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R&S®ZVH
ケーブル&アンテナ・アナライザ
オペレーティング・マニュアル
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本書では、R&S ®ZVH およびオプションについて説明します。
● R&S ZVH4 (1309.6800.24)
● R&S ZVH8 (1309.6800.28)
● R&S ZVH-K1 (1309.6823.02)
● R&S ZVH-K9 (1309.6852.02)
● R&S ZVH-K14 (1309.7007.02)
● R&S ZVH-K39 (1309.6830.02)
● R&S ZVH-K42 (1309.6846.02)
● R&S ZVH-K45 (1309.6998.02)
本書の記載内容は、ファームウェア・バージョン 1.30 以降に対応しています。
© 2012 Rohde & Schwarz GmbH & Co. KG
Muehldorfstr. 15, 81671 Munich. Germany
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81671 Munich, Germany
Printed in Germany – お断りなしに記載内容の一部を変更させていただくことがあります。
あらかじめご了承ください。
R&S® は、 Rohde & Schwarz GmbH & Co. KG. の登録商標です。
本書では、「 R&S®ZVH 」を「 R&S ZVH 」と略記します。
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R&S ZVH 基本的な安全指示
基本的な安全指示
製品の操作を開始する前に、必ず、以下の安全に関する説明を読んでください。
ローデ・シュワルツでは、弊社が提供する製品が常に最新の安全基準を満足し、お客
様に対して最善の安全性が提供できるよう、あらゆる努力をしております。弊社の製
品およびそれらに必要な補助機器は、対応する安全基準に従って設計され、試験され
ています。これらの安全基準に対する適合性は、弊社の品質保証システムによって、
常に確認されています。この製品は、EC Certificate of Conformity (欧州共同体適合証
明)に従って設計・検査され、安全基準に完全に合致した状態で弊社の工場から出荷
されています。この状態を維持し、安全に動作させるためには、このマニュアルに示
されているすべての指示と注意事項を守ってください。安全指示についてご質問があ
れば、弊社の支店/営業所にお問い合わせください。
さらに、使用者は、適切な方法で製品を使用しなければなりません。この製品は、産
業環境やラボ環境、または作業現場でのみ使用するよう設計されており、どのような
場合であっても、個人の身体の安全や資産を損なう可能性があるような方法で使用す
ることはできません。指定されている目的を逸脱して製品を使用したり、製造者の指
示を守らなかったりした場合には、使用者が全責任を負うものとします。このような
状態で製品が使用された場合には、製造者は一切の責任を負わないものとします。
取扱説明書に従い、処理能力の範囲内(データ・シート、資料、以下の安全指示参
照)で製品が使用された場合には、製品は指定の目的で使用されたものとします。製
品を使用するためには、技術的な能力が必要とされ、英語が理解できなければなりま
せん。したがって、製品は、適切な技術力を備えた専門の要員、または必要な技術に
よって完璧な訓練を受けた要員によってのみ使用することが重要です。ローデ・シュ
ワルツの製品を使用するにあたり、個人の安全を確保するための器具が必要な場合に
は、製品の資料のそれぞれの箇所に説明してあります。
安全確保のために使用されているマークと表示内容
安全指示を守ることによって、危険な状態から生じる身体への傷害やあらゆる損傷を、
できるかぎり回避することができます。したがって、製品の操作を開始する前に、以
下の安全指示をよく読み、厳守してください。また、資料の他の部分に示されている、
身体の安全を確保するためのその他の安全指示にも、必ず従ってください。これらの
安全指示の中で、“製品”とは、計測器本体、システム、およびすべての付属品を含
め、ローデ・シュワルツが販売し、提供しているすべての商品を示します。
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回避しなければ、死亡または重傷を負う可能性がある危険
な状態を示しています。
回避しなければ、死亡または重傷を負う可能性もある危険
な状態を示しています。
回避しなければ、軽度または中程度の負傷を負う可能性も
ある危険な状態を示しています。
不適切な操作を行うと製品を損傷する可能性があることを
示しています。製品資料では、ATTENTION が同じ意味と
して使用されています。
R&S ZVH 基本的な安全指示
タグと表示内容
以下の警告表示は、リスクや危険を警告するために製品資料で使用されています。
これらのタグは、欧州経済領域の一般市場で使用されている標準的な定義に従って表
示されています。他の地域または軍事的に利用する場合は、標準の定義とは異なるこ
ともあります。したがって、ここで説明されているタグは、常に、対応する製品資料
および対応する製品に関連してのみ使用されていることを確認してください。対応し
ていない製品や対応していない資料に当てはめてタグを使用すると、誤って解釈し、
その結果、身体の安全を損なったり、製品に損傷を与えたりすることがあります。
操作状態と操作位置
製品は、製造者によって指定された操作条件下で、指定の位置でのみ使用することが
できます。使用中は、換気が妨げられないようにしなければなりません。製造者の仕
様を遵守しないと、感電、火災、または重傷や死亡を招く可能性があります。該当す
る地域または国内における安全指示および事故防止の規制をすべての実施作業におい
て遵守する必要があります。
1. R&S ZVH は、フィールド作業にも使用できる堅牢な構造を採用しています (IP
51)。別段の指定がないかぎり、ローデ・シュワルツの製品には、次の必要条件が
適用されます。所定の動作位置では、必ず、ケースの底が下方に向いていること、
IP 保護 2X、公害重大度 2、過電圧カテゴリ 2、密閉された場所でのみ使用するこ
と、最大動作高度は海抜 4600 m、最大運搬高度は海抜 12000 m。公称電圧に対
しては ±10 %、公称周波数に対しては ±5 % の許容範囲が適用されるものとし
ます。
2. ラジエータやファンヒータなど、熱を発生する装置の上に製品を置かないでくだ
さい。周囲温度が製品資料またはデータシートで指定されている最高温度を超え
ることはできません。製品がオーバーヒートすると、感電、火災、または重傷や
死亡を招く可能性があります。
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R&S ZVH 基本的な安全指示
電気的保安
電気保安情報の必要な範囲内すべてを遵守しないと、感電、火災、または身体への重
度の傷害や死亡を招く可能性があります。
1. 製品の電源を入れる前に、製品の公称電圧の設定と、AC 電源の公称電圧とが一致
しているか確認しなければなりません。別の電圧を設定しなければならない場合
には、それに対応して、製品の電源ヒューズを交換する必要が生じることもあり
ます。
2. 製品に、AC 電源から切断するための電源スイッチがない場合には、接続ケーブル
のプラグが切断装置とみなされます。この場合には、電源プラグが簡単に手の届
く位置にあり、いつでも操作できるようにしなければなりません。(接続ケーブ
ルの長さは約 2 m です。)AC 電源から切断する場合、機能的スイッチや電子式
スイッチは適切ではありません。電源スイッチのついていない製品をラックに取
りつけたり、システムに組み込んだりする場合には、システムレベルで切断装置
を準備しなければなりません。
3. 電源ケーブルが破損している場合には、絶対に製品を使用しないでください。正
しい操作条件下にあるかどうか電源ケーブルを定期的に点検してください。適切
な安全対策を講じ、慎重に電源ケーブルを設置することによって、ケーブルが破
損しないよう、また、ケーブルにつまずいたり、感電したりしてけがをすること
がないようにしてください。
4. 製品は、最大 16 A のヒューズが取りつけられた TN/TT 電源ネットワークからの
み、操作することができます(容量の大きいヒューズについては、使用前にロー
デ・シュワルツへお問い合わせください)。
5. プラグをほこりがついていたり、汚れたりしているソケットに差し込まないでく
ださい。プラグは、ソケットの奥までしっかりと差し込んでください。プラグが
十分に差し込まれていないと、火花が出たり、火災の原因になったり、けがをし
たりすることがあります。
6. ソケット、延長コード、またはコネクタのストリップをオーバロード状態にしな
いでください。火災や感電の原因になる可能性があります。
7. Vrms > 30 V の電圧の回路を測定する場合には、あらゆる危険を避けるために、
適切な手段(適切な計測器、ヒューズ、電流制限器、電気分離、絶縁など)を講
じる必要があります。
8. PC または他の産業用コンピュータなどの IT 機器との接続が、どの場合において
も、標準規格 IEC 60950-1/EN 60950-1 または IE C61010-1/EN 61010-1 に準拠し
ていることを確認してください。
9. 製品を操作しているときには、絶対に、カバーをはずしたり、ケースの一部をは
ずしたりしないでください。回路や構成部品が露出し、けがをしたり、火災の原
因になったり、製品が損傷したりすることがあります。
10. 固定位置に製品を設置する場合には、最初に設置場所の PE 端子と製品の PE コ
ンダクタを接続し、そのあとで他の接続を行わなければなりません。製品は、熟
練の電気技師によってのみ、設置し、接続することができます。
11. 適切な過電圧保護機能を使用し、雷雨によって生じるような過電圧が、製品に達
しないようにしてください。高圧保護機能がないと、操作要員に感電の危険が及
ぶ可能性があります。
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R&S ZVH 基本的な安全指示
