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TB6559FG 使用上の注意点
TB6559FG 使用上の注意点
TB6559FG は、DC ブラシモータ用のシングルH-ブリッジドライバです。ダイレクトPWM駆動と定電流駆動を選択
可能です。
1. 電源電圧
(1) 動作電源電圧範囲
項目 記号 動作電源電圧範囲 単位
制御電源電圧 V
最大定格は 50 V ですが、動作電源電圧は、27 V 以下に設定してください。
10~30 V
CC
(2) 電源投入/遮断方法
VCC投入時の誤動作防止のために、SB = Low (スタンバイモード) に設定してください。
遮断時も同様に SB = Low (スタンバイモード) に設定してください。
2. 出力電流
最大定格は 2.5 A (peak) となっております。瞬時でもこの値を越えないでください。
平均許容電流はトータルの許容損失により制限されます。許容損失を超えない範囲でご使用ください。
3. 制御入力
(1) IN1, IN2 信号入力
IN1, IN2 入力により、出力モードを選択します。
V
プルダウン抵抗 10 0 k Ω (typ.) を内蔵しております。
IN (H)
= 2 V, V
(2) スタンバイ入力
SB 端子を Low にすることでスタンバイ状態となり、出力トランジスタを全 OFF します。
V
プルダウン抵抗 10 0 k Ω (typ.) を内蔵しており、入力オープン時、スタンバイ状態になります。
(3) V
ref
V
ードの場合、その入力電圧値により定電流値が設定されます。入力は、トランジスタのベース入力となってお
り、ハイインピーダンスとなっております (V
= 2 V, V
IN (H)
入力
入力電圧により、定電流 PWM 制御およびダイレクト PWM モードを選択します。定電流 PWM 制御モ
ref
= 0.8 V で、3 V 系の入力信号でも制御が可能です。
IN (L)
= 0.8 V で、3 V 系の入力信号でも制御が可能です。
IN (L)
= 5 V 入力時、入力電流= 1 μA)。
ref
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入力ファンクション表
入力 (Input) 出力 (Output)
V
定電流 PWM 制御モード
ダイレクト PWM 制御モード
IN1 IN2 SB
ref
0~3 V
4.5 V
~V
REG
PWM/OSC
端子
H H H コンデンサ ⎯ L L
L H H コンデンサ
H L H コンデンサ
L L H コンデンサ ⎯
X X L
H H H
L H H
H L H
L L H
X X L
コンデンサ ⎯
H
L
H
L
H
L
H
L
H
L
IO (100%)
(typ.)
Vref
RS6
⋅
Vref
RS6
⋅
L L
OUT1 OUT2 モード (mode)
L
L
定電流チョップ
(ハイインピーダンス: Hi-Z)
(ハイインピーダンス: Hi-Z)
(
ハイインピーダンス: Hi-Z)
(
ハイインピーダンス: Hi-Z)
OFF
OFF
L
L
H
L
OFF
OFF
定電流チョップ
L
L
H
L
L
L
ショートブレーキ
Short break
逆転
CCW
ショートブレーキ
(Short break)
正転
CW
ショートブレーキ
(Short break)
ストップ
Stop
スタンバイ
Standby
ショートブレーキ
Short break
逆転
CCW
ショートブレーキ
(Short break)
正転
CW
ショートブレーキ
(Short break)
ストップ
Stop
スタンバイ
Standby
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4. PWM 動作
定電流 PWM 制御、およびダイレクト PWM 制御時は、通常動作とショートブレーキの繰り返しとなります。
出力回路での上下パワートランジスタの同時 ON による貫通電流を防止するために上下のパワートランジスタの
ON ↔ OFFが切り替わるタイミングにおいて300 ns (設計目標値) のデットタイムを IC 内部にて生成しています。
このため、外部入力により OFF タイムを挿入することなく、同期整流方式による PWM 制御が可能です。
なお、CW ↔ CCW, CW (CCW) ↔ ショートブレーキ時にも、内部にて生成されるデットタイムにより OFF タ
イムの挿入は不要です。
OUT1
M
PWM ON
t1
VCC
OUT1 OUT1
RS
M
PWM OFF → ON
t4 = 300 ns (typ.)
