
R&S®TS7124AS
RF シールドボックス
手順ハンドブック
(;ÝM`B)
1179294818
バージョン 02

オリジナル手順(以下では「本ハンドブック」と称します)。
本ハンドブックでは、以下のモデルの RF シールドボックスについて記述しています。:
●
R&S®TS7124AS(オーダー番号 1525.8587.02)。フロント・フィードスルー・ポートなし
●
R&S®TS7124AS(オーダー番号 1525.8587.12)。2 個のフロント・フィードスルー・ポート付属
本ハンドブックでは、RF シールドボックスを「チャンバー」または「製品」と呼びます。
測定器のファームウェアでは、オープンソース・ソフトウェア・パッケージが複数使用されています。詳細については、『Open Source
Acknowledgment』ドキュメントを参照してください。ドキュメントは、GLORIS(Rohde & Schwarz グローバル情報システム:https://
extranet.rohde-schwarz.com)のカスタマーウェブセクションからダウンロードできます。
ローデ・シュワルツは、オープンソース・コミュニティーのエンベデッドコンピューティングへの多大な貢献に対して謝意を表しま
す。
© 2022 Rohde & Schwarz GmbH & Co. KG
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あらかじめご了承ください。 R&S® は、Rohde & Schwarz GmbH & Co. KG. の登録商標です。
1179.2948.18 | バージョン 02 | R&S®TS7124AS
本ハンドブック全体を通じて、ローデ・シュワルツ製品は、®シンボルを省いて、R&S®TS7124AS を R&S TS7124AS のように記載します。

目次R&S®TS7124AS
目次
1 はじめに....................................................... 7
1.1 法規制に関する情報..........................................................7
1.1.1 CE 宣言..................................................................... 7
1.1.2 中国 RoHS 認証...............................................................7
1.2 ドキュメントの概要..........................................................7
1.2.1 手順ハンドブック............................................................8
1.2.2 構成マニュアル..............................................................8
1.2.3 データシートおよびカタログ..................................................8
1.2.4 オープン・ソース・アクノリッジメント(OSA).................................8
1.2.5 アプリケーションノート、アプリケーションカード、ホワイトペーパーなど........9
1.3 表記........................................................................9
2 安全.......................................................... 10
2.1 本来の使用目的.............................................................10
2.2 残留リスク.................................................................10
2.3 潜在的に危険な状況.........................................................11
2.4 本ハンドブックの警告メッセージ.............................................14
2.5 チャンバーに貼られているラベル.............................................14
3 緊急事態...................................................... 16
3.1 緊急停止...................................................................16
3.2 自動緊急停止...............................................................16
3.2.1 タイムアウトによる自動緊急停止.............................................17
4 マシンの概要.................................................. 18
4.1 フロント側の詳細...........................................................18
4.2 リア側の詳細...............................................................20
4.3 押しボタンスイッチユニット.................................................21
5 輸送、取り扱い、保管.......................................... 22
5.1 持ち上げと運搬.............................................................22
5.2 梱包.......................................................................22
5.3 保護.......................................................................23
5.4 輸送.......................................................................24
3手順ハンドブック 1179.2948.18 ─ 02

目次R&S®TS7124AS
5.5 ストレージ.................................................................24
6 設置と試運転.................................................. 25
6.1 使用場所の選択.............................................................25
6.2 開梱と確認.................................................................26
6.3 チャンバーの取り付け.......................................................27
6.3.1 テーブルへの取り付け.......................................................28
6.3.2 ラックへの取り付け.........................................................29
6.4 圧縮空気の接続.............................................................32
6.5 制御/電源への接続.........................................................34
6.6 安全システムのテスト.......................................................38
6.7 アクセス制限ゾーンの定義...................................................39
6.8 ドア速度の調整.............................................................41
7 操作.......................................................... 43
7.1 チャンバーをアクティブにする...............................................43
7.2 チャンバーを非アクティブにする.............................................44
7.3 ドアの操作.................................................................45
7.3.1 ドアステータス表示.........................................................45
7.3.2 押しボタン式ドア操作.......................................................45
7.4 チャンバーへの DUT の配置...................................................47
7.5 DUT の接続................................................................. 47
7.6 シフト終了の準備...........................................................48
8 リモート制御コマンド.......................................... 49
8.1 共通コマンド...............................................................50
8.2 リモート設定コマンド.......................................................51
8.3 ドア操作コマンド...........................................................52
8.4 コマンド・リスト............................................................55
9 検査とメンテナンス............................................ 56
9.1 推奨間隔...................................................................56
9.2 定期安全検査...............................................................56
9.3 チャンバーのメンテナンス準備...............................................57
9.4 メンテナンス作業の実行.....................................................57
9.4.1 毎日の機能チェック.........................................................57
4手順ハンドブック 1179.2948.18 ─ 02

