Yamaha PLG150-VL User Manual [ja]

安全上のご注意 ご使用の前に、必ずこの「安全上のご注意」をよくお読みください。

ここに示した注意事項は、製品を安全に正しくご使用いただき、あなたや他の人々への危害や損害を未然に防止するため のものです。 注意事項は、危害や損害の大きさと切迫の程度を明示するために、誤った取り扱いをすると生じることが想定される内容 を「警告」と「注意」に区分しています。いずれもお客様の安全や機器の保全に関する重要な内容ですので、必ずお守りください。
記号表示について
記号は、危険、警告または注意を示します。 記号は、禁止行為を示します。記号の中に具体的な内容が描かれているものもあります。 記号は、行為を強制したり指示したりすることを示します。記号の中に具体的な内容が描かれているものもあります。
*お読みになった後は、使用される方がいつでも見られる所に必ず保管してください。
警告 この表示内容を無視した取り扱いをすると、死亡や重傷を負う可能性が想定されます。
プラグインボードおよびサウンドボード/カード上の 基板部分やコネクター部に無理な力を加えたり、部 品を分解したり改造したりしない。
感電や火災、または故障などの原因になります。
注意 
プラグインボードおよびサウンドボード/カードを持 つときは、前もって他の金属に触れるなどして、静 電気が起きないように注意する。
静電気が発生すると、ボード / カードの故障の原因にな ります。
他の機器と接続する場合は、すべての機器の電源を 切った上で行う。また、電源を入れたり切ったりす る前に、必ず機器のボリュームを最小(0)にする。
感電または機器の損傷のおそれがあります。
直射日光のあたる場所(日中の車内など)やストー ブの近くなど極端に温度が高くなるところ、逆に温 度が極端に低いところ、極端に湿度の高いところ、 またほこりや振動の多いところで使用しない。
内部の部品が故障する原因になります。
この表示内容を無視した取り扱いをすると、傷害を負う可能性または物的損害が発生する可能性が想定されます。
プラグインボードを取り付ける前に、必ず音源本体 の電源プラグを抜く。
電源を接続したまま取り付けを行うと、感電の原因にな ります。
テレビやラジオ、スピーカーなど他の電気製品の近 くで使用しない。
デジタル回路を多用しているため、テレビやラジオなど に雑音が生じる場合があります。
大きな音量で長時間ヘッドフォンを使用しない。
聴覚障害の原因になります。
不適切な使用や改造により故障した場合の保証はいたしか ねます。また、データが破損したり失われたりした場合の 保証はいたしかねますので、ご了承ください。
●音楽を楽しむエチケット●
楽しい音楽も時と場所によっては、大変気になるものです。 となり近所への配慮を充分にいたしましょう。
静かな夜間には小さな音でもよく通り、特に低音は床や壁などを 伝わりやすく、思わぬところで迷惑をかけてしまうことがありま
これ は日本電子機械工 業会
「音の エチケット」キャン
ペー ンのマークです。
す。適当な音量を心がけ、窓を閉めたり、ヘッドフォンをご使用 するのも一つの方法です。
ヘッドフォンをご使用になる場合には、耳をあまり刺激しないよ う適度な音量でお楽しみください。
・「MIDI」は社団法人音楽電 子事業協会 (AMEI)の登録商標です。 ・この取扱説明書に掲載されている会社名および商品名は、それぞれ各社の登録商標または商標です。 ・この取扱説明書に掲載されているイラストや画面は、すべて操作説明のためのものです。したがって、最終仕様と異なる場合がありますのでご了承ください。
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はじめに
このたびは、ヤマハ バーチャル アコースティック プラグイン ボードPLG150-VLをお買い上 げいただきまして、まことにありがとうございます。
PLG150-VLは、CS6xなどのモジュラーシンセシスプラグインシステム対応のシンセサイザー やトーンジェネレーター、さらにXGプラグインシステム対応のXG音源に取り付けることで、 VL音源(256音色が追加される。また、VL-XG音源としては137音色が追加される)を拡張で きるボードです。
付属のソフトウェア、VL Visual Editor(ビジュアルエディター )を使用することで、簡単に PLG150-VLの音づくりができ、バーチャルアコースティックの世界をお楽しみいただけます。
PLG150-VLの優れた機能を十分にご活用いただくために、この取扱説明書をよくお読みいた だきますよう、ご案内申し上げます。また、ご一読いただいた後も、不明な点が生じた場合に 備えて、保証書とともに大切に保管いただきますようお願いいたします。
モジュラーシンセシスプラグインシステムについて
シンセサイザーや音源の可能性を大きく広げていく拡張システムのことです。拡張可能なシンセサ イザーや音源本体 (モジュラーシンセシス プラグインプラットフォーム)や拡張ツールのモジュ
ラーシンセシス プラグインボードなどを総称して「モジュラーシンセシス プラグインシステム」と 呼びます。「モジュラーシンセシス プラグインシステム」により、最新の テクノロジーをシンセサ
イザーや音源に付加し、高度化/多様化していく音楽制作環境に応えることが可能になります。
XGプラグインシステムについて
XG 音源の可能性を大きく広げていく拡張システムのことです。拡張可能なプラットフォームの XG音源本体や拡張ツールのプラグインボードなどを総称して「XGプラグインシステム」と呼び
ます。「XGプラグインシステム」により、最新のテクノロジーを音源に付加し、高度化/多様化し ていく音楽制作環境に応えることが可能になります。
SONDIUS-XGについて
SONDIUS-XG は、米国スタンフォード大学とヤマハが所有する物理モデル音源特許 ( インター ネットウェブサイト<http://sondius-xg.com>掲載)のライセンスを受けて開発された製品に表
示されるロゴです。
VL-XGについて
「VL-XG」は、「VL Extension for XG」の省略形です。「VL Extension for XG」とは、「XG」の
拡張部分にVLシリーズの最先端音源技術であるVA音源を取り入れたもので、「XG」の基本機能に 比べ、音の存在感や息使いなどをよりリアルに再現できるばかりでなく、アコースティック楽器と
同様のコントロールを行なえるなど、優れた音楽表現力を持っています。従来のXG機器に、管楽器 や弦楽器などVA音源の特徴を活かした音色を加えることで、より質の高いDTM演奏が行えます。
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もくじ
PLG150-VLについて ........................................................................................................................ 5
PLG150-VLの特長 .......................................................................................................................... 5
PLG150-VL音色のエディット ....................................................................................................... 5
PLG150-VLの取り付け .................................................................................................................. 6
同梱品 ..................................................................................................................................................6
仕様 ...................................................................................................................................................... 6
付属のフロッピーディスクについて ................................................................................................ 7
