサージュ波形として表示されます。
9.
VOLTS/DIV ノブ、垂直軸位置 ( VERTICAL POSITION ) ノ ブを回
し、見 やすい波形になるよう調整します
10.
表示時間 オプション・ボ タンを 繰り返 し押 して 無制限 を 選択 しま
す。
11.
必要に応じて コントラスト増加 、コントラスト低下 オプション・ボ
タンを押 し、表示コントラストを調整します。
周囲温度 に伴って変化 する回路の特性 は、波形の軌跡となってディ
スプレイに表示されます。
72
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 91
詳細説明
この章 では、前面パネルの押しボタンとメ ニューの詳細について説明し
ます。
項目
波形取込( ACQUIRE)
RUN/STOPボタン
単発信号(SINGLE SEQ )ボタン
オートセット(AUTOSET )
カーソル測定(CURSOR )
工場出荷時設定(DEFAULT SETUP)
表示(DISPLAY)
ヘルプ(HELP)
水平軸部(HORIZONTAL )
標準位置(SET TO ZERO )ボタン
水平軸位置(HORIZONTAL POSITION )ノブ
SEC/DIV ノブ
演算(MATH )
波形測定(MEASURE )
プリント(PRINT )
保存 / 呼出(SAVE / RECALL )
トリガ部(TRIGGER )
50% 振幅(SET TO 50% )ボタン
強制トリガ(FORCE TRIG )ボタン
トリガ波形表示(TRIG VIEW )ボタン
レベル(トリガ設定/USER SELECT )ノブ
ページ
74
79
84
85
86
89
90
93
94
96
97
99
ユーティリティ(UTILITY )
垂直軸部(VERTICAL )
垂直軸位置(VERTICAL POSITION)ノブ
VOLTS/DIV ノブ
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
110
112
73
Page 92
詳細説明
波形取込(ACQUIRE )
波形取込 (ACQUIRE)ボタンを押 すと、波形取り込みに 関するメ ニュー
が表示されます。
メニュー
サンプル 工場出荷時の取込モードです。波形の表
ピーク グリッチが検出できます。また、エイリ
平均 入力信号を平均化することでランダム・
平均回数
設定 機能
示更新レートが最も速いモードです。
アシングを防ぐこともできます。
ノイズの影響を減らせます。
平均モードは、アベレージ・モードとも
呼ばれます。
4
上記の平均回数を設定します。
16
64
128
解説
グリッチを 含んだ方形波信号をオシロスコープに入力すると、波形取込
モードによって波形の表示は 異なったものになります。
74
サンプル ピーク 平均
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 93
詳細説明
サンプル・モード
サンプル・モ ードでは、2500 ポ イントのデータを使用し、SEC/DIV ノ
ブで設定された時 間間隔で波形を表示します。サンプル・モ ードは工場
出荷時の取り込みモードです。
サンプル・ポイント(2500)
1234567891 0
サンプル・ポイント
サンプル・モードでは、各取り込み間隔ごとに1つのポイントを
取り込みます。
最 高サンプル・レートは、周波数帯域 が 60MHz と 100MHzのオシロスコー
プで 1GS/s、周波数帯域が200MHz のオシロスコープで 2GS/sです。
100 ns/ div またはこれより速い 水平軸 スケール( SEC/DIV)では
2500 ポイントを取り込めませんが、 DSP(デジタル信号処理 )回路に
よってデータを 補 間し、 2500 ポ イントにします。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
75
Page 94
詳細説明
ピーク・モード
10 ns 以上のグリッチであれば検出できます。また、 エイリアシング( 実
際よりも周波 数の低い、間違った波形表示)を防ぐこともできます。ピー
ク・ モ ードは、 5 s/ div またはこれより 遅い 時 間 軸 スケール( SEC/
DIV)で機能します。
サンプル・ポイント(1250 )
12 34 5
サンプル・ポイント
ピーク・モードでは、各取込み間隔における最大値と最小値を
表示します。
時間軸スケール(SEC/DIV )が 2.5 s/div またはこれより 速い設定
注:
の場合、サンプル・レートが十分に速 いので、ピーク・モ ードに設定さ
れている場合でも、自 動的にサンプル・モ ードに切り替 わります。ま
た、モ ードが切り替わる場合、メ ッセージは表示されません。
76
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 95
詳細説明
通常 のオシロスコープのピ ーク・モ ードで、ノイズを多く含んだ信号を
表示すると、ピ ーク検 出される部分は黒 く表示されます。
TDS1000/TDS2000 シリーズでは、この部分を斜 線で表示し、表示 性能
を改善しています。
通常のピーク検出表示
TDS1000/TDS2000 シリーズ
のピーク検出表示
平均モード
平均モ ードでは、ランダム ・ノイズの影響 を 抑えることができます。デー
タはサンプル・モ ードで取り込まれ、指定された回数で平均化されます。
平均 回数 は、 4 、 16 、 64 または 128 回 から選択 します。
RUN/STOPボタン
このボ タンを押 すと、オシロスコープは連続して波形を取り込みます。
もう一度ボ タンを押 すと、取り込みを停止 します。
単発信号(SINGLE SEQ) ボタン
この ボタンを 押すと、オシロスコープは一つの波形を取り込んでから停