目次R&S®TS7124AS
9.4.2 吸収体のチェック...........................................................58
9.4.3 チャンバーの清掃...........................................................58
9.4.4 ガスケットの清掃...........................................................59
9.4.5 システム校正...............................................................59
10 トラブルシューティングと修理.................................. 60
10.1 ドアのエラー...............................................................60
10.2 コントローラーの競合.......................................................60
10.3 カスタマーサポートへの連絡.................................................62
11 無効化と廃棄.................................................. 63
11.1 運用停止...................................................................63
11.2 取り外し...................................................................65
11.3 処分.......................................................................65
用語集: 頻繁に使用される用語や略語の一覧...................... 67
索引.......................................................... 69
5手順ハンドブック 1179.2948.18 ─ 02

目次R&S®TS7124AS
6手順ハンドブック 1179.2948.18 ─ 02

ドキュメントの概要
1 はじめに
本ハンドブックは、ユーザー(チャンバー)のすべての製品を対象としています。チャ
ンバーを安全に使用するには、まず本ハンドブック全体を読んで理解する必要がありま
す。トピックについて不明な点がある場合は、スーパーバイザーにご確認いただくか、
Rohde & Schwarz カスタマーサポートにお問い合わせください。
本ハンドブックには、ライフサイクル全体(設置、操作、メンテナンス、無効化)を通
してチャンバーを安全かつ効率的に使用するのに役立つ情報が網羅されています。作
業者がライフサイクルの一部の作業にのみ従事している場合は、そのトピックに関する
章に重点を置いてお読みください。ただし、必ず、 2,「安全」 (10 ページ)の説明を
精読し安全性に対する理解を深めた上で、作業を開始してください。
章のタイトルから、ライフサイクルのどの段階の、どの作業を説明しているかがわかり
ます。例えば、オペレーターの場合、関係するほとんどの操作は 7,「操作」
(43 ページ)で説明されています。作業を実施できるのが特定の役割を持つ者に限定
される場合は、作業を説明する章の冒頭に役割名の記述があります。役割に関する説明
は用語集にあります。
はじめにR&S®TS7124AS
略語および頻繁に使用される用語は、本ハンドブックの最後にある用語集で説明してい
ます。
1.1 法規制に関する情報
以下のラベルと関連証明書が、法的規制への適合を宣言するために使用されます。
1.1.1 CE 宣言
欧州連合理事会の指令の該当する規定への準拠を証明します。CE 宣言(英語表記)は、
本ハンドブック印刷版の最初の部分(目次の後)にあります。
1.1.2 中国 RoHS 認証
危険物質に関する制限(RoHS)の中国政府による遵守を証明します。
チャンバーは、環境に配慮した材料で製作されています。法律で制限または禁止されて
いる物質は含まれていません。
1.2 ドキュメントの概要
このセクションでは、R&S TS7124AS ユーザーマニュアルの概要について説明します。特
に指定されていない場合、マニュアルは次の R&S TS7124AS 製品ページにあります。
www.rohde-schwarz.com/product/ts7124
7手順ハンドブック 1179.2948.18 ─ 02