付属のCD-ROMについて .................................................................................................................8
VLビジュアルエディターのインストールと起動 ........................................................................... 8
VA音源の仕組み ..................................................................................................................................10
物理モデル ........................................................................................................................................10
楽器の音色を決めるドライバー、パイプ/ストリング .................................................................10
さらに楽器の特徴を付加するモディファイア ..............................................................................11
VA音源の仕組みのまとめ ...............................................................................................................11
ドライバー ........................................................................................................................................12
パイプ/ストリング ...........................................................................................................................15
モディファイア ................................................................................................................................17
ボイス(VL音色)とバンク .................................................................................................................18
バンクの選択について .....................................................................................................................19
VL音色の選択 ........................................................................................................................................20
モジュラーシンセシスプラグインシステムの場合 ......................................................................20
XGプラグインシステムの場合 .......................................................................................................21
VL音色パートパラメーターのエディット ...............................................................................24
モジュラーシンセシスプラグインシステムの場合 ......................................................................24
XGプラグインシステムの場合 .......................................................................................................25
PLG150-VLのパートパラメーター .............................................................................................26
コントロールナンバーとコントローラーの対応表 ......................................................................34
PLG150-VLのシステムパラメーター .....................................................................................35
モジュラーシンセシスプラグインシステムの場合 ......................................................................35
XGプラグインシステムの場合 .......................................................................................................36
PLG150-VLのシステムパラメーター .........................................................................................37
Q&A .......................................................................................................................................................39
資料 .............................................................................................................................................................42
ボイスリスト ....................................................................................................................................42
MIDIデータフォーマット ................................................................................................................46
MIDIインプリメンテーションチャート .........................................................................................54
ソフトウェアのご使用条件 .............................................................................................................56
ユーザーサポートサービスのご案内 ..............................................................................................57
保証とアフターサービス .................................................................................................................58
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PLG150-VLについて

