Yamaha AW2816 User Manual [ja]

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AW2816の世界へようこそ!
音楽制作に興味のある方であれば、テレビや雑誌などで見掛け るアーティストの曲が演奏をレコーディングする段階からCD が出来上がるまでに、専用のレコーディング/ミックスダウン スタジオにあるたくさんの高価な機材を使用していたり、それ らに対しての専門知識を持ったサウンドエンジニアによってさ まざまな過程を経て制作されていることはご存知でしょう。
このAW2816には、そんな大規模な専用の音楽スタジオのあ らゆるプロセスで使用される機材に搭載された機能が凝縮され ています。オプションのCD-RWドライブを搭載することによ り、レコーディングからCD制作まですべてAW2816内で「プ ロクォリティで」完結することが可能です。
デジタルレコーディングの世界でデファクトスタンダードであ るミキシングコンソール「YAMAHA02R」と同等の性能を持 つ高音質でパワフルなミキサー部分をはじめ、そのミキサー部 分を操作した動きを記憶させ再現できるオートミックス機能、 より多彩な機能を備えた2 系統のデジタルマルチエフェク ター、CDクォリティの16ビットはもちろん繊細なニュアンス も逃さない24ビットでの録音/再生にも対応した完全非圧縮 の16トラックレコーダー等々、数多くの機能が用意されていま す。

このチュートリアルについて

このチュートリアルでは、レコーディング/ミックスダウンに 興味はあるけれどAW2816のような機材に触れるのは初めて という方向けに、実際のオペレーション方法を解説しながら AW2816でのレコーディング/ミックスダウンについて紹介 してあります。
このチュートリアルを読み進めて行けば、AW2816の主な機 能は一通り操作できるようになっていますが、各機能のより詳 細な説明はAW2816「取扱説明書」を参照してください。また、 この冊子の巻末には、AW2816をはじめとするデジタルミキ シングコンソールやデジタルレコーダーで使われる専門用語を 集めた用語集を収録しています。分からない言葉が出てきた時 などに活用してください。
すでにデジタルミキシングコンソールやデジタルレコーダーを 使用したことのある方であれば、AW2816はすぐに自分の手 足のように操作できるようになるのと同時に、この小さなボ ディの中にどれほど驚異的な性能が秘められているかが理解で きるはずです。一方、そういった機材にこれまで詳しくなかった 方でも、AW2816は簡単にその充実した機能を余すことなく 引き出せるように設計されていますので心配は無用です。
このチュートリアルでは、具体的なオペレーション例を取り上 げてありますが、これらはAW2816を理解するための第一歩 となるきっかけに過ぎません。このチュートリアルを参考にし ながら、自分なりのノウハウ、AW2816を使いこなすコツを身 に付けてください。
チュートリアル
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目 次
目 次
イントロダクション ............................................ 1
このチュートリアルについて ........................................... 1
目 次................................................................ 2
AW2816でレコーディングをする...................... 3
新しいソングを作成 ........................................................... 3
リズムセクションの録音 ................................................... 3
マイクを2本使用したリズム録音..................................... 3
AW2816にマイクを接続する ........................................ 3
マイクからの音をハードディスクに録音する ................ 4
録音した音を再生する ....................................................... 4
リズムマシンの音を録音 ................................................... 5
AW2816のテンポ情報は? ............................................ 5
シーケンスソフトに打ち込んだ音を録音 ........................ 5
ボーカル、生楽器の録音 ..................................................... 6
シーンメモリーを切り替える ........................................... 6
TIPS〜ボーカルレコーディング...................................... 6
オーバーダビング ............................................................... 7
バーチャルトラックの切り替え........................................ 7
TIPS〜エフェクトの掛け録りは良?悪? ...................... 7
モニターする音にだけエフェクトを掛けるには ............ 7
チャンネル7:パーカッション ....................................... 15
チャンネル8:アコースティックギター........................ 16
チャンネル9:ピアノ ....................................................... 16
チャンネル10:シンセサイザー .................................... 17
チャンネル11:オルガン ................................................ 17
チャンネル12:エレクトリックギター......................... 18
チャンネル13/14/15:コーラス ................................ 18
チャンネル16:リードボーカル .................................... 19
ソングを保存する ............................................................ 19
Step4:アンビエンスを追加する ................................ 20
エフェクト1センドの使用とエフェクトの選択 .......... 20
必要に応じてトラックにアンビエンスを加える ......... 20
チャンネル1/2:キック、スネア .................................... 21
チャンネル3、4:トップ .................................................. 21
チャンネル7:パーカッション ....................................... 21
チャンネル8:アコースティックギター........................ 21
チャンネル9:ピアノ ....................................................... 21
チャンネル10:シンセサイザー .................................... 21
チャンネル11:オルガン ................................................ 21
チャンネル12:エレキギター ........................................ 21
チャンネル13/14/15:コーラス ................................ 21
チャンネル16:リードボーカル .................................... 21
Step5:ミックスの完成とオートメーションの設定 . 22
<オートミックス> ........................................................... 22
収録されているオートミックスを聞いてみよう。....... 22
デモソングのリストア ......................................... 8
ハードディスクにリストアする........................................ 8
デモソングをハードディスクからロードする ................ 8
ミックスダウン................................................... 9
Step1:録音トラックを聴いて計画を練る.................... 9
はじめましょう ................................................................... 9
Step2:ラフミックスのセットアップ......................... 10
キック、スネアからスタート .......................................... 10
ドラムスのトップを録音したトラックを追加する ..... 10
ハイハットを追加する .................................................... 10
ウッドベースを追加する ................................................ 10
パーカッションを追加する ............................................ 10
アコースティックギターを追加する............................. 11
ピアノを追加する ............................................................ 11
シンセサイザーを追加する ............................................ 11
オルガンを追加する ........................................................ 11
エレキギターを追加する ................................................ 11
リードボーカルを追加する ............................................ 11
コーラスを追加する ........................................................ 11
ラフミックスを聴く ........................................................ 11
ソングを保存する ............................................................ 11
シーンを保存する ............................................................ 11
収録されている「Canyoufeelit?」のオートミックスの
内容について.................................................................... 22
<主なオートミックス内容について> ............................ 23
マスタリング ................................................... 24
正確なモニタリングが重要!.......................................... 24
マスターEQ/ダイナミクスを設定する ....................... 24
イコライザー(EQ).......................................................... 24
コンプレッサー................................................................24
デモソングのマスターコンプレッサー設定 ................. 25
ソングをステレオトラックに録音する......................... 25
ソングをCD-Rディスクに書き込む .............................. 25
さらに、次のステップへ..................................... 26
用語集.............................................................27
Step3:パートごとにミックスを組み立てる............. 12
チャンネル1/2:バスドラム、スネアドラム ................. 12
チャンネル3/4:トップ .................................................. 13
チャンネル5:ハイハット ............................................... 14
チャンネル6:ウッドベース ........................................... 14
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チュートリアル
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AW2816でレコーディングをする

AW2816は、そのサイズからは想像もつかないくらい大きな レコーディングスタジオのミキシング・コンソールに匹敵する ポテンシャルを秘めています。
もちろん生演奏を一回で録音する用途にも使用できますが、多 重録音でのレコーディングを行えば、バーチャルトラックも含 めて16×8=128トラック搭載されたMTRの機能をフルに活 用することができます。
ここでは、その性能を十分に発揮させるために必要な「レコー ディング」のやり方について、実際の作業手順を追いながら説明 して行きます。

新しいソングを作成

WORKNAVIGATEセクションの[SONG]キーを押してくだ さい。SongList画面が表示されたらカーソルを下のほうへ動 かしNEWSONGの欄で[ENTER]を押します。「現在のソング を保存しますか?」と質問さ れますのでYESあるいはNOで答 えた後、新規に作成するソングのサンプリングレート(Fs)とレ コーディング時のビット数(Recbit)をそれぞれ決めてOKの上 で[ENTER]を押してください。続いてMIXER DATAを IMPORTするかどうか聞かれます(詳細はAW2816「取扱説 明書、リファレンス編」をご参照ください)が、最初は何も選択せ ずにOKで構いません。
次に、作成するソングの名前を入力します。O K の上で
[ENTER]を押すと続けてコメント入力画面になります。特に
記述することが無ければそのままでO K です。これで、 AW2816のハードディスク内に新しいソングが作成されま す。

マイクを2本使用したリズム録音

AW2816には2チャンネル分のXLRマイク入力が搭載されて いるので、録音ブースに2 本のマイクを立てステレオレコー ディングが可能です。まずここでは、ステレオで2本のマイクを 使用してレコーディングをする場合を想定して、話を進めます。
AW2816にマイクを接続する
同じ特性の(できるだけ同じメーカー、同じ型番の)マイクを2 本準備したら、それぞれAW2816のINPUT1、2のXLR端子の ところにマイク用のケーブルで接続してください。もし、そのマ イクがコンデンサーマイクである場合は、背面パネルにある PHANTOM+48Vと書かれているスイッチをONにしてくだ さい(ダイナミックマイクの場合はOFFのまま使用してくださ い。マイクを損傷してしまう場合があります)。
さあ、実際にマイクからの音がAW2816に入力されているか どうか確認してみましょう。まず、インプットのゲインコント ロールを回して調整します。できるだけ大きなレベルで録音す るようにするとAW2816の能力を生かした良い音で録音する ことができますが、あまりここで大きく設定すると音が歪んで しまったり、サーッというノイズが一緒に録音されてしまった りするので気を付けてください。もっとも大きい音を出したと きに、ゲインコントロールの右上にあるPEAKランプがギリギ リ点灯するかしないか、くらいが目安です。ゲインコントロール を右に回しきってもPEAKランプが点灯しない場合は、もう一 度接続を確認し、OKなら次の手順でメーターが振れるかどう かを確認してください。

