
取 扱 説 明 書
MSW-7625
機種番号 1071-820-001

保証・サービス
弊社の電子計測器をご使用いただき、ありがとうございます。
本器は一年間保証いたしますので、この期間中の弊社責任による故障等は無料で修理いた
します。
故障修理・校正等につきましては、下記の弊社営業部・営業所または販売代理店にご連絡
下さい。
(株)目黒電波測器
営業部 〒212-0055
川崎市幸区南加瀬4-11-1
TEL044-589-0823
FAX044-589-0825
(株)目黒電波測器
大阪営業所 〒530-0043
大阪市北区天満1-19-4 9F東
TEL06-6357-5513
FAX06-6357-5593

使用上の注意
1) 電源電圧範囲
本器は、AC100V,117V,220V,240V,±10% 50/60Hz で使用することが出来る
ように、電源電圧切換器を備えています。AC ライン電圧を変更してご使用になる場合
は3.2 外観の説明(11 VOLTAGE SELECTOR」の説明を参考に、本体内部
VOLTAGE SELECTOR」を必ず、AC ライン電圧にあわせて切換えてください。
2) 「BLANKING」を、外部入力で使用する場合、最大入力パルス電圧は、20Vp-p ですの
で、20Vp-p 以上の電圧を加えないようにして下さい。
3) マーカ周波数を設定する場合
マーカは、5 個の⑯「MARKER kHz(または MHz)」ディジタルスイッチによって、5
点挿入することが出来ますが、使用しないマーカは、他の使用しているマーカ周波数に
設定して下さい。
設定周波数を、掃引周波数範囲外にしておきましても、表示周波数とは無関係にマーカ
が挿入されることがあります。

目 次
1 概説 ............................................................................................................................ 5
1.1 概要 .......................................................................................................................... 5
1.2 特長 .......................................................................................................................... 6
1.3 付属品 ...................................................................................................................... 6
2 性能 ............................................................................................................................ 7
3 取扱法 ......................................................................................................................... 9
3.1 外観図 ...................................................................................................................... 9
3.2 外観の説明 .............................................................................................................. 11
3.3 使用前の準備.......................................................................................................... 17
3.4 トラッキング調整を行う場合の測定例 ................................................................. 19
3.5 掃引速度によって像のひずみが生じた場合 .......................................................... 22
3.6 本器を中央集中装置として使用する場合 .............................................................. 25
3.7 本器と他の当社製掃引信号発生器を併用し、中央集中装置として使用する場合 28

1 概説
1.1 概要
本器は、掃引帯域(AM-IF・FM-IF バンドを除く)の一部を拡大して掃引する
(単位時間当たりの掃引量を少なくする)事ができる掃引信号発生器で、ラジ
オ受信機のトラッキング調整やカバーリング調整および 1F 回路の調整等に、次
の各機器と組み合わせて使用しますが、特に中央集中装置と使用しますと、威
力を発揮します。
スイープ用オシロスコープ (MCS-983D)
可変減衰器 (MCS-972)
テストループ (MLA-1001B)
掃引周波数範囲と、マーカ周波数の桁数及び最小桁周波数は、周波数バンドご
とに次のようになっています。
AM-IF バンド……………… 405kHz~505kHz 4 桁 0.1kHz
FM-IF バンド……………… 10.2kHz~11.2MHz 5 桁 1kHz
LW-MW バンド……………… 100kHz~3MHz 4 桁 1kHz
SW バンド…………………… 1.5MHz~30MHz 4 桁 10kHz
FM バンド…………………… 63MHz~110MHz 5 桁 10kHz
拡大して掃引する(以下拡大掃引という)ことのできる周波数範囲は、掃引帯
域内に設定した各マーカを中心とした、それぞれの約 3mS 間です。
マーカ周波数は、⑦「MARKER FREQUENCY」のディジタルスイッチによっ
て、周波数バンドごとに掃引周波数範囲内に任意の周波数で 5 点挿入する事が
できます。
掃引出力レベルは周波数バンドによって、次のようになっています。
AM-IF バンド
FM-IF バンド
LW-MW バンド
SW バンド
FM バンド…………………… 110dBμ(約 0.316Vrms)50Ω負荷端

