オーナーズマニュアル
DUCATI MONSTER
MONSTER S2R
MONSTER S2RDARK
1
この度は当社の製品をお選びくださりありがとうござい
ます。お客様を喜んでドゥカティストの一員としてお迎
えいたします。この新しい Ducati モーターサイクルが
日常使用のみならずロングツーリングにおいても、その
走行が常に快適で楽しいものでありますよう、Ducati
モーターホールディング社は願っております。
お客様に常により良いサービスをお届けするために、
Ducati モーターホールディング社は、このマニュアルに
記載された正しい使用方法、特に慣らしの項目に関して
遵守していただくようお客様にお願い申し上げます。そ
れにより、Ducati モーターサイクルは常にお客様の要求
に応えてくれることでしょう。
あらゆる修理作業や適切なアドバイスが必要な場合は、
Ducati 正規ディーラーの整備工場にお任せください。
他のどこよりも Ducati を熟知したエキスパート達がい
つも万全の体制でお客様のご要望にお答えいたします。
楽しいライディングを!
2
メモ
Ducati モーターホールディング社は、本マニュア
ルの作成においての誤記および脱字について一切の責任
を負うものではありません。ここに記載された情報は、
印刷された時点において最新のものです。Ducati モー
ターホールディング社は、製品を改良、発展させていく
ために必要と思われるあらゆる変更を行う権利を保有し
ます。
安全性、保証、信頼性、そして Ducati モーターサイク
ルの価値のために、Ducati 純正部品のみをご使用くださ
い。
警告
本マニュアルは車両の一部を形成するものであり、
車両を譲渡する場合には、常に新しい所有者に譲渡しな
ければなりません。
目次
イントロダクション 5
保証 5
シンボルマーク 5
安全運転の注意 6
最大積載量 7
製造番号 8
操作系 9
操作類の位置 9
メーターパネル 10
LCD - 主要機能 11
イモビライザーシステム 13
キー 13
コードカード 14
スロットルグリップを使用したイモビライザ
ーによるエンジン作動禁止の解除手順 15
キーの複製 16
イグニッションスイッチ / ステアリングロック 17
ハンドルバー左側スイッチ 18
クラッチレバー 19
チョークレバー 20
ハンドルバー右側スイッチ 21
スロットルグリップ 22
フロントブレーキレバー 22
リアブレーキペダル 23
ギアシフトペダル 23
ギアシフトペダルの位置の調整 24
リアブレーキとシフトペダルの位置の調整
位置の調整 25
主要構成部品 / 装備 26
配置図 26
燃料タンクキャップ 27
シートロックおよびヘルメットホルダー 28
サイドスタンド 29
リアショックアジャスター 30
車高の調整 32
運転のしかた 34
慣らしの方法 34
走行前のチェック 35
エンジンの始動 36
モーターサイクルの発進 38
ブレーキング 39
モーターサイクルの停止 40
燃料補給 40
パーキング 41
工具セット 42
3
主な整備作業とメンテナンス 43
フェアリングの取り外し (S2R) 43
燃料タンクの起こし方 44
エアーフィルターの交換 45
ブレーキ / クラッチ液量のチェック 46
ブレーキパッドの摩耗チェック 47
ケーブル / ジョイント部の潤滑 48
スロットルケーブルの調整 49
バッテリーの充電 50
チェーンテンション 51
チェーンの潤滑 52
ライトバルブの交換 53
ヘッドライトの光軸調整 57
タイヤ 58
エンジンオイル量のチェック 60
スパークプラグの清掃と交換 61
モーターサイクルの手入れ 62
長期間の保管 63
外国のオーナーにとって重要な事項 63
テクニカルデータ 64
全体寸法 (mm) 64
重量 64
燃料補給 65
エンジン 66
タイミングシステム 66
性能データ 67
点火プラグ 67
給油 67
ブレーキ 68
4
トランスミッション 69
フレーム 70
ホイール 70
タイヤ 70
サスペンション 70
エキゾーストシステム 71
カラーバリエーション 71
電装 71
定期点検メモ 75
イントロダクション
保証
お客様ご自身、および
製品の信頼性を保証するために、特に専門的技術が要求
される整備作業は、Ducati 正規ディーラーあるいは公認
の整備工場にお任せいただくよう強くお薦めします。
Ducati 正規ディーラースタッフは高度に熟練しており、
最適な器具を使用して作業を行う能力を保持し、また、
Ducati 純正部品だけを使用して、「ロングライフ」「円滑
な作動」「完璧な互換性」について最良な保証をいたしま
す。
全ての Ducati モーターサイクルには保証書が添付され
ています。しかし、車両を競技やそれに類することに使
用した場合には保証の対象外となります。また保証期間
中に、たとえ車両の一部でも Ducati 純正部品でないも
のと交換したり、また改造・変更した場合は、Ducati
モーター社の保証は適用されません。
シンボルマーク
お客様がモーターサイクルをより良く理解できるよう、
本マニュアルを注意深く読まれることをお薦めします。
お客様のモーターサイクルについて、お問い合わせのあ
る場合には、ご購入先の正規ディーラーあるいは公認の
整備工場にお尋ねください。スタッフからの最新の情報
は、お客様の走行に役立つでしょう。また Ducati モー
ターホールディング社は、本マニュアルが、快適で楽し
い走行と、お客様のモーターサイクルの素晴しい性能を
長い間変わらずに保てる一助となることを望んでいます。
本マニュアルには特別な意味を持つ注記を盛り込んでい
ます。
警告
この説明を遵守しなかった場合、重度の負傷および
死亡に至らしめる危険性があります。
重要
モーターサイクルおよびその部品類に
損傷を与える危険性があります。
メモ
作業上の追加注意事項です。
文中の「右」、「左」の表記は車両の進行方向に向かって
の位置を示します。
5
安全運転の注意
警告
運転する前に読んでください。
多くの事故はしばしば運転に不慣れなために起こります。
走行する際は常に免許証を携帯していることを確認してく
ださい。免許証はお客様のモーターサイクルの運転に適し
たものが必要です。
お客様のモーターサイクルを未経験者、および有効免許証
を持っていないライダーに貸してはいけません。
ライダーおよびパッセンジャーは、常に適切なライディン
グウエアーを着用し、保護ヘルメットを着用しなければな
りません。
視界を制限したり、引っかかって操作の妨げになるアクセ
サリーや物が付いていない、適切なライディングウエアー
を着用してください。
屋内では絶対にエンジンを始動したり、作動させないでく
ださい。排気ガスや排煙は有毒で、意識喪失や場合によっ
ては短時間で死亡に至る危険性ももたらします。
ライダーおよびパッセンジャーは、モーターサイクルが動
いている間は足をフットレストに載せていてください。
急な進路変更や、路面状況の変化に対処できるよう、ライ
ダーは常に両手でしっかりとハンドルバーを保持し、パッ
センジャーは常に両手でしっかりとシート下のリアグリッ
プを保持して下さい。
走行地域の道交法、および法律を遵守して運転してくださ
い。
常に指示された速度制限を厳守するとともに、視界や道路
条件、混雑の状況に合わせて、適切な速度を守ってくださ
い。
6
車線変更をする時や曲がろうとする時は、常に適時に方向
指示器を使用して 合図してください。
良好な視界を保ち、前方の車両の " 死角 " に入って走行し
ないようにしてください。
交差点や、私有地や駐車場の出口に近い場所、高速道路へ
の進入路等を走行する場合は充分に注意してください。
給油時は常にエンジンを停止し、給油の際、エンジンやエ
キゾーストパイプにガソリンをこぼさないよう特に注意し
てください。
給油時は絶対に喫煙しないでください。
給油の際に、人体に有毒な気化した燃料を吸い込む可能性
があります。もしも燃料が皮膚や衣服に付着した場合は、
直ちに石鹸と水で洗浄し衣服を取り替えてください。
モーターサイクルから離れる場合は、常にキーを抜いてく
ださい。
エンジン、エキゾーストパイプ、マフラーはエンジン停止
後も長時間熱くなっています。
警告
エキゾーストシステムは、エンジンスイッチを切っ
た後も熱い場合があります。エキゾーストシステムへ接
触しないよう充分注意し、車両を木材、木の葉などの可
燃物のそばに駐車しないようにしてください。
モーターサイクルは人や物がぶつからないような場所に
サイドスタンドを使用して駐車してください。
平面でない場所や柔らかい土壌には駐車しないでくださ
い。モーターサイクルが転倒する恐れがあります。
最大積載量
お客様のモーターサイクルは、許容最大重量の荷物を積
載しても、長距離を安全かつ快適に走行できるよう設計
されたものです。
モーターサイクル上にバランス良く重量を配分すること
は通常の安全走行に必要な注意で、特に凸凹道を走行し
たり、急なハンドル操作を必要とする時のトラブルを避
けるため重要です。
積載量について
走行時の全車体重量はライダー、パッセンジャー、荷物、
オプションパーツの重量を含んだ合計で、390 kg を超え
てはなりません。
積み荷や重いオプションパーツ類はモーターサイクルの
中心に近く、できる限り低い位置に配置するようにして
ください。
積み荷はモーターサイクルにしっかりと固定してくださ
い。積み荷が完全に固定されていないとモーターサイク
ル転倒の原因になります。
ハンドルバーやフロントマッドガード部に体積や重量の
あるものを載せないでください。モーターサイクルの安
定性を損なう恐れがあります。
フレームのすき間に積み荷物を挟み込まないでください。
可動部分の妨げになる恐れがあります。
タイヤが、58 ページに定められた適正空気圧を保持し、
また良いコンディションにあることを確かめてください。
7
製造番号
すべての Ducati モーターサイクルはフレームナンバー
( 図 1) とエンジンナンバー ( 図 2) の 2 つの製造番号
で確認できます。
フレーム ナンバー
エンジン ナンバー
メモ
モーターサイクルのこれらのモデル識別番号は、部
品の請求時に必要となります。
8
図 1
図 2
操作系
4
1
8
警告
この章には、お客様がモーターサイクルを運転する
上で必要な全ての操作類の機能と配置を詳しく説明して
います。操作類を使用する前に、注意深く読んでくださ
い。