リズムセクションの録音

1つの曲をレコーディングしていく際には、その曲のテンポや グルーブ感(ノリ)を決めるためにも、まず最初にリズムセク ションを録音するのが妥当です。曲全体の構成とリズムを形 作ってから、ボーカルやギター、その他のバックパートを追加し て、曲を組み上げていきます。
この段階で必要になるパートはドラムス、ベース、パーカッショ ンです。特にベースを早い時点で録音しておくと、曲のコード進 行が明確になり、後々のオーバーダビング作業がやり易くなり ます。また、バッキングのキーボードやギターのカッティングな どが曲のリズム感の構成を担当している場合は、これらも先に 録音しておくようにしましょう。
次に、AW2816を使用したリズム録音の幾つかのケースにつ いて紹介しながら、実際に使用する手順に沿ってオペレーショ ンの方法を紹介していきます。
チュートリアル
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AW2816でレコーディングをする
マイクからの音をハードディスクに録音する
入力レベルが調整できたら、入力を録音するトラックにつなぎ ます。WORKNAVIGATEセクションの[QUICKREC]キーを 押してください。左側がAW2816に入力される音、右側がレ コーディングするトラックで1〜16、全部で16トラックあり ます。左側CH1のところの丸の上で[ENTER]を押してみてく ださい。CH1の表示が反転したら、続いて右側のTR1の丸の上 で[ENTER]を押します。どうでしょう、CH1とTR1が画面上 で接続されているでしょうか?同じ要領でCH2とTR2もつな いでください。左下のCHSETTINGは、初 め て録音す る場 合 は初期設定にするために[FLAT]を選んでおきます。
これらの準備が終わったら、右端のEXECUTEのところで
[ENTER]を押します。これで良いかどうか確認してき ますの
でO K を選びます。AW2816右上にあるREC TRACK SELECTの1と2が点滅していればOKです。
インプットチャンネル1のフェーダーのすぐ上にある[ON] キーを押して点灯させてください(このとき、先ほどのPAIRが 有効であれば自動的にチャンネル2の[ON]も点灯します)。CH View画面の右上のほうに音量のメーターが表示されています ので、フェーダーを調整し、それぞれのマイクからAW2816に 音が入力されているか確認してみてください。もっとも大きい 音を出したときでもメーターのOVERが点灯しない範囲で、で きるだけ大きくすると良い音で録音できます。はじめのゲイン コントロールの調整がうまくできていると、フェーダーは0dB 付近のままで良いはずです。
あとは録音するだけです。演奏する準備が整ったら、[REC] キーを押さえながら、一緒に[PLAY]キーを押します。演奏が終 わったら[STOP]キーを押してください。
録音した音を再生する
では、録音した音を聴いてみましょう。2本のマイクをステレオ で使用したのであれば、MIXERセクションの[PAN]を押し、
[F2]を押してPanMONI画面を開いてください。ソングを作
成してそのままの状態であれば、1 6 トラックすべてが中央
(CENTER)で鳴る設定になっています。画面上のトラック1の
Panにカーソルを合わせ、[DATA/JOG]ダイアルを左いっぱ い(L16)まで回してください。同じようにトラック2を右いっ ぱい(R16)にします。えっ、トラック1に右側のマイクを録音し てしまった場合は?その時は、今回だけは左右を逆に設定すれ ば大丈夫です。ただ、各インプットチャンネル/トラックのペア は1-2、3-4...という組み合わせになりますので、次回からは奇 数チャンネルに左の音を入力するようにしましょう。
このまま録音しても構いませんが、ステレオでレコーディング しますので、2つのインプットをペアにしておきましょう。
MIXINGLAYERセクションでINPUT[1 - 8]を押してから、 チャンネル1の[SEL]キーを押して点灯させてください。今度 はMIXERセクションの[VIEW]を押し、[F 1 ]を押してCH View画面を呼び出します。[CURSOR]キーでPAIRと書かれ ている隣りのMONO×2の欄のところに移動し[ENTER]を押 します。どのパターンで隣り合うチャンネルとペアにするかど うか聞かれますので、ここではINPUT1→2の上で[ENTER] を押してください。これでチャンネル1と2の2つのINPUTの 設定をいっぺんに操作することができます。試しにインプット チャンネル1のフェーダーを 上下させてみてください。隣の フェーダーが一緒についてくればOKです。
Panが設定できたら、テンキーの0[RTZ]キーを押してソング の先頭に戻り、[PLAY]キーで再生してください。音が出ていな い場合はMIXINGLAYERセクションのRECORDER[1-8] キーを押して、レコーダー側のトラック1と2の[ON]キーが点 灯し、フェーダーが上がってい るか確認してください。 STEREOの赤いフェーダーが上がっているか、またヘッドフォ ンの場合はPHONES、モニタースピーカーをつないでいるの であればMONITOROUTが下がりきっていないかも注意して ください。これでも音が聞こえて来ない時は、録音する時点で何 かを間違えているかもしれませんので、先ほどまでの手順を1 つ1つ確認しながら、もう1度録音を準備するところからやり直 してみましょう。
録音した音はちゃんと録れていましたか?音が歪んだり、割れ てしまったりしている場合はゲインコントロールを調整して録 音し直しましょう。ハードディスクに録音した時点で歪んでし まった音は、後から修正することはできないからです。
また、くれぐれもマイクの位置には慎重になりましょう!楽器ま での距離やマイクの向きで、録音した後のサウンドは驚くほど 変化します。AW2816は何度でも録音のやり直しができるの で、納得の行く音が録れるまで色々試してみましょう。雑誌を読 んだり、人のやり方を見習ったりするのもひとつの方法ですが、
「これが正解」というマイクの立て方は、熟練のレコーディング
エンジニアにならないとすぐには難しいものです。興味のある 方は、専門書等を参考にしながら、AW2816でじっくり研究し てみることをお勧めします。
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チュートリアル
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リズムマシンの音を録音

前の例とは異なり、今度はシーケンサー機能を内蔵したリズム マシンで作成したリズムセクションをAW2816にレコーディ ングしてみます。レコーディングと同時にリズムマシンの PLAYボタンを押しても構いませんが、最近のリズムマシンは ほとんどがM T C やMIDI Clockに対応していますので、 AW2816とリズムマシンを同期走行させてみましょう。ここ ではAW2816がMTCもしくはMIDIClockマスターとなり、 リズムマシンを追従させる場合について紹介します。
まず[MIDI]を押し、次に[F1]を押してMIDISetup1の画面を 表示させます。MTCSYNCがMASTERになっていることを確 認します。次にお使いになるリズムマシンが、MTCまたはMIDI Clockの信号を受信して同期走行できるかを確認してくださ い。(SYNCする、という表現の場合もあります。)どちらの信号 で同期走行させるかで設定や接続が異なります。
MTCを使う場合は、AW2816のMTCOUT端子とリズムマシ ンのMIDIIN端子(MTCINという端子があればそちら)をMIDI ケーブルで接続してください。
MIDIClockを使う場合は、[F2]を押してMIDISetup2の画 面を表示させます。MIDICLKをONに、MIDI/HOSTをMIDI に、OUT/THRUをOUTに設定します。それぞれのところに カーソルを移動し、[ENTER]を押せば 設定を変えることが で きます。そしてAW2816のMIDIOUT端子と、リズムマシンの MIDIIN端子をMIDIケーブルで接続してください。MIDIClock を使う場合は、後で説明するテンポ情報の設定も必要です。
次に、リズムマシンをMTCあるいはMIDIClockに同期走行す る設定に変更し、リズムマシンを同期信号に待機するモードに 切り替えてください。これで、AW2816のPLAYボタンを押せ ばリズムマシンが一緒に動き出すはずです。上手くいきました か?MTCの場合はフレームレートというパラメーターをそれ ぞれの機器で同一にしなければならないといった決まりもあり ますので、AW2816「取扱説明書」とリズムマシンの説明書も 参照して設定を確認してみてください。
さて、上手く同期走行するようになったらようやくレコーディ ングです。リズムマシンのオーディオ出力をAW2816のイン プットにつなぎ、音がちゃんと入力されているか確認した上で 録音していきます。ここで、曲の構成を考えながら、もし AW2816のレコーディングトラックに余裕があるようでした ら、リズムマシンの中の音色をそれぞれ別のトラックに録音し ておくと、後でミックスダウンの幅が広がります。

シーケンスソフトに打ち込んだ音を録音

基本的な考え方は上記のリズムマシンの例と同じです。ただし、 AW281 6 には音源としての機能は入っていませんので別途 M I D I音源を用意して、それをシーケンスソフトで鳴らし、 AW2816にレコーディングするという流れになります。
AW2816のテンポ情報は?
AW2816ではソングごとにテンポ情報を管理しています。新 規にソングを作成した状態では4/4拍子、Tempo=120に設 定されています。これを変更したい場合や、曲の途中で拍子やテ ンポを変更する場合には[SONG]を押 してから[F4]を押し、 TempoMap画面で設定します。2つの枠のうち左側が拍子
(METER)、右側がテンポ(TEMPO)になっています。試しに
TEMPOの側でNEWにカーソルを移動し[ENTER]を押して ください。2番目のテンポ情報が作成されます。ここでSTEP2 のMEASUREを5、TEMPOを130.0 に変更してみてくださ い。これで、5小節目まではテンポがSTEP1の値(120)、5小 節目から130に変わるはずです。
不運にもリズムマシンにMTCを出力する端子しか無い場合や、 すでにリズムマシンに細かくテンポ情報を打ち込んであって AW2816で設定し直すのが大変!という場合などは、 AW2816「取扱説明書」を参考にして AW2816をMTCス レーブで同期走行させてください。
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AW2816でレコーディングをする

ボーカル、生楽器の録音

リズムセクションの録音が無事終わったら、続いてボーカルや リードギター、生楽器などのレコーディングになります。ここで はマイクをAW2816のINPUT1(あるいは2)につないで、 ボーカルを録音する場合と仮定して説明します。
ボーカルを録音する際には、当然すでにレコーディングしてあ るトラックを聴きながら歌うことになります。ボーカリストが モニタースピーカーで音を聴きながら歌って録音するのはもっ てのほかですが、ヘッドフォンでもオープンタイプの物では、音 が漏れて録音済みのトラックの音が声と一緒に録音されてしま うおそれがあります。ボーカルをはじめ、マイクで録音する時の ヘッドフォンは密閉型を使用することを強くお勧めします。
ボーカル録音時には、特定のリズムパートだけ音量を大きくし たり、あらかじめ仮ボーカルを取っておいてそれをガイド役に して歌うなど、本来のミックスとは違うバランスで録音済みの トラックを聴きながら歌うのも効果的です。AW2816には シーンメモリーという機能がありますので、まず現在のMIXER セクションの情報を記憶させておき、ボーカル録音用の別ミッ クスを作り、別のシーンメモリーに登録しておきます。これで、 後からボーカルだけ録り直したい時にもすぐに同じ状態に戻る ことができます。
シーンメモリーを切り替える
実際にシーンを切り替えてみましょう。まずSCENE MEMORYセクションの[ ]/[ ]キーでシーンナンバーを 00以外に変更してください(00は初期データのため、変更で きないようになっています)。シーンナンバーは画面上部やや右 の場所に表示されています。ここでは仮に0 1にしたとして、 SCENEMEMORYセクションの[STORE]キーを押します。 するとシーンに名前を付けるモードになりますので、分かりや すい名前を付けてOKにします。次に、録音済みのトラックを再 生しながら、ボーカルが歌いやすいようにドラムスなどリズム 感の伝わる楽器の音をやや大きく、それ以外のパートの音量を 抑えめにして、今度はSCENEMEMORYを02に変更して STOREを押し、こちらも名前を付けてOKを選び保存します。
TIPS〜ボーカルレコーディング
現在のミュージックシーンを考えると、ボーカルの録音はレ コーディングでもっとも重要なポイントになります。 AW2816の入力部分の音量調整はもちろんですが、録音する 際のマイクの高さや向き、ポップガードを用意する等、声量や声 質といったボーカルの特性に合わせて細心の注意を払う必要が あります。又、録音場所を選ぶ事もとても重要です。リビング ルームで録音するか、お風呂場で録音するかによって録音され た音が大きく変わってきます。
「そのボーカルの長所を最大限に活かした録音」が最高のセッ
ティングです。ボーカリストがベストコンディションを発揮で きるよう、あらゆる方法を試みてください。極度に緊張した状態 ではおそらく良い録音はできないでしょう。ボーカル録音の際 には、適度にリラックスした雰囲気作りを心掛ければ 、24bit録 音が可能なAW2816の広いダイナミックレンジをフルに利用 したレコーディングが行えるはずです。
では保存したシーンを呼び出してみます。シーンナンバーを01 にして[RECALL]を押します。「Will Recall〜ARE YOU SURE?」と、シーンを変更するかどうか聞いてきますのでOK の上で[ENTER]を押すと、ボーカル用に各トラックの音量を 変更する前の設定に戻っていると思います。同じように、今度は シーンを02にして[RECALL]を押してみましょう。先ほど保 存したボーカル用の設定になりましたか?
このシーンメモリー機能は便利ですが、うっかり保存するのを 忘れて別のシーンを呼び出すと元には戻せませんので注意しま しょう。
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チュートリアル
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オーバーダビング

