Tektronix TCP0030 User manual

TCP0030 120 MHz、30 A AC/DC 電流プローブ
取扱説明書
www.tektronix.com
071-1813-00
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保証 2
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この保証は、明示的または黙示的な他のあらゆる保証の代わりに、製品に関して Tektronix がお客様に対して提供するもので す。 当社およびそのベンダは、商品性または特定目的に対する適合性についての一切の黙示保証を否認します。 欠陥製品を 修理または交換する当社の責任は、本保証の不履行についてお客様に提供される唯一の排他的な法的救済となります。 間接損害、特別損害、付随的損害または派生損害については、当社およびそのベンダは、損害の実現性を事前に通知さ れていたか否かに拘わらず、一切の責任を負いません。
目次
目次
安全にご使用いただくために.............................................................................. v
安全に保守点検していただくために . ..................................................................... vii
環境条件について .. . ................................................................................... viii
まえがき.................................................................................................. x
マニュアル ........................................................................................... x
このマニュアルで使用される表記規則 ................................................................. x
修理のためのプローブの返送 ........................................................................ xi
主要な機能............................................................................................... 1
取り付け.................................................................................................. 3
ホスト機器への接続................................................................................... 3
プローブの消磁 ...................................................................................... 4
プローブ・コントロールとインジケータ................................................................... 6
機能チェック............................................................................................. 11
基本操作................................................................................................ 13
アプリケーション例 ....................................................................................... 16
インダクタンス測定................................................................................... 17
インダクタの巻数の測定.............................................................................. 20
アクセサリとオプション.................................................................................... 22
スタンダード・アクセサリの使用 ....................................................................... 22
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 i
目次
オプショナル・アクセサリ ............................................................................. 25
オプション........................................................................................... 28
プロービングの原理...................................................................................... 29
ジョー内の電源が入っていない導体を使ってプローブを消磁する ...................................... 29
差動電流を測定する................................................................................. 30
電流範囲の拡大..................................................................................... 32
感度を拡大する ..................................................................................... 35
コモン・モード・ノイズ/磁界エラー ................................................................... 36
AC/DCカップリング ................................................................................. 37
最大電流の制限値 .................................................................................. 38
仕様 .................................................................................................... 42
保証特性 ........................................................................................... 43
代表特性 ........................................................................................... 44
公称特性 ........................................................................................... 50
基準認可と準拠 ..................................................................................... 50
性能検査................................................................................................ 53
必要な機器 ......................................................................................... 54
DC 電流ループの作成............................................................................... 55
機器のセットアップ................................................................................... 56
DC ゲイン精度 ...................................................................................... 57
立上り時間と帯域幅 ................................................................................. 63
検査記録 ........................................................................................... 66
ii TCP0030 電流プローブ取扱説明書
目次
調整 .................................................................................................... 67
必要な機器 ......................................................................................... 67
機器のセットアップ................................................................................... 67
DC ゲイン精度 ...................................................................................... 68
保守 .................................................................................................... 70
トラブルシューティング ............................................................................... 70
清掃 ................................................................................................ 71
プローブの修理 ..................................................................................... 71