M
PWM ON → OFF
t2 = 300 ns (typ.)
V
CC
OUT1OUT1
RS
V
CC
RS
PWM ON
t5
V
CC
M
RS
PWM OFF
t3
V
CC
M
RS
3
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4.1 定電流 PWM 制御
V
= 0~3 V の場合、定電流 PWM 制御モードとなります。
ref
PWM OFF (t3) は、OSC 端子の発振より内部で生成されるクロック周波数により決定されます。
I
が設定値に到達後 PWM OFF し、内部CK の 4 クロック発目の立ち上がりで PWM ON する OFF 時間
OUT
固定タイプです。
負荷条件 (モータの L, R 定数) や設定電流値により、ON 時間が変わりますので、PWM 周波数が可聴周波数
以上 (15 kHz 以上) になるように OFF 時間つまり外付けコンデンサ値を設定ください。
OSC 周波数の発振周波数は、以下の式で近似されます。
f
OSC
内部 CK
I
OUT
= 1/(0.523 × (C
osc
× 3700 + C
osc
× 600)
osc
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GND
PWM ON
t1
PWM OFF
t3
PWM ON
t5
PWM OFF
t3
外付けコンデンサと発振周波数の実測および計算値は以下グラフとなります (実測値はセンター品での参考
値)。
1000
800
600
(kHz)
400
osc
f
200
外付けコンデンサ – 発信周波数
f
(計算)
osc
0
0
2000 4000 6000 8000 10000
C (pF)
f
(実測)
osc
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定電流駆動時のモータ電流の設定方法
モータ電流は、V
I
O (peak)
本回路はピーク電流検出方式を採用しているため、平均電流は設定値以下となります。
コイルの時定数、PWM 周波数、などにより電流リップルが変わりよって平均電流値も変わりますので評価の
上最適値を決定してください。
例: 定電流駆動時波形
電圧、電流検出抵抗 Rs によって設定されます。
ref
= V
× 1/6 × 1/Rs [A]
ref
OSC/PWM
VRSA
OUT1
4.2 ダイレクト PWM 制御
V
= 4.5 V~V
ref
OSC/PWM 端子より PWM 信号を入力することで、それに同期して出力上側 FET が ON/OFF します。
前述の通り、内部にてデットタイムを生成していますので、外部からの設定は不要となります。
の場合、ダイレクト PWM 制御モードとなります。
reg
OSC/PWM
<
<条件>
V
= 24 V
CC
V
= 5 V
ref
OSC/PWM
モータ負荷
常温
条件>
V
= 24 V
CC
V
= 0.5 V
ref
C
=モータ負荷
osc
RSA = 1 Ω
常温
入力: 0/5 V. 50 kHz
OUT1
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OSC/PWM 入力−出力応答性
OSC/PWM 入力~駆動出力間の応答性にきまして、以下参考データを示します。
OSC/PWM
OUT1
<条件>
V
CC
V
ref
OSC/PWM
出力: オープン
常温
5. 検出回路
本 IC は以下の機能を内蔵しておりますが、如何なる場合でも IC を保護するものではありません。
必ず定格以内でご使用ください。出力短絡、出力天絡/地絡の場合、回路動作の前に IC が破壊する場合がありま
す。
(1) 過電流検出回路
4つの出力トランジスタに流れる電流を検知し1つでも設定 (5.0 A (typ.) を超えると全ての出力を OFF しま
す。出力 OFF 後、50 μs (ty p .) で復帰します。
過電流検出値はおよそ 4 A ~ 6 A のばらつきを持っております。
(2) 熱遮断回路
ジャンクション温度が 160°C (typ.) を超えると全出力を OFF します。
また温度ヒス = 40°C (typ.) を持っており、ジャンクション温度が 120°C まで下がると復帰します。
0.7 μs
= 24 V
= 5 V (ダイレクト PWM 制御モード)
入力: 0/5 V, 50 kHz
OSC/PWM
1.0 μs
OUT1
6. 異常状態検出信号出力
熱遮断回路、および過電流検出回路が動作した場合、Alert 端子より信号を出力します。
通常時 : L 出力
異常検出時 : H出力
