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Yamaha Sound System Simulator Y-S3
取扱説明書 V3.0
Yamaha Sound System Simulator
~ Y-S3 Version 3.0 ~
取 扱 説 明 書
© 2014 ヤマハ株式会社
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Yamaha Sound System Simulator Y-S3
取扱説明書 V3.0
ソフトウェアのご使用条件
弊社では本ソフトウェアのお客様によるご使用およびお客様へのアフターサービスについて、<ソフトウェア使用許諾
契約>を設けさせていただいており、お客様が下記条項にご同意いただいた場合にのみご使用いただけます。
本ソフトウェアのダウンロード、インストール、コピー、その他のご使用をされた場合には下記条項にご同意いただけた
ものとさせていただきますので、下記条項を十分お読みください。ご同意いただけない場合は、ダウンロード、インスト
ール、コピー、その他のご使用をおやめください。すでにダウンロードやインストールをしたが、下記条項にご同意い
ただけないという場合には、すみやかに本ソフトウェアを削除してください。
ソフトウェア使用許諾契約
1. 著作権および使用許諾
弊社はお客様に対し、ソフトウェアプログラムおよびデータファイル(以下「本ソフトウェア」といいます)を使用する権利
を許諾します。本契約条項は、今後お客様に一定の条件付きで配布され得る本ソフトウェアのバージョンアッププログ
ラム、データファイルにも適用されるものとします。本ソフトウェアの権利およびその著作権は、弊社または弊社のライ
センサーが有します。本ソフトウェアの使用によって作成されたデータの権利はお客様が取得しますが、本ソフトウェ
アは、関連する著作権法規のもとで保護されています。
• お客様ご自身が一時に一台のコンピューターにおいてのみ使用することができます。
• バックアップが許されているものは、バックアップをとる目的でのみ、機械で読み取れる形式での本ソフトウ
ェアのコピーを作成することができます。ただし、そのバックアップコピーには本ソフトウェアに表示されてい
る弊社の著作権の表示や他の権利帰属についての説明文もコピーしてください。
• お客様は、本ソフトウェアを使用する権利を第三者に譲渡することができますが、それは、お客様が本ソフト
ウェアのコピーを保持せず、かつ譲受人が本契約事項に同意する場合に限られます。
2. 使用制限
本ソフトウェアの使用にあたっては、次のことを遵守してください。
• 本ソフトウェアには著作権があり、その保護のため、お客様が本ソフトウェアを逆コンパイル、逆アセンブル、
リバース・エンジニアリング、またはその他のいかなる方法によっても、人間が感得できる形にすることは許さ
れません。
• 本ソフトウェアの全体または一部を複製、修正、改変、賃貸、リース、頒布または本ソフトウェアの内容に基
づいて二次的著作物をつくることは許されません。
• 本ソフトウェアをネットワークを通して別のコンピューターに伝送したり、ネットワークで他のコンピューターと
共有することは許されません。
• 本ソフトウェアを使用して、違法なデータや公序良俗に反するデータを配信することは許されません。
• 弊社の許可無く本ソフトウェアの使用を前提としたサービスを立ち上げることは許されません。
3. 終了
本契約はお客様が本ソフトウェアをお受け取りになった日に発効します。本契約は、お客様が著作権法または本契約
条項にひとつでも違反されたときは、弊社からの終了通知がなくても自動的に終了するものとします。その場合には、
ただちに本ソフトウェアとそれに関するドキュメンテーション、およびそれらのコピーをすべて廃棄しなければなりませ
ん。
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4. 本ソフトウェアに関する保証
本ソフトウェアのご使用についての一切のリスクはお客様のご負担となります。本ソフトウェアの商品性、特定の目的へ
の適合性、第三者の権利を侵害しないことの保証は明示であると黙示であるとを問わず、一切いたしません。特にお
客様の目的に適合することや、ソフトウェアの操作が中断されないことやソフトウェアの欠陥や瑕疵が修正されることの
保証はいたしません。
5. 責任の制限
弊社の義務は、お客様に本契約事項の条件で本ソフトウェアの使用を許諾することがすべてです。弊社は、本ソフト
ウェアの使用、誤用またはそれを使用できなかったことにより生じた直接的、派生的、付随的または間接的損害(デー
タの破損、営業上の利益の損失、業務の中断、営業情報の損失などによる損害を含む)については、通常もしくは特
別の損害に拘わらず、たとえそのような損害の発生の可能性について予め知らされた場合でも、一切責任を負いませ
ん。すべての損害、損失、契約や違法行為等に対する訴訟申し立てについて、いかなる場合も、お客様に対する弊
社の責任は、お客様がソフトウェアの購入のために支払った金額を超えることはありません。
6. 第三者のソフトウェア
弊社は、本ソフトウェアとともに、第三者のプログラム、データファイルおよびそれに関するドキュメンテーション (以下
「第三者ソフトウェア」といいます)を提供する場合があります。別の規定に従い取り扱われるべき旨の記載が、本ソフト
ウェア付随のマニュアルに記載されている場合には、本契約条項にかかわらず、その別の規定に従い取り扱われるも
のとし、弊社によるアフターサービスおよび保証などについては、以下の規定が適用されるものとします。
• 弊社は第三者ソフトウェアに関しての操作方法、瑕疵その他に関してアフターサービスを提供するものでは
ありません。
• 弊社は、明示であると黙示であるとを問わず、第三者ソフトウェアの商品性、および特定目的に対する適合
性の保証その他一切の保証をいたしません。第三者ソフトウェアの使用もしくは機能から生じるすべての危
険は、お客様のご負担となります。
• 弊社は、第三者ソフトウェアの使用、誤用、またはそれを使用できなかったことにより生じた直接的、派生的、
付随的または間接的損害(データの破損、営業上の利益の損失、業務の中断、営業情報の損失などによる
損害を含む)については、通常もしくは特別の損害に拘わらず、たとえそのような損害の発生が予め知らさ
れた場合でも、一切責任を負いません。
7. 一般事項
本契約条項は、弊社の権限ある者の署名のある書面によらない限り、改訂することはできません。本契約事項は、日
本法の適用をうけ、日本法に基づいて解釈されるものとします。本契約に関し紛争が生じた場合には東京地方裁判
所を専属管轄裁判所とします。
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動作環境
Windows 8/8.1 (32bit, 64bit)、 Windows 7 (32bit, 64bit)
*1
、 Windows XP Professional
サウンドカード
16-bit 44.1 kHz Stereo
ハードディスク
2 GB以上の空き容量(但し、使用条件により、必要な空き容量は変化します)
1024× 768ピクセル以上、 256色以上、96 dpi(Normal)
*2
ビデオカード:DirectX 9.0C 対応*3、搭載メモリ256MB 以上
ご注意
Y-S 3が起動している状態で、下記のような動作が発生した場合、Y-S 3が異常終了することがあります。異常終了した場合
は、コンピューターを再起動してください。
・ OS の電源オプション、または、終了オプションにて、スタンバイ、または、休止状態になり、復帰した場合
・ OS のユーザー切り替えにてユーザーを切り替えた場合
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*1
Windows 7 をお使いの場合、コンピューターの CPU、メモリ、ビデオカードによっては、画面のちらつきや、画像出力、レポート出
力において、出力画像に不具合が生じる場合があります。[スタート]-[コントロールパネル]-[システムとセキュリティ]-[管理ツ
ール/サービス]より、Desktop Window Manager Session Manager のサービスを停止すると、改善される場合があります。
*2
画面の DPI設定が 96dpi以外の場合、表示が崩れる場合があります。画面のプロパティ設定の画面の色は 32bit を推奨します。
また、画面の解像度によっては表示が崩れる場合がありますが、ウインドウサイズを調整することで改善される場合があります。
*3
ビデオカードのドライバーを更新することで、使用できる場合があります。詳しくは、お使いのコンピューターの製造元等にお問
い合わせ下さい。
インストール方法
1. 「 Y-S3」フォルダーをダブルクリックします。
「 setup.exe」という実行ファイルが表示されます。
2. 「 setup.exe」をダブルクリックします。
Y-S3のセットアップダイアログが表示されます。
3. 画面の指示に従ってインストールを実行します。
4. インストール後、コンピューター上(デフォルトでは「 Program Files¥YAMAHA¥Y-S3」フォルダー)に Y-S3のフォルダーが追加さ
れます。
スピーカーデータのインストール方法
1 . 使用するスピーカーのデータパッケージをヤマハプロオーディオサイト
(http://www.yamahaproaudio.com/japan/ja/downloads/firmware_software/speaker_simulator/)よりダウンロードします。
2. zip されたフォルダーを解凍すると、「 install.vbs」という実行ファイルが表示されます。
3. 「 install.vbs」をダブルクリックします。
4. 画面の指示に従ってインストールを実行します。
5. インストール後、コンピューター上の Y-S3フォルダーにスピーカーデータが追加されます。
アンインストール方法
1. [スタート]-[コントロールパネル]-[プログラムの追加と削除]を選びます。[プログラムの追加と削除]ダイアログが開きます。
2. Y-S3 Yamaha Sound System Simulator の[削除]をクリックします。
3. ダイアログが表示されますので、画面の指示に従ってアンインストールしてください。
NOTE:ご使用の OS によりメニュー名やボタン名などが異なる場合があります。
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目次
1. Y-S3の基本操作 ............................................................................................................. 7
• 概要 .................................................................................................................................................. 7
• スタートアップ ............................................................................................................................... 7
• プロジェクト画面:計算結果の表示(第 6 章) .......................................................................... 10
• プロジェクトの保存・読み込み .................................................................................................... 12
2. 室形状・受音面の設定 .................................................................................................. 13
• 概要 ................................................................................................................................................ 13
• 新規プロジェクトの開始 ............................................................................................................... 13
• 室内形状・受音面の設定 ............................................................................................................... 13
• 室形状の再編集 ............................................................................................................................. 15
3. プロジェクトプロパティの編集 ................................ ................................ ......................... 16
• 概要 ................................................................................................................................................ 16
• プロジェクト( Project) .............................................................................................................. 16
• 計算条件( Calculation) .............................................................................................................. 16
• シグナルプロセッサー、アンプ電源電圧(System ).................................................................. 18
• その他、単位、受音面、壁面コンター表示など(Others ) ....................................................... 19
4. スピーカーの設置 ......................................................................................................... 20