プローブ・ヘッドの分解 .............................................................................. 73
交換 ................................................................................................ 76
再組み立て ......................................................................................... 81
交換部品 ........................................................................................... 82
索引
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 iii
目次
iv TCP0030 電流プローブ取扱説明書
安全にご使用いただくために
人体への損傷を避け、本製品や本製品に接続されている製品への損傷を防止するために、次の安全性に関す る注意をよくお読みください。
安全にご使用いただくために、本製品の指示に従ってください。
資格のあるサービス担当者以外は、保守点検手順を実行しないでください。
火災や人体への損傷を避けるには
接続と切断は正しく行ってください。 プローブと検査リードは、電圧ソースに接続されている間は接続または
切断しないでください。
接続と切断は正しく行ってください。 被測定回路の電源を切ってから、電流プローブの接続あるいは切断を
行ってください。
接続と切断は正しく行ってください。 プローブ出力を測定機器に接続してから、プローブを被測定回路に接続
してください。 被測定回路にプローブの基準リードを接続してから、プローブ入力を接続してください。 プローブ 入力とプローブの基準リードを被測定回路から切断した後で、プローブを測定機器から切断してください。
すべての端子の定格に従ってください。 火災や感電の危険を避けるために、本製品のすべての定格とマーキン
グに従ってください。 本製品に電源を接続する前に、定格の詳細について、製品マニュアルを参照してください。
電流プローブを、その定格電圧を超える電圧がかかっている電線に接続しないでください。
カバーを外した状態で動作させないでください。 カバーやパネルを外した状態で本製品を動作させない
でください。
安全にご使用いただくために
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 v
安全にご使用いただくために
障害の疑いがあるときは動作させないでください。 本製品に損傷の疑いがある場合、資格のあるサービ
ス担当者に検査してもらってください。
回路の露出を避けてください。 電源がオンのときに、露出した接続部分やコンポーネントに触れないでください。
湿気の多いところでは動作させないでください。
爆発しやすい環境では動作させないでください。
製品の表面を清潔で乾燥した状態に保ってください。
本マニュアル内の用語
本マニュアルでは、次の用語を使用します。
警告: 「警告」では、怪我や死亡の原因となる状態や行為を示します。
注意: 「注意」では、本製品やその他の資産に損害を与える状態や行為を示します。
本製品に関する記号と用語
本製品では、次の用語を使用します。
「危険」マークが表示されている場合、怪我をする危険が切迫していることを示します。
vi TCP0030 電流プローブ取扱説明書
「警告」マークが表示されている場合、怪我をする可能性があることを示します。
「注意」マークが表示されている場合、本製品を含む資産に損害が生じる可能性があることを示します。
本製品では、次の記号を使用します。
安全に保守点検していただくために
資格のあるサービス担当者のみが、保守点検手順を実行する必要があります。保守点検手順を実行する前に、 この『安全に保守点検していただくために』と『安全にご使用いただくために』をお読みください。
一人だけで保守点検しないでください。応急処置と救急蘇生ができる人の介在がないかぎり、本製品の内
部点検や調整を行わないでください。
電源を切断してください。感電を避けるため、機器の電源を切り、電源コードを電源コンセントから抜いてください。
電源オン時の保守点検には十分注意してください。本製品には、危険な電圧や電流が存在している可能性が
あります。保護パネルの取り外し、はんだ付け、コンポーネントの交換をする前に、電源の切断、バッテリの取り外 し(可能な場合)、試験導線の切断を行ってください。
安全に保守点検していただくために
感電を避けるため、露出している接続部には触れないでください。
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 vii
環境条件について
環境条件について
このセクションでは、製品の環境に対する影響について説明します。
製品の廃棄方法
機器またはコンポーネントをリサイクルする際には、次のガイドラインを順守してください。
機器のリサイクルこの機器を生産する際には、天然資源が使用されています。この製品には、環境または
人体に有害な可能性がある物質が含まれているため、製品を廃棄する際には適切に処理する必要がありま す。有害物質の放出を防ぎ、天然資源の使用を減らすため、機材の大部分を再利用またはリサイクルで きるように本製品を正しくリサイクルしてください。
下に示すシンボルは、この製品が WEEE Directive 2002/96/EC (廃棄電気 ・ 電子機器に関する指令)に基づ く EU の諸要件に準拠していることを示しています。リサイクル方法については、Tektronix のホームページ (www.tektronix.com)のサポート/サービスの項目を参照してください。
viii TCP0030 電流プローブ取扱説明書
環境条件について
有害物質に関する規制
この製品は Monitoring and Control (監視および制御)装置に分類され、2002/95/EC RoHS Directive (電気・ 電子機器含有特定危険物質使用制限指令)の範囲外です。この製品には、鉛、カドミウム、水銀、および 六価クロムが含まれています。
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 ix
まえがき
まえがき
このマニュアルでは、TCP0030 電流プローブの取り付けと操作について説明します。また、プローブの基本的 な操作と概念についても説明します。このマニュアルおよび関連する情報については、Tektronix のホーム ページからもアクセスできます。
マニュアル
参照する項目 使用するマニュアル
TCP0030 プローブ:初めての操作、機能チェック、基 本操作、仕様、性能検査
オシロスコープの詳細な操作、ユーザ・インタフェー ス・ヘルプ、GPIB コマンド
*
機器にインストールされているマニュアルを参照するには、タスク・バーで Start(開始)をクリックして、Programs(プログラム) > TekApplications(Tek アプリケーシ ョン) を選択してくださ い。
この取扱説明書をお読みください。
ホスト機器の Help(ヘルプ)メニューで、オンライン・ヘ ルプを参照してください。
*
このマニュアルで使用される表記規則
このマニュアルでは、手順の順番を示すために次のアイコンを使用しています。
x TCP0030 電流プローブ取扱説明書
修理のためのプローブの返送
プローブの修理が必要な場合は、プローブを Tektronix に返送してください。元の梱包資材が使用に適していな いか使用できない場合は、次の梱包のガイドラインに従ってください。
まえがき
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 xi
まえがき
輸送の準備
1. 内径がプローブの寸法より少なくとも 1 インチ(2.5cm)大きい、ダンボール の輸送用カートンを用意します。 こ の箱は少なくとも 200 ポンド(90kg) のカートン・テスト強度を持っている 必要があります。
2. プローブを湿気から防ぐために、静 電気防止用の袋または包装材に収 めます。
3. 包装資材に入ったプローブをカート ンに収め、軽い梱包資材を使用して 固定します。
4. 輸送用テープを使用してカートンを 密閉します。
5. 送付先の住所については、このマ ニュアルの開始ページに記載され ている
Tektronix 連絡先
ください。
を参照して
xii TCP0030 電流プローブ取扱説明書
主要な機能
TCP0030 電流プローブを使用すると、DC ~ 120MHz の範囲で正確な測定ができます。 プローブでは、実証済 みのホール効果技術と新しい Tektronix TekVPI オシロスコープ・インタフェースが組み合わされています。 主要な機能は次の通りです。
帯域幅 120MHz 以上、立ち上がり
時間 2.92ns 未満
AC/DC 測定機能
50A ピーク・パルス電流(パルス 幅
10μs 未満)
5A および 30A 範囲設定
感度 1mA (1mV/div 設定をサポート
する TekVPI オシロスコープの場合)
DC 精度 1% (代表値)
ワン・ボタン消磁/自動ゼロ機能
TekVPI オシロスコープ・メニューを 使用したプローブ制御、あるいはオ シロスコープからリモートによるプ ローブ制御
主要な機能
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 1
主要な機能
ホスト機器上での直接スケーリング
および単位読み取り
AC カップリング(AC カップリングを サポートする TekVPI オシロスコー プの場合)
2 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
取り付け
ホスト機器への接続
注意: プローブ・ヘッド は精密部品です。 プローブを落としたり、物理的な衝撃、歪み、および環境条件下で
の急激な変化を与えないようにしてください。 プローブのジョーに、直径 3.8mm を超える導体を挿入しない でください。プローブが損傷する恐れがあります。
1. プローブを TekVPI 差し込み口に差
し込みます。 完全に差し込むと、カ チッと音がします。
2. 取り外すには、ラッチ・ボタンを押し
て機器からプローブを引き抜きます。
プローブが接続されると、ホスト機器は プローブから情報を読み込み、デバイス を特定します。 プローブの LED が、目 視点検用に短時間すべて点灯します。
取り付け
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 3
取り付け
プローブの消磁
1. プローブがホスト機器に認識される と、画面には消磁ルーチンの実行を 要求するメッセージが表示されます。
プローブ上のマルチカラー Degauss/AutoZero ステータス LED も赤色で点滅して、消磁が必要であ ることを示します。
2. プローブを消磁するには、プローブ あるいはホスト機器の Degauss(消 磁)ウィンドウで Degauss/Autozero (消磁/自動ゼロ)ボタンを押します。
注: LED が赤色で点滅している際は、
DC ゲインおよびオフセット・エラーは 保証されません。
3. マルチカラー Degauss/AutoZero ス テータス LED が緑色に変化すると、 消磁ルーチンが正常に実行され、プ ローブが正常な動作モード状態であ ることを示します。
4 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
ヒント
測定の精度を維持するために、次の場 合にはプローブを消磁してください。
測定システムの電源をオンにし、  20 分間のウォーム・アップ期間が終 了した後