操作類の位置 (図 3)
1) メーターパネル
2) イグニッションスイッチとキーによるステアリング
ロック
3) ハンドルバー左側スイッチ
4) クラッチレバー
5) チョークレバー
6) ハンドルバー右側スイッチ
7) スロットルグリップ
8) フロントブレーキレバー
9) ギアシフトペダル
10)リアブレーキペダル
3
7
5
9 10
6
2
図 3
9
メーターパネル(図 4)
1) ハイビームパイロットランプ ( 青 )
ライトがハイビームの時に点灯します。
2) 方向指示器パイロットランプ ( 緑 )
方向指示器の作動時に点灯します。
3) 燃料警告灯 ( 黄色 )
タンクの燃料残量が約 3 リットルになった時に点灯。
4) ニュートラルパイロットランプ N (緑)
ギアポジションがニュートラルの時に点灯。
5) エンジンオイルプレッシャーパイロットランプ
(赤色)
エンジンオイル圧力が低すぎる時に点灯。イグニッション
キーを ON の位置に回した時に点灯し、エンジンが始動
して数秒後に消灯します。
エンジン温度が高い時に、場合によって数秒間点灯する
ことがありますが、回転数が上がると消灯します。
重要
このパイロットランプが点灯したままのときは、
モーターサイクルを使用しないでください。エンジンに
損傷を与える恐れがあります。
6) パイロットランプ 橙色
モーターサイクルの停車時に点灯・点滅します(イモビ
ライザーが作動中)。イモビライザーの診断としても使用
可能です。
メモ
イモビライザーが作動されると、パイロットランプ
は 24 時間点滅しその後消灯します。イモビライザーは作
動したままです。
10
7) EOBD パイロットランプ ( 橙色 )
エンジンがブロックされている時に点灯します。数秒後
に消灯します(通常 1.8 - 2 秒)。
8) スピードメーター (km/h)
走行速度を表示。
a) 液晶パネル (1):
- オドメーター (km)
総走行距離を表示。
- トリップメーター (km)
リセット後の走行距離を表示。
9) タコメーター(rpm)
エンジンの 1 分間の回転数を表示。
b) 液晶パネル (2):
- 時計
- オイル温度
1
8 9
a
4 2
7 5
6
3
b
図 4
液晶パネルユニット
キーを OFF から ON に回すと、メーターパネルのすべて
の機器 ( 針、ディスプレイ、パイロットランプ ) が点検
されます ( 図 5 および 図 6 を参照 )。
液晶パネルユニット (1)
キーが ON の位置でボタン (A, 図 6) を押すとオドメー
ターとトリップメーターが交互に表示されます。
トリップメーターのリセット
TRIP 機能(トリップメーター機能)でボタン (A, 図 6)
を 2 秒以上押し続けるとディスプレイ(液晶パネル 1)
がリセットされます。
液晶パネルユニット (2)
キーが ON の位置でボタン (B、図 6) を押すと時計とオ
イル温度が表示されます。
時計の調整
ボタン (B、図 6) を 2 秒以上押し続けます。
ボタン (A、図 6) を押して AM/PM を調整します。ボタン
(B) を押して「時」の調整をします。ボタン(A)を数回
押して、「時」を設定します。ボタン (B) を押して「分」
の調整をします。
ボタン (A) を押して分を変更します。5 秒以上押し続け
ると数字が速く送られます。ボタン (B) を押して時計の
調整モードを終了します。
OFF
Km/h
-1
min
x1000
図 5
CHECK
2
1
A
B
図 6
11
オイル温度の表示機能
オイルの温度が 50 ℃ /122°F の場合、ディスプレイに
は "LO" が表示され、 170 ℃ /338°F 以上の場合は "HI"
が表示されます。
燃料残量のパイロットランプ
燃料警告灯のパイロットランプが点灯した場合、ディス
プレイに "FUEL" の文字が表示されます。
点検指示
最初の 1000 Km / 621 マイルの後、その後 10.000 Km /
6210 マイル毎に、キーを ON の位置に回すたびに 5 秒間
ディスプレイに "MAInt" と表示され、定期点検の時期に
来ていることを知らせます。
メーターパネルのバックの照明
キーを ON の位置に回し、5 秒以内にボタン (B、図 6)
を押すと、ボタンを押すごとにメーターパネルの輝度が
変わります。
警告
メーターパネルコントロールボタンを操作する場合
は、モーターサイクルを停車してから行ってください。
モーターサイクルの運転中は、いかなる理由があっても
メーターパネルコントロールボタンの操作は行わないで
ください。
12
イモビライザーシステム
このモーターサイクルは、盗難防止機能の向上のためイ
モビライザーを装備しています。イモビライザーはイグ
ニッションスイッチ OFF 時にエンジンの作動を禁止する
電子システムです。
出力信号を調整する電子装置が各イグニッションキーの
ハンドグリップに内蔵されています。この信号はイグ
ニッションを ON に回した時、スイッチに内蔵された特
殊アンテナから出力され、毎回変更されます。この変調
信号は「パスワード」として機能し、「認可」イグニッ
ションキーがエンジンの始動に使用されていることを
CPU に伝達します。CPU は信号を認識すると、エンジン
を始動させます。
キー (図 7)
オーナーに支給されるキーは以下の 1 組です。
- キー A(1 本)(赤色)
- キー B(2 本)(黒色)
警告
キー A(赤色)には、キーをベストな状態に保ち、
他のキーとの接触を防ぐためゴム製のカバーが取り付け
られています。必要な場合以外は絶対にこのカバーを取
り外さないでください。
キー B は通常使用するイグニッションキーで、以下に使
用します。
- エンジンの始動
- 燃料タンクキャップのロック解除
- シートのロック
キー A にはキー B と同様の機能があります。また必要な
場合は、黒色キーの削除および再プログラムができます。
メモ
3 本のキーには識別番号を記載した小型プレート
(1)が付属しています。
警告
キーはそれぞれ別の場所に保管してください。プ
レート(1)およびキー A は安全な場所に保管してくだ
さい。
モーターサイクル使用時には、2 本のうちのどちらか 1
本の同じ黒色キーを常に使用することをお薦めします。
B
1
図 7
A
13
コードカード
キーには以下が記載されたコードカード ( 図 8) が付属
しています。電子コード (A、図 9) は、イグニッション
キーを ON にしてもモーターサイクルが始動しないな
ど、エンジンの作動のブロック時に使用します。
警告
コードカードは、安全確実な場所に保管してくださ
い。ユーザーはコードカードに掲載された電子コードを
常に携帯し、スロットルグリップを使用した手順に従い
ロック解除しなければならない場合に備えるようお勧め
します。
イモビライザーシステムに不具合がある場合、橙色の
EOBD パイロットランプ (7, 図 4) が点灯するので、以
下の方法で「エンジン作動禁止」機能を無効にできます。
ただしこの操作は、コードカードの電子コードを知って
いる場合にのみ実施可能です。
14
図 8
A
図 9
スロットルグリップを使用したイモビライザーによるエ
ンジン作動禁止の解除手順
1) キーを ON に回します。スロットルを全開に保持しま
す。そのままの状態にします。
8 秒後に EOBD (7, 図 4) パイロットランプが消灯しま
す。
2)EOBD パイロットランプが消灯したら直ちにスロット
ルを戻します。
3)EOBD パイロットランプが点滅します。ここで、解除
用の電子コードを入力します。このコードは、納車時に
ディーラーからお客様に渡される CODE CARD に記載され
ています。
4)EOBD パイロットランプ(7, 図 4)の点滅回数がシー
クレットコードの最初の数字と同じになるまで数えます。
スロットルグリップを 2 秒間全開のポジションにし、そ
の後放します。1 桁目の入力が認識されると、EOBD パイ
ロットランプが 4 秒間点灯します。この手順を繰り返し
て、最後の数字まで入力します。
スロットルグリップをまったく操作しないと、EOBD パイ
ロットランプが 20 回点滅した後、点灯状態になります。
この場合は、手順 1 からやり直す必要があります。
5) スロットルグリップを放した時コードが正しく入力さ
れていると、EOBD パイロットランプが点滅して解除が行
われたことを示します。4 秒後にパイロットランプは通
常の状態(消灯)に戻ります。6) コードが正しく入力さ
れなかった場合は、EOBD パイロットランプが点灯したま
まとなります。この場合は、キーを OFF の位置に戻し、
手順 1 から何度でもやり直すことができます。
メモ
スロットルグリップを設定時間の前に放した場合
は、
パイロットランプが再度点灯します。
この場合、キーを OFF にして手順(1)からやり直しま
す。
15
作動値
イグニッションキーを ON から OFF に回すたびに、イモ
ビライザーがエンジンの作動を禁止します。エンジンを
始動するため、イグニッションキーを再度 ON に戻すと
以下のようになります。
1)CPU がコードを認識すると、メーターパネルのパイ
ロットランプ (6, 図 4) が短時間点滅します。これはイ
モビライザーシステムがキーコードを認識し、エンジン
始動が可能なことを示します。START ボタン (3、図
14.1) を押すと、エンジンが始動します。
2) パイロットランプ (6, 図 4) または EOBD パイロット
ランプ (7, 図 4) が点灯したままの状態の場合は、コー
ドが認識されなかったことを示します。この場合、イグ
ニッションキーを OFF に戻し、再度 ON にします。これ
でもエンジンが始動しない場合は、もう 1 本の黒色キー
で試してください。
このキーでも始動しない場合は、DUCATI サービスネット
ワークにご相談ください。
3) パイロットランプ (6, 図 4) が点滅したままの場合
は、イモビライザーシステムの不具合がスロットルグ
リップを使用した解除手順などによりリセットされたこ
とを示します。キーを OFF にしてから ON に戻すと、イ
モビライザーパイロットランプは正常作動に戻ります
(手順 1 参照)。
警告
キーは電子部品を内蔵しています。落としたりぶつ
けたりすると損傷する恐れがあります。
16
作業中は同じ 1 本のキーのみを使用してください。同一