モニターする音にだけエフェクトを掛けるには
オーバーダビングの手順は、基本的な部分はこれまでのリズム セクションやボーカル等の録音と同じです。録音済みのトラッ クを聴きながらバックパートをレコーディングしていきます。
レコーディングの時点では、思いついたパートはすべて録音し ておくことをお勧めします。不必要になったパートはミックス ダウンの時に削ってしまうこともできますし、ギターソロなど も数パターン録っておくと、後で差し替えたくなった時に便利 です。AW2816には128トラックのバーチャルトラックが搭 載されていますので、ボーカルを何テイクか保存しておくなど しておけば、ミックスダウンの自由度がそれだけ高くなります。
バーチャルトラックの切り替え
バーチャルトラックを切り替えたい時は、RECORDERセク ションの[TRACK]を押し、[F2]を押すことでV.Track画面を 表示することができます。試しに1番上の段にあるトラック1の バーチャルトラックの欄で、2の上で[ENTER]を押してみてく ださい。2の表示が反転したら、今度は[F1]を押してTRView 画面に戻ります。各トラックのNAME欄の右隣りにVという欄 があり、トラック1では2が表示されていればOKです。現在ど のバーチャルトラックが選択されているかは、ここで確認でき ます。
ボーカルを録音する時に、リバーブ等の空間系エフェクトが掛 かっていたほうが歌いやすいケースもあります。この場合は、 INPUTからAUXSENDを利用してエフェクトを掛け、録音す るトラックには素の音をレコーディングし、モニターにだけエ フェクト音を掛ける方法が実用的です。
これまでに紹介してきた方法を参考にして、インプットチャン ネル1にマイクの音を入力し、[QUICKREC]でトラック1に録 音できる状態にしてみましょう。次にFADERMODEセクショ ンの[AUX5]を押してください。フェーダーが一斉に下がり、 Eff.Edit画面が表示されたと思います。ここでインプットチャ ンネル1のフェーダーを上げて、マイク からの音をAW2816 で聴いてみてください。リバーブ系のエフェクトが選択されて いれば、音に残響音が付加されているはずです。この時点で、エ フェクトの音はAW2816の最終的なアウトプットであるステ レオアウトにエフェクトの音は出力されていますが、トラック 1には録音されません。実際に録音して、レコーディングした音 にエフェクトが掛かっていないかどうか確認してみてくださ い。
TIPS〜エフェクトの掛け録りは良?悪?
AW2816には非常に多彩なエフェクトが搭載されています が、レコーディングの時に掛けて録音したエフェクトは、後から の変更が一切効かないので注意する必要があります。特にイコ ライザー(EQ)や空間系のエフェクトは、録音時に掛けてしまう とミックスダウンの段階になって自由度が狭められてしまう場 合があります。
ドラムスやベースの音が歪まないように、録音する時にリミッ ターを使う場合がありますが、多少のテクニックを必要とする ため、最初のうちは実際に目でメーターの振れ具合を確認しな がら歪まないレベルにゲインコントロールやボリュームで調整 する方法をお勧めします。
チュートリアル
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デモソングのリストア

デモソングのリストア
次の章では、ミックスダウンの手順を紹介するにあたって AW2816に同梱されているデモソングを題材に進めて行きま す。そこで、付属のCD-ROMからAW2816のハードディスク にデモソングをリストアする方法について説明します。
このチュートリアルでは、AW2816本体にATAPI接続のCD­RWドライブがすでに内蔵されている状態であることを想定し ていますが、外付けのSCSICD-RWドライブを使用すること も可能です。CD-RWドライブを取り付ける方法などは AW2816「取扱説明書」をご覧ください。

ハードディスクにリストアする

[FILE]キーを押 します。
1
1
[F2]キーを押してRestoreページを表示させま
2
2
す。
SOURCE欄のDRIVEでATAPIが選択されている
3
3
ことを確認します。
(もし外付けのSCSICD-RWドライブを利用したい場合
は、カーソルをSOURCE欄に移動し[DATA/JOG]ダイ アルで適切なSCSIID番号を選択し[ENTER]キーを押 してください。)
[SHIFT]キーを押しながら[F 2 ]キー(C D
4
4
UNLOAD)を押してCDトレイを開けます。
付属のデモCD-ROMをラベル面を上に向けてトレイに置 き、[SHIFT]キーを押しながら[F1]キー(CDLOAD)を 押してトレイを閉めCDをロードします。
デモソング「Canyoufeelit?」が画面上のリスト
5
5
に表示されます。
RESTORESONG欄にカ ーソルを移動し[ENTER]キー を押してください。RESTORESONG欄のボタンが DISABLEからENABLEに替わります。
「COMPLETE(完了)」が表示されたらリストアは
7
7
終了です。
リストアには約10分程かかります。リストアを実行した ら終了するまでキャンセルはできません。

デモソングをハードディスクからロー ドする

[SONG]キーを押します(SongListページが表示
1
1
されない場合は[F1]キーを押してください)。
[DATA/JOG]ダイアルで「Canyoufeelit?」を
2
2
選択します。
カーソルを画面上のLOADボタンに移動し
3
3
[ENTER]キーを押します。「WillSaveCurrent
Song.ARE YOUSURE ?」という確認のメッ セージが表示されたら、カーソルを「YES」または
「NO」に移動し[ENTER]キーを押してロードを開
始します。
進行状況の表示が消えたらデモソングのロードは
4
4
終了です。
カーソルを画面上のEXECUTEボタンに移動し
6
6
[ENTER]キーを押します。「AREYOUSURE?」
という確認メッセージが表示されるので、カーソル を「OK」に移動し[ENTER]キーを押してリストア を開始します。
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このデモソングをご自分でミックスする前に、あらかじめ ミックスされたバージョンを聴きたい場合:
[PLAY]キーを押してください。オートミックスがオンの
状態でデモソングがロードされミックス通りに再生され ます。
チュートリアル
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ミックスダウン