12. 設計が意図していないかぎり、どのような物もであっても、ケースの開口部に差
し込まないでください。製品内部が短絡状態になり、感電したり、火災の原因に
なったり、けがをしたりすることがあります。
13. 別段の記載がないかぎり、製品は防水ではありません。(「操作状態と操作位
置」セクションの項目 1 も参照してください。したがって、機器を水滴の浸入か
ら保護する必要があります。)必要な予防策を取らないと、感電する危険が生じ
たり、製品に損傷を与えたり、その結果、身体への損傷を招く可能性があります。
14. 電源(AC 電源またはバッテリなど)と製品の接続を完全に外してから、製品を掃
除してください。柔らかく、糸くずの出ない布を使用して製品を掃除してくださ
い。アルコール、アセトン、またはセルロースラッカー用の希釈剤などの化学洗
剤を使用しなでください。
操作
1. 製品を操作するためには、専門的な訓練と高度な集中力が必要です。製品の操作
者が、肉体的、精神的、および情緒的見地から、製品の操作に適切かどうか確認
してください。不適切な場合には、けがまたは製品への損傷の可能性があります。
製品の操作に適した要員を選択することは、雇用者/ 運営担当者の責務です。
2. 「輸送」セクションを確認して遵守しながら、製品の移動および輸送を行います。
3. すべての工業製品同様、通常、ニッケルなど、アレルギー症状を引き起こす物質
(アレルゲン)の使用を避けることはできません。ローデ・シュワルツの製品を
使用して皮膚に発疹ができたり、くしゃみが頻発したり、目が充血したり、また
は呼吸困難な状態など、アレルギー症状が現れた場合には、すみやかに医者に相
談し、原因を確認して、健康上の問題またはストレスを予防してください。
4. 製品の機械的処理、熱処理、または解体前に、「廃棄物処理」セクションの項目
1 を必ず確認して注意を払ってください。
5. RF 無線設備など、特定の製品の機能によっては、高レベルな電磁放射が生じる可
能性があります。胎児に対しては保護を強化する必要があるため、妊婦は適切な
方法で保護する必要があります。また、電磁放射は、ペースメーカを使用してい
る人に対しても危険を及ぼす可能性があります。雇用者/ 運用担当者は、電磁放射
を被ばくする危険性の高い仕事場を調査し、必要に応じて、潜在的な危険を回避
するための方策を講じる必要があります。
6. 火災が発生した場合には、健康に害を与える恐れのある有毒物質(気体、液体な
ど)が製品から流出する可能性があります。したがって、防護マスクや防護服の
装着など、適切な対策を講じる必要があります。
修理とサービス
1. 製品は、専門的訓練を受けた資格のある要員以外が開くことはできません。製品
に対して作業をする場合、あるいは製品を開く場合には、事前に、製品を AC 供
給ネットワークから切断しておかなければなりません。切断しておかないと、要
員に感電の危険が及ぶ可能性があります。
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R&S ZVH 基本的な安全指示
2. ローデ・シュワルツが許可した電気技師以外が、調整、部品の交換、保守、およ
び修理を行うことはできません。安全性に関わる部品(電源スイッチ、電源トラ
ンス、ヒューズなど)を交換する場合には、オリジナルの部品以外を使用するこ
とはできません。安全性に関わる部品を交換した場合には、必ず、安全テスト
(外観検査、PE コンダクタ・テスト、絶縁抵抗測定、漏えい電流測定、機能テス
ト)を行わなければなりません。これにより製品の安全を引き続き確保します。
バッテリと蓄電池
バッテリと蓄電池に関する情報の必要な範囲内すべてを遵守しないと、破裂や火災の
発生、または重傷や死亡の可能性があります。アルカリ性のバッテリおよび蓄電池
(リチウム電池など)は、標準規格
EN62133
に従って処理する必要があります。
1. 電池を分解したり、または破壊したりしないでください。
2. 電池またはバッテリを熱や火に近づけないでください。日光が直接当たる場所へ
の保管を避けてください。電池およびバッテリを清潔で乾いた状態で保管してく
ださい。乾いた清潔な布でコネクタの汚れを取り除いてください。
3. 電池またはバッテリを短絡させないでください。互いに短絡を起こしたり、他の
伝導体により短絡が引き起こされるため、電池またはバッテリを箱や引き出しに
保管しないでください。電池およびバッテリを使用する時まで元の梱包から取り
出さないでください。
4. 電池およびバッテリを子供の手の届かない所に保管してください。電池またはバ
ッテリを飲み込んだ場合には、すみやかに医者に相談してください。
5. 許容範囲外の強い機械的衝撃を電池およびバッテリに与えてはいけません。
6. 電池から液体が漏れている場合、その液体が皮膚または目に直接触れないように
してください。触れてしまった場合には、十分な水でその部分を洗い、医者に相
談してください。
7. アルカリ性の蓄電池またはバッテリ(リチウム電池など)は正しく交換しないと、
破裂する可能性があります。製品の安全性を確保するために、ローデ・シュワル
ツが指定するタイプに一致する電池またはバッテリ(部品リストを参照してくだ
さい)とのみ交換してください。
8. 電池およびバッテリをリサイクルして、残留廃棄物とは区別してください。鉛、
水銀、およびカドミウムを含む蓄電池および通常のバッテリは有害廃棄物です。
廃棄物処理およびリサイクルに関する国内の規則を遵守してください。
輸送
1. 製品は非常に重いため、慎重に扱う必要があります。一部では、背中や体のその
他の部分の損傷を避けるため、製品の持ち上げまたは移動には適切な方法(リフ
トトラックなど)が必要になります輸送または持ち上げる際に製品をしっかりと
固定する場合、使用者が責任を負います。輸送または持ち上げの際は、製造者の
安全規則を遵守してください。規則に従わない場合には、身体または製品への損
傷を招く可能性があります。
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R&S ZVH 基本的な安全指示
2. 車中で製品を使用する場合には、車の安全な運転については、運転者が全責任を
負うものとします。事故や衝突については、製造者は一切の責任を負わないもの
とします。車の運転者の注意力が散漫になる可能性があるため、移動中の車の中
では絶対に製品を使用しないでください。事故の際に身体またはその他への損傷
を避けるために、製品を車中で適切に固定してください。
廃棄物処理
1. 製品または構成部品に対して本来の使用目的を超えて機械的処理または熱処理を
行うと、有害な物質(鉛、ベリリウム、ニッケルなどの重金属粉)が放出される
ことがあります。このため、専門的訓練を受けた要員以外が製品を解体すること
はできません。適切に解体しないと、健康に害を与えることがあります。各国の
廃棄物処理規則を遵守しなければなりません。
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Page 9
R&S ZVH 目次
目次
ドキュメントの概要 .................................................................................... 5
本書の表記について .................................................................................... 6
1 R&S ZVH の操作 ................................................................................. 7
1.1 画面のレイアウトと構成要素 ........................................................................................ 7
1.2 データの入力 ................................................................................................................. 8
1.2.1 テンキーの使用 .............................................................................................................. 8
1.2.2 入力の確定および取り消し ............................................................................................ 9
1.2.3 ロータリ・ノブの使用 ................................................................................................... 9
1.2.4 カーソル・キーの使用 .................................................................................................10
1.3 R&S ZVH のプリセット ..............................................................................................10
1.4 スクリーンショット ....................................................................................................11
1.5 測定設定 .......................................................................................................................12
1.6 ファームウェアのアップデート ..................................................................................12
1.7 ファームウェア・オプションのインストール ............................................................12
