Tektronix TCP0150 User manual

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TCP0150 型 20 MHz、150 A AC/DC 電流プローブ
取扱説明書
www.tektronix.com
071-2252-00
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Tektronix 製品は、登録済および出願中の米国その他の国の特許等により保護されています。 本書の内容は、既に発行され ている他の資料の内容に代わるものです。 また、本製品の仕様および価格は、予告なく変更させていただく場合がござい ますので、予めご了承ください。
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Tektronix 連絡先
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保証 2
当社では、本製品において、出荷の日から 1 年間、材料およびその仕上がりについて欠陥がないことを保証します。この保証期 間中に製品に欠陥があることが判明した場合、当社では、当社の裁量に基づき、部品および作業の費用を請求せずに当該欠 陥製品を修理するか、あるいは当該欠陥製品の交換品を提供します。保証時に当社が使用する部品、モジュール、および交 換する製品は、新しいパフォーマンスに適応するために、新品の場合、または再生品の場合もあります。交換したすべての 部品、モジュール、および製品は当社で保有されます。
本保証に基づきサービスをお受けいただくため、お客様には、本保証期間の満了前に当該欠陥を当社に通知していただき、 サービス実施のための適切な措置を講じていただきます。お客様には、当該欠陥製品を梱包していただき、送料前払いにて当 社指定のサービス・センターに送付していただきます。本製品がお客様に返送される場合において、返送先が当該サービス・セ ンターの設置されている国内の場所であるときは、当社は、返送費用を負担します。しかし、他の場所に返送される製品につい ては、すべての送料、関税、税金その他の費用をお客様に負担していただきます。
本保証は、不適切な使用または不適切もしくは不十分な保守および取り扱いにより生じたいかなる欠陥、故障または損傷にも適 用されません。当社は、以下の事項については、本保証に基づきサービスを提供する義務を負いません。a)当社担当者以外の 者による本製品のインストール、修理またはサービスの試行から生じた損傷に対する修理。b)不適切な使用または互換性の ない機器への接続から生じた損傷に対する修理。c)当社製ではないサプライ用品の使用により生じた損傷または機能不 全に対する修理。d)本製品が改造または他の製品と統合された場合において、改造または統合の影響により当該本製品 のサービスの時間または難度が増加したときの当該本製品に対するサービス。
この保証は、明示的または黙示的な他のあらゆる保証の代わりに、製品に関して当社がお客様に対して提供するものです。当 社およびベンダは、商品性または特定目的に対する適合性についての一切の黙示保証を否認します。欠陥製品を修理または 交換する当社の責任は、本保証の不履行についてお客様に提供される唯一の排他的な法的救済となります。間接損害、 特別損害、付随的損害または派生損害については、当社およびそのベンダは、損害の実現性を事前に通知されていたか 否に拘わらず、一切の責任を負いません。
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目次
目次
安全にご使用いただくために.............................................................................. v
安全に保守点検していただくために . .................................................................... viii
環境条件について ....................................................................................... ix
まえがき................................................................................................. xi
マニュアル .......................................................................................... xi
このマニュアルで使用される表記規則 ................................................................ xi
修理のためのプローブの返送 ........................................................................ xii
主な特長................................................................................................. 1
取り付け.................................................................................................. 2
プローブ・ヘッドの使用 ............................................................................... 3
プローブの消磁 ...................................................................................... 4
回路への接続 ........................................................................................ 6
プローブのコントロールとインジケータ.................................................................. 8
機能チェックおよび基本操作 ............................................................................. 16
基本操作 ........................................................................................... 17
使用例.................................................................................................. 18
インダクタンス測定................................................................................... 19
インダクタの巻数の測定.............................................................................. 22
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 i
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目次
アクセサリとオプション.................................................................................... 24
スタンダード・アクセサリ .............................................................................. 24
オプショナル・アクセサリ ............................................................................. 26
オプション........................................................................................... 29
プロービングの原理...................................................................................... 30
開口部内に非通電の導体を入れた状態でのプローブの消磁 .......................................... 30
差動電流の測定..................................................................................... 31
電流範囲の拡張..................................................................................... 33
感度の拡張 ......................................................................................... 36
コモン・モード・ノイズ/磁場エラー ................................................................... 37
AC/DCカップリング ................................................................................. 38
最大電流の制限値 .................................................................................. 39
仕様 .................................................................................................... 43
保証特性 ........................................................................................... 44
代表特性 ........................................................................................... 45
公称特性 ........................................................................................... 51
規格と承認.......................................................................................... 51
ユーザ・メンテナンス ..................................................................................... 55