の 1 本のキーのみを使用しないと、使用するキーのコー
ドをシステムが認識できない場合があります。
キーの複製
キーを複製する場合は、お手持ちのすべてのキー、およ
びコードカードを DUCATI サービスネットワークにお持
ちください。
DUCATI サービスが合計 8 本まで新しいキーのプログラ
ムおよびオリジナルキーの再プログラムを行います。
この時お客様がモーターサイクルの正当な所有者である
証明を求める場合があります。必ず証明できる書類をお
持ちください。
お持ちにならなかったキーのコードは、キーを紛失した
場合使用できないようにするためメモリから削除されま
す。
メモ
モーターサイクルを売却される場合は、必ずすべて
のキーおよびコードカードを新しい所有者にお渡しくだ
さい。
イグニッションスイッチとステアリングロック ( 図 10)
燃料タンクの前に配置され、4 つのポジションがありま
す。
A) ON:ライト ON、エンジン作動
B) OFF:ライト OFF、エンジン停止
C) LOCK:ステアリングロック
D) P:パーキングライトおよびステアリングロック
メモ
キーを(C)、(D)の位置にするには、押してから回
してください。(B)、(C)、(D)の位置ではキーを引き抜
くことができます。
図 10
17
ハンドルバー左側スイッチ(図 11)
1)ライト切り替えスイッチ = 2 つのポジションがあり
ます。
ポジション = ロービーム
ポジション = ハイビーム
2)スイッチ = 方向指示器には 3 つのポジションが
あります。
中央 = OFF
ポジション = 左折
ポジション = 右折
方向指示器を消すには、中央に戻ってきた
レバーを押してください。
3)スイッチ = 警告ホーン
4)スイッチ = ハイビーム点滅
18
図 11
クラッチレバー ( 図 12)
レバー(1)を引くと、エンジンの回転がトランスミッ
ションおよびリアホイールに伝わらなくなります。ク
ラッチの適切な操作は、スムーズなライディング、特に
発進時に重要です。
重要
クラッチレバーを正しく操作することで、トランス
ミッションのダメージを回避し、モーターサイクルの寿
命を延ばすことができます。
メモ
エンジンは、サイドスタンドを下ろしてトランス
ミッションをニュートラルにしたまま始動できます。ギ
アを入れた状態でモーターサイクルを始動する場合は、
クラッチレバーを引いてください。この場合、必ずサイ
ドスタンドを上げてください。
図 12
19
チョークレバー(図 13)
チョークレバーはエンジンを冷間始動する場合に使用し
ます。この装置は始動後のエンジンアイドル回転数を増
加します。
レバーの使用位置 :
A) = チョークレバー未使用 ;
B) = チョークレバー全開使用 ;
このレバーは段階的に開閉することも可能で、エンジン
が完全に暖機するまで回転数が調整できます ( ページ
36 参照 )。
重要
エンジンが暖機している場合にはチョークレバーを
使用しないでください。チョークレバーを開いたまま走
行しないでください。
20
A
B
図 13
ハンドルバー右側スイッチ(図 14.1)
1)エンジン停止スイッチ = 2 つのポジションがありま
す。
ポジション (RUN) = エンジン作動
ポジション (OFF) = エンジン停止
警告
このスイッチは、エンジンを直ちに停止させること
が必要な緊急時等に使用することを目的としています。
エンジン停止後は、スイッチをポジション にし、
モーターサイクルの始動ができるようにします。
重要
ライトを点灯させて走行し、スイッチ (1) でエン
ジンを切りキーを ON の状態にしたままにするとライト
が点いたままになるのでバッテリーが切れる原因になり
ます。
2)スタータースイッチ = エンジン始動
1
2
図 14.1
21
スロットルグリップ(図 14.2)
ハンドルバー右側のスロットルグリップ (1) は、スロッ
トルバルブを開く操作をします。スロットルを開けてい
る時にグリップの握りを緩めると、自動的に元の位置
(アイドリング状態)に戻ります。
フロントブレーキレバー(図 14.2)
レバー (2) をグリップの方向に引くとフロントブレーキ
を作動させることができます。油圧によって作動するの
で、レバーを作動させるには手で軽く操作するだけで充
分です。
警告
これらのレバーの操作を行う前にページ 38 の指示
をお読みください。
22
2
1
図 14.2
リアブレーキペダル(図 15)
ペダル(1)を下に踏むことで、リアブレーキが作動しま
す。
システムは油圧式で作動します。
1
図 15
ギアシフトペダル(図 16)
ギアシフトペダルには自動的に戻る中央のニュートラル
位置 N とその他 2 方向に作動します。
下方 = 1
速へのチェンジおよびシフトダウンはペダルを
下に押します。ニュートラルのポジションから 1 速に
チェンジした時に、メーターパネルのパイロットランプ
N が消えます。
上方 = 2
速ギア、
そして引き続き 3 速、4 速、5 速、6 速
へシフトアップしていくときはペダルを上げます。
1 回の操作が一速分のチェンジに相当します。
6
5
4
3
2
N
1
図 16
23
ギアシフトペダルの調整(図 17)
フットペグと連携するギアシフトペダルポジションはラ
イダーの好みに合わせて調整できます。
シフトペダルの調整は以下の手順で行います:
タップ (2) でリンケージ (1) を固定し、ロックナット
(3) および (4) を緩めます。
メモ
ナット (4) は逆ネジです。
リンケージ (1) を回して、シフトペダルを好みの位置に
合わせます。
リンケージに対して両方のロックナットを締めます。
24
1 3 4 2
図 17
リアブレーキペダルの調整(図 18)
ライダーの好みに合わせて、フットレストに対するリア
ブレーキペダルの位置を調整できます。
リアブレーキペダルの調整は以下の手順で行います:
ロックナット (5) を緩めます。
調節ねじ (6) を回して、ペダルを好みの位置に合わせま
す。
ロックナット (5) を締めます。
ペダルを手で押して、ブレーキがかかり始めるまでに約
1.5 ~ 2 mm の遊びがあることを確認します。
遊びが上記の範囲に収まっていない場合には、ポンプの
マスターシリンダーロッドの長さを次の手順で調整しま
す。
マスターシリンダーロッドのロックナット (7) を緩めま
す。
ロッド (8) をフォーク (9) に締め込むと遊びが増加し、
緩めると遊びが減少します。
ロックナット (7) を締めてロッドを固定し、再度遊びを
確認します。
6
9
7
8
5
図 18
25
主要構成部品 / 装備
配置図 ( 図 19)
1) 燃料タンクキャップ
2) シートロック
3) ヘルメットホルダーケーブルピン
4) パッセンジャー用ハンドルグリップ
5) サイドスタンド
6) バックミラー
7) リアショックアジャスター
8) フロントフォークアジャスター
9) 燃料タンクリンケージ
10)シートカバー(S2R Dark を除く)
11)燃料タンク固定レバー
12)ヘッドライトフェアリング(S2R Dark を除く)
10 6 4
5
8 7 2
1
12
3
26
12
11
9
図 19
燃料タンクキャップ(図 20)
開け方
キャップのプロテクションカバー(1)を起こし、イグ
ニッションキーを差し込み、時計回りに 1/4 回転回して
ロックを解除すれば、キャップを開けることができます。
キャップを持ち上げてください。
閉め方
キーの差し込まれたキャップを閉じ、キーを反時計回り
に元の位置に回してから抜き取ります。プロテクション
カバー(1)を閉めます。
1/4
OPEN
1
0
メモ
キャップはキーが差し込まれていないと閉じられま
せん。
警告
給油を行った後は(ページ 40 参照)毎回必ず
キャップが正しい位置できちんと閉められているか確認
してください。
図 20
27
シートロックおよびヘルメットホルダー
開け方
錠にキーを挿し込み時計方向に回してフレームからシー
トの留め金を外します。シートを後方に引きいて前面の
ストッパーから抜き取ります。
シート下の後方にあるスペースにヘルメットホルダー
ケーブルがあります (1) (ページ 42 参照 )。ケーブル
をヘルメットに通し、ケーブルの先端をピン (2) の中に
入れます。ヘルメットを下げ、シートを元の通りに固定
します。
警告
この装置はモーターサイクルを駐車させている間に
ヘルメットを安全確実に保持しておくためのものです。
走行中はヘルメットを車体から下げておかないでくださ
い。運転操作の妨げになり、車両のコントロールを失う
危険性があります。
閉め方
全ての構成部品や装備がシート下のスペースに正しく収
められ固定されていることを確認してください。シート
基底部の前端部分をフレームのスタンド下部に挿し入れ
てから、シートの後端部分を錠の掛け金がカチッと音が
するまで押し込みます。シートがフレームにしっかりと
固定されたことを確認し、キーを錠から抜いてください。
28
0
1
図 21
1
2
図 22
サイドスタンド(図 23)
重要
サイドスタンドを使用する前に、地面が適してい
るか、平らであるかを確かめてください。
柔らかい地面、砂利、日光で柔らかくなったアスファル
ト等にパーキングすることは、モーターサイクルの転倒
の原因となります。
もしも傾斜面にパーキングする場合、常にリアホイール
側を斜面の低い方になるようにしてください。
サイドスタンドを使用するには、つま足で ( ハンドル
バーを両手でつかんでモーターサイクルを支えながら )
スタンドのフック (1) を止まるまで矢印方向に押しま
す。次にモーターサイクルを、スタンドがしっかりと路
面に着くまで徐々に傾けていきます。
警告
サイドスタンド使用時には、モーターサイクルにま
たがらないでください。
サイドスタンドを元の位置 ( 水平位置 ) に戻すには、
モーターサイクルを右側に傾けながら、足の甲でフック
(1) を持ち上げます。
メモ
定期的にスタンド(内側と外側 2 つのスプリングの
損傷と摩耗)および安全センサー (2) の作動を点検する
ことをお薦めします。
メモ
エンジンは、サイドスタンドを下ろしてトランス
ミッションをニュートラルにしたまま始動できます。ギ
アを入れた状態でモーターサイクルを始動する場合は、
クラッチレバーを引いてください。この場合、必ずサイ
ドスタンドを上げてください。
2 1
図 23
29