プローブを導体に接続する前
電流または熱の過負荷状態が発生
した場合
プローブを強力な外部磁界にさら した場合
取り付け
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 5
取り付け
プローブ・コントロールとインジケータ
プローブの電源をオンにすると、インジ ケータ LED がすべて短い時間点灯し、 少なくとも 2 つの LED が点灯したままの 状態になります。1 つは選択した電流範 囲を示し、もう 1 つは Degauss/AutoZero ステータスを示します。
注: プローブは範囲の状態を記憶して
おり、電源をオフにし、再度オンにする ごとにそれを復元します。
Jaw Open(ジョー開放)LED
1. Jaw Open(ジョー開放)LED が点灯 している場合、プローブ・スライダは ロックされていません。
2. プローブ・スラ イダをロックして、正 確に電流測定を行うか、あるいはプ ローブを消磁します。
注意: 直径 3.8mm を超える導体を測
定しないでください。 プローブが損傷す る恐れがあります。
6 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
Overload(過負荷)LED
マルチカラー Overload(過負荷)LED に より、プローブが仕様の範囲外で使用さ れていることを警告します。 LED の色に より、次の状態を示します。
赤色の場合、最大入力連続電流の
制限を超えています
オレンジ色の場合、プローブの安全
動作温度を超えています
赤色とオレンジ色の点滅の場合、最 大入力連続電流の制限とプローブの 安全動作温度の両方を超えています
注意: プローブを、長時間 Overload(過
負荷)LED が点灯するような状態にしな いでください。
ヒント
入力電流の過負荷は、プローブを 帯磁させます。 過負荷がかかった 後には、必ずプローブを消磁してく ださい。
取り付け
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 7
取り付け
Range(範囲)ボタン
1. Range(範囲)ボタンを押して、5A あるいは 30A の電流範囲設定を選 択します。
緑色の LED は、選択した範囲を示 します。 オシロスコープの画面上に は、範囲と単位も表示されます。
8 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
Degauss/AutoZero
マルチカラー Degauss/AutoZero ステー タス LED が赤色で点滅する場合は、プ ローブを消磁する必要があります。
LED がオレンジ色で点滅する場合は、 プローブの消磁をお勧めします。 この LED がオレンジ色で点滅している場合 は、DC ゲインおよびオフセット・エラー は保証されません。
Degauss/AutoZero 機能は、プローブの すべての DC オフセットをクリア(自動的 にゼロに)します。
プローブを消磁するには、次の手順を 実行します。
1. プローブを電流ソースから取り外し
ます。
2. Degauss/AutoZero ボタンを押して、
消磁ルーチンを開始します。 Degauss/AutoZero ルーチンが正常
に完了すると、LED が緑色に点灯 します。
取り付け
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 9
取り付け
Menu(メニュー)ボタン
1. Menu(メニュー)ボタンを押して、オ シロスコープに Probe Setup(プロー ブ・セットアップ)画面を表示します。
この画面を使用して、プローブの設 定のチェック、あるいは変更を行い ます。
注: Probe Setup(プローブ・セットアッ
プ)画面には、オシロスコープのモデル に応じて、他のプローブ情報にアクセス するボタンが備えられています。
2. 再度 Menu(メニュー)ボタンを押し て、Probe Setup(プローブ・セットアッ プ)画面を閉じます。
10 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
機能チェック
次の手順を使用して、プローブが正常に動作しているか確認します。 プローブが保証仕様を満たしているかどう かを検査する場合は、
注意: プローブのジョーの開口は、直径 3.8mm 以下の絶縁導体に対応しています。 プローブのジョーに、直径
3.8mm を超える導体を挿入しないでください。プローブが損傷する恐れがあります。
性能検査
機能チェック
の手順を参照してください。 (53 ページ参照)
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 11
機能チェック
プローブが正常に動作しているかを確 認するには、次の手順を実行します。
1. .オシロスコープの任意のチャンネル
2. Degauss/AutoZero ボタンを押しま
3. プローブを回路にクランプします。
4. プローブのチャンネルが表示される
5. オシロスコープを調整するか、あるい
にプローブを接続します。
す。
ようにオシロスコープを設定します。
はオートセット機能を使用して、安定 した波形を表示します。
安定した波形が表示される場合は、 プローブは正常に動作しています。
12 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
基本操作
注意: プローブのジョーに、直径 3.8mm を超える導体を無理に挿入しないでください。プローブが損傷する
恐れがあります。
プローブ・ヘッドのトランスフォーマの接続表面は、精密に研磨し、注意深く取り扱う必要があります。 プローブ・ ヘッドのトランスフォーマの接続表面が汚れていると、測定値が劣化する可能性があります。 プローブ・ヘッド のトランスフォーマの表面を適切に清掃する方法に関する情報については、このマニュアルの「保守」のセ クションを参照してください。
基本操作
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 13
基本操作
1. オシロスコープの表示を確認してか ら、プローブを導体に接続します。
DC オフセットが存在する場合は、プ ローブを消磁します。 (4 ページ 「プ ローブの消磁」 参照)
2. 導体をはさんだプローブのジョーを 閉めて、ロックします。
正しい極性の読み取り値を得るため に、プローブをジョーの矢印に合わ せて、電流の流れが正から負の方向 になるように接続します。
3. オシロスコープに表示される測定値 を読み取ります。
14 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
プローブの接地
グランド・リードを使用して、高周波数での EMI 不適合を改善します。
1. グランド・リードを、プローブ・ヘッドの
下部のグランド・ポストに留めます。
2. クリップのワニ口クリップ端を DUT の
シャーシ・グランドに接続します。
基本操作
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 15
アプリケーション例
アプリケーション例
このセクションでは、プローブを一般的なトラブルシューティング作業で使用する方法、および測定システムの拡 張された使用方法について説明します。
16 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
インダクタンス測定
電流プローブを使用すると、既知の値である低インピーダンスのパルス・ソースあるいは高インピーダンスのパル ス・ソースを持つコイルのインダクタンスを測定できます。
低インピーダンスのパルス・ ソース
この図は、低い抵抗値を持つインダクタ に接続された、非常に低出力インピー ダンスの定電圧パルス・ゼネレータを示 します。
1. インダクタを、パルス・ゼネレータの
出力端子の両端に接続します。
2. インダクタを定電圧に保ちます。
3. ソース・リードの 1 つに電流プローブ
をクランプします。
注: プローブのインピーダンスが回路
全体のインピーダンスの大きな部分を占 める場合は、測定の精度が影響を受け ます。プローブ挿入インピーダンスにつ いては、プローブの仕様を参照してく ださい。
アプリケーション例
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 17
アプリケーション例
4. 電流ランプを測定します。 インダクタ ンスは、事実上ここに示された電流 ランプの傾きによって定義されます。
5. 次の公式を使用して、インダクタン スを計算します。
ここで、
L
は、ヘンリー単位のインダクタンス、
E
は、パルス・ゼネレータの電圧、
dt
は、時間変化量、および
di
は、電流変化量を示します。
18 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
高インピーダンスのパルス・ソース
パルス・ソースが既知の抵抗値の高イン ピーダンスを持ち、電流が増加すると出 力電圧が低下する場合、コイルのインダ クタンスは、充電曲線の時定数で計算 できます。
電流ランプは、インダクタンスの公式の 値を求める方法を示します。
この公式を使用して、電流測定に基づく インダクタンスを計算します。
ここで、
L
は、ヘンリー単位のインダクタンス、
τ
は、電流が全電流値の 63.2% ま で立上る、あるいは立下るのに要す る時間、および
R
は、パルス・ゼネレータのソースの
抵抗値を示します。
アプリケーション例
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 19
アプリケーション例
インダクタの巻数の測定
インダクタの適切な巻数を求めるには、 次の手順を実行します。
1. 図に示すように、インダクタを電流の 制限されたソースに接続します。
2. インダクタ・リードの 1 つで入力電 流を測定します。
3. インダクタの周囲に電流プローブを クランプし、電流値を記録します。
巻数は、コイル電流対入力電流の比率 に等しくなります。
この方法の精度は、電流測定の精度に よる制限を受けます。
20 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
より正確な巻数を測定するには、既知の 巻数を持つコイルをリファレンスとして使 用する必要があります。その場合は、以 下の手順を実行します。
1. 上で説明したステップ 1 および 2
を繰り返し、次の変更を行います。
2. リファレンス・コイルを電流プローブ
に挿入します。
3. テスト・コイルを、図に示すように電流
の向きが互いに反対になるように、 電流プローブに挿入します。 コイル 電流の極性を確認して、テスト・コイ ルの巻数がリファレンス・コイルよりも 少ないか多いかを判定します。巻数 は、次の公式を使用して計算します。
ここで、
N
は、テスト・コイルの巻数、
2
N
は、リファレンス・コイルの巻数、
1
I
は、測定されたコイル電流、および
m
I
は、入力電流を示します。
1
アプリケーション例
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 21
アクセサリとオプション
アクセサリとオプション
このセクションではスタンダード・アクセサリの一覧を表示し、アクセサリの使用方法についての情報を提供しま す。仕様では、ニーズに合った適切なアクセサリの選択方法が示されています。
スタンダード・アクセサリの使用
プローブ・グランド・リード
1. 小さいクリップを、プローブ本体のグ ランド・スタブに固定します。
2. ワニ口クリップを回路に留めます。
3. プローブを回路に取り付けます。
追加注文の場合は、Tektronix 部品番 号 196-3120-XX、数量 1.
