Ducati 999, 999S User Manual [ja]

オーナーズマニュアル
DUCATI999/999S
1
2
我々は、お客様の素晴しい選択を祝福し、喜んでドゥカ ティストの一員としてお迎えいたします。お客様は、こ の新しい Ducati モーターサイクルを日常の用途以外に、 もちろんロングツーリングにも使われると思いますが、 Ducati モーターホールディング社は、常にその走行が快 適で楽しいものであるよう願っています。 お客様を常により良く援助し続ける努力の一つとして、 Ducati モーターホールディング社はお客様にこのマニュ アルに記載された正しい使用方法、特に慣らしの項に関 して遵守していただくようアドバイスいたします。そう することで、お客様の Ducati モーターサイクルは常に お客様の要求に応えてくれるでしょう。 あらゆる修理作業や適切なアドバイスが必要な場合は、 Ducati 正規ディーラーの修理工場にお任せ下さい。 他のどこよりも Ducati を熟知したエキスパート達がい つも万全の体制でお客様のご要望にお答えいたします。
楽しいライディングを!
メモ
Ducati モーターホールディング社は、このマニュ アルに記載された可能性のある誤りについて、いかなる 責任も負うものではありません。ここに記載された情報 は、印刷された時点において最新のものです。Ducati モーターホールディング社は、製品を改良、発展させて いくために必要とされる、あらゆる変更を行う権利を保 有します。
安全性、保証、信頼性、そして Ducati モーターサイク ルの価値のために、Ducati 純正部品だけをご使用下さ い。
警告
本マニュアルは車両の一部を形成するもので、車両 を譲渡する場合には、常に新しい所有者に譲渡しなけれ ばなりません。
3
目次
イントロダクション 6 保証 6 シンボルマーク 6 安全運転上の注意 7 許容最大積載量 8 製造番号 9
操作系 10 操作類の位置 10 メーターパネル 11 LCD - 主要機能 12 LCD - パラメーターの設定 / 表示方法 14 イモビライザーシステム 20 コードカード 21 スロットルグリップを使用したイモビライザーによるエ ンジン作動禁止の解除手順 22 キーの複製 23 イグニッションスイッチ / ステアリングロック 24 ハンドルバー左側スイッチ(図 18) 25 クラッチレバー 26 スターターレバー 27 ハンドルバー右側スイッチ 28 スロットルグリップ(図 21)(図 21) 28
4
フロントブレーキレバー(図 22) 29 リアブレーキペダル(図 23) 30 ギアシフトペダル(図 24) 30 ギアシフトおよびリアブレーキペダルの調整 31 ギアシフトペダルの調整 32 リアブレーキ ペダルの調整 33
主要構成部品 / 装備 34 配置図 34 燃料タンクキャップ 35 シート / 燃料タンク調整(1 シート) 36 サドルロックおよびヘルメットホルダー(2 シート) 37 サイドスタンド 39 ステアリングダンパー 40 フロントフォークアジャスター 41 リアショックアジャスター 43 車高の調整 45
運転のしかた 47 慣らしの方法 47 走行前のチェック 49 エンジンの始動 50 モーターサイクルの発進 52 ブレーキング 53 モーターサイクルの停止 54 パーキング 54 燃料補給 55 工具セット 56
主な整備作業とメンテナンス 57 フェアリングの脱着 57 冷却 水量の点検および冷却水の補充 60 ブレーキ / クラッチ液量のチェック 62 ブレーキパッドの摩耗チェック 63 ケーブル / ジョイント部への給油 64 スロットルグリップの遊びの調整 65 バッテリーの充電 66 キャスター角の調整 999 キャスター角の調整 69 チェーンテンションの点検 71 チェーンの給油 71 ハイビームバルブおよびロービームバルブの交換 72 パーキングライトバルブの交換 74 フロントウインカー 75 リアウインカー 75 ストップライト 76 ナンバープレートライト 76 ヘッドライトの光軸調整 77 バックミラーの調整 78 チューブレスタイヤ 79 エンジンオイル量のチェック 81 スパークプラグの清掃と交換 82 モーターサイクルの手入れ 83 長期間の保管 84 いくつかの国のオーナーにとって重要な事項 84