「ミックスダウン」という言葉は、一見ひとつの作業しか表して
いないようですが、実はさまざまな過程から成る一連の手順を 指しています。慣れるにしたがって、個々のステップが次第にひ とつの大きな作業の流れとして統合されていきます。これは重 要なことです。と言うのはほんの小さな操作でも全体のサウン ドに与える影響を考えなければいけないからです。例えば、イコ ライザーによってひとつの楽器の音質を少しだけ変更しても、 他の楽器の聞こえ方に影響が出ます。このような原因と結果の 関係を予測できる能力は経験とともに培われます。ミックス経 験が多くなるほど技術も向上するわけです。
Step1:録音トラックを聴いて計画を
練る
ミックスで最も重要なステップの一つは、実際にミックスを始 める前に頭の中で計画を練ることです。次の指針を参考にして ください。
制作する音楽について考えます。歌詞はどのような内容です
か?伝えたい雰囲気は?どうすれば音楽自体の質を高める ミックスに近付けられますか?
何によって曲が決まりますか?歌詞ですか?ボーカルの声
ですか?リズムですか? 特定の楽器やサウンドですか?重 要だと思う要素を強調すべきでしょう。たとえば歌詞が重要 なら、ボーカルがバックに埋もれてしまったり、リバーブを かけすぎて歌詞が曖昧になったりするのは避けたいもので す。
ステレオ音像のなかで各楽器をどんな配置にしますか?現
実的なライブ演奏の音象を作りますか?抽象的な印象の表 現をめざしますか?
どんな空間に音楽を置きたいですか?オープンでドライ?
広くて残響が多い?狭くてタイト?遠い?近接?
周波数帯域特性が似ていて互いに干渉し合う楽器はありま
すか?ディストーションのかかったエレキギターとオルガ ンがいい例です。このような楽器は互いに左右に振って遠ざ けたり、イコライザーによる音質補正を施して別々のアイデ ンティティーを付加することにより、お互いの持ち味を上手 く引き出す事が出来ます。
ミックス中にレベルやイコライザー、エフェクトなどが大幅
に変わるようなムードやシーンの変化が必要ですか?オー トメーション機能を使えばそのような複雑なミックスコン トロールも簡単にできます。
はじめましょう
ソングがリストアできたので録音されている生のソングを聴い てみましょう。
先へ進む前に必ずAUTOMIXをオフにしてください。 AUTOMATIONセクションの[AUTOMIX]キーを押し、カーソ ルをAUTOMIX欄のENABLEボタンに移動して[ENTER] キーを押すと、AUTOMIXがDISABLE(オフ)になります。
MIXINGLAYERセ クションの「1〜8」「9〜16」が
1
1
選択されていることを確認してください。
シーンナンバー01「FADERSNOMINAL」を呼び
2
2
出してフェーダー1〜1 6をノミナルに設定しま す。([SCENE]キーを押してから[DATA/JOG] ダイアルでシーンナンバー0 1の「FADERS NOMINAL」を選択し、カーソルをRECALLボタン に移動して[ENTER]キーを押します。続いて「OK」 を選択し[ENTER]キーを押して確定しま す。)
MIXERセクションの[VIEW]キーを押して選択モニ
3
3
ターチャンネルのパラメーターを表示させます。また
[F1]キーを押すとCHViewページが表示されます。
[PLAY]キーを押してトラックを聴いてみましょう。
4
4
下の表は同梱デモソングのトラックの内容です。
123 4
キック スネア トップ(L) トップ(R)
567 8
ハイハット ウッドベース
9101112
ピアノ シンセ オルガン
13 14 15 16
(コーラス) ボーカル
パーカッション
アコースティックギター
エレクトリックギター
上記はあくまで指針の一例ですが、経験を積む事により、素晴ら しいミックスの計画を練ることが出来るでしょう。
チュートリアル
9
Page 11
ミックスダウン
Step2:ラフミックスのセットアップ
ラフミックス、つまり大まかなミックスは最終ミックスへのス タートポイントなので、完璧である必要はありません。レベルと パン設定だけのラフミックスを設定する目的は、更に詳細な処 理やエフェクト、オートメーションなどを設定する際の目安と するためです。ですからこの段階であまり時間をかけることは 不要です。ただしフェーダーやパン設定がどうしても気になっ て、その他のミックス作業での判断に影響しかねないような場 合は、適宜調整しなおしてください。ミキシングは試行錯誤の過 程です。満足ゆく結果が得られるまで何回も調整することにな ります。
・ プリセットのラフミックス
ラフミックスをご自分でセットアップしたくない場合、あるい はすでに設定されているラフミックスを聴いてみたい場合は シーンナンバー02「STEP2MIX」を呼び出します。[SCENE] キーを押し、[DATA/JOG]ダイアルでシーンナンバー02
「STEP2MIX」を選択します。次にカーソルを「RECALL」に移
動して[ENTER]キーを押し、確認のメッセージが表示された ら「OK」を選択して[ENTER]キーを押します。VIEW画面に戻 るにはMIXERセクションの[VIEW]キーを押します。
VIEW画面を表示したままこれを行うには、SCENE MEMORYセクションの[ ]/[ ]キーを使って呼び出した いシーンを選択します。(シーン番号とタイトルが画面右上に表 示されます。)次に[RECALL]キーを押し、確認のメッセージが 表示されたら「OK」を選択し[ENTER]キーを押します。
ラフミックスの設定中は、ソング全体、もしくは主要部分が繰り 返されるようにループを設定してレベルやパンを簡単に設定で きるようにします。
MARKA、Bでループの最初と最後を指定し[REPEAT]キーを 押すと繰り返し再生ができます。(詳細はAW2816「取扱説明 書」を参照してください。)
キック、スネアからスタート
トラック1と2のキック、スネア以外のトラックをチャンネル
[ON]キーでオフにします。STEREOチャンネルはオンにして
おきます。トラック1と2には、それぞれキックとスネアが録音 されています。
ドラムスのトップを録音したトラックを追加する
次の手順でモニターチャンネルのペアを組んでください。
チャンネル3の[SEL]キーを押しながらチャンネ
1
1
ル4の[SEL]キーを押します。
CHANNELPAIRINGウィンドウが表示されたら
2
2
「MONITOR 3→4」を選択し[ENTER]キーを押し
ます。
これでチャンネルがペアになったので片方のチャンネル のフェーダーを動かすともう片方のフェーダーも同じよ うに動きます。またMIXERVIEW画面でも両チャンネル のパンとルーティングのコントロールが表示されます。
次にステレオドラムストラックを左右にパンさせてステレオイ メージを作ります。次の手順でチャンネル3.4のパン設定をし ます。
[SEL]キーでパンさせたいチャンネル を選択しま
1
1
す。(ペアになっているので、チャンネルを選択する ともう片方のチャンネルの[SEL]キーが点滅しま す。)
画面のパンコントロールを見ながら画面右上にあ
2
2
る[PAN]コントロールで調整し ます。
ハイハットを追加する
チャンネル5を「ON」にして聴いてみましょう。パンの調節は右 よりにした方が良いでしょう。キック、スネアトラックのフェー ダーがノミナル、トップのトラックのフェーダーがノミナルの 時と比べてハイハット音が多少耳につく場合は、フェーダー5 でハイハットのレベルを5dBほど下げます(フェーダー画面に は−5.0と表示されます)。
ウッドベースを追加する
チャンネル6を「ON」にして聴いてみましょう。ベースは通常セ ンターに設定するのでパンを調整する必要はありませんが、ド ラムストラックのフェーダーがノミナルの時ドラム音に比べて ベース音が多少耳につく場合は、フェーダー6でベースのレベ ルを5dBほど下げます(フェーダー画面には−5.0と表示され ます)。
10
パーカッションを追加する
チャンネル7を「ON」にしてみましょう。ドラムセットトラッ ク、ベーストラックの音と比べてパーカッション音(ハンドク ラップ)が多少耳につく場合は、フェーダー7でパーカッション のレベルを5dBほど下げます(フェーダー画面には−5.0と表 示されます)。
チュートリアル
Page 12
アコースティックギターを追加する
ソングを保存する
チャンネル8を「ON」にしてください。他のトラックと比べてギ ター音が大き過ぎる場合はフェーダー8で10dBほど下げま す。
ピアノを追加する
チャンネル9を「ON」にしてください。ピアノのトラックを聴く 際に他のトラックと聴き比べてレベルが大きいようでしたら フェーダー9を5dBほど下げます。
シンセサイザーを追加する
チャンネル10を「ON」にしてください。シンセサイザーを聴く 際に他のトラックと聴き比べてレベルが大きいようでしたら フェーダー10で5dBほど下げます。
オルガンを追加する
チャンネル11を「ON」にしてください。音量は、他のトラック と聴き比べた時に変に飛び出していないようにフェーダーを微 調整してください。
ソングを保存するにはWORK NAVIGATEセクションの
[SONG]キーを押してSONG画面を表示させます。必要に応じ
て[F1]キーを押すと SongListページが表示さ れます。カーソ ルを画面の「SAVE」へ移動し[ENTER]キーを押します。確認 のウィンドウが表示されたらカーソル を「OK」に移動して
[ENTER]キーを押します。これでソングが保存されました。
シーンを保存する
できあがったラフミックスを保存しておきましょう。SCENE キーを押し、[DATA/JOG]ダイアルでNoData!と書かれた空 いているシーンナンバーを選択します。次にカーソルを
「STORE」に移動して[ENTER]キーを押します。TITLEEDIT
のポップアップが現れますので、好きな名前をつけて(そのまま でも構いません)「OK」を選択して[ENTER]キーを押します。
このシーンと他のシーンを交互に呼び出せば、あらかじめ設定 してあるラフミックスと聞き比べることができます。
エレキギターを追加する
チャンネル12を「ON」にしてください。エレキギタートラック は他のトラックと比べてかなり音圧が感じられると思いますの で、フェーダー12で10dBぐらい下げてみてもかまいません。
リードボーカルを追加する
コーラスをトラック13/14/15に追加してからリードボーカ ルを追加するのでは?と思った方もいらっしゃると思います が、コーラスのパートは適切なレベルを設定するためにリード ボーカルのレベルとの釣り合いを聴くことが重要なのです。
チャンネル16をオンにしパンをセンターにしたまま(リ ード ボーカルの通常の位置)、フェーダーレベルをノミナル値
(0dB)あたりに設定してください。
コーラスを追加する
イントロ部ではリードボーカルよりコーラスが先に入り、最終 ミックスでは多少のオートメーションが必要になりますが、 リードボーカルと一緒に入る部分を聴きながらコーラス部のレ ベルを調整します。チャンネル13/14/15をオンにして フェーダーレベルは、16トラックのリードボーカルの邪魔にな らない程度に上げてください。
ラフミックスを聴く
ラフミックス過程で何回もソングを聴いてきましたが、今度は 個々のパートではなくソング全体を聴いてみましょう。自分が 気に入るように修正してみてください。
チュートリアル
11
Page 13
ミックスダウン
Step3:パートごとにミックスを組み
立てる
バランスの取れたミックスを作り上げるために、ここではもう 少し各トラックの細部に注意を払ってみましょう。
・ プリセットのシーン
以下のStep3までの設定をすべて含んだプリセットのシーン を呼び出すことができます。[SCENE]キーを押し(必要に応じ て[F1]キーでSceneMemページを選択し)、[DATA/JOG] ダイアルでシーンナンバー03「STEP3MIX」を選 択 します。 カーソルを「RECALL」に移動し[ENTER]キーを押し、確認の メッセージ表示で「OK」を選択してから[ENTER]キーを押し ます。VIEW画面に戻るにはMIXERセクションの[VIEW]キー を押します。
VIEW画面を表示したままこれを行うには、SCENE MEMORYセクションの[ ]/[ ]キーを使って呼び出した いシーンを選択します。(シーン番号とタイトルが画面右上に表 示されます。)次に[RECALL]キーを押し、確認のメッセージが 表示されたら「OK」を選択し[ENTER]キーを押します。
ミックスの作業中、あるパートだけを、あるいは特定の他のト ラックとの組み合わせを聴くためにチャンネルを頻繁にオン/ オフすることになります。そんな時、ソロ機能を利用したくなり ますが、その時はソロ機能をSETUP画面のSoloSetupペー ジでSTATUSをMIXDOWNSOLOに、LISTENをAFTER PANに変更してください。というのは、このミックス段階では EQ、ダイナミクス、その他のエフェクトをかけたままのトラッ ク音を聴くことが必要だからです。通常、ソロ機能でモニターす ると、トラックの「ドライ音」しか聞こえません。この段階ではド ライ音を聴いてもあまり役立ちません。
カーソルを押して、各EQのパラメーターを操作し
4
4
ます。
・ チャンネル1 Kick
DYNAMICSGate
Threshold Range Attack Hold Decay
−23dB −57dB 0ms 34.8dB 110ms
EQ(ATT−4dB)
LOW L-MID H-MID HIGH
Q L.SHLF 6.3 0.9 H.SHLF
F 70Hz 223Hz 4.23kHz 10.0kHz
G +3.5dB −4.5dB 4.5dB 0.0dB
チャンネル1/2:バスドラム、スネアドラム
LOWの70Hz以下を3.5dB上げる事で、Kickの胴鳴りをより 太くしています。次に、H-MID4.23kHzを4.5dB上げる事で Kickの皮の部分の質感をより強調し、タイトな音質にしていま す。その後、L-MIDの223Hzを4.5dB下げる事でKick(バスド ラム)の共鳴部分をカットし、不要な鳴りを多少おさえていま す。次にSnare(スネアドラム)ですが、HIGHの10.0kHzを
5.5dB上げる事により、空気感を出しています。また低音の 187Hzを4.0dB下げる事でMixした際の分離感も出していま す。これにより、ライトタッチのSnareを演出しています。
チャンネル1の[SEL]キーを押します。(チャンネ
1
1
ル2も同様の操作をしてください。)
MIXERセクションの[EQ]キーを押します。(これ
2
2
でEQを調整するとパラメーターの変化が詳細に表 示されます。)
選択チャンネルのEQがオンになっていることを確
3
3
認します。(オフの場合はカーソルをEQONボタン に移動し[ENTER]キーを押してオンにしてくださ い。)
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チュートリアル
Page 14
・チャンネル2 SD
DYNAMICSComp
Threshold Ratio
−18dB 2.5:1 3.0dB 19ms 87ms 2
EQ(ATT−8dB)
Q L.SHLF 0.70 0.70 H.SHLF F 187Hz 1.00kHz 2.11kHz 10.0kHz G −4.5dB 0.0dB +2.0dB 5.5dB
OutGain
LOW L-MID H-MID HIGH
Attack Release Knee
CURSORキーと[DATA/JOG]ダイアルでトッ
4
4
プのダイナミクスを次のように設定します(チャン ネル3/4はペアなのでトラック3のEQ設定を調整 するとチャンネル4も自動調整されます)。
・チャンネル3.4 DrumsTop&Tom
Compander-Soft
Threshold Ratio
−10dB 5:1 −3.5dB 0ms 139ms 21dB
EQ(ATT−7dB)
Q L.SHLF 0.70 9.0 H.SHLF
F 125Hz 1.00kHz 157Hz 14.2kHz
G 0.0dB 0.0dB −6.5dB 3.5dB
OutGain
LOW L-MID H-MID HIGH
Attack Release Width
チャンネル3/4:トップ
シンバルやタムの入っているトラックです。HIGHの14.2kHzを
3.5dB上げる事により、金属部分のエッジをより明確にしまし た。H-MIDの157Hzを6.5dB下げる事により、同時に収録され ているSnare(スネアドラム)の音をライトタッチにしています。
チャンネル3の[SEL]キーを押してトップのチャ
1
1
ンネルを選択します。
MIXERセクションの[DYN]キーを押してダイナ
2
2
ミクスパラメーターにアクセスします。
TYPE欄に「Compander-Soft」がすでに選択され
3
3
ている(初期設定)はずです。カーソルを「ON/OFF」 に移動し選択チャンネルのダイナミクスを「ON」に 設定します。
チュートリアル
13
Page 15
ミックスダウン
チャンネル5:ハイハット
LOWの125Hz以下をHPF(ハイパスフィルター)でカットす る事で、同時にハイハット以外の音をカットしました。L-MIDの 595Hzを2.5dB上げる事により、ハイハットの「カチカチ」と いう部分を際立たせビート感を明確に出しています。
チャンネル5 の[SEL]キーを押してハイハット
1
1
チャンネルを選択します。
MIXERセクションの[EQ]キーを押します。
2
2
選択チャンネルのEQがオンになっていることを確
3
3
認します。
CURSORキーと[DATA/JOG]ダイアルを使っ
4
4
てEQを次のように設定します。
EQ(ATT−7dB)
LOW L-MID H-MID HIGH
Q HPF 0.70 0.70 H.SHLF F 125Hz 595Hz 4.00kHz 16.0kHz G ON 2.5dB 0.0dB −3.5dB
DYNAMICS Comp
Threshold Ratio
−24dB 2:1 6.5dB 12ms 70ms hard
チャンネル6:ウッドベース
LOWの35Hzを7.5dB下げる事により、音程感を明確にし L-MIDの111Hzを2.5dB上げる事で、音に厚みを加えました。 M-MIDの2.82KHzを5.5dB上げる事でフレットノイズを目 立たせウッドベース「らしさ」を出しています。
OutGain
Attack Release Knee
MIXERセクションの[DYN]キーを押してダイナ
5
5
ミクスパラメーターにアクセスします。
TYPE欄に「COMP」がすでに選択されている(初期
6
6
設定)はずです。カーソルを「ON/OFF」に移動し選 択チャンネルのダイナミクスを「ON」に設定しま す。
チャンネル6の[SEL]キーを押してベースのチャ