1.2 特長
1) 周波数範囲が広く、AM-IF バンド,FM-IF バンド,LW-MW バンド,SW
バンド,FM バンドをカバーしていますので、能率よく観測・調整が行えま
す。
2) 高精度のマーカの周波数が⑦「MARKER FREQUENCY」ディジタルスイ
ッチによって簡単に挿入できますので、ラジオ受信機の変更にも容易に対応
ができます。
3) 掃引帯域内の各マーカを中心とした、それぞれの約 3μS 間(ブラウン管面
で約 1/10)を拡大掃引(単位時間当たりの掃引量を、通常の掃引時の約 1
/5)にすることができますので、掃引帯域全体を観測しながら、マーカを
中心としたそれぞれの約 3mS 間で、掃引速度による像のずれの少ない、高
精度の観測が行えます。
4) 各バンド 5 点のマーカを、それぞれに接近または重畳させて設定する事がで
きます。
5) 弊社製の中央集中化掃引信号発生装置(MCS-7000 シリーズ)と併用する事
ができ、小型化されています。
1.3 付属品
中央集中化掃引信号発生装置としてご購入の際は、上記内容と異なりますのでご
了承下さい。

2 性能
<掃引信号発生部>
周波数バンド
周波数範囲 455kHz :405kHz~505kHz
10.7MHz :10.2MHz~11.2MHz
LW・MW :0.1MHz~3MHz
SW :1.5MHz~30MHz
FM :63MHz~110MHz
中心周波数範囲 455kHz :±20kHz
10.7MHz :±300kHz
LW・MW :0.2MHz~2.8MHz
SW :2MHz~28MHz
FM :68MHz~100MHz
掃引幅 455kHz :±10kHz~50kHz
10.7MHz :±100kHz~500kHz
LW・MW :0.2MHz~2.8MHz
SW :2MHz~28MHz
FM :5MHz ~ 36MHz
出力電圧(負荷端) 455kHz, 10.7MHz, LW・MW, SW:120dBμ( 1Vrms)
FM :110dBμ(約 0.316Vrms)
出力偏差 ±1dB
周波数直線性 10%以内
信号源インピーダンス 50Ω
繰り返し周期 電源周波数の 1/2(のこぎり波 約 10Vp-p)
掃引方式 455kHz,10.7MHz:ワイド方式のみ
LW・MW,SW,FM:
ナロ方式とワイド方式の任意選択
(ナロ方式はマーカを中心に自動追従し、マーカ付
近の波形を拡大する。)

<マーカ発生部>
周波数可変範囲 掃引帯域内の任意の 5 ポイント周波数
周波数バンド
設定方式 455kHz :4 桁 ディジタルスイッチ
10.7MHz :5 桁 ディジタルスイッチ
LW・MW :4 桁 ディジタルスイッチ
SW :4 桁 ディジタルスイッチ
FM :5 桁 ディジタルスイッチ
最小桁設定桁数 455kHz :0.1kHz
10.7MHz :1kHz
LW・MW :1kHz
SW :10kHz
FM :10kHz
周波数確度 455kHz :±500Hz
10.7MHz :±5kHz
LW・MW :±500Hz
SW :±5kHz
FM :±50kHz
出力レベル 4Vp-p 以上 極性切換可能
マーカ発生方式 パルスマーカ
負荷インピーダンス 約 100Ω
<その他>
動作温度範囲 0℃~40℃
予熱時間 約 30 分
電源 AC100V,115V,215V,230V
(電源電圧切替器による切換方式)
±10% 50/60Hz 約 35VA
最大寸法 430(W)×110(H)×330(D)mm
重量 約 8.5kg