2 ケーブル /アンテナ試験モード ............................................................ 13
2.1 ケーブル /アンテナ測定の実行 .....................................................................................15
2.1.1 反射測定 .......................................................................................................................15
2.1.2 DTF 測定 ......................................................................................................................16
2.1.3 1-ポート・ケーブル・ロス測定 ...................................................................................17
2.1.4 伝送測定(R&S ZVH-K39) ........................................................................................17
2.1.5 測定フォーマットの選択 ............................................................................................. 18
2.1.6 測定の校正 ...................................................................................................................19
2.2 ケーブル /アンテナ試験の設定 .....................................................................................23
2.2.1 ケーブル・モデルの選択 ............................................................................................. 23
2.2.2 横軸の設定 ...................................................................................................................25
2.2.3 縦軸の設定 ...................................................................................................................27
2.2.4 掃引の設定とトリガ .....................................................................................................29
2.3 測定結果の分析 ............................................................................................................32
2.3.1 トレースの操作 ............................................................................................................32
2.3.2 マーカの使用 ............................................................................................................... 33
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 1
Page 10
R&S ZVH 目次
2.3.3 表示ラインとリミット・ラインの使用 ........................................................................38
3 測定ウィザードの操作方法 ................................................................. 39
3.1.1 測定の準備 ...................................................................................................................39
3.1.2 測定ウィザードの使用 .................................................................................................41
3.1.3 結果の評価 ...................................................................................................................45
4 スペクトラム・アナライザ・モード( R&S ZVH-K1) ...................... 46
4.1 スペクトラム測定の実行 .............................................................................................46
4.1.1 連続変調信号のチャネル・パワーの測定 ....................................................................46
4.1.2 占有帯域幅の測定 ........................................................................................................50
4.1.3 TDMA 信号のパワー測定 ............................................................................................53
4.1.4 隣接チャネル漏洩比(ACLR)の測定 .........................................................................56
4.1.5 スペクトラム・エミッション・マスクの測定 .............................................................64
4.1.6 高調波歪みの測定 ........................................................................................................67
4.1.7 振幅変調度の測定 ........................................................................................................68
4.1.8 スペクトログラム表示の操作(R&S ZVH-K14) ....................................................... 70
4.1.9 等方向性アンテナの使用 ............................................................................................. 78
4.2 スペクトラム測定の設定 .............................................................................................80
4.2.1 横軸の設定 ...................................................................................................................80
4.2.2 縦軸の設定 ...................................................................................................................83
4.2.3 帯域幅の設定 ............................................................................................................... 87
4.2.4 掃引の設定とトリガ .....................................................................................................89
4.2.5 トレースの操作 ............................................................................................................94
4.2.6 マーカの使用 ............................................................................................................... 98