• 概要 ................................................................................................................................................ 20
• スピーカーのインストール ........................................................................................................... 20
• スピーカーの設置( Add Speakers) ........................................................................................... 20
• マニュアルレイアウト( Enclosure type - Manual layout) ...................................................... 21
• オートレイアウト( Enclosure type - Auto layout) ................................................................... 23
• ディストリビューテッド( Distributed) .................................................................................... 24
5. スピーカーの各種条件の設定 ........................................................................................ 28
• 概要 ................................................................................................................................................ 28
• アップデート( Update) ............................................................................................................. 28
5-1. アレイスピーカー ................................ ................................ ................................ ........... 29
• アレイスピーカーの選択、オン /オフ、名前の変更・削除、保存・読み込み(Speaker List) . 29
• アレイスピーカーの各種条件設定(Speaker Property - Property) ......................................... 30
• 出力コンフィグレーションの設定(Speaker Property - Config) ............................................. 32
• アレイスピーカーの指向特性( Speaker Property - Balloon) .................................................. 35
• アレイスピーカーのイメージ表示(Speaker Property - Picture) ............................................ 36
• オートチューニング機能( Auto tuning) ................................................................................... 36
5-2. ディストリビューテッドスピーカー .................................................................................... 39
• ディストリビューテッドスピーカーのオン/ オフ、名前の変更・削除、設置平面へのスピーカーの
追加 ....................................................................................................................................................... 39
• ディストリビューテッドスピーカーの各種条件設定(Speaker Property - Property) ............ 40
• 出力コンフィグレーションの設定(Speaker Property - Config) ............................................. 42
6. 計算結果の表示 ........................................................................................................... 44
• 概要 ................................................................................................................................................ 44
• コンター図 ..................................................................................................................................... 44
• 音圧分布図 ..................................................................................................................................... 45
• 周波数特性グラフ .......................................................................................................................... 46
7. シミュレーション結果のレポート ...................................................................................... 48
• 概要 ................................................................................................................................................ 48
• Project Report ............................................................................................................................... 48
• プロジェクトレポート作成・保存方法 ......................................................................................... 48
• テキストデータの保存 .................................................................................................................. 49
• 画像データの保存 .......................................................................................................................... 49
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• プロダクトリストの保存( Product List) ................................................................................... 49
8. DME フォーマットでのコンフィグレーションの保存 ........................................................... 50
9. その他の機能 ............................................................................................................... 51
• インプットレベルの補正( Input Level Negotiation) ............................................................... 51
10. 計算方法について ......................................................................................................... 52
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1. Y-S3の基本操作
• 概要
Y-S3は、室の形状や大きさ、スピーカーの機種や設置条件、アンプやプロセッサーの各種設定条件などを入力することにより、
客席内での応答を計算し、その計算結果や受音面でのコンター図、音圧分布図などの表示をもとに出力系システムの構築を
行うための、スピーカーシステム設計支援ソフトウェアです。
• スタートアップ
デスクトップの Y-S 3アイコンをダブルクリックするか、[スタート]-[すべてのプログラム]-[YAMAHA]-[Y-S3]を選択して、
プログラムを起動します。起動するとプロジェクト初期画面が表示されます。
プロジェクト初期画面の ボタンをクリックして新規プロジェクトを作成します。
Select Venue Geometry において、 Venue Type(室の形状)や床の形状、階数、受音面の高さを選択します。
(⇒ 第 2 章)
をクリックして室のサイズや傾斜、 2 階以上の床の形状を階ごとに設定します。
(⇒ 第 2 章)
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任意のアレイタイプを選択し、設置座標と角度を入力します。シンメトリー配
置も可能です。エリア内において自由度の高い配置が可能です。
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すべての階の設定を終えたら をクリックします。プロジェクト画面に Aspect View 、Speaker Property 、Speaker List 、
Graph が表示され、 Aspect View には設定した室が表示されます。 Speaker List の ボタンをクリックして Add
Speakers ウィンドウを開き、スピーカーを設置します。
(⇒第 4 章)
Add Speakers ウィンドウのリストボックスよりスピーカーの設置方法を下記( Enclosure type - Manual layout / Enclosure type Auto layout / Distributed)の 3 つから選択し、設置条件を入力します。
( ⇒ 第 4 章)
Enclosure type - Manual layout
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システムタイプを選択すると、自動的に室の大きさや形状に最適なアレイタ
イプとその設置座標を算出して配置します。室の規模や形状が極端な場合
や、サークルタイプの室には対応していません。
室の天井や壁などに設置平面を設定し、スピーカーの分散配置を行いま
す。各スピーカーの受音面でのカバーエリアを設定して自動的に配置する
方法(Coverage )と、設置平面上のスピーカーの配置を任意に設定する方法
(Grid )の 2 種類があります。
Enclosure type - Auto layout
Distributed
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設定を終えると、プロジェクト画面の Aspect View 、Speaker Property 、Speaker List 、Graph に入力した設定条件や計算結果が
反映されます。
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保存してあるプロジェクトファイル( .ses)を読込みます。(第 1 章)
プロジェクトファイル( .ses)を保存します。(第 1 章)
DME コンフィグレーションファイル( .daf)を保存します。(第 8 章)
プロジェクトレポートファイル( .html)を作成し保存します。(第 7 章)
プロジェクトプロパティ設定ダイアログを開きます。(第 3 章)
プロダクトリストを開きます。開いたリストは CSV 形式(.csv )で保存すること
ができます。(第 7 章)
Top View、Front View、
Right-Side View、 3D View
Aspect View および Balloon ビュー、 Picture ビューの視点を変更します。
Aspect View に対して、拡大・縮小が可能です。
Aspect View ウィンドウ内でマウスホイールの操作に対応します。
Turn Down、 Turn Up、
Turn Left、 Turn Right
表示図形を回転します。 3D View のときのみ、 Aspect View および
Balloon ビュー、 Picture ビューに対して有効です。
Aspect View ウィンドウ内でマウス左ボタンのドラッグ操作に対応します。
Move Up、 Move Down、
Move Left、 Move Right
Aspect View に対して、画面表示の移動が可能です。
Aspect View ウィンドウ内でマウス右ボタンのドラッグ操作に対応します。
表示図形の回転、ズーム、画面表示の移動が初期の値に戻ります。
Link to Y-S3 Information on the web
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• プロジェクト画面:計算結果の表示(第 6 章)
ツールバー( Tool Bar)
表:メインツールバーの各ボタンの名称と機能
複数 の プロジ ェ クト を 開 いてい る 場 合に 、 プロジ ェ クト ウ ィン ドウ の 配置 を 変 更する に は、 [Window(W) ] メニ ュ ーか ら
[Cascade(C) ]または[Tile(T) ]を選択します。
