オーナーズマニュアル
DUCATISUPERBIKE
999R
1
2
この度は当社の製品をお選びくださりありがとうござい
ます。お客様を喜んでドゥカティストの一員としてお迎
えいたします。この新しい Ducati モーターサイクルが
日常使用のみならずロングツーリングにおいても、その
走行が常に快適で楽しいものでありますよう、Ducati
モーターホールディング社は願っております。
お客様に常により良いサービスをお届けするために、
Ducati モーターホールディング社は、このマニュアルに
記載された正しい使用方法、特に慣らしの項目に関して
遵守していただくようお客様にお願い申し上げます。そ
うすることで、お客様の Ducati モーターサイクルは常
にお客様の要求に応えてくれるでしょう。
あらゆる修理作業や適切なアドバイスが必要な場合は、
Ducati 正規ディーラーの整備工場にお任せください。
他のどこよりも Ducati を熟知したエキスパート達がい
つも万全の体制でお客様のご要望にお答えいたします。
楽しいライディングを!
メモ
Ducati モーターホールディング社は、本マニュア
ルの作成においての誤記および脱字について一切の責任
を負うものではありません。本マニュアルに記載されて
いる情報はすべて、発行の日付をもって最新のものとし
ます。Ducati モーターホールディング社は、製品を改
良、発展させていくために必要とされる、あらゆる変更
を行う権利を保有します。
安全性、保証、信頼性、そして Ducati モーターサイク
ルの価値のために、Ducati 純正部品のみをご使用くださ
い。
警告
本マニュアルは車両の一部を形成するものであり、
車両を譲渡する場合には、常に新しい所有者に譲渡しな
ければなりません。
3
目次
イントロダクション 6
保証 6
シンボルマーク 6
安全運転上の注意 7
最大積載量 8
製造番号 9
操作系 10
操作類の位置 10
メーターパネル 11
LCD - 主要機能 12
LCD - パラメーターの設定 / 表示方法 14
イモビライザーシステム 21
コードカード 22
スロットルグリップを使用したイモビラ
イザーによるエンジン作動禁止の解除手順 23
キーの複製 24
イグニッションスイッチ / ステアリングロック 25
ハンドルバー左側スイッチ 26
クラッチレバー 27
チョークレバー 28
右側ハンドルスイッチ 29
4
スロットルグリップ 29
フロントブレーキレバー 30
リアブレーキペダル 31
ギアシフトペダル 31
ギアシフトペダルとリアブレーキペダルの調整 32
ギアシフトペダルの調整 33
リアブレーキペダルの
調整 34
主要構成部品 / 装備 35
配置図 35
燃料タンクキャップ 36
シート / 燃料タンク調整 37
サイドスタンド 38
ステアリングダンパー 39
フロントフォークアジャスター 40
リアショックアジャスター 42
車高の調整 43
運転のしかた 45
慣らしの方法 45
走行前のチェック 47
エンジンの始動 48
モーターサイクルの発進 50
ブレーキング 51
モーターサイクルの停止 51
パーキング 52
燃料補給 53
工具セット 54
主な整備作業とメンテナンス 55
フェアリングの取り外し 55
冷却水の液量チェックと補給 58
ブレーキ / クラッチ液量のチェック 60
ブレーキパッドの摩耗チェック 61
ケーブル / ジョイント部への給油 62
スロットルグリップの遊びの調整 63
バッテリーの充電 64
キャスター角の調整 65
チェーンテンションの点検 67
チェーンの給油 67
ハイビームバルブおよびロービームバルブの交換 68
パーキングライトバルブの交換 70
フロント方向指示器 71
リア方向指示器 71
ストップライト 72
ナンバープレートライト 72
ヘッドライトの光軸調整 73
バックミラーの調整 74
チューブレスタイヤ 75
エンジンオイル量のチェック 77
スパークプラグの清掃と交換 78
モーターサイクルの手入れ 79
長期間の保管 80
いくつかの国のオーナーにとって重要な事項 80
テクニカルデータ 81
全体寸法 (mm) 81
重量 81
燃料補給 82
エンジン 83
タイミングシステム 83
性能データ 84
スパークプラグ 84
給油 84
ブレーキ 84
トランスミッション 85
フレーム 86
ホイール 86
タイヤ 86
サスペンション 87
エキゾーストシステム 87
カラーバリエーション 87
電装 88
定期点検メモ 92
5