4.2.7 表示ラインの使用 ......................................................................................................102
4.2.8 リミット・ラインの使用 ........................................................................................... 103
4.3 チャネル・テーブルの操作 .......................................................................................105
4.4 トランスデューサ・ファクタの使用 .........................................................................106
4.4.1 トランスデューサを使用した測定の単位 ..................................................................107
4.4.2 基準レベルの設定 ......................................................................................................108
4.4.3 トランスデューサの周波数範囲 ................................................................................ 108
4.4.4 トランスデューサ・ファクタを含むデータセット ................................................... 108
5 パワー・センサの操作 ...................................................................... 109
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 2
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R&S ZVH 目次
5.1 パワー・センサの使用 ...............................................................................................109
5.1.1 パワー・センサの接続 ...............................................................................................110
5.1.2 測定の実行と設定 ......................................................................................................111
5.2 通過型パワー・センサの使用 ....................................................................................113
5.2.1 通過型パワー・センサの接続 ....................................................................................114
5.2.2 測定の実行と設定 ......................................................................................................115
6 ネットワーク・アナライザ・モード( R&S ZVH-K42) .................. 118
6.1 測定の校正 .................................................................................................................119
6.2 ベクトル測定の実行 ..................................................................................................122
6.2.1 伝送の測定 .................................................................................................................123
6.2.2 反射の測定 .................................................................................................................124
6.3 結果の評価 .................................................................................................................125
6.3.1 測定フォーマットの選択 ........................................................................................... 125
6.3.2 縦軸の設定 .................................................................................................................132
6.3.3 マーカの使用 ............................................................................................................. 134
6.3.4 チャネル・テーブルの操作 ........................................................................................134
6.3.5 リミット・ラインの使用 ........................................................................................... 134
6.3.6 トレース演算の使用 ...................................................................................................134
6.4 ベクトル電圧計( R&S ZVH-K45) ...........................................................................135
6.4.1 測定の校正 .................................................................................................................135
6.4.2 測定の実行 .................................................................................................................136
6.4.3 結果の評価 .................................................................................................................137
7 機器の設定と測定結果の保存および読み込み .................................. 138
7.1 データセットの保存 ..................................................................................................138
7.2 データセットのクイック・ネーミング .....................................................................140
7.2.1 ファイル名の組み立て ...............................................................................................140
7.2.2 テーブルの作成 ..........................................................................................................141
7.3 測定結果の読み込み ..................................................................................................141
7.3.1 データセットのプレビュー ........................................................................................142
7.3.2 データセットの読み込み ........................................................................................... 142
7.4 データセットの削除 ..................................................................................................142
8 メニューおよびソフトキーの概要 .................................................... 143