1.2.1 手順ハンドブック
本ハンドブックでは、チャンバーのすべての動作モードと機能について説明していま
す。さらに、リモート制御の概要と、リモート制御コマンドの詳細、およびメンテナン
ス、インタフェース、エラーメッセージに関する情報も記載されています。
チャンバーで許可される、ハードウェア再構成に必要な特別な作業については、本ハン
ドブックでは説明しません。これらに関する説明は、構成マニュアルにあります。再構
成の実行を許可されているのは、構成マニュアルを読んで理解しているエキスパートユ
ーザーだけです。他のユーザーが実行できるのは、本手順ハンドブックに記載されてい
る作業に限定されます。
本ハンドブックの印刷版は本製品に同梱されていますが、以下のウェブサイトからも入
手できます。
www.rohde-schwarz.com/manual/ts7124
1.2.2 構成マニュアル
はじめにR&S®TS7124AS
ドキュメントの概要
チャンバーで許可される、ハードウェアのすべての再構成と調整について説明します。
これらの作業の実施は、構成マニュアルを読んで理解し、かつチャンバーを再構成する
ために必要なすべてのスキルを備えた、エキスパートユーザーに限定されます。
構成マニュアルは、グローバル Rohde & Schwarz 情報システム(GLORIS)に登録済みの
ユーザーが利用できます。
gloris.rohde-schwarz.com > Support & Services > Sales Web > Test and
Measurement > Wireless Communication > TS7124 > Manuals
1.2.3 データシートおよびカタログ
データシートでは、チャンバーの技術仕様について説明しています。別売アクセサリと
その注文番号のリストもあります。
製品カタログには、チャンバーの概要や固有の特性について説明したデータシートが含
まれます。
www.rohde-schwarz.com/brochure-datasheet/ts7124 を参照してください。
1.2.4 オープン・ソース・アクノリッジメント(OSA)
オープン・ソース・アクノリッジメントには、使用されているオープンソース・ソフト
ウェアのライセンステキストがそのまま記載されています。
www.rohde-schwarz.com/software/ts7124 を参照してください。
8手順ハンドブック 1179.2948.18 ─ 02

はじめにR&S®TS7124AS
表記
1.2.5 アプリケーションノート、アプリケーションカード、ホワイトペーパー
など
以下の文書には、特定のトピックに関する特殊なアプリケーションや背景情報について
記載されています。
www.rohde-schwarz.com/application/ts7124 を参照してください。
1.3 表記
本ハンドブックでは、R&S TS7124AS を「チャンバー」または「製品」と呼びます。
本ハンドブックで用いられる表記規則について説明します。
表記 説明
[Keys] コネクタ、キー、ノブの名前は角括弧で囲まれています。
Filenames, commands,
program code
リンク クリックできるハイパーリンクは、青色の文字で表記します。
太字または
"引用" テキストまたは用語を引用する場合、それらを引用符で囲みます。
イタリック体
ファイル名、コマンド、プログラムコード、スクリーン表示文字は、セ
リフ(明朝体)フォントで表記します。
テキストを強調表示する際、太字またはイタリック体を使用します。
ヒント
ヒントにはこの例に示すマークが付いており、ここで役立つヒントや代替方法が得られ
ます。
メモ
メモにはこの例に示すマークが付いており、重要な追加情報が示されています。
9手順ハンドブック 1179.2948.18 ─ 02