イントロダクション
保証
お客様のため、また製品の信頼性を保証するために、特
に専門的技術が要求される整備作業は、Ducati 正規
ディーラーの整備工場にお任せいただくよう強くお薦め
します。
Ducati 正規ディーラースタッフは高度に熟練しており、
最適な器具を使用して作業を行う能力を保持し、また、
Ducati 純正部品だけを使用して、「ロングライフ」「円滑
な作動」「完璧な互換性」について最良な保証をいたしま
す。
全ての Ducati モーターサイクルには保証書が添付され
ています。しかし、車両を競技やそれに類することに使
用した場合には保証の対象外となります。また保証期間
中に、たとえ車両の一部でも Ducati 純正部品でないも
のと交換したり、また改造・変更した場合は、Ducati
モーター社の保証は適用されません。
6
シンボルマーク
Ducati モーターホールディング社はお客様がモーターサ
イクルをより良く理解できるよう、本マニュアルを注意
深く読まれることをお薦めします。お客様のモーターサ
イクルについて、お問い合わせのある場合には、ご購入
先の正規ディーラーあるいは公認の整備工場にお尋ねく
ださい。スタッフからの最新の情報は、お客様の走行に
役立つでしょう。また Ducati モーターホールディング
社は、当マニュアルが、快適で楽しい走行と、お客様の
モーターサイクルの素晴しい性能を長い間変わらずに保
てる一助となることを望んでいます。本マニュアルには
特別な意味を持つ注記を盛り込んでいます。
警告
この説明を遵守しなかった場合、重度の負傷および
死亡に至らしめる危険性があります。
重要
車両ならびに車両構成部品に損傷の可能性がありま
す。
メモ
作業上の追加注意事項です。
文中の「右」、「左」の表記は乗車位置から見た場合で示
してあります。
安全運転上の注意
警告
運転する前に読んでください。
多くの事故はしばしば不慣れなために起こります。走行
する際は常に免許証を所持しているか確かめてください。
免許証は期限が有効でお客様のモーターサイクルの運転
に適したものが必要です。
お客様のモーターサイクルを未経験者、および有効免許
証を持っていないライダーに貸してはいけません。
ライダーは、常に適切なライディングウエアーを着用し、
安全なヘルメットを着用しなければなりません。
視界を制限したり、引っかかって操作の妨げになるアク
セサリーや物が付いていない、適切なライディングウエ
アーを着用して下さい。
屋内では絶対にエンジンを始動させないでください。排
気ガスは有毒で、意識喪失や、場合によっては短時間で
死亡に至る危険性ももたらします。
ライダーは、モーターサイクルが動いている間は足を
フットレストに載せていて下さい。
急な進路変更や、路面状況の変化に対処できるよう、ラ
イダーは常に両手でしっかりとハンドルバーを保持して
ください。
走行地域の道交法、および法律を遵守して運転してくだ
さい。
常に指示された速度制限を厳守するとともに、視界や道
路条件、混雑の割合に合わせて、適切な速度を守ってく
ださい。
車線変更をする時や曲がる時は、常に適時に方向指示器
を使用して合図してください。
良好な視界を保ち、前方の車両の " 死角 " に入って走行
しないようにしてください。
交差点や、私有地の出口に近い場所、駐車場、高速道路
への進入路等を走行する場合は充分に注意してください。
給油時は
常に
エンジンを停止し、給油の際、エンジンや
エキゾーストパイプにガソリンをこぼさないよう特に注
意してください。
給油時は絶対に喫煙しないでください。
給油の際に、人体に有毒な気化した燃料を吸い込む可能
性があります。もしも燃料が皮膚や衣服に付着した場合
は、直ちに石鹸と水で洗浄し衣服を取り替えてください。
モーターサイクルから離れる場合は、
常に
キーを抜いて
ください。
エンジン、エキゾーストパイプ、マフラーはエンジン停止
後も長時間熱いままです。
警告
エキゾーストシステムは、エンジンスイッチを切っ
た後も熱い場合があります。エキゾーストシステムへ接
触しないよう充分注意し、車両を木材、木の葉などの可
燃物のそばに駐車しないようにしてください。
モーターサイクルは人や物がぶつからないような場所に
サイドスタンドを使用して駐車してください。
平坦でない場所や柔らかい土壌には駐車しないでくださ
い。モーターサイクルが転倒する恐れがあります。
7
最大積載量
お客様のモーターサイクルは、許容最大重量の荷物を積
載しても、長距離を安全かつ快適に走行できるよう設計
されたものです。
