
DUCATISPORTTOURING
ST3
ST3 S ABS

オーナーズマニュアル
DUCATISPORTTOURING
ST3
ST3 S ABS
1

2

Ducati モーターサイクルをお買い上げ頂き、ありがとうご
ざいました。貴方を、ドゥカティストの仲間として迎える
のは、私共にとって何よりもの喜びです。 新しい車両を日
常の足として利用されるばかりではなく、ロングツーリン
グも楽しまれることと思います。Ducati モーター・ホール
ディング社は、常にその走行が快適で楽しいものであるよ
う願っています。
私共は、アフターサービスの改善に絶えず努めています
が、その努力の一環として、お客様にこのマニュアルに記
載された正しい使用方法、特に慣らし運転の項を順守して
いただくようお願い致します。 そうすれば、Ducati モー
ターサイクルは、あなたの要求にいつでも応え、最高のラ
イディングがいつも楽しめることでしょう。
修理作業や適切なアドバイスが必要な場合は、Ducati オ
フィシャルディーラーの修理工場に是非お任せ下さい。
楽しいライディングを!
注意
Ducati モーター・ホールディング社は、本マニュア
ルの記載条項に誤りがある場合でも、これに対しいかなる
責任も負うものではありません。 ここに記載された情報
は、印刷された時点において最新のものです。 Ducati モー
ター・ホールディング社は、製品を改良、開発していくた
めに必要とされる、あらゆる変更を行う権利を保有しま
す。
あなたの安全のために、そして保証の有効性、Ducatiモー
ターサイクルの信頼性、価値を保全するために、Ducati オ
リジナルパーツのみをご使用下さい。
警告
本マニュアルは車両の一部とみなされ、車両を売却
する場合には、常に新しい所有者に渡さなければなりませ
ん。
3

目次
右側スイッチ 34
スロットルグリップ 35
フロントブレーキレバー 35
リアブレーキ・ペダル 36
ギアチェンジペダル 36
ギアチェンジペダルとリアブレーキペダルの位置調整 37
はじめに 6
保証について 6
シンボルマーク 6
安全運転のための注意 7
最大積載時の走行 8
認識データ 10
運転に必要なコマンド 11
コマンド類の位置 11
インストルメントパネル 12
LCD の主な機能 14
LCD −パラメータ−設定 / 表示 16
イモビライザーシステム 25
キー 26
コードカード 27
スロットルグリップを使用してイモビライザーエンジン
ブロック解除の手順 28
キーの複製 29
イグニッションスイッチ / ステアリングロック 30
左側スイッチ 31
ST3S ABS 32
クラッチレバー 33
4
主要構成部品 / 装備 39
車両上のポジション 39
燃料タンクキャップ 40
シートロック / ヘルメットフック 41
サイドスタンド 43
リフトハンドル 44
コンセント 44
センタースタンド 45
リアビューミラー 46
フロントフォーク調整の記録 (ST3) 47
フロントフォーク調整の記録 (ST3S ABS) 48
リアショックアブソーバー調整の記録 (ST3) 50
リアショックアブソーバー調整の記録 (ST3S ABS) 52
車高の調節 54
運転のしかた 56
慣らし運転の方法 56
走行前のチェック 58
ABS システム (ST3S ABS) 59
エンジンの始動
始動と発進 62
ブレーキング 62
ABS システム (ST3S ABS) 63
60

車両の停止 64
パーキング 64
燃料補給 65
アクセサリー 66
主な使用方法とメンテナンス 67
装飾部分の脱着 67
エアフィルターの清掃 / 交換 74
冷却液レベルのチェック 75
ブレーキ / クラッチ液量のチェック 76
ブレーキパッドの摩耗チェック 77
接続部の潤滑 78
スロットルケーブルの張力調整 79
バッテリーの充電 80
トランスミッションチェーン張力の調整 81
トランスミッションチェーンの潤滑 82
電球の交換 83
ヘッドランプの光軸調節 88
光軸の垂直方向調整 88
タイヤ 89
エンジンオイルレベルの点検 91
スパークプラグの清掃と交換 92
車両の清掃 93
長期間の不使用 94
重要注意事項 94
テクニカルデータ 95
車体寸法 95
重量 95
燃料補充 96
エンジン 97
タイミングシステム 97
性能データ 98
スパークプラグ 98
燃料供給 98
フレーム 98
ホイール 98
タイヤ 98
ブレーキ 99
トランスミッション 100
サスペンション 101
エキゾーストシステム 101
カラーバリエーション 101
エレクトリカルシステム 102
定期点検メモ 109
5

はじめに
保証について
あなた自身のため、また製品の信頼性を保証するために、
特に専門的技術が要求される整備作業は、Ducati オフィ
シャルディーラーの修理工場にお委せ頂くよう強くお薦
めします。
Ducati オフィシャルディーラーの熟練したスタッフが、ど
のような整備作業も行える適切な器材と、完璧な互換性、
円滑な作動、ロングライフを保証する Ducati オリジナル
部品のみを使用し、最善のサービスを提供致します。
全ての Ducati モーターサイクルには保証書が添付されて
います。 車両を競技やそれに類する目的に使用した場合
には保証の対象外となります。 また保証期間中に、たとえ
車両の一部でも Ducati オリジナル部品でない物と交換し
たり、改造したり、変更した場合、Ducatiモーター社の保
証は適用されません。
6
シンボルマーク
この車両についてより良い理解を深めるため、当マニュア
ルを注意深くお読み下さい。 車両について、不明な点、さ
らに詳しくお知りになりたい点がある場合には、ご購入先
のオフィシャルディーラーにお尋ね下さい。 当マニュア
ルに記載された情報は、あなたの走行に役立つことでしょ
う。Ducati モーターホールディング社は、快適で楽しい走
行を願いつつ、長期にわたってあなたの車両の性能を保つ
ようお手伝いしていきたいと思っております。 本マニュ
アルには注意事項として、下記のシンボルマークが使用さ
れています:
警告
この説明を順守しなかった場合、重度の負傷および
死亡にまで至る危険性があります。
重要
車両ならびに車両構成部品に損傷の可能性がありま
す。
注意
作業上の注意事項
文中の「右」、「左」の表記は乗車位置から見た場合の表示
です。

安全運転のための注意
警告
運転をはじめる前に読んで下さい。
多くの事故はほとんど経験不足のために起こります。 走行
する際は常に免許証を所持しているか確かめて下さい。免
許証は期限が有効でお客様の車両の運転に適したものが必
要です。
あなたの車両を未経験者、および有 効な免 許証 を持 って い
ない人に貸さないで下さい。
ライダー、パッセンジャー共に 常に 適した服装およびヘル
メットの着用は義務となっております。
視界を制限したり、操作の妨げにな るアク セサ リー など が
付いていない、適切なライディング ウエア ーを 着用 して 下
さい。
絶対に屋内ではエンジンを始動したり、 作 動さ せた りし な
いで下さい。 排気ガスは有毒で、短時間で意識を失ったり、
さらには死亡にまで至る危険性があります。
ライダー、パッセンジャー共に、車両が動いている間は足
をフットレストに載せていて下さい。
急な進路変更や、路面状況の変化に対処できるよう、 常に両
手でしっかりとハンドルバーを保持して下さい 。パッセン
ジャーはシートサイドのパッセンジャー用グラブバーを常
に両手で保持しなければなりません。
走行地域の道交法、法律を遵守して運転して下さい。
常に指示された速度制限を厳守するとともに、視界や道路
条件、混雑の割合に合わせて、常に速度を調節して下さい。
レーンチェンジする時や曲がる時には、常に適時にターン
インジケーターを使用して早めに合図して下さい。
良好な視界を保ち、前方の車両の”死角”に入って走行し
ないようにして下さい。
交差点や、私有地の出口に近い場所、駐車場、高速道路へ
の進入路等を走行する場合は充分に注意して下さい。
給油時は 常に エンジンを停止し、給油の際、エンジンやエ
キゾーストパイプにガソリンをこぼさないよう特に注意し
て下さい。
給油時は絶対に、喫煙しないで下さい。
給油の際に、人体に有毒な気化した ガソ リンを 吸い 込む 可
能性があります。 もしもガソリンが皮膚や衣服に付着した
場合は、直ちに石鹸と水で洗浄し衣服を取り替えて下さい。
車両から離れる場合は、 常に キーを抜いて下さい。
エンジン、エキゾーストパイプ、サイレンサーはエンジン
停止後も長時間高熱を保ちます。
警告
エキゾーストシステムは、エンジンスイッチを切っ
た後も熱い場合があります。手を触れないよう充分注意
し、車両を木材、木の葉などの可燃物のそばに駐車しない
ようにして下さい。
車体は人や物がぶつからないような場所にサイド / セン
タースタンドを使用して駐車して下さい。
平面でないところや柔らかい地面、および車両が倒れる可
能性がある場所には絶対に駐車しないで下さい。
7

最大積載時の走行
当車両は、許容最大重量の荷物を積載しても、長距離を安
全かつ快適に走行できるよう設計されています。
重量をバランス良く配分することは、通常の安全走行に必
要な注意事項です。凸凹道を走行したり、急な進路変更を
必要とする時のトラブルを避けるために、特に重要です。
重要
サイドバッグを搭載している場合は、120 Km/h以上
で走行しない事をお勧めします。それ以外に、タイヤの状
態、視野、路面状況が悪い場合には、更に速度を落とす必
要があります。
8
積載許容量について
ライダー、パッセンジャー、荷物、アクセサリー全ての走
行時の重量は、以下の数値を越えてはいけません:
420 Kg / 924 Ibs
積み荷は 23Kg を超えてはいけません。( 図 1) の様に振り
分けます:
サイドバックは 1 個につき最大 9 Kg
タンクバックは 5 Kg
図 1

積み荷は車体の中心に近く、できる限り低い位置に配置す
るよう努めて下さい。
積み荷は車両にしっかりと固定して下さい。積み荷が完全
に固定されていないと車両転倒の原因になります。
車両が不安定になりますので、ハンドルバーやフロント
マッドガード部に、体積や重量のあるものを載せないで下
さい。
フレームのすき間に絶対に物を挟み込まないで下さい。可
動部分の妨げになる恐れがあります。
サイドバッグを取り付ける際は (Ducati オリジナルパーツ
サービスにて取り扱っております )
荷物やアクセサリーをそれぞれの重量に基づき、サイド
バッグの重量が均一になるように心がけます。
それぞれのロックでサイドバッグを閉めます。
タイヤが、89 ページに定められた規定空気圧を保持 し、
また良いコンディションにあることを確かめて下さい。
9

認識データ
すべての Ducati モーターサイクルはフレームナンバー
( 図 2) とエンジンナンバー ( 図 3) の 2 つの製造番号で確
認できます。
フレーム N.
エンジン N.
注意
これらのナンバーはモデルを確認するのに必要で、
スペアパーツを注文する際に必要となります。
10
図 2
図 3

運転に必要なコマンド
1
警告
この章には、車両を運転する上で必要な全ての操作
類の機能と配置が詳しく説明されています。 操作類を使
用する前に、注意深く読んで下さい。
コマンド類の位置 ( 図 4)
1) インストルメントパネル
2) イグニッションスイッチ / ステアリングロック
3) 左側スイッチ
4) クラッチコントロールレバー
5) リアブレーキペダル
6) 右側スイッチ
7) スロットルツイストグリップ
8) フロントブレーキレバー
9) ギアチェンジコントロールペダル
4
8
7
3
2
9
6
5
図 4
11