技術仕様 85 全体寸法 85 重量 8585 指定油脂類 86 エンジン 87 タイミングシステム 87 性能データ 88 スパークプラグ 88 給油 88 ブレーキ 88 トランスミッション 89 フレーム 90 ホイール 90 タイヤ 90 サスペンション 91 エキゾーストシステム 91 カラーバリエーション 91 電装 92
定期点検メモ 96
5
イントロダクション
保証 お客様のため、また製品の信頼性を保証するために、特 に専門的技術が要求される整備作業は、Ducati 正規 ディーラーの修理工場にお任せいただくよう強くお薦め します。 Ducati 正規ディーラーの熟練したスタッフは、実施に特 殊な器材が要求されるどのような整備作業もベストで行 えます。またスタッフ達は「ロングライフ」「円滑な作 動」「完璧な互換性」について最良な保証が望める、 Ducati 純正部品だけを使用いたします。
全ての Ducati モーターサイクルには保証書が添付され ています。しかし、車両を競技やそれに類することに使 用した場合には保証の対象外となります。また保証期間 中に、たとえ車両の一部でも Ducati 純正部品でないも のと交換したり、改造したり、変更した場合、Ducati モーター社の保証は適用されません。
6
シンボルマーク Ducati モーターホールディング社はお客様がモーターサ イクルをより良く理解できるよう、当マニュアルを注意 深く読まれることをお薦めします。お客様のモーターサ イクルについて、より詳しくお知りになりたい場合には、 ご購入先の正規ディーラーにお尋ね下さい。スタッフか らの最新の情報は、お客様の走行に役立つでしょう。ま た Ducati モーターホールディング社は、当マニュアル が、快適で楽しい走行と、お客様のモーターサイクルの 素晴しい性能を長い間変わらずに保てる一助となること を望んでいます。 このハンドブックには、特殊な趣旨の有益な情報が掲載 されています:
警告
この説明を遵守しなかった場合、重度の負傷および 死亡に至らしめる危険性があります。
重要
車両ならびに車両構成部品に損傷の可能性がありま す。
メモ
作業上の追加注意事項です。
文中の「右」、「左」の表記は乗車位置から見た場合で示 してあります。
安全運転上の注意
警告
運転する前に読んで下さい。
多くの事故はしばしば不慣れなために起こります。走行 する際は常に免許証を所持しているか確かめて下さい。 免許証は期限が有効でお客様のモーターサイクルの運転 に適したものが必要です。 お客様のモーターサイクルを未経験者、および有効免許 証を持っていないライダーに貸してはいけません。 ライダーおよびパッセンジャーは、常に適切なライディ ングウエアーを着用し、安全なヘルメットを被らなけれ ばなりません。 視界を制限したり、操作の妨げになるアクセサリーや物 がぶら下がっていない、適切なライディングウエアーを 着用して下さい。 屋内では絶対にエンジンを始動したり、作動させたりし ないで下さい。排気ガスは有毒で意識を喪失させ、短時 間のうちに死に至らしめます。 ライダーおよびパッセンジャーは、モーターサイクルが 動いている間は足をフットレストに載せていて下さい。 急な進路変更や、路面状況の変化に対処できるよう、ラ イダーは常に両手でしっかりとハンドルバーを保持し、 パッセンジャーは常に両手でしっかりとリアグリップを 保持して下さい。 走行地域の道交法、および法律を遵守して運転して下さ い。 常に指示された速度制限を厳守するとともに、視界や道 路条件、混雑の割合に合わせて、適切な速度を守って下 さい。
レーンチェンジする時や曲がろうと思った時は、常に適 時にウインカーを使用して合図して下さい。 良好な視界を保ち、前方の車両の " 死角 " に入って走行 しないようにして下さい。 交差点や、私有地の出口に近い場所、駐車場、高速道路 への進入路等を走行する場合は充分に注意して下さい。 給油時は
常に