モーターサイクル上にバランス良く重量を配分すること
は通常の安全走行に必要な注意で、特に凸凹道を走行し
たり、急な進路変更を必要とする時のトラブルを避ける
ため重要です。
積載量について
走行時の全車体重量はライダー、荷物、オプションパー
ツの重量を含んだ合計で
312 Kg を超えてはなりません。
USA バージョンは 306 kg (675 Ibs) を超えてはなりま
せん。
積み荷はモーターサイクルの中心に近く、できる限り低
い位置に配置するよう努めてください。
積み荷はモーターサイクルにしっかりと固定してくださ
い。積み荷が完全に固定されていないとモーターサイク
ル転倒の原因になります。
ハンドルバーやフロントマッドガード部に体積や重量の
あるものを載せないでください。ステアリングの妨げに
なり、モーターサイクルの安定性を損ないます。
フレームのすき間に積み荷物を挟み込まないでください。
可動部分の妨げになる恐れがあります。
タイヤが、75 ページに定められた適正空気圧を保持し、
また良いコンディションにあることを確かめてください。
8
製造番号
すべての Ducati モーターサイクルはフレームナンバー
( 図 .1) とエンジンナンバー ( 図 .2) の 2 つの製造番号
で確認できます。
フレーム ナンバー
エンジン ナンバー
メモ
これらの番号は、お客様のモーターサイクルの型式
を識別するもので、部品を発注する際に必ずお知らせく
ださい。
このモデルは限定版で、ナンバーが打たれたシルバー製
のプレートがステアリングヘッド上に取り付けられてい
るのがこのモデルの特徴です。
図.1
図.2
9
操作系
1
6
5
4
8
警告
この章には、お客様がモーターサイクルを運転する
上で必要な全ての操作類の機能と配置を詳しく説明して
います。操作類を使用する前に、注意深く読んでくださ
い。
操作類の位置 (図.3)
1) メーターパネル
2) イグニッションスイッチ / ステアリングロック
3) ハンドルバー左側スイッチ
4) クラッチレバー
5) 冷間時のスターターレバー
6) ハンドルバー右側スイッチ
7) スロットルグリップ
8) フロントブレーキレバー
9) ギアシフトペダル
10)リアブレーキペダル
10
3
7
2
9
10
図.3
メーターパネル(図 .4)
1) LCD (12 ページ参照 )
2) タコメーター (rpm).
エンジンの 1 分間の回転数を表示します。
3) ニュートラルパイロットランプ N ( 緑色 )
ギアポジションがニュートラルのときに点灯します。
4) 燃料警告灯 ( 黄色 )
燃料タンクの残燃料が約 3 リットルになったときに点灯
します。
5) 方向指示器パイロットランプ ( 緑色 )
方向指示器の作動時に点灯します。
6) エンジンオイルプレッシャーパイロットランプ
( 赤色 )
エンジンオイル圧力が低すぎるときに点灯します。イグ
ニッションスイッチを ON にすると点灯し、エンジンが
始動して数秒後に消灯します。
エンジン温度が非常に高い場合に数秒間点灯することが
ありますが、エンジン回転数の上昇とともに消灯します。
10
5
8
7
3
4
2
10
9
6
重要
このパイロットランプ (6) が点灯したままのとき
は、モーターサイクルを使用しないでください。エン
ジンに損傷を与える恐れがあります。
7) ハイビームパイロットランプ (青色 )
ライトがハイビームの時に点灯します。
1
図.4
11
8) EOBD パイロットランプ (橙色 )
エンジンの作動禁止を伴うエラーが発生した場合は、エン
ジンコントロールユニットによりこのパイロットランプ
が点灯します。
また、スロットルグリップを使用したイモビライザー無
効のインジケーターを兼用しています。
エラーが発生していない場合は、イグニッションスイッ
チを ON にするとこのパイロットランプが点灯し、数秒
後 ( 通常 1.8 ~ 2 秒後 ) に消灯します。
9) ギアチェンジ規定値パイロットランプ ( 赤色 )
コントロールユニットによりインジェクションリミッ
ターが作動したことを示します。パイロットランプ下部
は、インジェクションリミッターが作動するエンジン回
転数まであと 200 rpm になった時に点灯します。パイ
ロットランプ上部は、インジェクションリミッターが作
動するエンジン回転数まであと 100 rpm になった時に点
灯します。
10) コントロールボタン
これらのボタンは、メーターパネルのパラメーターの表
示および設定に使用します。
12
LCD - 主要機能 ( 図 .5)
警告