出力は、CMOS 出力となっております。
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7. 応用回路例
(1) 定電流 PWM 駆動
定電流 PWM 駆動
5 V
V
DD
GND
PORT1
PORT2
PORT3
PORT4
0 V~3 V
(注 5)
IN1
1
16
IN2
SB
2
3
Vref
OSC/PWM
14
11
LERT
RS
TB6559FG
S-GND
8
4/12/13
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(注 4)
C
1
VREG
(
15
OUT1
OUT2
P-GND
10
注 1)
5
VCC
ヒューズ
C2
7
9
C
3
(
注 2)
24 V
M
マイコン
(2) ダイレクト PWM 駆動
ダイレクト PWM 駆動
5 V
V
DD
PWM
PORT1
PORT2
PORT3
GND
マイコン
(注 6)
14
1
16
2
(注 5)
LERT
OSC/PWM
IN1
IN2
SB
Vref
3
5 V
11
TB6559FG
RSA
8
S-GND
4/12/13
注 3)
(
(注 4)
C
注3)
(
1
15
VREG
P-GND
(
注 1)
5
VCC
OUT1
OUT2
10
ヒューズ
C2
7
9
C
3
M
(
注 2)
24 V
注 1: 電源端子用コンデンサ
V
と GND 間にコンデンサを、できるだけ IC の近くに接続してください。
CC
推奨値
項目 推奨値 備考
VCC – GND 間
50 μF~100 μF 電解コンデンサ
0.001 μF~1 μF
セラミックコンデンサ
注 2: 出力間コンデンサ、抵抗
モータのブラシノイズ除去する場合、接続ください。その場合、コンデンサが充電されていない状態で
は通電時、瞬間的に出力短絡モードとなりますので、抵抗により電流を制限してください。
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注 3: GND
S-GND、および P-GND は IC の近くで十分にエリアを確保の上、接続してください。
注 4: V
推奨値
注 5: FIN
注 6: OSC/PWM 端子用コンデンサ
推奨値
端子用コンデンサ
reg
V
と GND の間にコンデンサを、できるだけ IC の近くに接続してください。
reg
項目 推奨値 備考
V
– GND 間 0.1 μF~1 μF セラミックコンデンサ
reg
FIN は、GND に接続してください。FIN 実装部分の GND パターンをより大きくレイアウトすることに
より、また金属膜を採用することにより放熱効果は上がります。また、多層基板の場合、スルーホール
を通して裏面にも同様なレイアウトをすることで、更なる改善が可能です。
項目 推奨値 備考
OSC/PWM – GND 間 820 pF~4700 pF セラミックコンデンサ
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8. 電力損失計算方法
IC での電力損失は以下により計算されます。
PWM Duty = 100%時
P = VCC × ICC + I
周囲温度が高ければ、許容損失は小さくなります。Pd − Ta 特性データにより、マージンのある放熱設計をお
願いします。
周囲温度とジャンクション温度の関係は以下式により計算されます。必ずジャンクション温度は 150°C 以下
としてください。
Tj = P × R
R
(下記、単体および一定条件基板実装時での過渡熱抵抗参考データを示します。)
PWM 動作時
下記にて簡易的に計算が可能です。(実際には、スイッチングロス分が発生します。)
P = V
は実装基板などの使用環境に依存しますので注意してください。
th (j-a)
CC
① 単体
② 基板実装時
PCB 面積 60 mm × 30 mm × 1.6 mm
銅箔面積 50%以上
th (j-a)
*: R
*: Ta: 周囲温度
× ICC + I
2
× Ron (上下和)
O
+ Ta
: ジャンクション−周囲温度間熱抵抗
th (j-a)
2
× Ron (上下和) × duty
O
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① 基板実装時
PCB 面積 60 mm × 30 mm × 1.6 mm
銅箔面積 50%以上
② 単体θ
= 140°C/W
j-a
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9. 評価ボード
下記、評価ボードを準備しております (ソケットタイプ)。