エンジンを停止し、給油の際、エンジンや エキゾーストパイプにガソリンをこぼさないよう特に注 意して下さい。 給油時は絶対に喫煙しないで下さい。 給油の際に、人体に有毒な気化した燃料を吸い込む可能 性があります。もしも燃料が皮膚や衣服に付着した場合 は、直ちに石鹸と水で洗浄し衣服を取り替えて下さい。 モーターサイクルから離れる場合は、
常に
キーを抜いて 下さい。 エンジン、エキゾーストパイプ、マフラーはエンジン停止 後も長時間熱いままです。
警告
エキゾーストシステムは、エンジンスイッチを切っ た後も熱い場合があります。エキゾーストシステムへ接 触しないよう充分注意し、車両を木材、木の葉などの可 燃物のそばに駐車しないようにしてください。
モーターサイクルは人や物がぶつからないような場所に サイドスタンドを使用して駐車して下さい。 平坦でないところや柔らかい地面、およびモーターサイ クルが倒れる可能性がある場所には絶対に駐車しないで 下さい。
7
許容最大積載量 お客様のモーターサイクルは、許容最大重量の荷物を積 載しても、長距離を安全かつ快適に走行できるよう設計 されたものです。 モーターサイクル上にバランス良く重量を配分すること は通常の安全走行に必要な注意で、特に凸凹道を走行し たり、急な進路変更を必要とする時のトラブルを避ける ため、重要です。
積載量について 走行時の全車体重量は
ライダー、パッセンジャー、荷物、オプションパーツの 重量を含んだ合計で、次の値を超えてはなりません。 390 kg
8
積み荷はモーターサイクルの中心に近く、できる限り低 い位置に配置するよう努めて下さい。 積み荷はモーターサイクルにしっかりと固定して下さい。 積み荷が完全に固定されていないとモーターサイクル転 倒の原因になります。 ハンドルバーやリアマッドガード、フロントフェンダー 部に体積や重量のあるものを載せないで下さい。ステア リングの妨げになり、モーターサイクルの安定性を損な います。 フレームのすき間に積み荷物を挟み込まないで下さい。 可動部分の妨げになる恐れがあります。 タイヤが、79 ページに定められた適正空気圧を保持し、 また良いコンディションにあることを確かめて下さい。
製造番号
2
すべての Ducati モーターサイクルはフレームナンバー
図 . 1.1)とエンジンナンバー(図 . 1.2)の 2 つの製
造番号で確認できます。図. 2
フレーム N.
エンジン N.
メモ
これらの番号は、お客様のモーターサイクルの型式 を識別するもので、部品を発注する際に必ずお知らせ下 さい。
999S
図. 1.
999
図. 1.1
図. 2
9
操作系
1
6
5
4
8
警告
この章には、お客様がモーターサイクルを運転する 上で必要な全ての操作類の機能と配置を詳しく説明して います。操作類を使用する前に、注意深く読んで下さい。
操作類の位置(図 . 3
1) メーターパネル
2) イグニッションスイッチ / ステアリングロック
3) ハンドルバー左側スイッチ
4) クラッチレバー
5) スターターレバー
6) ハンドルバー右側スイッチ
7) スロットルグリップ
8) フロントブレーキレバー
9) ギアシフトペダル
10)リアブレーキペダル
10
3
7
2
9
10
図. 3
メーターパネル(図. 4)
1) LCD(12 ページ参照)
2) タコメーター(rpm-1) エンジン回転数を表示。
3) ニュートラルパイロットランプ
N
(緑)
ギアポジションがニュートラルの時に点灯。
4) 燃料警告灯 (黄色) 燃料タンクの残燃料が約 3 リットルになった時に点灯。
5) ウインカーパイロットランプ (緑色) ウインカー作動時に点灯。
6) エンジンオイルプレッシャーパイロットランプ
(赤色) エンジンオイル圧力が低すぎる時に点灯。イグニッショ ンスイッチを ON にすると点灯し、通常はエンジン始動 後に数秒で消灯します。 エンジン温度が高い時に、場合によって数秒間点灯する ことがありますが、回転数が上がると消灯します。
10
5
8
7
3
4
2
10
9
6
重要
このパイロットランプ(6)が点灯したままのとき は、モーターサイクルを使用しないでください。エンジ ンに損傷を与える恐れがあります。
7) ハイビームパイロットランプ (青色) ハイビームが ON の時に点灯。
1
図. 4
11