インストルメントパネル ( 図 5.1 および 図 5.2)
1) LCD、 (14ページ参照 )
2) コントロールボタン A とB
インストルメントパネル上のパラメーター表示、設定ボタ
ン
3) イモビライザー IMMO インジケーター ( 琥珀色 )
キーコードが誤っている場合、もしくはキーコードが認識
されない場合、インジケーターは点灯したままになりま
す。イモビライザー・システムが出した警告を、スロット
ルグリップによるイモビライザー解除でリセットすると、
インジケーターは点滅します (28 ページ参照 )。
重要
インストルメントパネルは、エレクトロニックイン
ジェクション/イグニッションシステムの診断を許可しま
す。
このメニューの使用は専門の人に限られますので、絶対に
触らないで下さい。 誤ってこの機能に入ってしまった場
合は、キーを OFF のポジションにして、ドゥカティアシ
スタントサービスに御連絡下さい。
4) タコメーター (rpm)
一分間のエンジン回転数を表示。
12
2
3
1
km/h
miles
mph
km/L
mpgal
4
図 5.1

5) ABS ランプ ( オレンジ ) (ST3S ABS)
キーを ON (CHECK) にすると、ランプが数秒間点灯して
から消灯し、ABS が作動している事を示します。
左側スイッチで ABS システムを OFF にすると、ランプが
点滅します (32 ページ参照 )。
2
3
1
重要
ランプが点灯したまま消えない場合は、ブレーキ機
能に異常がなくても、ABS システムが作動しないことを
示します。オフィシャルディーラーまたはサービスセン
ターにご連絡下さい。ABS システムが正常に作動しない
原因として、バッテリー電圧の低下が考えられますので、
とりあえずバッテリーの充電を行う事をお勧めします。そ
の他の原因としては、システムの故障が考えられます。
km/h
miles
mph
km/L
mpgal
ABS
5
4
図 5.2
13

LCD の主な機能
警告
インストルメントパネルのコントロールは必ず車両
が停止している時に行なって下さい。 運転中にインスト
ルメントパネルの操作は絶対に行わないで下さい。
1) 水温計
エンジンの冷却液の温度を表示します。
重要
水温が最高温度に達した時は車両を使用しないで下
さい。エンジンを傷める可能性があります。
4) 補助ディスプレイ
オドメーター、トリップメーター、平均速度、瞬間燃料消
費量、平均燃料消費量、現在までの燃料消費量、走行可能
距離、燃料残量が順に表示されます。
5) EOBD ランプ ( 琥珀色 )
CPU からエラー情報を受け取った場合に点灯し、その結
果ブロックがかかりエンジンが作動しなくなります。
スロットルグリップによってイモビライザーを解除して
いる間も点灯します。
エラーが存在しない時は、イグニッションキーを ON にす
ると点灯し、数秒後に消えます ( 通常 1.8 〜 2秒後 )。
2) 時計
3) スピードメーター
車両の走行速度を表示。
14
6) ターンインジケーター表示灯 (緑 )
ターンインジケーターを ONにすると点灯してから、点滅
を始めます。

7) エンジンオイル圧警告灯 (赤 )
エンジンオイルのプレッシャーが低すぎる時に点灯しま
す。 イグニッションスイッチを ON にすると点灯し、通常
はエンジン始動後数秒で消灯します。 エンジン温度が高
い時に、場合によって数秒間点灯することがありますが、
回転数が上がると消灯します。
重要
エンジンに重度の破損をもたらす恐れがあるので、
このインジケーター (7) が点灯したままの時には車両を使
用しないで下さい。
8) ニュートラルランプ N ( 緑色 )
ギアポジションがニュートラルの時に点灯します。
9) ハイビーム表示灯 ( 青色 )
ハイビームが ON の時に点灯します。
10)燃料残量警告ランプ (黄色 )
燃料タンク内の燃料が約6.5リットルになった時に点灯し
ます。
11)燃料ディスプレイ
燃料タンク内の残量燃料が表示されます。 最後のバーが
点滅すると、低燃料レベルのランプ (10) が点灯します。
1
2
13
3
12
0
11
9
km/h
1
miles
mph
km/L
mpgal
67810
4
5
図 6
12)光軸の垂直方向調整インジケーター
光軸垂直方向調整モードを選択すると点灯します。
13)定期メンテナンス時期インジケーター
規定のメンテナンスサービスが必要な時期が来たことを
知らせます。 メンテナンスを要する走行距離を過ぎても
走行を続けると、最初の 50 Km の間このランプは点滅し、
その後点灯したままになります。 DUCATI アシスタント
サービスにてメンテナンスサービスを受けた後にリセッ
トされます。
15

LCD -パラメータ-設定 / 表示
イグニッションキーを ON にすると、インストルメントパ
ネルはすべての計器 ( ポインター、ディスプレイ、ランプ )
のチェックを行います ( 図 7参照 )。
OFF
16
km/h
1
0
miles
mph
km/L
mpgal
CHECK 1
CHECK 2
km/h
1
0
ON
図 7

水温インジケーター ( 図8)
エンジンの冷却液の温度を表示します。
温度が 40 ºC/104 ºF 以下の時はディスプレィに "LO" が点
滅表示されます。
40 ºC/104 ºF から 120 ºC/248 ºF の間では温度数値が表示
されます。
121 ºC/250 ºF から 124 ºC/255 ºF の間では "HI" が点滅表示
されます。
水温が 125 ºC /257 ºF に達すると、点線 `---` がディスプレ
イ上に点滅表示され、EOBDランプが点灯します (5、図 6)。
注意
水温センサーが接続されていない場合は、点線 `---` が
ディスプレイ上に表示され、EOBD ランプが点灯します
(5、図 6)。
図 8
17

時計の調整
ボタン (A、図 5.1) を 2 秒間押し続けると AM の文字が点
滅を始めます。 ボタン (B) を再度押すと PM の文字が点滅
を始めます。前に戻るにはボタン (B) を押してください。
ボタン (A) を押して AM/PM の確認を行うと、数字が点滅
する時間調整の画面になります。
ボタン (B) を繰り返して押して時間を合わせます。 ボタン
(B) を5 秒以上押し続けると時間数が早く進みます。 次に、
ボタン (A) を押すし時間の確認を行ってから、分の調整に
移ります。 ボタン (B) を押すと分数が進みます。 ボタン (B)
を5秒以上押し続けると時間数が早く進みます。 ボタン(A)
を押すと調整画面を終了します。
補助ディスプレイ機能 ( 図 9)
キーを ON にし、ボタン (B、図 5.1) を押し続けると次の
機能が順に表示されます:
- オドメーター
- トリップメーター (TRIP)
- 平均速度
- 瞬間燃料消費量
- 平均消費量
- 現在までの燃料消費量
- 走行可能距離
- 燃料残量
18
km
miles
km
miles
km/h
mph
km/L
m
pga
l
km/L
m
pgal
L
ga
l
km
m
iles
L
ga
l
図 9

" オドメーター " 機能 ( 図 10)
総走行距離を表示します。
" トリップメーター "(TRIP) ( 図 10)
リセット後の走行距離を表示します。 リセットするには
ボタン (A、図 5.1) を少なくとも 2 秒間押します。 数字が
9999.9 Km に達すると、ディスプレイは自動的にリセット
されます。
"平均速度"機能( 図 10)
車両の平均速度が表示されます。 トリップメーター (TRIP)
のリセット後の走行距離に基づいて計算された平均速度
が表示されます。 走行速度が 280 km/h (174 mph) に達し
た時点でディスプレイ上に "---" が表示されます。
"瞬間燃料消費量 " 機能 ( 図 10)
走行中の瞬間燃料消費量がディスプレイに表示されます。
車両を停車している状態でエンジンが作動している時は、
ディスプレイ上に "--.-"が表示されます。 エンジンを切って
停止している時は、'0.0' が表示されます。
km
miles
km
miles
km/h
mph
km/L
mpgal
図 10
19

"平均燃料消費量 " 機能 ( 図 11)
走行中の平均燃料消費量がディスプレイに表示されます。
" トリップメーター" (TRIP) が 0 の時は "--.-" が表示され、2
km を過ぎた時点で値が表示されます。 車両が停止してい
る時はエンジンの ON/OFF 状態に関らず、メモリーされ
ている最後の数字が表示されます。
"( 現在までの ) 燃料消費量 "機能 ( 図 11)
燃料消費量が表示されます。 トリップメーター (TRIP) の
リセット後の燃料消費量を表示します。 9999.9 リットル
を越えると、表示は点線 `--.-` に変ります。
20
km/L
mpgal
L
gal
図 11

"走行可能距離"機能 ( 図 12)
タンク内の燃料残量で走行できる距離を計算し、表示し
ます。 車両が停止している時はエンジンの ON/OFF 状態
に関らず、メモリーされている最後の数字が表示されて
います。 燃料警告ランプ(10、 図6) が点灯するとディスプ
レイに "--.-" が表示され、燃料警告ランプが消えるまで表
示され続けます。
注意
データの更新は 10 秒ごとに行われます。
km
miles
" デジタル燃料残量 "( 図 12)
タンク内の燃料残量を示します。 燃料警告ランプ (10、
図6)が点灯すると点線 `--.-`がディスプレイ上に表示され、
燃料ポンプのシンボルが点滅を始めます。
燃料警告ランプの点灯 :
燃料タンク内の残量が 6リットルになった事示します。
このランプが点いた時に (10、図 6) "--.-" が表示され、ガ
ソリンポンプ警告灯が点灯し始めます。 走行中の燃料残
量がディスプレイに表示されます。 車両停止の状態では、
エンジンの ON/OFF 状態に関らず、保存されている最後の
データが表示されます。
gal
L
図 12
21

光軸の垂直方向調 ( 図 13.1、図 13.2)
ヘッドランプ光軸の垂直調整ができます。 この機能モー
ドに入るには、ボタン (B、図 5.1) を押しながら、キーを
ON にします。ディスプレイ上にヘッドランプ光軸の現在
の位置 ( 図 13.2) を示す値が表示され、ディスプレイ上に
ランプが点灯します (12、図 6)。
ランプの垂直調整可能角度は 3 から -3 で、7 ポジション
に調整可能です (3、 2、 1、 0、 -1、 -2、 -3)。
22
図 13.1

下部に調整したい場合には (A、図 5.1) を押し、上部に調
節する場合は (B、図 5.1) を押します。
数字の左側にはポジションが "0" より高いか低いかを " ガ
イドライン " が示します ( 角度変更中はどの方向に変更中
かを点滅して知らせます )。
この機能を終えるにはキーを OFF にして下さい。
この機能を終える度にポジションが記録されます。
注意
この機能が作動している間は、イグニッション不可
能となります。
図 13.2
23

特別選択機能:車両・モデルと測定単位 ( 図 14)
ディスプレイに表示される車両のモデルと測定単位は、
CPU から自動的にインストルメントパネルに伝えられま
す。これを強制的に変える場合は、ボタン (A、図 5.1) と
(B、図 5.1) を同時に押してイグニッションキーを OFF か
ら ON にします。ディスプレイに車両のモデルとバージョ
ンが点滅表示されます。ボタン (B) を押すと設定可能なパ
ラメーターが順に表示されます。 保存するには、OFF が表
示されるまでボタン(A)を少なくとも5秒押してから、キー
を OFF に戻します。
注意
この機能が作動している間は、イグニッション不可
能となります。
24
図 14