1
1
ンネルを選択します。
MIXERセクションの[EQ]キーを押します。
2
2
選択チャンネルのEQがオンになっていることを確
3
3
認します。
CURSORキーと[DATA/JOG]ダイアル、または
4
4
ディスプレイ右のEQコントロールでベースのEQ を次のように設定します。
EQ(ATT−8dB)
LOW L-MID H-MID HIGH
Q L.SHLF 5.0 2.5 H.SHLF
F 35Hz 111Hz 2.82kHz 4.00kHz
G −7.5dB 2.5dB 5.5dB 0.0dB
CURSORキーと[DATA/JOG]ダイアルでダイ
7
7
ナミクスを次のように設定します。
14
チュートリアル
Page 16
MIXERセクションの[DYN]キーを押してダイナ
5
5
ミクスパラメーターにアクセスします。
DYNのボタンを押し、さらに画面下部分にあるF2
6
6
のボタンを押します。
チャンネル7:パーカッション
パーカッションのチャンネルは125Hzの辺りを−8.0dB程削 ることで、低域の重さを抑えて多少すっきりしたサウンドにし ています。また、低域が抑えられてパワー感が減った分、ダイナ ミクスにコンパンダ―を使用し若干音圧を上げています。
その画面でTYPE欄が「EXP」になっているライブラリー を読み出します。カーソルを「ON/OFF」に移動し選択ト ラックのダイナミクスを「ON」に設定します。
CURSORキーと[DATA/JOG]ダイアルでベー
7
7
スのダイナミクスを次のように設定します。
DYNAMICSExpander
Threshold Ratio
−14dB 3.5:1 3.5dB 0ms 70ms 2
OutGain
Attack Release Knee
EQ(ATT−7dB)
LOW L-MID H-MID HIGH
Q L.SHELF 0.50
F 125Hz 1.00kHz
G −8.0dB 1.0dB 0.0 0.0
TypeCompandersoft
Threshold Ratio
−13dB 3:1 0.0dB 14ms 87ms 1dB
OutGain
Attack Release Width
チュートリアル
15
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ミックスダウン
チャンネル8:アコースティックギター
アコースティックギターの音のうち伸びやかさが特徴的な高音 には手を加えずに、中低域を太くする意味で少し持ち上げつつ、 コンパンダ―で音圧を整えています。
EQ(ATT−11dB)
LOW L-MID H-MID HIGH
Q HPF 6.3 0.70 F 35Hz 2.24kHz 140Hz G ON −2.0dB 3.5dB
チャンネル9:ピアノ
音色自体が全体に馴染んでいるため基本的には変更せず、 500Hzの部分を少し持ち上げて芯をしっかりと聞こえさせま す。
DYNAMICSOFF EQ(ATT−7dB)
LOW L-MID H-MID HIGH
Q 0.5
F 500Hz
G 3.0dB
TypeCompanderSoft
Threshold Ratio
−14dB 4:1 0.0dB 0ms 145ms 15dB
OutGain
Attack Release Width
16
チュートリアル
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チャンネル10:シンセサイザー
チャンネル11:オルガン
EQで高域を足し、シンセサイザー特有の音の鋭さを強調してい ます。またフレーズの歯切れをよくするためにコンパンダ―の ハードを使用します。
TypeCompanderHard
Threshold Ratio
−17dB 2.5:1 −6.5dB 0ms 70ms 7dB
EQ(ATT−7dB)
Q L.SHELF 0.45 0.40 F 99Hz 1.26kHz 5.99kHz G −11.5dB 2.0dB 5.5dB
OutGain
LOW L-MID H-MID HIGH
Attack Release Width
オルガンの音を特徴付けている中域をブーストします。
DYNAMICSOFF EQ(ATT−7dB)
LOW L-MID H-MID HIGH
Q 1.6
F 749Hz
G 5.5dB
チュートリアル
17
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ミックスダウン
チャンネル12:エレクトリックギター
他のパートとのバランスを考えながら、エレクトリックギター は低域を下げて中域を強調することで明るめの音にします。音 圧を揃えるためコンパンダ―ソフトを使用し、RATIOをきつめ の値に設定しています。
・エレクトリックギターのダイナミクス Compandersoft
Threshold Ratio
−11dB 20:1 0.0dB 38ms 180ms 10dB
OutGain
Attack Release Width
チャンネル13/14/15:コーラス
13、14チャンネルのコーラスは、ハイ(ステレオ)+ロー(モノ ラル)のトラックです。ハイはLRに振られており、ローはやや 左に位置していますので、15チャンネルのコーラス3(ミドル・ モノラル)とのレベル、パンニングをうまく調整してミックスし てください。
またリードボーカルの邪魔にならないよう、中域を一部強調し、 声がしっかり通るようにしました。さらに、コーラス1,2ではコ ンパンダーを使用することで、ダイナミクスの変化を抑えるこ とにより、タイトに仕上げつつ、ノイズをカットしています。
・コーラス1,2 (High&Low)
EQ(ATT−7dB)
LOW L-MID H-MID HIGH
Q 0.70 0.35
F 2.11kHz 5.99kHz
G 1.0dB 3.5dB
・エレキギターのEQ設定 ATT−7dB
LOW L-MID H-MID HIGH
Q L.SHELF 0.70 F 125Hz 1.88kHz G −3.0dB 4.5dB
・コーラス3 (Middle)
EQ(ATT−6dB)
LOW L-MID H-MID HIGH
Q L.SHELF 0.70 H.SHELF
F 105Hz 2.52kHz 10.0kHz
G −7.0dB 3.5dB 0.0
18
チュートリアル
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・コーラス1,2のダイナミクス設定(CompanderHard)
Threshold Ratio
−26dB 2:1 −1.0dB 0ms 122ms 8dB
OutGain
Attack Release Width
・ダイナミクス設定(CompanderSoft)
Threshold Ratio
−23dB 2.5:1 0dB 26ms 180ms 4dB
OutGain
Attack Release Width
・コーラス3のダイナミクス設定OFF
チャンネル16:リードボーカル
このチャンネルのリードボーカリストは、力強く豊かな中低域 が魅力ですが、音の抜けをよくするため、L-Midを236Hzに設 定し、−5.0dB下げます。またリードボイスはコンパンダーの ソフトでノイズをカットしながら、コンプレッションを行いま す。これにより、力強さとハイファイ感を強調します。
EQ(ATT−14dB)
LOW L-MID H-MID HIGH
Q 0.11 10.0 1.2 H.SHELF F 198Hz 236Hz 5.04kHz 7.55kHz G 3.0dB −5.0dB 4.5dB 4.0dB
EQやダイナミクスを調整する時はフェーダーレベルも適宜調 整してください。EQとダイナミクスの変化によってレベルも変 化するので、これを補正することがどうしても必要になります。
ソングを保存する
ソングを保存するにはWORK NAVIGATEセクションの
[SONG]キーを押してSONG画面を表示させます。必要に応じ
て[F1]キーを押すと SongListページが表示さ れます。カーソ ルを画面の「SAVE」へ移動し[ENTER]キーを押します。確認 のメッセージが表示されたらカーソル を「OK」に移動して
[ENTER]キーを押します。これでソングが保存されました。
チュートリアル
19
Page 21
ミックスダウン
Step4:アンビエンスを追加する
リバーブ、ディレイ、エコーなどのアンビエンス系エフェクトに よって空間の広がりや暖かみが加わります。これまではエフェ クトのかかっていない「ドライ」なトラックで作業してきました が、この段階ですでにアンビエンス系エフェクト付の音で作業 するのを好むエンジニアやアーティストも多いでしょう。ト ラック録音中もこのようなエフェクトのかかった「ウエット」な サウンドをモニターしたい、というアーティストも多いようで す。ミックスのどの段階でアンビエンスを加えるかは決まった ルールはありませんが、このチュートリアルではアンビエンス の追加を独立した別個の作業として取り扱います。というのは、 EQやコンプレッサーと違ってアンビエンスエフェクトはト ラックの実際のサウンドには直接影響しないからです。アンビ エンスはサウンドを変えるのではなくサウンドに追加するもの です。
統一感を出すため、ソング全体にわたってリバーブを1種類だ けかけます。AW2816には内蔵エフェクトが2基装備されて いるので、2つのリバーブや他のエフェクトを別々のトラック にかけることも簡単にできますが、このソングの「ライブ感」を 表現する為には、シンプルなエフェクト設定のほうが効果的で す。
また、リバーブを全てのトラックにかけ過ぎることほど悪いテ クニックはありません。アンビエンスエフェクトはなるべく控 えめに使ってください。またリバーブは累積しますので、少量を 各トラックに加えただけでも、全体のミックスを再生するとき になるとかなりの量になります。最初のうちは適切な量になる までに各トラックのリバーブセンドを何回も調整することにな りますが、経験を積み重ねていくうちに適切な量をかけるコツ がつかめるでしょう。
・ プリセットのシーン
以下に説明するリバーブやその他の設定はプリセットのシーン ナンバー04「STEP4MIX」を呼び出して聴くことができます。 シーンの呼び出し方法はもう習得できたと思いますが、わから ない場合は前のセクションに戻って確認してください。
エフェクト1センドの使用とエフェクトの選択
FADERMODEセクションの[AUX5]キーを押し
1
1
ます。
これでフェーダーが該当トラックのAUXセンドになりま す。AW2816のAUX5はあらかじめ内蔵エフェクト1 に、またAUX6は内蔵エフェクト2に割り当てられていま す。ここではAUX5センドのみを使います。
[F2]キーを押してEffectLibraryページを表示さ
2
2
せます。
初期設定のReverbHallエフェクトはちょっと大きすぎ るので、ちょうどよい暖かみと近接感を併せ持つReverb PLATEエフェクトがこのソングにはピッタリでしょう。
エフェクトライブラリーリストからReverb
3
3
PLATEを[DATA/JOG]ダイアルで選択し、カー ソルをRECALLボタンに移動して[ENTER]キー を押します。
確認のメッセージが表示されたらカーソルを「OK」に移 動し[ENTER]キーを押します。
[F1]キーを押してEffectEditページを表示させ、
4
4
「BYPASS」設定がOFF になっていることを確認
します。(ONの場合はカーソルを「BYPASS」に移 動しOFFにしてください。)
「Canyoufeelit?」使用エフェクト
 <EFFECT1>
ReverbPLATE Reverbtime0.8s
 <EFFECT2>
Symphonic
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必要に応じてトラックにアンビエンスを加える
AUX5モードでフェーダーを使ってReverbPLATEエフェク トを必要な量だけトラックに加えます。ミックスの他の段階と 同様、処理したトラックがどんな風に聞こえるか、また他のト ラックと組み合わせるとどんなサウンドになるかを確かめるた めに、各チャンネルを頻繁にオン/オフすることになります。す でに述べたように、この場合はソロ機能を使わず、あくまでチャ ンネル[ON]キーでオン/オフしてください。
チュートリアル
Page 22
チャンネル1/2:キック、スネア
チャンネル11:オルガン
ドラムを録音する場合、デモソングのトラックのようにドライ サウンドで録音します。その音にほんの少しリバーブをかける と見違えるように広がり感が増します。ただし、かけ過ぎに注意 してください。バラードなどではかなりヘビーなリバーブをか けることがありますが、その場合でも特定のドラム(スネアな ど)だけにかけます。そのためにはもちろんスネアを別トラック に録音することが必要です。一方、ドラムサウンドをまったくド ライのままにしても結構です。デモソングでは、リズムの歯切れ が悪くならない程度に、リバーブ をかけるために、Reverb Timeを0.8sに設定することで、薄いリバーブを作り出してい ます。またスネアとパーカッションにのみ軽くエフェクトをか けました。チャンネル2とチャンネル7のAUX5フェーダーを
−25dBくらいまで上げます。 MIXERVIEW画面(MIXERセクションの[VIEW]キーを押し
てアクセス)で選択チャンネルのフェーダー設定の確認や微調 整ができます。画面右下のAUX5フェーダーは現在のレベルを 表示します。ここにカーソルを移動して[DATA/JOG]ダイア ルを回せば正確な調整ができます。チャンネルフェーダーに 戻ってリバーブをさらに調整したい場合はFADERMODEセ クションの[AUX5]キーを押してください。
チャンネル3、4:トップ
このトラックはドラムのタム、ハイハットをまとめて収録した ステレオトラックですが、細かいハイハットの刻みなどを明確 にするため、エフェクトは使用しません。
チャンネル7:パーカッション
タンバリン・ハンドクラップを収録したトラックです。ハンドク ラップにエフェクトをかけたいところですが、リズムセクショ ンを構成するタンバリンがぼやけるのは好ましくないので、こ のトラックにもエフェクトは使用しません。
オルガンのような楽器は適度なリバーブ量を決めるのがむずか しい楽器です。音が持続するので、自分が気付く前にかなりのリ バーブをかけてしまいミックスが台なしになってしまうことが あります。今回の楽曲では、狭い空間(ガレージなど)を表現する ために、エフェクトは使用していません。
チャンネル12:エレキギター
エレキギターは、ソロを担当しているため、その音にリバーブを 多少加える事により音に豊かさを付加しています。
チャンネル13/14/15:コーラス
バックボーカルを一つにまとめるために必要な分だけリバーブ をかけます。リバーブをかけるほど豊かなサウンドになります が、言葉がわかりにくくなり全体のミックスもぼやけてきます のでご注意ください。チャンネル13/14/15のリバーブを薄 めに設定します。
チャンネル16:リードボーカル
リードボーカルにかなりのリバーブをかける傾向があります が、その結果をよく聴いてみてください。リバーブが少ないほど 結果もよく聞こえるはずです。リバーブを徐々にかけていって サウンドが多少厚く膨らんできたかな、というところでストッ プします。リバーブ音が別体として聴こえる場合はかけすぎで す。リードボーカルのリバーブも薄めに設定します。特に、
「AW2816」の「24ビットのハイクオリティーなリバーブ」は、
心持ち薄めにかけることで、そのきめ細やかな表現力が生きて くるでしょう。
ミックス中に行った調整ひとつひとつがトラック間の聴感バラ ンスを変えるので、必要に応じてフェーダーのレベルを調節し てください。
チャンネル8:アコースティックギター
アコースティックギターはフレーズに広がり感を持たせるた め、薄くリバーブをかけましたので、AUX5のトラック8の フェーダーを−25dBくらいに上げます。
チャンネル9:ピアノ
ピアノは、音に豊かさを与える為にリバーブを多少加えていま す。
チャンネル10:シンセサイザー
シンセサイザーには、敢えてリバーブ系のエフェクトは使用し ていません。その代わり、エフェクト2で「Symphonic」を使用 しています。このエフェクトは、主にシンセサイザーの音質に厚 みとスピード感を与え、さらにステレオ感(横の広がり)を与え るものです。EQ.Gをアップすることで多少エッジを立たせ、 FREQを上げることで、スピード感を増しました。
・ ソングを保存する
作業中のソングを頻繁に保存することが非常に重要です。数時 間必死に作業したところでうっかり電源コードが外れてしまっ たり、停電になったり、あるいは誰かがキーやフェーダーを動か してしまったりしたら、これまでの努力が水の泡です。
ソングを保存するにはWORK NAVIGATEセクションの
[SONG]キーを押してSONG画面を表示させます。必要に応じ
て[F1]キーを押すと SongListページが表示さ れます。カーソ ルを画面の「SAVE」へ移動し[ENTER]キーを押します。確認 のメッセージが表示されたらカーソル を「OK」に移動して
[ENTER]キーを押します。これで曲が保存されました。
チュートリアル
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ミックスダウン
Step5:ミックスの完成とオートメー
ションの設定
基本的なミックスはほとんどできました。エフェクト処理もす べて入ったので全体をじっくり聴いて最終調整をする段階で す。ミックスを聴くうちに、ある平均的なミックスひと通りだけ では物足りないと感じられる方も少なくないことでしょう。そ こでオートメーション機能を利用します。オートメーション機 能がなかった以前は、レコーディングエンジニアはこのような 調整をぶっつけ本番でマニュアル操作したものでした。変更が 複数のフェーダーやコントロール類に同時に必要になると、他 の人達もかけつけて手伝ったものです。もちろんタイミングが 重要なので、すべての変更がうまく行えるまで何度もミックス をやり直しました。AW2816ではフェーダーやチャンネルオ ン/オフ、パン、EQのオートメーションが記録できるので、完璧 なオートミックスが簡単にできます。
デモソングのオートミックスではフェーダー、チャンネルオン /オフ、パンのオートメーションを組み合わせて使っています。 オートメーションの記録と編集方法についてはオペレーション ガイドをご参照ください。ここではプリセットに行った変更内 容とその理由を簡単に説明します。オートミックスをオンにし て、ソングの進行とともにフェーダーとチャンネル[ON]キー がどのように動くか観察してみましょう。
次の手順でオートミックスをオンにします。