8) EOBD パイロットランプ (橙色) エンジンの作動禁止を伴うエラーが発生した場合は、エ ンジンコントロールユニットによりこのパイロットラン プが点灯します。 また、スロットルグリップを使用したイモビライザー無 効のインジケーターを兼用しています。 エラーが発生していない場合は、イグニッションスイッ チを ON にするとこのパイロットランプが点灯し、数秒 後(通常 1.8 ~ 2 秒後)に消灯します。
9) ギアチェンジ規定値パイロットランプ(赤色) コントロールユニットによりインジェクションリミッ ターが作動したことを示します。パイロットランプ下部 は、インジェクションリミッターが作動するエンジン回 転数まであと 200 rpm になった時に点灯します。パイ ロットランプ上部は、インジェクションリミッターが作 動するエンジン回転数まであと 100 rpm になった時に点 灯します。
10) コントロールボタン これらのボタンは、メーターパネルのパラメーターの表 示および設定に使用します。
12
LCD - 主要機能
警告
メーターパネルコントロールボタンを操作する場合 は、モーターサイクルを停車してから行って下さい。決 して運転中にメーターパネルコントロールボタンを操作 しないで下さい。
1) スピードメーター 速度を表示。
2) オドメーター 総走行距離を表示。
3) トリップメーター リセット後の走行距離を表示。
4) 時計
5) ラップタイムクロノメーター
6) ラップ最高速度記録
7) バッテリー電圧インジケーター
8) 外気温インジケーター
9) 燃量インジケーター
10)冷却水温度インジケーター エンジン冷却水の温度を表示。
重要
温度が上限値に達したときは、モーターサイクルを 使用しないでください。エンジンに損傷を与える恐れが あります。
11)定期メンテナンスインジケーター このパイロットランプは定期メンテナンス用に指定した 走行距離に到達すると点灯します。その時点から走行 50 km までは点滅し続け、その後は点灯したままになりま す。定期メンテナンスの一環として Ducati 正規ディー ラーの修理工場でカウンターがリセットされると消灯し ます。
12)イモビライザーインジケーター このインジケーターはキーコードが不正な場合、または 承認されない場合に点灯します。またスロットルグリッ プを使用してイモビライザーを無効にすると点滅します
22 ページ参照)。
10
11
12
4
1
6
重要
メーターパネルにはオンボード電子式インジェク ション / イグニッションシステムの診断機能がありま す。診断メニューは訓練を受けたメカニックのみ操作可 能です。偶然にこの機能へアクセスした場合はイグニッ ションキーを OFF にし、Ducati 公認サービスセンター でモーターサイクルを点検して下さい。
2
3
7
5
9
8
図. 5
13
LCD - パラメーターの設定 / 表示方法 キーを OFF から ON に回すと、メーターパネルのすべて の機器 ( 針、ディスプレイ、パイロットランプ ) が点検 されます ( 図. 7を参照 )。
左側ディスプレイ機能の呼び出し(A) キーを ON にしてボタン(1)(図. 6)を押すと、トリッ プメーター、オドメーター、ラップタイムインジケー ターが順に表示されます。
1
2
右側ディスプレイ機能の呼び出し(B) キーを ON にしてボタン(2)(図. 6)を押すと、バッテ リー電圧インジケーター、外気温インジケーター、燃量 インジケーターが順に表示されます。
OFF CHECK 1 CHECK 2 ON
14
A
B
図. 6
図. 7
時計の設定 ボタン(1、図. 8)を 2 秒以上押し続けます。
図. 8ボタン(2)を押して AM/PM を選択します。ボタ ン(1)を押して確定すると、「時」設定モードになりま す。 ボタン(2)を押して、「時」を設定します。ボタン(1) を押して確定すると、「分」設定モードになります。 ボタン(2)を押して、「分」を設定します。ボタン(1) を押して確定すると、時計設定モードが終了します。
トリップメーターのリセット 図. 8ディスプレイ(3)の TRIP モードを選択します。