3 取扱法
3.1 外観図
正面図
図 1

背面図
図 2

3.2 外観の説明
正面パネル………図 1(9頁)参照
① 「POWER」押ボタン・スイッチ
② 「パイロット・ランプ」発光ダイオード(LED)
③ 「BAND SELECTOR」押ボタンスイッチ
交流電源を ON,OFF するスイッチです。ON
ット・ランプ」が点灯します。
電源が入っていることを示す表示灯で、LED を用いています。
周波数バンドを選択するスイッチです。このスイッチは、次に示す 5 個のボ
数バンドに対応する LED と、⑦「MARKER FREQUENCY」ディジタルス
イッチの⑧「小数点表示」用 LED が点灯します。
周波数バンドは次のようになります。
「AM-IF」ボタン………405kHz~505kHz バンドになります。
「FM-IF」ボタン………10.2MHz~11.2MHz バンドになります。
「LW-MW」ボタン……LW-MW バンド(100kHz~3MHz)になります。
「SW」ボタン…………SW バンド(1.5MHz~30MHz)になります。
「FM」ボタン…………FM バンド(63MHz~110MHz)になります。
④ 「CENTER」半固定調整器
掃引発振の中心周波数をコントロールする調整器です。
⑤ 「WIDTH」半固定調整器
掃引帯域幅をコントロールする調整器です。
てきます。

⑥ 「NARROW」半固定調整器
掃引帯域内に挿入した各マーカを中心とする、それぞれの約 3mS 幅を拡大掃
引するのに用いる調整器で、通常の掃引(以下 WIDE
方向に回しきっておきます。
この調整器によって、図 3に示すような、のこぎり波を図 4のようにするこ
とで部分的に拡大掃引します。すなわち、マーカを中心とした 3mS 幅の、の
こぎり波の傾斜を小さくしますとこの間の周波数変化は少なくなりますので
WIDE 掃引時に比
べ、約 5 倍に拡大されます。
また、拡大掃引部分では、波形レベルも拡大比率に従って大きくなります。
連続して可変できますので、ラジオ受信機の帯域特性に応じて波形観測をしやす
いように調整して下さい。

⑦ 「MARKER FREQUENCY」ディジタルスイッチ
マーカ周波数(5 点)の設定用で、それぞれ 5 桁のディジタルスイッチから構
成されています。
マーカ周波数の桁数と最小桁の周波数は、周波数バンドにより次のようにな
っています。
「AM-IF バンド」…………… 4 桁設定、最小桁の周波数 0.1kHz
(最上位桁は 0 に設定すること)
「FM-IF」バンド」………… 5 桁設定、最小桁の周波数 1kHz
「LW-MW バンド」………… 4 桁設定、最小桁の周波数 10kHz
(最上位桁は 0 に設定すること)
「SW」バンド………………… 4 桁設定、最小桁の周波数 10kHz
(最上位桁は 0 に設定すること)
「FM」バンド………………… 5 桁設定、最初桁の周波数 10kHz
⑧ 「kHz,MHz 小数点表示」発光ダイオード(LED)
③「 BAND SELECTOR」を選択した時に対応して、ディジタルスイッチの小
数点を表示するための LED です。
周波数バンドにより次のように点灯します。
「AM-IF」バンド……………… 下位より 2 桁目の「kHz」が点灯します。
「FM-IF」バンド……………… 下位より 4 桁目の「MHz」が点灯します。
「LW-MW」バンド…………… 最小桁の kHz が点灯します。
「SW」バンド………………… 下位より 3 桁目の「MHz」が点灯します。
「FM」バンド………………… 下位より 4 桁目の「MHz」が点灯します。
⑨ 「OUTPUT LEVEL」半固定調整器
掃引出力信号のレベル調整器です。
⑩「メータ」が、中央赤線(SET LEVEL)を指示するように調整したときに、
出力レベル(50Ω負荷端電圧)は、規定電圧になります。
⑩ 「メータ」
掃引出力信号のレベルを指示するメータです。
通常、⑨「OUTPUT LEVEL」調整器で、中央赤線(SET LEVEL)に指示す
るように調整します。