オシロスコープのファームウェア ...................................................................... 55
トラブルシューティング ............................................................................... 55
クリーニング ......................................................................................... 56
性能検査................................................................................................ 57
必要な機器 ......................................................................................... 58
ii TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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目次
DC 電流ループの作成............................................................................... 60
機器のセットアップ................................................................................... 61
DC ゲイン確度 ...................................................................................... 62
立上り時間と帯域幅 ................................................................................. 65
検査記録 ........................................................................................... 68
調整 .................................................................................................... 69
必要な機器 ......................................................................................... 69
機器のセットアップ................................................................................... 69
DC ゲイン確度 ...................................................................................... 70
修理 .................................................................................................... 72
プローブの修理 ..................................................................................... 72
プローブの分解 ..................................................................................... 73
再組み立て ......................................................................................... 81
交換部品 ........................................................................................... 82
索引
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 iii
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目次
iv TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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安全にご使用いただくために
人体への損傷を避け、本製品や本製品に接続されている製品への損傷を防止するために、次の安全性に関す る注意をよくお読みください。
安全にご使用いただくために、本製品の指示に従ってください。
資格のあるサービス担当者以外は、保守点検手順を実行しないでください。
火災や人体への損傷を避けるには
接続と切断は正しく行ってください。 プローブと検査リードは、電圧ソースに接続されている間は接続または
切断しないでください。
接続と切断は正しく行ってください。 被測定回路の電源を切ってから、電流プローブの接続あるいは切断を
行ってください。
接続と切断は正しく行ってください。 プローブ出力を測定機器に接続してから、プローブを被測定回路に接続
してください。 被測定回路にプローブの基準リードを接続してから、プローブ入力を接続してください。 プローブ 入力とプローブの基準リードを被測定回路から切断した後で、プローブを測定機器から切断してください。
本製品を接地してください。 本製品は、メインフレームの電源コードのグランド線を使用して間接的に接地しま
す。 感電を避けるため、グランド線をアースに接続する必要があります。 本製品の入出力端子に接続する前に、 製品が正しく接地されていることを確認してください。
すべての端子の定格に従ってください。 火災や感電の危険を避けるために、本製品のすべての定格とマーキン
グに従ってください。 本製品に電源を接続する前に、定格の詳細について、製品マニュアルを参照してください。
安全にご使用いただくために
共通端子を含むどの端子にも、その端子の最大定格を超える電位をかけないでください。
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 v
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安全にご使用いただくために
電流プローブを、その定格電圧を超える電圧がかかっている電線に接続しないでください。
カバーを外した状態で動作させないでください。 カバーやパネルを外した状態で本製品を動作させない
でください。
障害の疑いがあるときは動作させないでください。 本製品に損傷の疑いがある場合、資格のあるサービ
ス担当者に検査してもらってください。
回路の露出を避けてください。 電源がオンのときに、露出した接続部分やコンポーネントに触れないでください。
湿気の多いところでは動作させないでください。
爆発しやすい環境では動作させないでください。
製品の表面を清潔で乾燥した状態に保ってください。
適切に通気してください。
設置方法を参照してください。
適切な通気が得られるような製品の設置方法の詳細については、マニュアルの
本マニュアル内の用語
本マニュアルでは、次の用語を使用します。
警告: 「警告」では、怪我や死亡の原因となる状態や行為を示します。
注意: 「注意」では、本製品やその他の資産に損害を与える状態や行為を示します。
vi TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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安全にご使用いただくために
本製品に関する記号と用語
本製品では、次の用語を使用します。
「危険」マークが表示されている場合、怪我をする危険が切迫していることを示します。
「警告」マークが表示されている場合、怪我をする可能性があることを示します。
「注意」マークが表示されている場合、本製品を含む資産に損害が生じる可能性があることを示します。
本製品では、次の記号を使用します。
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 vii
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安全に保守点検していただくために
安全に保守点検していただくために
資格のあるサービス担当者のみが、保守点検手順を実行する必要があります。保守点検手順を実行する前に、 この『安全に保守点検していただくために』と『安全にご使用いただくために』をお読みください。
一人だけで保守点検しないでください。応急処置と救急蘇生ができる人の介在がないかぎり、本製品の内
部点検や調整を行わないでください。
電源を切断してください。感電を避けるため、機器の電源を切り、電源コードを電源コンセントから抜いてください。
電源オン時の保守点検には十分注意してください。本製品には、危険な電圧や電流が存在している可能性が
あります。保護パネルの取り外し、はんだ付け、コンポーネントの交換をする前に、電源の切断、バッテリの取り外 し(可能な場合)、試験導線の切断を行ってください。
感電を避けるため、露出している接続部には触れないでください。
viii TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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環境条件について
このセクションでは、製品の環境に対する影響について説明します。
製品の廃棄方法
機器またはコンポーネントをリサイクルする際には、次のガイドラインを順守してください。
機器のリサイクル:この機器を生産する際には、天然資源が使用されています。この製品には、環境また
は人体に有害な可能性のある物質が含まれているため、製品を廃棄する際には適切に処理する必要があり ます。有害物質の放出を防ぎ、天然資源の使用を減らすため、機材の大部分を再利用またはリサイクル できる適切な方法で処理してください。
下記の記号は、この製品が欧州連合の WEEE Directive 2002/96/EC(廃棄電気・電子機器に関する指 令)の諸要件に準拠していることを示しています。リサイクル方法については、Tektronix のホームページ (www.tektronix.com)のサポート/サービスの項目を参照してください。
環境条件について
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 ix
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環境条件について
有害物質に関する規制
この製品は Monitoring and Control(監視および制御)装置に分類され、2002/95/EC RoHS Directive(電気・電 子機器含有特定危険物質使用制限指令)の範囲外です。この製品は、アルミ製シャーシ部品の表面塗装、アセ ンブリ、および回路基盤の組み立てで使用されている 63/67 スズ/鉛はんだに六価クロムが含まれていることを 除き、RoHS Directive の要件に準拠しています。
x TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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まえがき
このマニュアルでは、TCP0150 型電流プローブのインストレーションと操作について説明します。また、プローブ の基本的な操作と概念についても説明します。このマニュアルおよび関連する情報については、Tektronix の ホームページからもアクセスできます。
マニュアル
まえがき
対象となる項目
TCP0150 型プローブ:初めての操作、機能チェック、 基本操作、仕様、性能検査
オシロスコープの詳細な操作、ユーザ・インタフェー ス・ヘルプ、GPIB コマンド
*
機器にインストールされているマニュアルを参照するには、タスク・バーで Start をクリックして、Programs > TekApplications を
選択してください。
使用するマニュアル
この取扱説明書をお読みください。
ホスト機器の Help メニューで、オンライン・ヘルプを 参照してください。
*
このマニュアルで使用される表記規則
このマニュアルでは、手順の順番を示すために次のアイコンを使用しています。
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 xi
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まえがき
修理のためのプローブの返送
プローブの修理が必要な場合は、プローブを当社に返送してください。元の梱包資材が使用に適していな いか使用できない場合は、次の梱包のガイドラインに従ってください。
xii TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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輸送の準備
1. 内径がプローブの寸法より少なくとも 1 インチ(2.5 cm)大きい、ダンボー ルの輸送用カートンを用意します。こ の箱は少なくとも200ポンド(90kg) のカートン・テスト強度を持っている 必要があります。
2. プローブを湿気から防ぐために、帯 電防止バッグまたは包装材に収め ます。
3. 包装資材に入ったプローブをカート ンに収め、軽い梱包資材を使用して 固定します。
4. 輸送用テープを使用してカートンを 密閉します。
5. 送付先の住所については、このマ ニュアルの開始ページに記載されて いる「Tektronix 連絡先」を参照して ください。
まえがき
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 xiii
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まえがき
xiv TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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主な特長
TCP0150 型電流プローブを使用すると、DC ~ 20 MHz の範囲で正確な測定ができます。このプローブは、 実績のあるホール効果技術と Tektronix TekVPI オシロスコープ・インタフェースを兼ね備えています。主な 特長は次の通りです。
帯域幅 20 MHz 以上、立上り時間
17.5 ns 未満
AC/DC 測定機能
500 A ピーク・パルス電流(パルス
幅30μs未満)
25 A および 150 A のレンジ設定
感度 5 mA (1mV/div 設定をサポー トする TekVPI オシロスコープでの 場合)
DC 確度 1%(代表値)
ワン・ボタン消磁/自動ゼロ機能
オシロスコープ・メニューを使用した プローブ制御、またはオシロスコー プからリモートによるプローブ制御
主な特長
ホスト機器上での直接スケーリング
および単位のリードアウト
AC カップリング(オシロスコープに
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 1
依存)
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取り付け
取り付け
1. プローブを TekVPI コネクタに接続 します。完全に差し込むと、カチッと 音がします。
プローブが接続されると、ホスト機器 はプローブから情報を読み込み、 デバイスを特定します。プローブの LED が、目視点検用に短時間すべ て点灯します。
2. 取り外すには、ラッチ・ボタンを押し て機器からプローブを引き抜きます。
注: 使用している TekVPI 機器で、こ
のプローブの全機能を使用できるよう にするには、ファームウェアのアップグ レードが必要になる場合があります。 (55 ページ 「オシロスコープのファーム ウェア」 参照)。
注意: 補正ボックスの過熱防止のため
に、オシロスコープへ接続する際には、 ふさがれている通気口がないことを確 認します。
2 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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プローブ・ヘッドの使用
1. U 型の電流感知コア(開口部)が、プ
ローブ前部にあります。
注意: 火災の危険防止のため、電流プ
ローブを通電中の非絶縁導体に接続し たり、縁導体から取り外したりしないでく ださい。コアは絶縁されていません。非 絶縁回路をテストする場合は、電源を 切ってからプローブを接続または取り外 してください。
2. プローブ後部のトリガ・ハンドルを使
用して、開口部および非測定導体を 覆うスライド・バーを開閉できます。
3. 通電中の回路に接続する際は、防
護ラインより後ろ側(影付き領域内) に手を近づけないでください。
警告: 感電の危険防止のため、防護ラ
インより後ろ側に手を近づけないでくだ さい。この防護ラインは、安全に接近で きる限界を示しています。
取り付け
4. スライドをロックするには、スイッチ上
部を押し、解除するには、スイッチの 下部を押します。
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 3
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取り付け
プローブの消磁
1. プローブがホスト機器に識別される と、次のことが起こります。
画面にプローブを消磁するように 求めるメッセージが表示される
プローブのマルチカラー Degauss/AutoZero ステ ータス LED が赤色で点滅する
注: LED が赤色で点滅している場合
は、DC ゲインおよびオフセットは保証さ れません。
2. 開口部に導体を入れない状態で、 プローブ・スライドをロックします。
3. プローブ上の、またはホスト機 器の Degauss ウィンドウ上の Degauss/Autozero ボタンを押しま す。
4. マルチカラー Degauss/Autozero ス テータス LED が緑色になり、消磁 ルーチンが正常に実行され、プロー ブが正常な動作モード状態であるこ とがわかります。
4 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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ヒント
測定確度を維持するために、次の場合 にはプローブを消磁してください。
測定システムの電源をオンにし、20 分間のウォーム・アップ期間が終了 した後
プローブを導体に接続する前
電流または熱の過負荷状態が発生 した場合
プローブを強力な外部磁界にさら
した場合
取り付け
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 5
Page 24
取り付け
回路への接続
注意: プローブのコアの損傷を防止す
るため、プローブを落としたり、周囲条件 下で物理的な衝撃、歪み、または急激 な変化を与えないようにしてください。
1. ロック・スイッチの下部を押し、スライ ドのロックを解除します。
2. トリガ・ハンドルを握り、開口部を開 きます。
3. 開口部内に回路の導体が納まるよう にします。
6 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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4. トリガ・ハンドルを開放し、開口部上
部のスライドを閉めます。
5. ロック・スイッチの上部を押し、スライ
ドをロックします。
警告: 感電の危険防止のため、ガード
の付いていない非絶縁ワイヤやバス・ バーでプローブを使用する場合には、 保護具(手袋など)を使用してください。
警告: プローブの裸線電圧の定格を
超えないでください。詳細については、 仕様に関するセクションを参照してくだ さい。
取り付け
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 7
Page 26
取り付け
プローブのコントロールとインジケータ
プローブをオシロスコープに接続する と、すべてのインジケータ LED が短時 間点灯し、その後少なくとも 2 つの LED が点灯したままになります。この 2 つの LED は次のことを示します。
選択されている電流レンジ
Degauss/AutoZero のステータス
注: 一部のホスト機器では、プローブが
選択されているレンジを記憶し、電源 をオフにして再度オンにするとそれをリ ストアします。
8 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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Jaw Open LED
1. Jaw Open LED が点灯している場合
は、プローブ・スライドはロックされ ていません。
2. プローブ・スライドをロックして、正確
に電流測定を行うか、プローブを消 磁します。
取り付け
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 9
Page 28
取り付け
Overload LED
マルチカラー Overload LED では、プ ローブが仕様の範囲外で使用されてい ることを警告します。Overload LED の警 告状態は、次のとおりです。
赤色に点灯。最大入力連続電流の
制限値を超えています
オレンジ色に点灯。プローブの安全
動作温度を超えています
赤色およびオレンジ色に点滅。最大 入力連続電流の許容値とプローブの 安全動作温度の両方を超えています
注: 安全動作温度を超えると、プロー
ブはシャットダウンします。プローブを リセットするには、プローブの接続をオ シロスコープから外し、冷却後に再接 続します。
ヒント
入力電流の過負荷は、プローブを帯磁 させます。過負荷がかかった後には、必 ずプローブを消磁してください。
10 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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Range ボタンと LED
Range ボタンを押して、25 A または 150 A の電流レンジ設定を選択します。