<オートミックス>

絶対時間のカウンターを基準にしてオートミックスの流れを説 明します。尚、時間値は、あくまで目安として参照してください。

収録されているオートミックスを聞い てみよう。

本オートミックスは「Canyoufeelit」というタイトルで記録 されていますので、「AUTOMIX」ボタンを押し、「AUTOMIX」 画面を呼び出してください。さらに、「AUTOMIX」キーを何度 か押し、「MEMORY」画面を表示し、「Can you feelit」を
「RECALL」してください。
次に、「AUTOMIX」の欄を「ENABLE」にすることでオートミッ クスが反映された再生が可能です。
収録されている「Canyou feelit?」 のオートミックスの内容について
収録されているデモソングのオートミックスでは、楽曲内のポ イントごとに、「その場面にごとに最も聞かせたい音を前面に出 すため」に、各パートの「レベル」をオートミックスで調整してい ます(フェーダーが動きます)。
AUTOMATIONセクションの[AUTOMIX]キー
1
1
を押します。必要に応じて[F1]キーを押してMain ページを表示させます。
カーソルをAUTOMIXに移動し[ENTER]キーを
2
2
押してENABLEを選択します。
このチュートリアルを参照しながらVIEW画面ま
3
3
たは任意の画面に戻ります。
また、Eギターのソロの際、エフェクト(ReverbPLATE)の係 り具合を変化させています。
以下に時間軸に従った、オートミックスの内容を記載していま すので、実際の音と比べながら、皆さんがオートミックスの作成 をする際、ご参考ください。
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チュートリアル
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<主なオートミックス内容について>

1)オートミックスの初期シーン
シーンメモリーの「AUTOMIX」からのスタートとなります。
2)ギター
「10秒〜45秒」:ギターのバッキング、メロディ−を際立たせる
ため、フェーダーを調整しています。
3)ピアノ
スタートから40秒くらいまでの部分では、低音のバッキング部 分を際立たせるため、その瞬間だけ、フェーダーを上げることで レベル調整を行っています。
4)シンセ
フェーダーが約1分30秒のところで「ON」になります。続いて 2分25秒辺りでフェーダーを下げ、ブレークの瞬間の無音を表 現しています。また、2分40秒くらいで再度またフェーダーを 上げています。
5)アコースティックギター
「1分35秒〜」:アコースティクギターのソロフレーズ部分では
エフェクトセンドレベルをオートミックスすることで、音の歯 切れと、響きを調整しています。
6)ハンドクラップ
2分40秒からの盛り上がる部分では、ハンドクラップのフェー ダーを多少上げる事で、ライブ感をより強調しています。
チュートリアル
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マスタリング