インストルメントパネルのライト機能
インストルメントパネルのライト機能は、パーキングラン
プ、もしくはロー / ハイビームが ON になっている場合の
み機能します。
周囲の明るさ、気温を感知するセンサーによってインスト
ルメントパネルのライトは自動的に ON/OFF の状態に切
り換わります。
ランプ類の明るさ調整機能
パーキングランプ、もしくはロー / ハイビームが ON に
なっている場合のみ機能します。
周囲の明るさに応じてメータパネルがランプの明るさを
自動調節します。
ヘッドランプの自動消灯機能
ヘッドランプが自動的に OFF となり、バッテリーの消費
量を抑えます。
この機能は次の 2
つの場合に作動します:
- キーを OFF から ON にしても、エンジン始動が行われ
なかった時。 ヘッドランプは 60 秒後に消灯し、もう一
度点けるには、キーを OFF から ON にする必要があり
ます。
- または、ヘッドランプが点いた状態で通常使用終了後、
エンジンストップスイッチ (2、 図21) を使用してエンジ
ン停止した時。 エンジン停止 60 秒後、ヘッドランプは
自動的に消灯し、後に、エンジンを始動した時に点灯し
ます。
注意
エンジンを始動させている間はヘッドランプは消え
ています。エンジンが始動すると、もしくはボタン (3、図
21) を放すと、ヘッドランプが点きます。
イモビライザーシステム
この車両には電子制御でエンジンをブロックする盗難防
止装置 ( イモビライザー ) が搭載されています。イモビラ
イザーは、毎回エンジンを停止する度に自動的に作動しま
す。
各キーのボディにはトランスポンダーが内蔵されていま
す。トランスポンダーからの信号は、イグニッションス
イッチ部に組み込まれたアンテナを介してコントロール
ユニットに送られます。 この信号は“パスワード”の役割
を果たし、イグニッションキーがスイッチに差し込まれる
度に、毎回変更されます。CPU が “パスワード”によっ
てキーを認識した時のみエンジンが始動します。
25

キー ( 図 15)
車両には、以下のキーが付属してきます:
- 赤いキー (A)1 本
- 黒いキー (B)2 本
警告
赤いキーには、キーを最適な状態に保ち、他のキー
との接触を防ぐためゴム製のカバーが取り付けられてい
ます。 本当に必要な場合以外は絶対にこのカバーを取り
外さないで下さい。
黒いキーは、通常のイグニッションキーで下記に使用され
ます:
- エンジンの始動
- 燃料タンクキャップの開閉
- シートロック
赤いキーは黒いキーと同じ機能を持つ他、2 本の黒キーの
コードメモリー変更、削除の機能を併せ持っています。
警告
強い衝撃を与えるとキーに内蔵された電子部品を損
傷しますので注意してください。
注意
3 本のキーには、キーの認識番号の書かれたプレート
(1) が付いています。
警告
キーとプレート (1) は別にして、安全な場所に保管し
て下さい。 車両を始動するのに 2 本の黒いキーのうち、
1 本のみを使用するようにしてください。
B
A
26
1
図 15

コードカード
キーと併せて以下のコードが記載されたコードカード
( 図 16) が付属してきます。
カードには、キーオン後にエンジンブロックが作動した場
合に使用するエレクトロニックコード (A、図17) が記載さ
れています。
警告
コードカードは安全な場所に保管して下さい。 ス
ロットルグリップを使用してエンジンブロックを解除す
る (28 ページ参照 ) 場合に備えて、コードカードに記載さ
れたエレクトロニックコードを控えて、常に携帯されるこ
とをお勧めします。
イモビライザーシステムに問題がある場合、琥珀色の
EOBD ランプ (5、図 6) の点灯によって示されるエンジン
ブロック機能を解除するには、下記の手順に従ってくださ
い。
図 16
A
図 17
27

スロットルグリップを使用してイモビライザーエンジン
ブロック解除の手順
1) キーを ON にし、スロットルグリップと同時に回した
状態を保ちます。
EOBD ランプ (5、図 6) は 8 秒後に消灯します。
2)EOBD ランプが消えた時点でグリップを放します。
3)EOBD ランプはもう一度点灯し、点滅します。 この時点
でディーラーから車両引渡しの際に渡されたコードカー
ドに記されているエレクトロニックコードを入力します。
4) EOBD ランプの点滅数とコードの最初の数が一緒にな
るように数えます。 スロットルグリップを 2 秒間全開に
し、元に戻します。 一つの数字の入力がこうして認識さ
れ、EOBD ランプが 4 秒間点灯します。 最後の数値を挿入
するまでこの作業を繰り返します。
アクセルを使っても出来ない時は、EOBD ランプが 20 回
点滅し、その後ランプが点灯し、もう一度 (1) からやり直
すことになります。
5) スロットルグリップを放して下さい。もし入力された
コードが正しければ、次の過程に移ります:
A) EOBD ランプが点滅しブロック解除を知らせます。 警
告ランプは 4 秒後、もしくはエンジン回転数が 1000
rpm を越えると通常の状態 ( 消灯 ) に戻ります。
B) IMMO ランプ (3、図 5.1 および図 5.2) がエンジン回転
数が 1000 rpm を越えるまで、もしくはエンジンが再
始動するまで点滅します。
28
6) もしも入力されたコード番号が違っていた場合、EOBD
ランプと IMMO ランプは点灯し続けます。キーを OFF に
戻して手順 (2) から回数制限なく、作業をやり直すことが
出来ます。
注意
定められた秒数より前にスロットルグリップを放し
た場合は、警告ランプが再び点灯します。キーを OFF に
戻し、手順 (1) に戻って作業をやり直す必要があります。

操作
イグニッションキーを ON から OFF の位置に回す度に、
イモビライザーはエンジンブロックを作動します。
エンジンの始動には、キーを OFF から ON の位置に回し
て下さい ( キー ON):
1) コードが認証されると、インストルメントパネルの
IMMO ランプが短時間点滅します。これは、イモビライ
ザーシステムがキーのコードを認証しエンジンブロック
を解除したことを意味します。 スタートボタンを押し
続けるとエンジンが始動します。
2) IMMO ランプが点灯したままの状態が続いた場合は、
コードが認証されていないことを示します。 キーをOFFの
位置に戻して、再度 ON の位置に回します。それでもエン
ジンが始動しない場合は、付属のもう一本の黒いキーを使
い、もう一度試して下さい。 もしこの方法でもまだブロッ
クが解除されない場合は、DUCATI アシスタントサービス
に御連絡下さい。
3) IMMO ランプが点滅し続けている場合は、イモビライ
ザーシステムがリセットされたことを ( 例えば、スロット
ルグリップを使用しての解除作業 ) 意味します。
重要
作業中は常に同じキーのみをを使用してください。
違うキーを使用すると、システムのコード認証の妨げにな
る場合があります。
キーの複製
追加のキーを必要とされる場合、お手元の全てのキーと
コードカードを持って、ドゥカティ・アシスタントサービ
スにお問い合わせ下さい。
DUCATI アシスタントサービスは、新しいキーとお手元の
キー全てを ( 最高 8 本まで ) 再メモリーします。
DUCATI アシスタントサービスは、お客様がオーナーであ
る証明の提示を求める事がありますので、必要書類をご持
参下さい。
再メモリーされなかったキーのメモリーは削除され、無効
となり、エンジンを始動することはできません。
注意
オーナー変更の場合、全てのキーとコードカードを
新しいオーナーに譲り渡されなければなりません。
29

イグニッションスイッチ / ステアリングロック ( 図 18 )
燃料タンクの前に配置され、4つのポジションがあります:
A) ON: エンジンとランプが作動中
B) OFF: エンジンとランプ機能停止
C) LOCK: ステアリングロック作動中
D) P: パーキングランプ+ステアリングロック
注意
キーを (C)、(D) の 位置に するに は、キーを押してか
ら回して下さい。 (B)、(C)、(D) の位置ではキーを引き抜く
ことができます。
30
A
B
C
D
図 18

左側スイッチ ( 図 19.1 および図 19.2)
1) ランプ切り替えスイッチ。2 つのポジションがありま
す:
ポジション = ロービーム点灯中
ポジション = ハイビーム点灯中
2) スイッチ= ターンインジケーターには 3 つのポジ
ションがあります:
中央 = OFF
ポジション= 左折
ポジション= 右折
ターンインジケーターをとるには中央部に戻ったスイッ
チを一度押します。
3) スイッチ= 警告ホーン
4) スイッチ = ハイビーム点滅
1
4
2
3
図 19.1
31

ST3S ABS
5) ボタン = ABS OFF
ABS システムを OFF にするには、インストルメントパ
ネル上のオレンジのランプが点滅するまでボタンを 3
秒以上押します。
ABS ボタンを放します。
注意
ボタンを 5 秒以上押し続けるか、ABS ランプが点灯
する前に放すかすると、システムはONのまま保たれます。
1
4
5
2
警告
この作業は車両を停車している時にのみ(キーON状
態 ) 行うことが出来ます。
注意
ABS システムが OFF 状態である事を、オレンジのラ
ンプが点滅し続ける事で示します。
注意
キーを OFF にすると、ABS システムは自動的に OFF
になり、次のキー ON で、システムは作動します。
32
ST3S ABS
3
図 19.2

クラッチレバー ( 図 20)
レバー (1) でクラッチの接続を操作します。
この機種にはアジャスター (2) がついており、レバーとグ
リップとの間隔の調整が可能です。 調整をするには、レ
バー (1) をいっぱいに倒した状態で、つまみ (2) を回して
4 つの中で最適な位置にセットします。
ポジション 1 は、レバーとグリップの間隔が最大で、逆に
ポジション 4 は間隔が最小です。
レバー (1) を引くと、エンジンの回転がトランスミッショ
ンおよびリアホイールに伝わらなくなります。 クラッチ
の適切な操作は、スムーズなライディング、特に発進時に
重要です。
警告
クラッチ及びブレーキレバーの調整は、車両が停止
した状態で行います。
重要
クラッチレバーを正しく操作することで、トランス
ミッションの損傷を避け、車両の寿命を延ばすことができ
ます。
注意
サイドスタンドを降ろし、トランスミッションが
ニュートラルの状態でエンジンを始動させることができ
ます。また、ギアが入った状態で始動する時は、クラッチ
レバーを引いて下さい(この場合サイドスタンドは降ろし
ません )。
4
3
1
2
2
1
図 20
33

右側スイッチ ( 図 21)
1) スイッチ = 警告ランプ点滅
全てのターンインジケーターを同時に点滅させます。
解除するにはもう一度押します。
2) ENGINE STOP ( エンジン停止 ) スイッチには 2 つのポ
ジションがあります:
(RUN) = エンジン作動
(OFF)= エンジン停止
2
4
1
警告
このスイッチは、エンジンを直ちに停止させなけれ
ばならない緊急時等に使用することを目的としています。
エンジン停止後は、再始動ができるようにスイッチを
ポジションに戻して下さい。
重要
ヘッドランプを点灯して走行時、スイッチ (2) を使用
してエンジンを停止しイグニッションキーを ON のポジ
ションで放置すると、ランプが点灯したままとなり、バッ
テリー切れの原因になります。
3) ボタン=エンジン始動
34
3
図 21

スロットルグリップ ( 図22)
ハンドルバー右側のスロットルグリップは、スロットルボ
ディのスロットルを操作します。 グリップの握りを緩め
ると、自動的に元の位置( アイドリング状態) に戻ります。
フロントブレーキレバー ( 図 22)
フロント・ブレーキレバー (1) をスロットルグリップの方
向へ引くと、フロントブレーキがかかります。 このレバー
は油圧で作動するため、軽く握るだけで充分です。
この機種にはダイヤル (2) が付いており、レバーとグリッ
プとの間隔が調整できるようになっています。
調整をするには、レバー(1) をいっぱいに倒した状態で、
つまみ(2)を回して4つの中で最適な位置にセットします。
参考:
ポジション 1 ではレバーとグリップの間隔が最も広く、ポ
ジション 4 では最も狭くなります。
警告
フロント・ブレーキレバーの調整は車両が停止して
いるときに行なって下さい。
警告
このレバーを操作する前に、62 ページの説明をお読
み下さい。
4
3
1
2
2
1
図 22
35