背面パネル………図 2(10頁)参照
⑪ 「SWEEP OUTPUT」コネクタ
掃引信号の出力コネクタです。
コネクタは N 型で、インピーダンスは 50Ωです。
⑫ 「M&H OUTPUT」4P コネクタ
のこぎり波およびマーカ信号の出力コネクタです。
コネクタのピン番号と、出力信号は次のようになっています。
1 番ピン………のこぎり波(約 10Vp-p)
2 番ピン………マーカ信号(4Vp-p max)
3 番ピン………ブランキング信号(集中装置 使用の際の同期信号)
4 番ピン………GND
⑬ 「MARKER LEVEL」半固定調整器
マーカ信号(4Vp-p max)のレベル調整器です。
⑭ 「MONITOR」コネクタ
掃引信号とマーカ信号のモニタ出力端子で、2 つの信号を合成して取り出して
います。(掃引信号は、検波波形。マーカ信号はパルス波形)
マーカ信号は、負極性で取り出しており、出力波 0.1Vp-p です。
コネクタは BNC 型です。
⑮ 「INT. ←→ EXT.」スライドスイッチ
a. 「INT.」側に倒した場合
内部発生のパルス信号を用います。電源周波数の 1/2 の周期です。
この信号(約 5Vp-p のパルス)は、⑯「BLANKING」コネクタと、⑫
「H&M」4P コネクタの、3 番ピンにも取り出されます。
b. 「EXT.」側に倒した場合
外部からのパルス信号を用います。
この場合、⑯「BLANKING」コネクタに 2Vp-p~10Vp-p のパルス信号
が加えられませんと、本器は動作しません。

⑯ 「BLANKING」コネクタ
ブランキング信号の入・出力端子で、⑮「INT. ←→ EXT.」スイッチによっ
て次のようになります。
コネクタは BNC 型です。
a. ⑮「INT. ←→ EXT.」スイッチが、「INT.」の場合
ブランキング信号(約 5Vp-p のパルス)の出力端子になります。
b. ⑮「INT. ←→ EXT.」スイッチが、「EXT.」の場合
外部からのブランキング信号入力端子になります。
2Vp-p~10Vp-p の入力信号(パルス)が加えられませんと、本器は正常
に動作しません。
⑰ 「SAWT. OUTPUT」コネクタ
のこぎり波の出力コネクタ(BNC 型)です。
⑪「M&H OUTPUT」コネクタの 1 番ピンと同じ信号(約 10Vp-p)が出力
されます。
⑱ 「RF BLANKING」スライドスイッチ
RF 出力信号用のブランキング信号を ON,OFF するスイッチで、本器の使
用状態によって次のように切換えています。
通常の使用の場合………「ON」にする。
RF 出力レベルを高周波用電子電圧計で測定する場合……「OFF」にする。
(電圧計の種類により、ブランキング信号によって指示値に誤差を生じる
ことがあります。)
⑲
きょう体のアース端子で、安全性向上のために必ず大地に接続するようにし
て下さい。
⑳ 「FUSE」
電源ヒューズのホルダです。使用するヒューズの電流容量につきましては、
SUPPLY VOLTAGE/FUSE」をご覧下さい。
「AC INPUT」
規定の AC ラインに接続する電源コードです。
AC VOLTAGE SELECTOR」の位置、およびヒューズの
電流容量が合っているか確認した後、接続して下さい。
VOLTAGE SELECTOR」(電源電圧切換器)
電源変成器の一次端子切換器で、切換器プラグの矢印を、規定の印字(A~D)
に合わせて差し込むことで切換えます。(図 5 参照)
なお、A~D の印字に対応する AC SUPPLY
VOLTAGE/FUSE」をご覧下さい。

注 意
<国内向け製品の出荷時のセット位置>
通常、電源コードを AC100V ラインに接続できるようにセットしてあります。
図 5
SUPPLY VOLTAGE/FUSE」
電源コードを接続する AC VOLTAGE SELECTOR」の位
置およびヒューズの電流容量の正しい関係を示す表です。