リアショックアジャスター
リアショックアブソーバーには、積載重量に合わせて調
整できるよう外部アジャスターが付いています。
アジャスター (1) は、ショックアブソーバー下部右側の
スイングアームとの接続部にあり、リバウンド側のダン
ピング(油圧ブレーキ)を調節します。
アジャスター (1) を時計方向 H に回すとダンピングが強
くなり、反時計方向 S に回すと弱くなります。
標準設定:
いっぱいに閉まった全閉ポジションから、時計回りに次
のようにアジャスターを緩めます:
アジャスター (1) を 18 段
スプリングプリロード 25 mm
アブソーバー上部の 2 枚のリングナット (2) は、スプ
リングプリロードの調整に使用します。
スプリングプリロードを変更するには、上側のリング
ナットをピンレンチで回します。下部リングナットを時
計回り、または反時計回りに回し、プリロードを増大さ
せたり減少させたりして好みの強さに調整します。
ショックアブソーバーのプリロードスプリングの標準
長:157 mm
警告
プリロードのリングナットを回すためのピンレンチ
は、適正なもののみを使用してください。また、調整中
にレンチのピンがいきなりナットの溝から外れると、手
をモーターサイクルの他の部分に強くぶつける恐れがあ
るので充分注意してください。
30
2
2
1
S
H
図 24
警告
ショックアブソーバーには高圧のガスが充填されて
います。未経験者による分解作業は重大な損傷の原因と
なります。
パッセンジャーと荷物を載せて走行する場合は、リア
ショックアブソーバーのスプリングプリロードを最大に
設定すると、車両の操作性を高め、地面との接触を避け
ることができます。この場合、油圧ブレーキのリバウン
ドダンピングの再調整が必要になることもあります。
31
車高の調整 ( 図 25- 図 26- 図 27)
この車両の車高は、私共の技術者がさまざまな状態でテ
ストを行い決定しています。
車高の調整は非常にデリケートな作業で、不適切な変更
作業を行えばライダーの身体に危険をもたらします。
標準車高を変更する前に、基準値 (H、図 25) を測定し
ておくことをお薦めします。
ショックアブソーバーの位置を変更して、ライダーは自
分のライディングスタイルに合わせて車高の変更が可能
です。
軸間のボールジョイント (1) を変更するには、ロック
ナット(3)を緩める必要があります。
メモ
下側のナット(3)は逆ネジですので注意してくだ
さい。
リンクロッド (2) をスパナで操作します。
調整後はナット(3)を 25 Nm のトルクで締め込んでく
ださい。
警告
リンクロッド(2)両端の、ボールジョイント(1)
の軸間距離は 272 mm を超えてはなりません。
32
H
図 25
1
3
2
2
1
3
図 26
ヘッド (A) のユニボールはネジ山 5 つ分、長さにして
7.5 mm (B) 以上、外に出さないでください。
B
A
図 27
33
運転のしかた
モーターサイクル使用初期の注意事項
エンジン最大許容回転数 ( 図 28)
慣らし運転期間中および通常使用においてのエンジン最
大許容回転数:
1) 1000 km まで
2) 1000 ~ 2500 km まで
1.000 Km
1.000 ÷ 2.500 Km
-1
min
x1000
図 28
34
1000 km まで
初めの走行 1000 km までは、タコメーターの制限された
回転数を絶対に超えないでください:
5,500 ~ 6,000 rpm.
最初の間は、制限された回転数の範囲内でエンジンの負
荷と回転数をさまざまに変えることをお薦めします。
エンジン、ブレーキ、サスペンションを効果的に慣らす
には、カーブや起伏の多い場所を走行すると理想的です。
最初の 100 km は、注意して優しくブレーキをかけて下
さい。また、急なブレーキングや長い間ブレーキをかけ
ることは避けて下さい。これは、ブレーキディスクに対
してパッドの摩擦材を正しい状態に慣らすためです。
モーターサイクルの全てのメカ部分を互いに馴染ませる
ため、また、エンジンの主要部分の寿命に悪影響が出な
いよう、乱暴な加速と、特に登り坂での長時間の高速回
転を避けてください。
さらに、定期的にドライブチェーンを点検し、必要に応
じて給油してください。
1000 ~ 2500 km まで
この期間では、エンジンからよりパワーを引き出せます
が、7000 rpm を決して超えないようにしてください。
重要
慣らし運転期間中は、マニュアル上のメンテナンス
事項に慎重に従い、保証書内のクーポンに指定された点
検、整備を必ず受けてください。これは保証の必須条件
で、この条件が遵守されなかった結果としてのエンジン
の損傷や寿命の短縮について Ducati モーターホール
ディング社はいかなる責任も負うものではありません。
慣らし運転の方法を遵守することでエンジンの寿命を延
ばし、調整、オーバーホールの回数を減らすことが可能
になります。
始動前の点検
警告
走行前にこれらの点検を怠った場合、モーターサイ
クルに損傷を与え、ライダーやパッセンジャーがケガを
する恐れがあります。
走行前に以下の点検を行ってください。
タンク内の燃料
タンク内燃料の残量を確認します。必要であれば給油し
てください(ページ 40 参照 )。
エンジンオイル量
点検窓からタンク内の残量を
点検します。必要に応じて補給してください ( ページ 60
参照 )。
ブレーキオイルとクラッチオイル
それぞれのタンクのオイル残量を確認してください。
タイヤの状態
空気圧と摩耗度を確認してください(ページ 58 参照 )。
操作機能
ブレーキ、クラッチ、アクセルペダル、ギアチェンジレ
バーの作動を確認します。
ライトおよびインジケーター
ライト、インジケーター、ホーンが適切に作動するか確
認します。また、バルブが切れている場合には交換して
ください(ページ 53 参照 )。
ロック類
燃料タンクのキャップとシートが確実にロックされてい
ることを確認します。
スタンド
サイドスタンドがスムーズに作動し、適正な位置にある
か確認してください(ページ 29 参照 )。
警告
もしも不良がある場合には、モーターサイクルの使
用を中止し、DUCATI 正規のディーラーか公認の整備工場
にご連絡ください。
35
エンジンの始動
メモ
暖機されたエンジンを始動する場合には「高い気温
での始動」の方法に従ってください。
警告
エンジンを始動する前に、走行に必要な操作系の取
り扱いに慣れておいてください。
常温での始動
(10°C/50°F ~ 35°C/95°F):
1)イグニッションキーを ON の位置にします ( 図 29)。
メーターパネルのグリーンのパイロットランプ N と赤
のパイロットランプ が点灯していることを確認しま
す。
重要
オイルプレッシャーインジケーターはエンジン始動
後、数秒で消えなければなりません(ページ 10 参照 )。
警告
サイドスタンドは完全に上がっていなければなりま
せん(水平位置)。そうでない場合、安全センサーが作動
して始動できません。
メモ
エンジンは、サイドスタンドを下ろしてトランス
ミッションをニュートラルにしたまま始動できます。ギ
アを入れた状態でモーターサイクルを始動する場合は、
36
クラッチレバーを引いてください。この場合、必ずサイ
ドスタンドを上げてください。
2)スターターレバーを(B)の位置に動かします(図
31)。
3) エンジン停止スイッチ (1, 図 30) が (RUN) の位
置になっていることを確認し、始動ボタン (2, 図 30) を
押します。
このモデルはパワーアシスト方式の始動システムを備え
ています。この機能では、ボタン(2)を押してすぐに放
すだけでエンジンを始動できます。ボタン (2) を押すと
エンジンが自動的に始動しますが、その最大所要時間は
エンジンの温度によって変わります。エンジンが始動す
ると、システムによってセルモーターが切り離されます。
エンジンが始動しなかった場合は、2 秒以上待ってから
再び始動ボタン(3)を押します。
ON
N
O
F
F
O
H
S
U
P
LOCK
N
P
ITIO
N
IG
図 29
この際、スロットルグリップは回さず、エンジンが自然
に始動するのを待ちます。
メモ
バッテリー切れの場合は、システムによって自動的
にセルモーターが切り離されます。
4) チョークレバーを縦位置 (A) に動かして、エンジン
の回転数を約 1,400 ~ 1,500 rpm まで高めます。
重要
エンジン冷間時は回転数を上げないで、オイルが温
まり、潤滑が必要な全ての部分に行き渡るのを待ってく
ださい。
5) その後、エンジンが徐々に暖機されたら、チョークレ
バーを徐々に縦位置 (A、図 31) に動かします。エン
ジンが定常温度に達していれば、チョークレバーを完全
に閉じてもアイドル回転数に保たれます。
高い気温での始動(35°C/95°F 以上):
「低い気温での始動」と同じ手順で行いますが、チョーク
レバーは使用しないでください。
低い気温での始動(10°C/50°F 以下):
「常温での始動」と同じ手順で行いますが、エンジンの
ウォームアップを 5 分間行ってください。
1
2
A
B
図 30
図 31
37
モーターサイクルの発進
1)クラッチレバーを引いてクラッチを切ります。
2)1 速に変速するためにギアシフトペダルをつま先で確
実に押し下げます。
3)スロットルグリップを回してエンジンの回転数を上
げ、同時にクラッチレバーを徐々につなぎます。モー
ターサイクルが動き出します。
4)クラッチレバーを完全に放し、エンジンの回転数を上
げます。
5) シフトアップするには、エンジン回転を落とすために
スロットルを戻し、クラッチを切り、ギアシフトペダル
をかき上げ、クラッチをつなぎます。
シフトダウンは、次のように行います。スロットルを放
し、クラッチを切り、ギアのタイミングを合わせるため
に、エンジンの回転数をわずかに上げてから、シフトダ
ウンしてクラッチをつなぎます。
操作類は適切に素早く操作しなければなりません。上り
坂を走行する際には、速度が落ちてきたら躊躇すること
なくシフトダウンして、モーターサイクルへの異常なス
トレスやエンジンのノッキングを避けてください。
38
重要
ミスファイヤーやトランスミッションのスナッチを
招くような激しい加速操作は避けてください。ギアを変
速した後もクラッチレバーを引いたままでいると、メカ
部の過熱や摩擦部分の異常な摩耗を引き起こします。
ブレーキング