22 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
ポーチおよび中仕切り付きのナ イロン製キャリング・ケース
キャリング・ケースを使用して、プロー ブ、アクセサリ、および取扱説明書を収 納します。
1. プローブ、アクセサリ、およびマニュ
アルをキャリング・ケース内に置きま す。
2. キャリング・ケースを閉じて、アクセ
サリを別の場所、または格納場所へ 運びます。
追加注文の場合は、Tektronix 部品番 号:016-1952-XX
アクセサリとオプション
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 23
アクセサリとオプション
保護カバー
作業台で、プローブをパッド入りの保護 カバーに入れて、プローブを予期しない 損傷から防ぎます。
1. プローブを保護カバーに挿入しま す。
2. 保護カバーをストラップを使用して閉 じ、カバーをプローブに固定します。
追加注文の場合は、Tektronix 部品番 号:016-1923-XX
取扱説明書
取扱説明書には、操作および保守の手 順が記載されています。
追加注文の場合は、Tektronix 部品番 号:
071-1812-XX (英語)
071-1813-XX (日本語)
071-1814-XX (簡体中国語)
24 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
オプショナル・アクセサリ
このセクションでは、プロービング作業の役に立つ、購入可能なオプショナル・アクセサリを一覧で表示します。
電流ループ
性能検査手順では、1 回巻きの 50Ω 電 流ループを使用します。 BNC コネクタを 使用すると、電流ソースに簡単に接続 できます。
追加注文の場合は、当社部品番号: 015-0601-50
1. 電流ループを電流ソースに接続し
ます。
2. プローブをループに接続します。
3. 電流ソースの電源をオンにします。
4. 指定した実行する作業の手順に従
います(たとえば、性能検査、調整 など)。
アクセサリとオプション
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 25
アクセサリとオプション
CT-4 大電流トランスフォーマ
CT-4 トランスフォーマを TCP0030 電流 プローブとともに使用すると、降圧比率 20:1あるいは1000:1が実現できま す。CT-4 は、大振幅の AC 電流を測定 する手段を提供します。
1. CT-4 トランスフォーマを、検査する 導体の周囲にクランプします。
2. TCP0030 プローブを、CT-4 の後部 の測定ポートにクランプします。
3. 測定を実行しま す。
追加注文の場合は、Tektronix 部品番 号: CT-4
26 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
デスキュ/校正フィクスチャ
フィクスチャを、プローブの校正あるい はデスキュの手順をサポートしているホ スト機器に接続します。 デスキュ手順に より、電流プローブと電圧プローブ間の ゲインのエラーおよびタイミング差が補 正されます。 オシロスコープのマニュア ルあるいはフィクスチャの手順書を参照 してください。
追加注文の場合は、当社部品番号: 067-1686-00
補正ボックス・ツール
このツールを使用して、プローブの修理 (スイッチ・パネル、ケーブル、あるいは 補正ボックスの交換)の際に補正ボック スを開きます。 ツールを使用する場合 は、補正ボックス交換手順を参照してく ださい。
追加注文の場合は、Tektronix 部品番 号: 003-1892-00
アクセサリとオプション
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 27
アクセサリとオプション
オプション
サービス・オプション
オプション CA1。1 回の校正作業を保証
オプション C3。3 年間の校正サービス
オプション C5。5 年間の校正サービス
オプション D1。校正データ・レポート
オプション D3。3 年間の校正データ・レポート(オプション C3 付き)
オプション D5。5 年間の校正データ・レポート(オプション C5 付き)
オプション R3。3 年間の修理サービス
オプション R5。5 年間の修理サービス
マニュアルのオプション
オプション L0。英語版取扱説明書
オプション L5。日本語版取扱説明書
オプション L7。簡体中国語版取扱説明書
28 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
プロービングの原理
次の情報により、電流プローブが持つ可能性を最大限に引き出せます。
ジョー内の電源が入っていない導体を使ってプローブを消磁する
電源の入っていない回路の導体をジョー内でクランプしている状態で、電流プローブを消磁することができます。 電源の入っていない回路で消磁する利点は、迷走 DC による磁界から生じるすべてのオフセットが補正されるこ とです。 プローブのジョー内の導体を使用して消磁すると、プローブを手動で取り外す必要がありません。
注: プローブのジョー内の導体が電源から完全に切断されていることを確認してください。 導体を流れる電流
は、電流プローブ内の残留オフセットを引き起こし、不正確な測定値またはエラー状態の原因にもなります。
消磁手順を実行するには、回路のインピーダンスが 10mΩ 以上である必要があります。 (プローブ・コアは、 10mΩ より小さい回路インピーダンスでは飽和しません)。 消磁中は、プローブにより、電源の入っていない回路 内に 60mV、200Hz の信号が誘導されます。回路は、この誘導電圧を吸収できる必要があります。低インピーダン スの回路では、測定中の回路に数アンペアの電流が誘導されることがあります。 非常に小さい導体を使用してい る場合は、この現象が問題になる場合があります。
プロービングの原理
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 29
プロービングの原理
差動電流を測定する
差動電流あるいはゼロ電流の測定を簡 略化するには、1 つの電流プローブ内 に 2 つの導体を置きます。
警告: プローブ内に非絶縁導体を置かないでください。 非絶縁導体とは、絶縁されていない導体、または被測
定導体に存在する電圧に見合う絶縁が行われていない導体のことです。
絶縁導体とは、導体に存在する電圧を絶縁することができる絶縁材料によって囲まれた導体のことです。 一般に トランスの巻線に見られるようなラッカー塗装は、電流プローブで使用する場合、信頼できる十分な絶縁体ではあ りません。ラッカー塗装は簡単に傷が付いて絶縁能力が失われる恐れがあります。
スライドを無理に閉めないでください。プローブが損傷する恐れがあります。導体の周囲でスライドを閉めることが できなければ、測定する導体の数を減らすか、小さな導体で測定してください。
30 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
1. 2 つの被測定導体は、極性(+ およ
び -)が互いに反対になるように配 置します。
2. 2 つの導体の周囲に電流プローブ
をクランプします。 プローブのジョー 内の導体を傷付けないように注意 します。
3. 電流を測定します。
一般的な電流の向きは正から負で す。 ベースラインより上に波形が存 在する場合、一般的な電流の向き がプローブの矢印方向と一致する 導体の方に、より大きな電流が流れ ています。
プロービングの原理
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 31
プロービングの原理
4. 電流をゼロに調整するには、導体の 1 つに流れる電流を調整して、表示 される測定値をゼロにします。
電流範囲の拡大
測定値が接続されたプローブの最大電流定格を超える場合は、次の手法を使用して、指定された制限を越える ことなく AC および DC 電流範囲を拡大できます。
警告: 人体への危害や機器の損傷を回避するために、プローブまたは装着可能なすべてのアクセサリにつ
いて、指定された電気的制限を超えないようにしてください。複数の導体を使用する場合は、どの導体でも 電流の制限値を超えないようにします。
32 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
プロービングの原理
DC 範囲の拡大
安定状態にある非常に大きな DC 成分(電源内など)に重畳する低振幅の AC 成分を測定する場合、または プローブの DC 電流の範囲を拡大する場合は、もう 1 つの導体を使用してオフセット(バッキング)電流を追 加することができます。
警告: 複数の非絶縁導体を同時にプローブのジョーに挿入しないでください。 非絶縁導体とは、絶縁されてい
ない導体、または被測定導体に存在する電圧に見合う絶縁が行われていない導体のことです。
追加のバッキング電流を供給するには 次のようにします。
1. 被測定導体とプローブのジョー内
に、既知の値の純粋な DC 成分を持 つもう 1 つの導体を置きます。
2. 追加する導体の方向は、バッキング