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中心周波数と帯域幅(1/1 、1/3 、1/6 、FFT )を選びます。計算結果が Aspect
Viewや Balloon ビュー、 Graph に反映されます。
Speaker List のチェックボックスで選択されたスピーカーの音圧分布図が
Aspect View に表示されます。
ターゲットポイントを表示しているアレイスピーカーのコンター図が表示さ
れます。コンターは、アレイスピーカーまたはスピーカーから最も近いター
ゲットポイントの音圧から、-3dB (赤)、-6dB(橙)、-9dB (緑)の3 種類です。
スピーカーをフロア上に配置した場合など、ターゲットポイントが受音面上
にない場合や壁面(1 階のみ)あるいは床面にさえぎられている場合はコ
ンタ ー 図 が 表 示さ れません 。 ま た 、 Enclosure type - Auto layout や
Enclosure type - Manual layout においてシンメトリー機能で自動配置され
た側のアレイスピーカー(橙色)は選択することができず、ターゲットポイン
トおよび、コンターは表示されません。
ターゲットポイントを表示しているスピーカーごとのコンター図が表示され
ます。各スピーカーのコンター図はそれぞれのターゲットポイントより相対
的に計算されているため、同じ色のコンター線でもその SPL は各スピーカ
ー間で異なります。
音圧分布図で色分け表示する音圧分布の最小値と最大値を設定します。
1st Floor、 2nd Floor、 3rd Floor、
4th Floor、 All Floor
計算結果を表示する階を指定します。[All] を選択するとすべての階が表
示されます。それ以外は選択した階のみ表示され、選択されていない階
はフレームのみ表示されます。
このボタンをクリックすると Add Speakers ウィンドウが開き、 Enclosure type Manual layout、 Enclosure type - Auto layout、 Distributed の 3 種類の方法
で、スピーカーが配置できます。
設置したアレイスピーカーごとに、アレイファイル(.spa )の保存・読込みが
できます。他のプロジェクトで同じアレイスピーカーを同様の条件で使うと
きなどに有効です。プロジェクトが大規模になる場合などに備え、同じプロ
ジェ ク ト に同 じ ア レ イス ピ ー カーを 何 度 でも読 込 む こ とが で き ます。
Distributed (分散平面配置)で設置したスピーカーは平面として扱われま
すので保存・読込みはできません。
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Aspect View(⇒ 第 6 章)
スピーカーの設置状況が表示され、計算結果が音圧分布図やコンター図として表示されます。計算結果を更新するには、
Aspect View の上段にあるリストボックスより中心周波数と帯域幅を選び、計算モードアイコンを選びます。計算条件を変更した
あとで、 ボタンを押すと、条件の変更が計算結果に反映されます。
Aspect View と Graph の背景色は [View(V)] メニューから [BackGround Color(B)] で [Gray(G)] または [White(W)]
が選択できます。(上図の背景色は [Gray(G)]です。)
表:Aspect View の各ボタンの名称と機能
Speaker Property(⇒ 第 5 章)
Property(プロパティ)や Config(コンフィグレーション)など、アレイスピーカーの設置条件やプロセッサーやアンプなどの出力
系の設定を行うことができます。 (オートチューニング機能)は指定したエリアにおいて、設置されているアレイス
ピーカーの最適条件を自動的に算出します。
Speaker List(⇒ 第 5 章)
設置されたアレイスピーカーやスピーカーのオン/ オフをチェックボックスより操作することができます。スピーカーのオン/ オフは、
計算結果として Aspect View や Graph に反映されます。また、スピーカーの追加や削除、名前の変更が可能です。
表:Speaker List の各ボタンの名称と機能
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Graph(⇒ 第 6 章)
受音面上の+Position(プラスカーソル)位置での計算結果が、 としてグラフ表示されます。+Position(プラスカー
ソル)をマウスでドラッグして移動させると、受音面上の任意の位置の計算結果をグラフで見ることができます。任意の受音点で
グラフナンバー(例: )を選択して ボタンをクリックすると、グラフの色が変わり選択したグラフナンバー
に の結果が保存されます。グラフには 8箇所までの受音点での計算結果を保存することができます。 ボ
タンをクリックすると、Information ウィンドウが開き、選択されたグラフナンバーに保存されている詳細情報が表示されます。ま
た、そのダイアログ内では、計算結果である受音点での応答にドライソースを畳み込んで聴くことができます。
• プロジェクトの保存・読み込み
プロジェクト全体を保存するにはツールバーの ボタンをクリックするか、[File(F)]メニューから[Save Project(S)]または
[Save Project As(A)...]を選択します。
保存したプロジェクトを開くには ボタンをクリックするか、[File(F)]メニューから[Open Project(O)...]を選択します。複数のプ
ロジェクトを開き、それらを編集して比較することもできます。なお、同時に開くことのできるプロジェクトは最大 15 個です。すで
に 15 個のプロジェクトが開かれている場合は、保存したプロジェクトを開くことはできません。
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2. 室形状・受音面の設定
• 概要
計算対象となる(シミュレーションする)室形状および受音面を設定します。
• 新規プロジェクトの開始
ツールバーの ボタンをクリックするか、[File(F)]メニューから[New(N)]を選択して、新規プロジェクトを作成すると、室形状
および受音面の設定画面(Select Venue Geometry)が開きます。同時に開くことのできるプロジェクトは最大 15 個です。すでに
15 個のプロジェクトが開かれている場合、新規プロジェクトを作成できません。
• 室内形状・受音面の設定
Select Venue Geometry (Step 1/2):
室形状を選択します。 選択した形状は 3D 画面で、ズーム、角度、位置を変え て見ることができま す。形 状を選択したら
ボタンをクリックします。ダイアログ表示直後は Select Venue Geometry (Step 1/2) と表示されますが、Step の総数は
階数に応じて 2 ~5 の範囲で変化します。
Unit
測定の単位を Metric(メートル)または Imperial(フィート)から選択します。
Venue Type
室のテンプレートをリストボックス(Rectangular 、Fan 、Cross 、Polygon 、Circle )から選択します。次に各テンプレートから、対象と
なる部屋にもっとも近い形状を選択します。形状図内の色の薄い部分はステージを表しています。Y-S 3ではステージ上の音圧
分布は算出されませんが、コンター図が表示されるため、カバーエリアを確認できます。
Venue Size
選択した室のサイズをおおまかにスライダーで設定します。
Number of floors
階数を設定します。1 ~4 階まで設定できます。設定した階数に応じて Select Venue Geometry の設定ステップの総数が変化し
ます。
Listener’s Ear Height above the Floor
受音面の高さ(床からリスナーの耳の位置までの高さに相当:0.1m~2.1m(0.3ft~7ft)、初期値=1.2m(3.9ft))をコンボボックス
から選択します。3D View は ボタンまたはマウスホイールにより、画面の拡大・縮小ができます。また、マウス左ボタンで
画面上をドラッグすることにより、任意の角度から見ることができます。
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-45.00m~ -0.01m
(-147.64~ -0.03ft)
-90.00m~ 90.00m
(-295.28ft~ 295.28ft)
0.00m~ 2.00m
(0.00ft~ 6.56ft)
-45.00m~ -0.01m
(-147.64ft~ -0.03ft)
-90.00m~ 90.00m
(-295.28ft~ 295.28ft)
0.00m~ 45.0m
(0.00ft~ 147.64ft)
-60.00m~ -0.01m
(-196.85ft~ -0.03ft)
-90.00~ 90.00m
(-295.28ft~ 295.28ft)
0.00m~ 50.0m
(0.00ft~ 164.04ft)
取扱説明書 V3.0
Select Venue Geometry(Step2/ ~):
選択した形状を平・断面図上で編集します。平・断面図上のオレンジ色のポイントをマウスで選択し(選択されたポイントは黒色
に変わります)、ドラッグして動かします。またはポイントを選択した状態で 3 次元座標(x :幅、y :奥行き、z :高さ)を入力すること
もできます。各座標の入力可能範囲は、以下のようになっています。ただし、2nd ~4th Floor の奥行きは基準点(マウスで操作
したときに編集中の形状全体が y 方向に平行移動するポイント)からの距離です。2nd ~4th Floor の基準点は-100.00m ~
100.00m (-328.08ft~ 328.08ft)の範囲で操作できます。
ボタンをクリックすることで平・断面図上のズームを変えることもできます。
階数が 2 以上の場合は、それぞれの階について形状を編集します。左側のテンプレートを選択し、形状を編集します。各点の
座標を編集した後にテンプレートを変更すると、各点の座標はリセットされます。
入力が終了したら ボタンをクリックします。プロジェクトの初期画面に設定した室形状が表示されます。プロジェクト画
面は Aspect View、Speaker Property、Speaker List、Graph から構成されています。
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• 室形状の再編集
[Edit(E)] メニューから[Edit Venue(V)] を選択すると、「Select Venue Geometry (Step2/ ~)」の画面が表示され、室形状を編集
することができます。ただし、「Select Venue Geometry (Step 1/2) 」画面で設定する項目(Venue Type 、1 階のテンプレート、
Venue Size 、Number of floors 、Listener ’ s Ear Height above the Floor )は変更できません。2 階以上はテンプレートを変更するこ
ともできますが、テンプレートを変更すると各点の座標はリセットされます。室形状を再編集後、 ボタンをクリックすると室
形状が変更されます。その際、保存されている受音点は消去されます。
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取扱説明書 V3.0
3. プロジェクトプロパティの編集
• 概要
Project Properties ウィンドウ内のテキストや環境、プロセッサーの選定やアンプの電源電圧など各種条件を編集します。ツール
バーの ボタンをクリックするか、[File(F)]メニューから[Project Properties(P)]を選択して、Project Properties ウィンドウを開
き、Project、Calculation、System、Others を編集します。これらの設定は ボタンをクリックすることで、ユーザーのデフ
ォルト値として保存することができます。このとき全てのタブページの値が一括して保存されます。保存された設定を読み込む
には、 ボタンをクリックします。なお、新規プロジェクトを作成したときには、プログラムで定められた初期値が指定されま
す。
• プロジェクト( Project)
プロジェクトの詳細を書き込みます。なお、Project Report に出力する場合、テキストボックスに記入された < > & " の文字
は、htmlでの誤表示を防ぐため、"_"(アンダーバー)に置換されます。
• 計算条件( Calculation)
Atmospheric Condition
湿度( Humidity)、温度( Temperature)を入力します。これらの値は、音速や空気吸収係数に影響します。初期値は、湿度 50% 、
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取扱説明書 V3.0
温度 20°C に設定されています。空気吸収による高域周波数成分の減衰を考慮して計算する場合は Air Absorption チェックボ
ックスをチェックします。
Precision
SPL 計算とコンター計算の精度をそれぞれ選択します。精度を低くすると、一部簡略化した計算を行うため、計算速度は速くな
ります。設計検討段階では精度を低くして応答性を上げ、最終段階で精度を高くすることで詳細な結果を確認することができ
ます。
Phase Consideration
周波数特性や音圧分布を計算する際に、位相干渉を含めた計算を行う場合には、Interference Sum チェックボックスをチェック
します。このチェックボックスをチェックしない場合にはエネルギー加算を行います。
Sound Source for Calculation
計算に使用する音源を Swept Band Noise または Full Band Noise から選択します。Swept Band Noise を選択した場合は、バン
ドパスノイズが計算に使用されます。バンド幅は Aspect View で選択されている値となります。このとき Graph に表示される全体
レベル(Overall )は、帯域ごとのレベルのエネルギー平均値となります。Full Band Noise を選択した場合は、フルバンドノイズが
計算に使用されます。このとき Graph に表示される全体レベルは、各帯域のエネルギー和になります。Swept Band Noise では、
必要な SPL を参照しながら周波数特性を確認することができます。複数の周波数帯で SPL 計算結果を平均することにより、簡
単に全体の SPL を推測することができるので、設計段階において有効です。一方、Full Band Noise は、全帯域のピンクノイズ
とリアルタイムアナライザーを使った現場での実測結果と比較する際に有効な方法です。
図:Sound Source for Calculation の設定によるレベルの違い
Swept Band Noise Full Band Noise
Graph Overall
Graph に表示される全体レベルの周波数帯域を選択します。初期値の周波数帯域は 20Hz ~20kHz となっており、リストボック
スから帯域を選択します。音源が Swept Band Noise (前項参照)のときは、全体レベルは選択した帯域での平均応答レベルを