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 3
Page 12
R&S ZVH 目次
8.1.1 一般的な機能 ............................................................................................................. 143
8.1.2 ケーブル & アンテナ・アナライザの機能 ................................................................144
8.1.3 スペクトラム・アナライザの機能(R&S ZVH-K1) ................................................ 147
8.1.4 ネットワーク・アナライザ機能(R&S ZVH-K42) ..................................................152
8.1.5 パワー・メータの機能 ...............................................................................................155
9 スペクトラム・アナライザの仕組み ................................................ 157
索引 ................................................................ ................................ ......... 162
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 4
Page 13
R&S ZVH ドキュメントの概要
ドキュメントの概要
R&S ZVH のユーザ・ドキュメントは、以下のように構成されています。
クイック・スタート・ガイド
『クイック・スタート・ガイド』には、本機の機能に関する基本的な情報が記載され
ています。
このマニュアルで取り扱っている内容は、以下のとおりです。
● フロント・パネルおよびリア・パネルの概要
● R&S ZVH の基本的な操作・設定
● R&S ZVH のネットワークへの接続
● 基本的な測定例
オペレーティング・マニュアル
『オペレーティング・マニュアル』では、本機の機能について詳しく解説しています。
このマニュアルで取り扱っている内容は、以下のとおりです。
● R&S ZVH をさまざまな動作モードで操作する方法
● R&S ZVH で測定を実施する方法
● 使用可能なソフトウェア・オプションおよびアプリケーションとの連携方法
サービス・マニュアル
『サービス・マニュアル』には、保守に関する情報が記載されています。
このマニュアルで取り扱っている内容は、以下のとおりです。
● 性能試験の実施方法
● R&S ZVH の修理と交換部品について
● 機械構造図
リリース・ノート
リリース・ノートでは、ファームウェアのインストール、新機能、改良された機能、
解消された問題、ドキュメントの最終的な変更内容について説明しています。対応す
るファームウェア・バージョンは、リリース・ノートのタイトル・ページに記載され
ています。最新のリリース・ノートはインターネットで公開されています。
インターネット・サイト
R&S ZVH ケーブル&アンテナ・アナライザ にあるインターネット・サイトには、
R&S ZVH に関する最新情報が掲載されています。ダウンロード・エリアでは、最新
のマニュアルを印刷可能な PDF 形式で提供しています。
対応するリリース・ノート、制御用ドライバ、最新のデータ・シート、アプリケー
ション・ノート、イメージ・バージョンなど、ファームウェアの最新版のダウンロー
ドも可能です。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 5
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“Graphical user interface elements ”
画面上およびフロント・パネル/ リア・パネル上のグラフィカ
ル・ユーザ・インタフェースの構成要素であるダイアログ・ボッ
クス、ソフトキー、メニュー、オプション、ボタンなどの名前は
すべて引用符(“ )で囲みます。
ユーザが入力する文字列は、イタリック体で表記します。
File names, commands,
program code
ファイル名、コマンド、プログラム・コード、およびスクリーン
表示文字は、このフォントで表記します。
クリック可能なリンクは青色で表記し、引用符(“ )で囲みま
す。
R&S ZVH 本書の表記について
本書の表記について
本書では、次のテキスト書式を使用しています。
文字体裁
その他の規則
● リモート・コマンド: リモート・コマンドは、入力を簡単にするために略語が使
用されている場合があります。そのようなコマンドについては、入力する必要の
ある部分は大文字で表記し、その他の説明部分は小文字で表記しています。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 6
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R&S ZVH R&S ZVH の操作
画面のレイアウトと構成要素
1 R&S ZVH の操作
この章では、R&S ZVH の基本的な機能およびユーザ・インタフェースについて説明
します。
1.1 画面のレイアウトと構成要素
以下の図に、ケーブル/ アンテナ試験モード時の画面レイアウトを示します。図には、
R&S ZVH のすべての動作モードに共通する要素を示しています。動作モードや測定
によって異なる画面レイアウトについては、本書の該当する項に示してあります。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 7
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R&S ZVH R&S ZVH の操作
データの入力
1.2 データの入力
R&S ZVH のユーザ・インタフェースには、データを入力するためのボタンやキーな
どがあります。
1 テンキー
2 単位キー
3 ロータリ・ノブ
4 カーソル・キー
5 “ ENTER” キー
6 “ CANCEL” キー
7 “ BACK” キー
1.2.1 テンキーの使用
テンキーを使用して、数値や文字を入力することができます。テンキーには、0 ~ 9
の数字のほか、アルファベット、マイナス記号、ドットがあります。
数値を入力するときは、対応するキーを押します。数値の場合は、各キーの表面に印
字されている数字に対応します。
負の値の入力にはマイナス記号キーを押し、小数部を含む値の入力にはドット・キー
を押します。
文字を入力するよう求められた場合や、ファイル名などの文字を入力する必要がある
場合は、キーの割り当てが変わります。各キーには 1 つの数字と、2 つ以上の文字
が対応しています。最初に選択されるのは、文字です。文字を入力するときは、その
文字が選択されるまでキーを何回か押します。以下の表に、文字の割り当てをまとめ
てあります。
“BACK” キーを使用して、入力した文字または数字を削除することができます。
“BACK” キーを押すと、カーソルが 1 つ前の位置に戻り、その位置にあった文字が削
除されます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 8
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R&S ZVH R&S ZVH の操作
2 a b c 2 A B C 3 d e f 3 D E F
7 p q r s 7 P Q R S 8 t u v 8 T U V
データの入力
1.2.2 入力の確定および取り消し
入力した内容に応じて、入力を確定する方法はいくつかあります。
● 単位のない値、または単位が固定されている値を入力フィールドに入力したとき
は、“ENTER ” キーを押すかロータリ・ノブの中心を押すと、入力が確定します。
また、入力フィールドを開いたときのソフトキーを押すことで、入力を確定する
方法もあります。
● 周波数や時間など、異なる単位を設定できる値は、いずれかの単位キーを押して
確定することができます。
“ ENTER ” キーを押して値を確定したときは、最小の単位(例: Hz )が常に使用さ
れます。
● 誤ってサブメニューや入力フィールドを開いた場合は、 “ CANCEL ” キーを押すと、
内容を変更せずに閉じることができます。
1.2.3 ロータリ・ノブの使用
ロータリ・ノブを使用して、さまざまな操作を行うことができます。
● ダイアログ・ボックスやソフトキーのサブメニューの中では、ロータリ・ノブは
カーソル・キーのように動作します。ロータリ・ノブを操作して、各項目に移動
できます。複数のページにまたがるダイアログ・ボックスでは、スクロールする
ことも可能です。
ロータリ・ノブを右に回すと、下方向に移動します。ロータリ・ノブを左に回す
と、上方向に移動します。
● 入力フィールドがアクティブであれば、数値をロータリ・ノブで増減させること
ができます。
ロータリ・ノブを右に回すと数値が増加し、左に回すと減少します。
ロータリ・ノブの操作によって、数値は一定のステップ幅で変更されます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 9
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R&S ZVH R&S ZVH の操作
R&S ZVH のプリセット
● ロータリ・ノブの操作で、マーカの位置が移動します。
この場合も、ステップ幅は一定です。
● “ ENTER” キーを押すと入力や選択が確定しますが、ロータリ・ノブを押しても確
定します。
1.2.4 カーソル・キーの使用
カーソル・キーを使用して、さまざまな操作を行うことができます。
● カーソル・キーを操作して、ダイアログ・ボックスやソフトキーのサブメニュー
の中を移動することができます。
● 入力フィールドがアクティブであれば、どのような数値も上向き/ 下向きの矢印