リアブレーキ・ペダル (図 23)
ペダル (1) を下に踏むことで、リアブレーキが機能します。
システムは油圧式で作動します。
ギアチェンジペダル ( 図24)
ギアチェンジペダルは、上下に動き、中央のニュートラル
のポジション N に自動的に戻ります:
下へ=シフトダウンおよび 1 速へのチェンジは、ペダルを
下に押します。 この時に、インストルメントパネルの N ラ
ンプが消えます。
上へ=ペダルを上へ上げることで、2速から順次 3、4、5、
6 速へとチェンジします。
一回の操作が一速分のチェンジに相当します。
36
1
図 23
6
5
4
3
2
N
1
図 24

ギアチェンジペダルとリアブレーキペダルの位置調整
( 図 25、図 26)
ギアチェンジペダルとリアブレーキペダルのポジション
は、それぞれのライダーのライディングスタイルとフット
レストの位置に合わせて調整することができます。
ギアチェンジペダルのポジションは次の手順で調整しま
す:
ロッド (1) を固定しながら、ロックナット (2) と (3) を緩め
ます。
注意
ナット (2) は、逆ネジになっています。
ギアチェンジペダルを好みの位置に定めながら、レンチで
ロッド (1) の六角部分を回します。
ロッドの両端をナットで締めこみ固定します。
図 25
37

リアブレーキペダルの調整は以下の手順で行います:
ロックナット (4) を緩めます。
ペダルが好みの位置になるまで、アジャスター (5) を回し
ます。
ナット (4) を締め付けます。
ペダルを手で押しながら、ブレーキがかかり始めるまでに
約 1.5 〜 2 mm の遊びがあるかを確認します。
もしも上記のような遊びが確認できない場合、マスターシ
リンダーロッドの長さを次の手順で調整します:
ロッドの上にあるナット (6) を緩めます。
フォーク (7) のロッドの遊びを増したい場合は締めこみ、
逆に減らしたい場合は緩めます。
ナット (6) を締め、ロッドを固定し再度遊びを確認します。
38
6
4
7
5
図 26

主要構成部品 / 装備
車両上のポジション (図 27)
1) 燃料タンクキャップ
2) シートロック / ヘルメットフック
3) サイドスタンド
4) 車両リフトハンドル
5) センタースタンド
6) リアビューミラー
7) フロントフォークアジャスター
8) リアショックアジャスター
9) コンセント
10)触媒システム
6
7 1
4
2
9
87
3 5
10
1
7
2
6
8
図 27
39

燃料タンクキャップ (図 28)
開け方
キャップの保護カバー (1)を起こし、イグニッションキー
を差し込み、 時計回りに1/4回転してロックを解除すれば、
キャップを開けることができます。
キャップを持ち上げて下さい。
閉め方
キーの差し込まれたキャップを押して閉じ、 キーを反時
計回りに回して、元の位置に戻してから抜き取ります。 保
護カバー (1) を閉めます。
注意
キャップはキーが差し込まれていないと閉まりませ
ん。
警告
燃料補給 (64 ページ参照 65) 後は毎回、キャップが正
しい位置で確実に閉まっていることを確かめて下さい。
40
1/4
OPEN
0
1
図 28

シートロック / ヘルメットフック
開け方 ( 図 29)
ロック (4) にイグニッションキーを差し込み、時計回りに
1/4 回転して、ボディからシートを外して下さい。 シート
を後方に引き、前方ホルダー (1) から引き抜きます。
シート下後方に、ライダー / パッセンジャーのヘルメット
固定用ケーブル (2) があります (66ページ参照 )。 ケーブル
をヘルメットに通してから、その端を2つあるフック (3)
の片方に掛けて、 外部に吊り下げ ( 図 30)、シートを取り
付けて下さい。
警告
このヘルメットフックは、車両を駐車する時のみ使
用して下さい。 ヘルメットをフックにつけたまま走行す
ると、ステアリングに影響し転倒の危険性があります。
閉め方
シート下小物入れ内部の全ての物が正しく整理されてい
るか確かめて下さい。 シート底の前部端をフレームのク
ランプに差し込み、シートの後部をカチッと言う音が聞こ
えるまで押します。 シートがしっかりフレームに固定さ
れている事を確認し、キーをロックから抜き取ります。
0
O
P
E
N
0
C
L
O
S
E
1
1
1
4
図 29
2
3
図 30
41

盗難防止用ロック ( 図 31)
シート下に盗難防止用ロック (1) があります。バンド (2)を
外して取り出して下さい。
治安の悪い場所に駐車する時などに、ステアリングロック
の補助としてお使い下さい。
警告
錠前や車両前進を妨げるブロックシステム ( 例、ディ
スクブロックシステム、スプロケットブロックシステムな
ど ) の使用はとても危険で、車両に損傷を起こし、ライ
ダー、パッセンジャーを危険にさらす恐れがあります。
42
2
1
図 31

サイドスタンド ( 図 32)
重要
サイドスタンドは、短時間の停車時のみに使用して
ください。
サイドスタンドを使用する前に、路面が適しているか、平
らであるかを確かめて下さい。
柔らかい地面、砂利、日光で柔らかくなったアスファルト
等に停車することは、車両転倒の原因となります。
傾斜面に停車する場合は、常にリアホイールが斜面の低い
方に向くようにして下さい。
サイドスタンドを使用するには、ハンドルバーを両手で掴
み、車体を支えながら、スタンドのフック (1) を足でいっ
ぱいに押します。 次に、スタンドがしっかりと路面に着く
まで、車体を徐々に傾けていきます。
警告
サイドスタンド使用時には、車両にまたがらないで
下さい。
サイドスタンドを 元の位置 ( 水平位置 ) に戻すには、車両
を右側に傾けながら、足の甲でフック(1)を持ち上げます。
図 32
注意
定期的にスタンド ( 内側と外側 2 つのスプリングの
損傷と摩耗 ) と安全センサー (2) の作動を点検することを
お勧めします。
注意
サイドスタンドを降ろし、トランスミッションが
ニュートラルの状態でエンジンを始動させることができ
ます。ギアが入った状態で始動する時は、クラッチレバー
を引いて下さい(この際サイドスタンドは降ろしません )。
43

リフトハンドル
車両をセンタースタンドに載せる場合や、その他のパーキ
ング作業をする時に、左側パッセンジャーフットレスト脇
にあるハンドル (1、図 33) を使用して下さい。
使用するには、ハンドルを外側に回します。作業終了後、
ハンドルから手を離すと自動的に元の位置に戻ります。
コンセント
この車両には、専用アクセサリーの為の電源コンセント
(2、図 33) があります。
コンセントは 20A のヒューズで保護されています。
2
44
1
図 33

センタースタンド
車両を安定してパーキングするために、常にセンター・ス
タンド (1、図 34) を使用して下さい。 センター・スタンド
は、許容最大重量が積載されていても使用できます。
警告
スタンドを使用する前に、路面が適しているか、平
らであるかを確かめて下さい。
左手で左ハンドルバーを、右手でリフトハンドル (2、図
35)を掴み、 右足でセンタースタンドのフック (3)を地面に
当たるまで押します。同時に、掴んだハンドルで車両を上
に持ち上げ、それから後ろに引きます。
センタースタンドを元に戻すには、ハンドルを掴み、後輪
が地面に届くまで、前に押します。 スタンドは自動的に元
の位置に戻ります。
警告
走行時は、スタンドがきちんと収納されているかを
確かめて下さい。
定期的にスタンドの部品 ( 内側と外側 2 つのスプリングの
損傷と摩耗 ) の作動を点検することをお勧めします。
1
3
図 34
2
3
図 35
45

リアビューミラー ( 図 36)
リアビューミラーは、フェアリング側に回り込む働きをす
る特別なバネで接続された 2 つの部分からなっています。
衝撃により位置がずれても、元の位置に戻ります。
注意
リアビューミラーの位置を変えてはいけません。内
側にあるばねは万が一のためにあるだけです。
重要
部品が外れた場合や、ミラーを交換するときは、
Ducati オフィシャルディーラーの修理工場にご相談下さ
い。
警告
リアビューミラー無しでの走行は決してしないで下
さい。後部の視野不足は重大な事故の要因となります。
ミラーのレンズは 2 フォーカスで、死角を作ることなく、
後部のより広い視野確保が可能です:
A) 表面内側=実物大のイメージ
B) 表面外側=拡大されたイメージ
警告
ミラーに写るイメージの物体は、実際はもっと近く
にあります。この現象は、ミラーの表面外側 (B) に写る物
体に関して著しくなります。
46
A
B
図 36

フロントフォーク調整の記録 (ST3)
フォークはプリロード時のみ調整可能です。
調整は外部張拡レコードにより行われます:
1) インナースプリングプリロード調整 ( 図 37)
標準調整 :
スプリングプリロード (A、 図 37): 16 mm
調節差 :
スプリングプリロード (A、図 37): 10 〜 25 mm
A
各フォーク内部のスプリングプリロードを変更するには、
六角アジャスターナット (1) を 22 mm 六角ピンレンチで
回します。
重要
両方のフォークを同じセッティングにして下さい。
1
図 37
47

フロントフォーク調整の記録 (ST3S ABS)
車両のフロントフォークには、リバウンド / コンプレッ
ションダンピングアジャスターが装備されています。
この調整は外部スクリューアジャスターにて行います:
1) ( 図 38) リバウンドダンピング調整
2) ( 図 38) インナースプリングプリロード調整
3) ( 図 39) コンプレッションダンピング調整
リバウンドダンピングを調節するには、ドライバー ( − )
で、各フォークの上部に配置されているアジャスター(1)
を回します。
アジャスター(3、図 39) の調整は、フロントフォーク下部
のホイールシャフトの穴からドライバーを差し込み、行い
ます。
スクリュー (1 と 3) を回すと、カチッと言う音がします。
一回の音がダンピング 1段に相当します。
いっぱいに締め込むとダンピングが最強 (0) にセットされ
ます。
この位置から、反時計回り方向に廻してカチッという音で
ダンピングを 1 段目、2 段目、…と数えます。
48
1
A
1
2
図 38

標準設定:
コンプレッション側:12 段目
リバウンド側:11 段目
スプリングプリロード: 16 mm
調整値
コンプレッション側:16 段目
リバウンド側:14 段目
スプリングプリロード (A、図 38): 10 〜 25 mm
各フォーク内部のスプリング・プリロードを変更するに
は、六角アジャスター・ナット (2、図 38) を 22 mm 六角
ピンレンチで回します。
重要
両方のフォークを同じセッティングにして下さい。
3
図 39
49

リアショックアブソーバー調整の記録 (ST3)
リアショックアブソーバーは荷重に合わせて調整できる
よう外部アジャスターを装備しています。
リバウンド用アジャスター(1、図 40) は、コントロールユ
ニットの近くの後部右側に配置され、拡張の時点で油圧ブ
レーキを調節します。
コンプレッションダンピングの調整アジャスター(2、図
41) は、エキスパッションタンクに配置されています。
時計回り方向にアジャスター (1 と2) を回とダンピングが
強くなり (H)、反対方向に回すと弱くなります (S)。
標準設定。アジャスターを完全に時計回りの方向に締めた
状態:
- アジャスター (1) を 2.5 回転
- アジャスター (2) を 12 段目
スプリングプリロード: 18 mm
ショックアブソーバーの上部にあるピン (3、 図41) で外部
スプリングプリロードを測ります。
スプリングプリロードの調整には付属のピンレンチでピ
ンを回します。 プリロードを強くする場合は反時計回り
に、弱くする場合は時計回りに回して下さい。
アブソーバー上のスプリングプリロードの標準の長さ :
160 mm
50
S
1
H
図 40
2
3
図 41