PLG150-VLの特長

モジュラーシンセシスプラグインシステム対応のシンセサイザーやXGプラグインシステム対
応のXG音源にPLG150-VLを組み込むことで、VL-XG対応の曲の再生が可能になります。 (→18ページ)
シンセサイザーやXG音源のパネル上でVL固有のパラメーターをエディットすることができま
す。(→24ページ)
専門的な知識がなくても、VLビジュアルエディターを使用することで、アコースティック楽器
をよりリアルにシミュレーションしたり、仮想的な楽器を作り上げたりすることができます。 (→8ページ)
WX5に接続したBT7を経由して、PLG150-VLをMIDI演奏することができます。リアルな管
楽器演奏が楽しめます。(→38ページ)
取り付けが簡単
専用のプラグインコネクターを使って、モジュラーシンセシスプラグインシステム対応のシン セサイザーやXGプラグインシステム対応のXG音源に簡単に取り付けることができます。

PLG150-VL音色のエディット

VL-XG音色のエディット
市販のMIDIファイルや自分で作ったソングデータにPLG150-VLのVL-XG音色を使用する場合は、 シーケンスソフト(システムエクスクルーシブデータを編集できるもの)を使って、バンクセレクト /プログラムチェンジをPLG150-VLに送信することが必要です。また、XGパートパラメーターを エディットする場合も同様に、パラメーターチェンジを送信することが必要です。詳細については、 MIDIデータフォーマット(→46ページ)をご参照ください。 本体側の機器に付属のシーケンスソフト「XGworks lite」(Windows95対応)を使用すると、ソン グデータに簡単にVL-XG音色を入力したり、エディットしたりすることができるので便利です。
オリジナルVL音色の作成
音づくりをしたことのない人でも、VLビジュアルエディター(→8ページ)を使用することで、手軽 にVLの音づくりが楽しめます。
VLビジュアルエディターなどのソフトウェアを使用するためには、PLG150-VL を取り付け たシンセサイザー /XG音源とコンピューターが正しく接続され、ドライバや入出力デバイ スが正しく設定されていることが必要です。
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PLG150-VLについて

PLG150-VLの取り付け

ボードの取り付け方法については、CS6xなどのシンセサイザーまたはMU128などのXG音源(本 体側の機器)に付属の取扱説明書をご参照ください。
同梱品
PLG150-VLのパッケージには次のものが同梱されています。ご使用になる前に必ずご確認くださ い(万一付属品に不足がある場合は、すぐに購入店までご連絡ください)。
・PLG150-VL..................................................................................1枚
・PLG150-VL取扱説明書(本書).................................................1冊
・デモンストレーション&プラグインボイスディスク(FD).........1枚
・TOOLS for PLG150-DX/PLG150-VL(CD-ROM)............. 1枚
・保証書..............................................................................................1枚
・愛用者カード ..................................................................................1枚
・VL for XGシール...........................................................................1枚
仕 様
音源方式: S/VAシンセシステム(VLRアルゴリズム) 最大同時発音数: PLG150-VL1枚につき1音(後着優先) サウンドモジュールモード: VL-XGモード インターフェース: XGプラグインコネクター(15pin Digital I/Fコネクタ) 音色数: 137 VL-XG音色(トータルプリセット 256音色)
カスタム 6音色 インターナル 64音色
外形寸法: 138.5(W) x 89(D) x 8.5(H) mm 重量: 56g
* 仕様及び外観は改良のため予告なく変更する場合があります。
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付属のフロッピーディスクについて

付属のフロッピーディスクには、PLG150-VLの特長を活かしたデモンストレーションソングと XG音源本体で利用できるパフォーマンス(ボイスセッティング)データ、モジュラーシンセシス プ ラグインシステム対応のVLプラグインボイスデータが入っています。
フロッピーディスクの内容
1. XGデモンストレーションソング(XG音源対応)
ファイル名 曲名 制作者
COOLJIVA.MID Cool JiVA OXYGEN.MID Oxygen Andy Mowat
NOBODY.MID Nobody Knows SILHOUET.MID Silhouettes Tom Scott (GRP Recording Artist)
VAMBIENT.MID VAmbient DOGROOVA.MID Do GrooVA CLOUDS.MID Clouds
XGデモンストレーションソングは、本体側の機器に付属のXGworks lite(シーケンスソフト)や QY700などを使ってお楽しみいただけます。
氏家克典
Daniel Powell (YAHAMA R&D London) 鈴木明男
Nate Tschetter Charles Feilding (YAMAHA Sound Design Office)
氏家克典 氏家克典
鈴木明男
PLG150-VLについて
2. パフォーマンスデータ(XG音源対応)
パフォーマンスデータは、本体側の機器に付属のXGworks lite(シーケンスソフト)やQY700で、XG
音源にバルク送信してお使いください。
VLPFM1.MID VLPFM2.MID VLPFM3.MID VLPFM4.MID
3. MSPSデモンストレーションソング(モジュラーシンセシス プラグインシステム対応)
02VlDemo.mid
MSPSデモンストレーションソングは、本体側の機器に付属のXGworks lite(シーケンスソフト)や MDF3などを使ってお楽しみいただけます。
4. VLプラグインボイスデータ(モジュラーシンセシス プラグインシステム対応)
PLG1スロット用
01PlgV1A.mid (Wind系音色TouchEG用)(64音色) 01PlgV1B.mid (鍵盤系音色)(64音色) 01PlgV1C.mid (Wind系音色BC用)(64音色)
PLG2スロット用
01PlgV2A.mid (Wind系音色TouchEG用)(64音色) 01PlgV2B.mid (鍵盤系音色)(64音色) 01PlgV2C.mid (Wind系音色BC用)(64音色)
* 音色の詳細については、45ページをご参照ください。
VLプラグインボイスはMIDIファイル形式になっています。シーケンサーを使って再生すると、(モ ジュラーシンセシスプラグインシステム対応の)シンセサイザーのプラグインボイスデータのエリアに 書き込まれます。
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PLG150-VLについて