V
用セラミック
CC
コンデンサ
SW = M: 外部入力可能
SW = H: 5 V
SW = L: GND
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V
用電解コンデンサ
CC
OSC 発振用コンデンサ
モータ
0~3 V 入力: 定電流 PWM
4.5 V~V
ダイレクト PWM
reg
入力:
V
用コンデンサ RSA-GND 間電流検出抵抗
reg
lert 出力
5 V 出力
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製品取り扱い上のお願い
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資料の掲載内容は、技術の進歩などにより予告なしに変更されることがあります。
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料を転載複製する場合でも、記載内容に一切変更を加えたり、削除したりしないでください。
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をご使用頂く場合は、本製品の誤作動や故障により生命・身体・財産が侵害されることのないように、お客様の責
任において、お客様のハードウェア・ソフトウェア・システムに必要な安全設計を行うことをお願いします。なお、
設計および使用に際しては、本製品に関する最新の情報(本資料、仕様書、データシート、アプリケーションノー
ト、半導体信頼性ハンドブックなど)および本製品が使用される機器の取扱説明書、操作説明書などをご確認の上、
これに従ってください。また、上記資料などに記載の製品データ、図、表などに示す技術的な内容、プログラム、
アルゴリズムその他応用回路例などの情報を使用する場合は、単独およびシステム全体で十分に評価し、お客様の
責任において適用可否を判断してください。当社は、適用可否に対する責任は負いません。
• 本製品は、一般的電子機器(コンピュータ、パーソナル機器、事務機器、計測機器、産業用ロボット、家電機器な
ど)または本資料に個別に記載されている用途に使用されることが意図されています。本製品は、特別に高い品質・
信頼性が要求され、またはその故障や誤作動が生命・身体に危害を及ぼす恐れ、膨大な財産損害を引き起こす恐れ、
もしくは社会に深刻な影響を及ぼす恐れのある機器(以下“特定用途”という)に使用されることは意図されてい
ませんし、保証もされていません。特定用途には原子力関連機器、航空・宇宙機器、医療機器、車載・輸送機器、
列車・船舶機器、交通信号機器、燃焼・爆発制御機器、各種安全関連機器、昇降機器、電力機器、金融関連機器な
どが含まれます。本資料に個別に記載されている場合を除き、本製品を特定用途に使用しないでください。
• 本製品を分解、解析、リバースエンジニアリング、改造、改変、翻案、複製等しないでください。
• 本製品を、国内外の法令、規則及び命令により、製造、使用、販売を禁止されている製品に使用することはできま
せん。
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第三者の知的財産権その他の権利に対する保証または実施権の許諾を行うものではありません。
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能動作の保証、商品性の保証、特定目的への合致の保証、情報の正確性の保証、第三者の権利の非侵害保証を含む
がこれに限らない。)をせず、また当社は、本製品および技術情報に関する一切の損害(間接損害、結果的損害、
特別損害、付随的損害、逸失利益、機会損失、休業損、データ喪失等を含むがこれに限らない。)につき一切の責
任を負いません。
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の他軍事用途の目的で使用しないでください。また、輸出に際しては、「外国為替及び外国貿易法」、「米国輸出管
理規則」等、適用ある輸出関連法令を遵守し、それらの定めるところにより必要な手続を行ってください。
• 本製品の RoHS 適合性など、詳細につきましては製品個別に必ず弊社営業窓口までお問合せください。本製品の
ご使用に際しては、特定の物質の含有・使用を規制するRoHS 指令等、適用ある環境関連法令を十分調査の上、か
かる法令に適合するようご使用ください。お客様がかかる法令を遵守しないことにより生じた損害に関して、当社
は一切の責任を負いかねます。
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