警告
アジャスターのピンを回すにはピンレンチを使用し
てください。 調整中にレンチがピンの溝から外れると、手
を車体に強くぶつけ、怪我をする恐れがあるのでよく注意
して下さい。
警告
ショックアブソーバーには高圧のガスが充填されて
います。未経験者による分解作業は重大な損傷の原因とな
ります。
重要
パッセンジャーと荷物を載せる場合にはリアアブ
ソーバーのスプリングプリロード値を最大にしておくと、
ダイナミックな動きおよび、地面との接触を防ぐのに役立
ちます。 さらに、エキスパンション時の油圧ブレーキの調
整も必要となります。
51

リアショックアブソーバー調整の記録 (ST3S ABS)
リアショック・アブソーバーは荷重に合わせて調整できる
よう外部アジャスターを装備しています。
リバウンド用アジャスター(1、図 42) は、コントロールユ
ニットの近くの後部右側に配置され、拡張の時点で油圧ブ
レーキを調節します。
コンプレッションダンピングの調整アジャスター(2、図
43) は、エキスパッションタンクに配置されています。
時計回り方向にアジャスター (1 と2) を回とダンピングが
強くなり (H)、反対方向に回すと弱くなります (S)。
標準設定。アジャスターを完全に時計回りの方向に締めた
状態:
- アジャスター (1) を 14 段緩めた位置
- アジャスター (2) を 14 段緩めた位置
スプリングプリロード: 20.5 mm
1
図 42
調整値
リバウンド側:20 段目
コンプレッション側:20 段目
スプリングプリロード: 20 〜 30 mm
右側パッセンジャー・フットレスト下部のノブ (3、図 43)
は、スプリングプリロードの調整に使用します。
スプリング・プリロードを変更するには、ノブ (3) を手で
回します。 プリロードを強くする場合は時計回りに、弱く
する場合は反時計回りに回して下さい。
アブソーバー上のスプリングプリロードの標準の長さ :
149.5 mm
52
2
3
図 43

警告
ショックアブソーバーには高圧のガスが充填されて
います。未経験者による分解作業は重大な損傷の原因とな
ります。
重要
パッセンジャー載せて走行する際には、スプリング
プリロードを最大に設定すれば、路面からの影響を受けに
くくなり、走行安定性が増します。 この場合には、リバウ
ンドダンピングの再調整が必要になることがあります。
53

車高の調節 ( 図 44 - 図 45 - 図 46)
この車両の車高は、Ducati 社の技術者がさまざまな走行状
態でテストを行い決定しています。
車高の調整は非常にデリケートな作業で、不適切な変更作
業を行うとライダーの身体に危険をもたらします。
標準車高を変更する前に、基準値 (H、図 44) を測定して
おくことをお薦めします。
ライダーはアブソーバーのポジションを変更し、自分のラ
イディングスタイルに合わせた車高の変更が可能です。
ロックナット (3) を緩めて、ボールジョイント (1) の軸間
距離を変更します。
注意
下側のナット (3) は逆ネジですので注意して下さい。
レンチでリンケージ (2)を調整します。
調整後はナット (3) を 25 Nm のトルクで締め込んで下さ
い。
警告
リンクロッド (2) 両端の、ボールジョイント (1) の軸
間距離は 272 mm を超えてはなりません。
54
H
図 44
1
3
3
2
2
1
図 45

ユニボールヘッド (A) のネジ部はネジ山5つ分、長さにし
て 7.5 mm (B) 以上、外に出さないでください。
B
A
図 46
55

運転のしかた
慣らし運転の方法
慣らし運転時の最高速度 ( 図 47)
慣らし運転期間中の最高許容回転数:
1) 1000 km まで
2) 1000 〜 2500 km まで
1000 km まで
最初の 1000 km までは、タコメーターに注意し、
6000 rpm
最初の数時間は、制限された回転数の範囲内でエンジンの
負荷と回転数をさまざまに変えることをお勧めします。
このために、エンジン、ブレーキ、サスペンションのより
効果的な慣らしは、カーブの多い、起伏に富んだ場所を走
行することが理想的です。
最初の 100 km は、ブレーキディスクに対してパッドの摩
擦材を適切に慣らすために、優しくブレーキをかけ、急な
ブレーキや長い間ブレーキをかけることは避けて下さい。
56
車両全てのメカ部分を互いに馴染ませるため、また、エン
ジンの主要部分の寿命に悪影響が出ないよう、乱暴な加速
と、特に上り坂での長時間の高速回転を避けて下さい。
定期的にチェーンを点検し、必要があれば注油して調整し
て下さい。
1000 〜 2500 km まで
この期間では、エンジンからよりパワーを引き出す事は可
能ですが、下記の回転数を決して超えないようにして下さ
い:
7500 rpm

重要
慣らしの期間中は、当マニュアルに指定された点検、
整備を必ず受けて下さい。 これは保証の必須条件で、この
条件が順守されなかった結果としてのエンジンの損傷や
寿命の短縮については Ducati モーターホールディング社
はいかなる責任を負うものではありません。
1.000 ÷ 2.500 Km
1
慣らし運転の方法を遵守することでエンジンの寿命を延
ばし、調整、オーバーホールの回数を減らすことが可能で
す。
km/h
1
0
miles
mph
km/L
mpgal
0 ÷ 1.000 Km
図 47
57

走行前のチェック
警告
走行前にこれらの点検を怠った場合、車両に損傷を
与え、ライダー、及びパッセンジャーがケガをする恐れが
あります。
走行前に以下の点検を実施して下さい:
タンク内の燃料残量
タンク内燃料の残量を確認して下さい。 必要であれば給
油して下さい (65 ページ参照 )。
エンジンオイル量
エンジンオイル量をクランクケースの点検窓からチェッ
クしてください。 必要であれば指定オイルを補充して下
さい (91 ページ参照 )。
ブレーキ、クラッチ液量
各リザーバータンク内の液量を確認して下さい。
冷却液量
エキスパンションタンク内の液量を確認し、必要であれば
を補充して下さい (75 ページ参照 )。
タイヤコンディション
空気圧と摩耗度を確認して下さい (89 ページ参照 )。
操作系
ブレーキ、クラッチ、アクセル、ギアチェンジの作動を確
認します。
ランプ、インジケーター
ランプ系、インジケーター、ホーンが適切に作動するか確
認します。電球が切れている場合には交換して下さい (83
ページ参照 )。
58
キーロック
燃料タンクのキャップ、シート、のロックが確実に閉じて
いるか確認して下さい。
スタンド
サイドスタンド (43 ページ ) およびセンタースタンド (45
ページ参照 ) の機能と正しい配置を点検します。
ABS ランプ
キーをONにしてランプが数秒点灯することを確認して下
さい。ランプがその後消えれば、ABS が正確に作動して
いる事を示します。
警告
もし不備な点がある場合には、車両の使用を中止し、
Ducati オフィシャルディーラーにご連絡下さい。

ABS システム (ST3S ABS)
フロント (1) とリア (2) のフォニックホイールに汚れ等が
付着していないことを確認してください。
警告
点検用窓が詰まっていると、システムが正常に機能
しなくなるおそれがあります。
泥の多い路面を走行する時には ABS システムがうまく機
能しない場合がありますのでシステムを OFF にしておく
ことをおすすめします。
1
図 48
2
図 49
59

エンジンの始動
警告
エンジンを始動する前に、走行に必要な操作系の取
り扱いに慣れておいて下さい。
1) イグニッション・キーを ON の位置にします ( 図 50)。
緑のランプ N と赤のランプ が点いている事を確認し
てください。
重要
オイルプレッシャー表示ランプ(15ページ参照) はエ
ンジン始動後、数秒で消えなければなりません。
注意
サイドスタンドを降ろし、トランスミッションが
ニュートラルの状態でエンジンを始動させることができ
ます。ギアが入った状態で始動する時は、クラッチレバー
を引いて下さい(この際サイドスタンドは上がっていなけ
ればなりません )。
60
ON
図 50

2) エンジンストップスイッチ (1、図 51) が (RUN) の
位置になっていることを確認し、始動ボタン (2) を押しま
す。
このモデルにはワンタッチスターターが装備されていま
す。 この機能によりボタン (2) をすぐ放してもエンジンの
ワンタッチ始動が可能です。 エンジンの自動始動に必要
なボタン (2) を押す秒数は、エンジンの温度により変わっ
てきます。エンジンが作動している時、このシステムはス
ターターモーターのドライブを妨げます。エンジンが始動
しなかった場合には、2 秒ほど待ってからボタン (2) をも
う一度押し直して下さい。
スロットルグリップを回さず、自動的に始動させて下さ
い。
重要
エンジンが冷たい間は回転数を上げ過ぎないで下さ
い。 潤滑が必要な全ての部分にオイルを行き渡らせるため
に、エンジンが温まるのを待ってください。
1
2
図 51
61

始動と発進
1) クラッチレバーを引いてクラッチを切ります。
2)1 速に変速するためにギアチェンジペダルをつま先で
しっかり押し下げます。
3) スロットルグリップを回してエンジンの回転数を上げ、
同時にクラッチレバーを徐々に放します。車両が発進しま
す。
4) クラッチレバーを完全に放し、エンジンの回転数を上げ
ます。
5) シフトアップするには、エンジン回転を落とすためにス
ロットルを戻し、クラッチを切り、ギアチェンジペダルを
もち上げ、クラッチレバーを放します。
シフトダウンするには、スロットルグリップを放し、ク
ラッチレバーを引いてから、ギアを同調させやすくするた
めにエンジンを軽くふかしてシフトダウンし、クラッチを
放します。
操作類は適切に素早く操作しなければなりません。上り坂
を走行する際には、車速が落ちてきたらすぐにシフトダウ
ンし、車両への異常なストレスやエンジンのノッキングを
避けて下さい。
重要
キャブレターのオーバーフローやトランスミッショ
ンのスナッチを招く激しい加速操作は避けて下さい。 ギ
アを変速した後もクラッチレバーを引いたままでいると、
機械部分の過熱や摩擦部分の異常な摩耗を引き起こしま
す。
62
ブレーキング
減速するには、最初にスロットルグリップを戻してエンジ
ンブレーキをかけ、それからブレーキングします。 エンジ
ンが急に止まるのを防ぐため、車両が停止する前に、ク
ラッチを切ります。
警告 (ST3)
レバーとペダルの内、片方しか使用しなかった場合、
ブレーキ効果が低下します。 ブレーキを強く、または乱暴
にかけるとホイールがロックされ、車両のコントロールが
きかなくなります。 雨の中を走行する際や、滑りやすい路
面上ではブレーキ能力が著しく低下します。 こういった
コンディションでは慎重で優しいブレーキ操作を心がけ
て下さい。 急ブレーキは車両のコントロールを失わせる
危険があります。 長く急な下り坂を走行する際にはシフ
トダウンしてエンジンブレーキを使用します。ブレーキは
断続的に短時間だけ使用して下さい。ブレーキの長時間に
わたる連続的使用は、摩耗材の過熱を招き、ブレーキ能力
の著しい低下の原因となります。 指定空気圧値以下のタ
イヤはブレーキ能力を低下させるとともに摩耗を早め、ま
た運転の的確さと、カーブでの安定を欠きます。