ボタン(2)を 2 秒以上押すと、表示されているトリッ プメーター表示がリセットされます。
1
3
2
図. 8
15
特殊設定機能(車両モデルおよび測定単位) エンジンコントロールユニットにより正しい車両モデル
および測定単位の情報が自動的にメーターパネルに送信 され表示されます。これらのパラメーターを変更する場 合は、図. 8ボタン(1、図. 8)および(2、図 . 8)の 両方を押しながらキーを OFF から ON に回します。 ボタン(1)を押して選択したい設定までスクロールしま す。 ディスプレイに OFF と表示されるまでボタン(2)を 5 秒以上押して、選択した設定を保存します。キーを OFF に回します。
メモ
図の点線で囲まれた場所は、車両バージョン(ノー マル、R、S)の表示位置です。
16
図. 9
ラップタイム記録(図. 10 および図 . 11 この機能によりラップタイムが記録でき、ラップタイム
記録中の最高速度およびエンジン回転数が表示されます。 ディスプレイ (4、図 . 10) の TRIP モードを選択します。 走行中にエンジンスタートボタン (5、図 . 11) を押す と、オンボードクロノメーターが作動します。再度ボタ ン (5) を押すとクロノメーターが停止し、同時に 2 回目 のタイム測定をするためにオンボードクロノメーターが 作動します。最高 19 個までラップタイムを記憶させるこ とができます。最高回転数が記憶されると、最初の回転 数は失われます(「最新の」19 個のタイムが記憶されま す)。
メモ
LAP モードでは、スタートボタン (5) を操作しても エンジンが始動しない場合があります。
記憶されているラップタイム記録の表示 ( 図 .10)
ラップタイム測定後、19 個までのタイムが LCD で検索お よび表示できます。車両のスイッチを切った後ボタン (2、図 .10) を押し、キーを OFF から ON にしてこの機能 を作動させます。この機能が作動した後ボタン (1、図 .10) を押すと、記録されたタイムがスクロール します。メーターパネルに表示される情報は以下の通り です。
-- ラップナンバー (6)
- 選択したラップ中の最大エンジン回転数 (7、図 .10)
- ラップタイム (4、図 .10)
- 選択したラップ中の最高速度 (8、図 .10)
7
1
8
4
2
6
図 . 10
5
図 . 11
17
メモ
280 km/h(174 mph)に達すると、ディスプレイには "---" というラインが表示されます。
メモ
スピードメーターは実際の速度より速い速度を示し ます。誤差は平均で 8 % です。LCD に保存されるラップ タイム最高速度はそのラップタイム時の実際の車速です。
記録されているラップタイムを消去するには、ボタン
(2、図. 10)を 5 秒以上押します。
冷却水温度機能(図. 12 および図 . 13 冷却水温度が -40°C/-40°F より低い場合、ディスプレ
イに点が数個点滅し、橙色の EBOAD パイロットランプが 点灯します(8、図. 4)。 冷却水温度が -39°C/-38.2°F ~ +45°C/+113°F 間、 または +120°C/+248°F ~ +124°C/+255.2°F 間の場 合、ディスプレイの温度表示が点滅します。 冷却水温度が +46°C/+114.8°F ~ +119°C/+246.2°F 間の場合、温度表示は点灯したままです。 冷却水温度が +125°C/+257°F を超えると、ディスプレ イの温度表示 125°C/257°F が点滅し、橙色の EOBD パ イロットランプが点灯します(8、図. 4)。
18
- 39 °C
- 40
°
C
+ 46
+ 45
°
C
°
C
+ 119
+ 120
°
C
°
C
+ 124
°
C
+ 125
°
C
図 . 12
図 . 13
パイロットランプの明るさの強度 パイロットランプの明るさは、感知された外の光の量に
応じ、メーターパネルによって自動的に調整されます。
メーターパネルのバックの照明 メーターパネルのバックの照明は、テールライトもしく
はヘッドライトが点灯している場合のみ作動します。 これらのライトが点灯していると、光の強度、気温を感 知するセンサーの働きで、メーターパネルが自動的に バック照明の作動を調整します。