残留リスク
2 安全
Rohde & Schwarz 企業グループの製品は、最高の技術基準に従って製造されています。
本ハンドブックに記載されている指示に従ってください。製品ドキュメントを近くに
保管し、他のユーザーが閲覧できるようにしてください。
チャンバーは、本来の使用目的および性能制限内でのみ使用してください( 2.1,「本
来の使用目的」 (10 ページ)およびデータシートを参照)。チャンバーの調整および構
成変更は、必ず、製品ドキュメントの説明に従って行ってください。それ以外の変更ま
たは追加は、安全に影響を及ぼすおそれがあるので行わないでください。
安全のため、チャンバーの取り扱いは、トレーニングを受けた要員のみが行ってくださ
い。トレーニングを受けた要員は、安全対策に精通し、割り当てられたタスクの実行中
に発生する可能性がある危険な状況を回避する方法を理解しています。
本チャンバーに損傷または破損している箇所がある場合は、使用を中止してください。
Rohde & Schwarz の認可を受けたサービス担当者のみが、本チャンバーを修理すること
ができます。Rohde & Schwarz のカスタマーサポート(www.customersupport.rohde-
schwarz.com)までお問い合わせください。
安全R&S®TS7124AS
●
本来の使用目的......................................................... 10
●
残留リスク............................................................. 10
●
潜在的に危険な状況..................................................... 11
●
本ハンドブックの警告メッセージ......................................... 14
●
チャンバーに貼られているラベル......................................... 14
2.1 本来の使用目的
チャンバーは、産業環境、管理環境、ラボ環境での電子部品および電子機器の放射テス
トに使用することを想定しています。 6.1,「使用場所の選択」 (25 ページ)を参照し
てください。チャンバーは、本ハンドブックの説明に従って、指定された用途にのみ使
用してください。データシートに記載されている動作条件と性能制限に従ってくださ
い。適切な使用方法について不明な点があれば、Rohde & Schwarz カスタマーサポート
にお問い合わせください。
2.2 残留リスク
本質的安全設計方策、安全防護及び付加保護方策を実施しているにも関わらず、以下の
事実により、残留リスクが残ります。
チャンバーは重量がある
アクセサリおよびアンテナケージを除くチャンバーの質量は、約 34 kg です。チャンバ
ー全体の質量は、最大で約 45 kg になる可能性があります。チャンバーの下敷きになる
と、重傷を負ったり、死亡に至るおそれがあります。
10手順ハンドブック 1179.2948.18 ─ 02

安全R&S®TS7124AS
潜在的に危険な状況
チャンバーがラックのレールに取り付けられている場合は、チャンバーをラックから引
き出す時に一緒に重心が移動します。ラックが倒れると、重傷を負ったり、死亡に至る
おそれがあります。
チャンバーのドアは重量がある
ドアを開く時に一緒に重心が移動します。チャンバーが倒れると、重傷を負ったり、死
亡に至るおそれがあります。
チャンバーがラックのレールに取り付けられている場合は、チャンバーをラックから引
き出す時に同時にドアを開くと、重心の移動が大きくなります。
動くドア
ドアが閉まるきっかけを与えると、ドアはゆっくり閉まり始めます。ソフトクローズ機
構を内蔵しているため、指が入る隙間(最大 8 mm)がある場合にドアが勢いよく閉まる
のを防ぎます。ただし、この安全機構が機能しなかった場合には、ドアが勢いよく閉ま
り、ドアとドアフレームの間に指が挟まり、指が押しつぶされてしまいます。手足が欠
損するおそれさえあります。
この安全機構については、 3.2,「自動緊急停止」 (16 ページ)で詳しく説明していま
す。
ソフトクローズ機構が正常に作動しない場合
[X21]コネクタの安全キャップ(図 6-10)は、コネクタのピンを保護します。コネクタ
は、背面の電源供給/制御パネル(図 4-3 のラベル 3)にあります。安全キャップがな
いと、これらのピンの偶発的な短絡によって、ソフトクローズ機構が働かなくなる可能
性があります。安全機構が働かないと、ドアは勢いよく完全に閉まります。指がドアと
ドアフレームの間に挟まれて押しつぶされます。手足が欠損するおそれさえあります。
そのため、コネクタ[X21]は常に、安全キャップか、押しボタンスイッチユニットで覆
ってください(図 4-4)。
電動
リスク、設置要件、安全対策については、「電源への接続」 (13 ページ)で説明しま
す。
空気圧式ドア
6 bar の圧力で空気圧システムに圧縮空気を供給します。圧力が 7 bar の制限を超えた
場合は、チャンバーは仕様範囲外の条件下で動作します。 7 bar を超える圧力でドアを
操作した場合には、抑えられない状態になり、指が押しつぶされるなどの怪我をするお
それがあります。 6.4,「圧縮空気の接続」 (32 ページ)を参照してください。
2.3 潜在的に危険な状況
潜在的に危険な状況は、以下の作業中に発生する可能性があります。
11手順ハンドブック 1179.2948.18 ─ 02