速度を落とすには、最初にシフトダウンしてエンジンブ
レーキをかけ、それからブレーキングします。こうすれ
ばモーターサイクルの安定性を維持できます。エンジン
が急に止まるのを防ぐため、モーターサイクルが停止す
る前に、クラッチを切ります。
警告
効果的なブレーキングのためにレバーとペダル両方
のブレーキを使用してください。ブレーキを強く、また
は乱暴にかけるとホイールがロックされ、モーターサイ
クルのコントロールができなくなります。雨天で走行す
る際や、滑りやすい路面上ではブレーキ能力が著しく低
下します。このようなコンディションでは慎重で優しい
ブレーキ操作を心がけてください。急ブレーキはモー
ターサイクルのコントロールを失わせる危険があります。
長く急な下り坂を走行する際にはシフトダウンしてエン
ジンブレーキを使用します。レバーとペダルのブレーキ
を交互に断続的に使用して下さい。ブレーキの長時間に
わたる連続的使用は、摩擦材の過熱を招き、ブレーキ能
力の著しい低下の原因となります。空気圧が規定値を越
えたりあるいは下回ったりするタイヤは、ブレーキ能力
を低下させ、また運転の的確さを欠き、カーブでの安定
を悪くします。
39
モーターサイクルの停止
スピードを落とし、シフトダウンし、スロットルグリッ
プを緩めます。シフトダウンしてゆき、最後に 1 速から
ニュートラルに入れます。ブレーキをかけてモーターサ
イクルを停止します。エンジンを停止させるには、イグ
ニッションキーを OFF の位置に回します(ページ 17
参照 )。
重要
電気系の部品を損ねることがあるので、エンジンが
かかっていないときに、イグニッションキーを ON のまま
にしておかないでください。
燃料補給
給油の際には決して燃料を入れ過ぎないでください。燃
料は絶対に給油口の下縁を超えてはなりません ( 図 33)。
警告
オクタン価 95 以上の低鉛燃料を使用してください。
給油口の上部に燃料が溜まってないことを確認してくだ
さい。
40
図 32
Max level
図 33
駐車
モーターサイクルを停止させてから、サイドスタンドを
使って駐車します(ページ 29 参照 )。
盗難防止のために、ハンドルを左いっぱいに切り、イグ
ニッションキーを LOCK の位置に回すことでハンドルが
ロックされます。
モーターサイクルをガレージ、その他の建物内に駐車す
る際には、その場所の換気が充分で、また、車両の近く
に熱源がないことを確認してください。
必要な際には、車両を認識しやすいようにパーキングラ
イトを点灯しておくことができます。イグニッション
キーを P の位置に回します。
重要
キーを長い間 P の位置に放置しておくと、バッテ
リー切れの原因になります。監視の無い場所にイグニッ
ションキーを付けたままでモーターサイクルを駐車しな
いでください。
警告
エキゾーストシステムは、エンジンスイッチを切っ
た後も熱い場合があります。エキゾーストシステムへ接
触しないよう充分注意し、車両を木材、木の葉などの可
燃物のそばに駐車しないようにしてください。
警告
モーターサイクルの発進を妨げるタイプの防犯用
ロックやチェーン類 ( 例:ディスクブロック、リムブ
ロック等 ) の使用は大変危険で、モーターサイクルの機
能やライダーおよびパッセンジャーの安全の妨げになる
ことがあります。
図 34
41
工具セット ( 図 35)
シート下に以下の工具が納めてあります。
オーナーズマニュアル
ヘルメットホルダーケーブル
通常のメンテナンスや点検に必要な工具類の入った袋
シート下のスペースは、シートを取り外し(ページ 28
参照)、硬貨で特殊固定ネジ (2) を回して外し、保護カ
バー (1) を外します。
工具袋 ( 図 36)
には以下の工具が入っています
3) 点火プラグ用六角ソケットレンチ
4) ボックスレンチ用トミーバー
5) ドライバー
6) ヘルメットホルダーケーブル
1
2
図 35
42
6
3
4
5
図 36
主な整備作業とメンテナンス
フェアリングの取り外し (S2R) ( 図 37)
モーターサイクルを正しく整備、修理するためには、該
当部分のフェアリングを取り外すことが必要です。
警告
取り外されたパーツが全て適切に取り付けられてい
ないと走行中に脱落し、モーターサイクルのコントロー
ルを失わせる危険があります。
ヘッドライトフェアリングの取り外し (S2R)
ヘッドライトを固定している 2 つのネジ (1) を外しま
す。
メモ
ネジ (1) を固定しているヘッドライトフェアリング
の内側にあるナットを失くさないように注意してくださ
い。
ヘッドライトフェアリング (2) を取り外します。
1
2
図 37
43
燃料タンクの起こし方 ( 図 38)
警告
燃料がキャップの通気孔から漏れ出さないように、
燃料の容量は 5 リットル以下にしてください。
シートを取り外し(ページ 28 参照 ) 燃料タンクの掛け
金 (1) を起こします。
燃料タンクを持ち上げて、シート下にある燃料タンク用
のバー (2、図 39) を外します。
タンクをバーの上に乗せ支えます。
取り付け作業は、取り外し作業と逆の手順で行います。
警告
燃料タンクを再び戻す時にはホース類が正しい位置
にあり、タンクの下でつぶされないことを確認してくだ
さい。
44
1
図 38
2
3
図 39
エアーフィルターの交換
エアーフィルターは定期点検表に表示されている規定の
間隔で交換する必要があります(定期点検表参照)。フィ
ルターボックスの作業を行うためには、燃料タンクを持
ち上げてください(ページ 44 参照 )。
フィルターを外すには、フィルターボックスの両側にあ
るカバーを固定しているつまみ (1) を外し、カバー (2,
図 40) を外します。
フィルターカートリッジ (3、図 41) を取り外し、交換
します。
重要
フィルターの目詰まりは、空気の吸入量を減少さ
せ、燃料消費量の増加、エンジンパワーの減少、および
スパークプラグ内の付着物の原因となります。
フィルターを取り付けていない状態でモーターサイクル
を使用しないでください。空気中の汚染物質がエンジン
内部に入り、エンジンを損傷する危険性があります。
フィルターを図にあるように所定の位置に正しく取り付
け、取り外した部品を全て取り付けてください。
重要
埃の多い道路や湿った場所で車両を走行させた場合
は、定期点検表に示されている規定の時期よりも頻繁に
フィルターを交換してください(定期点検表参照)。
2
1
図 40
3
図 41
45
ブレーキ / クラッチ液量のチェック ( 図 42)
ブレーキ液およびクラッチ液の液量は、それぞれのタン
クに記されたゲージの MIN のレベル以下になってはいけ
ません。
液レベルが下がり過ぎると回路内にエアが混入し、正常
なシステム作動に悪影響を及ぼします。
また、定期点検表に指示されたブレーキ / クラッチ液補
充および交換は、正規ディーラーまたは公認の整備工場
に依頼してください。
重要
チューブは全て 4 年毎に交換しなければなりま
せん。
クラッチシステム
クラッチレバーに過度の遊びがあり、ギアチェンジの際
クラッチにスナッチやジャダーが出る場合は、システム
内にエアが混入しています。システムを点検しエアを排
出する必要があるため、Ducati 正規ディーラーまたは公
認の整備工場にご連絡ください。
警告
クラッチ液レベルは、クラッチディスクの摩耗にし
たがって、タンク内で上昇しやすい性質を持っています。
指示されたレベルを超えないでください(最小から 3 mm
上)。
46
図 42
ブレーキシステム
ブレーキパッドが減っていないのに、ブレーキレバー、
ブレーキペダルの過度の遊びに気付いた場合には、シス
テムを点検しエアを排出する必要があるため、Ducati 正
規ディーラーまたは公認の整備工場にご連絡ください。
警告
ブレーキ / クラッチ液はプラスチックや塗装部分に
損傷を与えますので、こぼさないようにしてください。
ブレーキ / クラッチ液は炎症の原因となります。
液を他のメーカーのものと混ぜないでください。
ガスケットの状態をチェックしてください。
ブレーキパッドの摩耗チェック(図 43)
フロントブレーキ
ブレーキパッドには摩耗チェックマークがあり、キャリ
パーからパッドを外すことなく、容易にチェックできま
す。摩擦材に刻まれた溝が見えているうちはパッドの通
常使用範囲です。
リアブレーキ
それぞれのブレーキパッドの摩擦材の厚さは 1 mm 以上
なければいけません。
重要
ブレーキパッドの交換は Ducati 正規ディーラーま
たは公認の整備工場で実施してください。
図 43
1 mm
47
ジョイント部の潤滑
スロットルケーブルおよびチョークケーブルの被覆の状
態を定期的に点検する必要があります。外側のプラス
チックの被膜に亀裂やツブレの形跡があってはなりま
せん。操作類を動かして、被膜の中でワイヤーがスムー
ズに動くか確認してください。もしも何らかの抵抗や、
動きにくい箇所がある場合には、Ducati 正規ディーラー
または公認の整備工場でワイヤーケーブルを交換してく
ださい。
これらの不具合を避けるために、それぞれのトランス
ミッションケーブルの先端を定期的に SHELL Advance
Grease または Retinax LX2 のグリースを塗布して潤滑し
てください。
1
トランスミッションアクセル装置を開ける必要がある場
合は、固定ネジ (1, 図 44) ケーブルの先端とプーリーに
グリースを塗布します。
警告
カバーを取り付ける時に、ワイヤーがガイドとプー
リーの中を通っていることを確認し、注意して閉じてく
ださい。
カバーを取り付け、1.8 Nm のトルクでネジ(1)を締め
ます。
サイドスタンドのスムーズな作動を確保するために、汚
れを取り除いた後、全ての摩擦部分に指定のグリース
SHELL Alvania R3 を塗布してください。
48
図 44
スロットルケーブルの調整
スロットルケーブルは、ハンドルバーのどの位置におい
ても、スロットルグリップの遊びがハンドルバーの円周
で 2 ~ 4 mm なければいけません。スロットルグリップ
の遊びを調整するには、スロットルケーブルのアジャス
ター (1、図 45) を使用します。
2÷4 mm
➤
➤
1
図 45
49
バッテリーの充電 ( 図 46)
バッテリーを充電する際には、バッテリーをモーターサ
イクルから取り外して実施してください。
まず最初に黒いマイナス (-) の端子を外し、その後赤い
プラス (+) の端子を外します。