キーで増減できます。
カーソル・キーの操作によって、数値は一定のステップ幅で変更されます。
● 上/ 下の矢印キーの操作で、マーカの位置が移動します。
この場合も、ステップ幅は一定です。
● 入力フィールド内では、左/ 右の矢印キーの操作で、カーソルが左/ 右に移動します。
1.3 R&S ZVH のプリセット
測定の準備をする前に、R&S ZVH をプリセットしておくことを推奨します。プリ
セットによって、R&S ZVH のすべての設定がデフォルト値にリセットされます。デ
フォルト設定に戻すことで、それまでの設定値に影響されない測定が可能になります。
デフォルト設定は動作モードによって異なります。
► “ PRESET” キーを押します。
R&S ZVH のデフォルト設定が呼び出されます。
また、ユーザ定義のデフォルト設定をデータセットから定義することもできます。そ
の場合、“PRESET” キーを押すと、工場出荷時のデフォルト設定ではなく、ユーザ定
義のデフォルト設定が読み込まれます。
► “SETUP” キーを押します。
► “User Preference” ソフトキーを押します。
► “Preset Dataset” メニュー項目を選択します。
プリセット設定に適用可能なデータセットを選択するダイアログ・ボックスが開
きます。
► 所望の設定値が入っているデータセットを選択します。
► “User Preferences” ダイアログ・ボックスで、 “Preset Mode” メニュー項目を選
択します。
► ドロップダウン・メニューから “User Defined ” を選択します。
この後、“PRESET” キーを押すと、データセットの設定値が読み込まれます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 10
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R&S ZVH R&S ZVH の操作
スクリーンショット
1.4 スクリーンショット
キーを使用すると、現在の画面のスクリーンショットを撮って保存することがで
きます。
► キーを押します。
スクリーンショットを撮ります。
外部記憶装置として USB メモリや SD カードが接続されている場合は、USB メモ
リまたは SD カードにスクリーンショットが保存されます。両方とも接続されている
場合は、SD カードに保存されます。
外部記憶装置が接続されていない場合、スクリーンショットは R&S ZVH の内蔵メモ
リに保存されます(十分な容量が残っている場合)。その場合、R&S ZVHView ソフ
トウェアを使用して PC に画像を転送することができます。
すべてのスクリーンショットには、「Screenshot####」というデフォルト名が付けら
れます。「####」には、0000 から始まる連番が付けられます。特定の番号から始ま
るデフォルト名に変更したい場合は、“User Preference” メニューで設定します。
► “SETUP” キーを押します。
► “User Preference” ソフトキーを押します。
► “Default Filename” および “Filename Counter Starts At” を選択し、所望のファイ
ル名と番号を設定します。
スクリーンショットのファイル形式は、“User Preference” メニューの設定に従って
「*.png」または「*.jpg」となります。
► “SETUP” キーを押します。
► “User Preference” ソフトキーを押します。
► “Capture Screen Format” を選択し、スクリーンショットのファイル形式を選択し
ます。
スクリーンショットのプレビュー
スクリーンショットに必要な情報が含まれているかどうかを確認したい場合は、
R&S ZVH にスクリーンショットのプレビューを表示することができます。
► “SAVE/RECALL” キーを押します。
► “Recall Screenshot” ソフトキーを押します。
プレビューを表示するスクリーンショットを選択するダイアログ・ボックスが開
きます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 11
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R&S ZVH R&S ZVH の操作
測定設定
1.5 測定設定
“ Measurement Setup ” ダイアログ・ボックスには、R&S ZVH の現在の設定の概要が
表示されます。このダイアログ・ボックスで設定を変更することも可能です。
► “SETUP” キーを押します。
► “Measurement Setup” ソフトキーを押します。
► 必要に応じてメニュー項目を選択し、設定を変更します。
なお、“Measurement Setup” ダイアログ・ボックスの内容は、R&S ZVH の動作モー
ドごとにカスタマイズされています。そのため、表示される設定の順番と数は、モー
ドごとに異なります。
1.6 ファームウェアのアップデート
新しいバージョンのファームウェアは、R&S ZVH の Web サイト からダウンロード
することができます。この Web サイトには、新しいバージョンのファームウェアの
リリース・ノートが掲載されています。
リリース・ノートには、ファームウェアのアップデート方法が説明されています。
1.7 ファームウェア・オプションのインストール
動作モードの追加や特殊な測定に対応するために、R&S ZVH にファームウェア・オ
プションを搭載することができます。
詳細については、『クイック・スタート・ガイド』を参照してください。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 12
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R&S ZVH ケーブル/ アンテナ試験モード
ファームウェア・オプションのインストール
2 ケーブル / アンテナ試験モード
ケーブル/ アンテナ試験(CAT )モードでは、無線通信システムに使用する伝送機器の
ケーブルとアンテナを測定することができます。
完全なシステムでは、信号は損失することなくアンテナに到達し、必要なパワーと周
波数で伝送されます。しかし、実際には、伝送品質が低下する原因となるさまざまな
機械的障害がシステム内に潜在していることがあります。以下の図に、伝送システム
内で想定される主な障害を示します。
R&S ZVH には、システム機器の設置や保守の作業時に特性試験を実施し、障害箇所
を特定するのに必要な機能が備えられています。本機の各種測定機能によって、さま
ざまな面から試験を行うことができます。
● “反射測定 ” ( 2 ページ)
● “故障点測定 ” ( 2 ページ)
● “1-ポート・ケーブル・ロス測定 ” ( 2 ページ)
● “伝送測定(R&S ZVH-K39) ” ( 2 ページ)
試験セットアップ
ケーブルとアンテナの試験を実行するための試験セットアップには、R&S ZVH 、RF
試験ケーブル(R&S FSH-Z320 など)、校正スタンダード(R&S FSH-Z28 または
R&S FSH-Z29)、および被試験ケーブル(DUT)を使用します。
ケーブルとアンテナの試験には、R&S ZVH のハードウェアに組み込まれているト
ラッキング・ジェネレータも必要になります。トラッキング・ジェネレータが発生し
た基準信号が内蔵 VSWR ブリッジを経由してテスト・ポートに伝送されます。
► RF ケーブルを RF 入力(ポート 1 または 2)に接続します。
► 試験ケーブルを RF ケーブルに接続します。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 13
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R&S ZVH ケーブル/ アンテナ試験モード
ファームウェア・オプションのインストール
► 外部からの電圧源を必要とする DUT (パワー・アンプなど)の場合は、適合す
る AC 電源ユニットからの供給電圧を BIAS ポート 1 に接続します。内蔵バイ
アスを使用することもできます。
デフォルトでは、R&S ZVH の電源を入れると、ケーブル試験モードになります。そ
の他の動作モードから CAT モードに切り替えるには、以下の手順に従ってください。
► “MODE” キーを押します。
► “Antenna & Cable Test” ソフトキーを押します。
アンテナ/ ケーブル試験モードになります。
デフォルトでは、ポート 1 で測定が実行されます。ポート 2 での測定にも対応して
いますが、そのための設定を先にしておく必要があります。
► “MEAS” キーを押します。
► “Select Driving Port” ソフトキーを押します。
► “Port 1” または “Port 2” のメニュー項目を選択します。
ケーブル & アンテナ・アナライザの画面レイアウト
1 ケーブル・モデル
2 ハードウェアの設定
3 マーカ情報
4 ステータス・ライン
- S パラメータ
- 校正ステータス
- 測定フォーマット
5 トレース・ウィンドウ
6 マーカ(青色の線)
7 ケーブル長情報
8 ケーブル周波数情報
9 ケーブル試験用のソフトキー・メニュー
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 14
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R&S ZVH ケーブル/ アンテナ試験モード
ケーブル/ アンテナ測定の実行
2.1 ケーブル/ アンテナ測定の実行
伝送システムに内在する問題点を可能な限り正確に把握するために、R&S ZVH では
さまざまな測定を実行できます。これらの測定を実行することによって、ケーブル特
性をさまざまな面から捉えます。
2.1.1 反射測定
反射(S11)測定を実行すると、伝送システムが正常に機能しているかどうかをよく
把握できます。異常なパワーの信号が反射されている場合は、システム内に何らかの
不具合があると推測できます。反射測定では、指定した周波数範囲内で反射の振幅が
dB 単位で表示されるため、効果的に反射を検出できます。
反射測定は、デフォルトの測定となっています。