表します。音源が Full Band Noise のときは、全体レベルは、選択した帯域での応答をすべて加算したレベルを表します。A 特
性の聴覚補正の重み付けを行う場合は、A Weighted にチェックを入れます。このとき、Graph の Overall の数値表示の単位が、
dBA と表示されます。
Peak Factor of Source Signal
音源の種類を Sine (Peak-to-RMS 3dB )、Pink (Peak-to-RMS 6dB )、Music (Peak-to-RMS 10dB )から選択します。Sine はピーク
レベルと RMS に 3dB の差があり、また Pink は 6dB 、Music は 10dB の差があります。ここでは実際の Peak-to-RMS レベルを
選択します。これらのレベルはクリップインジケーターやオートチューニング機能で使用されます。詳細は第 5 章「出力コンフィ
グレーションの設定(Speaker Property - Config )」および「オートチューニング機能(Auto tuning )」をご覧ください。
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Bi-amp( IF2112b、 IF2115b、… )
Passive( IF2112p、 IF2115p、… )
Combination( IH2115 + IL1115)
取扱説明書 V3.0
• シグナルプロセッサー、アンプ電源電圧( System)
Signal Processor
プロセ ッ サー の タ イプを 選 択 します 。 選択し た プロセッ サ ー は DME Configuration ([File(F) ] メ ニュ ー よ り選択 ) 出力
(.daf, .ddf, .cel )や Product List ([Option(O) ]メニューより選択)に反映されます。各プロセッサー間では、DSP パワーと出力可
能数が異なります。詳細な仕様は、ウェブサイト(http://www.yamahaproaudio.com/japan/ja/)でご確認下さい。SP2060 を選択し
た場合、出力系統全体に EQ と Delay の値を設定するタイプと、アンプごとに設定するタイプを選択することができます。また
SP2060 選択時のスピーカー構成は、下表のとおりです。
表:SP2060 使用時の各スピーカー構成
AC for Amplifier
アンプの電源電圧を選択します。この値はクリップインジケーターの表示判定に使用されます。各アンプの仕様はウェブサイト
(http://www.yamahaproaudio.com/japan/ja/)で確認することができます。初期値は 120V です。
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取扱説明書 V3.0
• その他、単位、受音面、壁面コンター表示など( Others)
Unit
長さ、温度の単位を Metric(メートル /摂氏)または Imperial(フィート /華氏)から選択します。
Listen
Origin Point (The point Listener facing to )は想定される話者または演奏者の座標を入力します。設定は絶対座標で行います
ので、舞台上の場合は舞台の高さを考慮した設定が必要です。例えば、舞台面の高さが 0.8m で舞台面から 1.5m の高さに音
源を設置する場合、入力値は 2.3m となります。この値は可聴化データを作成する際に参照され、リスナーが Origin Point を向
いているものとして、頭部伝達関数(HRTF )が適用されます。可聴化データについては、第 6 章をご覧ください。
Contour Display
Aspect View に室の壁面を表示させる場合に選択します。壁の高さは 5m に固定されています。計算結果のコンター図が壁面
にも表示され、不要放射のエリアなどを確認することができます。壁面からの反射音は計算されません。
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取扱説明書 V3.0
4. スピーカーの設置
• 概要
スピーカーを設置します。従来のプロセニアムや舞台へのアレイスピーカーごとの配置に加えて、室の天井や壁などを想定し
た平面にスピーカーを分散配置することができます。
• スピーカーのインストール
ヤマハプロオーディオサイトよりダウンロードしたスピーカーデータをインストールすることで、Y-S 3で使用するスピーカーを追加
することができます。インストールの方法は p4 の「スピーカーデータのインストール方法」をご覧ください。
• スピーカーの設置( Add Speakers)
Speaker List の ボタンをクリックするか、[ Array(A)]メニューから [ Add New Array(N)]を選択して、 Add
Speakers ウィンドウを開きます。リストボックスから配置方法( Enclosure type - Manual layout、 Enclosure type - Auto layout、
Distributed)を選択します。各条件を入力しアレイスピーカーを設置します。設置したスピーカーは Aspect View に表示され、
Speaker List にリストが作成されます。計算結果については、第 6 章をご覧ください。
アレイスピーカー
Installation シリーズの各スピーカーに対応した自由度の高い設置方法です。設置データはアレイごとに保存できます。
(⇒ 第 5 章)
Enclosure type - Manual layout:
アレイスピーカー( Array Type)選択、鏡像選択、座標の直接入力などによって、自由度の高いスピーカー配置が可能です。
Enclosure type - Auto layout:
配置( System Type)選択に応じて、 Y-S3が、その室に対応する推奨アレイスピーカーを選定して自動的に配置します。
ディストリビューテッドスピーカー
設定した平面にスピーカーを一定間隔で分散配置させることができます。対応しているスピーカーはヤマハプロオーディオサ
イトにてご確認ください。スピーカーは平面として設置されているため保存できません。
(⇒ 第 5 章)
Distributed:
スピーカー指定、平面( Plane Type)選択によってスピーカーを設置する平面を設定します。
Coverage:
配置パターン及び、受音面音圧密度選択に応じて、受音面でのカバーエリアを想定した自動配置が行われます。
Grid:
配置パターン及び、スピーカーの配置間隔選択に応じて、スピーカーを任意の等間隔で配置できます。
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アレイデータ(*.spa)
アレイの設置 条件を保存・
読込み
取扱説明書 V3.0
• マニュアルレイアウト( Enclosure type - Manual layout)
Speaker List の ボタンをクリックするか、[ Array(A)]メニューから[ Add New Array(N)]を選択して、 Add
Speakers ウィンドウを開きます。リストボックスから Enclosure type - Manual layout を選択します。アレイスピーカー( Array Type)
の選択とアレイ座標の任意の位置や条件を入力して計算します。
Name
設置するアレイスピーカーの任意の名称(Center 、Left 、Right 、Delay など)を入力します。使用できる文字は半角英数字のみ
です。このとき、アレイを構成する個々のスピーカー名称は自動的に設定されます(***sp1 、***sp2 など:*** はアレイスピーカ
ーの名称)。これらの名称は Speaker List で変更が可能です。名称を変更するには、Speaker List からアレイスピーカーまたは
個々のスピーカーを選択します。選択した状態でマウスを右クリックし、表示されるメニューから[ Rename ]を選択し新しい名前
を入力します。
Array Type
アレイスピーカーのアレイタイプをリストボックスから選択します。アレイタイプのテンプレートを室に設置すると、アレイスピーカ
ーの諸条件を含んだアレイデータ(.spa )となり、保存や読込みができます。(⇒ 第 5 章)
アレイスピーカーのテンプレートの末尾略称は下記の意味を持ちます。
p: Passive、 b: Bi-amp、 t: Tri-amp、 r: rotate(ホーンローテート)、 floor: +3dB(床反射加算)
各スピーカーの仕様はウェブサイト( http://www.yamahaproaudio.com/japan/ja/)で確認することができます
図:アレイスピーカーに関連するファイル構成
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取扱説明書 V3.0
Symmetry
y-z 平面に対して、アレイスピーカーの鏡像を設置する場合に選択します。例えばステレオシステムに対してスピーカーを設置
する場合、左側のスピーカーが設置されると、右側に鏡像スピーカーが自動的に表示されます。Array Geometry の Position x
座標値が初期値(0.00 )の場合はアレイスピーカーが重なって設置されてしまいますので、任意の数値をご入力ください。また、
設置された鏡像スピーカーの形状は、もとのアレイスピーカーの形状を反転して作成されます。そのため、一部の非対称モデ
ル(IF2112AS 、IF2115AS など)では、表示されるスピーカーの形状が、実際のスピーカーの形状と異なる場合がありますが、計
算結果には影響ありません。鏡像スピーカーのアレイネームは、末尾に「* 」が付き、元のスピーカーと区別されます。
Array Geometry
アレイスピーカーの設置座標や角度、アレイスピーカーの開き角など、スピーカーの配置情報に関するパラメーターを入力しま
す。設置後、Aspect View の室の受音面からターゲットポイントが外れている場合は、コンター図が表示されません。また、ター
ゲットポイントが表示されていても、壁面(1 階のみ)や床面によって遮られている場合などは、コンター図は表示されません。い
ずれの場合も音圧分布図は直接音が届く範囲で計算され表示されます。アレイスピーカーの設置位置が、受音面や舞台の外
側にある場合は、計算対象外となり、コンター図、音圧分布図はともに表示されません。
Position
アレイスピーカーの設置座標を入力します。初期値(x 、y 、z )= (0.00 、0.00 、8.00 )、高さ 8m に設定されています。設置座標は
アレイの後部中央の座標を示しています。 ボタンを押すことで、スピーカーは自動的に床面上に設置されます。角度
(Angle )は任意の値をご入力ください。床配置されスピーカーが受音面に向いていない場合や、スピーカーの z 座標が受音面
の高さと同じ場合などはターゲットポイントが受音面に表示されないため、コンター図は表示されません。各値は-99.99m ~
99.99m (-328.0ft ~328.0ft) の範囲で設定できます。
Angle
スピーカーの角度を調整します。 Pan(初期値: 0.0)、 Tilt(初期値: 30.0)、 Rot(初期値: 0.0)の角度を入力します。
-180.0~ 180.0 の範囲で設定できます。
Splay Angle
アレイスピーカーの開き角をリストボックスから選択します。
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取扱説明書 V3.0
• オートレイアウト( Enclosure type - Auto layout)
室の形状の面積、縦横比などの条件に応じて適切なアレイスピーカーが自動的に選択され、配置されます。 Speaker List の
ボタンをクリックするか、[ Array(A)]メニューから[ Add New Array(N)]を選択して、 Add Speakers ウィンドウを
開きます。リストボックスから Enclosure type - Auto layout を選択します。配置(System Type)、および天井高さの選択し、最後
に ボタンをクリックすると計算が始まり、システム構成を設定します。なお、オートレイアウトは 1 階のみを対象とし、2
階以上については考慮しません。計算が終了すると、続けてオートチューニング実行を促すメッセージが表示されます。オート
チューニングを行う場合は、 ボタンをクリックします。オートチューニングを行わずに終了する場合は、 ボタンをク
リックします。オートチューニングについては、第 5 章をご覧ください。
SPL Mode で音圧分布図が表示されている場合はオートレイアウトが使えませんので、必ず、Array Mode または Single Mode
に表示を切り替えてから使用してください。また、すでに設置されたアレイスピーカーはオートレイアウトを行うことによって消去
され、新たにアレイスピーカーが設置されます。Distributed によって、平面配置されたスピーカーは消去されずにそのまま残り
ます。天井に配置したスピーカー群を残して、プロセニアムスピーカーやステージスピーカーを入れ換える際などに有用です。
サークルタイプの形状や、室の規模や形状が、極端に大きい(または小さい)、広い(または狭い)の場合など、Enclosure type -
Auto layout(オートレイアウト)は実行されません。このような場合は実行中にエラーダイアログが表示されますので、 Enclosure
type - Manual layout(マニュアルレイアウト)でアレイスピーカーを設置してください。
System Type
スピーカーシステムのタイプを Center、 LR、 LCR、 Side、 Center + Side から選択します。
Ceiling Height
想定される室内の天井高を入力します。この値はアレイスピーカーの位置(高さ)の初期値を設定する際に参照されます。アレ
イスピーカーはつねに天井より低い位置に設置されます。天井からの反射は計算されませんのでご注意ください。
設定方法について
オートレイアウトでは、室形状、床面積、形状の寸法比により、適切なスピーカーが選び出されます。スピーカーの位置は、設
定した天井高を考慮し、スピーカーの配置位置(Center 、Center + Side 、Side )に合わせて決定されます。角度はデフォルト値
(Pan 、Rot :0° 、Tilt :30° 、Splay Angle:最小)に設定されています。
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取扱説明書 V3.0
• ディストリビューテッド( Distributed)
設定した平面にスピーカーを一定間隔で分散配置させることができます。Speaker List の ボタンをクリックす
るか 、[Array(A)] メ ニューから [Add New Array(N)] を 選択して、 Add Speakers ウィン ド ウを開き ます。リスト ボックス から
Distributed を選択します。リストボックスからスピーカーを選択し、天井や壁など平面の種類をリストボックスから選び、各条件を
入力し次に進みます。受音面でのカバーエリアを想定して自動的に配置される Coverage と、設置平面上にスピーカーを任意
の等間隔で配置する Grid が選択できます。
Name
設置平面の任意の名称(Ceiling 、Front 、Back 、Wall など)を入力します。使用できる文字は半角英数字のみです。このとき、