安全R&S®TS7124AS
潜在的に危険な状況
輸送
現地の規則および規定に適合した適切な保護服を着用してください。使用する機器が
わからない場合は、安全管理監督者におたずねください。例えば、手袋の着用により、
チャンバーを運ぶ際に、ハンドルをしっかり握り続けることができます。手袋を着用し
ないと、摩擦が少なく、手が油っぽかったり濡れていたりすると、グリップが滑る可能
性があります。その結果、チャンバーが落下して、自身や誰か他の人の足が押しつぶさ
れるおそれがあるため、チャンバーを移動する場合は、つま先部に耐衝撃性能を備えた
安全靴を常に着用してください。
チャンバーを移動する場合は、たとえ短距離であっても、必ずドアを固定してくださ
い。正しいやり方の詳細については、 5.3,「保護」 (23 ページ)を参照してくださ
い。ドアが固定されておらず、チャンバーの運搬中に開いてしまうと、重心が移動しま
す。そうすると、運搬者の 1 人に突然過剰な荷重がかかってしまいます。スライドドア
は最後まで行くと急停止するため、強力な推力が発生します。運搬者が過剰な荷重に対
応できなかったり、ハンドルから手を放してしまった場合には、チャンバーが落下し
て、重傷を負ったり、死亡に至るおそれがあります。
チャンバーは重量があります。チャンバーは、一人で移動したり、持ち上げたり、運搬
したりしないでください。一人で安全に運べる最大重量は 18 kg です(年齢、性別、健
康状態により異なります)。最低でも 2 人の人員が必要です。人員が少ないと、あまり
にも重いものを持ち上げたことによる背部損傷から、挫傷や四肢欠損などの重傷まで
(チャンバーを落とした場合)、怪我をするリスクがあります。
脊髄や背部の障害などの医学的疾患を抱えている場合、または身体的に重いチャンバー
を持ち上げられるような状態にない場合は、チャンバーの運搬に参加しないでくださ
い。
チャンバーの移動や運搬には、ハンドルを使用します。ハンドルの位置については、 4,
「マシンの概要」 (18 ページ)を参照してください。
チャンバーを安全に運ぶために、リフトトラックやフォークリフトなどのリフト装置ま
たは運搬装置を使用できます。装置メーカー提供の取扱説明書に従ってください。
詳細な手順については、 5.1,「持ち上げと運搬」 (22 ページ)を参照してください。
セットアップ
チャンバーの重さに耐えられるだけの頑丈な台の上に、チャンバーを置いてください。
床に固定するなどして、台を転倒から守ってください。メーカーの仕様をよく確認して
ください。チャンバーは平らな水平面に、底を下方に向けて置いてください。台が十分
に頑丈でない場合は、倒壊する可能性があります。また、台が水平でないと、チャンバ
ーが台から滑り落ちる可能性があります。どちらの場合も、重傷を負ったり、死亡に至
るおそれがあります。
チャンバーを適切な場所に配置したら、図 6-2 に示すように固定します。チャンバー
を固定しないと、ドアを開いた時に倒れる可能性があります(「チャンバーのドアは重
量がある」 (11 ページ)を参照)。
トレーニングを受けた要員のみに立ち入りが許される制限エリアを設定します。制限
エリアでは、ドアを完全に開くために必要な床のスペースに印を付けます。
ケーブルを注意して配線し、たるんだケーブルに人がつまずかないようにしてくださ
い。
12手順ハンドブック 1179.2948.18 ─ 02