ストッパー (1) を外し、バッテリーを取り外します。
警告
バッテリーは爆発性のガスを発生させます。火気、
熱源のそばに置かないでください。
充電は換気の良い場所で実施してください。
バッテリーチャージャーの導線をそれぞれの端子に接続
します。赤はプラス (+) に、黒はマイナス (-) に接続し
てください。
重要
バッテリーチャージャーは、バッテリーを接続して
から始動させます: バッテリー端子に接触したときに火
花などが散った場合、セルに含まれるガスに火が移る危
険性があります。
また、接続する時は常に赤のプラス極から行ってくださ
い。
警告
バッテリーは幼児の手の届かないところに置いてく
ださい。
バッテリーを 1A で 5 ~ 10 時間充電します。
50
1
–
+
図 46
チェーンテンションの点検
モーターサイクルをゆっくり移動させて、チェーンを最
も張った状態にします。
サイドスタンドを使って車体を立てます。
スイングアームの中央位置で、チェーンを指で上に押し
ます ( ラベルを参照 )。
下側のチェーンが上下する幅は約 30 ~ 32 mm でなけれ
ばなりません。
そのような状態でない場合は、Ducati 正規ディーラーま
たは公認の整備工場で実施してください。
警告
偏心輪の固定ネジを正しく締めることはライダーの
安全にとって基本的なことです。
重要
不適切なチェーンの張りは、トランスミッション
パーツの摩耗を促進させます。
=
30 ÷ 32 mm
=
図 47
51
チェーンの給油
このモーターサイクルには、可動部分にグリースが封入
され、泥などの外部からの物の侵入を防ぐオーリングの
付いたチェーンが装着されています。
チェーンを洗浄する場合には、ガスケット類の損傷を防
止するため、専用の溶剤をご使用ください。ウォッ
シャー等でスチームや圧力のかかった水で洗浄しないで
ください。洗浄後は圧縮空気でチェーンを乾かし、指定
の SHELL Advance Chain もしくは Advance Teflon Chain
を各部に塗布します。
重要
指定オイル以外を塗布した場合には、チェーン、リ
ム、またはエンジンピニオンなどに損傷を与えます。
52
ライトバルブの交換
切れたバルブを交換する前に、新しいバルブの電圧など
が「電装」の各仕様に適合しているか確認してください
(ページ 71 参照 )。
ヘッドライト ( 図 48, 図 49, 図 50, 図 51)
フロントヘッドライトの作業をやり易くするために、
「ヘッドライトフェアリングの取り外し」の章に従って
ヘッドライトフェアリングを取り外すことをお奨めしま
す(ページ 43 参照。
ヘッドライトのバルブを交換するには、フレーム / パラ
ボラユニットをヘッドライト本体に固定している下部の
ネジ (1) を緩めて外します。
ヘッドライトのバルブから導線 (2、図 49) を外します。
バルブを固定しているクリップ (3、図 49) を外し、バ
ルブを取り外します。
1
図 48
3 2
図 49
53
バルブ (4、図 50) を交換します。
メモ
新しいバルブのガラスの部分には、決して指で触れ
ないでください。バルブの光度が落ちる原因となります。
バルブ基底部のつまみを所定の位置に挿入して正しい位
置に収めます。
クリップ (3、図 49) の端をヘッドライトのボディに取
り付けます。ケーブルを元のように接続します。
パーキングライトのバルブを交換する場合は、相当する
導線を外します。バルブ (5, 図 51) はバヨネットベース
タイプなので、取り外すには押しながら反時計方向に回
します。新しいバルブに交換し、カチッとはまり込むま
で、押しながら時計方向に回します。導線を元の通りに
取り付け、枠とパラボラを固定します。
54
4
図 50
5
図 51
方向指示器(図 52)
ネジ (1) を緩めて外し、方向指示器レンズ (2) を方向指
示器マウントから取り外します。
バルブはバヨネットベースタイプなので、取り外すには
押しながら反時計方向に回します。新しいバルブに交換
し、カチッとはまり込むまで、押しながら時計方向に回
します。方向指示器レンズを取り付けます。このとき、
突起 (A) をマウントのスリットに挿入してください。
ネジ(1)で固定してください。
ストップライト(図 53)
ストップライトとパーキングライトのバルブを交換する
には、透明カバーを固定している 2 本のネジ (1) を緩め
て外します。バルブはバヨネットベースタイプなので、
取り外すには押しながら反時計方向に回します。新しい
バルブに交換し、カチッとはまり込むまで、押しながら
時計方向に回します。透明カバーを取り付けます。
A
2
1
図 52
1
2
図 53
55
ナンバープレートライト(図 54)
ナンバープレートライト (3) の作業を行うには、内部の
バルブホルダーを抜き取り、それからバルブを取り外し
交換します。
56
3
図 54
ヘッドライトの光軸調整(図 55)
ヘッドライトの光軸をチェックする際には、適正な空気
圧のタイヤを付けたモーターサイクルにライダーが 1 名
だけまたがり、車両を垂直にし、縦軸に対して正しい角
度を保持します。モーターサイクルは壁またはスクリーン
から 10 m の距離に置きます。ヘッドライトの中心と同
じ高さに水平ラインを引き、車体の縦軸に沿って垂直ラ
インを引きます。
この作業はできれば薄暗い場所で実施してください。
ロービームを点灯します。
光の照射範囲の地上高が、ヘッドライトの中心の高さの
9/10 以下でなければなりません。
メモ
この方法は、光軸の高さ制限に関するイタリアの規
則に準拠したものです。
イタリア以外の各国のオーナーは、それぞれの国で有効
な方法で実施してください。
ヘッドライトの垂直方向の調整は、サイドマウントに固
定しているネジ (1、図 56) で行います。
10 m
10
9
x
x
図 55
1
図 56
57
タイヤ
フロント空気圧:
2.1 bar -2.3 Kg/cm
リア空気圧:
2.2 bar - 2.4 Kg/cm
2
2
タイヤの空気圧は気温と高度の変化によって影響を受け
ます。したがって、走行する場所の気温と高度の条件に
合わせてチェックし調整することをお薦めします。
重要
タイヤの空気圧はタイヤ冷間時に測定および調整し
なければなりません。
フロントホイールリムがダメージを受けないように、悪
路を走行する時はタイヤの空気圧を 0.2 ~ 0.3 bar 上げ
てください。
58
タイヤの修理および交換
タイヤに小さな穴が開いた場合でも、チューブレスタイ
ヤであればエアの減り方が遅いため、気付くまで時間が
かかります。もしも、タイヤの空気圧が下がってきた場
合には、パンクの可能性をチェックしてください。
警告
タイヤがパンクした場合はタイヤを交換してくださ
い。
パンクしたタイヤを交換する際は、モーターサイクルの
操縦性と安定性を確保するために指定標準タイヤと同じ
メーカー、タイプを使用してください。
走行中のエア漏れを防ぐため、タイヤのバルブキャップ
が確実に閉めてあることを確認してください。チューブ
タイプのタイヤは絶対に使用しないでください。この注
意に従わない場合、突然タイヤがバーストし、ライダー
やパッセンジャーを重大な事故に巻き込む危険性があり
ます。
タイヤ交換の後には、必ずバランスチェックを受けてく
ださい。
重要
ホイールのバランスウェイトを外したり、移動させ
たりしないでください。
メモ
タイヤの交換が必要な場合は、ホイールが正しく脱
着されるように、Ducati 正規ディーラーまたは公認の整
備工場にお任せください。
タイヤ摩耗限界
タイヤのトレッド面が一番摩耗しているところ(S、図
57)で、溝の深さを測定してください。
溝の深さは 2 mm 以下、または道交法の基準値以下で
あってはなりません。
重要
タイヤに傷やヒビがないか、特に側面を定期的に注
意深く点検し、ひどい損傷がある場合には交換してくだ
さい。出っ張りや他と大きく異なる箇所は内部の損傷を
表わしているので、タイヤを交換しなければなりません。
トレッドに入り込んだ石や異物は取り除いてください。
図 57
59
エンジンオイル量のチェック(図 58)
エンジンオイルの量はクラッチカバー上にある点検窓
(1)で確認できます。
オイル量をチェックするには、車両を垂直に保ち、また
エンジンが温まっていなければなりません。エンジンを
切った後、オイル液面が安定するまで数分待ってくださ
い。
オイル量は、点検窓の横に指示された目盛りの間になけ
ればなりません。もしもオイル量が少ない場合には、指
定されたオイル SHELL Advance Ultra 4 を補充する必要
があります。
注入キャップ (2) を開け、オイルを正しいレベルまで補
充します。キャップを閉じてください。
2
1
重要
定期点検表に指示されているエンジンオイルとフィ
ルターの交換は、正規ディーラーまたは公認の整備工場
に依頼してください。
粘度
SAE 10W-40
モーターサイクルを使用する地域の平均気温に応じて、
表に示されている粘度のものを使用できます。
60
10W
Unigrade
15W–40 15W–50
10W–40
10W–30
Multigrade
–10
図 58
20W
20
30
40
20W–40 20W–50
0 10 20 30 40 C
スパークプラグの清掃と交換(図 59)
スパークプラグはスムーズなエンジンの作動に不可欠で、
定期的な点検が必要です。
スパークプラグを点検することで、エンジンの状態を知
ることができます。
キャップをスパークプラグから抜き取り、スパナを使用
してヘッドを取り外します。
中心電極の陶磁器製の絶縁ガイシの色具合を確認します。
明るい茶色であればエンジンの状態が良好なことを示し
ています。
それ以外の色であったり、また黒い付着物が見られる場
合は、スパークプラグを交換し、正規ディーラーまたは
公認の整備工場に報告をしてください。
中心電極の磨耗を確認してください。消耗していたりガ
ラス状になっている場合はスパークプラグを交換してく
ださい。
電極のギャップは 0.6 ~ 0.7 mm です。
スパークプラグをヘッドに再び取り付け、一杯まで回し
トルク 20 Nm で締め付けます。
トルクレンチが無い場合は、手で締めたあと備え付けの
レンチでさらに 1/2 回転締め付けてください。
重要
熱価が不適切なスパークプラグや、ネジ山の長さが
規格に合っていないスパークプラグを使用しないでくだ