ヘッドライトの自動消灯機能 ヘッドライトが自動的に消えるので、バッテリーの消費
を抑えることが出来ます。次の 2 つの場合、この機能は 作動します:
-キーを OFF から ON に回してから、60 秒たってもエ
ンジンを始動しない場合。ヘッドライトは消え、次に キーを OFF から ON に回した時に再び点灯します。
- ヘッドライトをつけてモーターサイクルを使用した後、
右側スイッチの RUN-STOP ボタンを使ってエンジンを 止めた場合。 この場合、エンジンを止めてから 60 秒経つとヘッド ライトは消え、次にエンジンを始動した時に再び作動 します。
メモ
エンジン始動のときも、システムではヘッドライト がいったん消えるようにします。エンジンがスタートし てから、またはいずれにしてもエンジンスタートボタン
(5、図 . 11)が解放されてからまた点灯します。
19
イモビライザーシステム このモーターサイクルは、盗難防止機能の向上のためイ モビライザーを装備しています。イモビライザーはイグ ニッションスイッチ OFF 時にエンジンの作動を禁止する 電子システムです。 出力信号を調整する電子装置が各イグニッションキーの ハンドグリップに内蔵されています。この信号はイグ ニッションを ON に回した時、スイッチに内蔵の特殊ア ンテナから出力され、毎回変更されます。この変調信号 は「パスワード」として機能し、「認可」イグニッション キーがエンジンの始動に使用されていることを CPU に伝 達します。CPU は信号を認識すると、エンジンを始動さ せます。
キー (図 . 14) オーナーに支給されるキーは以下の 1 組です。
- キー A(1 本)(赤色)
- キー B(2 本)(黒色)
警告
キー A(赤色)には、キーをベストな状態に保ち、 他のキーとの接触を防ぐためゴム製のカバーが取り付け られています。本当に必要な場合以外は絶対にこのカ バーを取り外さないで下さい。
キー B は通常使用するイグニッションキーで、以下に使 用します。
- エンジン始動
- 燃料タンクキャップのロック解除
- シートロック解除(2 シート)
20
キー A にはキー B と同様の機能があります。また必要な 場合は、黒色キーの削除および再プログラムができます。
メモ 3 本のキーには識別番号を記載した小型プレート
(1)が付属しています。
警告
キーはそれぞれ別の場所に保管して下さい。プレー ト(1)およびキー A は安全な場所に保管して下さい。 モーターサイクル使用時には、常に同じ黒色キーを使用 することをお薦めします。
B
A
1
図 . 14
コードカード キーと合わせてコードカード(図 . 15)が納品されま す。カードには、電子コード(A、図. 16)が掲載され ており、key-on の後エンジンがロックしてかからない場 合、ご利用いただくことができます。
警告
コードカードは、安全確実な場所に保管する必要が あります。ユーザーは、スロットルグリップを使用した 手順に従いロック解除しなければならない場合、コード カードに掲載された電子コードを常に携帯されているよ うお勧めします。 イモビライザーシステムに不具合がある場合、EBOAD パイ ロットランプ(橙色)が点灯するので、以下の方法で
「エンジン作動禁止」機能を無効にできます(8、図 . 4)。
ただしこの操作は、コードカードの電子コードを知って いる場合にのみ実施可能です。
図 . 15
A
図 . 16
21
スロットルグリップを使用したイモビライザーによる エンジン作動禁止の解除手順 1)キーを ON のポジションに入れ、 スロットルグリップをいっぱいに回し、その状態のまま キープします。 8 秒後に EOBD(8、図. 4)パイロットランプが消灯しま す。 2)EOBD パイロットランプが消灯すると直ちにスロット ルを戻します。 3)EOBD パイロットランプが点滅します。 ここで、解除用の電子コードを入力します。このコード は、納車時にディーラーからお客様に渡される CODE CARD に記載されています。 4)EOBD パイロットランプが点滅する数を数えます
(8、図. 4)。これはシークレットコードの最初の数に対