平面を構成する個々のスピーカー名称は自動的に設定されます(***sp1 、***sp2 など:*** は設置した平面の名称)。これら
の名称は Speaker List で変更が可能です。名称を変更するには、Speaker List から設置平面または個々のスピーカーを選択し
ます。選択した状態でマウスを右クリックし、表示されるメニューから[Rename ]を選択し新しい名前を入力します。
Speakers Type
平面に設置するスピーカーのタイプをリストボックスから選択します。末尾の略称「r 」は rotated (ホーンローテイティッド)を示しま
す。
また、「_HiZ 」は High Impedance 接続専用の設定、「_LoZ 」は Low Impedance 接続専用の設定であることを示します。
表: ディストリビューテッドで使用時の接続方法
*
トータルのインピーダンスが 1 台のスピーカーと同じになる接続方法で、接続は 1ch につき 4 台に限定されます。
1
シリーズ接続した 2 台のスピーカーを 2 組パラレル接続。
各スピーカーの仕様はウェブサイト(http://www.yamahaproaudio.com/japan/ja/)で確認することができます。
Plane Geometry
設置する平面の諸条件を入力します。室よりも大きい平面を設定することはできますが、設置されたスピーカーが、室のエリア
の外側に出てしまうと計算対象ではなくなりますので、ご注意ください。
Plane Type
平面のタイプを Ceiling、 Front Wall、 Back Wall、 Side Wall 1、 Side Wall 2 から選択します。
Position
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取扱説明書 V3.0
平面の中心の座標を入力します。初期値( x、 y、 z) =( 0.00、室形状に応じた値、受音面 +8.00)。
各値は -99.99m~ 99.99m (-328.0ft~ 328.0ft) の範囲で設定できます。
Plane Size
設置平面の大きさを入力します。初期値 L=10m (30.0ft)、 W=10m (30.0ft)。
L, W ともに 1.00m~ 90.00m (3.3ft~ 295.3ft) の範囲で設定できます。
Plane condition
スピーカー設置平面の反射率をリストボックス(Hard :100% 、Medium :50% 、Transparent :0% )より選択します。この値を、Hard
または Medium とすることで、スピーカーを設置平面近くに設置した際の音圧上昇効果を計算内で考慮することができます。た
だし、この平面に配置されていないスピーカーからの音に対する反射は計算されません。
Angle
設置平面の角度を入力します。Pan (初期値:プレーンタイプによる)、Tilt (初期値:プレーンタイプによる)、Rot (初期値:0.0)
の 3 種類です。-180.0 ~180.0 の範囲で設定できます。
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取扱説明書 V3.0
Coverage( Distributed Speaker Layout Pattern)
受音面におけるカバーエリアを想定し、スピーカーが自動的に配置されます。均一な直接音分布を得るためのスピーカー配
置を検討する場合に有用です。
Layout Judgement
リストボックスから Pattern、 Band Width、 Center Frequency の諸条件と、 Density を選択します。
Pattern:
設置平面のスピーカーのレイアウトパターンを Rectangular、 Hexagonal から選択します。
Band Width、 Center Frequency:
カバーエリアを算出するための帯域幅と中心周波数を設定します。帯域幅は狭くなるほど目的とする中心周波数付近での分
布に応じた配置がされますが、干渉などによる極端な分布変化の影響を受けやすくなります。初期値は 2 Oct. Band 、1kHz と
なっており、話声の音声帯域にほぼ対応しています。
Density:
受音面でのカバーエリアの密度を設定します。受音面と設置平面との距離(Ceiling:天井配置の場合は高さ)を考慮して設定
します。一般的に、天井高が高いほど、算出されたスピーカー配置間隔も大きくなるため、一定以上の音圧を得るために、高
密度の配置を選ぶ必要があります。
Speaker Arrangement
Angle(Relative):
設置平面から見たスピーカーの角度を設定します。初期値は Pan(0.0)、Tilt(90.0)、Rot(0.0)となっており、初期状態ではスピ
ーカーの背が平面に設置されています。設定可能範囲は-180.0~180.0 です。
Offset from plane:
設置平面からのスピーカーのオフセットを設定します。初期値(0.00)はスピーカーの背が設置平面に接している状態です。設
定可能範囲は-90.00m~90.00m(-295.0ft~295.0ft)です。
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取扱説明書 V3.0
Grid( Distributed Speaker Layout Pattern)
設置平面上にスピーカーを任意の等間隔で配置することができます。任意のスピーカー配置に応じた音圧分布を検討する際
に有用です。
Layout Judgement
リストボックスから Pattern を選択し、 Pitch(スピーカー配置間隔)を入力します。
Pattern:
設置平面のスピーカーのレイアウトパターンを Rectangular、 Hexagonal から選択します。
Pitch:
配置するスピーカーの間隔を指定します。0mよりも大きな値を設定してください。
Speaker Arrangement
Angle (Relative ):
設置平面から見たスピーカーの角度を設定します。初期値は Pan (0.0 )、Tilt (90.0 )、Rot (0.0 )です。設定可能範囲は-180.0 ~
180.0 です。
Offset from plane:
設置平面からのスピーカーのオフセットを設定します。初期値(0.00 )はスピーカーの背が設置平面に接している状態です。設
定可能範囲は-90.00m ~90.00m(-295.0ft ~295.0ft) です。
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取扱説明書 V3.0
5. スピーカーの各種条件の設定
• 概要
設置したアレイスピーカーとディストリビューテッドスピーカーの各種条件を設定し、計算を行います。
• アップデート( Update)
スピーカーの各種設定条件を変更した場合に、 ボタンの周囲が赤く表示されます。クリックして設定を適用しま
す。
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取扱説明書 V3.0
5-1. アレイスピーカー
• アレイスピーカーの選択、オン /オフ、名前の変更・削除、保存・読み込み( Speaker List)
アレイスピーカーの選択
アレイスピーカーを表示させるには、Speaker List において、アレイスピーカーまたは個々のスピーカーの名前をクリックします。
アレイ名の背景が青色になり、選択状態を示します。Speaker Property には Property などの各種条件が表示されます。Aspect
View の設置されたアレイスピーカーのうち、選択されたアレイスピーカーとアレイネームが青色で表示されます。また、 Aspect
View の設置されたアレイスピーカーをクリックして、選択することもできます。オートレイアウトやシンメトリー配置で設置した鏡
像側のアレイスピーカーは橙色で表示され、アレイネームの末尾に *が付きます。このスピーカーは常に選択できません。
アレイスピーカーのオン /オフ
各アレイスピーカーを計算対象にするには、Speaker List においてアレイスピーカーのチェックボックスをチェックしオンにしま
す。チェックボックスがオンになっているアレイスピーカーは Aspect View において黒色で表示されます。チェックボックスがオ
フになっているアレイスピーカーとアレイネームの表示は灰色となります。ただし、スピーカーのオン/オフに関わらず、選択され
ているアレイスピーカーは常に青色で、シンメトリーのアレイスピーカーは常に橙色で、Aspect View に表示されていますので、
計算対象になっているかどうかの判断は必ず、Speaker List 内のチェックボックスを確認して下さい。アレイスピーカーのチェッ
クボックスの設定を計算結果に反映するには ボタンをクリックします。
アレイスピーカーの名前の変更・削除
Speaker List において、設置されたアレイスピーカーの名前の変更を行う場合はアレイスピーカーを選択し、右クリックで表示さ
れるメニューから[Rename ]を選択し、新しい名前を入力します。設置されたアレイスピーカーの削除は、Speaker List でアレイ
スピーカーを選択し、右クリックで表示されるメニューから[Delete ]を選択するか、[Array(A) ]メニューから[Delete Array(D) ]を
選択します。
アレイスピーカーの保存・読み込み
選択されているアレイスピーカーの各種条件(Array Name 、Speaker Property 、Configuration など)をアレイデータ(.spa )として
保存することができます。保存しておくと、別のプロジェクトにおいて同条件でアレイスピーカーを設置したい場合などに活用で
きます。同じアレイデータを複数回読み込んで配置する場合は、同じアレイネームのアレイスピーカーが Speaker List 内に複数
作成されます。読込み後にアレイネームの変更をしてください。
アレイデータ( .spa)の保存([ Array(A)]メニューから[ Save Array(S)]を選択)
アレイデータ( .spa)の読み込み([ Array(A)]メニューから[ Load Array(L)]を選択)
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取扱説明書 V3.0
• アレイスピーカーの各種条件設定( Speaker Property - Property)
現在選択されているアレイスピーカーの条件を設定します。設定を計算結果に反映させるには ボタンをクリック
します。Array Name(Speaker Property 上部のテキストボックス)にてアレイスピーカーの名称を変更できます。
Array Type
アレイスピーカーのアレイタイプを、リストボックス内にある他のタイプに変更できます。
Symmetry
選択したアレイスピーカーの鏡像イメージがあるとき、このチェックボックスがチェックされています。Speaker Property ではこの
条件を編集することはできません。Add Speakers ウィンドウでアレイスピーカーを配置するときのみ設定が可能です。詳しくは
第 4 章をご覧ください。
Array Geometry
アレイスピーカーの配置位置に関するパラメーターを入力します。なお、これらの値を変更した 後、室の受音面にターゲットポ
イントが現れない場合は、コンター図が表示されません。SPL は表示されます。
Position
アレイスピーカーの設置座標を調整します。詳しくは第 4 章をご覧ください。
Angle
スピーカーの設置角度を調整します。詳しくは第 4 章をご覧ください。
Splay Angle
アレイスピーカーの開き角を調整します。リストボックスから選択します。詳しくは第 4 章をご覧ください。
Previous/Next Array Geometry
ボタンまたは[ Edit(E)]メニューから[ Previous Array Geometry(P)]または[ Next Array Geometry(N)]を選択して、 Array
Geometry 内のアレイの設定( Position、 Angle、 Spray Angle)を、戻す( Previous) /進める( Next)ことができます。それぞれのステ
ップは 20 回まで行えます。ただし、条件によっては、設定を戻すことができない場合があります。
On Axis
アレイスピーカーの設置座標とターゲットポイントの位置関係を表示します。ターゲットポイントが受音面にない場合、数値は表
示されません。
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取扱説明書 V3.0
Target Point
アレイスピーカーの狙い軸と受音面との交点(ターゲットポイント)の座標を表示します。Aspect View においてターゲットポイン
トは受音面上に黒または灰色の四角で表示されています。黒い四角はアレイスピーカーまたはスピーカーから最も近いターゲ
ットポイントであることを示します。Array Mode もしくは SPL Mode で表示しているときは、ターゲットポイントをマウス・ドラッグで
移動することができます。ターゲットポイントを移動できる範囲は同一階のみです。Single Mode で表示されているときは、それ
ぞれのスピーカーのターゲットポイントが表示されますが、移動することはできません。また、アレイスピーカーの狙い軸が受音
面と交差しない場合は、ターゲットポイントは表示されません。スピーカーが受音面に向いていない場合や、スピーカーの高さ
が受音面と同じである場合などが考えられます。
Distance to Array
アレイスピーカーの設置座標とターゲットポイントとの間の距離を表示します。アレイスピーカーの狙い軸が受音面と交差しな
い場合は表示されません。
Propagation Time
アレイスピーカー座標からターゲットポイントまでの音の伝播時間を表示します。各スピーカーのディレイタイムを設定するとき
にこの値を参照します。アレイスピーカーの狙い軸が受音面と交差しない場合は表示されません。
Single SP Property
アレイスピーカーを構成する個々のスピーカーのプロパティを表示します。各スピーカーの品番、仕様、位置、角度、ターゲット
ポイントの座標、ターゲットポイントから各スピーカーまでの距離等を確認できます。
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取扱説明書 V3.0
• 出力コンフィグレーションの設定( Speaker Property - Config)
アレイスピーカーのタイプに応じて、出力系のコンフィグレーションが自動的に設定され表示されます。入力ソース、インプット
レベル、ディレイ、 EQ 、スピーカープロセッサー、アンプなどを設定す ることができます。設定を計 算結果に反映するには
ボタンをクリックします。
Input Level
インプットレベルを dBu 単位で入力します。このレベルはプロセッサーへの入力時点での信号レベルを示しています。入力可
能範囲は-10dBu ~24dBu です。
Source
音源の種類が表示されます。音源の種類は Sine(Peak-to-RMS 3dB)、Pink(Peak-to-RMS 6dB)、Music(Peak-to-RMS 10dB)
の 3 種類から選択できます。変更する場合は ボタンをクリックして、Project Properties ウィンドウを開き、Peak Factor of