安全R&S®TS7124AS
潜在的に危険な状況
詳細な手順については、 6.3,「チャンバーの取り付け」 (27 ページ)および 6.7,「ア
クセス制限ゾーンの定義」 (39 ページ)を参照してください。
電源への接続
チャンバーは、付属の外部電源ユニットが供給する 24 V DC で動作します。この電源ユ
ニットは、過電圧カテゴリー II です。家電製品および同様の負荷などのエネルギー消
費機器への給電に使用される固定装置に接続します。感電、火災、怪我、さらには死亡
事故などの電気的リスクがあることに注意してください。
安全のために、以下の対策を講じてください。
●
電源ユニットを電源(主電源グリッド)に接続する前に、その電源の電圧および周
波数[INPUT]レンジが電源ユニットの表示と一致していることを確認します。
●
必ず、チャンバーに付属の外部電源ユニットを使用してください。このケーブル
は、国固有の安全要件に適合しています。
●
また、16 A サーキットブレーカー(分岐回路保護)によって保護されている電源に
電源ユニットを接続する必要があります。
●
電源ユニットをいつでも電源から切断できるようにしてください。電源プラグを
抜いて、チャンバーを電源から切断してください。電源プラグは、簡単に抜き差し
できなければなりません。
●
チャンバーへの電源供給を直ちに遮断するためには、容易に手が届く場所に非常ボ
タン(電源オフスイッチ、付属していません)を設置します。
ドアの操作
ドアを開閉するには、チャンバーの横に立ってボタンを押します。ドアをリモート操作
することもできます。いずれの場合も、ドアのガイドレール上、またはドアとドアフレ
ームの間に指を入れないようにしてください。以下のような安全規則を定めます。
●
ドアの手動操作中は、制限エリア内に立ち入ることができるのは、ボタンを押す人
に限られます。ボタンを押したら、後ろに下がってチャンバーから離れます。
●
ドアのリモート操作中は、誰も制限エリア内に立ち入ることはできません。
●
操作中は、DUT を交換する場合を除き、手をチャンバーに入れないでください。DUT
交換中は、誰もドアを操作することはできません。
チャンバーは、本来の設計どおりに使用してください。安全装置には、絶対に手を加え
ないでください。
詳細な手順については、 7.3,「ドアの操作」 (45 ページ)を参照してください。
メンテナンス
必要に応じて、メンテナンス作業を実施してください。そうすることにより、チャンバ
ーの完璧な機能を確保します。その結果、チャンバーを使って作業をするすべての人の
安全が確保されます。詳細な手順については、 9,「検査とメンテナンス」 (56 ページ)
を参照してください。
清掃
9.4.3,「チャンバーの清掃」 (58 ページ)および 9.4.4,「ガスケットの清掃」
(59 ページ)を参照してください。
13手順ハンドブック 1179.2948.18 ─ 02

2.4 本ハンドブックの警告メッセージ
警告メッセージは、注意が必要なリスクや危険を指摘します。シグナルワード(危険・
警告・注意などの表記)は、安全上の危険の深刻度、および安全上の注意事項に従わな
かった場合の発生の可能性を示します。
警告
潜在的危険がある状況。回避しない場合、死亡または重大な怪我の危険があります。
注意
潜在的危険がある状況。回避しない場合、軽度または中程度の怪我の危険があります。
注記
損傷の潜在的危険。サポートされる製品またはその他の資産の損傷につながる可能性
があります。
安全R&S®TS7124AS
チャンバーに貼られているラベル
2.5 チャンバーに貼られているラベル
以下のシンボルが記されたラベルは、チャンバーの危険な場所を示します。さらに、本
ハンドブックの各セクションにおける特定のリスクについての説明では、関連するシン
ボルのマークが欄外に示されています。マークには、以下の意味があります。
マーク 説明
潜在的な危険
怪我や製品の損傷を避けるために、製品ドキュメントをお読みください。
指が押しつぶされるリスク
ドアを操作する場合は注意してください。参照先:
●
「動くドア」 (11 ページ)
●
「ドアの操作」 (13 ページ)
本ハンドブックの指示に従ってください。
チャンバーは重量がある
重いユニットの質量> 34 kg(通常、最大 45 kg)を示します。
チャンバーを持ち上げ、移動、運搬する場合は注意してください。チャンバー
は、十分な人数で、または運搬機器を用いて運搬してください。参照先:
●
「チャンバーは重量がある」 (10 ページ)
●
「輸送」 (12 ページ)
グランド端子
「電源接続を準備する手順」 (37 ページ)を参照してください。
処分
チャンバーは、通常の家庭ゴミと一緒に処分しないでください。
11,「無効化と廃棄」 (63 ページ)を参照してください。
14手順ハンドブック 1179.2948.18 ─ 02

安全R&S®TS7124AS
チャンバーに貼られているラベル
法規制に関する情報が記載されたラベルについては、 1.1,「法規制に関する情報」
(7 ページ)で説明しています。
15手順ハンドブック 1179.2948.18 ─ 02