付属のCD-ROMについて

付属のCD-ROMにはVLボイス用のエディットツール、VL Visual Editor(ビジュアルエディター ) が収められています。VLビジュアルエディターを使用することで、VLの音づくりをグラフィカル に簡単に行なうことができます。
CD-ROMの内容
・VL Visual Editor (for Windows)............Windows用のVLビジュアルエディターは、XGworks lite(シー
・VL Visual Editor for Macintosh ...........PowerPC以上の機種でご利用になれます。
・DX Easy Editor ・DX Simulator
・OMS(Open Music System)
............................................PLG150-DX用のツールです。PLG150-VLでは使用できません。
................................................PLG150-DX用のツールです。PLG150-VLでは使用できません。
ケンスソフト)のプラグインモジュールです。XGworks liteは本 体側の機器に付属しています。
....................Mac OS上で複数の(MIDI)アプリケーションを同時に使用できるよ
うにします。

VLビジュアルエディターのインストールと起動

■ VLビジュアルエディターのインストール
Windowsの場合
1 CD-ROMの"Setup.exe"をダブルクリックします。
2 画面の表示に従ってインストールを実行します。
インストール後、XGworks liteの[プラグイン]メニューにVLビジュアルエディターが追加さ れます。
Macintoshの場合
1 CD-ROMの"Japanese"/"VL Visual Editor"フォルダの中にある"VL Visual Editorのインス
トール"をダブルクリックします。 インストーラーが起動します。
2 画面の表示に従ってインストールを実行します。
インストール後、コンピューター上に(デフォルトではハードディスクに)"VL Visual Editor
1.02J"フォルダーが追加されます。
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■ VLビジュアルエディターの起動
Windowsの場合
XGworks liteを起動し、XGworks liteの[プラグイン]メニューから[VLビジュアルエディ ター ]を選択します。 VLビジュアルエディターウィンドウが開きます。
Macintoshの場合
"VL Visual Editor 1.02J"フォルダーの"VL Visual Editor for Mac"アイコンをダブルクリッ クします。 VLビジュアルエディターウィンドウが開きます。
PLG150-VLについて
VLビジュアルエディターの操作については、VLビジュアルエディターに付属のオンラ
インマニュアルをご覧ください。
モジュラーシンセシスプラグインシステム対応のシンセサイザーをお使いの場合、VL
ビジュアルエディターは(ボイスモード時)パート番号1でご使用ください。 なお、パフォーマンス(マルチ)モードでは、VLビジュアルエディターはご使用になれません。
VLビジュアルエディターを使ってつくった音色は、カスタムボイスバンク(→18ページ)にロードし て使用することができます。ただし、電源を切るとロードしたデータは失われますので、使用する場
合はもう一度ロードを実行する必要があります。大切なデータは「XGworks lite」を使ってソング データの一部として保存したり、VLビジュアルエディターのファイルとして保存してください。
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VA音源の仕組み