ABS システム (ST3S ABS)
困難な条件下のブレーキ操作は、非常に慎重に行わなけれ
ばなりません。 最も難しいと同時に、危険な操作で、ブ
レーキ時の転倒、事故のリスク一番高いことは統計上でも
示されています。 フロントホイールがロックされると、牽
引力、安定性が減り、車両のコントロールを失います。
アンチロックブレーキシステム (ABS) は、緊急のブレーキ
時、悪道路、悪天候の下でブレーキの性能を最も効率的に
使えるように開発されたものです。
ABS は油圧 / 電子システムです。ホイールがロックされそ
うになると、ホイールにあるセンサーからコントロールユ
ニットに信号が送られ、ブレーキ回路内のプレッシャーが
制御されます。
一時的にプレッシャーが下がることで、タイヤが理想的な
接地状態を維持したまま、ホイールは回転を続けます。 ブ
レーキ回路内のプレッシャーはすぐにまた上がり始め、ブ
レーキが作動するようになります。ロックアップのリスク
が完全になくなるまでこのサイクルが繰り返されます。
ABS が 働くと、ブレーキ レバ ーと ペダ ルに軽 い抵 抗、脈
動が感じられます。
フロントとリアブレーキのコントロールシステムはそれ
ぞれ独立していますので、 ABS もフロントとリアブレー
キに同時に作動するわけではありません。
ABS を解除 するには 左側スイ ッチのボ タンを押 して下さ
い (32 ページ参照 )。
警告
ABS が解除されている時は通常のブレーキシステム
が働きます。効果的なブレーキングのためにレバーとペダ
ル両方のブレーキを使用して下さい。片方しか使用しな
かった場合にはブレーキ効果が低下します。 ブレーキを
強く、または乱暴にかけるとホイールがロックされ、車両
のコントロールがきかなくなります。 雨中を走行する際
や、滑りやすい路面上ではブレーキ能力が著しく低下しま
す。 こういったコンディションでは慎重で優しいブレー
キ操作を心がけて下さい。 急ブレーキは車両のコント
ロールを失わせる危険があります。 長く急な下り坂を走
行する際にはシフトダウンしてエンジンブレーキを使用
します。ブレーキは断続的に短時間だけ使用して下さい。
ブレーキの長時間にわたる連続的使用は、摩耗材の過熱を
招き、ブレーキ能力の著しい低下の原因となります。 指定
空気圧値以下のタイヤはブレーキ能力を低下させるとと
もに摩耗を早め、また運転の的確さと、カーブでの安定を
欠きます。
63

車両の停止
スロットルグリップを緩めると、車両は 徐々にスピード
を落とし始めます。 シフトダウンしながらクラッチをつ
ないでいき、最後に 1 速からニュートラルに入れます。 ブ
レーキをかけると、車両を完全に停止させることができま
す。 エンジンを停止させるには、イグニッション・キーを
OFF ( 図 52) の位置に回すだけです。
重要
電装部分に損傷を招くので、エンジン停止中には絶
対にイグニッション・キーを ON の位置にしたままにしな
いで下さい。
パーキング
車両を停止させてから、サイドスタンドを使って駐車 (45
ページ参照 ) します。
盗難防止のためにイグニッション・キーを押してから回
し、LOCK (図 53) の位置にすることでハンドルがロック
されます。
付属の盗難防止用ロック (45 ページ参照 ) も合わせてお使
いになることをお勧めします。
車両をガレージ、その他の建物内に駐車する際には、換気
が充分で、車両の近くに熱源が無いことを確認して下さ
い。
必要な場合には、車両を認識しやすいようにイグニッショ
ンキーを P の位置に回し、パーキングランプを点灯して
おくことができます。
64
図 52
図 53

重要
このスイッチを長い間 P の位置に放置しておくと、
バッテリー切れの原因になります。 監視できない場所に
キーを付けたままで車両を放置しないで下さい。
警告
エキゾーストシステムは、エンジンスイッチを切っ
た後も熱い場合があります。手を触れないよう充分注意
し、車両を木材、木の葉などの可燃物のそばに駐車しない
ようにして下さい。
燃料補給
給油時、入れすぎないように注意してください。 燃料は給
油口の下縁をこえてはいけません ( 図 54)。
警告
鉛の含有率が低いオクタン価が95以上の無鉛ガソリ
ンを使用して下さい。
給油口の上部に燃料が溜まってないことを確認して下さ
い。
Max level
図 54
65

アクセサリー ( 図 55)
シート下の小物入れには、以下の物が収納されています :
オーナーズマニュアル
ヘルメット装着用ケーブル
車両の簡単な点検、整備をするためのレンチと工具の入っ
たツールバッグ
取り出しには、留め具を (8)外し、シートを取り外す必要
があります (41 ページ参照 )。
ツールバッグ ( 図 56)
内容 :
1) スパークプラグ用六角レンチ
2) ダブルスクリュードライバー
3) アレンレンチ
4) ヘルメット装着用ケーブル
5) 延長用グリップ
6) 多角ドライバー
7) ショックアブソーバーリングナット用レンチ
(ST3S ABS バージョンには付属されていません )
0
O
P
E
N
0
C
L
O
S
E
1
1
8
図 55
4
5
7
1
DUCATI
6
2
66
3
図 56

主な使用方法とメンテナンス
装飾部分の脱着
車両を正しく整備、修理するためには、該当部分を取り外
すことが必要です。
警告
取り外したパーツはしっかりと付け直して下さい。
しっかり取り付けられていないと、走行中に脱落し、車両
のコントロールを失う危険があります。
重要
車体の塗装部分、及びスクリーンのプレキシグラス
に傷を付けないために、スクリュー再装着の際には常に専
用ナイロンワッシャーをお使い下さい。 セルフタッピン
グタイプのスクリューは、必要以上に締め過ぎると、取り
つけ面に損傷を与え、その後取り付ける事が出来なくなり
ます。
ロアハーフフェアリング
各ロアハーフフェアリングをアッパーハーフフェアリン
グに接合している 4 本のスクリュー (1) を取り外します
( 図 57)。
1
図 57
67

ハーフフェアリングどうしを接合している 2 本のスク
リューのうち、1 本のスクリュー (2、図 58) を緩めます。
ワッシャー(5、図 58)、プレート (4、図 58 ) のウェルナッ
ト (6、図 58) を回収します。
プレートはロアハーフフェアリングに接続したままにし
ておきます。
ロアハーフフェアリングをフロントエアベントに固定し
ている 2 本のスクリュー (3、図 58) を緩めます。
ブリーザーパイプ (7、図 58) を左側ロアハーフフェアリン
グから外します。
ロアハーフフェアリングを取り外します。
68
3
2
7
5
7
3
3
2
6
4
図 58

インストルメントパネルカバー
後部パネル (2) をヘッドランプフェアリングに固定してい
るスクリュー (1) を緩めます。
後部パネル (2) を前部パネル (3) から引き抜きます。
前部パネル (3) を外すには、スクリュー (4) を緩め、ウイ
ンドスクリーン (5) を取外します。
スクリュー (6) を緩めて、ワイヤリングを切り離し、前方
パネルを (3) をインストルメントパネルと共に取 外しま
す。
図 60
5
4
4
図 59
6
6
6
7
図 61
69

ヘッドランプフェアリング
メータパネルのカバーを取り外します。
リアビューミラー内側 4 本のスクリュー (1、図 62) を緩
め、リアビューミラーを取り外します。 ターンインジケー
ターのケーブルを切り離します (2、図 63)。
70
1
図 62
2
図 63

ヘッドランプフェアリングをハーフフェアリングに固定
しているの 8 本のスクリュー(3、図64、図 65) を外します。
ヘッドランプから引き抜くように、フェアリングを取り外
します。
重要
取り付けは、両方のリアビューミラーのサポートの
スクリューを緩めてから、ヘッドランプフェアリングを取
り付ける必要があります。ターンインジケーターのケーブ
ルが押しつぶされない様に注意し、リアビューミラーをガ
スケットと共に取り付け、スクリュー(1、図 62) で固定し
ます。ヘッドランプフェアリングは上部が水平になるよう
に装着して下さい。前方のスクリュー (3、図 64、図 65)
をまず締めてから、緩めてあったサポートのスクリューを
締めます。
3 3
図 64
3
3
図 65
71
3

アッパーおよびロアハーフフェアリング
ヘッドランプフェアリングをハーフフェアリングに固定
しているの 8 本のスクリュー(3、図64、図 65) を外します。
それぞれのハーフフェアリングを前方デフレクターに固
定しているスクリュー (1、図 67) を緩めます。
それぞれのハーフフェアリングを前方デフレクターに固
定しているスクリュー (2、図 67) を緩めます。
ハーフフェアリングをフロントアベントスクリューに固
定している 2 本のスクリュー (3、図 67) を緩めます。
ハーフフェアリングどうしを接合している 2 本のスク
リューのうち片方を (4、図 67) を緩めます。
ハーフフェアリングを取り外します。
サイドバッグ
このモーターサイクルは、サイドバッグが取り付け可能で
す。
車両と同じカラーのサイドバッグキットは、 Ducatiスペア
パーツサービス部でお求めいただけます。
サイドバッグキットには、装着に必要な全てのアクセサ
リーと取り付け説明書が付属しています。
72
図 66
2
1
3
4
図 67

燃料タンクの持ち上げ
カバーを燃料タンクに固定している 2 本のスクリュー (1、
図 69) を緩めます。イグニッションスイッチからカバーを
取り外します。 タンクサポートからスプリングクリップ
(2、図 68) を外します。燃料タンクを持ち上げ、ロッド(3、
図 70) を外し、燃料タンクを図のように置いて下さい。
作業が終了したら、上記作業手順の逆の順序で取り付けを
行って下さい。
警告
燃料タンクキャップについている通気口からガソリ
ンが漏れるのを防ぐため、残量が 6 リットル以下 ( インス
トルメントパネルの燃料タンクインジケーターが点灯し
た状態 ) にあることを確認して下さい。
1
2
図 68
3
図 69
図 70
73

エアフィルターの清掃 / 交換
エアフィルターは、定期点検表で指定された一定期間毎に
必ず交換して下さい ( 保証書参照 )。 フィルターボックス
は燃料タンクを持ち上げた後、以下の手順で実施します。
フィルターボックス両側のカバークリップ (1、図 71) を外
し、カバー (2) を取り外します。
エアフィルターカートリッジ (3、図 72) を取り出し、新し
いものと交換します。
重要
詰まったフィルターは吸気能力を減少させ、燃費を
悪くし、エンジン出力の低下とスパークプラグの汚れを招
きます。
また、異物を吸引するとエンジンに損傷を引き起こすの
で、エアフィルターなしでは車両を使用しないで下さい。
エアフィルターを図 72 に示されるよう に正しく取り付
け、取り外した全てのパーツを正しく元の様に取りつけて
下さい。
重要
特に埃や湿気の多い環境では、点検表に指示された
間隔よりも頻繁にフィルターを交換して下さい (保証書参
照 )。
74
2
1
図 71
3
図 72

冷却液レベルのチェック
車両右側にあるエキスパッションタンクの冷却液レベル
をチェックして下さい。冷却液のレベルは、MAX と MIN
の印の間になければなりません ( 図 73)。
液体レベルが目盛り以下の場合は、補充して下さい。
インストルメントパネルの右側のサイドカバーを取り外
してから、注入口キャップ (1、図 74) を回して開け、水と
冷却液、SHELL Advance Coolant または Glycoshell (35 〜
40%) の混合液を MAX のレベルになるまで補充します。
キャップ (1) をきちんと閉め、取り外したパーツを元通り
に取りつけます。
上記に示された混合液を使用することで最良のコンディ
ションを保つ事が出来ます (-20 ºC/-4 ºF から凍結し始めま
す )。
冷却システム全体の許容量は、2.5 dm
3
( リットル ) です。
警告
この作業は、エンジン冷間時に車両が完全に垂直な
状態で行って下さい。
図 73
1
図 74
75