3.3 使用前の準備
注 意
1. 外部信号による妨害を防ぐために、調整はシールドルームで行うかあるいはテストル
ープおよびラジオ受信機をシールド・ケースに入れて行って下さい。
2. オシロスコープが、マーカ入力信号として負極性のパルスが必要な機器の場合は、本
体内部のプリント板 MSW-7625 PCB-1A PART-3 の MARKER POLALITY スイッチ
を反対側に切換えて、マーカパルスを負極性にして下さい。
本器は次のような測定器と組み合わせて使用しますので、これらの測定器を用意
してください。
a. 可変減衰器(例 目黒電波製 MCS-972)
b. スイープ用オシロスコープ(例 目黒電波製 MCS-983D)
c. テストループ(例 目黒電波製 MLA-1001B)
1) 本器および被測定器(ラジオ受信機)、オシロスコープの電源スイッチを
OFF にして、図 6のように接続します。
図 6

2) 本器の各スイッチおよびツマミを、次のようにセットします。
③「BAND SELECTOR」スイッチ……… 任意
④「CENTER」調整器…………………… 中央付近にセットする。
⑤「WIDTH」調整器……………………… 中央付近にセットする。
⑥「NARROW WIDHT」調整器…………
⑨「OUTPUT LEVEL」調整器…………… ⑩「メータ」の中央赤線にセッ
トする。
⑦「MARKER FREQUENCY」ディジタルスイッチ……任意
⑬「MARKER LEVEL」…………………
⑮「INT.←→EXT.」スイッチ…………… 「INT.」側に倒す。
3) オシロスコープの「V-GAIN
4) 本器およびオシロスコープの電源スイッチを ON にします。
5) オシロスコープの「V-POSTION」と「H-POSTION」のツマミを回し、ブ
ラウン管面ほぼ中央に輝線を描かせます。
6) オシロスコープの「H-GAIN」ツマミを回し、輝線が目盛の両端から 5mm
位飛び出すように調整します。
以上の状態で約 5 分待ち、動作が安定してからお使い下さい。

3.4 トラッキング調整を行う場合の測定例
注 意
③「CENTER」および④「WIDTH」調整器は、マーカの動きを見ながらゆっくり回して
ください。
マーカは回路構成上ゆっくりと移動します。
このとき、のこぎり波は図 7のような直線的な変化をします。
図 7
3.3 使用前の準備(17頁)の操作ののち、次のように操作します。
3.4.1 一般的な掃引で測定する場合(WIDE掃引)
1) ⑩「メータ」が中央赤線を指示するように、⑨「OUTPUT LEVEL」調整
器を回して合わせます。
2) マーカ周波数の設定を、⑦「MARKER FREQUENCY」ディジタルスイッ
チで行います。
3) マーカの最高周波数と最低周波数が、オシロスコープの水平軸目盛の両端か
らそれぞれ約 2cm 内側に表示されるように、③「CENTER」および④
「WIDHT」調整器を調整します。この状態を規定掃引とします。
4) 被測定器(ラジオ受信機)の電源スイッチを ON にします。
5) 本器の出力レベルを可変減衰器によって、被測定器(ラジオ受信機)の標準
試験レベル、または被測定器の出力が飽和しない範囲のレベルに設定します。

6) オシロスコープの「V-GAIN」ツマミを回し、ブラウン管面に描かれる同軸
曲線の振幅が見やすい大きさになるように調整します。
以上の状態で、被測定器の同調周波数を変え、波形を観測しながら調整・試験
を行います。