PLG150-VLのボイスを実際にエディットする前に、VA音源の仕組みを把握していただくことをおすすめ します。

物理モデル

VA(Virtual Acoustic)音源は、今までのシンセサイザーの音源とは根本的に異なります。 今までのシンセサイザーは、あらかじめ作られた単純な波形を合成することで楽器の音を作り出し てきました。VA音源は、先に仮想の楽器を本体内に設計し、その楽器に振動が励起(エネルギーが 他との相互作用でより高いエネルギーになること)される様子をシミュレーションすることで音を 作り出します。この「仮想の楽器」のことを「物理モデル」と呼びます。 PLG150-VL(VLはVA音源を使った楽器であることを示します)に用意されているボイスは、サッ クスやフルートなどの管楽器をはじめ、バイオリンやギターなどの弦楽器、その他ミュージック シーンで使用するさまざまな楽器を物理モデルのデータとして作り上げたものです。また、実在し ないような楽器も含まれています。 さらに、ユーザーが物理モデルの周辺を加工することで好みの音に変更することも可能です。
物理モデルを作り出すためには、多くの設定と知識が必要です。PLG150-VL単体では、物 理モデルそのものを作り出すことはできません。ただし、付属のVLビジュアルエディター
(→8ページ)を使用することで、音づくりをすることができます。

楽器の音色を決めるドライバー、パイプ/ストリング

管楽器または弦楽器の音の出る仕組みを分析すると、次のように大きく2つの部分に分けられます。 VA音源は、この仕組みを忠実に再現することで音を作り出します。
ドライバー パイプ/ストリング
マウスピース
唇の動き
弓
●ドライバー
生楽器のマウスピース、息の強さや口の締め付け具合、弓の使い方など、音を生み出すためのきっ かけの役割をするのが、「ドライバー」の部分です。 サックスなどの管楽器を例にとって説明すると、この「ドライバー」はリードの動き、空気の圧力 を計算し、それから管の内部に入る空気の流速を算出して「パイプ/ストリング」に送り込みます。 バイオリンなどの擦弦楽器を例にとると、弦の速度、弓を弦にあてる強さ、弓の速度から弓の摩擦 が弦におよぼす力を算出して「パイプ/ストリング」に送り込みます。
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サックスなどの管
フルートなどの管
弦楽器の弦
VA音源の仕組み
これらの流速や力は「パイプ/ストリング」の状態に強く影響され、一瞬、一瞬で細かく変動しま す。実際には、この連続した変動=「波動」が「パイプ/ストリング」に送り込まれ、その中で「共 振」して音が生まれます。 また、「パイプ/ストリング」で共振した音だけでなく、この「ドライバー」自身の出す音(たとえば 息のもれる音やリードの振動の音など)も楽器に色付けをする重要な要素です。
●パイプ/ストリング
ビールビンなどのビンに唇を付け、軽く息を吹き込むと「ボーッ」っという音が鳴ります。また、 糸の両端をいろいろな長さで固定してはじくとやはり「ブーン」という音が鳴ります。 この「音が鳴る」という部分を担当するのが、「パイプ/ストリング」です。 管または弦に、「ドライバー」で計算された波動を送り込むと、どのように管または弦で「共振」し、 音が生み出されるかを計算する部分です。この部分で生み出された音が楽器の音の中心となります。
「ドライバー」と「パイプ/ストリング」は、お互いに非常に複雑に影響しあって、楽器の音色を生
み出します。

さらに楽器の特徴を付加するモディファイア

ドライバーとパイプ/ストリングで作られた音は、さらに「モディファイア」を通って、エレメン ト音として出力されます。 ドライバーとパイプ/ストリングで作られた音は楽器の内部の音です。モディファイアでは、楽器 内部の音が楽器自体の響きを通して人間の耳に伝わるまでの特性を付けたり、シンセサイザーらし い音に加工したりします。

VA音源の仕組みのまとめ

ここまでで説明したVA音源の仕組みをまとめると、次の図のようになります。
エレメント(音を発生させる装置)
ドライバー
モディファイア
パイプ/ストリング
出力
ドライバー、パイプ/ストリング、モディファイアについて、以下に詳しく説明します。
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VA音源の仕組み