3 緊急事態
想定される緊急事態は、ソフトクローズ機構が正常に作動していないことが原因である
可能性があります。障害物があるために閉まらない場合は、ドアが停止します。自動緊
急停止を参照してください。
ただし、ソフトクローズ機構が正常に作動しない場合に手でドアを閉める際、ドアとチ
ャンバーのフレームの間に手を挟まれるおそれがあります。その場合は、緊急停止を使
用してください。
3.1 緊急停止
チャンバーのドアをすぐに停止させるには、電力供給を遮断します。
電力供給を遮断する手順
1. 電源をオフにする非常ボタンを押します。
「電源接続の前提条件」 (37 ページ)を参照してください。
緊急事態R&S®TS7124AS
自動緊急停止
2. 非常ボタンが設置されていない場合は、以下の手順に従ってください。
●
電源ユニットをグリッド電源ソケットから引き抜きます。
●
または、DC プラグをチャンバーの背面にあるソケットから引き抜きます。
図 7-1 を参照してください。
電力供給の遮断には、次のような効果があります。
●
ドアの動きが即座に停止します。
●
押しボタンスイッチユニット(設置されている場合)のライトが、ドアの状態に関
係なくオフになります。
ドアの横にあるステータス LED もオフになります。
●
空気圧システムが減圧され、ドアは作動する力のない状態になります。単なる摩擦
抵抗に逆らって、ドアを押して手動で開閉することができます。
チャンバーを再稼働させるには、 7.1,「チャンバーをアクティブにする」 (43 ページ)
に記載されている手順に従ってください。
3.2 自動緊急停止
通常操作中は、ドアが強い力でしっかり閉まるため、十分なシールド効果が得られま
す。このような強い力によるドアの閉鎖による怪我を防ぐために、ドアのソフトクロー
ズ機構は、閉じる寸前(残りの隙間が最大 8 mm)まで、より弱い力で動きます。このよ
うな低圧力での閉鎖を停止させる障害物がない場合にのみ、ドア機構は高圧力に切り替
わり、最後の 8 mm の隙間がなくなります。
16手順ハンドブック 1179.2948.18 ─ 02

3.2.1 タイムアウトによる自動緊急停止
ドアがタイムアウト期間内に開閉しない場合は、制御システムが ERROR モードに切り
替わり、空気圧システムが自動的に減圧され、ドアは作動する力のない状態になりま
す。機能の無効化(停止)は、オペレーターがチャンバーとドアの間に手や指を挟ま
れ、押しボタンスイッチユニットが押せなくなる事態を回避します。
通常は、以下の理由により、ドアがタイムアウト期間内に開閉しない可能性がありま
す。
●
ドア速度が非常に低速に設定されている場合は、タイムアウト値に合わせて調整し
ます。 6.8,「ドア速度の調整」 (41 ページ)を参照してください。
●
TIMEOUT 値が非常に小さく設定されている場合は、ドア速度に合わせて調整しま
す。TIMEOUT:<seconds> (54 ページ)を参照してください。
●
障害物がドアの邪魔になっている場合は、以下の手順に従ってください。
チャンバーを再稼働させる手順
1. ドアから障害物を取り除きます。
緊急事態R&S®TS7124AS
自動緊急停止
2. 24 V DC 電源ユニットをチャンバーから切断します。
3. 7.1,「チャンバーをアクティブにする」 (43 ページ)の説明に従って、チャンバ
ーを再稼働させます。
6.6,「安全システムのテスト」 (38 ページ)の説明に従って、ドアのソフトクローズ
機構が適切に機能することを検証できます。
17手順ハンドブック 1179.2948.18 ─ 02