緑色の LED は、選択したレンジを示し ます。レンジと単位は、オシロスコープの 画面上にも表示されます。
取り付け
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 11
Page 30
取り付け
Degauss/AutoZero ボタンと LED
マルチカラー Degauss/AutoZero ステー タス LED が赤色で点滅する場合は、プ ローブを消磁する必要があります。
LED がオレンジ色で点滅する場合は、 プローブの消磁をお勧めします。この LED がオレンジ色で点滅している場合 は、DC ゲインおよびオフセットの確度は 保証されません。
また、Degauss/AutoZero 機能により、プ ローブのすべての DC オフセットがクリ ア(自動的にゼロに)されます。
プローブを消磁するには、次の手順を 実行します。
1. 電流源からプローブを取り外し、スラ イドをロックします。
2. Degauss/AutoZero ボタンを押して、 消磁ルーチンを開始します。
Degauss/AutoZero ルーチンが正常 に完了すると、LED が緑色に点灯 します。
12 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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Menu ボタン
1. プローブの Menu ボタンを押します。
2. Probe Setup 画 面または Probe
Controls 画面にプローブの設定が 表示されます。どちらの画面になる かは、オシロスコープのモデルによっ て決まります。 (14 ページ 「オプショ ンの各種プローブ画面」 参照)。
画面のボタンを使用し、設定を変更 したりその他のプローブ情報にアク セスします。
3. 再度 Menu ボタンを押して、画面を
閉じます。
取り付け
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 13
Page 32
取り付け
オプションの各種プローブ画面
以下のプローブ画面が、オシロスコープのモデルに応じて使用できます。
Probe Controls 画面には、プローブの Menu ボタンまたは他のプローブ画面からアクセスできます。この画面に は、一般的なプローブの機能を使用するためのボタン、および Probe Setup や Probe Properties などの他の画 面にアクセスするためのボタンが含まれています。
Setup ボタンをクリックすると、Probe Setup 画面が表示されます。
14 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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Properties ボタンをクリックすると、Probe Properties 画面が表示されます。
取り付け
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 15
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機能チェックおよび基本操作
機能チェックおよび基本操作
次の手順を使用して、プローブが正常に動作しているか確認します。プローブが保証仕様を満たしているかどう かを確認するには、「性能検査」の手順を参照してください。 (57 ページ参照)。
1. オシロスコープの任意のチャンネル (1 ~ 4)にプローブを接続します。
2. Degauss/AutoZero ボタンを押しま す。
3. Degauss/AutoZero LED が緑色に点 灯している場合は、プローブを回路 に接続します。
4. プローブのチャンネルが表示される ようにオシロスコープを設定します。
5. 安定した波形を表示するようにオシ ロスコープを調整するか、Autoset ボ タンを押します。
安定した波形が表示される場合は、 プローブが正常に動作していること を示します。
16 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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基本操作
1. オシロスコープの表示を確認してか
ら、プローブを導体に接続します。 DC オフセットが存在する場合は、プ
ローブを消磁します。 (4 ページ 「プ ローブの消磁」 参照)。
2. 正しい極性の読み取り値を得るため
に、正から負への電流の方向がプ ローブの開口部の矢印の向きと一致 するように、プローブを接続します。
導体をはさんだプローブの開口部を 閉めて、ロックします。
3. オシロスコープに表示される測定値
を読み取ります。
注意: 感電や火災の危険防止のため、
プローブの裸線電圧の定格を超えない ようにしてください。 (43 ページ 「仕様」 参照)。
機能チェックおよび基本操作
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 17
Page 36
使用例
使用例
このセクションでは、プローブを一般的なトラブルシューティング作業で使用する方法、および測定システムの 使用方法の拡張について説明します。
18 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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インダクタンス測定
電流プローブを使用すると、既知のロー・インピーダンスまたはハイ・インピーダンス・パルス・ソースを持つコ イルのインダクタンスを測定できます。
低インピーダンスのパルス・ ソース
この図は、低抵抗インダクタに接続され た、出力インピーダンスの非常に低い定 電圧パルス・ゼネレータを示しています。
1. インダクタを、パルス・ゼネレータの
出力端子の両端に接続します。
2. インダクタの両端を定電圧に保ちま
す。
3. ソース・リードの片方に電流プローブ
をクランプします。
注: プローブのインピーダンスが回路
全体のインダクタンスのかなりの部分を 占める場合は、測定確度に影響します。 プローブの挿入インピーダンスについて は、プローブの仕様を参照してください。
使用例
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 19
Page 38
使用例
4. 電流ランプを測定します。インダクタ ンスは、事実上ここに示す電流ラン プのスロープによって定義されます。
5. 次の公式を使用して、インダクタン スを計算します。
ここで、
L
は、ヘンリー単位のインダクタンス、
E
は、パルス・ゼネレータの電圧、
dt
は、時間変化量、および
di
は、電流変化量を示しています。
20 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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高インピーダンスのパルス・ソース
パルス・ソースのインピーダンスの数値 (既知)が高く、電流が増加すると出力 電圧が低下する場合、コイルのインダ クタンスは、充電曲線の時定数で計算 できます。
電流ランプは、インダクタンスの公式で使 用する値を求める方法を示しています。
この公式を使用して、電流測定に基づく インダクタンスを計算します。
ここで、
L
は、ヘンリー単位のインダクタンス、
τ
は、電流が全電流値の 63.2% ま で上昇、または全電流値から 63.2% 低下するのに要する時間、および
R
は、パルス・ゼネレータのソースの
抵抗値を示しています。
使用例
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 21
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使用例
インダクタの巻数の測定
インダクタのおおよその巻数を求めるに は、次の手順を実行します。
1. 図のように、インダクタを電流制限さ れたソースに接続します。
2. インダクタ・リードの片方で入力電 流を測定します。
3. インダクタに電流プローブをクランプ し、電流値を記録します。
巻数は、コイル電流対入力電流の比率 に等しくなります。
注: この方法の確度は、電流の測定
確度による制限を受けます。より正確 な手順については、次のページを参照 してください。
22 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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より正確な巻数を測定するには、巻数 がわかっているコイルを基準として使用 する必要があります。その場合は、次の 手順を実行します。
4. ステップ 1 および 2 を繰り返し、次
のように変更します。
5. リファレンス・コイルを電流プローブ
に挿入します。
6. 図のように、テスト・コイルとリファレン
ス・コイルの電流の方向が逆になる ように、テスト・コイルを電流プローブ に挿入します。コイル電流の極性を 確認して、テスト・コイルの巻数がリ ファレンス・コイルよりも多いか少ない かを判断します。巻数は、次の公式 を使用して計算します。
ここで、
N
は、テスト・コイルの巻数、
2
N
は、リファレンス・コイルの巻数、
1
I
は、測定されたコイル電流、および
m
I
は、入力電流を示しています。
1
使用例
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 23
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アクセサリとオプション
アクセサリとオプション
このセクションでは、スタンダード・アクセサリを一覧表示し、これらのアクセサリの使用方法についての情報を記 載しています。ニーズに最適なアクセサリを選択できるように、必要に応じて仕様も記載しています。
スタンダード・アクセサリ
保護カバー
作業台で、プローブをパッド入りの保 護カバーに入れて、プローブを不慮の 損傷から防ぎます。
1. プローブを保護カバーに挿入しま す。
2. 保護カバーをストラップを使用して閉 じ、カバーをプローブに固定します。
3. プローブにカバーを付けたままにす るには、カバーの紐をプローブの ケーブルにつなぎます。
注文用当社部品番号:
24 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
Page 43
取扱説明書
取扱説明書には、操作およびメンテナ ンスの手順が記載されています。
注文用当社部品番号:
071-2251-XX (英語)
071-2252-XX (本語)
071-2253-XX (簡体字中国語)
アクセサリとオプション
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 25
Page 44
アクセサリとオプション
オプショナル・アクセサリ
このセクションでは、プロービング作業の役に立つ、購入可能なオプショナル・アクセサリを一覧で表示します。
電流ループ
「性能検査」の手順では、1 回巻きの 50 Ω 電流ループを使用します。BNC コネ クタを使用すると、電流源に簡単に接続 できます。
警告: 感電の危険を減らすため、この
アクセサリは 30 Vrms、42 Vpk、または 60 VDC を超える電圧では使用しない でください。