メーターパネルコントロールボタンを操作する場合
は、モーターサイクルを停車してから行ってください。
運転中には決してメーターパネルコントロールボタンを
操作しないでください。
1) スピードメーター
速度を表示します。
2) オドメーター
総走行距離を表示します。
3) トリップメーター
リセット後の走行距離を表示します。
4) 時計
5) ラップタイムクロノメーター
6) ラップ最高速度記録
7) バッテリー電圧インジケーター
8) 外気温インジケーター
9) 燃量インジケーター
10)冷却水温度インジケーター
エンジン冷却水の温度を表示します。
重要
エンジンに重大な損傷をもたらしますので、温度が
上限レベルに達した時は、モーターサイクルを使用しな
いでください。
11)定期メンテナンスインジケーター
このパイロットランプは定期メンテナンス用に指定した
走行距離に到達すると点灯します。その時点から走行 50
km までは点滅し続け、その後は点灯したままになりま
す。定期メンテナンスの一環として Ducati 正規ディー
ラーの整備工場でカウンターがリセットされると消灯し
ます。
12)イモビライザーインジケーター
このインジケーターはキーコードが不正な場合、または
承認されない場合に点灯します。またスロットルグリッ
プを使用してイモビライザーを無効にすると点滅します
(ページ 23 参照 )。
10
11
12
4
1
6
重要
メーターパネルにはオンボード電子式インジェク
ション / イグニッションシステムの診断機能がありま
す。診断メニューは訓練を受けたメカニックのみ操作可
能です。偶然にこの機能へアクセスした場合はイグニッ
ションキーを OFF にし、Ducati 公認サービスセンター
でモーターサイクルを点検してください。
2
3
7
5
9
8
図.5
13
LCD - パラメーターの設定 / 表示方法
キーを OFF から ON に回して始動すると、メーターパネ
ルのすべての機器 ( 針、ディスプレイ、パイロットラン
プ) が点検されます ( 図 .7 を参照 )。
左側ディスプレイ機能 (A) の表示
キーを ON にしてボタン (1, 図 .6) を押すと、トリップ
メーター、オドメーター、ラップタイムインジケーター
が順に表示されます。
1
2
右側ディスプレイ機能 (B) の表示
キーを ON にしてボタン (2, 図 .6) を押すと、バッテ
リー電圧インジケーター、外気温インジケーター、燃量
インジケーターが順に表示されます。
OFF CHECK 1 CHECK 2 ON
14
A
B
図.6
図.7
時計の設定
ボタン(1、図 .8)を 2 秒以上押し続けます。
ボタン(2、図 .8)を押して AM/PM を選択します。ボ
タン(1)を押して確定すると、「時」設定モードになり
ます。
ボタン(2)を押して、「時」を設定します。ボタン(1)
を押して確定すると、「分」設定モードになります。
ボタン(2)を押して、「分」を設定します。ボタン(1)
を押して確定すると、時計設定モードが終了します。
トリップメーターのリセット
ディスプレイ (3, 図 .8) の TRIP モードを選択します。
ボタン(2)を 2 秒以上押すと、表示されているトリッ
プメーター表示がリセットされます。
1
3
2
図.8
15
特殊設定機能 ( 車両モデルおよび測定単位 )
エンジンコントロールユニットにより正しい車両モデル
および測定単位の情報が自動的にメーターパネルに送信
され表示されます。これらのパラメーターを変更する場
合は、ボタン (1, 図 .8) および (2, 図 .8) の両方を同
時に押し、キーを OFF から ON に回します。
ボタン(1)を押して選択したい設定までスクロールしま
す。
選択した設定を保存するには、ディスプレイに OFF と表
示されるまでボタン(2)を 5 秒以上押します。イグ
ニッションキーを OFF に回します。
メモ
図の点線で囲まれた場所は、車両バージョン ( ノー
マル、R、S) の表示位置です。
16
図.9
ラップタイム記録
この機能によりラップタイムが記録でき、ラップタイム
記録中の最高速度およびエンジン回転数が表示されます。
ディスプレイ(4、図 .10)の LAP モードを選択します。
走行中にエンジンスタートボタン(5、図 .11)を押す
と、オンボードクロノメーターが作動します。もう一度
ボタン (5) を押すとクロノメーターが停止し、同時に
オンボードクロノメーターが次のタイムの測定を始めま
す。
ラップタイムは 19 まで記憶させることができます。19