応しています。 スロットルグリップを 2 秒間全開のポジションにし、そ の後放します。1 桁目の入力が認識されると、EOBD パイ ロットランプが 4 秒間点灯します。この手順を繰り返し て、最後の数字まで入力します。 スロットルグリップをまったく操作しないと、EOBD パイ ロットランプが 20 回点滅した後、点灯状態になります。 この場合は、手順 1 からやり直す必要があります。 5)正しいコードが入力された時は、スロットルグリップ を放すと:
A) EOBD パイロットランプが点滅しながら点灯し、ブ
ロックが解除されたことを示します。4 秒たつと、も しくはエンジン回転数が 1000 rpm
-1
を超えると、パ
イロットランプは通常の状態(消灯)に戻ります。
B) エンジンの回転数が 1000 rpm
-1
を超えるまで、もし くはモーターサイクルを再始動するまで CODE(12、 図. 5)パイロットランプが点滅を続けます。
6)コードが正しく入力されなかった場合は、EOBD パイ ロットランプが点灯したままとなります。この場合は、 手順 2 から何度でもやり直すことができます。
メモ
スロットルグリップを設定時間の前に放した場合
は、パイロットランプが再度点灯します。
この場合、キーを OFF にして手順(1)からやり直しま す。
22
作動値 イグニッションキーを OFF に回すと、イモビライザーが
エンジンの作動を禁止します。エンジンを始動するため、 イグニッションキーを再度 ON に戻すと以下のようにな ります。 1)CPU がコードを認識すると、メーターパネルの CODE
(12、図 . 5)パイロットランプが短時間点滅します。こ
れはイモビライザーシステムがキーコードを認識し、エ ンジン始動が可能なことを示します。START(5、図. 11) ボタンを押すと、エンジンが始動します。 2)CODE パイロットランプが点灯したままの場合は、 コードが認識されていないことを示します。この場合、 イグニッションキーを OFF に戻し、再度 ON にします。 これでもエンジンが始動しない場合は、もう 1 本の黒色 キーで試してみて下さい。このキーでも始動しない場合 は、DUCATI サービスネットワークにご相談下さい。 3)CODE パイロットランプが点滅したままの場合は、イ モビライザーシステムの不具合がスロットルグリップを 使用した解除手順などによりリセットされたことを示し ます。キーを OFF にしてから ON に戻すと、イモビライ ザーパイロットランプは正常作動に戻ります(手順 1 参 照)。
警告
キーは電子部品を内蔵しています。落とす、または ぶつけると損傷する恐れがあります。 作業中は 1 本のキーのみを使用して下さい。1 本のキー のみを使用しないと、使用するキーのコードをシステム が認識できない場合があります。
キーの複製 キーを複製したい場合は、お手持ちのすべてのキー、お よびコードカードを DUCATI サービスネットワークにお 持ち下さい。 DUCATI サービスが合計 8 本まで新しいキーのプログラ ムおよびオリジナルキーの再プログラムを行います。 この時お客様がモーターサイクルの正当な所有者である 証明を求める場合があります。必ず証明できる書類をお 持ち下さい。 お持ちにならなかったキーのコードは、キーを紛失した 場合使用できないようにするためメモリから削除されま す。
メモ
モーターサイクルを売却された場合は、必ずすべての
キーおよびコードカードを新しい所有者にお渡し下さい。
23
イグニッションスイッチ / ステアリングロック (
図 . 17.1
および
図 . 17.2
) 燃料タンクの前に配置され、4 つのポジションが選べま す。
A) ON:ライト ON、エンジン作動 B) OFF:ライト OFF、エンジン停止 C) LOCK:ステアリングロック D) P:パーキングライト ON、ステアリングロック
メモ
キーを(C)、(D)の位置にするには、押してから回 して下さい。(B)、(C)、(D)の位置ではキーを引き抜く ことができます。
C
999
C
A
B
N
O
F
F
O
H
S
U
P
LOCK
P
IGNITION
D
図.