ドライバー

ここでは、パイプ/ストリングに送り込む流速(または弓の速度)を計算する部分、ドライバーについ て説明します。
■ 波動を生み出す仕組みを分析する
次の図は、サックスのマウスピースに息を吹き込んだときに起こるリードの変化を表したものです。
口腔内
息
スリット
息の圧力で上に押される
唇
マウスピース
ある流速の空気
リード
上の図のようにマウスピースに息を吹き込むと、息の圧力でリードが上に押され、スリット(マ ウスピースとリードのすきま)が狭くなります。同時にそのスリットを通る空気の流速が生まれ ます。 この「流速をもった空気」を管に送り込むと、すぐに管の端に当たり、跳ね返った空気が戻って きます。
口腔内
息
スリット
唇
マウスピース
戻った空気による圧力
リード
戻ってきた空気
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戻ってきた空気は、リードを下向きに押す力に変わります。すると、スリットは拡がります。し かし、ひきつづき息は吹き込まれている状態ですから、再び息の圧力でリードは閉じる方向に動 きます(これらの動きは、ほとんど瞬間的に起こります)。 簡単にいえば、この一連の動きの繰り返しが、リードによる波動を生み出すわけです。
また、弦楽器の場合を考えると、「弓を少し動かす」→「弦が少し横に引っ張られる」→「引っ 張られた弦が戻る」→「再び弓に引っ張られる」という動作の瞬間、瞬間の繰り返しで波動が生 まれます。
VA音源の仕組み
■ ドライバーの特性を決定するさまざまな要素
ドライバーの生み出す波動は、以下のようなさまざまな要因で変化します。波動を以下のコント ローラー(要因)で制御することで、より生の楽器らしい演奏が可能になります。コントローラー の設定については、26ページをご参照ください。
●プレッシャー
管楽器の場合には、「息を吹き込む強さ」のことです。また、擦弦楽器の場合には「弓を動かす 速さ」のことです。 このプレッシャーを変化させると、本当の楽器のように、音量、音色とともに音程も微妙に変化 します。 ほとんどのボイスでは、最大のプレッシャーのとき、正しい鍵盤の音程が出るようにセッティン グしてあります。
●アンブシュア
管楽器の場合には、「口の構え」のことです。 ただし、その楽器の種類によって、このアンブシュアの意味はかなり異なりますので分けて説明 します。
シングル、ダブルリード楽器(サックス、オーボエ、クラリネットなど)の場合
リードに対する口の締め付け具合を示します。アンブシュアを下げると、口をゆるめた状態 となり、音程が少し下がり「ビェー」といったくだけた音色となります。
ジェットリード楽器(フルート、尺八など)の場合
多少概念的になりますが、口から送り込まれる息の束(ジェット)の幅とその速さを示します。 アンブシュアを上げると裏がえったような音に変化します。
リップリード楽器(トランペットなど)の場合
唇の形、力の入れ具合などを示します。アンブシュアの変化によって、ファンファーレトラ ンペットのようなピストンを使わない音程変化を作り出すことができます。
擦弦楽器の場合
擦弦楽器の場合には、「弓を弦にあてる強さ」と同じ効果が得られます。 アンブシュアを上げると、強く弦を押さえる状態となり、多少ガリガリといった明るい音と なります。 通常のボイスでは、ちょうど中間のアンブシュアのとき、正しい鍵盤の音程が出るように セッティングしてあります。
●ビブラート
LFO(周期的なゆれを作り出す装置)を使って、アンブシュアとピッチ(管または弦の長さ)を変化 させ、周期的な音色、音程のゆれを作り出す機能のことです。 弦楽器のビブラートのようにピッチ中心のビブラートも、管楽器のように音色変化も伴うビブ ラートも、それぞれの楽器の特徴に合ったものが再現されます。 また、ゆれのスピードや、ゆれが始まるまでの遅延時間なども自由に設定することができます。
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VA音源の仕組み
●タンギング
舌を使ってリードの動きを鈍くする状態を再現する機能のことです(弦楽器の場合は、弦の振動 を強制的に止める効果となります)。 通常のボイスでは、タンギングの設定を最大にしたとき、その楽器本来の音(音の立ち上りの最 も明確になる状態)が出るようにセッティングしてあります。
●スクリーム
生の楽器では、さまざまな影響により振動の状態がカオス(混沌とした状態)になり、絶叫したよ うな音になることがあります。この音を再現するためにドライバーの働きを強調する機能のこと です。
●ブレスノイズ
「息もれ」のことです。ブレスノイズそのものは「シャー」といった音です。
●グロウル
LFO(周期的なゆれを作り出す装置)を使って、プレッシャーの強さを変化させ、周期的なゆれを 作り出す機能のことです。このグロウルを上げると「ゴロゴロ」といった音に変化します。
●スロートフォルマント
マウスピースやリードで作り出された波動は、パイプに送り出すのと同様に、口の中にも送り出 されます。このため、口、喉、気管、肺では管と同じように共振を起こし、吹き込む息に影響を 与えることになります。この状態をシミュレーションしたのがスロートフォルマントです。
ドライバーでは、計算に用いたいくつかの数値を、モディファイアに送り出します。モ
ディファイア側では、それらの数値を利用して音を加工することができます。詳しくは以 下のモディファイアをご参照ください。
ここで説明した各要素(特にアンブシュアとスロートフォルマント)はどれも、ボイスに
よって効果が大きく異なる場合、あるいは効果がない場合もあります。
スロートフォルマントの効果が得られるのは、一部のリード系の楽器に限られます。
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パイプ/ストリング