このアクセサリは、0.5 Wrms に制限さ れています。危険な電圧で使用しない でください。
注文用当社部品番号: 015-0601-50
26 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
Page 45
デスキュー/校正フィクスチャ
このフィクスチャを、プローブの校正また はデスキューの手順をサポートしている ホスト機器に接続します。デスキュー手 順を実行すると、電流プローブと電圧プ ローブ間のゲインのエラーおよびタイミ ング差が補正されます。使用しているオ シロスコープのマニュアルまたはフィクス チャの手順書を参照してください。
警告: 感電の危険を減らすため、この
アクセサリは 30 Vrms、42 Vpk、または 60 VDC を超える電圧では使用しない でください。
このアクセサリは、2 Wrms に制限されて います。危険な電圧で使用しないでく ださい。
注文用当社部品番号: 067-1686-00
アクセサリとオプション
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 27
Page 46
アクセサリとオプション
補正ボックス・ツール
このツールを使用して、プローブの修理 (スイッチ・パネル、ケーブル、または補 正ボックスの交換)の際に補正ボックスを 開きます。ツールを使用する場合は、補 正ボックス交換手順を参照してください。
注文用当社部品番号: 003-1892-00
調整ツール
このツールを使用して、補正ボックスの 調整用コントロールを操作します。使用 方法については、調整手順を参照してく ださい。
注文用当社部品番号: 003-1433-02
28 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
Page 47
オプション
サービス・オプション
オプション CA1。1 回の校正作業を保証
オプション C3。 3 年間の校正サービス
オプション C5。 5 年間の校正サービス
オプション D1。校正データ・レポート
オプション D3。 3 年間の校正データ・レポート(オプション C3 付き)
オプション D5。 5 年間の校正データ・レポート(オプション C5 付き)
オプション R3。 3 年間の修理サービス
オプション R5。 5 年間の修理サービス
マニュアルのオプション
オプション L0。英語版取扱説明書
オプション L5。日本語版取扱説明書
オプション L7。簡体中国語版取扱説明書
アクセサリとオプション
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 29
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プロービングの原理
プロービングの原理
次の情報により、電流プローブが持つ性能を最大限に引き出せます。
開口部内に非通電の導体を入れた状態でのプローブの消磁
電源の入っていない回路の導体を開口部にクランプした状態で、電流プローブを消磁できます。電源の入って いない回路で消磁する利点は、漂遊 DC 磁界から生じるすべてのオフセットが補正されることです。プローブの 開口部内に導体を入れて消磁すると、プローブを手動で取り外す必要がなくなります。
注: プローブの開口部内の導体が、完全に非通電であることを確認してください。導体に電流が流れていると、電
流プローブ内に残留オフセットが発生し、測定値が不正確になったりエラー状態を引き起こす可能性があります。
消磁手順を実行するには、回路のインピーダンスが 10 mΩ 以上である必要があります(プローブのコアは、10 mΩ 未満の回路インピーダンスでは飽和しません)。消磁中は、プローブにより、電源の入っていない回路内に 60 mV、200 Hz の信号が誘導されます。回路で、この誘導電圧を吸収できる必要があります。低インピーダンス の回路では、測定中の回路に数アンペアの電流が誘導されることがあります。非常に小さい導体を使用している 場合は、この現象が問題になる場合があります。
30 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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差動電流の測定
差動電流あるいはゼロ電流の測定を簡 略化するには、1 つの電流プローブ内 に 2 つの導体を置きます。
注意: プローブ・ヘッドへの損傷防止
のため、スライドは無理に閉じないでく ださい。プローブが損傷する恐れがあり ます。導体を覆うスライドを閉めることが できない場合は、測定する導体の数を 減らすか、可能な場合は、小さな導体で 測定してください。
注意: 火災の危険防止のため、異なる
ソースの導体を複数使用している場合 は、すべての導体が互いに適切に絶縁 されていることを確認してください。
プロービングの原理
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 31
Page 50
プロービングの原理
1. 2 つの被測定導体は、極性(+ およ び -)が互いに反対になるように配 置します。
2. 2 つの導体に電流プローブをクラン プします。プローブの開口部内の導 体を傷付けないように注意します。
3. 電流 を測定します。 一般的な電流の方向は正から負で
す。ベースラインより上に波形が存 在する場合は、電流の方向がプロー ブの矢印の向きと一致する導体に、 より大きな電流が流れています。
32 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
Page 51
4. 電流をゼロに調整するには、導体の
1 つに流れる電流を調整して、表示 される測定値をゼロにします。
電流範囲の拡張
測定値が接続されたプローブの最大電流定格を超える場合は、次の手法を使用して、指定された制限を越える ことなく AC および DC 電流範囲を拡大できます。
警告: 負傷や機器の損傷防止のため、プローブや装着可能なすべてのアクセサリについて、指定され
た電気的制限値を超えないようにしてください。複数の導体を使用する場合は、どの導体でも電流の制 限値を超えないようにします。
プロービングの原理
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 33
Page 52
プロービングの原理
DC 範囲の拡張
安定状態にある非常に大きな DC 成分(電源内など)に重畳された低振幅の AC 成分を測定する場合、ま たはプローブの DC 電流の範囲を拡張する場合は、もう 1 つの導体を使用してオフセット(バッキング)電流 を追加できます。
バッキング電流を追加で供給する方法 は、次のとおりです。
1. プローブの開口部内に、既知の DC 成分を持つもう 1 つの導体を、被測 定導体と共に置きます。
2. 追加する導体は、バッキング電流が 被測定導体の DC の流れと逆向き に流れるように置きます。
3. 測定値を求めるには、表示される測 定値にバッキング電流の値を加え ます。
注: プローブに導体を追加すると、挿入インピーダンスが増加して、プローブの帯域幅の上限値が低下します。
さらに複数回巻くと、挿入インピーダンスが増加して、帯域幅の上限値がさらに低下します。
34 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
Page 53
バッキング電流の値を増加するには、 追加導体をプローブに複数回巻き付 けます。
バッキング電流は、追加導体を流れる 電流にプローブに巻き付けた回数を乗 算した値と等しくなります。
たとえば、100 mA DC の電流を持つ追 加導体をプローブに 5 回巻き付けた場 合、DC バッキング電流は 100 mA に 5 を乗算した 500 mA DC になります。
プロービングの原理
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 35
Page 54
プロービングの原理
感度の拡張
非常に小さい振幅のDC または低周波 AC 信号を測定する場合に電流プロー ブの測定感度を拡張する方法は、次の とおりです。
1. 図のように、プローブに被測定導体 を数回巻き付けます。信号の電流値 は、プローブに巻き付けた回数倍に なります。
2. 実際の電流値を求めるには、表示さ れる振幅を巻数で除算します。
たとえば、導体をプローブに 5 回巻 き付け、オシロスコープが 5 mA DC の読み値を示した場合、実際の電流 は 5 mA を 5 で除算した 1 mA DC です。
注: プローブへの巻数を増やすと、挿入インピーダンスが増加して、プローブの帯域幅の上限値が低下します。
36 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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コモン・モード・ノイズ/磁場エラー
高周波数でのコモン・モード・ノイズお よび回路の電源側での強力な磁界は、 測定エラーの原因になる可能性がありま す。これを防ぐには、以下を実行します。
1. 回路のロー側、つまり接地側で測定
します。
2. プローブの向きを一般的な電流の
方向(正から負)に合わせて測定し ます。
プロービングの原理
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 37
Page 56
プロービングの原理
AC/DC カップリング
DC カップリングまたは AC カップリングのいずれかを使用して、信号をオシロスコープに入力できます。 DC カップリングは、DC および AC の両成分を測定して表示します。AC カップリングは、表示される信号 から DC 成分を除去します。
1. 図の低周波数の方形波は、AC カッ プリングを使用して表示されていま す。この信号は低周波数ロールオフ を示しています。
2. DC Coupling ボタンを押して、表示 される波形をきれいな方形波にしま す。
警告: 負傷やプローブの損傷防止のた
め、AC カップリングを使用する場合は、 入力 DC 電流がプローブの仕様を超え ないようにしてください。
38 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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最大電流の制限値
電流プローブには、パルス電流、連続電流、および電流時間積の 3 つの最大電流定格があります。これらの定 格のいずれかを超えると、プローブ・コアは飽和して磁気を帯び、測定エラーの原因になります。プローブの最大 電流定格については、仕様を参照してください。 (45 ページの 表 2 参照)。
プロービングの原理
最大パルス電流(I
)は、(帯域幅
maxP
の制限値内であれば)パルス幅に 関係なくプローブが正確に測定でき るパルス電流の最大ピーク値を指 します。
最大連続電流(I
)は、DC または
maxC
指定した AC 周波数で連続的に測 定できる最大電流を指します。最大 連続電流値は、周波数に応じて低 下します。周波数が大きくなると、最 大連続電流定格は下がります。
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 39
Page 58
プロービングの原理
電流時間積は、パルス振幅が最大 連続電流と最大パルス電流の仕様 値の間にある場合に、測定可能な パルス電流の最大幅です。最大連 続電流の仕様値は周波数によって 変化します。
