Cubase 4.1 / Cubase Studio 4.1 の新機能
追加情報
バージョン4.1の新機能
サンプル・エディタのインスペクター
スコア・エディタと同じく、サンプル・エディタに
も、左側にインスペクター形式のセクションが設けら
れました。ここには、多くのオーディオ編集機能が集
められ、特に曲のテンポを操作する機能が充実してい
ます(ミュージカル・モード、オーディオ・ワープ、
ヒット・ポイントを含む)。これにより、プログラム
のあちこちに分散していた要素が一カ所にまとまりま
した。上部にある2つのタブには、オーディオ・イベ
ントのテンポやタイミングを検出するのに必要な、す
べての機能が用意されています。また、サウンドの
「長さ」を整えるオーディオ・クオンタイズ機能や
オーディオ・ワープ機能も適用できます。
一番上にあるタブ“定義(Definition)”は、オーディ
オ・イベントのテンポとタイミング(グリッド)を設
定するのに使用します。そして、次のタブ“再生
(Playback)”では、オーディオ・クオンタイズやオー
ディオ・ワープを適用できます。3番目のタブには、
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ヒット・ポイントに関連した機能がすべて備えられて
います。4番目、5番目のタブには、選択範囲の設定
と調整を行うためのツールが揃っています。また、こ
れまでオーディオ編集用のメニュー項目に割り当てら
れていた機能が、メニューと並んで、このタブにも収
められました。これにより、このタブの中だけで、他
のオーディオ編集やプロセッシングの機能も利用でき
ます。
これまでどおり、メニュー経由で各オーディオ編集機
能を使うこともできます。もっとも、「ミュージカ
ル・モード」機能だけは、このタブに統合されたた
め、メニュー項目はなくなりました。
新しいサンプル・エディタについては、入門マニュアルに操
作方法が順を追って解説されています。入門マニュアルの「5
チュートリアル2:オーディオの編集」をご参照ください。
VST3 プラグインのサイド・チェーン入力
バージョン4.1 に付属する、ほとんどの VST3 プラグイ
ンに対して、サイド・チェーン入力が使えるようにな
りました。新しく設計されたフリールーティング機能
(後述)により、VST ミキサー内の信号は、基本的に
どれでもサイド・チェーン入力信号として利用できま
す。サイド・チェーンは、オーディオ信号自体を使っ
て制御するエフェクトにとって決定的な要素です。例
えば、あるオーディオ・ソースのレベルをトリガーに
して別ソースのオーディオにコンプレッションをかけ
る「ダッキング」機能などには欠かせません。サイ
ド・チェーン機能は、プラグイン・ウィンドウのメ
ニュー・バーに新しく備えられた専用のボタンで、オ
ン/オフの切り替えができます。サイド・チェーン信
号の設定内容は、対応しているプラグインのそれぞれ
で、あらかじめ決められているため、ユーザーが編集
/変更できるカスタマイズ要素はありません。
サイド・チェーン信号でコントロールできる要素は以
下のとおりです。
Dynamics 系プラグイン(Compressor、Expander、
Gate)- ゲイン
Modulation 系プラグイン(Chorus、Phaser、Flanger
など)- LFO
Delay 系プラグイン - ミックス
WahWah プラグイン - ペダル・ポジション
サイド・チェーン入力に対応したプラグインは、
プラグイン・ウィンドウのメニューバーにあ
る“サイド・チェーン・オン”ボタンをクリックす
ると、サイド・チェーン入力がオンになります。
続いて、他のオーディオ・トラックの出力を、プ
ラグインのサイド・チェーン入力にルーティング
します。また、それとは別に、サイド・チェーン
入力にルーティングしたセンド・バスをオンにす
る方法もあります。
サイド・チェーン入力の詳細については、オペレーション・
マニュアルの「オーディオ・エフェクト」の章をご参照くだ
さい。
「サミング・オブジェクト」からの自由な
ルーティングとレコーディング
(Cubase 4.1のみ)
前バージョンまでのルーティング機能にあった、若干
の制限が解消されました。新しいルーティング・シス