さい。
スパークプラグは正しく締め付ける必要があります。
重要
調整する場合は、注意してサイドの電極を曲げま
す。電極ギャップが規定値を外れるとエンジン性能に悪
影響を及ぼし、また始動困難やアイドリングの不安定化
を招くおそれがあります。
電極と絶縁ガイシをメタルブラシで注意して掃除し、ガ
スケットの状態を確認してください。
ヘッド部の掃除を注意深く行い、その時外部の汚れを燃
焼室内に落とさないように注意してください。
0,6÷0,7 mm
図 59
61
清掃一般
ペンキ塗装部分とメタリック塗装部分のオリジナルな艶
を長い間保つため、走行する道路のコンディションに合
わせて、モーターサイクルを定期的に清掃、洗車しなけ
ればなりません。専用の製品を使用してください。でき
れば生物分解性の製品を使用し、強すぎる洗剤や溶剤の
使用は避けてください。
重要
走行後のボディがまだ暖かい間は、水染み等を防ぐ
ためすぐには洗車をしないでください。
高温のお湯や、ウォッシャー等の圧力のかかった水を直
接吹き付けないようにしてください。
ウォッシャー等の使用は、サスペンション、ホイールベ
アリング、電装部分、フロントフォークのシール、エア
吸入口、マフラーの摩耗や変形をもたらすおそれがあり
ます。
もしもエンジンにひどく汚れた部分や油脂汚れなどがあ
る時は、油取り用洗剤を使って、トランスミッション系
統(チェーン、ギア、リム等)に洗剤がかからない様に
洗浄します。
水道水でよくすすぎ、モーターサイクル全ての表面部分
をセーム革で拭きます。
62
警告
モーターサイクルを洗車した直後には、ブレーキ能
力が落ちることがあります。ブレーキディスクには絶対
に、グリースやその他のいかなるオイルも付けないでく
ださい。ブレーキ能力が失われ、事故を招く危険があり
ます。
ディスクは非油性の溶剤で清掃してください。
長期間の保管
モーターサイクルを長期間使用しない場合には、保管す
る前に以下の作業を実施するようお薦めします:
モーターサイクルの通常の清掃をおこないます。
排気キャップとそのガスケットを外して、燃料タンクを
空にします。
スパークプラグの穴からシリンダーの中に数滴のエン
ジンオイルを注入し、エンジンを手で数回転させてシリ
ンダー内壁に保護膜を形成させます。
スタンドで車体を立て支えてから、バッテリーを取り外
します。1 ヶ月以上モーターサイクルを使用しなかった
場合には、バッテリーを点検し、充電を行う必要があり
ます。
結露を防止し塗装を保護するため、モーターサイクルは
カバーで覆ってください。
純正カバーは Ducati Performance 社で取り扱っていま
す。
外国のオーナーにとって重要な事項
いくつかの国では(フランス、ドイツ、イギリス、スイ
ス等)、一定期間毎の義務点検以外に、それぞれの国の基
準としての排気ガス、騒音の規制を守らなければなりま
せん。
このため、モーターサイクルのオーナーとして、これら
の国々の規制に適合する Ducati の特別純正部品をご使
用ください。
63
技術仕様
全体寸法 (mm) ( 図 60)
重量
重量
燃料無しの乾燥重量
182 kg
最大積載重量:390 kg
警告
重量制限を遵守しなければ、操縦性と性能の低下を
招き、車両のコントロールを失う原因となります。
780
1140
1060
800
64
130
1440
2120
370370
500
図 60
補給 タイプ dm
燃料タンク。
3
リットルのリザーブ分を含むRON 95 以上の無鉛ガソリン 14
3
(リットル)
エンジンオイルパンおよびフィルター SHELL Advance Ultra 4 3,3
フロント / リアブレーキ、クラッチ SHELL Advance Brake DOT 4 -
電極接点保護 SHELL Advance Contact Cleaner -
フロントフォーク SHELL Advance Fork 7.5 または Donax TA 0.450(各側)
重要
燃料、オイル等には絶対に添加剤を加えないでください。
65
エンジン
縦 90°L 型 4 サイクル 2 気筒。
ボア(mm):
88
ストローク(mm):
66
総排気量 cm
3
:
803
圧縮比 ± 0.5:1
10,4
クランクシャフト最大出力(95/1/EC):
55 kW - 75 HP / 8,250 rpm 出力を抑えたモデルでは 24kW
- 33HP / 8,000 rpm
最大トルク、クランクシャフト(95/1/EC):
70 Nm (7.0 kgm) / 6,500 rpm 出力を抑えたモデルでは
44Nm(4.5kgm) / 4,500 rpm
66
タイミングシステム
デスモドロミックシステム。各気筒 2 つのバルブが、4 本
のロッカーアーム(2 オープニングロッカーアーム、2 ク
ロージングロッカーアーム)と 1 本のタイミングシャフト
により制御され、スパーギアとベルトローラー / コグドベ
ルトで駆動されるカムシャフトによって制御されます。
デスモドロミックタイミングシステム (図 61)
1) オープニング(上側)ロッカーアーム
2) オープニングロッカーシム
3) スプリットリング
4) クロージング(下側)ロッカーシム
5) リターンスプリング(下側ロッカー)
6) クロージング(下側)ロッカーアーム
7) カムシャフト
8) バルブ
1
5
7
2
3
4
6
8
図 61
性能データ
各ギアにおける最高速度への到達は適切な指定点検整備
を受けて、適正な慣らし期間が済んだ後に限ります。
重要
これは保証の必須条件で、この条件が遵守されな
かった結果としてのエンジンの損傷や寿命の短縮につい
て Ducati モーター社はいかなる責任も負うものではあ
りません。
点火プラグ
メーカー:
CHAMPION
型式:
RA 4 HC.
メーカー:
NGK
型式:
DCPR8E.
給油
MARELLI 間接電子インジェクション
スロットルボディ口径:
45 mm
各気筒ごとインジェクター: 1
各気筒ごとホール: 1
燃料:95-98 RON
67
ブレーキ
フロント
型式:
孔開き、スチール製。
2 ディスク
ディスク径:
300 mm
ハンドルバー右側レバーによる油圧作動。
ブレーキ有効面積 cm
2
44 ( 各ディスク )
差動ピストンブレーキキャリパー
メーカーおよび型式
BREMBO PF2x28 2 ピストン
ブレーキパッド材質:
FERIT I/D 450 FF
ポンプ形式:
PS 15
リア
型式:
孔開き固定式ディスク、スチール製。
ディスク径:
245 mm
車体右側ペダルによる油圧作動。
有効面積:
2
25 cm
ブレーキキャリパー
シリンダー直径 32 mm.
68
メーカーおよび型式
P 32 F
ブレーキパッド材質:
FERIT I/D 450 FF
ポンプ形式:
PS 11 B.
警告
ブレーキ液は侵食性があります。液が目や皮膚に付
着した部分は大量の流水で洗浄してください。
トランスミッション
クラッチ
湿式多板式
ハンドルバー左側レバーによる油圧作動。
エンジンとギアボックスメインシャフト間の駆動伝達は
ストレートカットギアによる。
ピニオン / クラッチスプロケット比:
33/61
ギア
6 速
左側ペダル操作によるギアチェンジ
ギアボックス / リアスプロケット比:
15/42
総ギア比:
速
1
13/32
速
2
18/30
速
3
21/28
速
4
23/26
速
5
22/22
速
6
26/24
チェーンによるギアボックスとリアホイール間駆動伝
達:
メーカー:
DID
型式:
520 V6
サイズ:
5/8" x 1/4"
リンク数:
103
重要
上記のギア比は認可されたもので、いかなることが
あっても変更してはいけません。
この車両を競技用に仕様変更する場合には、Ducati モー
ターホールディング社から特別なギア比に関する情報を
提供いたします。取り扱いと純正交換部品に関しては、
正規ディーラーまたは公認の整備工場にお問い合わせく
ださい。
警告
リアスプロケットの交換作業は、正規ディーラーま
たは公認の整備工場にお任せください。
この部分の誤った交換作業はライダーの安全に深刻な危
険をもたらし、車両に回復不能な損傷を与える原因にな
ります。
69
フレーム
トレリスフレーム、上部は特に耐久性のあるアルミニウ
ムチューブ。
ハンドル切れ角(左右):
27°
キャスター角
24°
トレール mm:
96
ホイール
軽合金製リム、スポーク 5 本
フロント
メーカー:
BREMBO
サイズ:
MT3.50x17"
リア
メーカー:
BREMBO
サイズ:
MT5,50x17"
ホイールのアクスルシャフトは取り外し可能です。
タイヤ
フロント
チューブレスラジアルタイヤ
サイズ:
120/70-ZR17
70
リア
チューブレスラジアルタイヤ
サイズ:
180/55-ZR17
サスペンション
フロント
油圧式倒立フォーク
フォーク径:43 mm
作動長:130 mm
リア
ショックアブソーバー上部のピボットポイントとフレー
ムの間に、ロッカーアームが配置されたプログレッシブ
タイプで、リバウンド、スプリングプリロード調節可能
ダンパー。アルミニウム製スイングアーム下部に接合。
スイングアームはエンジンを通してジャーナル周囲を回
転。このシステムは、モーターサイクルに高い安定性を
もたらします。
ダンパーストローク:65 mm
ホイールトラベル:148 mm
メモ
モーターサイクルの技術仕様は認可を受けているも
のなので、その仕様を変更するような作業は行わないで
ください。
エキゾーストシステム
排気ガス規制 Euro 2 に準拠した触媒を採用。
U.S.A. バージョン:触媒不採用
カラーバリエーション
S2R
Ducati アニバーサリーレッド、 コード no.F_473.101
(PPG) ホワイトのストライプ入り、コード D753 (PPG);
フレームはメタルカラー、リムはホワイト
タンジェリンレッド、コード *0035 (PPG) ブラックのス
トライプ入り、D789 (PPG)
フレームおよびリムはブラック
シャイニーブラック、コード 248.514 (PPG) タンジェリ
ンレッドのストライプ入り、コード *0035 (PPG);
フレームおよびリムはブラック
S2R Dark
ブラック Dark、コード 291.501 (PPG);
フレームおよびリムはブラック
電装
主要構成パーツは以下の通りです。
フロントヘッドライト:
バルブタイプ:H4 (12V-55/60W).