止します。 ボタンを押すたびに別 の波形を取り込みます。トリガを検出
すると、取り込みを 終了して 停止します。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
77
Page 96
詳細説明
取り込みモード
サンプル、 ピーク
平均 指定した回 数取り込みを行うとシーケンスは終
スキャン・モード
水平軸 スキャ ン取込モ ード(ロール・ モ ードとも呼ば れます)を使用し
て、低速 で変化 する信号を途切れることなくモニタできます。オシロス
コープは波形情報 を更新 してスクリーンの左から右 へ波形を表示し、新
しいポ イントが表示されるのに従 って古いポイントは消去 されます。ス
クリーンに 1 div幅 のブランクが現 れると、新 しい波形と古い波形が切
り離 されます。
SEC/DIV の設定が 100 ms/div またはそれより遅 い設定で、 か つ、トリ
ガ・モ ードをオートに設定している場合、オシロスコープは自動的にス
キャ ン・モ ードになります。
単発信号 (SINGLE SEQ ) ボタン
1 つの取り込みが終わるとシーケンスは終 了しま
す。
了します(74 ページ参照)。
スキャン・モードをオフにするには、TRIG MENU ボタンを押して、
モード オプションで ノーマル を 選択します。
波形取り込みの停止
波形取り込みを行なっている場合、波形は常に変化 しています。波形取
り込みを停止 する(RUN/STOPボタンを押 す)と、波形は止まった状態
で表示されます。いずれの場合でも、水平軸および垂直軸 のスケールと
位置は変更できます。
78
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 97
詳細説明
オートセット(
オートセット (AUTOSET ) ボ タンを 押すと、最適 な波形表示になるよ
う、オシロスコープを自 動的に最適 な設定にします。
機能
波形取込みモード サンプルまたはピーク
軸設定
表示形式 ビデオ信号ではドット、
水平軸ポジション 入力波形によって自動的に調整される
水平軸スケール(SEC/DIV ) 入力波形によって自動的に調整される
トリガ結合(カップリング) DC 、ノイズ除去または HF 除去から
トリガ・ホールドオフ 最小値
トリガ・レベル 入力振幅の 50% レベル
トリガ・モード オート
AUTOSET
)
設定
YT
FFTスペクトラムその他ではライン
選択される
トリガ・ソース 自動調整、80 ページ参照、外部トリガ
入力信号ではオートセット使用不可
トリガ・スロープ 入力波形によって自動的に調整される
トリガの種類 エッジ、またはビデオ
トリガ・ビデオ同期 入力波形によって自動的に調整される
トリガ・ビデオ規格 入力波形によって自動的に調整される
周波数帯域 全帯域
入力結合(カップリング) DC(GND が選択されている場合)
ビデオ信号の場合 AC
垂直軸スケール(VOLTS/DIV) 入力波形によって自動的に調整される
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
79
Page 98
詳細説明
オートセットは、信号が接続されているすべ てのチャンネルを表示しま
す。
オートセットのトリガ・ソ ースは、次の条件 に従 います。
H 複数のチャ ンネルに信号が存在 する場合、もっとも低 い周波 数 の信
号があるチャ ンネルをトリガ・ソ ースとして使用します。
H 信号が検出されない場合は、オートセットを実行したときに表示さ
れていたもっとも小さい数 のチャ ンネルをトリガ・ソ ースとして使
用します。
H オートセットを実行したときに、信号が検 出されず、またどのチャ
ンネルも表示されない場合は、チャ ンネル1 を表示します。
80
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
Page 99
詳細説明
正弦波
オートセットを実行して、オシロスコープがサイン波に似た信号を検出
すると、以下の内容が表示されます。
正弦波 説明
適切 な垂直軸 および水平軸 スケール設定で数 サイク
ルのサイン波が表示されます。実効 値(Cycle
数 サイクルの
サイン波
単 一の
サイン波
FFT
RMS)、周波数 、周期 、および P-P値の 自動測定が
表示されます。
水平軸 スケールが波形のおよそ 1 サイクルを表示す
るように設定されます。平均値 とP-P値の自動測定
が表示されます。
時間領 域の入力信号を周波数成分に変換し、その結
果を周波 数対 振幅(スペクラ ム)のグラフで表示し
ます。詳細は、115 ページのFFT 演算 を参照してくだ
さい。
前設定に戻る オートセット実 行以前の設定に戻 します。
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル
81
Page 100
詳細説明
方形波またはパルス
オートセットを実行して、オシロスコープが方形波またはパルスに似た
信号を検 出すると、以下の内容が表示されます。
方形波または
パルス
数 サイクルの
方形波
単 一の方形波
説明
適切 な垂直軸 および水平軸 スケール設定で数 サイク
ルの波形が表示されます。P-P値、平均値、周期、
および周波数の自 動測定が表示されます。
水平軸 スケールが波形のおよそ 1 サイクルを表示す
るように設定されます。最小値 、最大値 、平均値 、
およびプラスのパルス幅の自 動測定が表示されま
す。
エ ッジを表示して、立 上り時 間および P-P 値 の自
動測定を表示します。
立上り エッジ
エッジを表示して、 立下り 時間および P-P 値の 自
動測定を表示します。
立 下りエ ッジ
前設定に戻る オートセット実 行以前の設定に戻 します。
82
TDS 1000/TDS 2000 シリーズ ユーザ・マニュアル