マスタリング
ミックスダウンが終わったら、CD-Rディスクに書き込む前に マスタリングを行います。マスタリングとは、最終的にステレオ トラックにミックスした曲を全体的に調整する作業のことで す。曲そのものはミックスダウンの時点でほぼ完成形に近いも のに仕上がっているように思えますが、全体の音量が小さくて 他のCDを聴く時よりボリュームを上げなければならなかった り、音がこもってしまっていたり、低音が出過ぎていてちょっと 音量を上げただけでスピーカーからの音が歪んでしまったり と、必ずしもC D プレーヤーで再生して心地良いものに仕上 がっていない場合が考えられます。
こういったミックスをそのままCD-Rに書き出すのではなく、 全体のバランスを取って曲をより聴きやすい音に仕上げるのが マスタリングです。ニュアンスとしては「微調整」という言葉が 合うのですが、実際はこの微調整もサウンド全体のクォリティ を決定付ける重要な要素のひとつになります。
通常、マスタリングではEQとコンプレッサーを使用して音を整 えていきます。プロのエンジニアのマスタリングでは、全体にご くわずかにリバーブを掛けて奥行き感を際立たせたり、デジタ ルで録音した曲をわざとアナログの機器に通して、音にアナロ グ独特の深みを与えたりといったことも行われる場合がありま す。
1枚のCDに複数の曲が収録されている場合も、曲ごとに音量や サウンドの傾向がバラバラでは非常に聴きづらいCDになって しまいます。そういった時に曲ごとのレベルを揃えたり、曲と曲 の間隔を決めたりといった作業もマスタリングに含まれます。
ここでは、マスタリングの設定から、CD-Rディスクにソングを 書き込んで標準のCDプレーヤーで再生するためのCDを作成 するまでの過程を紹介します。
スキルを身に付けてきた人達です。つまり、どんな環境で聴いて も良い音で再生される、ということが最高のマスタリングであ ると言えます。自分の作った曲を、ぜひさまざまな場所で聴いて みてください。高価なオーディオシステム、安価なラジカセ、携 帯プレーヤー、あるいはカーステレオで...自分のマスタリング のどこが出過ぎていて、何が足りないかが見えてくるはずです。

マスターEQ/ダイナミクスを設定する

マスタリングの時に、必ずEQやコンプレッサーを使用しなけれ ばいけない、ということはありません。この例では、EQは使わず にコンプレッサーのみでサウンドを調整してみます。
STEREOチャンネルの[SEL]キーを押し、MIXERセクション の[DYN]キーでダイナミクスのパラメーターにアクセスしま す。AW2816ではマスターEQおよびダイナミクスの設定が、 全体のサウンドに及ぼす影響をその場で反映させ、聴きながら 調整することができます。
マスタリングを行っている最中に、ミックスダウンに戻って変 更を加えたくなるかもしれません。通常のレコーディングでは、 マスタリング時にミックスダウン時の設定をやり直すようなこ とはできませんが、AW2816ではシーンメモリーやオート ミックスの設定を呼び出しながら、いつでもミックスダウンと マスタリングの間を行き来することが可能です。
一般的に、マスタリングは章の最初で述べたとおり「微調整」的 な作業ですから、ミックスダウンの完成度が高ければ、それだけ マスタリングでの処理は少なくて済みます。マスタリングをす ることでサウンドが急激に変わるようであれば、ミックスダウ ンの段階から見直してみるのも1つの方法です。
正確なモニタリングが重要!
ミキシングでも言えることですが、マスタリングにおける重要 なコツのひとつに「良いモニタリング環境を持つこと」が挙げら れます。これは、アンプやスピーカーはもちろん、モニターして いる部屋やその部屋にあるすべての物に関連してくるので、こ だわって行けば非常に奥の深い部分です。モニタリングに使用 している機材や部屋が違えば、当然聴こえるサウンドも違いが 出てきます。たまたま自宅にあるプライベートのスタジオで、 ベースが弱いように感じて低音域を持ち上げてみたところ、他 の人の家で再生した時に低音ばかりが響いてしまい「こんなは ずでは...」という経験をする例も多いのです。
理想的であるのは、残響音が限りなく少なく、録音した音やエ フェクトが反映された結果が忠実に再現される(専門用語では
「フラットな周波数帯域特性を持つ」と言います)モニタリング
環境です。しかし、現実にはそんな大規模なレコーディングスタ ジオのような場所でマスタリングに取り組めるのは、本当にプ ロのエンジニアの人達だけでしょう。
では、どうすればマスタリングで良い音が作り出せるのでしょ うか?プロのエンジニアはミックスダウンやマスタリングの経 験を積む中で、そのスタジオでのサウンドが「一般的なオーディ オやミニコンポでどう聴こえるか」を想像しながら作業をする
イコライザー(EQ)
マスタリングでのEQは、あまり大げさな設定では使わずに、わ ずかに全体の音の輪郭を整えたい時や、どうしても低域が足り ないのでミックスした後に加えたい場合などに使用します。ま た、逆に低域が大き過ぎたり、中域に色々な音がまとまり過ぎた りして聴きづらいミックスだったりした場合に、適切な周波数 帯域で多少カットするとかなりクリーンになります。
ここではデモソングのEQ調整は行いませんが、実際に音を再生 しながらパラメータを操作して、どの帯域を加工すると音がど う変化するのか試してみることをお勧めします。
コンプレッサー
マスターにコンプレッサーを使用すると、曲全体の音量バラン スを取れるだけではなく、サウンドに疾走感やパンチを与えた り、グルーブを強調したりといった効果を得られる場合があり ます。慣れるまでは難しいかもしれませんが、コツが掴めれば ミックスしたサウンドを確実に「より良い音」にできます。
デモソングのマスターコンプレッサー設定は特に極端な例では ありませんが、こちらもEQと同様に色々設定を試してみれば、 サウンドが変化する様子が感覚として理解できると思います。
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チュートリアル
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デモソングのマスターコンプレッサー設定

ソングをステレオトラックに録音する

Threshold Ratio
−35dB 3:1 0.0dB 0ms 110ms 2
OutGain
Attack Release Knee
AW2816では、まずステレオトラックにミックスダウンした 曲を録音し、次にそのステレオトラックのソングをCDに書き 込みます。満足の行くマスターEQやコンプレッサー設定が完成 したところで、以下の手順でステレオトラックにソングを録音 します。
[ST]キーを押してSTEREOトラック録音モード
1
1
に入ります。
(キーのインジケーターが点滅します。)
ソングの先頭に戻り録音を開始します。
2
2
([REC]キーと[PLAY]キーを同時に押します。)
ソングが終わったら[STOP]キーを押 します。
3
3
ソングをCD-Rディスクに書き込む
この手順についてはAW2816「取扱説明書」に詳しく説明され ていますので、そちらを参照してください。
どうでしょう。納得の行くCDになりましたか?
チュートリアル
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さらに、次のステップへ