電流が被測定導体で DC の流れと 反対方向に流れるようにします。
3. 測定値を求めるには、表示される測
定値にバッキング電流の値を加え ます。
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 33
プロービングの原理
注: プローブに追加導体を追加すると、挿入インピーダンスが増加して、プローブ帯域の上限値が低下します。
さらに複数回巻くと、挿入インピーダンスが増加して、帯域の上限値がさらに低下します。
バッキング電流の値を増加するには、 次のようにします。
1. プローブの周囲にもう 1 つの導体を 複数回巻きます。
バッキング電流は、追加導体を流れ る電流にプローブの周囲に巻いた回 数を乗算した値と等しくなります。
たとえば、100mA DC の電流を持つ追 加導体をプローブの周囲に 5 回巻いた 場合、DC バッキング電流は 100mA に 5 を乗算した 500mA DC になります。
34 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
感度を拡大する
DC あるいは非常に小さい振幅の低周 波数の AC 信号を測定する場合、次の ようにして電流プローブの測定感度を 拡大できます。
1. 図に示すように、プローブの周囲に
被測定導体を数回巻きます。 信号 は、プローブの周囲に巻いた回数倍 だけ拡大します。
2. 実際の電流値を求めるには、表示さ
れる振幅を巻数で除算します。
たとえば、導体をプローブの周囲に 3 回 巻き、オシロスコープが 3mA DC の読み 値を示した場合、実際の電流は 3mA を 3で除算した1mADCです。
注: プローブの周囲に数回巻くと、挿入インピーダンスが増加して、プローブ帯域の上限値が低下します。
プロービングの原理
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 35
プロービングの原理
コモン・モード・ノイズ/磁界エラー
高周波数でのコモン・モード・ノイズおよ び回路の供給側での強力な磁界は、測 定エラーの原因になります。 これを防ぐ には、次のようにします。
1. 回路の負あるいはグランド側で測定 を行います。
2. プローブを一般的な電流方向に向 けて測定します。
36 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
AC/DC カップリング
DC あるいは AC カップリングのいずれかを使用して、信号入力をオシロスコープに結合できます。 DC カップリ ングは、DC および AC 両方の成分の測定値を示します。 AC カップリングは、表示される信号から DC 成 分を除去します。
1. 図の低周波数の方形波は、AC カッ
プリングを使用して表示されていま す。 信号は低周波数ロールオフを 示します。
2. DC Coupling(DC カップリング)ボタ
ンを押して、波形を真の方形波とし て表示します。
注意: AC カップリングを使用する場合
は、入力 DC 電流がプローブの仕様値 を超えていないことを確認してください。
プロービングの原理
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 37
プロービングの原理
最大電流の制限値
電流プローブには、 パルス電流、連続電流、および電流時間積の 3 つの最大電流定格があります。 これらの定 格のいずれかを超えると、プローブ・コアは飽和して磁気を帯び、測定エラーの原因になります。 プローブの最 大電流定格については、仕様を参照してください。 (44 ページの表 表 2 参照)
最大パルス電流(I
)は、(帯域制
maxP
限値内であれば)パルス幅に関係な くプローブが正確に測定できるパル ス電流の最大ピーク値を指します。
最大連続電流(I
)は、DC または
maxC
指定した AC 周波数で連続的に測 定できる最大電流を指します。 最大 連続電流値は、周波数とともに低下 します。周波数が大きくなると、最大 連続電流定格は下がります。
38 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
プロービングの原理
電流時間積は、パルス振幅が最大 連続電流と最大パルス電流の仕様 の間にある場合の、測定可能なパ ルス電流の最大幅です。 最大連続 電流の仕様は周波数によって変化 します。
測定値が電流時間積を超えている場合 には、次のセクションで説明するように、 まず最大許容パルス幅あるいは最大許 容パルス振幅を決定します。
注: プローブの最大連続電流、最大パルス電流、または電流時間積の定格を超える電流を測定した後には、必
ずプローブを消磁してください。これらの定格を超えるとプローブは磁気を帯び、測定エラーの原因になります。
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 39
プロービングの原理
最大許容パルス幅
最大許容パルス幅を決定するには、次 のようにします。
1. パルスのピーク電流を測定します。
2. TCP0030 プローブの範囲設定に対 する電流時間積(アンペア×秒、あ るいはアンペア×マイクロ秒)の仕様 値を、測定されたパルスのピーク電 流で除算します。
商の値が、最大許容パルス幅 (PW
max
3. 測定された信号の 50% ポイントにお けるパルス幅が、計算された最大許 容パルス幅(PW 確認します。
)になります。
)より小さいことを
max
40 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
最大許容パルス振幅
最大許容パルス振幅を決定するには、 次のようにします。
1. 50% ポイントにおけるパルス幅を測
定します。
2. TCP0030 プローブの範囲設定に対
する電流時間積(アンペア×秒、あ るいはアンペア×マイクロ秒)の仕様 値を、パルス幅で除算します。
商の値が、最大許容パルス振幅で す。測定パルスのピーク振幅は、こ の値より小さくなければなりません。
たとえば、TCP0030 型プローブは 30 A の範囲設定で最大 500 A-ms の電流時 間積を持ちます。 プローブで測定され たパルスが 11 ms の幅を持つ場合、最 大許容ピーク電流は 500 A-ms を 11 ms で除算して、45.5 A になります。
プロービングの原理
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 41
仕様
仕様
表 1 ~ 5 の仕様は、次の条件の下で有効です。
プローブが環境温度 23°C ±5°C で校正されている。
プローブが、入力インピーダンス 50Ω でホスト機器に接続されている。
プローブが、記載されている限界値を超えない環境に設置され、少なくとも 20 分間ウォーム・アップ されている (表 1 を参照)。
TCP0030 電流プローブの仕様は、次の 3 つのカテゴリに分けられます。保証特性、代表特性、および公称特性。
42 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
保証特性
仕様
保証特性は、公差限界または一定の形式試験済み要件の範囲内で保証されている性能を表します。 のセクションでチェックする保証特性は、 シンボルで印が付けられています。
表 1: 保証電気特性
特性 説明
DC ゲイン精度 <3% (代表値 <1% (+23°C ± 5°C の場合))
立上り時間(10% ~ 90%)
帯域制限
≦2.92 ns DC ~ 120 MHz
性能検査
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 43
仕様
代表特性
代表特性は、標準的であっても保証はされていない性能を表します。
表 2: 代表的電気特性
特性 説明
最大連続電流 — DC および低周 波数(図 3 参照)
最大ピーク電流(図 3 参照) 50A (最大ピーク・パルス) 表示 RMS ノイズ
挿入インピーダンス アベレーション
信号遅延
裸線での最大電圧
最大電流時間積(49 ページのグ ラフを参照。)
5A範囲:5ARMS 30 A 範 囲: 30 A RMS
≦75µA RMS. (限界測定帯域幅 20MHz の場合) (図 2 参照) <50ns: ≦10%p-p >50ns: ≦5%p-p
~14.5ns
絶縁された導体上のみで使用
5A 範囲: 50A·µs 30A 範囲: 500A·µs
44 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
図 1: 周波数低下(ピーク電流と周波数の関係)
仕様
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 45
仕様
図 2: 代表的な差動入力インピーダンスと周波数の関係
46 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
図 3: 最大ピーク・パルスとパルス幅の関係
仕様
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 47
仕様
表 3: 環境特性
特性 説明