パーキングライト:
バルブタイプ:T4W (12V-4).
ハンドルバースイッチ
方向指示器:
バルブタイプ:R10W (12V-10W).
警告ホーン
ストップライトスイッチ
バッテリー、12V-10 Ah
ジェネレーター、12V-520W
レギュレーター、40 A バッテリー側保護ヒューズ付き。
スターターモーター、12V-0.7 kW
テールライトおよびストップシグナル:
バルブタイプ:P21/5W (12V-5/21W).
ナンバープレートライト:
バルブタイプ:W5W (12-5W).
メモ
バルブの交換は、「バルブの交換」の章を参照して
ください。(ページ 53 参照)。
71
ヒューズ
ヒューズボックスはバッテリーの左側にあります ( 図
62)。
ヒューズを交換するには、保護カバー (1) を取り外しま
す。このカバーには、各ヒューズの配置と定格が表示さ
れています。
システムと接続されているのは 6 つのヒューズのみで
す。2 つは予備です。
バッテリー ( 図 62) の右側にある 40A のヒューズ (2)
は、電子部品であるレギュレーターを保護します。
交換には、保護キャップ (3) を取り外して下さい。
切れたヒューズは、内部のフィラメント (4、図 63) が切
れていることから判断できます。
重要
回路のショートを防止するため、ヒューズ交換の前には、
イグニッションキーを OFF にしてください。
警告
表示されている値以外のヒューズは決して使用しな
いでください。このルールを守らないと、電気系統に損
傷を与え、火災の原因となることもあります。
72
3
2
1
図 62
図 63
電装図凡例
1) ハンドルバー右側スイッチ
2) トランスポンダアンテナ
3) イグニッションスイッチ
4) 主配線接続
5) ヒューズボックス
6) セルモーター
7) スターターコンタクター
8) バッテリー
9) レギュレーターヒューズ
10)レギュレーター
11)ジェネレーター
12)右リア方向指示器
13)テールライト
14)ナンバープレートライト
15)左リア方向指示器
16)燃料タンク
17)自己診断コネクター
18)スピードセンサー
19)コイル ( 水平シリンダー )
20)コイル ( 垂直シリンダー )
21)スパークプラグ(水平シリンダー)
22)スパークプラグ(垂直シリンダー)
23)インジェクター ( 水平シリンダー )
24)インジェクター ( 垂直シリンダー )
25)スロットルポジションセンサー
26)エンジン回転数 / 位相センサー
27)サイドスタンドスイッチ
28)コントロールユニット 5AM
29)インジェクションリレー
30)ニュートラルギアインジケータースイッチ
31)オイル圧スイッチ
32)リアブレーキ STOP ライトスイッチ
33)フロントブレーキ STOP ライトスイッチ
34)ハンドルバー左側スイッチ
35)気温 / 気圧センサー
36)メーターパネル
37)左フロント方向指示器
38)警告ホーン
39)ヘッドライト
40)右フロント方向指示器
41)オイル温度センサー(コントロールユニット)
42)オイル温度センサー(機器類)
43)クラッチスイッチ
44)電源コネクター
73
ケーブルカラー表
B 青
W 白
V 紫
Bk 黒
Y 黄
R 赤
Lb 水色
Gr 灰色
G 緑
Bn 茶
O オレンジ
P ピンク
74
ヒューズボックス凡例 (1, 図 62)
位置 利用対象 値
1-9 一般 30 A
2-10 燃料ポンプ、インジェク
ター、コイル
20 A
3-11 キー センサー 10 A
4-12 コントロールユニット電源 3 A
5-13 パッシング 7.5 A
6-14 パーキングライト、メー
7-15 ストップライト、警告
ターパネル、ハイビームラ
イト、ロービームライト
ホーン
15 A
10 A
8-16 電源コネクター 5 A
メモ
電装図は、このマニュアルの最後にあります。
定期点検メモ
km 名前
Ducati サービス
1000
10000
20000
30000
40000
50000
走行距離 日付
75
DUCATI MOTORHOLDING S.p.A.
Via Cavalieri Ducati, 3
40132 Bologna, Italia
Tel. 0039/0516413111
Fax 0039/051406580
www.ducati.com
76
913.7.102.1H
Stampato 06/2005
LIGHTING
STARTER
ENGINE STOP
B
BBk
RY
BW
Bk
RW
OFF
PO
ON
W/G
10 W
Bk
HI
Y/Bk
2
W
LO
3
GND
4
Bk
1
POS
Y
10 W
W/Bk
RBk
FREE
OFF
PUSH
RUN
2 1
Y/R O
BK
V/B
R/G
R/O
Y/B
Bk
V/Bk
B/Bk
R/Y
Bk
B/G
1
Y
2
Y/Bk
3
B/Bk
4
R/Y
5
P/Bk
6
W/Bk
7
B/Y
8
G/Bk
9
Y/G
10
W/Y
11
n.c.
12
R/B
13
n.c.
14
O/B
15
O/Bk
16
Gr/G
17
G
18
n.c.
19
B/W
20
Y/B
21
Bk
22
R/Y
23
W/G
24
W/G
25
R/Y
26
Lb
WRRGBk
LOCK
PARK
OFF
ONON
R/Y
Gr/R
Bk/V Bn/R
f
f
AIR/PRESS
GR
Y
5 1 4 362
R/W
Y
O
Bk
R/Y
86
87
30
85
R/Bk
R/W
1
9
R R/Y
10
2
Bn
R/Bk
11
3
R/W
R/B
R/Bk
R/G
4
12
R
5
13
6
14
7
15
8
16
Y/B V
Y/B
R/G
R
R R R
R/Bk
R/G
K A
1N4007
R
R
Bk Bk
Bk
40A
Bk R
Bk
R
Bn
Bn
Y
Y
Y
W/Gr
10 W
Bk
Gr/R
4
W/G
2
Y
5
P/Bk
1
Bk
3
5/21 W
5 W
Bk
10 W
W/Bk
+
-
Bn/W
Bn/Bk
BODY 27 (ACIN)
ENGINE 3 (TPS)
Y/G
R/W
Gr/Bk
Gr/R
O/B
R/B
W/R
O/W
Gr/G
G/Y
Bn/G
sc.1B
field
B/W
IAW5AM
R/Bk
G
Bn/R
Bk/V
W/B
R/W
O/W
Bk
R/G
Bk
Bn/Bk
Gr/B
P/Y
O
Bk/G
sc.1A
W
B/Y
W
Bk/V
2
1
f
f
Bk/G
O
SC 1
A C B
OIL
f
f
fff
1
1
2
W
Bk/V
A
3
2
field
sc.1a
sc.1b
Bk/G
Bn/W
Bn/G
f
B
Bn/G
P/Y
G/Y
Bn/W
Bn/W
2
2
1
O POT MOT
V
fff
fff
C
O
f
1
1
2
2
P/Y
G/Y
Bn/W
Bn/W
Gr/G
Bn/W
V
f
Gr/B
W/R
Bk/Gr
O
f
SSS
3
AMP
12
fff
38
N.C.
GND
Bk
W/R
ENGINE 23 (OILPRESS)
BODY 1 (O2HEAT2)
BODY 28 (LWFANRQ)
BODY 9 (TACHOUT)
ENGINE 13 (MAP)
ENGINE 22 (SNS_SPLY2)
ENGINE 14 (AIRTEMP)
ENGINE 29 (SNS_GND2)
BODY 7 (KEY_LOCK)
BODY 4 (PWRSPLY)
BODY 17 (KEYSENSE)
BODY 38 (HIFANRQ)
BODY 6 (FPUMPREL)
BODY 16 (SERIAL_K)
ENGINE 38 (IGN1)
ENGINE 10 (IGN2)
ENGINE 28 (INJCYL1)
Y/Bk Y/R G/Bk B/G
V/Bk Y/B
V W
B/Bk
Gr/Bk
O/Bk
+
R
PUSH
L
OFF
BkW
BkY
HORN
G ONGr
TURN
HI
LO
BY
RBk
RY
DIMMER PASSING
PUSH
OFF
Bk
Br
RBk
V
Bk
V
Gr/R
B/W
Y/G
W/Y
Gr/R
Bk Bk
ENGINE 37 (INJCYL2)
ENGINE 32 (SNS_SPLY1)
ENGINE 20 (SNS_GND1)
ENGINE 25 (VRS+)
ENGINE 35 (VRS-)
ENGINE 34 (SHIELDGND1)
ENGINE 5 (WATTEMP)
BODY 13 (WARNLAMP)
BODY 33 (MINITANK)
4 3 1 2
Bk
B/W
Bn/W
Bk
3
AMP
12
AMP
12
Gr/G
AMP
1 2
R/B Bk/V
3 2 1
HALL
VELOCITA'