4 マシンの概要
この章では、チャンバーのすべてのコンポーネントについて説明します。これらのコン
ポーネントの機能および用途については、 7,「操作」 (43 ページ)を参照してくださ
い。
チャンバー用のアクセサリについては、構成マニュアルを参照してください。
●
フロント側の詳細....................................................... 18
●
リア側の詳細........................................................... 20
●
押しボタンスイッチユニット............................................. 21
4.1 フロント側の詳細
マシンの概要R&S®TS7124AS
フロント側の詳細
図 4-1: 開いているチャンバーの正面図
1 = DUT 交換用のドア(引き出しとも呼ばれる)
2 = チャンバーのドアを密閉するために弾性を有する平面座(RF)ガスケットで埋められた 2 つの溝
3 = 空気圧シリンダー
4 = ドアのガイドレール
5 = チャンバー運搬用ハンドル。 5.1,「持ち上げと運搬」 (22 ページ)を参照
DUT をチャンバー内に配置するには、ドア(1)を開けます。バージョン 1525.8587.12
のチャンバー(上の図を参照)のドアの中央には 2 個の開口部があり、チャンバー内の
DUT へのフィードスルー(オプション)を搭載することができます。フィードスルーの
取り付け、取り外し、交換は、エキスパートユーザーだけが行うことができます。
2 本の空気圧シリンダー(ラベル 3、両側に 1 本ずつ)がドアを開閉します。ガイドレ
ールが 2 本あり(4)、安定性を確保します。
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フロント側の詳細
ポリマーガスケット(2)は、チャンバーから、チャンバーへの RF 放射漏れを防ぐため
に、導電性の高いニッケルでコーティングされています。ガスケットに触れたり、汚し
たりしないでください。ドアのガスケットは、長期にわたり何回もの開閉サイクルで非
常に高い弾性を発揮します。 5.5,「ストレージ」 (24 ページ)を参照してください。
チャンバーには、ドアの状態を示すステータス LED があります。
図 4-2: ドアの横にあるステータス LED
ドアの操作については、 7.3,「ドアの操作」 (45 ページ)を参照してください。
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4.2 リア側の詳細
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リア側の詳細
図 4-3: チャンバーの背面図
1 = 内部構成およびサービス用の上部カバー(エキスパートユーザーのみ)
2 = チャンバー内のアンテナ用の番号付き RF フィードスルーコネクタ(エキスパートユーザーのみ)
3 = 電源供給/制御パネル。第 章を参照 6.5,
4 = チャンバー内のアンテナへのフィードスルー(オプション、エキスパートユーザーのみ)
5 = マウントブラケット用の 2 個の背面ねじ穴(付属)
6 = ドア速度の調整(開閉)用の 2 個の制御ねじ
7 = 圧縮空気供給用コネクタ
8 = グランド端子(グランド接点)
チャンバー内の上部カバー(1)は、16 個のねじで固定されています。エキスパートユ
ーザーだけがカバーを開けることができます。
RF フィードスルーコネクタ(2)により、RF 信号をチャンバーの背面壁を通してチャン
バー内のアンテナに供給することができます。RF ケーブルの接続、切断、交換は、エ
キスパートユーザーだけが行うことができます。
オプションの RF フィルター付きフィードスルーの場合、背面壁に 3 個の開口部(4)が
あります。使用されていない開口部は、何も書かれていない金属板で覆われています。
これらの開口部のフィードスルーにより、RF 信号を壁を通してアンテナまたはチャン
バー内の他の機器に供給することができます。金属板やフィードスルーの交換、フィー
ドスルーのケーブルの接続、切断または交換は、エキスパートユーザーだけが行うこと
ができます。
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4.3 押しボタンスイッチユニット
押しボタンスイッチユニットはオプションの手動制御デバイスで、ボタンを押すだけで
チャンバーを開閉できます。 7.3.2,「押しボタン式ドア操作」 (45 ページ)を参照し
てください。
R&S TS-F24SB1(オーダー番号 1525.8712.03)には、ノンラッチ式押しボタンスイッチ
があります。
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押しボタンスイッチユニット
図 4-4: 押しボタンスイッチユニット(ケーブルとコネクタ付き)
スイッチユニットは、チャンバーのリア側にある制御アレイ内の 25 ピン D-Sub コネク
タ [X21](図 4-3 のラベル 3)に接続します。
表 4-1: 押しボタンスイッチユニットの仕様
パラメータ 値
コネクタタイプ D-Sub 25 ピン、メス
ケーブル長 2 m
スイッチユニットの寸法(幅×奥行き×高さ) 72 mm x 80 mm x 56 mm
EMC の理由から、スイッチユニットのケーブルの長さは、最長 2 m に制限されます。
押しボタンスイッチユニットは、修理可能なパーツではありません。不具合がある場合
や、正常に動作しない場合は、交換してください。
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