Source Signal のリストボックスから選択してください。Sine はピークレベルと RMS に 3dB の差があり、また Pink は 6dB、Music
は 10dB の差があります。設計時に利用したい Peak-to-RMS レベルを選択してください。これらのレベルはクリップインジケータ
ーやオートチューニング機能で使用されます。詳細は本章のクリップインジケーター及び、オートチューニングをご覧ください。
Help for icons
ボタンをクリックすると、 Config ビュー内の各マークの意味などが記載された Help for icons ウィンドウが表示されます。
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取扱説明書 V3.0
Delay Component
ボックスをダブルクリックすると、ディレイ設定画面が表示されます。ディレイ設定画面は本章末尾をご覧ください。
EQ Component
ボックスをダブルクリックすると、 EQ 設定画面が表示されます。 EQ 設定画面は本章末尾をご覧ください。
Speaker Processing Component
ボタンをクリックして、位相反転のオン /オフを切り替えます。
ボタンをクリックして、カットオフ周波数 90Hzのハイパスフィルターをオンにします。フルレンジスピーカーとサブウーハーを
組み合わせる場合に使用します。
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取扱説明書 V3.0
Power Amplifier
パワーアンプの機種をリストボックスから選択します。選択すると、対応する機種の仕様が以下のように表示されます。
モード表示。アンプにより、ステレオ、ブリッジなどが表示されます。
出力チャンネル数。
アンプの最大出力。 20Hz~ 20kHzの入力に対する、 120V、歪率 1%のコンディションのもとでの値になります。この値はクリ
ップインジケーターの点灯判断に使用されます。音圧分布や周波数特性は電圧には左右されません。各アンプの仕様は、
ウェブサイト(http://www.yamahaproaudio.com/japan/ja/ )で確認することができます。クリップインジケーターの点灯レベル
は、アンプの電源電圧によって変わります。電源電圧は Project Properties ウィンドウの System で設定できます。
クリップインジケーター(パワーアンプリストボックス右上)。アンプ出力のピーク値がアンプの最大出力を超える場合、この
インジケーターが赤色に点灯します。Source リストボックスで Sine を選択しているときは、アンプ出力のピーク値は実効値よ
り 3dB (2 倍)高い値となります。Pink を選択しているときは、6dB(4 倍)高い値となります。Music の場合は、10dB (10 倍)
高い値となります。またアンプの許容ピーク出力は実効値より 3dB (2 倍)高い値となります。これらの値を比較して、インジ
ケーターはアンプの出力がアンプの能力範囲内にあるかどうかを示します。
アンプのアッテネーションレベルを dB 単位で入力します。入力可能範囲は -60dB~ 0dB です。
設定したアッテネーションレベルやゲインセッティングに対応した、アンプの電圧増幅率(ゲイン)を表示します。
Amplifier - Speaker Combination
ボタンをクリックすると、 Amplifier - Speaker Combination ウィンドウが開きます。
Amplifier Setting
アンプごとのゲイン設定が表示され、ステレオ /ブリッジ接続のモードを切り替えることができます。
Amplifier - Speaker
アンプの実効値とスピーカーの仕様が表示されます。
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Yamaha Sound System Simulator Y-S3
取扱説明書 V3.0
Speaker
プログラム信号入力時の、スピーカーの許容入力を表示します。
HF/LF アンプの実効出力を表示します。ここで表示されている出力がスピーカーに供給されます。アンプ出力のピーク値
がアンプの最大出力を超える場合、赤字で表示されます。
スピーカークリップインジケーター。アンプ出力のピーク値がスピーカーの許容ピーク入力を超える場合、このインジケータ
ーが黄色に点灯します。Source リストボックスで Sine を選択しているときは、ピーク値は実効値より 3dB (2 倍)高い値となり
ます。Pink の場合は、6dB (4 倍)高い値となります。Music の場合は、10dB (10 倍)高い値となります。またスピーカーの許
容ピーク入力はプログラムでの許容入力より 3dB (2 倍)高い値として計算されます。これらの値を比較して、インジケーター
はアンプの出力がスピーカーの能力範囲内にあるかどうかを示します。
• アレイスピーカーの指向特性( Speaker Property - Balloon)
現在 Speaker List で選択されているアレイスピーカーの、周波数ごとの指向特性データ(バルーンデータ)を表示します。バル
ーンデータは Speaker Property の Balloon ビューに表示されます。これらの値はアレイスピーカーの狙い軸上応答で正規化し
ています。また軸上特性に対する-3dB 、-6dB 、-9dB の各コンターをそれぞれ赤、黄、緑の線で表示します。Balloon ビューの表
示アングルは、Aspect View のアングルと同期しています。
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取扱説明書 V3.0
• アレイスピーカーのイメージ表示( Speaker Property - Picture)
Speaker List で現在選択されているアレイスピーカーの 3D 図を表示します。灰色の面はスピーカーの背面を表しています。
Picture ビューの表示アングルは、 Aspect View のアン グルと 同期しています。 Aspect View の ボタンや
ボタンに対応して、視覚的にスピーカー配置を確認することができます。
• オートチューニング機能( Auto tuning)
設置したアレイスピーカーごとに受音面でのサービスエリアを指定すると、アレイスピーカーの設置位置(座標)を固定したまま、
Angle(設置角度)、 Splay Angle(開き角)、 EQ および 入力値を自動的に調整します。 Speaker List で選択され、 Speaker
Property に表示されているアレイスピーカーに対して有効です。鏡像配置されたアレイスピーカーの選択はできませんが、対
称配置のスピーカーの移動や EQ 設定に対応して自動的に移動します。
Speaker Property の ボタンをクリックして Service Area Selection & Auto tuning Parameters ウィンドウを開きま
す。
Service Area Selection & Auto tuning Parameters ウィンドウ
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Yamaha Sound System Simulator Y-S3
取扱説明書 V3.0
選択しているアレイスピーカーでサービスしたいエリアを、マウスでドラッグしながら選択します。選択エリアの座標を直接入力
することもできます。選択エリアは、受音面の外であっても薄い色で表示されますが、受音面の部分のみが計算に使用されま
す。ステージや受音面の外側は計算対象とはなりません。図は y-z 平面で鏡像配置されたアレイスピーカーのサービスエリア
を考慮した設定例です。選択したエリアが狭すぎる場合やアレイスピーカーの条件に合わない場合などはエラーとなります。
Required SPL
アレイを構成する角スピーカーのターゲットポイント上で要求される音圧レベルを入力します。-50 ~200dB の範囲で設定でき
ますが、要求する音圧がシステムに対して大きすぎる場合は要求音圧レベルを満たせない場合があります。
EQ Tuning
EQ を調整する場合は、このチェックボックスをチェックします。
Fixed Input Signal Level
選択しているアレイスピーカーの出力系へのインプットレベル(Config ビューの Input Level )を固定したい場合にチェックして、
数値を入力します。-10.0 ~24.0dBu の範囲で設定できます。
計算条件を入力し、 ボタンを押すと計算し、Speaker Property の Property ビューや Config ビューなどが更新されます。
アレイスピーカー(鏡像配置されたアレイスピーカーを含む)を上記の図のエリア設定でオートチューニングした前後の比較を
示します。
Auto Tuning 前
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Auto Tuning 後
取扱説明書 V3.0
調整方法について
• スピーカーの条件はアレイスピーカーごとに設定されます。
• スピーカーの角度( Pan、 Tilt、 Splay Angle)は、ユーザーが選んだ受音面上のアレイスピーカーのサービス領域内の音圧
レベルの標準偏差が最小になるように設定されます。
• アレイスピーカーを構成する各スピーカーのターゲットポイントすべてが、選択したカバー領域内にあるときのみ、適切な
角度が算出されます。
• 各スピーカーの EQ およびシステムアッテネート値は、アレイスピーカーを構成する各スピーカーのターゲットポイントにお
いて、その周波数特性がフラットかつユーザーが設定する必要音圧レベルに近づくように設定されます。(注 1 :このとき軸
点での音圧レベルはエネルギー加算により計算されるため、干渉による peak および dips は補正されません。注 2 :ディレイ
は自動的に調整されません。ディレイ値はすべて 0ms に設定されます。)
• インプットレベル設定では、要求されている SPL を参照しながら、各スピーカーに必要な出力を設定します。次にアッテネ
ーションレベルを設定し、ひとつのアレイスピーカー内のスピーカー間のパワーの差異を調整します。最後に必要な出力と
アンプのゲインから入力信号のレベルを設定します。
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取扱説明書 V3.0
5-2. ディストリビューテッドスピーカー
• ディストリビューテッドスピーカーのオン /オフ、名前の変更・削除、設置平面へのスピーカーの追加
ディストリビューテッドスピーカーのオン /オフ
Speaker List の Plane(設置平面)の名前をクリックすると、名前の背景が青色になり選択されます。またその下部には平面に含
まれるスピーカー群が表示されます。Aspect View では選択された設置平面が青色で表示されます。また、Speaker Property に
は設置平面の Property などの各種条件が表示されます。各平面に含まれるスピーカー全体、または、個々のスピーカーを計
算対象とするには、Speaker List の Plane(設置平面)または各スピーカーを選択し、チェックボックスをチェックし、オンにします。
チェックボックスのオン・オフにかかわらず、選択されたスピーカーは青色で表示され、同じ出力系列のスピーカーは水色で表
示されます。チェックボックスがオンになっているスピーカーは Aspect Viewにおいて黒色で表示されます。オフになっている場
合は、計算対象にならず、表示は灰色となります。設定を適用するには ボタンをクリックします。
また、Aspect View に設置された平面の中心座標または各スピーカーをクリックして選択することもできます。
名前の変更・削除、設置平面へのスピーカーの追加など
Plane(設置平面)を右クリックするとメニューが表示されます。そのメニューからは、名前の変更(Rename)、設置平面の削除
(Delete)、平面内へのスピーカーの追加(Add Speaker)を行うことができます。また、各スピーカーを右クリックするとメニューが
表示されます。そのメニューからは、名前の変更(Rename)、スピーカーの削除(Delete)を行うことができます。また[Change
Amp]を選 ぶと、 Amplifier - Speaker Combination ウィンドウが開きます。詳しくは本章「出力コンフィグレーションの設定
(Speaker Property - Config)」をご覧ください。
なお、平面に分散配置されたディストリビューテッドスピーカーは平面として扱われているため、アレイスピーカーのように保存
はできません。
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取扱説明書 V3.0
• ディストリビューテッドスピーカーの各種条件設定( Speaker Property - Property)
現在選択されているディストリビューテッドスピーカーの条件を設定します。設定を計算結果に反映させるには
ボタンをクリックします。
Speaker Name( Speaker Property 上部のテキストボックス)にて設置平面の名称を変更できます。
設置平面のプロパティ
Speakers
ボタンで平面内座標中央にスピーカーを追加することができます。座標など各条件を入力して設定してください。
ボタンで Add Speakers ウィンドウが表示され、スピーカーや平面を置き換えることができます。
Plane Geometry
設置する平面の諸条件を入力します。
Position
平面の中心の座標を入力します。初期値は、( x、 y、 z) =( 0.00、室形状やサイズに応じた値、受音面 +8.00)です。 -99.99m~
99.99m(-328.0ft~ 328.0ft)の値を設定できます。
Plane Size
設置平面の大きさを入力します。初期値は L=10m 、W=10m です。1.00m ~90.00m(3.3ft ~295.3ft) の値を設定できます。
Plane condition
スピーカー設置平面の反射率をリストボックス(Hard :100% 、Medium :50% 、Transparent :0% )より選択します。この値を、Hard
または Medium とすることで、スピーカーを設置平面近くに設置した際の音圧上昇効果を計算内で考慮することができます。た
だし、この平面に配置されていないスピーカーからの音に対する反射は計算されません。
Angle
設置平面の角度を入力します。 Pan、 Tilt、 Rot を設定できます。 -180.0~ 180.0 の値を設定できます。
Speaker Layout
スピーカーの配置方法とレイアウトが表示されています。
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取扱説明書 V3.0
平面配置されたスピーカー単体のプロパティ
Speaker Type
設置されたスピーカーのタイプが表示されています。
Amplifier - Speaker Combination
ボタンをクリックすると、Amplifier - Speaker Combination ウィンドウが開きます。詳しくは本章次項「出力コンフィグレーショ
ンの設定(Speaker Property - Config )」をご覧ください。
Speakers Geometry