3.4.2 部分的に拡大掃引して測定する場合(NARROW 掃引)
注 意
部分的な拡大掃引を行いますと、マーカを中心とした 3mS の掃引幅は狭くなりますの
で、その他の部分の掃引幅は広くなります。
従って、マーカを中心とした 3mS では掃引速度[掃引繰り返し周波数(fs)と掃引幅(fd)
の積]が遅い為、忠実な同調曲線が描かれますが、その他の部分では掃引速度が速くな
りますので、像のひずみが生じて見かけ上、中心周波数、帯域幅およびレベルが変化し、
忠実な同調曲線が描かれません。
なお、掃引速度による像のひずみにつきましては、3.5 掃引速度によって像のひずみが
生じた場合(22頁)をご覧下さい。
3.4.1 一般的な掃引で測定する場合(WIDE 掃引)(19頁)の操作を行った後、
次のように操作します。
1) 被測定器の同調周波数を、マーカの最低周波数に合わせます。
すなわち、最低周波数のマーカを中心にして同調曲線が描かれるように被測
定器の同調を取ります。
2) ⑥「NARROW WIDTH
要の大きさにします。
マーカを中心とした 3mS における掃引幅は狭くなり、同調曲線は拡大され
ます。
なお、この場合のこぎり波は図 4(12頁)のようになります。
以上の状態で、被測定器の同調周波数を変え、各マーカ点で波形を観測しな
がら、調整試験を行います。
掃引帯域幅の狭い時に、拡大掃引にしますと不安定な状態が起こることがあ
ります。この場合は、通常の掃引方式に戻して調整して下さい。また、AM-IF
バンド・FM-IF バンドでは拡大掃引はできません。

3.5 掃引速度によって像のひずみが生じた場合
2
0
2
)(
1616 Q
f
B
fsfd
)≦・掃引速度(
掃引信号発生器を用いて同調回路の調整を行う場合、同調回路の Q が高いとき
には、掃引速度(掃引幅と掃引繰り返し周波数の積)によって像のひずみが生
じ、見かけ上中心周波数・帯域幅およびレベルが変化し、忠実な同調波形が得
られない場合があります。
掃引速度による像のひずみ(同調波形のずれ)
掃引速度が遅い 掃引速度が早い 掃引速度が非常に早い
図 8
この掃引速度と像のひずみの関係は、掃引速度が共振曲線を忠実に表す限界
としますと、次式で表せます。
ただし、 fs………… 掃引繰り返し周波数
fd………… 掃引周波数範囲(掃引幅)
B………… 帯域幅
fo………… 同調回路の中心周波数
Q………… 共振の選択性
従って、掃引速度は出来る限り遅くし、同調曲線を忠実に描かせることが必要
です。
しかし、一般的な掃引信号発生器の場合には、掃引繰り返し周波数が電源周波
数の 1/2 に固定されていますので、IF 帯域の狭い(同調回路の Q が高い)ラ
ジオ受信機のトラッキング調整などに用いますと、掃引速度による像のひずみ
が生じます。

本器(MSW-7625)は、この掃引繰り返し周波数(電源周波数の 1/2 に固定)
注 意
被測定ラジオ受信機のダイヤルは 4)項以下の際に動かさないようにして下さい。
によって生ずる掃引速度による像のひずみを解消するために、掃引帯域内の一
部を拡大掃引する機能(NARROW WIDTH)を備えています。
なお、拡大掃引を行いましても掃引速度による像のひずみが生ずることがあり
ますが、これは被測定同調回路の Q が更に高い為で、このような場合は次の方
法によって被測定回路を含めてマーカ周波数を校正し、お使い下さい。
1) 標準信号発生器、周波数カウンタ、テストループおよびオシロスコープを図
9のように接続します。
図 9
2) 標準信号発生器の周波数を、校正しようとするマーカ周波数に合わせて、
400Hz の変調をかけます。
3) 被測定ラジオ受信機の周波数ダイヤルを回し、オシロスコープの振れが最大
になるように同調を取ります。

4) 本器と可変減衰器、テストループ、被測定ラジオ受信機およびオシロスコー
注 意
被測定回路を含めたマーカ周波数は、被測定回路によって異なります。
従って、被測定ラジオ受信機の機種を変えたときやロットを変えたときには改めて、被測
定ラジオ受信機を含めたマーカ周波数の校正を行って下さい。
プを図 6(17頁)のように接続します。
5) 本器を操作して、オシロスコープに同調波形を描かせ、同調波形の最大点に
マーカを挿入させます。
このときのマーカ周波数が、被測定ラジオ受信機を含めた正しいマーカにな
ります。