テムでは、グループ・チャンネルどうしを、順番に関
係なく、自由にルーティングすることができます。ま
た、グループ・チャンネルから FX リターンへのセン
ドや、FX リターンからグループ・チャンネルへのセン
ドにも対応しました。さらに、オーディオ・トラック
は、プリフェーダー・センドを使ってグループ・チャ
ンネルや FX リターンにオーディオ信号を送るだけでな
く、ポストフェーダーでグループ・チャンネルや FX リ
ターンの出力タブからの信号をパッチすることも可能
になりました。
サイド・チェーン入力では、ユーザーが編集/変更で
きるパラメーターはありませんが、入力信号によって
かかるエフェクトの量を正確に制御することができま
す。例えば、プラグインのサイド・チェーン入力に
ルーティングしたセンド・バスのセンド・レベルを調
節する、または、サイド・チェーン入力に直接ルー
ティングされたオーディオ・トラックで音量ボリュー
ムのオートメーションを使うことで実現できます。
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バス、FX リターン、グループといった「サミング・オ
ブジェクト」(複数の信号を合算する部分)の信号
は、すべて再ルーティングできます。このため、サミ
ング・オブジェクトからの信号を、そのままリアルタ
イムでオーディオ・トラックに再録音することもでき
ます。この仕組みを応用した典型的な例としては、俗
に「ステム」と呼ばれる複数楽器や楽器セクションの
サブミックスが挙げられます(ドラムセクション、
バックコーラス、複数のキーボード、ストリングス、
ブラスセクションなど)。
拡張されたメディアベイ機能
トラックのクイックコントロール
パワフルなメディアベイの機能がさらに大きく拡張さ
れました。
•
ブラウザ・セクションでは、メディアベイを使っ
て管理するフォルダやディスクドライブを指定す
ることができるようになりました。ここで指定さ
れたフォルダやドライブのみがスキャンされ、そ
の結果がメディアベイのデータベース・カタログ
に記録されます。他のフォルダ/ドライブは除外
されます。これにより、スキャン操作と検索の実
行速度が上がり、全体のパフォーマンスが向上し
ます。また、必要なファイルのみを読み取ること
で、データベースの視認性向上にも役立ちます。
•
メディアベイは“MIDI Loop”形式のファイル(後
述)にも対応しました。ビューアー・セクション
内のフィルター・セクションにも、この形式専用
のタブが設けられました。
•
同じく、ビューアー・セクション内のフィル
ター・セクションには、メディアベイの検索や記
録の実行中に「点灯」する、動作インジケーター
が装備されました。
トラック・インスペクターに新しいタブが追加されま
した。「クイックコントロール」です。これは、各ト
ラックで使用できるパラメーターの中から好きなもの
を選んで8つまで割り当てられる、リアルタイム・コ
ントローラーのセットです。このクイックコントロー
ルが使用できるトラックは、オーディオ、MIDI、イン
ストゥルメントの3種類です。また、操作できるパラ
メーターは以下のとおりです。
• すべてのミキサー・パラメーター(オーディオ・ト
ラックとインストゥルメント・トラック)
• インサート・プラグイン用パラメーター
• VSTiパラメーター
• MIDI コントローラー(MIDI トラックとインストゥ
ルメント・トラック)
クイックコントロールへのパラメーター割り当ては、
トラックごとに行います。その設定はプロジェクト・
ファイルに保存されます。さらに、同じ設定情報がト
ラック・プリセットにも保存されるようになっていま
す。
•
メディアベイに属するウィンドウやダイアログの
多くが、より統一されたデザインに改良されまし
た。
新しいメディアベイ機能の詳細については、オペレーショ
ン・マニュアルの「メディアベイ」の章を参照してくださ
い。
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この新しいクイックコントロールのパワーがフルに発
揮されるのは、リモート・コントロール機器と一緒に
使用する場合です。必要な設定は、MIDI Learn(学