ここでは、「管または弦が鳴る」ということをシミュレーションするための「パイプ/ストリング」 について説明します。
■ パイプ/ストリングのシミュレーション
以下のような管(パイプ)にある流速を持った空気を送り込むと、空気が図のように動きます。
管の端で少しエネル ギーを損失して反射
ある流速を持った空気が流入
VA音源の仕組み
管の端で少しエネル ギーを損失して反射
この状態で持続
ある流速を持った空気が管に入ると、その空気は左右に振り分けられます。この後、左右の管の 端にぶつかることで少しエネルギーを損失し、入口に戻ってきます。 戻ってきた空気の一部は、再び入口から出ようとします。このため、入り続けている空気の流速 に影響を与え、次の瞬間、新しい流速を生み出します(これがドライバーが算出する波動です)。 擦弦楽器でも同様に、弓で作られたゆれは、弦の端 ( ブリッジやフレットなど ) で反射し、戻って きます。さらにこれが弓に影響を与え、波動を生み出します。 このように、ドライバーからパイプ / ストリングに波動が送り込まれているとき、管または弦は
「共振」を始めます。これが、楽器音のメインとなる音です。
このとき、管の全長が音程を決定します(トロンボーンを思い浮かべていただくとすぐに理解で きると思います)。ただし、ドライバーの状態によっても音程は変化しますので、ご注意くださ い。
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VA音源の仕組み
■ パイプ/ストリングの特性を決定するさまざまな要素
パイプ/ストリングの生み出す音は、以下のようなさまざまな要因で変化します。生み出す音を 以下のコントローラー (要因)で制御することで、楽器らしい演奏が可能になります。コント ローラーの設定については、26ページをご参照ください。
●ピッチ
弾いた鍵盤によって、前ページの図の管(または弦の長さ)が変更され、音程がコントロールされ ます。
●ビブラート
ドライバーのところでも説明したように、LFO(周期的なゆれを作り出す装置)を使って、アンブ シュアとピッチ(管または弦の長さ)を変化させ、周期的な音色、音程のゆれを作り出す機能のこ とです。 弦楽器のビブラートのようにピッチ中心のビブラートも、管楽器のように音色変化を伴うビブ ラートも、それぞれの楽器の特徴に合ったものが再現されます。 また、ゆれのスピードや、ゆれが始まるまでの遅延時間なども自由に設定することができます。
●ダンピング
流入した空気が管の内側との摩擦で損失するエネルギーの大きさ、または弦の振動が空気の抵抗 で損失するエネルギーの大きさの設定です。 持続系のボイスでは、音色が弱々しくなります。減衰系のボイスでは、減衰時間が短くなります。 ほとんどのボイスでは、ダンピングを最大に設定したとき、その楽器本来の音が出るようにセッ ティングしてあります。
●アブソープション
管または弦が発音しているとき、その音は空気中に拡散することにより、高い周波数の方からエ ネルギーが失われていきます。また、弦楽器では、弦を押さえている柔らかい指によって高い周 波数の方からエネルギーが失われていきます。 管楽器では、ベルの開口面積により高い周波数のエネルギーを制御できます。アブソープション は、このような高周波数域のエネルギー損失の設定です。 エネルギーの損失が大きいと、ピッチが下がります。 うまく使うと、弦楽器でいうミュートのような効果を作ることができます。 ほとんどのボイスでは、アブソープションを最大に設定したとき、損失のない状態になるように セッティングしてあります。
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モディファイア