スピーカーの座標などスピーカーの配置情報に関する各種条件を入力します。
Position
アレイスピーカーの設置座標を調整します。詳しくは第 4 章をご覧ください。
Angle
スピーカーの設置角度を入力します。詳しくは第 4 章をご覧ください。
Link All を選択すると、選択されたスピーカーと設置平面上のすべてのスピーカーが連動し、同時に角度を変更することがで
きます。この機能は Aspect View において、受音面のターゲットポイントをマウスで移動させて、Angle を変更する場合には対応
しておりません。
Absolute/Relative
[ Absolute]ボタンで Position、 Angle の表示を室座標系に、[ Relative]ボタンで設置平面座標系に切り替えることができます。
Absolute:
室座標系でのスピーカーの位置及び角度
Relative:
設置平面座標系でのスピーカーの位置及び角度
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取扱説明書 V3.0
• 出力コンフィグレーションの設定( Speaker Property - Config)
アレイスピーカーのタイプに応じて、出力系のコンフィグレーションが自動的に設定され、Speaker Property の Config ビューに
表示されます。ここでは、各スピーカーに対する入力信号レベル、入力ソース、ディレイ、EQ、スピーカープロセッサー、アンプ
などを設定することができます。設定を計算結果に反映するには ボタンをクリックします。詳しくは「5-1. アレイス
ピーカー」の「出力コンフィグレーションの設定(Speaker Property - Config)」の項をご覧ください。
設置平面のコンフィグレーション 平面配置されたスピーカー単体のコンフィグレーション
Amplifier - Speaker Combination
ボタンをクリックすると、Amplifier - Speaker Combination ウィンドウが開きます。アンプの種類やゲイン、モード設定、
接続方法、スピーカーなどをリストボックスより選択し、切り替えることができます。選択されたスピーカーのアンプナンバーを選
択することによって、接続するアンプを組み替えることができます。誤った接続を防ぐため、 ボタンが押された後にアン
プに適したスピーカーの配列と接続方法になっているかどうかを判断し、適した組合せになっていないと判断されたときは、警
告ダイアログが開きます。
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取扱説明書 V3.0
第 5 章末尾資料: Speaker Config
Delay Component
ダイアルをドラッグして回すか、ディレイタイム(単位 ms)を数値入力します。ここで設定されたディレイ値は計算時に考慮されま
す。設定を計算結果に反映するにはディレイ設定画面右上の ボタンをクリックします。
EQ Component
ダイアルをドラッグして回すか、Q、周波数、ゲインを数値入力します。8 つの設定のうち 2 つは EQ のタイプを選択することがで
きます。ここで設定された EQ値は計算時に考慮されます。設定を計算結果に反映するには EQ設定画面右上の ボ
タンをクリックします。
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取扱説明書 V3.0
6. 計算結果の表示
• 概要
Y-S3では、各アレイスピーカーの配置、EQ、ディレイ、システムアッテネーション値などの要素を考慮して、受音面での応答を
計算します。計算結果は Aspect View または Graph に表示されます。
Aspect View
スピーカーの設置状況が表示され、計算結果が SPL (音圧)分布図やコンター図として表示されます。計算結果を更新するに
は、Aspect View の上段にあるリストボックスより中心周波数と帯域幅(1/1、1/3、1/6、FFT)を選び、計算モードアイコンを選びま
す。帯域幅が FFT の場合は、テキストボックスに任意の周波数(44 ~22000Hz) が入力できます。また、計算条件を変更したあと
で、 ボタンを押すと、計算条件が計算結果に反映され、Aspect View や Balloon ビュー、Graph が更新されます。
• コンター図
現在 Aspect View で選択されているアレイスピーカーまたはアレイスピーカーを構成する各スピーカーのターゲットポイントに対
するコンター図を表示します。コンター図はアレイスピーカーまたはスピーカーから最も近いターゲットポイントの音圧から、
-3dB(赤)、 -6dB(橙 )、 -9dB(緑) のラインで表示されます。これ らのラインは[ View(V)] メニュ ーから [Contour (-3dB)(3)]、
[Contour (-6dB)(6)]、 [Contour (-9dB)(9)]を選択することによって、それぞれの表示 /非表示を切り替えることができます。これら
の値は、Aspect View上部にあるリストボックスで選択された中心周波数と帯域幅における値です。フロア配置などにおいて、タ
ーゲットポイントが、受音面上にない場合や壁面(1 階のみ)あるいは床面にさえぎられている場合はコンター図が表示されま
せん。また、Enclosure type - Auto layout や Enclosure type - Manual layout においてシンメトリーで配置された鏡像側のアレイス
ピーカー(橙色)のターゲットポイント及び、コンターは表示されません。また、壁面のコンター図は[File(F) ]メニューから Project
Properties ウィンドウを開き、Others の Contour Display のチェックボックスをチェックすることで、表示させることができます。壁面
には音圧分布図は表示されません。また、この壁面はコンター図を表示させるためのもので、計算の際、壁面からの反射は考
慮されません。
Array Mode
ターゲットポイントを表示しているアレイスピーカーのコンター図が表示されます。1 台構成のアレイスピーカーは、Single Mode
と同じ表示になります。また、平面分散配置の場合もスピーカー単体での設置となりますので、Single Mode との違いはありま
せん。
Single Mode
ターゲットポイントを表示している各スピーカ ーのコンター図が表示されます。複数のスピーカーが配置されている場合は
Speaker List のチェックボックスの選択により、各スピーカーのオン/ オフを切り替えることができます。各スピーカーのコンター図
はそれぞれのターゲットポイントより相対的に計算されているため、同じ色のコンター線でもその SPL は各スピーカー間で異な
ります。
Array Mode( 2,000Hz、 1/6Oct Band) Single Mode( 2,000Hz、 1/6Oct Band)
平面配置の場合
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取扱説明書 V3.0
• 音圧分布図
Speaker List のチェックボックスでチェックされているアレイスピーカーの受音面における音圧分布が表示され、その範囲(ダイ
ナミックレンジ)を示す SPL Legend が表示されます。SPL Legend の表示範囲は計算結果に応じて自動的に最適化されます。
表示後、その表 示範囲はリ ストボックスから最小値と最大 値を選択して変更することができます。Legend の表示位置は、
[View(V)] メニューから [SPL Legend(L)] で、[Left Top(T)]、[Left Center(C)]、[Left Bottom(B)]、[Right Top(P)]、[Right
Center(R)]、[Right Bottom(M)]、[Hide(H)] が選択できます。受音面の平均 SPL(音圧レベル)は Aspect Viewの左上に表示
されています。
SPL Mode
Speaker List のチェックボックスで選択されたスピーカーの音圧分布図が、Aspect View に表示されます。壁面(1 階のみ考慮)
あるいは床面にさえぎられている領域については直接音の音圧が計算できないため、青く表示されます。
アレイスピーカーの音圧分布図( 2,000Hz、 1/6 Oct Band、 Average Value: 85.0dB)
平面分散配置の音圧分布図( 2,000Hz、 1/6 Oct Band、 Average Value: 79.0dB)
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取扱説明書 V3.0
• 周波数特性グラフ
受音面上の受音点は+Position(プラスカーソル)で表され、受音点での計算結果が、 としてグラフ表示されます。
表示されるグラフの帯域幅はリストボックスで変更することができます。Array Mode および Single Mode では、Speaker List で選
択されているスピーカーの単体での応答を表示します。ただし、チェックボックスのオン/オフによる、スピーカーのオン/オフも反
映されます。SPL Mode では、Speaker List でチェックボックスがオンになっているすべてのスピーカーの応答を加算した結果を
表示します。受音点を移動する場合は、Aspect View 上の黒もしくは灰色の受音点をマウスでドラッグします。選択中の受音点
は黒のプラスカーソルで表され、その座標は、Aspect View の右下に表示されます。受音点は階をまたいで移動させることはで
きません。対象となる階の受音面に存在する黒または灰色の受音点を操作してください。詳細情報はカーソル位置で右クリッ
クすることで開く Information ウィンドウに表示されます。
グラフ(1/6 Oct Band)表示
受音点をマウスでドラッグして移動させると、受音面上の任意の位置の計算結果をグラフで見ることができます。任意の受音点
でグラフナンバー(例: )を選択して ボタンをクリックすると、受音点のプラスカーソルとグラフの色が変
わり、選択したグラフナンバーに の結果が保存されます。保存した受音点のプラスカーソルは移動できません。
グラフには 8 箇所までの受音点での計算結果を保存することができます。グラフナンバーを右クリックすると開くメニューから、
名前の変更、保存、削除、Information ウィンドウの表示が実行できます。グラフナンバーを選ぶと対応するグラフが Graph 上の
最前面に表示されます。また、各チェックボックスのオン/オフによって、グラフの表示/非表示を切換えることができます。グラフ
の表示レンジはリストボックスから、グラフ表示の最大値とレンジ幅を選択することにより変更することができます。
グラフ( FFT)表示
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ボタンをクリックすると、 Information ウィンドウが開き、選択されたグラフナンバーに保存されている詳細情報が表示され
ます。
Information ウィンドウ
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取扱説明書 V3.0
リストボックスのグラフナンバーを選択すると、情報を表示するグラフナンバーを切り替えることができます。データが保存されて
いないグラフナンバーは選択することができません。
Receiving Point Property
距離表示は、対象となるスピーカーの設置位置からカーソル位置までの距離を表しています。Comment ボックスには任意のコ
メントを改行等を含め最大 255 文字まで記入できます。
Listen
計算結果である受音点での応答にドライソースを畳み込んで聴くことができます。
ボタンをクリックして、受音点での応答を畳み込むドライソースを選択します。対応するドライソースのフォーマット
は 44.1kHz 、16bit 、ステレオの WAV(PCM)フォーマットです。5 分までの長さのドライソース(約 50MB)を読み込むことができま
す。
計算された音楽データを聴くには ボタンをクリックします。再生を止めるには ボタンをクリックし、一時停止するに
は ボタンをクリックします。また、スライダーで再生音量を設定できます。複数の条件下での応答を比較試聴する場合に、
このスライダーを使ってレベル差を調整することができます。
ドライソースに受音点での応答を畳み込んだ音を、 ボタンによって保存することもできます。データは 44.1kHz 、16bit 、ステ
レオの WAV(PCM)フォーマットで保存されます。
HRTF チェックボックスをチェックすることにより、HRTF (頭部伝達関数)を畳み込んだ音を聴くことができます。到来音の方向
感を伴った再生が可能です。
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取扱説明書 V3.0
7. シミュレーション結果のレポート
• 概要
Y-S3は計算結果を資料として活用できるように、レポートやデータを保存できます。[File(F)]メニューから[Export(E)]を選ぶと、
様々な形式のデータ保存ができ、[Option(O) ]メニューから[Product List(P) ]を選ぶと、プロジェクト内で使用されている機器の
リストが保存できます。
• Project Report
プロジェクトレポートは下記の項目を含む、様々なデータを出力し、保存( .html)することができます。
• Project Summary: プロジェクトの概要
• Venue Geometry: 室のタイプや大きさ
• Product List: 使用機材リスト
• System Diagram: シグナルプロセッサー、アンプ、スピーカーの構成
• Frequency Responses: 周波数応答のグラフ及び各受音点の座標
• Contour Map: 指定した周波数におけるコンター図
• SPL Color Map: 指定した周波数における音圧分布図
• Array Properties: 設置したアレイスピーカー及び、ディストリビューテッドスピーカーのプロパティ
• プロジェクトレポート作成・保存方法
ツールバーの ボタンをクリックすると、プロジェクトレポートファイル(.html)を作成し保存します。[File(F)]メニューから
[Export(E)]-[Project Report(R)… (*.html)]を選ぶと、Export Project Report ウィンドウが開きます。
Export Project Report ウィンドウ
出力したい項目のチェックボックスをオンにします。コンター図と音圧分布図の周波数と帯域を変更する場合は
ボタンをクリックし、Frequency Selection ウィンドウを開いて設定します。これらの設定は ボタンによって、
Export Project Reportの初期値として保存することができます。 ボタンをクリックして保存ファイル名を入力すると、計算
が始まりプロジェクトレポートが作成され保存されます。プロジェクトレポート作成中に他の作業を行うと、画像が正しく出力され
ないことがあります。プロジェクトレポート作成中は他の作業を行わないでください。また、作成中に Esc キーを押すと、レポート
作成が中断されます。なお、ファイル名に下記の文字、および空白は使用できません。
; / ? : @ & = + $ , < > # % " } | ¥ ^ [ ] ` * .