測定値が電流時間積を超えている場合 には、次のセクションで説明するように、 まず最大許容パルス幅または最大許容 パルス振幅を決定します。
注: プローブの最大連続電流、最大パルス電流、または電流時間積の定格を超える電流を測定した後には、必
ずプローブを消磁してください。これらの定格を超えるとプローブは磁気を帯び、測定エラーの原因になります。
40 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
Page 59
最大許容パルス幅
最大許容パルス幅を決定するには、次 を実行します。
1. パルスのピーク電流を測定します。
2. TCP0150 型プローブのレンジ設定
に対する電流時間積(アンペア・マイ クロ秒)の仕様値を、測定されたパル スのピーク電流で除算します。
商の値が、最大許容パルス幅
(PW
)になります。
max
3. 測定された信号の 50% ポイントにお
けるパルス幅が、計算した最大許容 パルス幅(PW 認します。
)より小さいことを確
max
プロービングの原理
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 41
Page 60
プロービングの原理
最大許容パルス振幅
最大許容パルス振幅を決定するには、 次を実行します。
1. 50% ポイントにおけるパルス幅を測 定します。
2. TCP0150 型プローブのレンジ設定 に対する電流時間積(アンペア・マ イクロ秒)の仕様値を、パルス幅で 除算します。
商の値が、最大許容パルス振幅で す。測定パルスのピーク振幅は、こ の値より小さくなければなりません。
たとえば、TCP0150 型プローブは 150 A のレンジ設定で最大 15,000 A-μs の電 流時間積を持ちます。プローブで測定さ れたパルスが 40 μs の幅を持つ場合、 最大許容ピーク電流は 15,000 A-μs を 40 μs で除算して、375 A になります。
42 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
Page 61
仕様
仕様
表 1 ~ 5 の仕様は、次の条件の下で有効です。
プローブが環境温度 23 ℃ ±5 ℃ で校正済みである。
プローブが、入力インピーダンス 1 MΩ でホスト機器に接続されている。
プローブが、記載されている許容値を超えない環境に設置され、少なくとも 20 分間ウォーム・アップさ
れている (表 3 参照)。
TCP0150 型電流プローブの仕様は、保証特性、代表特性、および公称特性の 3 つのカテゴリに分類されます。
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 43
Page 62
仕様
保証特性
保証特性とは、許容限界または一定のタイプ・テスト要件の範囲内で保証されている性能です。「性能検査」 セクションでチェックする保証特性には、
表 1: 保証電気特性
特性 説明
DC ゲイン確度 <3%(代表値 <1%(+23 ℃ ±5 ℃ の場合))
立上り時間(10% ~ 90%)
帯域幅(算出値)
マークが付いています。
≦17.5 ns DC ~ 20 MHz
44 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
Page 63
代表特性
代表特性とは、代表値であり保証されていない性能です。
表 2: 代表的な電気特性
特性 説明
最大連続電流 — DC および低周波 数(図 3 参照)。
最大ピーク電流(図 3 参照)。 500 A(最大ピーク・パルス) 表示 RMS ノイズ
挿入インピーダンス
信号遅延
裸線での最大電圧
最大電流時間積(49 ページのグ ラフを参照。)
仕様
25 A レンジ:25 A RMS 150 A レンジ :150 A RMS コントロール・ボックスは、 40 ℃を超えると 100 A RMS に低下
≦500 µA RMS。(限界測定帯域幅 20 MHz の場合) (図 2 参照)。 ~21ns
600 V RMS CAT II、300 V RMS CAT III
25 A レ ンジ:3,000 A·µs 150 A レンジ :15,000 A·µs
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 45
Page 64
仕様
図 1: 周波数ディレーティング(ピーク電流と周波数の関係)
46 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
Page 65
図 2: 代表的な差動入力インピーダンスと周波数の関係
仕様
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 47
Page 66
仕様
図 3: 最大ピーク・パルスとパルス幅の関係
48 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
Page 67
表3: 環境特性
特性 説明
温度 動作時:0 ~ +50 ℃(+32 ~ +122 ゚F )
非動作時:-40 ~ +75 ℃(-40 ~ +167 ゚F)
湿度 動作時:相対湿度 5 ~ 95%、+30 ℃(+86 ゚F)以下でテスト
相対湿度 5 ~ 85%、+30 ℃ ~ +50 ℃(+86 ゚F ~ +122 ゚F)でテスト 非動作時:相対湿度 5 ~ 95%、+30 ℃(+86 ゚F)以下でテスト
相対湿度 5 ~ 85%、+30 ℃ ~ +75 ℃(+86 ゚F ~ +167 ゚F)でテスト
高度 動作時:2,000 m(6,560 フィート)以下
非動作時:12,192 m(40,000 フィート)以下
表 4: 代表的な機械特性
特性 説明
寸法、補正ボックス
寸法、プローブ・ヘッド 268 mm × 40.5 mm × 156 mm (10.5 インチ × 1.6 インチ × 6.13
寸法、ケーブル長
質量
107 mm × 41 mm × 30.5 mm (4.2 インチ × 1.6 インチ × 1.2 インチ)
インチ)
2m(79インチ)(プローブ・ヘッドから補正ボックスまで)
1.45 kg(3.2 ポンド)(プローブ、アクセサリ、および梱包材)
仕様
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 49
Page 68
仕様
図4: プローブの寸法
50 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
Page 69
公称特性
公称特性は保証されている特性ですが、この特性には許容限界がありません。
表 5: 公称電気特性
特性 説明
入力カップリング 電流範囲
ターミネーション
互換性
規格と承認
EC 適合宣言(低電圧)
『Official Journal of the European Communities』に記載されている次の基準に準拠します。
低電圧指令 2006/95/EC。
EN 61010-1:2001:測定、制御、および研究用途の電子装置に対する安全基準。
EN 61010-2-032:2002:電気計測および試験機器用のハンドヘルド電流クランプに対する特定要求事項。
仕様
DC
25 A および 150 A
1MΩへの終端出力
TekVPI インタフェースを搭載したオシロスコープ
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 51
Page 70
仕様
米国の国家認定試験機関のリスト
UL 61010B-1:2003:電気計測および試験用機器の規格。
UL 6010B-2-032:2003:電気計測および試験機器用のハンドヘルド電流クランプに対する特定要求事項。
カナダ規格
CAN/CSA C22.2 No. 1010.1:1997:測定、制御、および研究用途の電子装置に対する特定要求事項。第 1部。
CAN/CSA C22.2 No. 1010.2.032-96:電気計測および試験用ハンドヘルド電流クランプに対する特定 要求事項。
その他の規格
IEC 61010-1:2001:測定、制御、および研究用途の電子装置に対する安全基準。
IEC 61010-2-032:2002:電気計測および試験機器用のハンドヘルド電流クランプに対する特定要求事項。
52 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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機器の種類
測定機器。
安全クラス
Class 1:アース付き製品。
汚染度の説明
製品内およびその周辺で発生する可能性がある汚染度の測定単位です。通常、製品の内部環境は外部環境と 同じとみなされます。製品は評価対象となった環境でのみ使用してください。
汚染度 1:汚染なし、または乾燥した非伝導性の汚染のみが発生します。このカテゴリの製品は、通常、被包
性、密封性のあるものか、クリーン・ルームにあるものです。
汚染度 2:通常、乾燥した非伝導性の汚染のみが発生します。ただし、まれに結露によって一時的な伝導性 が発生することは避けられません。これは、標準的なオフィス/家庭環境で発生します。一時的な結露 は、製品非動作時にだけ発生します。
汚染度 3:伝導性のある汚染、または結露のために伝導性のある汚染となる乾燥した非伝導性の汚染。温度、 湿度のいずれも制御されていない屋内で発生します。直射日光、雨、直風からは保護されている領域です。
汚染度 4:伝導性のある塵、雨、または雪により持続的に伝導性が生じている汚染。一般的に屋外です。
仕様
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 53
Page 72
仕様
汚染度
汚染度 2(IEC 61010-1 で定義)。注:評価対象は屋内用途のみ。
測定(過電圧)カテゴリの説明
この製品には、異なる測定(過電圧)カテゴリが指定されている場合があります。測定カテゴリは、次のとおりです。
測定カテゴリ IV:低電圧ソースのインストレーションで実施する測定用。
測定カテゴリ III:建屋内インストレーションで実施する測定用。
測定カテゴリ II:低電圧インストレーションに直接接続された回路で実施する測定用。
測定カテゴリ I:主電源に直接接続されていない回路で実施する測定用。
測定カテゴリ
測定カテゴリ II(IEC 61010-1 で定義)。
54 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
Page 73
ユーザ・メンテナンス
このセクションでは、使用に関する問題の解決方法およびプローブの手入れ方法について説明します。
オシロスコープのファームウェア
一部の LED または機能が正常に動作していないと思われる場合は、まず、www.tektronix.com/software にアク セスし、プローブとオシロスコープの互換性を確認し、オシロスコープの最新のファームウェアをダウンロードしま す。ファームウェアのアップグレードに関連するリリース・ノートなどの情報に目を通し、このバージョンのファーム ウェアを使用する場合に、使用しているプローブとオシロスコープの組み合わせに存在する可能性がある異常 について調べます。当社の機器の性能および機能を向上する新しいファームウェアのバージョンがないか、 Web サイトを定期的に確認することをお勧めします。
トラブルシューティング
プローブの LED は、プローブに影響を与えるエラーまたはステータスの状態を通知します。ホストのオシロ スコープに最新のファームウェアがインストールされているのにプローブの LED が適切に点灯しない場合、 またはプローブの一部の機能が正常に動作しない場合は、エラー状態が存在する可能性があります。次の 表を参照してください。