ブレーキ / クラッチ液量のチェック
ブレーキ、クラッチ液面のレベルは、絶対に各リザーバー
タンクの MIN 目盛り以下になってはいけません ( 図 75)。
液体レベルが下がりすぎると、回路内にエアが混入し、シ
ステム作動に悪影響を及ぼします。
また、定期点検表に指示されたブレーキ / クラッチ液補充
及び交換は、オフィシャルディーラーの修理工場に依頼し
て下さい ( 保証書参照 )。
重要
ブレーキ、クラッチチューブは 全て 4 年毎に交換し
て下さい。
クラッチシステム
クラッチレバーに過度の遊びがあり、ギアチェンジの際ク
ラッチにスナッチやジャダーが出る場合は、システム内に
エアが混入しています。 システムを点検しエアを排出す
る必要があるため、Ducati オフィシャルディーラーにご連
絡下さい。
警告
クラッチ液レベルはタンク内で、クラッチ・ディス
クの磨耗にしたがって上昇しやすい性質を持っています。
既定のレベルを超えないで下さい ( 最小レベルから 3 mm
上 )。
76
ブレーキシステム
ブレーキパッドが減っていないのに、ブレーキレバー、ブ
レーキペダルの過度の遊びに気付いた場合には、システム
を点検しエアを排出する必要があるため、Ducati オフィ
シャルディーラーにご連絡下さい。
警告
ブレーキ/クラッチ液はプラスチックの塗装部分に損
傷を与えますので、こぼさないようにして下さい。
図 75

ブレーキパッドの摩耗チェック
フロントブレーキ ( 図 76)
ブレーキパッドには摩耗チェックマークがあり、キャリ
パーからパッドを外すことなく、容易にチェックできま
す。 摩耗材に刻まれた溝が見えているうちはパッドの通
常使用範囲です。
リアブレーキ ( 図 76)
ブレーキパットは、磨耗面が両方とも最低 1mm の厚さが
なければなりません。
重要
ブレーキパッドの交換は Ducati オフィシャルディー
ラーで実施して下さい。
MIN
1 mm
図 76
77

接続部の潤滑
スロットルおよびスターターワイヤーは定期的に被膜の
状態をチェックしなければなりません。 外側プラスチッ
ク被膜に亀裂や押し潰された跡があってはいけません。
操作類を動かして、被膜の中でワイヤーがスムーズに動く
か確認して下さい。もし何らかの抵抗や、動きにくい箇所
がある場合には、Ducati オフィシャルデ ィーラーでワイ
ヤーケーブルを交換して下さい。
この様な不具合を避けるためには、ワイヤーの両端に、一
定期間毎に指定 SHELL Advance Grease かRetinax LX2を
使用し潤滑してください。
1
3
スロットルケーブルについては、2 本のスクリュー (2) を
外してカバー(1、図 77) を取り外し、ワイヤーの端とプー
リーを潤滑するのが最良の方法です。
警告
カバーを取り付ける際は、ワイヤーを正しくプー
リーに通してからカバーの溝 (3) に入れて下さい。
2 本のスクリュー (2) でカバーを固定します。
サイドスタンドのスムーズな作動を確保するために、汚れ
を取り除き、全ての可動部分に指定のグリース SHELL
Alvania R3 を塗布して下さい。
78
2
図 77

スロットルケーブルの張力調整
スロットルケーブルは、ハンドルバーのどの位置において
も、スロットルグリップの遊びが 1.5 〜 2.0 mm なければ
なりません。 もし調整が必要なら、スロットルグリップ基
部に設けられたアジャスター (1、 図 78) で行って下さい。
1,5 ÷ 2 mm
1
図 78
79

バッテリーの充電 ( 図 79)
バッテリーを充電する際には、バッテリーを車両から取り
外して実施して下さい。
右側フェアリング (72 ページ参照 ) を取り外します。スク
リュー(1) を緩めて、上部固定ブラケットを取り外します。
黒のマイナス端子 (-) を最初に外し、続いて赤のプラス端
子 (+) を外します。
警告
バッテリーは可燃性のガスを発生します。火気、熱
源のそばに置かないで下さい。
充電は換気のよい場所で行って下さい。
チャージャーのジャックを電極に接続します。赤をプラス
極 (+) に、黒をマイナス極 (-) に接続して下さい。
警告
バッテリーは幼児の手の届かないところに置いて下
さい。
バッテリーを 1A で 5 〜 10 時間充電します。
重要
ジャックを電極に接続する際に火花がスパークし、
セル内の可燃性ガスに引火する危険があるので、バッテ
リーへ接続する時は、チャージャーの電源が入っていない
ことを確認して下さい。
接続は常に赤の + 極から行って下さい。
バッテリーをマウントに載せ、上部ブラケットをスク
リュー (1) で固定します。
導電性を向上させるために、締め付けネジに少量のグリー
スを塗布し、端子を電極に接続します。
80
-
1
+
図 79

トランスミッションチェーン張力の調整
チェーンが一番引っ張られた状態になるまで、リアホイー
ルをゆっくりと回します。
センタースタンドを立てた状態で、スイングアーム中央部
のチェーンを指で押し上げて測定します。 チェーンの一
番下がっている部分でのたわみ ( 図 80):
30 mm (ST3)、
32 〜 34 mm (ST3S ABS)
張力の調整はホイールのピンのナット (1、図 81) を緩めま
す。フォーク両端のスクリュー (2) を同等分だけ締めて
( 時計回りに回す ) テンションを強めるか、緩めて弱める
かしてテンションを調整します。 張力を弱める場合には、
ホイールを前方に押さなければなりません。
重要
不適切なチェーンの張りは、トランスミッション部
品の磨耗を促進させます。
フォーク両側の位置マークが一致しているかどうかを確
認して下さい。これで完璧なホイールアライメントを確保
できます。
SHELL Retinax HDX2 で潤滑した、ホイールシャフトナッ
ト (1) を指定トルク 83 Nm で締め付けます。
SHELL Alvania R3 で潤滑した調整スクリュー(2) を指定ト
ルク 8 Nm で締め付けます。
30 mm ST3
32 ÷ 34 mm ST3S ABS
図 80
1
2
図 81
81

トランスミッションチェーンの潤滑
この車両には、泥などの侵入を防ぎ、潤滑をより保つ
O リングシールの付いたチェーンが装備されています。
チェーンを洗浄する場合、O リングシールの損傷を防止す
るため、専用の溶剤を使用して下さい。スチームや圧力の
かかった水で洗浄しないで下さい。 洗浄後は、コンプレッ
ションエアーでチェーンを乾かし、指定のSHELL Advance
Chain もしくは Advance Teflon Chain で潤滑します。
重要
指定オイル以外を塗布した場合には、チェーン、フ
ロント / リアスプロケットに損傷を与える可能性があり
ます。
82

電球の交換
切れた電球を交換する前に、新しい電球が 102 ページの
電装表の各仕様に適合しているか確認して下さい。
ヘッドランプ電球の取り外し ( 図 82、 図 83、 図84、 図85、
図 86)
ヘッドランプ電球交換作業の前に、インストルメントパネ
ルのサイドカバーを取り外し(69 ページ参照)、保護キャッ
プ (2) の留め具を外します。
左側ハイビーム電球 (図 83):
ケーブルを引き出し (3)てから、電球をケーブルから取り
外してください。
注意
電球のガラス部分を素手で触らないで下さい。熱に
より黒ずみ、明るさが落ちる原因となります。
1
2
図 82
3
図 83
83

右サイドハイビーム電球 ( 図 84、図 85):
コネクター (4) を切り離します。
ケーブル (6) を留めているクリップ (5) を外します。
電球の取り付けは、取り外した時の逆順で行ってくださ
い。
84
4
5
図 84
6
図 85

パーキングランプ電球の交換は、電球ホルダー (7、図 86)
をランプ後方から引き抜き、 電球を外し、交換します。
7
図 86
85

ターンインジケーター
ターンインジケーターの電球を交換するには、インストル
メントパネルのサイドカバーを取り外します。
フロントターンインジケーター:
電球ホルダー (1、図 87) を反時計回りに回して、
ターンインジケーターのボディから外します。 切れた電
球を取り出し、新しい電球を取り付けます。
はめ込む部分を上にし、ターンインジケーターボディに
しっかり填まるまで電球を時計回りに回します。
リアターンインジケーター:
スクリュー (2、図 88) を緩め、ランプカバー (3) とターン
インジケーターのボディを別々にします。
電球はバヨネットベースタイプなので、取り外すには押し
ながら反時計回りに回します。 交換した新しい電球は、押
しながら時計回りにカチッという音がするまで回して取
り付けます。 ボディのスロットにランプカバーのツメ (A)
を差し込みます。
スクリュー (2) で固定して下さい。
86
1
図 87
A
2
3
図 88

ナンバープレートランプ
ナンバープレートランプの電球を交換するには、ナンバー
プレートホルダーから電球ホルダーを引き抜きます。
電球を外して交換して下さい。
ストップランプ
ストップランプとパーキングランプの電球を交換するに
は、レンズを固定している 2 本のスクリュー(1、図 89) を
緩め、レンズを取り外します。 電球はバヨネットベース・
タイプなので、取り外すには押しながら反時計回りに回し
ます。 新しい電球を取り付けたら、押しながら今度は時計
回りにカチッと音がするまで回します (図90)。 スクリュー
(1) でレンズを固定します。
1
図 89
図 90
87

ヘッドランプの光軸調節 ( 図 91)
ヘッドランプの光軸をチェックするには、適正な空気圧の
タイヤの車両にライダーがまたがり、垂直に保ち、縦軸に
対して正しい角度を保持します。車両は壁またはスクリー
ンから 10m の距離に置きます。 壁にヘッドランプの中心
と同じ高さで水平に線を引き、また車体の縦軸に一致する
垂直線も引きます。
この作業はできれば薄明時に実施して下さい。
ロービームを点灯します:
光の照射範囲の高さが ( 照射された部分と明るいの部分と
の境界の上限 )、地上からヘッドランプの中心までの高さ
の 9/10 以下でなければなりません。
10 m
10
9
x
x
注意
この方法は、イタリアの基準で制定された照射角度
に準拠したものです。
イタリア以外の国では、それぞれの国の法律に従い調節し
てください。
光軸の垂直方向調整 (図 92)
インストルメントパネルにあるボタン(A)と(B) を押して、
ヘッドランプ光軸の垂直方向の調整を選択します(22 ペー
ジ参照 )。
88
A B
km/h
miles
mph
km/L
mpgal
図 91
図 92

タイヤ
フロントタイヤ空気圧、ライダー+荷物:
2.1 bar (2.14 kg/cm
リアタイヤ空気圧、ライダー+荷物:
2.2 bar (2.24 kg/cm
2
) 〜 2.3 bar (2.34 Kg/cm2)
2
) 〜 2.4 bar (2.44 kg/cm2)
フロントタイヤ空気圧、ライダー+パッセンジャー+荷
物:
2.4 bar (2.44 kg/cm
リアタイヤ空気圧、ライダー+パッセンジャー+荷物:
2.8 bar (2.85 kg/cm
2
) 〜 2.5 bar (2.54 kg/cm2)
2
) 〜 2.9 bar (2.95 kg/cm2)
タイヤの空気圧は気温や標高の影響も受けますので、走行
する場所の気温と標高の条件に合わせてチェックし、調整
することをお薦めします。
重要
タイヤの空気圧はタイヤ冷間時に測定しなければな
りません。
フロントホイール・リムがダメージを受けないように、状
態の悪い路面を走行する時はタイヤの空気圧を 0.2 〜 0.3
bar 上げて下さい。
タイヤの修理/交換
タイヤに小さな穴が開いた場合、チューブレスタイヤは空
気の減り方が遅いため、気付くまで時間がかかる事があり
ます。 タイヤの空気圧が下がってきた場合には、パンクの
可能性をチェックして下さい。
警告
タイヤがパンクした場合はタイヤを交換して下さ
い。
交換する際は、指定標準タイヤと同じメーカー、タイプを
御指定ください。
走行中のエア漏れを防ぐため、タイヤのバルブキャップが
しっかり締まっていることを確認して下さい。 チューブ
タイプのタイヤは絶対に使用しないで下さい。突然タイヤ
が破裂し、ライダー、パッセンジャーに危険を及ぼします。
タイヤ交換後は、必ずバランスチェックを行って下さい。
重要
ホイールのバランスウェイトを外したり、移動させ
たりしないで下さい。
警告 (ST3S ABS)
タイヤの交換が必要な場合は、ホイールが正しく脱
着されるように、Ducati オフィシャルディーラーの修理工
場にお任せ下さい。 センサー、フォーニックホイールなど
ABS のパ ーツが ホイー ルに装 着され ており、特別の調整
が必要になります。
89