さらに、次のステップへ
作業の仕方は一通り理解できたでしょうか? AW2816には、まだまだここでは紹介しきれなかった色々な
ケースでのレコーディングに対応できますし、ミックスダウン で使える機能も満載されています。ぜひとも存分に使い込んで、 このチュートリアルやAW2816「取扱説明書」でも紹介されて いないようなテクニックをどんどん見つけてください。
もし何か困ったことや、AW2816でどうしても分からないこ となどがあれば、下記のPAインフォメーションセンターまでお 問い合わせください。
・ PAインフォメーションセンター
TEL03-5791-7678 FAX03-5488-6663
(電話による受付時間祝祭日を除く月〜金/11:00〜17:00)
E-Mailアドレスpainfo@post.yamaha.co.jp
AW2816はじっくりと長く付き合うことで、音楽制作のベス トパートナーとして活躍してくれるに違いありません。
あなたの音楽ライフが、AW2816でより素敵なものになりま すように!
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チュートリアル
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用語集
■イコライザー(Equalizer)
そのチャンネルに入力された音に対して、特定の周波数帯域(※ 別項参照)を選んでブースト/カットすることで音を調整する 機能のこと。AW2816ではミキサー部のすべてのチャンネル に4つずつ、周波数帯域(※別項参照)やQ(※別項参照)を指定 できるパラメトリックタイプのイコライザーを搭載していま す。
■インピーダンス(Impedance)
交流に対する抵抗値のことで、一般的には信号等の入出力に関 する付加抵抗値を指しています。AW2816の入出力端子は、そ の形状や対応した入出力信号によりそれぞれインピーダンスが 決められており、同じか、もしくはなるべく近いインピーダンス を持った機器と接続する必要があります。ケーブルのコネク ターの形状がライン入力と同じであっても、ギターなどはハイ インピーダンスなので通常のインプットではなくハイインピー ダンス専用の端子につなぎます。
■オートミックス(AutoMix)
ミキサー部分のつまみやフェーダーといった各種パラメーター を操作した情報を、AW2816内部のタイムコードか、あるいは 外部から入力されたMTC(※別項参照)の時間軸に沿って記憶 させ、ソングの再生時にその動きを再現させる機能のこと。
■オーバーダビング(Over-Dubing)
オーバーダブと呼ぶ場合もあります。AW2816のような複数 のトラックをもつレコーダーで可能なテクニックのことで、例 えばまずドラムスを録音し、そのドラムスの音を再生しながら ギターやベースなどの他の演奏を別のトラックに録音して、ど んどん音を重ねていくことができます。
■コアキシャル(Coaxial)
「同軸の」という意味で、IEC60958(S/PDIF)という規格の
デジタルオーディオ信号のやり取りをするための端子の名称と して使用されます。
■コンプレッサー(Compressor)
入力された音がスレッショルド(Threshold)というパラメー ターで設定した音量より大きい場合には音量を押し下げ、逆に 小さい時は音を持ち上げることにより、トータルの音量差を均 一化させるためのエフェクトです。
■サンプリングレート(SamplingRate)
サンプリング周波数とも呼ばれ、1秒間に入力されたアナログ の音をデジタルデータに置き換える回数のこと。44.1kHzであ れば1秒間に44100回デジタル変換を行っています。この数 値が大きいほど、より広い範囲の周波数の音をデータとして扱 うことができます。
■ジッター(Jitter)
デジタルオーディオ信号をやり取りする際はワードクロック
(※別項参照)をそろえる必要がありますが、このワードクロッ
クがきれいに生成されない場合にジッターというノイズが発生 します。厳密に言えば、正確な間隔を持つ矩形波に対してワード クロックの速度の変動(クロックの揺れ)が小さいほど、ジッ ターが減り音質が向上することになります。
■初期設定
購入後、最初に電源を入れた状態のことで、「工場出荷時設定」
「デフォルト設定」とも呼ばれます。AW2816ではシーンメモ
リーの00を呼び出すことでこの状態に戻すことができます。
■オプティカル(Optical)
「光の」という意味ですが、オプティカルケーブルを接続する端
子の名称として使用されます。民生用のオーディオ機器では IEC60958(S/PDIF)と呼ばれる規格が使用されていますが、 AW2816のYGDAI(※別項参照)スロットに搭載可能なオプ ションのMY8-AT(別売)にはALESISadatフォーマットを利 用したオプティカルの端子が用意されており、対応機器と接続 することにより1本のケーブルで8チャンネルのデジタルオー ディオ信号の入力もしくは出力が可能になります。
■音源
ミキサーやレコーダーに入力される音声信号の総称。レコー ディングの世界では、シンセサイザーなどの音が鳴る機能を 持った電子機器を指す場合がほとんどです。
■ゲイン(Gain)
AW2816のインプット部分に搭載されているヘッドアンプ
(※別項参照)の感度を調整するつまみのこと。入力された音の
音量をここで一定にそろえることで、ボリュームを調整する フェーダーの各チャンネルごとのバランスを取りやすくしま す。
■周波数帯域
フリーケンシーとも呼ばれ、低音域から高音域までを音の周波 数でグラフ化した際の特定のポイントや範囲を指します。イコ ライザー(※別項参照)で音を調整する箇所を決める時などに使 われる言葉です。
■シーンメモリー(SceneMemory)
AW2816のミキサー部分の各種パラメーターの設定をまとめ て保存する機能のこと。1度登録したシーンは好きな時に呼び 出して再現することができます。
■ダイナミクス(Dynamics)
広義的には音量が変化することを指し、例えば音量の上下が激 しい場合に「ダイナミクス差が大きい」といった表現が使われま す。コンプレッサー(※別項参照)やリミッター(※別項参照)の ように、音量を補正することを目的としたのことを「ダイナミク ス系エフェクト」と呼んでいます。
■ダイナミックレンジ(DynamicRange)
音量が最大〜無音になるまでの音量レベル差をdB(デシベル) で表したものです。「その機械がどれだけ繊細に音声信号を取り 扱えるか」の判断のひとつの目安になります。
チュートリアル
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用語集
■タイムコード(TimeCode)
AW2816と、リズムマシンやシーケンスソフトあるいは他の レコーダーを同期走行させる際にやり取りをする時間情報のこ と。AW2816はMTC(※別項参照)の送受信機能を搭載してい ます。
■チェイス(Chase)
AW2816が外部の機器からMTC(※別項参照)を受信して同 期走行すること。同期走行のスタンバイができている状態のこ とを「チェイスオン」「チェイススタンバイ」と呼ぶ場合もありま す。
■チャンネル(Channel)
ミキサー部分に入力された音が、音量やPAN(※別項参照)等を 調整して出力するまでの信号の流れの単位。AW2816のミキ サー部分には、レコーダー部分の再生や2系統のエフェクター のアウトプットも含めて28チャンネルが用意されています。
■ディザー(Dither)
量子化ビット数(※別項参照)の低い相手にデジタルオーディオ 信号を出力する際に、単純にビットを切り捨てるのではなく、失 われる分の情報を織り交ぜることで変換時のノイズ発生を軽減 させる機能です。データ自体を改変してしまうため、状況によっ ては掛けないほうがよい場合もあります。
■トラック(Track)
レコーダーがオーディオ信号を録音/再生する際に、その信号 に割り当てた番号を指します。AW2816には16トラック×8 バーチャルトラック(※別項参照)の合計128トラックが存在 します。
■内部処理ビット数
機器の内部でデジタル信号を処理する際のデータの解像度のこ と。AW2816は内部処理32ビットであり、ダイナミックレン ジ(※別項参照)に換算すると192dBという優れた解像度を誇 ります。
■ノミナルレベル(NominalLevel)
ミキサー及びレコーダーの世界でいわれる「ノミナル」とは、そ の製品の基準となるレベル設定位置を指します。全ての設定を その位置に合わせた場合にカタログ上のスペックに最も近い音 質が実現されます。
■バーチャルトラック(VirtualTrack)
AW2816の同時再生トラック数は16ですが、各トラックに実 際は8つのトラックが存在しており、8つのうちの任意の1 ト ラックを再生可能です。この再生トラックごとに8つのトラッ クが用意されていることをバーチャルトラック機能と呼びま す。
■バス(BUS)
AW2816のミキサー部分に搭載されているオーディオ信号の 流れ道のことで、複数のチャンネル(※別項参照)をまとめるた めに使用します。通常、QUICKREC機能を使ってレコーディン グをする際には特に気にする必要はありませんが、このバスを 利用することでより複雑なレコーディングやミックスダウンに も対応できます。
■パンチイン・パンチアウト(PunchI/O)
1度録音したトラックの中で特定の部分だけ録り直したい場合 に、その部分のスタート位置をパンチイン、その部分の終わりで 録り直しの際に録音を終了させる場所をパンチアウトと呼びま す。
■ヘッドアンプ(HeadAmp、HA)
AW2816の入力端子の部分、A/Dコンバーター(※別項参照) の前に搭載されており、アナログで入力されたオーディオ信号 を適正な音量でデジタルに変換するために調整するための回路 です。(マイクプリアンプも同義。)
■ファンタム電源(PhantomPower)
マイク用のケーブルを介して供給される電源のことで、通常は コンデンサーマイクを使用する際に必要です。規格上48Vと決 められています。
■ポップガード(PopGuard)
ボーカルを録音する場合に「吹き」(ポップノイズ)を抑える為に ボーカルとマイクの間に立てる、薄いメッシュ上のガードのこ とです。ティッシュなどで代用する場合もあります。
■マスタリング(Mastering)
ミックスダウンされた曲の音質やトータルの音量などを調整す る作業のこと。AW2816ではオーディオCDを作成するまでを マスタリングと呼んでいます。
■ミックスダウン(MixDown)
トラックダウンとも呼ばれる場合があり、複数のトラックに録 音された音を最終的にオーディオCDプレーヤー等で再生でき るように2トラックにまとめる作業のこと。
■ムービングフェーダー
MIXINGLAYERセクションを切り替えた場合や、シーンメモ リーからシーンを呼び出した時などに、呼び出したパラメー ターの数値の場所に自動的に移動するフェーダーのこと。 AW2816ではSTチャンネルを含め搭載された9本すべてが ムービングフェーダーです。オートミックスの際にもパラメー ターの変化に合わせてフェーダーが動くため、ミックスダウン の状況を視覚的に捉えられる便利な機能です。
■モニター(Monitor)
AW2816から出力された音を再生するヘッドフォンやスピー カーのこと、またそれらで再生した音を聴くことを全般的に指 します。
■ライブラリー(Library)
AW2816のイコライザー(※別項参照)、ダイナミクス(※別項 参照)および2系統のエフェクターに、さまざまな使用方法を想 定して購入時から用意されている設定(プリセット)のこと。
■リストア(Restore)
あらかじめバックアップを作成したCD-R/CD-RWからソング を内蔵のハードディスクに呼び戻すこと。
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チュートリアル
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■リミッタ−(Limiter)
入力された音がスレッショルド(Threshold)というパラメー ターで設定した音量より大きい場合に、その音を抑えることで 過大入力を防ぐためのエフェクトです。
■MTC(MIDITimeCode)
AW2816と、他のリズムマシンやシーケンスソフトあるいは 他のレコーダーを同期走行させる際に、MIDI信号の経路を利用 して時間軸情報をリアルタイムにやり取りするための規格。
■量子化ビット数
入力されたアナログの音をデジタルに変換する際のデータの解 像度のこと。
■ワードクロック(WordClock)
デジタルオーディオ信号をやり取りする際に、音声データを受 け渡しするタイミングをそろえるための同期信号のこと。複数 の機器をデジタル接続で使用する場合は、ワードクロックが統 一されていないと、オーディオ信号のやり取りができなかった り、ノイズが乗ったりといった不具合が発生します。
■AD/DA
アナログからデジタル、またその逆にオーディオ信号を変換す ることを意味しています。AW2816は内部ではすべてデジタ ル処理をしていますが、アナログのオーディオ信号を入力する 場合はAD変換、AW2816の音をモニター(※別項参照)する時 はDA変換の処理がそれぞれ行われています。
■A/Dコンバーター(A/DConverter)
アナログのオーディオ信号をデジタルに変換する回路のこと。
■AES/EBU
デジタルオーディオ信号をやり取りする際の業務用フォーマッ トの1つで、多くの機器が対応しているため汎用性の高い規格 です。YGDAI(※別項参照)スロットに搭載可能なオプションで あるMY8-AE(別売)は、D-sub25pin形状の端子を備えてお り、8チャンネルのデジタルオーディオ信号を同時に送受信す ることができます。
■PAN
Panorama(パノラマ)が語源で、ステレオ空間上でその音がど の位置に存在するかを設定するためのパラメーターです。通常、 2つのモノラルチャンネルに元々ステレオである音をアサイン している場合、その2つのチャンネルのPANを左と右に設定す ることで、本来の位置関係を再現した状態でモニターできます。
■Q
AW2816に搭載されているパラメトリックタイプのイコライ ザー(※別項参照)のパラメーターの1つで、音を変化させる周 波数帯域(※別項参照)の幅を決めます。値が大きいほど幅が狭 くなり、カーブの勾配が急になります。
■SCSI(SmallComputerSystemInterface)
元々はコンピューターと外部記憶装置の間でデータを転送する ための規格ですが、AW2816でもこの端子を用いて外部ハー ドディスクや外部CD-R/RWドライブを使用することが可能で す(※AW2816のSCSI端子とコンピューターを直接接続しな いでください。お互いの機器を損傷する恐れがあります)。
■S/N
Signal(音声信号)とNoise(ノイズ)の割合を示した数値で、 まったく音を出していない状態で発生する残留ノイズのレベル をdB(デシベル)で表します。
■SOLO
ミックスダウン時などに、任意のチャンネルの音だけをピック アップして聴くための機能です。
■ATAPI
AW2816に搭載可能な内蔵CD-RWドライブの規格です。規格 上はIDEと同じものですが、AW2816では内蔵ハードディス クと区別するために表記上使い分けられています。
■AUX
Auxuary(オグジュアリー)の略で、AW2816に搭載された2 系統のエフェクターを使用する際や、外部のエフェクターを利 用する場合などに使う信号の出力先のこと。
■D/Aコンバーター(D/AConverter)
デジタルのオーディオ信号をアナログに変換する回路のこと。
■MMC(MIDIMachineControl)
レコーダーの再生、停止、録音といった制御命令をMIDIで送る ための規格のこと。
■MiniYGDAI
AW2816の背面にある入出力拡張用YGDAI(※別項参照)ス ロットのこと。
■S/PDIF
正式にはSony/PhilipsDigitalAudioInterfaceの略であり、 規格上はIEC60958と呼びますがS/PDIFという名称のほう が一般的に使われています。デジタルオーディオ信号をやり取 りするための民生用のフォーマットで、同時に2チャンネル(ス テレオ1系統)のオーディオを送信、あるいは受信することが可 能です。
■XLR端子
マイクなどの端子に使われている3ピンコネクタの型式です。 ロック機構が付いていてケーブルを引っ張っても抜けないよう に工夫されている点が特徴です。
■YGDAI
YAMAHAGeneralDigitalAudio Interfaceの略です。業 務用の各種デジタルオーディオ信号フォーマットに対応したI/ OカードやAD/DA変換機能を持ったカードが用意されており、 YGDAIスロットを搭載したデジタルミキサー/デジタルレ コーダーは、用途に合わせて装着するカードを選ぶことが可能 です。02R、03D用のYGDAIカード(CD シリー ズ)と01V、 D24、AW4416などで採用されているMiniYGDAIカード
(MYシリーズ)の2種類があり、AW2816ではMini YGDAI
カードを1枚オプションで取り付けることができます。
チュートリアル
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V766840 R1 1 IP 32
01 08 2500 CP Printed in Japan
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