温度 動作時: 0 ~ +50°C (+32 ~ +122°F)
非動作時: -40 ~ +75°C (-40 ~ +167°F)
湿度 動作時: 5-95% RH、+30°C (+86°F)以下でテスト
5-85% RH、+30°C ~ +50°C (+86°F ~ +122°F)でテスト 非動作時: 5-95% RH、+30°C (+86°F)以下でテスト
5-85% RH、+30°C ~ +75 °C (+86°F ~ +167°F)でテスト
使用可能高度 動作時: 3000m (10,000 フィート)以下
非動作時: 12,192m (40,000 フィート)以下
表 4: 代表的な機械特性
特性 説明
寸法、補正ボックス
寸法、プローブ・ヘッド 197mm × 1.6cm × 3.2cm (7.77 インチ × 0.625 インチ × 1.25 インチ)
寸法、ケーブル長
単体重量
107mm × 41mm × 26mm (4.2 インチ × 1.6 インチ × 1.0 インチ)
2m(79 インチ)(プローブ・ヘッドから補正ボックスまで)
1.550g (3.44 ポンド)(プローブ、アクセサリ、および梱包材)
48 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
仕様
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 49
仕様
公称特性
公称特性は保証されている特性を表しますが、この特性には公差限界がありません。
表 5: 公称電気特性
特性 説明
入力カップリング 電流範囲 終端 1 MΩ での終端出力
互換性
基準認可と準拠
EC 適合宣言(低電圧)
「Official Journal of the European Communities」にリストされている次の仕様に準拠します。
低電圧指令 73/23/EEC (93/68/EEC により修正)。
EN 61010-1:2001 測定、制御、および研究用途の電子装置に対する安全基準。
EN 61010-2-032:2002 電気計測および試験機器用の手持ち形電流クランプに対する特定要求事項。
DC
5A および 30A
TekVPI インタフェースを搭載したオシロスコープ
50 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
米国で全国的に認識されているテスト機関のリスト
UL 61010B-1:2003 電子計測機器の標準規格。
UL 6010B-2-032:2003 電気計測および試験機器用の手持ち形電流クランプに対する特定要求事項。
カナダ規格
CAN/CSA C22.2 No. 1010.1:1997 測定、制御、および研究用途の電子装置に対する特定要求事項。第 1部。
CAN/CSA C22.2 No. 1010.2.032-96 電気計測および試験のための手持ち形電流クランプに対する特定 要求事項。
その他の準拠基準
IEC 61010-1:2001 測定、制御、および研究用途の電子装置に対する安全基準。
IEC 61010-2-032:2002 電気計測および試験機器用の手持ち形電流クランプに対する特定要求事項。
仕様
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 51
仕様
機器の種類
測定機器。
汚染度の説明
製品内およびその周辺で発生する可能性がある汚染度の測定単位です。通常、製品の内部環境は外部環境と 同じと見なされます。製品は評価対象となった環境でのみ使用してください。
汚染度 1:汚染なし、または乾燥した非伝導性の汚染のみが発生します。このカテゴリの製品は、通常、被包 性、密封性のあるものか、クリーン・ルームにあるものです。
汚染度 2:通常、乾燥した非伝導性の汚染のみが発生します。ただし、まれに結露によって一時的伝導性 が発生することは避けられません。これは、標準的なオフィス/家庭環境で発生します。一時的な結露 は、製品非動作時にだけ発生します。
汚染度 3:伝導性のある汚染、または結露のために伝導性のある汚染となる乾燥した非伝導性の汚染。温度、 湿度のいずれも制御されていない屋内で発生します。日光、雨、直接の風からは保護されている領域です。
汚染度 4:伝導性のある塵、雨、または雪により持続的に伝導性が生じている汚染。一般的に屋外です。
汚染度
汚染度 2 (IEC 61010-1 で定義) 注:評価対象は屋内用途のみ。
52 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
性能検査
次の手順を使用して、下に示すプローブの保証仕様を検査します。推奨される校正間隔は 1 年間です。
DC ゲイン精 度
立上り時間
帯域幅
示されている順番に、次の検査手順を実行します。
性能検査
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 53
性能検査
必要な機器
性能検査の手順を実行するために必要な機器を表 6 に示します。
表6: テスト機器
説明と数量 性能要件 推奨例
オシロスコープ
500MHz 以上の帯域幅を持つ TekVPI イン
Tektronix DPO4000
1
タフェース
大振幅パルス・ゼネレータ 立上り時間 <500 ps、パルス幅 >100 ns、振幅
Picosecond Labs 2600
>10 Vpp (50 Ω の場合 )
校正器
DCV: 0.2% 精度、0 ~ ±1.5V、方形波出力
Wavetek 9100
ACA: 0.25% 精度、0 ~ ±6A、方形波出力
DC 電流ループ
76mm(3 インチ)円筒形、5 回巻きの 18 AWG
次の手順を参照
被覆線 HF 電流ループ 50Ω ±0.5%、BNC オス型
BNC- デュアル・バナナ・
015-0601-50 103-0090-00
アダプタ
BNC ケーブル 50Ω、0.76m (30 インチ)の長さ
1
9 桁の部 品番号(xxx-xxxx-xx)は、Tektronix の部品番号です。
012-0117-00
54 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
DC 電流ループの作成
No. 18 被覆線を使用して、次のように約 76mm(3 インチ)の直径の円筒形ループを作ります。
性能検査
1. No. 18 被覆線を型の周囲に
5回巻きます。
2. 導線の両端の被覆を 1cm(半イン チ)程度はがします。
注: 電流ループが正確に 5 回巻かれていることを確認します。 5 回から 1 回でも異なっていると、重大なエ
ラーを引き起こします。
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 55
正確
性能検査
機器のセットアップ
次の手順に従って、プローブを検査するための機器のセットアップとウォーム・アップを行います。
1. オシロスコープの電源をオンにしま す。
2. オシロスコープの任意のチャンネル にプローブを接続します。
3. Degauss/AutoZero ボタンを押しま す。
4. オシロスコープのカップリングを DC に設定します。
5. 電流ソースとパルス・ゼネレータの電 源をオンにします。
6. 機器を 20 分間ウォーム・アップしま す。
7. 検査記録をコピーして、検査結果を 記録するのに使用します。 (66 ペー ジ参照)
56 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
DC ゲイン精度
この検査では、プローブの DC ゲイン精度をチェックします。それには、まずオシロスコープの DC ゲイン精度を 測定し、次にその値をプローブのゲイン精度の測定結果から減算します。 測定値が検査記録の指定された限界 からはずれている場合は、
調整
のセクションを参照してください。 (67 ページ参照)
性能検査
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 57
性能検査
オシロスコープのゲインの測定
1. BNC- デュアル・バナナ・アダプタを 校正器の電圧出力端子に接続しま す。
2. アダプタ とオシロスコープ を BNC ケーブルで接続します。(プローブは 接続したままにして、ウォーム・アッ プを続けます。)
3. オシロスコープを次のように設定し ます。
垂直感度: 500mV/div
垂直位置およびオフセット: 0.0V
水平目盛: 400 または 500 us/div、トリガ位置: 50%
アクイジション・モード: 16 回の 平均
入力: 1Ω、カップリング: DC
自動測定で AMPLITUDE(振幅) を表示
58 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
4. 校 正 器 を、1.5Vpk ( 3.0Vp-p)
@500Hz 方形波に設定します。
5. 校正器の出力を有効にします。
6. 出力振幅(a)を測定します。
7. ステップ 6 で測定された振幅値と示
した公式を使用して、オシロスコープ の DC ゲイン精度(b)を計算します。
その結果を使用して、ステップ 19 でプローブの DC ゲイン精度を計 算します。
8. 校正器の出力を無効にします。