タイヤ摩耗の限界
タイヤのトレッド面が一番摩耗している所 (S、図 93) で、
溝の深さを測定して下さい:
溝の深さは 2mm 以下、または道交法の基準値以下であっ
てはなりません。
重要
タイヤに傷やヒビがないか、特に側面を注意深く目
視点検し、ひどい損傷がある場合には交換して下さい。
出っ張りや他と大きく異なる箇所は内部の損傷を表わし
ているので、タイヤを交換しなければなりません。
トレッドに入り込んだ石や異物は取り除いて下さい。
90
図 93

エンジンオイルレベルの点検 ( 図 94)
エンジンオイル量は、クラッチカバー上のオイル点検窓
(1) で確認できます。
オイル量をチェックするには、車両を垂直に保ちます。エ
ンジンが暖まった状態でチェックします。液面が安定する
まで、エンジン停止後数分間待って下さい。 オイルレベル
は、点検窓の横に指示された目盛の間になければなりませ
ん。
もしもオイル量が少ない場合には、指定されたオイル
SHELL Advance Ultra 4 を補充する必要があります。
注入キャップ (2) を開け、オイルを正しいレベルまで補充
します。 注入キャップを閉じて下さい。
2
1
重要
定期点検表 ( 保証書参照 ) に指示されている、エンジ
ンオイルとフィルターの交換は、オフィシャルディーラー
の修理工場に依頼して下さい。
粘度
SAE 10W-40
車両を規定気温内の場所のみで使用する場合は、表に記さ
れた以外の粘度の物も使用可能です。
10W
Unigrade
15W–40 15W–50
10W–40
10W–30
Multigrade
–10
0 10 20 30 40 C
図 94
20W
20
30
40
20W–40 20W–50
91

スパークプラグの清掃と交換 ( 図 95)
スパークプラグはスムーズなエンジンの作動に不可欠で、
定期的な点検が必要です。
この作業は簡単で素早く行え、エンジン状態を良く知るこ
とができます。
左側ハーフフェアリングを取り外し、プラグキャップを外
し、備品のスパークプラグレンチでシリンダーヘッドから
プラグを外します。
中央電極のセラミックの色をチェックします:明るい茶色
であればエンジンの状態が良好なことを示しています。
もし変色していたり、汚れが堆積している場合には、ス
パークプラグを交換し、購入先のオフィシャルディーラー
にご報告下さい。
電極の摩耗もチェックします。電極が減っていたりガラス
状に溶けている場合には、スパークプラグを交換して下さ
い。
電極間の距離が 0.6 mm 〜 0.7 mmであるかどうか確認し
て下さい。
重要
調整のために電極を曲げる際は、慎重に行ってくだ
さい。 ギャップが広すぎたり、狭すぎたりするとエンジン
性能に影響を及ぼし、また、始動困難やアイドリングの不
安定を招きます。
金属ブラシを使って電極と絶縁体をていねいに清掃し、
シールの状態をチェックします。
燃焼室に異物が混入しないように、シリンダーヘッドのプ
ラグシートを注意して清掃します。
92
プラグをシリンダーヘッドの中にしっかりと入るまで指
で回して締め込みます。 プラグは指定されたトルク
20 Nm で締め込みます。
トルクレンチをお持ちでない場合には、指で締めた後、備
品のスパークプラグレンチで更に 1/2 回転締め込むこと
で、指定されたトルクと同じ効果が得られます。
重要
指定と異なる熱価や、ネジ長のスパークプラグは絶
対に使用しないで下さい。
スパークプラグはしっかりと締め付けなければなりませ
ん。
0,6÷0,7 mm
図 95

車両の清掃
ペンキ塗装部分とメタリック塗装部分のオリジナルな艶
を長い間保つため、走行する道路のコンディションに合わ
せて、車両を定期的に清掃、洗車しなければなりません。
車両に損傷を与えないように、強すぎる洗剤や溶剤を使用
しないために専用の洗剤と水を使って洗車して下さい。
重要
走行後すぐに洗車すると、エンジンがまだ熱いため
水分が蒸発し染みになる恐れがあります。
高温や圧力のかかった水で洗浄しないで下さい。
ウオッシャー等の使用は、サスペンションやホイールベア
リング、電装部分、エアー吸入口、サイレンサーの磨耗や
変形をもたらすおそれがあります。
エンジンが酷く汚れている場合は、脂質除去剤をトランス
ミッション系 ( チェーン、スプロケット等 ) に付かないよ
うに気を付けながら清掃してください。
水道水で良くすすぎ、車体全表面部をセーム革で拭きま
す。
警告
洗車した後は、ブレーキ能力が落ちることがありま
す。 ブレーキディスクには絶対に、グリースやその他のい
かなるオイルを付けないで下さい。ブレーキ能力が失われ
ます。 ディスクは非油性の溶剤で清掃して下さい。
警告 ST3S ABS
ABS の装置が効率よく作動するように、フォニック
ホイールに注意して清掃してください。 ホイールやセン
サーをいためますので、強い洗剤、溶剤の使用は避けてく
ださい。
93

長期間の不使用
車両を長期間使用しない場合には、保管する前に以下の作
業を実施するようお薦めします:
車両を清掃します。
ドレンプラグをシールと共に外し、燃料タンクを空にしま
す。
シリンダーにスパークプラグの所から少しだけエンジン
オイルを入れ、手で何回転かさせ、内壁部にオイルが行き
渡るようにします。
車両をスタンドに配置します。
ケーブルを外し、バッテリーを取り外します。 1ヶ月以上
車両を使用しなかった場合には、バッテリーの点検と充電
を行う必要があります。
結露を防止し塗装を保護するため、車体はカバーで覆って
下さい。
車体カバーは DucatiPerformance 社にて取り扱っていま
す。
94
重要注意事項
国によっては ( フランス、ドイツ、イギリス、スイス等 )
排気ガス、騒音規制の基準を設けている場合があります。
法に義務付けられた定期点検を行う他、規制に適さない部
品がある場合は、適合するDucatiのオリジナルスペアパー
ツと交換して下さい。

テクニカルデータ
車体寸法 (mm) ( 図 96)
1274906
重量
乾燥重量 ( 燃料なし ):
212.5 Kg / 468 Ibs 燃料抜き (ST3)
201 Kg / 442 lbs 燃料類およびバッテリー抜き (ST3)
215.7 Kg / 475 Ibs 燃料抜き (ST3S ABS)
204 Kg / 449 lbs 燃料類およびバッテリー抜き (ST3S ABS)
最大積載重量:
420 Kg / 924 Ibs
警告
重量制限を遵守しない場合、操縦性と性能の低下を
招き、車両のコントロールを失う原因となります。
910 ÷ 930
165
1430
2070
370
820
535
図 96
95

燃料補充 タイプ
燃料タンク、リザーブ 6 dm
3
( リットル )
オクタン最低値 95 の無鉛ガソリン
を含む
クランクケース、エンジンオイルフィル
ター
SHELL - Advance Ultra 4 3.9
フロント/リアブレーキ、クラッチシステム 油圧システム用特性液 SHELL - Advance
Brake DOT 4
電極保護液 配線用スプレー SHELL - Advance Contact
Cleaner
3
dm
( リットル )
21
—
—
フロントフォーク SHELL - Advance Fork 7.5 または DonaxTA0.504 ( シャフトごと )
(ST3)
0.518 ( シャフトごと )
(ST3S ABS)
冷却回路 不凍液 SHELL - Advance Coolant または
2.5
Glycoshell 35 〜 40% + 水
重要
絶対に燃料、オイル等には添加剤を加えないで下さい。
96

エンジン
縦 90º L 型 4 サイクル 2 気筒エンジン
ボア:
94 mm.
ストローク:
71.5 mm
総排気量:
3
992 cm
圧縮比:
11.3 ± 0.5:1
最大クランクシャフト出力 (95/1/EC):
75 kw - 102 馬力 /8750 rpm
最大クランクシャフトトルク、(95/1/EC):
93 Nm (9.5 kgm) /7250 rpm
許容最大回転数:
9500 rpm
重要
どんな場合でも許容最高回転数を越えた状態で走行
してはいけません。
タイミングシステム
デスモドロミックシステム: シリンダーごとに3 本のバル
ブ、6 本のロッカーアーム (3 オープニングロッカーアー
ム、3 クロージングロッカーアーム )、カムシャフト シリ
ンダーギアとベルトローラー、歯付きベルトを介して ク
ランクシャフトで制御されます。
デスモドロミックタイミングシステム ( 図 97)
1) オープニング ( もしくは上側 ) ロッカーアーム
2) オープニングロッカーシム
3) スプリットリング
4) クロージング ( もしくは下側 ) ロッカーシム
5) ロッカーアームリターンスプリング
6) クロージング ( もしくは下側 ) ロッカーシム
7) カムシャフト
8) バルブ
7
1
5
2
4
2
3
4
6
3
4
6
8
5
8
2
3
図 97
97

性能データ
各ギアにおける最高速度への到達は適切な指定点検整備
を受けて、適正な慣らし期間が済んだ後に限ります。
ホイール
3 スポーク軽合金リム (ST3)
5 スポーク軽合金リム (ST3S ABS)
スパークプラグ
メーカー:
CHAMPION
タイプ:
RG 4 HC
燃料供給
間接エレクトロニックインジェクション MARELLI
スロットルボディ直径:
50 mm
シリンダー用インジェクター:1
インジェクター用穴:1
ガソリン供給 : 95-98 RON
フレーム
高耐久性スチールパイプを用いたトレリスフレーム
ステアリングアングル (左右 ):
30º
ステアリングヘッドアングル
24º
トレール:
102 mm
98
フロント
サイズ:
MT3.50x17"
リア
サイズ:
MT5.50x17"
ホイールは両方ともシャフト取り外し可能です。
タイヤ
フロント
チューブレスラジアルタイヤ
サイズ:
120/70-ZR17
リア
チューブレスラジアルタイヤ
サイズ:
180/55-ZR17

ブレーキ
ABS (ST3S ABS)
各ホイールに装着された、「ホール」効果のフォニックホ
イールセンサーによるアンチロックブレーキシステムは
前後ホイール、別々に作動します。ABS の作動は解除で
きます。
フロント
穴付きダブルディスク
材質 :
アルミニウム
ブレーキトラック材質
スチール
ディスク径:
320 mm
右側ハンドルバーバーによる油圧作動
ブレーキディスク表面 :
2
88 cm
ダブルピストンブレーキキャリパー
メーカー:
BREMBO
タイプ:
4 ピストン 30/34
ブレーキパッド材質:
TOSHIBA TT2802
ポンプ形式:
PSC 16
リア
穴付き固定ディスク、スチール製
ディスク径:
245 mm
車体右側ペダルによる油圧作動
有効面積:
2
25 cm
ダブルピストンブレーキキャリパー
メーカー:
BREMBO
タイプ:
P34
ブレーキパッド材質:
FERIT I/D 450FF
ポンプ形式:
PS11
警告
ブレーキ液は腐食性です。 誤 って目や皮膚に付いた
場合は大量の水で洗浄して下さい。
99