A
B
N
O
F
F
O
H
S
U
P
LOCK
P
IGNITION
D
24
999S
図.
ハンドルバー左側スイッチ(
図 . 18
) 1)ライト切り替えスイッチ = 2 つのポジションがありま す。 ポジション = ロービーム ON ポジション = ハイビーム ON
2)スイッチ = ウインカーには 3 つのポジションがあ ります。 中央 = OFF ポジション = 左折 ポジション = 右折 ウインカーを消すには、中央に戻ってきたレバーを押して 下さい。
3)スイッチ = 警告ホーン
4)スイッチ = ハイビーム点滅
4
1
2
3
図 . 18
25
クラッチレバー クラッチを操作するレバー(1)にはアジャスター(2) が付いており、レバーとグリップとの間隔を調整できま す。 レバーとグリップとの間隔はノブ(2)を使用して調整
(10 段階)します。レバーとグリップとの間隔を広くす
るにはノブを時計回りに、間隔を狭くするには反時計回 りに回転させます。 レバー(1)を引くと、エンジンの回転がトランスミッ ションおよびリアホイールに伝わらなくなります。ク ラッチの適切な操作は、スムーズなライディング、特に 発進時に重要です。
警告
クラッチレバーの調整は、モーターサイクルを停止
した状態で行ってください。
重要
クラッチレバーを正しく操作することで、トランス ミッションのダメージを回避し、モーターサイクルの寿 命を延ばすことができます。
メモ
エンジンは、サイドスタンドを下ろしてトランスミッ ションをニュートラルにしたまま始動できます。ギアを入 れた状態でモーターサイクルを始動する場合は、クラッチ レバーを引いて下さい。この場合、必ずサイドスタンドを 上げて下さい。
26
2
1
図 . 19
スターターレバー(
図. 20
) エンジンを冷間始動する場合はこの装置を使用して下さ い。この装置は始動後のエンジンアイドル回転数を増加 します。 レバーポジション: A)= 閉 B)= 全開 このレバーを段階的に開閉することにより、エンジンが 完全に暖機するまで回転数が調整できます(51 ページ参 照)。
重要
エンジンが暖機している場合にはスターターレバー を使用しないで下さい。スターターレバーを開いたまま 走行しないで下さい。
A
B
1
図 . 20
27
ハンドルバー右側スイッチ(
図 . 21
) 1)ENGINE STOP(エンジン停止)スイッチ = 2 つのポジ ションがあります。 ポジション (RUN) = エンジン作動 ポジション (OFF) = エンジン停止
警告
このスイッチは、エンジンを直ちに停止させること が必要な緊急時等に使用することを目的としています。 エンジン停止後は、再始動可能なようにスイッチを作動 ポジション に戻して下さい。
重要
ライトを点灯して走行時、スイッチ(1)を使用し てエンジンを停止しイグニッションキーを ON のポジ ションで放置すると、ライトが点灯したままとなり、 バッテリー切れの原因になります。
2)スタータースイッチ = エンジン始動
1
3
2
図 . 21
スロットルグリップ(
図 . 21
) ハンドルバー右側のスロットルグリップ(3)は、スロッ トルバルブを操作します。スロットルを開けている時に グリップの握りを緩めると、自動的に元の位置(アイド リング状態)に戻ります。
28
フロントブレーキレバー(
図. 22
) フロントブレーキレバー (1) をスロットルグリップの方 向へ引くと、フロントブレーキがかかります。このレ バーは油圧で作動するため、軽く握るだけで充分です。 この機種にはアジャスター(2)が付いており、レバーと グリップとの間隔が調整できるようになっています。 レバーとグリップとの間隔はノブ(2)を使用して調整
(10 段階)します。レバーとグリップとの間隔を広くす
るにはノブを時計回りに、間隔を狭くするには反時計回 りに回転させます。
1 2
図 . 22
29
Loading...
+ 70 hidden pages