ドライバー、パイプ/ストリングから出力された音は、ミキシングされてモディファイアに入って きます。このモディファイアで楽器らしい特性をさらに加えて、エレメントの出力としてエフェク トに送り出します。 モディファイア部分には、ハーモニックエンハンサーとフィルター、イコライザー、レゾネーター が入っています。
●ハーモニックエンハンサー
ハーモニックエンハンサーは、ドライバーやパイプ/ストリングから送られた信号を使って、強 制的あるいは人工的に倍音成分を増加させる装置です。 PLG150-VLの多くの音色では、ハーモニックエンハンサーを用いずにナチュラルな倍音を出し ていますので、ハーモニックエンハンサーに対するコントロールを行っても、音色に変化がな かったり、単なる音量変化しか得られなかったりする場合があります。
●フィルター
シンセサイザーの音を加工する機能として代表的な、レゾナンス付きのフィルターです。 多くの音色では、ローパスフィルターが用いられていますが、いくつかの音色では、ハイパス フィルターやバンドパスフィルター、バンドエリミネートフィルターが用いられています。本体 側の機器のパネル操作では、フィルターのタイプは選択できません。
VA音源の仕組み
の場合
音量
レゾナンスが最小ローパスフィルター
そのまま通過
する部分
カットオフ
フリケンシー
カット
される部分
周波数
レゾナンスが最大
音量
そのまま通過
する部分
される部分
カットオフ
フリケンシー
レゾナンス
カット
周波数
●フィルター
イコライザーは、特定の周波数帯域のレベルを減衰させたり、増幅させたりする装置です。 PLG150-VLでは、このイコライザーの機能の一部をLow Gain (Bass), High Gain (Treble)と いうパラメーター名でエディットすることができます。
●レゾネーター
レゾネーターは、木に近い胴の響きを作り出す装置です。内部的には、4本の共鳴管、または共 鳴弦が楽器にくっつけられている状況で、音がどのように響くかを、4つのディレイ(ローパス フィルター付)で算出しています。本機のパネル操作では、レゾネーターのエディットはできま せん。レゾネータはプリセットボイスのパラメーターとして使用されています。
フィルターの効果をキースケールによって変化させることも可能です。
フィルターのスロープ(カットする勾配)は、-12dB/octです。
フィルターの効果を浅くした音色もありますので、効果が目立たない場合があります。
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ボイス(VL音色)とバンク

ボイス(VL音色)は、「バンク」というカテゴリーで大きく分類され、さらにそれぞれの番号「プログラムナ ンバー」で管理されています。
●バンク112〜119:VL-XGバンク(バンクセレクトMSB=81および97)
PLG150-VLをVL-XG音源として使うときに使用するバンクです。 XGフォーマットの音色(プログラムナンバー )配列に合わせて、プリセット1またはプリセット 2のボイスが並べられています。
PLG150-VLでXGフォーマットの すべての音色を再現することはできませんので、プログラ ムナンバーは連続していません(022, 023, 025, 027…というように飛びとびのプログラムナ ンバーになります)。PLG150-VLで再現することができない音色については、MSB=81の場 合は発音しません。また、MSB=97の場合は本体側の機器のバンク1の音色が発音されま す。 PLG150-VLで発音できるプログラムナンバーは、42ページの「VL-XGボイスリスト」をご 参照ください。
●バンク000:プリセット1
鍵盤を使った演奏に適したボイスが128種類(プログラムナンバー 001〜128)入っています。
●バンク001:プリセット2
ブレスコントローラーやウィンドMIDIコントローラーを使った演奏で、よりダイナミックな表 現力が得られるボイスが128種類(プログラムナンバー 001〜128)入っています。
●バンク002:カスタム
外部のコンピューターとVLビジュアルエディターを使ってつくられたボイスを呼び出すバンク です。 カスタムには、6種類(プログラムナンバー001〜006)のボイスを呼び出すことができます。メ モリーはバックアップされません。電源オン時には、プリセット1または2から選んだサウンド エフェクト系のボイスが選ばれます。
●バンク003:インターナル
VL70-mのインターナルボイスをバルクで受けることができるバンクです。 インターナルには、64種類(プログラムナンバー001〜064)のボイスを呼び出すことができま す。メモリーはバックアップされません。電源オン時には、プリセット1およびプリセット2の 中から厳選したボイスをWXシリーズ用にセッティングしなおしたボイスが入っています。
エディットしたボイスをインターナルボイスにストアすることはできません。
VL音色をレイヤーに使用した(本体側の機器の)パフォーマンスを保存した場合、VL音
色のプログラムナンバーと本体側の機器上でエディットしたVLパラメーターの設定が記 録されます。
VL-XG音色については、「XGworkslite」(本体側の機器に同梱のシーケンスソフト)の
XGエディターウィンドウを使ってエディットしたものを、ソングデータの一部として保 存することができます。
PLG150-VL で表示されるプログラムナンバーは、001 〜 128、一般的な外部 MIDI 機器で扱う プログラムチェンジナンバーは000〜127です。このため、外部MIDI機器からPLG150-VLの プログラムナンバーを変更する場合は、1つ小さな値を送信することになります。たとえば、 プログラムナンバー 003のボイスに切り替えたい場合は、プログラムチェンジナンバー 002 を送信します。
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各バンクのボイスの種類と詳細については、42ページ以降の「ボイスリスト」をご参照ください。
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