ユーザ・メンテナンス
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 55
Page 74
ユーザ・メンテナンス
症状
プローブの LED が点灯し ない。
オシロスコープ上に、エ ラー・メッセージが表示さ れる。
クリーニング
注意: スプレーや液体、溶剤に接触させないでください。プローブが損傷する可能性があります。外面をク
リーニングしているときにプローブ内部が湿らないようにしてください。
プローブは、厳しい気候条件から保護する必要があります。このプローブは防水加工されていません。
化学薬品の洗浄剤を使用しないでください。プローブを損傷する恐れがあります。ベンジン、ベンゼン、トルエ ン、キシレン、アセトンまたはこれに類似する溶剤を含有する化学薬品を使用しないでください。
プローブの外部表面のクリーニングには、乾いた無塵布か柔らかい毛ブラシを使用してください。汚れが落ちな い場合は、75% のイソプロピル・アルコール溶剤をしみこませた柔らかい布または綿棒を使用し、純水で拭きとっ てください。綿棒はプローブの狭い場所のクリーニングに便利です。綿棒や布は十分な溶液で湿らせて使用して ください。研磨剤は、プローブのどの部分にも使用しないでください。
推定原因
オシロスコープのチャンネルが故障している可能性があります。別のチャンネル、 または別のオシロスコープを使用してみてください。それでもプローブが動作しな い場合はプローブに欠陥があるため、当社に返送して修理する必要があります。
メッセージは、エラーの原因と解決方法を示します。たとえば、"Degauss Needed" というメッセージが表示される場合は、消磁の手順を実行します。
56 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
Page 75
性能検査
警告: 次の保守点検に関する説明は、資格のあるサービス担当者のみを対象としています。負傷を避けるため
に、認定されていない限り、操作説明書に記載されている以外の保守点検は行わないでください。保守点検を実 行する前に、「安全にご使用いただくために」および「安全に保守点検していただくために」を参照してください。
次の手順を使用して、下に示すプローブの保証仕様を検査します。推奨される校正間隔は 1 年間です。
DC ゲイン確度
立上り時間
帯域幅
記載順に、次の検査手順を実行します。
性能検査
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 57
Page 76
性能検査
必要な機器
「性能検査」の手順を実行するために必要な機器を表 6 に示します。
表6:測定機器
説明と数量 性能要件 推奨例
オシロスコープ
高振幅パルス・ゼネレータ 立上り時間 <1 ns、パルス幅 >100 ns、振幅
校正器
デジタル・マルチメータ (DMM)
TekVPI 校正/検証アダ プタ
DC 電流ループ
HF 電流ループ 50 Ω±0.5%、BNC オス型
BNC - デュアル・バナナ・ アダプタ
58 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
500 MHz 以上の帯域幅、TekVPI インタフェー ス
>10Vpp(50Ωの場合)
DCA:0.25% 確度、0 ~ ±10 A ACA:0.25% 確度、0 ~ ±7.5 A、方形波出力
DCV:0.2% 確度
TekVPI インタフェース
76 mm(3 インチ)円筒形、5 回巻きの 18 AWG 被覆線
Tektronix DPO4000 シリーズ
Picosecond Labs 2600C
Fluke/Wavetek 9100 w/Options 100 and 250 or 600
Keithley 2700
次の手順を参照
015-0601-50 103-0090-00
1
Page 77
性能検査
説明と数量 性能要件 推奨例
SMA M - BNC F アダプタ
BNCケーブル 50Ω、0.76m(30インチ)長
1
9 桁の部品番号(xxx-xxxx-xx)は、当社の部品番号です。
015-0554-00
012-0117-00
1
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 59
Page 78
性能検査
DC 電流ループの作成
No. 18 被覆線および直径が約 76 mm(3 インチ)の円筒を使用し、ループを作成します。
1. No. 18 被覆線を型の周囲に正確 に5回巻きます。
2. 導線の両端の被覆を 1 cm(半イン チ)程度はがします。
注: 電流ループが正確に 5 回巻かれて
いることを確認します。巻数が異なって いると、重大なエラーを引き起こします。
60 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
Page 79
機器のセットアップ
次の手順に従って、プローブを検査するための機器のセットアップとウォーム・アップを実行します。
1. オシロスコープの電源をオンにしま
す。
2. オシロスコープの任意のチャンネル
(1 ~ 4)にプローブを接続します。
3. Degauss/AutoZero ボタンを押しま
す。
4. DMM、電流源、およびパルス・ゼネ
レータの電源をオンにします。
5. 機器を 20 分間ウォーム・アップしま
す。
6. 検査記録をコピーして、検査結果を
記録するのに使用します。 (68 ペー ジ参照)。
性能検査
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 61
Page 80
性能検査
DC ゲイン確度
このテストでは、プローブの DC ゲイン確度をチェックします。測定値が検査記録に指定されている制限値から外 れている場合は、「調整」セクションを参照してください。 (69 ページ参照)。
1. BNC - デュアル・バナナ・アダプタを DMM 入力に接続します。
2. SMA M - BNC F アダプタを TekVPI 校正/検証アダプタの SMA 出力に 接続します。
3. TekVPI 校正/検証アダプタの BNC アダプタと DMM に取り付けられてい る BNC アダプタを BNC ケーブルで 接続します。
4. TekVPI 校正/検証アダプタをオシ ロスコープの任意のチャンネル(1 ~ 4)に接続します。
5. プローブを TekVPI 校正/検証アダ プタに接続します。
62 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
Page 81
6. 電流プローブを導体にクランプしな
いでください。ただし、開口部は閉 じてロックされていることを確認して ください。
7. プロ ーブの Degauss/AutoZero ボ
タンを押します。Degauss/AutoZero ルーチンが終了するのを待ってか ら、次に進みます。インジケータ・ラ イトが緑色に点灯した時点で、ルー チンは完了です。
8. 図のように、電流プローブを 5 回巻
きの電流ループにクランプします。 適切な極性を維持します。プローブ の矢印が、電流源のプラス端子の逆 方向を指すようにします。
9. プローブのレンジを 25 A に設定し
ます。
10. 電流源の出力を +2.50 A に設定し
ます。
11. 電流源の出力を有効にします。
性能検査
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 63
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性能検査
12. デジタル・マルチメータの正確な測 定値を M1 として記録します。
13. 電流源の出力を -2.50 A に設定し ます。
14. デジタル・マルチメータの正確な測 定値を M2 として記録します。
15. 測定した振幅値と右の公式を使用し て、%エラーを計算します。
たとえば、M1 の測定値が 2.475 V、 M2 の測定値が -2.495 V であると します。予想出力電圧(Ve)が 2.5 V の場合、%エラーは次のように算 出します。
16. プローブのレ ンジを 150 A に設定 します。
17. 検査電流を +/-10.0 A にして 150 A レンジについてステップ 9 ~ 15 を 繰り返します。
18. 校正器の出力を無効にします。
5 A レンジ:
2
検査電流 = +/-2.50 A 予想出力電圧(Ve) = 2.5 V
1
50 A レン ジ:
検査電流 = +/-10.0 A 予想出力電圧(Ve) = 1.0 V
(例:
64 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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立上り時間と帯域幅
この手順では、プローブが立上り時間の仕様を満たしていることを確認します。プローブの帯域幅は、測定され たプローブの立上り時間を使用して計算します。
性能検査
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 65
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性能検査
1. BNC ケーブルをパルス・ゼネレータ の出力に接続します。
2. BNC ケーブルのもう 1 つの端を HF 電流ループに接続します。
3. パルス・ゼネレータの出力およびパ ルス幅を最大に設定します。
4. オシロスコープを次のように設定し ます。
垂直軸:250 mA/div、水平軸: 10 ns/div
トリガ位置:50%、アベレージング 回数: 32
カップリング: DC
自動測定で立上り時間を表示
5. プローブをオシロスコープのチャン ネル(1 ~ 4)のいずれか 1 つに直 接接続します。
66 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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6. プローブのレンジを 25 A に設定し
ます。
7. プローブを消磁します。
8. 電流プローブを HF 電流ループにク
ランプします。プローブの矢印が、パ ルス・ゼネレータの逆方向を指して いるか確認します。
9. 立上り時間の測定値を、検査記録に
記録します。
注: 立上り時間の測定値が予測値よりも
高い場合は、オシロスコープのファーム ウェアのバージョンを確認してください。 (55 ページ 「オシロスコープのファーム ウェア」 参照)。古いバージョンのファー ムウェアでは帯域幅制限フィルタが使用 されている場合があるので、立上り時間 の測定値が不正確になります。
10. 右の公式に立上り時間の測定値を
代入し、プローブの帯域幅を計算 します。
性能検査
11. 計算した帯域幅の値を検査記録に
記録します。
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 67
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性能検査
検査記録
プローブのモデル/シリアル番号: 温度: 校正日:
性能試験
DC ゲイン確 度
立上り時間
帯域幅
範囲
25 A 150 A 25 A ~ 1 A
25 A
検査電 流
±12.5 A ±50.0 A
なし なし
検査証番号: 相対湿度 %: 検査者:
校正器の出 力
2.50 A 2.5 V -3% +3%