3.6 本器を中央集中装置として使用する場合
注 意
1. 本器のマーカ・のこぎり波出力コードを中央集中掃引信号発生装置のマーカ・のこぎ
り波伝送ラインに直接接続することはできません。
接続するためには図 10に接続図を示すようなマーカ・のこぎり波混合器が必要です。
マーカ・のこぎり波混合器の接続図
図 10
2. 中央集中化掃引信号発生装置の、のこぎり波の伝送は 1 信号を伝送し、これを各端末
に分配するようになっています。
従って、本器 4 台のうち端末に、のこぎり波を供給するのは、このうちの 1 台だけに
なります。
端末に、のこぎり波を供給する機器は、掃引信号発生器のベースとして動作させるこ
とが必要ですので、⑫「M&H OUTPUT」コネクタと、マーカ・のこぎり波混合器を
接続する際には、ベースとする掃引信号発生器がどの機器か解るようにして接続して
下さい。
ここでは、本器を 4 台使用し、信号の伝送ラインに弊社製の中央集中化掃引信
号発生装置の信号伝送ラインを利用する場合を例に説明します。

1) 本器 4 台の⑮「INT.←→EXT.」スイッチを、それぞれ次のようにセット
します。
a. ペーストする掃引信号発生器の場合
「INT.」側にする。
b. 他 3 台の掃引信号発生器の場合
「EXT.」側にする。
2) 本器 4 台の⑪「SWEEP OUTPUT」コネクタと、中央集中化掃引信号発
生装置の掃引信号伝送ラインを、掃引信号伝送ケーブルを用いて接続し、
各端末に分配します。
3) 本器 4 台の⑬「M&H OUTPUT」コネクタと、マーカ・のこぎり混合器
を、マーカ・のこぎり波出力コードを用いて図 11のように接続します。
図 11

4) マーカ・のこぎり波混合器の出力コネクタ(8P 角形)と、中央集中化掃
引信号発生装置のマーカ・のこぎり波伝送ラインを伝送ケーブルで視接続
し、各端末に分配します。
<ベースとなる掃引信号発生器の、のこぎり波とブランキング信号>
本装置は、ベースとなる掃引信号発生器の、のこぎり波に他の 3 台の、のこごり波を同
期させるためにブランキング信号を用いています。通常は、マーカ・のこぎり波混合器
内で接続するようにしていますが、当社の他の掃引信号発生器(ディジタルマーカ方式)
と併用する際は、各器の「BLANKING」コネクタを、ベース器の「BLANKING」コ
ネクタと接続して下さい。(図 12 参照)ブランキング信号が入力されませんと、のこ
ぎり波が発生せず、⑩「メータ」は振れますが出力はありません。
図 12
以上で、中央集中装置としての設定は済みましたので、本器を単体として使用する場合と
同様の操作を行い、生産ラインに信号を供給します。

3.7 本器と他の当社製掃引信号発生器を併用し、中央集中装置として使用する場合
1) MSW-7620~3 と併用する場合(MCS-7000)
a. MSW-7620~3 の「7600/9000」スイッチを「7600」側にします。
b. ベース器を決め、相方の「BLANKING」コネクタと接続します。
c. 3.6 本器を中央集中装置として使用する場合(25頁 参照)と同様の操作
を行います。
2) MCS-7600 中央集中化掃引信号発生器と併用する場合
a. 本器をベースにする場合
のこぎり波信号とブランキング信号を MCS-7600 に供給します。
この場合、MCS-7600 側の出力計の指示が下がりますが、そのままの位置
でご使用下さい。
b. MCS-7600 をベースにする場合
本器はブランキング信号を供給してもらいます。
<電源周波数を 50Hz で使用する場合>
電源周波数が 50Hz の場合、MCS-7600 と本器とでは、ブランキング時間に差
がありますので、本器系列の端末オシロスコープでは、画面右側で有効範囲が
20%近く狭くなります。