プロジェクトレポートに作成される Aspect View および Graph の画像データの背景色は、常に[White] に設定されます。
受音点が保存されていない場合、Frequency Responses の項目は出力されません。
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Yamaha Sound System Simulator Y-S3
取扱説明書 V3.0
• テキストデータの保存
スピーカーの状態や計算結果をテキストデータ(CSV フォーマット)として保存することができます。保存された CSV フォーマッ
トのテキストデータは、Microsoft Excel® などの表計算ソフトに取り込むことができます。
アレイスピーカープロパティの保存( SPA Property)
配置されているアレイスピーカーのすべての情報をテキストデータ(CSV フォーマット)として保存します。データを保存するに
は[File(F) ]メニューから[Export(E) ]-[SPA Property(S)… (*.csv)]を選択します。
音圧分布データの保存( SPL Data)
Aspect View に表示されている音圧分布の値をテキストデータ(CSV フォーマット)として保存します。データを保存するには
[File(F) ]メニューから[Export(E) ]-[SPL Data(P)… (*.csv) ]を選択します。
周波数特性データの保存( Graph Data)
Graph に表示されて いる周波数特性 の値をテキストデータ(CSV フォーマット)として保存します。データを保存するには
[File(F) ]メニューから[Export(E) ]-[Graph Data(G)… (*.csv) ]を選択します。
• 画像データの保存
Aspect View および Graph に表示されている計算結果を画像データ( JPEG フォーマット)として保存することができます。
背景色は常に[ White] に設定して保存されます。
Aspect View 画像の保存( Image of Aspect View)
現在 Aspect View に表示されている音圧分布またはコンター図を画像データ(JPEG フォーマット)で保存します。データを保存
するには[File(F) ]メニューから[Export(E) ]-[Image of Aspect View(A)… (*.jpg)]を選択します。
Graph 画像の保存( Image of Graph View)
現在 Graph に表示されている周波数特性のグラフを画像データ(JPEG フォーマット)で保存します。データを保存するには
[File(F) ]メニューから[Export(E) ]-[Image of Graph View(H)… (*.jpg)]を選択します。
• プロダクトリストの保存( Product List)
現在設置されているアレイスピーカーおよび関連機器(アンプ、DME、吊金具など)のプロダクトリストを表示します。プロダクト
リストを表示するにはツールバーの ボタンをクリックするか、[Option(O)]メニューから[Product List(P)]を選択します。表示
したプロダクトリストはテキストデータ(CSV フォーマット)として保存することもできます。データを保存するには Product List ウィ
ンドウ内の ボタンをクリックし、ファイル名を付けて保存します。プロダクトリストのテキスト情報をクリップボードにコピ
ーするには ボタンをクリックします。
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取扱説明書 V3.0
8. DME フォーマットでのコンフィグレーションの保存
配置したすべてのアレイスピーカーの出力系コンフィグレーションを自動で生成し、DME フォーマットで保存することができま
す。
DME Designer の Project File フォーマット( .daf)で保存
コンフィグレーションを DME Designer の Project File フォーマット(.daf)で保存するにはツールバーの ボタンをクリックする
か、[File(F)]メニューから[Export(E)]-[DME Configuration(D)… (*.daf)]を選択し、ファイル名を付けて保存します。保存
した.daf ファイルは DME Designer で開くことができます。.daf ファイルには必要なプロセッサーやアレイスピーカーのコンフィグ
レーションが含まれています。
DME Designer の Device Configuration フォーマット( .ddf)で保存
DMEの内部コンフィグレーションは Device Configurationフォーマットでエクスポートすることもできます。コンフィグレーションを
Device Configuration フォ ーマット( .ddf)で 保存するには[ File(F)]メニューから[ Export(E)]-[ DME Configuration(M)…
(*.ddf )]を選択し、ファイル名を付けて保存します。保存したファイルを DME Designer で読み込むには、まず DME Designer
を起動し、次にメイン画面で[File ]メニューから[Import Device Configuration ]-[Create New Group ]を選択し、保存したファイ
ルを読み込みます。また DME Designer で作成したプロジェクトファイル内の既存の DME に、コンフィグレーションをインポート
することもできます。インポートするには、DME Designer の[File ]メニューから[Import Device Configuration ]を選択し、Y-S 3で
保存したファイルを読み込みます。
DME Designer の Library File フォーマット( .cel)で保存
配置したすべてのアレイスピーカーの出力系コンポーネントの設定を Library File フォーマット(.cel)で個別に保存することがで
きます。[File(F)]メニューから[Export(E)]-[DME Configuration(E)… (*.cel)] を選択し、保存するフォルダーを指定します。
指定したフォルダー内にアレイスピーカーごとのフォルダーが作成され、ライブラリーファイルはその中に保存されます。保存さ
れるファイル名は (アレイスピーカーの名前)_(コンポーネント名).cel もしくは (アレイスピーカー の名前)_(スピーカーの名
前)_(コンポーネント名).cel となります。すでに同じ名前のファイルが存在する場合は上書きされますので、必要に応じて新し
いフォルダーを作成してください。コンポーネント名は DME Designer のコンフィグレーションと対応し、delay (Delay-Short 1
Output)、peq (PEQ-Mono 8 Band)、SPProc (Speaker Processor) のいずれかとなります。
保存されたライブラリーファイルは、DME Designer および Amp Editor から開くことができます。ライブラリーファイルを開く方法
については各ソフトウェアの取扱説明書をご覧ください。なお、Y-S3 で保存した Speaker Processor のライブラリーファイルを
Amp Editor で使う場合は、「 Speaker Processor Library Converter」 で TXn 用ライブラリーファイル (*.ce2) に変換してください。
Amp Editor でライブラリーファイルをリコールすると、 TXnのゲインストラクチャーに合わせた Limiter 設定値に変更されます。 1
way のライブラリーファイルは TXn 用ライブラリーファイル (*.ce2) に変更せず、そのまま読み込むことができます。「 Speaker
Processor Library Converter」については、 Amp Editor の取扱説明書をご覧ください。 また、 Amp Editor は delay のライブラリ
ーファイルの読み込みには対応していません。
DME Designer および Amp Editor は、ウェブサイト( http://www.yamahaproaudio.com/japan/ja/)からダウンロードすることができ
ます。
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取扱説明書 V3.0
9. その他の機能
• インプットレベルの補正( Input Level Negotiation)
設置した各アレイスピーカーの入力レベル(Speaker Property - Config - Input Level)を一定値になるように調整します。
[Option(O)]メニューから[Input Level Negotiation(I)]を選択すると、Y-S3: Input Level Negotiation ウィンドウが開きます。
Current 列には各アレイの現在の入力レベル(Input Level(dBu))と、アレイを構成する各スピーカーにつながったアンプのアッ
テネーター設定値(Att.(dB))が表示されます。入力レベルのうち、最大のレベルが太文字で示され、 ボタンを押
すと、各系統の入力値がこの値に統一されます。同時に、各スピーカーへの出力値が変わらないように、アンプのアッテネータ
ーが調整されます。多数の出力バスを持たない、小規模のミキサーなどを使用する場合に有効です。
インプットレベル補正前 インプットレベル補正後
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取扱説明書 V3.0
10. 計算方法について
計算方法
• 本ソフトウェアは受音点または受音面におけるアレイスピーカーの応答を算出するスピーカーシステムの設計支援ソフトウ
ェアです。
• 応答は、幾何音響に基づき、各スピーカーからの応答の足し合わせにより算出されます。
• 各スピーカーの応答は、受音点とスピーカーの位置の関係から、対応する方向のインパルス応答を選び出し、そこに距離
による減衰、空気吸収、アンプタイプ、システムアッテネーション、シグナルプロセッサー(EQ 、ディレイ)の影響を考慮して
算出されます。
• 応答の足し合わせには、位相を考慮する方法と、エネルギー加算による方法の 2 通りがあります。
• 応答は直接音のみに限定され、反射のない自由音場での計算となります。
• オクターブバンドの音圧レベルは、システムにピンクノイズが入力されているものとして計算されます。
• 入力するピンクノイズには、狭帯域ノイズと全帯域ノイズの 2 種類があります。
• 可聴化に用いる 2 チャンネルの応答は、各スピーカーの応答に対応する方向の頭部伝達関数(HRTF )を畳み込んだうえ
で、それらの応答を足し合わせて算出されます。
自動設定方法
• Y-S 3には 2 つの自動設定があります。ひとつは室形状に合わせて適切なスピーカーを選び出して配置するもの( Auto
layout)で、もうひとつは各スピーカーの条件(設置角、 EQ、アンプタイプ、入力レベル、システムアッテネーション)を決め
るもの( Auto tuning)です。
• これらの機能による結果はあくまでも目安であり、微調整および仕様変更が必要となります。計算は以下の理論に基づき
行われます。
1. Auto layout
• スピーカーの種類は、室形状、床面積、形状の寸法比により、適切なスピーカーが選び出されます。
• スピーカーの位置は、室内の天井高を考慮しながら、スピーカーの配置位置(Center 、Center + Side 、Side )に合わせて決
定されます。
• 角度はデフォルト値( Pan: 0°、 Rot: 0°、 Tilt: 30°、 Splay Angle:最小)に設定されています。
2. Auto tuning
• スピーカーの条件はアレイスピーカーごとに設定されます。
• スピーカーの角度(Pan 、Tilt 、Splay Angle )は、ユーザーが選んだアレイスピーカーのカバー領域内の音圧レベルの標準
偏差が最小になるように設定されます。
• アレイスピーカーを構成する各スピーカーのターゲットポイントすべてが、選択したカバー領域内にあるときのみ、適切な
角度が算出されます。
• 各スピーカーの EQ およびシステムアッテネート値は、アレイスピーカーを構成する各スピーカーのターゲットポイントにお
いて、その周波数特性がフラットかつユーザーが設定する必要音圧レベルに近づくように設定されます。(注 1 :このとき軸
点での音圧レベルはエネルギー加算により計算されるため、干渉による peak および dips は補正されないことになります。
注 2 :ディレイは自動で設定されません。ディレイはすべて 0ms に設定されます。)
• インプットレベル設定では、要求されている SPL を参考にしながら、まず各スピーカーに必要な出力を設定します。次にア
ッテネーションレベルを設定し、ひとつのアレイスピーカー内のスピーカー間のパワーの差異を調整します。最後に必要な
出力とアンプのゲインから入力信号のレベルを設定します。
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