10.0 A 1.0 V -3% +3% < 500 ps < 17.5 ns
必要とされ る出力値
>20 MHz
最小 入力 出力 最大
なし
20 MHz
17.5 ns
なし
68 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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調整
次の手順では、プローブの DC ゲイン確度を調整して保証仕様内の性能を維持する方法を説明します。
必要な機器
必要な機器については、「性能検査」の手順を参照してください。絶縁性調整ツールも必要です。 (28 ページ 「調整ツール」 参照)。
機器のセットアップ
機器のセットアップについては、「性能検査」の手順を参照してください。
注意: 静電気(ESD)によりプローブが損傷するのを防止するために、プローブを取り扱うときは、帯電防止リスト・
ストラップを着用し、静電気防止措置が施された作業台で作業してください。
調整
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 69
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調整
DC ゲイン確度
この手順では、25 A および 150 A のレンジ設定でのプローブの DC ゲイン確度の調整方法について説明します。
25 A レンジの調整
1. 「性能検査」手順の「DC ゲイン確 度」の検査のステップ 1 ~ 8 を完了 します。 (62 ページ 「DC ゲイン確 度」 参照)。
2. プローブのレンジを 25 A に設定し ます。
3. 電流源を次のように設定します。
40 Hz 方形波
1.0 A AC 出力
4. 電流源の出力を有効にします。
5. プローブの 25 A ゲインを調整し、 DMM の表示が 1.000 V、+/- .005 V になるようにします。
70 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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150 A レンジの調整
6. プローブのレンジを 150 A に設定
します。
7. 校正器の出力を 7.5 A に設定しま
す。
8. プローブの 150 A ゲインを調整し、
DMM の表示が 750 mV、+/-3 mV になるようにします。
9. プローブを電流源から取り外します。
調整
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 71
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修理
修理
警告: 感電やプローブ損傷の危険を減らすため、部品の分解/再組み立て、修理/交換などのサービス手順
はすべて、資格のあるサービス担当者が行う必要があります。
プローブの修理
下記のサブ・アセンブリは、プローブ上で交換できます。交換の手順は、次ページ以降で説明します。
交換部品 使用する手順
トランスフォーマ
回路基盤アセンブリ
ケーブル
補正ボックス 補正ボックスの交換
スイッチ・パネル
プローブ・ヘッドの分解、トランスフォーマの交換
プローブ・ヘッドの分解、ケーブル/回路基板アセンブリの交換、
補正ボックスの交換
プローブ・ヘッドの分解、ケーブル/回路基板アセンブリの交換、
補正ボックスの交換
補正ボックスの交換
72 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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必要な機器
修理の手順を実行するには次の機器が必要です。
ツール 説明
ドライバ
はんだごて 洗浄剤 イソプロピル・アルコール 潤滑剤 シリコン・グリス
補正ボックス・セパレータ
1
ケーブル、スイッチ・パネル、および補正ボックスの交換手順で必要
プローブの分解
次の手順では、プローブの分解およびコンポーネントの交換方法について説明します。
警告: 感電やプローブ損傷の危険を減らすため、部品の分解/再組み立て、修理/交換などのサービス手順
はすべて、資格のあるサービス担当者が行う必要があります。
修理
3/32 アレン・ビット 25 W
1
注文する場合は、当社部品番号: 003-1892-00 (28 ページ 「補正
ボックス・ツール」 参照)。
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 73
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修理
プローブ・ヘッド
1. プローブのスライドのロックを解除 します。
2. ネジ頭を上に向けてプローブを平ら な面に置きます。
3. 3/32 インチのアレン・レンチを使用 し、ケースから 8 本の固定ネジを取 り外します。
4. ケースを半分ずつに分離し、スライド を取り外します。
74 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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警告: 負傷の危険を減らすため、プ
ローブを分解する際は注意してくださ い。握りハンドルのスプリングは、張力 がかかっているので、飛び出す可能性 があります。
1. 図のように、ケーブルをプローブの
ハンドルから持ち上げて外し、ペン チをハンドルに挿入します。
2. ペンチをしっかり握りしめながら、握
りハンドルを持ち上げてプローブか ら取り外します。
修理
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 75
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修理
トランスフォーマ
1. 電流トランスフォーマを取り外すに は、図のように、アセンブリを持ち上 げてプローブから外します。
2. 回路基盤からトランスフォーマを取り 外します。
76 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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回路基盤
回路基盤およびケーブルは、個別に交 換できます。
1. 前の手順で説明したように、トランス
フォーマを取り外します。
2. 回路基盤を取り外すには、ケーブル
を基盤に固定しているケーブル・タ イを切断します。
3. ケーブルを回路基盤から取り外しま
す。
プローブを再組み立てする場合は、基盤 およびケーブルをプローブのケースに取 り付けるまで新しいケーブル・タイを締め ないで、適切に取り付けられるよう、ケー ブルの長さを十分に確保してください。
修理
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 77
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修理
ケーブル
1. 前の手順で説明したように、トラン スフォーマおよび回路基盤を取り外 します。
2. スイッチのワイヤ 2 本のはんだを取り 除きます。
3. 「補正ボックス」の手順を実行して、 ケーブルを補正ボックスから取り外し ます。 (79 ページ参照)。
4. ケーブルを交換してからプローブを 再組み立てするには、この手順のス テップ 1 ~ 3 までを逆に実行しま す(次の注意:を参照)。
注意: プローブ内部のワイヤの損傷を防止するために、本体の下半分内のワイヤを注意して調整し、スライド・
アセンブリに接触しないようにします。
スイッチ接触部の損傷を防止するため、スライドをプローブ本体に取り付ける場合は注意してください。スイッチ 接触部の位置合わせは、正確に行ってください。
78 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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補正ボックス
1. セパレータ・ツールを 4 つの穴に挿
入して、補正ボックスの前部を本体 から切り離します。
2. ツールとボックスの前部をまとめて片
手でしっかり持ちます。もう一方の 手で本体を持ち、前部と本体を静か に引き離します。
3. セパレータ・ツールのタブを使用し
て、ケーブル・カバーを補正ボックス の後部から取り外します。
修理
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 79
Page 98
修理
4. 補正ボックスのエンクロージャを半 分に分離します。
5. スイッチ・パネルの交換のみを行う 場合は、メイン・アセンブリから金属 シールドを取り外します。
6. コネクタを開放してパネル・ケーブル を取り外し、ケーブルを交換した後、 補正ボックスを再組み立てします。
7. ケーブルまたは補正ボックスを交換 する場合は、ケーブル・コネクタを 外します。
8. この手順を逆に実行して、新しい ケーブルまたは補正ボックスを取り 付けます。ケーブルを交換する場合 は、「ケーブル」および「回路基板」 の手順も参照して、ケーブルの交換 を完了します。
80 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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再組み立て
1. プローブ本体を再組み立てする前に、次の項目を確認してください。
a. 固定コア・ピースと可動コア・ピースの間の隙間に汚れがないこと。必要に応じて、イソプロピル・アルコー
ルまたは類似の洗浄剤を使用して、コア・ピースをクリーニングします。
b. スライド・スイッチの接触部に汚れがないこと(必要に応じて洗浄)。
c. プラスチック製スライド・アセンブリには潤滑油が塗ってあります。必要に応じて、シリコン・グリスを少な
めに塗ります。
2. プローブ・ヘッドの分解手順のステップ 1 および 2 を逆に実行して、プローブ本体を再組み立てします。
(73 ページ 「プローブの分解」 参照)。
注意: プローブ内部のワイヤの損傷を防止するために、本体の下半分内のワイヤを注意して調整し、スライド・
アセンブリに接触しないようにします。
スイッチ接触部の損傷を防止するため、スライドをプローブ本体に取り付ける場合は注意してください。スイッチ 接触部の位置合わせは、正確に行ってください。
2 本のネジを締めたあとでスライダが滑らかに動作しない場合は、ネジを少し緩めます。
修理
TCP0150 型電流プローブ取扱説明書 81
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修理
交換部品
このセクションでは、プローブの交換部品のリストを示します。このリストを使用して交換部品を識別し、ご注 文ください。
部品注文情報
交換部品は最寄りの当社営業所から注文することができます。
改良された部品が使用可能になると、それに対応して当社の機器に変更が行われることがあります。これにより、 最新の回路改良によるメリットを受けることができます。したがって、部品を注文する場合は、注文に次の情 報を入れることが重要です。
部品番号
機器のタイプまたはモデル番号
機器のシリアル番号
機器の改修番号(適応されている場合)
82 TCP0150 型電流プローブ取扱説明書
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