以上のラップタイムが記録された場合には、最初の古い
タイムは失われ、最新のものから 19 のタイムが記憶され
ます。
7
1
8
4
2
6
メモ
LAP モードでは、スタートボタン(5)を操作して
もエンジンが始動しない場合があります。
ラップタイムメモリー機能
ラップタイム測定後、19 個までのタイムが LCD で検索
および表示できます。エンジンを停止させてからボタン
(2、図 10) を押し、イグニッションキーを OFF から ON
の位置に回して機能を作動させます。
機能が作動したらボタン (1) を押すと、以下の測定結果
が表示されます。メーターパネルには以下の情報が表示
されます。
- データに関連するラップナンバー(6)
- 選択したラップ中の最大エンジン回転数 (7, 図 .10)
- 記憶されたラップタイム (4, 図 .10)
- 選択したラップ中の最高速度 (8, 図 .10)
図.10
5
図.11
17
メモ
280 km/h(174 mph)に達すると、ディスプレイには
"---" というラインが表示されます。
メモ
スピードメーターは実際の速度より速い速度を示し
ます。誤差は平均で 8 % です。LCD に保存されるラップ
タイム最高速度はそのラップタイム時の実際の車速です。
記録されているラップタイムを消去するには、ボタン
(2, 図 .10) を 5 秒以上押します。
18
冷却水温度機能 ( 図 .12 および図 .13)
冷却水温度が -40°C/-40°F より低い場合、ディスプレ
イに点が数個点滅し、橙色の EOBD パイロットランプが
点灯します (8、図 . 4)。
冷却水温度が -39°C/-38.2°F ~ +45°C/+113°F 間、
または +120°C/+248°F ~ +124°C/+255.2°F 間の場
合、ディスプレイの温度表示が点滅します。
冷却水温度が +46° C/+114.8 °F ~ +119 °C/+246.
2 °F 間の場合、温度表示は点灯したままです。
冷却水温度が +125°C/+257°F を超えると、ディスプレ
イの温度表示 125°C/257°F が点滅し、橙色の EOBD パ
イロットランプが点灯します (8、図 .4)。
- 39 °C
- 40
°
C
+ 46
+ 45
°
C
°
C
+ 119
+ 120
°
C
°
C
+ 124
°
C
+ 125
°
C
図.12
図.13
19
パイロットランプの明るさの強度
パイロットランプの明るさは、感知された外の光の量に
応じ、メーターパネルによって自動的に調整されます。
メーターパネルのバックライト
メーターパネルのバックライトは、テールライトもしく
はヘッドライトが点灯している場合のみ作動します。
これらのライトが点灯していると、光の強度、気温を感
知するセンサーの働きで、メーターパネルが自動的に
バックライトの作動を調整します。
ヘッドライトの自動消灯機能
ヘッドライトが自動的に消えるので、バッテリーの消費
を抑えることが出来ます。次の 2 つの場合、この機能は
作動します:
-キーを OFF から ON に回してエンジンを始動させない
場合、60 秒経つとヘッドライトは消え、次にキーを
OFF から ON に回した時にのみ、再び点灯します。
- モーターサイクルを通常に使用した後、ヘッドライト
が点灯したまま、右側スイッチの RUN-STOP ボタンを
使ってエンジンを止めた場合、
この場合、エンジンを止めてから 60 秒経つとヘッド
ライトは消え、次にエンジンを始動した時に再び作動
します。
20
メモ
エンジン始動のときも、システムではヘッドライト
がいったん消えるようにします。エンジンがスタートし
てから、またはエンジンスタートボタン (2, 図 .21) が
解放されてから、再び点灯します。
イモビライザーシステム
このモーターサイクルは、盗難防止機能の向上のためイ
モビライザーを装備しています。イモビライザーはイグ
ニッションスイッチ OFF 時にエンジンの作動を禁止する
電子システムです。
出力信号を調整する電子装置が各イグニッションキーの
ハンドグリップに内蔵されています。この信号はイグ
ニッションを ON に回した時、スイッチに内蔵された特
殊アンテナから出力され、毎回変更されます。この変調
信号は「パスワード」として機能し、「認可」イグニッ
ションキーがエンジンの始動に使用されていることを
CPU に伝達します。CPU は信号を認識すると、エンジン
を始動させます。
キー ( 図 .14)
オーナーに支給されるキーは以下の 1 組です。