► “MEAS” キーを押します。
► “Reflection (S11)” ソフトキーを押します。
設定した周波数範囲で反射測定が行われます。
以下の図は、ケーブルやアンテナに大きな障害がない状態で反射測定を実行したとき
の例です。
反射測定は、システム全体を対象にしても、システムの個々のコンポーネントを対象
にしても実行することができます。2 つ以上のシステム・コンポーネントが接続され
ている状態で測定した場合、反射測定の結果はコンポーネント全体の合計になります。
そのため、指定した周波数範囲の反射パワーの総計のみを確認できます。
どのコンポーネントに不具合があるのかを判別し、障害の位置を特定するためには、
他の測定を使用してさらに解析を進める必要があります。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 15
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R&S ZVH ケーブル/ アンテナ試験モード
ケーブル/ アンテナ測定の実行
2.1.2 DTF 測定
DTF (故障点)測定を実行すると、伝送システムにおいて障害の可能性がある位置を
正確に特定することができます。ケーブルの一方の端を R&S ZVH に接続して、DTF
測定を行うと、障害の原因にかかわらず障害箇所までの正確な距離(メートルまたは
フィート単位)が示されます。また、障害の程度も dB 単位で示されます。これらの
情報から、障害のあるコンポーネント、およびその重大度を判別することができます。
ケーブルの障害箇所までの距離を判定するために、R&S ZVH では被試験ケーブルの
反射を周波数軸で測定します。まず、特定の周波数に関し、反射信号の位相とトラッ
キング・ジェネレータで発生した基準信号の位相を比較することで、反射の振幅を測
定します。次に、受信した信号に対して高速逆フーリエ変換(IFFT )を実行します。
ケーブル・モデルの特性と組み合わせることで、反射信号がたどった距離を特定する
ことができます。
周波数軸での測定と、IFFT で高い感度が得られるため、ケーブル内の障害位置を正
確に特定することができます。この確度を維持するために、R&S ZVH ではケーブル
の距離による減衰も考慮に入れています。
ケーブルを単体で測定する場合は、必ず他方の端をロードで終端してください。
► “MEAS” キーを押します。
► “Distance to Fault” ソフトキーを押します。
ケーブルの障害箇所までの距離が計算されます。
DTF 測定の結果を以下の図に示します。トレース上で各マーカ位置に示されている
ピークが、障害の疑いのある箇所です。また、距離によっては、障害のあるコンポー
ネントを把握することも可能です。
例えば、マーカ 1 はケーブルの損傷を示しています。マーカ 2 は、ケーブル端での
接続不良や接続の緩みなどの障害を示しています。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 16
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R&S ZVH ケーブル/ アンテナ試験モード
ケーブル/ アンテナ測定の実行
2.1.3 1- ポート・ケーブル・ロス測定
ケーブル・ロス測定では、指定した周波数範囲におけるケーブルのパワー減衰を dB
単位で評価します。減衰するパワーの量は、周波数およびケーブルの長さに依存しま
す。
► “MEAS” キーを押します。
► “1-Port Cable Loss” ソフトキーを押します。
設定した周波数範囲でのケーブル・ロス測定が行われます。
以下の図は、ケーブル・ロス測定の典型的な結果を示すもので、損失の振幅が徐々に
減少していることがわかります。
2.1.4 伝送測定(R&S ZVH-K39 )
R&S ZVH にオプション R&S ZVH-K39 (オーダー番号 1309.6830.02 )をインストー
ルすると、順方向の伝送測定(S21 )を実行できます。
順方向の伝送測定を実行すると、信号が損失なしに伝送路を通過できるかどうかを評
価することができます。伝送測定では、指定した周波数範囲内で反射の振幅が dB 単
位で表示されるため、障害を検出する手段として効果的です。
伝送測定は、主に、フィルタの通過特性を試験したり、2 本のアンテナ(例えば 2
本の受信用アンテナ、または受信用アンテナと送信用アンテナ各 1 本)の間のアイソ
レーションを試験するために使用されます。
► “MEAS” キーを押します。
► “Transmission (S21)” ソフトキーを押します。
設定した周波数範囲での順方向の伝送測定が行われます。
フィルタの伝送測定を実行したときの結果を以下の図に示します。この結果から、
フィルタが所定の動作を行っていることが示されています。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 17
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R&S ZVH ケーブル/ アンテナ試験モード
ケーブル/ アンテナ測定の実行
2.1.5 測定フォーマットの選択
測定ごとに、測定フォーマットを選択することができます。縦軸に結果を表示する方
法が、測定フォーマットにより選択されます。
R&S ZVH の CAT モードでは、以下の測定フォーマットがあります。
● 振幅(dB Mag )
デフォルトのフォーマットです。結果の振幅を dB 単位で表示します。
● V SWR
直交座標で定在波比を表示します。VSWR は、伝送線路で発生する最大電圧と最
小電圧との比率です。VSWR は DTF 測定および反射測定に使用できます。
● 反射係数
被測定物の反射係数を表示します。
反射係数は、伝送線路で発生する反射波の振幅と入射波の振幅との比率です。
● ケーブル・ロス(ショート + オープン)/2
このフォーマットは、ケーブル・ロスを計算するための方法です。
このフォーマットを選択すると、測定をショートとオープンで校正するよう求め
られます。このケーブル・ロスの計算方法により、ケーブル・ロス曲線の表示確
度が向上し、測定誤差を防止できるようになります。
ケーブル・ロス測定の詳細については、2 ページの “ 1-ポート・ケーブル・ロス
測定” を参照してください。
以下に、反射測定の結果を振幅(左側)と VSWR (右側)のフォーマットで表示し
た場合を示します。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 18
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R&S ZVH ケーブル/ アンテナ試験モード
ケーブル/ アンテナ測定の実行
2.1.6 測定の校正
校正スタンダードとして、R&S FSH-Z28 (オーダー番号 1300.7804.03 )、
R&S FSH-Z29(オーダー番号 1300.7504.03)、 R&S ZV-Z121(オーダー番号
1164.0496.02 または 1164.0496.03)が用意されています。そのいずれかを使用する
必要があります。
また、ネットワーク・アナライザを操作するときは、R&S ZVHView ソフトウェアを
利用してカスタマイズした校正キットを作成し、R&S ZVH に使用することも可能で
す。
試験セットアップを正しく校正するためには、校正スタンダードを基準面(通常は
RF 測定ケーブルの出力)に接続する必要があります。
R&S ZVH の全周波数範囲で校正を実行します。これにより、パラメータを変更した
り、別の被測定物(ケーブル)を選択しても、改めて校正を実行する必要がありませ
ん。
校正データは R&S ZVH の内蔵メモリに保存されているため、R&S ZVH の電源をオ
フにしたり動作モードを切り替えても、校正は有効です。
2.1.6.1 校正の状態
R&S ZVH にはさまざまな校正の状態があり、ステータス・ラインに表示されます。
どのような状態が可能であるかは、校正の種類によります(下記を参照)。
● “ (fcal)”
R&S ZVH で、工場出荷時の校正を使用します。プリセットやセルフ・アライン
メントの後に、工場出荷時の校正がリコールされます。
工場出荷時の校正に関する校正データは、R&S ZVH の納入時にすでに内蔵メモ
リに保存されています。工場出荷時の校正は、フル 2 ポート校正です。
工場出荷時の校正は、いつでもリコールすることができます。
- “ CAL” キーを押します。
- “ Cal Settings” ソフトキーを押します。
- “ User Calibration Off” メニュー項目を選択します。
CAT モードでプリセットを実行すると、全周波数範囲のユーザ校正が破棄されま
す。ただし、プリセット後もユーザ校正を保持するように指定することも可能で
す。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 19
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R&S ZVH ケーブル/ アンテナ試験モード
ケーブル/ アンテナ測定の実行
- “ SETUP” キーを押します。
- “ User Preference” ソフトキーを押します。
- “ Discard User Calibration” メニュー項目を選択します。
- このメニュー項目を “ Off” にします。これで、プリセット後にユーザ校正が
保持されるようになります。
● “ (fcal?)”
R&S ZVH で、工場出荷時の校正を使用します。ただし、トラッキング・ジェネ
レータのパワーと RF 入力での減衰量がデフォルト設定と一致していないため、
校正の確度は高くありません。確度が低い場合は、校正を実行してください。
● “ (cal)”
R&S ZVH で、ユーザ校正を使用します。フル 1 ポートまたはフル 2 ポートの
校正を実行する必要があります。
● “ (cal?)”
R&S ZVH で、ユーザ校正を使用します。ただし、 TG パワーとレシーバ減衰が前
回校正時の設定と一致していないため、校正の確度は高くありません。確度が低
い場合は、校正を実行してください。
● “ (norm)”
R&S ZVH で、ノーマライズを使用します。伝送をノーマライズする必要があり
ます。
● “ (norm?)”