9. 検査セットアップから BNC ケーブル
を取り外します。
性能検査
例:
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 59
性能検査
プローブのゲインの測定
10. プローブを、以前の検査で使用し たオシロスコープのチャンネルに接 続します。
11. 5 回巻きの DC 電流ループを校正 器に接続します。
12. 校正器を AC 増幅器に接続します。
13. プローブを消磁し、5 回巻きの電流 ループに接続します。
14. プローブの範囲を 5A に設定します。
15. オシロスコープを次のように設定し ます。
垂直感度: 500mA/div
トリガ位置: 50%
アクイジション・モード: 16 回の 平均
カップリング: DC
自動測定で AMPLITUDE(振幅) を表示
60 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
16. 校正器を設定して、5 回巻きの電流
ループに 500Hz の方形波を出力し ます。
17. 校正器を検査記録の最初の値に設
定して、出力を有効にします。
18. 波形振幅(c)を測定します。
性能検査
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 61
性能検査
19. ステップ 18 で測定された波形振幅 (c)とステップ 7 で得られたオシロス コープの DC ゲイン精度値(b)を使 用して、プローブの DC ゲイン精度 (d)を計算します。
20. 計算したプローブの DC ゲイン精度 値(d)を検査記録に記録します。
21. プローブの範囲を 30A に設定しま す。
22. オシロスコープを 5 A/div に設定し ます。
23. 波形振幅(e)を測定します。
24. ステップ 23 で測定された波形振幅 (e)とステップ 7 で得られたオシロス コープの DC ゲイン精度値(b)を使 用して、プローブの DC ゲイン精度 (f)を計算します。
25. 計算したプローブの DC ゲイン精度 値(f)を検査記録に記録します。
5A 範囲:
例:
30A 範囲:
62 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
立上り時間と帯域幅
この手順を使用して、プローブが両方の電流範囲で立上り時間の仕様を満たしているか検査します。 プローブ の帯域幅は、測定されたプローブの立上り時間を使用して計算します。
性能検査
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 63
性能検査
1. BNC ケーブルをパルス・ゼネレータ の出力に接続します。
2. BNC ケーブルのもう片方の端を HF 電流ループに接続します。
3. パルス・ゼネレータの出力およびパ ルス幅を最大値に設定します。
4. オシロスコープを次のように設定し ます。
垂直感度: 200mA/div
水平目盛: 2ns/div
トリガ位置: 50%
平均回数: 32
カップリング: DC
自動測定で Rise Time(立上り時 間)を表示
5. プローブの範囲を 5A に設定します。
6. プローブを消磁します。
64 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
7. 電流プローブを HF 電流ループの
周囲にクランプします。 プローブ上 の矢印の形をしたインジケータが、 パルス・ゼネレータから離れた方向 を指しているか確認します。
8. 検査記録に、立上り時間の測定値を
記録します。
9. 測定された立上り時間を使用して、
次の式でプローブの帯域幅を計算 します。
10. 検査記録に、計算した帯域幅の値を
記録します。
性能検査
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 65
性能検査
検査記録
プローブのモデル/シリアル番号: 温度: 校正日:
性能試験
範囲
検査電 流
DC ゲイン精 度
立上り時間
帯域幅
5A 30A 5A ~ 1A
5A
±1.5A ±15A
なし なし
校正器の方 形波出力
0.3A
pk
3.0A
pk
必要とされ る出力値
3A
p-p
30A
p-p
<500ps <2.92ns
>120MHz
承認番号: RH %: 検査者:
最小 入力 出力 最大
-3% +3%
-3% +3%
なし 120MHz
2.92ns
なし
66 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
調整
次の手順では、プローブを調整して保証仕様内の性能を維持する方法を説明します。
DC ゲイン精 度
必要な機器
調整
必要な機器については、 必要です。
性能検査
の手順を参照してください。 絶縁された、平坦な刃を持つ調整ツールも
機器のセットアップ
機器のセットアップについては、
注意: ESD によりプローブが損傷するのを防止するために、帯電防止リスト・ストラップを着用し、プローブを取
り扱うときは静電気防止措置が施された作業台で作業してください。
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 67
性能検査
の手順を参照してください。
調整
DC ゲイン精度
この手順では、5A および 30A 範囲設定におけるプローブの DC ゲイン精度の調整方法について説明します。
5A 範囲の調整
1.
性能検査
のステップ 1 から 18 までを完 了します。 (57 ページ 「DC ゲイン 精度」 参照)
2. 性能検査のステップ 7 で計算され たオシロスコープのゲイン精度値(b) を使用して、目標波形値(g)を計算 します。公式は示した通りです。
3. プローブ補正ボックス内の 5A DC ゲイン制御を、ステップ 2 で計算し た目標値に対して ±0.02A に調整 します。
手順の
DC ゲイン精度検
68 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
30A 範囲の調整
4. プローブの範囲を 30A に設定しま
す。
5. 校正器の出力を 3.0A に設定しま
す。
6. オシロスコープを 5A/div に設定し
ます。
7. 出力振幅を測定します。
8. 性能検査のステップ 7 で計算した
オシロスコープのゲイン精度値(b)を 使用して、目標波形値(h)を計算し ます。公式は示した通りです。
9. プローブ補正ボックス内の 30A DC
ゲイン制御を、ステップ 8 で計算 した目標値に対して±0.2A に調整 します。
10. プローブを電流ソースから取り外し
ます。
調整
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 69
保守
保守
このセクションでは、プローブの保守情報が説明されています。
トラブルシューティング
TCP0030 電流プローブは、すべての TekVPI インタフェース・オシロスコープおよびアダプタと連携して機能する ように設計されています。 プローブの LED は、プローブに影響を与えるエラーまたはステータスの状態を通知 します。 プローブの LED が予期したように点灯しない、あるいはプローブ機能のいくつかが正常に動作し ない場合は、エラー状態が存在します。 次の表を参照してください。
表 7: プローブのトラブルシューティング
症状 可能性のある原因
プローブの LED が点灯し ない。
オシロスコープ上に、エ ラー・メッセージが表示さ れる。
オシロスコープのチャンネルが故障している可能性があります。
別のチャンネル、あるいは別のオシロスコープを使用してみてください。 それ でもプローブが動作しない場合はプローブに欠陥があるため、Tektronix に 返送して修理する必要があります。
メッセージは、エラーの原因と解決方法を示します。 たとえば、Degauss Needed (消磁が必要です)というメッセージが表示される場合は、消磁の手順を実行 します。
70 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
清掃
プローブは、厳しい気候条件から保護する必要があります。このプローブは防水加工されていません。
注意: スプレーや液体、溶剤に接触させないでください。プローブが損傷する可能性があります。外面を清掃し
ているときにプローブ内部が湿らないようにしてください。
化学薬品の洗浄剤を使用しないでください。プローブを損傷する恐れがあります。ベンジン、ベンゼン、トルエ ン、キシレン、アセトンまたはこれに類似する溶剤を含有する化学薬品を使用しないでください。
プローブの外部表面の清掃には、乾いた柔らかい布か柔らかい毛ブラシを使用してください。汚れが落ちない場 合は、75% のイソプロピル・アルコール溶剤をしみこませた柔らかい布または綿棒を使用し、純水で拭きとって ください。綿棒はプローブの狭い場所の清掃に便利です ください。研磨剤は、プローブのどの部分にも使用しないでください。
プローブの修理
下に示すサブ・アセンブリは、プローブ上で交換できます。 交換の手順は、次のページ以降で説明します。
交換部品 使用する手順
トランスフォーマ
ケーブル/回路基板アセンブリ