- キー A (1 本 ) ( 赤色 )
- キー B (2 本 ) ( 黒色 )
警告
キー A(赤色)には、キーをベストな状態に保ち、
他のキーとの接触を防ぐためゴム製のカバーが取り付け
られています。必要な場合以外は絶対にこのカバーを取
り外さないでください。
キー B は通常使用するイグニッションキーで、以下に使
用します。
- エンジン始動
- 燃料タンクキャップのロック解除
キー A にはキー B と同様の機能があります。また必要な
場合は、黒色キーの削除および再プログラムができます。
メモ
3 本のキーには識別番号を記載した小型プレート
(1) が付属しています。
警告
キーはそれぞれ別の場所に保管してください。プ
レート (1) およびキー A は安全な場所に保管してくださ
い。
モーターサイクル使用時には、2 本のうちのどちらか 1
本の同じ黒色キーを常に使用することをお薦めします。
B
A
1
図.14
21
コードカード
キーと合わせてコードカード ( 図 .15) が納品されます。
カードには、電子コード (A, 図 .16) が掲載されており、
key-on の後エンジンがロックしてかからない場合に使用
します。
警告
コードカードは安全な場所に保管してください。た
だし、スロットルグリップを使用した手順に従いロック
解除しなければならない場合に必要となるので、モー
ターサイクルを運転する際には電子コードが印刷されて
いるコードカードを携帯するようお薦めします。
イモビライザーシステムに不具合がある場合、EBOAD パ
イロットランプ(橙色)が点灯するので、以下の方法で
「エンジン作動禁止」機能を無効にできます (8, 図 .4)。
ただしこの操作は、コードカードの電子コードを知って
いる場合にのみ実施可能です。
22
図.15
A
図.16
スロットルグリップを使用したイモビライザーによる
エンジン作動禁止の解除手順
1) キーを ON に回します。スロットルを全開に保持しま
す。そのままの状態にします。
8 秒後に EOBD (8, 図 .4) パイロットランプが消灯しま
す。
2)EOBD パイロットランプが消灯したら直ちにスロット
ルを戻します。
3)EOBD パイロットランプが点滅します。ここで、解除
用の電子コードを入力します。このコードは、納車時に
ディーラーからお客様に渡される CODE CARD に記載され
ています。
4)EOBD パイロットランプ(8、図 .4)の点滅回数がシー
クレットコードの最初の数字と同じになるまで数えます。
スロットルグリップを 2 秒間全開のポジションにし、そ
の後放します。1 桁目の入力が認識されると、EOBD パイ
ロットランプが 4 秒間点灯します。この手順を繰り返し
て、最後の数字まで入力します。
スロットルグリップをまったく操作しないと、EOBD パイ
ロットランプが 20 回点滅した後、点灯状態になります。
この場合は、手順 1 からやり直す必要があります。
5) 正しいコードが入力された時は、スロットルグリップ
を放すと:
A) EOBD パイロットランプが点滅しながら点灯し、ブ
ロックが解除されたことを示します。4 秒たつと、も
しくはエンジン回転数が 1000 rpm を超えると、パイ
ロットランプは通常の状態 ( 消灯 ) に戻ります。
B) エンジンの回転数が 1000 rpm を超えるまで、もしく
はモーターサイクルを再始動するまで CODE パイロッ
トランプが点滅を続けます。
6) コードが正しく入力されなかった場合は、EOBD パイ
ロットランプおよび CODE パイロットランプは共に点灯
したままとなります。この場合は、手順 2 から何度でも
やり直すことができます。
メモ
スロットルグリップを設定時間の前に放した場合
は、
パイロットランプが再度点灯します。
この場合、キーを OFF にして回して、
手順 (1) からやり直します。
23
作動値
イグニッションキーを ON から OFF に回すたびに、イモ
ビライザーがエンジンの作動を禁止します。エンジンを
始動するため、イグニッションキーを再度 OFF から ON
に戻すと以下のようになります。
1) CPU がコードを認識すると、メーターパネルの CODE
パイロットランプ (12, 図 .5) が短時間点滅します。
これはイモビライザーシステムがキーコードを認識
し、エンジン始動が可能なことを示します。START ボ
タンを押すと、エンジンが始動します。
2) CODE パイロットランプが点灯したままの場合は、