綿棒または布は十分な溶液で湿らせて使用して
プローブ・ヘッドの分解、トランスフォーマの交換
プローブ・ヘッドの分解、ケーブル/回路基板アセンブリの交換、
補正ボックスの交換
保守
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 71
保守
交換部品 使用する手順
補正ボックス 補正ボックスの交換
スイッチ・パネル
補正ボックスの交換
必要な機器
修理の手順を実行するには次の機器が必要です。
ツール 説明
ドライバ
はんだごて
清掃剤 潤滑剤 シリコン・ベースのグリース
補正ボックス・セパレータ
1
ケーブル、スイッチ・パネル、および補正ボックスの交換手順が必要
1
No. 2 Phillips 25W
イソプロピル・アルコール
注文 Tektronix 部品番号 003-1892-00 (27 ページ 「補正ボックス・
ツール」 参照)
72 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
プローブ・ヘッドの分解
プローブ・ヘッドを分解するには、次のようにします。
1. プローブの底部から 2 つのねじを 外します。
2. 張力を緩和しているカバー部を後ろ に引っ張ります。
注: プローブのスライド部には、小さな
金属球があります。 ステップ 3 で、誤っ てその金属球を落とし、紛失しないよう に注意してください。
3. プローブのスライド・アセンブリを、開 く状態の位置に移動します。 (上の 注:を参照)。
保守
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 73
保守
4. プローブの下半分を片手で保持し ます。
5. もう片方の手で、プローブ本体の後 側の上半分を上に回転させます。
6. 上半分を前にスライドさせて、プロー ブ本体の下半分を取り外します。
7. 金属球を取り除きます。
74 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
8. プローブを上下逆さまにして、スライ
ドを後ろに少し押し、取り外します。
これで、トランスフォーマおよびケーブル /回路基板アセンブリにアクセスするこ とができます。 次の手順を使用して、こ れらの部品を交換します。
保守
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 75
保守
交換
トランスフォーマ
トランスフォーマを交換するには、次の 手順を実行します。
1. 回路基板およびトランスフォーマの 前面の端を、プローブ本体から取り 外すのに十分なくらいまで静かに持 ち上げます。
2. トランスフォーマのソケットを回路基板 のピンから真っ直ぐに引っ張ります。
3. 新しいトランスフォーマのソケットを 回路基板のピンにはめ込んで、両 者を接続します。
4. 部品をプローブの元の位置に戻し ます。
76 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
ケーブル/回路基板アセンブリ
ケーブル/回路基板アセンブリを交換 するには、次の手順を実行します。
1. 前の手順で説明したように、トランス
フォーマを取り外します。 (76 ページ 「トランスフォーマ」 参照)
2. プローブ本体の半分から、プラス
チックのケーブル・ハウジングを持 ち上げます。
3. 回路基板上のプローブ本体の接続
部のはんだを取り除きます。 回路 基板を損傷しないように注意してく ださい。
4. プローブ本体の半分から、回路基
板/ケーブル・アセンブリを持ち上 げます。
5.
補正ボックス
ケーブルを補正ボックスから取り外し ます。 (79 ページ参照)
6. ケーブルを交換してからプローブを
再組み立てするには、この手順のス テップ 1 から 5 までを逆に実行しま す。 (次の注意:を参照。)
の手順を実行して、
保守
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 77
保守
注意: プローブ内部の導線の損傷を避けるには、本体の下半分内の導線を注意して調整し、スライド・アセンブ
リに接触しないようにします。 スライドを後ろに移動して、プローブ本体に合わせる作業には注意してください。ス イッチ接触部の調整は、正確に行うことが必要です。
78 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
補正ボックス
1. セパレータ・ツールを 4 つの穴に挿
入して、前後の補正ボックス部分を 切り離します。
2. ツールと前の部分を一緒に片手で
保持します。 もう片方の手で後ろの 部分を保持して、2 つの部分を静か に引き離します。
3. ケーブルのパッキングを補正ボック
スの後ろの部分から引き離します。
保守
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 79
保守
4. 補正ボックスの 2 つのエンクロージャ 部を分離します。
5. メイン・アセンブリから金属シールド を取り外します。
6. スイッチ・パネルのみを交換する場 合は、パネルを取り外して交換し、補 正ボックスを再組み立てします。
7. ケーブルまたは補正ボックスを交換 する場合は、ケーブル・コネクタを 外します。
8. この手順を逆に実行して、新しい ケーブルまたは補正ボックスを取り 付けます。 ケーブルを交換する場合 は、
ケーブル/回路基板アセンブ
の手順も参照して、ケーブルの交
換を完了します。
80 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
再組み立て
1. プローブ本体を再組み立てする前に、次の項目を確認してください。
a. 固定コア・ピースと可動コア・ピース間の隙間が清掃されていること。 清掃が必要な場合は、イソプロピル・
アルコールあるいは類似の清掃剤を使用して、ピースを清掃します。
b. スライド・スイッチの接触部が清掃されていること。清掃されていない場合は、清掃します。
c. プラスチック・スライド・アセンブリの場合は、潤滑剤が必要です。 その場合、部品に対してはシリ
コン・ベースのグリースを少なめに使用します。
2. プローブ・ヘッドの分解手順のステップ 1 から 8 を逆に実行して、プローブ本体を再組み立てします。
(73 ページ 「プローブ・ヘッドの分解」 参照)
注: スライドを後ろに移動して、プローブ本体に合わせる作業には注意してください。スイッチ接触部の調整は、
正確に行うことが必要です。
2 つのねじを締めた後でスライダが滑らかに動作しない場合は、ねじを少し緩めます。
保守
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 81
保守
交換部品
このセクションでは、プローブの交換部品のリストを示します。このリストを使用して交換部品を識別し、ご注 文ください。
部品注文情報
交換部品は最寄の当社販売店でお求めいただけます。
改良された部品が使用可能になった場合、Tektronix 機器に対して変更が行われることがあります。それにより、 最新の回路改良によるメリットを受けることができます。したがって、部品を注文されるときは、注文の中に以下 の情報を含めておくことが重要です。
部品番号
機器のタイプまたはモデル番号
機器のシリアル番号
機器の変更番号(可能な場合)
82 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
交換部品リストの使用
このセクションでは、プローブの交換可能な機械および電気部品のリストを示します。このリストを使用して交換部 品を識別し、ご注文ください。 表 8 で、部品リストの各項目について説明します。
表 8: 部品リストの項目の説明
保守
項目
1
2
3および4
5
6
TCP0030 電流プローブ取扱説明書 83
項目の見出し
図 & インデックス番号
Tektronix 部品番号
シリアル番号
数量 これは使用された部品の数量を示します。 名称 & 説明
説明
この項の品目は、後の展開図の図番号と索引番号によって参照 されます。
当社に交換部品を注文される場合は、この部品番号をご使用 ください。
項目 3 は、部品が最初に有効になったシリアル番号を示します。 項目 4 は、部品の製造が打ち切られたシリアル番号を示します。 空欄の場合は、部品がすべてのシリアル番号に対して有効であ ることを示します。
品目の名称と説明の間はコロン(:)によって区切られています。 スペースの都合上、品目の名称の表示は不完全なことがありま す。 詳細な品目の名称の識別については、「U.S. Federal Catalog handbook H6-1」 を使用してください。
保守
表 8: 部品リストの項目の説明 (続く)
項目
7
8
項目の見出し
製造元コード これは部品の実際の製造元のコードを示します。
製造元 部品番号 これは実際の製造元あるいはベンダの部品番号を示します。
説明
短縮形
短縮形は全米規格 ANSI Y1.1-1972 に準拠しています 。
84 TCP0030 電流プローブ取扱説明書
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