コードが認識されていないことを示します。この場
合、イグニッションキーを OFF に戻し、再度 ON に
します。これでもエンジンが始動しない場合は、もう
1 本の黒色キーで試してみてください。このキーでも
始動しない場合は、DUCATI サービスネットワークに
ご相談ください。
3) CODE パイロットランプが点滅したままの場合は、イ
モビライザーシステムの不具合がスロットルグリップ
を使用した解除手順などによりリセットされたことを
示します。キーを OFF にしてから ON に戻すと、イ
モビライザーパイロットランプは正常作動に戻ります
(手順 1 参照)。
警告
キーは電子部品を内蔵しています。落とす、または
ぶつけると損傷する恐れがあります。
作業中は 1 本のキーのみを使用してください。複数の
キーを使用すると、使用するキーのコードをシステムが
認識できない場合があります。
24
キーの複製
キーを複製したい場合は、お手持ちのすべてのキー、お
よびコードカードを DUCATI サービスネットワークにお
持ちください。
DUCATI サービスが合計 8 本まで新しいキーのプログラ
ムおよびオリジナルキーの再プログラムを行います。
この時お客様がモーターサイクルの正当な所有者である
証明を求める場合があります。必ず証明できる書類をお
持ちください。
お持ちにならなかったキーのコードは、キーを紛失した
場合使用できないようにするためメモリから削除されま
す。
メモ
モーターサイクルを売却された場合は、必ずすべて
のキーおよびコードカードを新しい所有者にお渡しくだ
さい。
イグニッションスイッチ / ステアリングロック
( 図 .17)
燃料タンクの前に配置され、4 つのポジションが選べま
す。
A) ON:ライト ON、エンジン作動
B) OFF:ライト OFF、エンジン停止
C) LOCK:ステアリングロック
D) P:パーキングライト ON、ステアリングロック
メモ
キーを (C)、(D) の位置にするには、押してから回
してください。(B)、(C)、(D) の位置ではキーを引き抜
くことができます。
A
B
N
O
F
F
O
H
S
U
P
LOCK
P
C
IGNITION
D
図.17
25
ハンドルバー左側スイッチ ( 図 .18)
1) ライト切り替えスイッチ = 2 つのポジションがありま
す。
ポジション = ロービーム ON
ポジション = ハイビーム ON
2) スイッチ = 方向指示器には 3 つのポジションがあ
ります。
中央 = OFF
ポジション = 左折
ポジション = 右折
方向指示器を消すには、
中央に戻ってきたレバーを押してください。
3) スイッチ = 警告ホーン
4) スイッチ = ハイビーム点滅
26
4
1
2
3
図.18
クラッチレバー ( 図 .19)
レバー (1) でクラッチの接続を操作します。この機種に
はアジャスター (2) が付いており、レバーとグリップと
の間隔の調整が可能です。
レバーとグリップとの間隔はノブ (2) を使用して調整
(10 段階 ) します。レバーとグリップとの間隔を広くす
るにはノブを時計回りに、間隔を狭くするには反時計回
りに回転させます。
レバー (1) を引くと、エンジンの回転がトランスミッ
ションおよびリアホイールに伝わらなくなります。ク
ラッチの適切な操作は、スムーズなライディング、特に
発進時に重要です。
警告
クラッチレバーの調整は、モーターサイクルを停止
した状態で行ってください。
重要
クラッチレバーを正しく操作することで、トランス
ミッションのダメージを回避し、モーターサイクルの寿
命を延ばすことができます。
メモ
エンジンは、サイドスタンドを下ろしてトランスミッ
ションをニュートラルにしたまま始動できます。ギアを入
れた状態でモーターサイクルを始動する場合は、クラッチ
レバーを引いてください。この場合、必ずサイドスタンド
を上げてください。
2 1
図.19
27
スターターレバー ( 図 .20)
チョークレバー (1) はエンジンを冷間始動する場合はこ
の装置を使用してください。この装置は始動後のエンジン
アイドル回転数を増加します。
レバーポジション:
A = チョークレバー未使用
B = チョークレバー全開使用
このレバーは段階的に開閉することも可能で、エンジン
が完全に暖機するまで回転数が調整できます ( ページ
48 参照 )。
重要
エンジンが暖機している場合にはチョークレバーを
使用しないでください。スターターレバーを開いたまま
走行しないでください。
28
A
B
1
図.20