R&S ZVH で、ノーマライズを使用します。ただし、トラッキング・ジェネレー
タのパワーと RF 入力での減衰量が前回校正時の設定と一致していないため、
ノーマライズの確度は高くありません。確度が低い場合は、校正を実行してくだ
さい。
● (interp)
R&S ZVH で、校正の基準ポイント間で補正データを補間します。その理由は、
R&S ZVH が校正された周波数範囲内において周波数パラメータの 1 つ(下限周
波数、上限周波数、または中心周波数)が、校正時に使用していたパラメータか
ら変更されているためです。その結果、測定の不確かさが大きくなる恐れがあり
ます。
何らかの理由で校正が無効になったとき、または校正データが変更されたときは、直
前に有効であった校正をリコールすることができます。
► “CAL” キーを押します。
► “Cal Settings” ソフトキーを押します。
► “Restore Calibration Settings” メニュー項目を選択します。
直前に有効であった校正データと周波数設定がリコールされます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 20
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R&S ZVH ケーブル/ アンテナ試験モード
ケーブル/ アンテナ測定の実行
2.1.6.2 校正方式
アンテナ/ ケーブル試験モードでは、以下の種類の校正を使用できます。
● フル 2 ポート( “ Full 2-Port ” )
両方のテスト・ポートが、一連の測定に関して校正されます。そのため、校正
ルーチンでは、ロード、オープン、ショートの各スタンダードを両方のテスト・
ポートへ接続すること、および両方のテスト・ポートのスルー接続が必要になり
ます。これにより、試験セットアップの影響、およびテスト・ポート間のアイソ
レーションの影響が定量化され、その後の測定においてこれらの影響が考慮され
ます。
この校正方式は他の方式よりも時間がかかりますが、両方のテスト・ポートにお
いてすべての測定に対して最高の確度が得られ、再校正の必要もないため、最も
柔軟な校正方式となっています。
● フル 2 ポート高確度( “ Full 2-Port High Accuracy ” )
フル 2 ポート校正と同様に、両方のテスト・ポートが校正されます。さらに、
ロード・マッチがより高い確度で考慮され、補正データが順方向、逆方向の両方
に適用されます。
この方式は、通常のフル 2 ポート校正よりもさらに確度の高い結果が得られます。
ただし、終了するまでの時間が少し長くなります。
● フル 1 ポート( “ Full 1-Port ” )
テスト・ポート 1 が、そこでの測定に関して校正されます。校正ルーチンでは、
オープン、ショート、ロードの各校正スタンダードを接続する必要があります。
● 簡易 1 ポート( “ Easy 1-Port ” )
テスト・ポート 1 が、そこでの測定に関して校正されます。オープンのみを校正
するため、校正スタンダードは不要です。
● 伝送のノーマライズ( “ Normalize Transmission ” )
両方のテスト・ポートが、伝送測定に関して校正されます。校正ルーチンでは、
スルー接続のみが必要になります。その後の測定においてテスト・ポート間のア
イソレーションは考慮されないため、試験セットアップでのテスト・ポート間の
クロストークの可能性は排除されません。
● アイソレーションを用いた伝送のノーマライズ( “ Normalize Transmission
Isolation”)
この校正方式は、ノーマライズと同じように機能します。ただし、アイソレー
ションを考慮に入れるために、ロード・マッチも必要になります。
2.1.6.3 フル 2 ポート校正の実行
以下に、フル 2 ポート校正ルーチンの実行手順を示します。その他の校正方式も、必
要となる校正スタンダードの種類と数が異なる点以外は、基本的に同じです。
► RF ケーブルから被測定物を取り外します。
被測定物を取り外すと、R&S ZVH を校正できるようになります。
► “ CAL” キーを押します。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 21
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R&S ZVH ケーブル/ アンテナ試験モード
► “ Full 2-Port ” ソフトキーを押しま
す。
ポート 1 にオープン(“OPEN ” )
の接続を促すメッセージが表示さ
れます。
► “ Continue ” ソフトキーを押して校
正を開始します。
オープン(“OPEN ” )の校正が完了
します。
► オープン( “ OPEN ” )を取り外しま
す。
次に、ポート 1 にショート
(“SHORT ” )の接続を促すメッ
セージが表示されます。
次に、ポート 1 にロード(“LOAD ” )
(50 Ω 終端)の接続を促すメッセー
ジが表示されます。
次に、ポート 1 とポート 2 のスルー
(“THROUGH ” )接続を促すメッセー
ジが表示されます。
ケーブル/ アンテナ測定の実行
► 校正スタンダードのオープン( “OPEN”)をポート 1 にしっかりと接続します。
► “Cancel” ソフトキーを押せば、いつでも校正を中止できます。
► 校正スタンダードのショート( “SHORT”)をポート 1 にしっかりと接続します。
► “Continue” ソフトキーを押して校正を開始します。
ショート( “SHORT ” )の校正が完了します。
► ショート( “SHORT”)を取り外します。
► 校正スタンダードのロード( “LOAD”)をポート 1 にしっかりと接続します。
► “Continue” ソフトキーを押して校正を開始します。
ロード( “LOAD ” )の校正が完了します。
► ロード( “LOAD”)を取り外します。
► しっかりとスルー( “THROUGH”)接続を接続します。
► “Continue” ソフトキーを押して校正を開始します。
スルー(“THROUGH ” )接続の校正が完了します。
校正ルーチンの完了後、校正が終了したことが表示されます( )。
ステータス・ラインに、校正が正常に終了したことを示す “ (cal)” が表示されます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 22
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R&S ZVH ケーブル/ アンテナ試験モード
► “ Cable Config ” ソフトキーを押し
ます。
► “ Select Cable Model ” メニュー項
目を選択します。
ケーブル・モデルを選択するため
のファイル・マネージャが開きま
す。
► 試験するケーブル・モデルを選択
します。
► “ Select ” ソフトキーを押して選択
を確定します。
ケーブル/ アンテナ試験の設定
2.2 ケーブル/ アンテナ試験の設定
最適な測定結果を得るためには、ケーブル・モデルや周波数範囲など、被試験ケーブ
ルの特性について設定する必要があります。
2.2.1 ケーブル・モデルの選択
伝播速度を求め、その値から障害箇所までの正確な距離を求めるためには、被試験
ケーブルのケーブル・モデルを設定する必要があります。
R&S ZVH には、定義済みのケーブル・モデルがあらかじめ登録されています。この
中にないケーブルを試験する場合は、ケーブル・モデルをユーザ定義することができ
ます。その方法としては、R&S ZVH で直接定義するか、本機に同梱されている
R&S ZVHView ソフトウェアの「Cable Model Editor」で定義します。
2.2.1.1 定義済みケーブル・モデルの選択
► “MEAS” キーを押します。
► “DTF Settings” ソフトキーを押します。
► 特定のケーブル・モデルを使用しないで測定を実行する場合は、 “Cable Config”
2.2.1.2 ケーブル・モデルの作成
ケーブル・モデルを定義するために、R&S ZVH では 2 通りの方法があります。
1 つは、R&S ZVHView ソフトウェアに含まれている「 Cable Model Editor 」でケー
ブル・モデルを定義する方法です。 R&S ZVHView は本機に同梱されています。この
ソフトウェアを使用し、PC 上でケーブル・モデルを定義して、R&S ZVH に転送す
ることができます。このようにして定義したケーブル・モデルは、他の定義済みケー
ブル・モデルと同様に選択することができます。
詳細については、以下を参照してください。“ 機器の設定と測定結果の保存および読み
込み“
ダイアグラムのヘッダに、現在選択されているケーブル・モデルが表示されます。
メニューから “ Deselect Cable Model” を選択します。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 23
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R&S ZVH ケーブル/ アンテナ試験モード
ケーブル/ アンテナ試験の設定
PC にアクセスできない状況で、なおかつ R&S ZVH に保存されていないケーブル・
モデルが必要な場合は、R&S ZVH でケーブルの特性を一時的に定義することも可能
です。ただし、この特性をデータセットに保存することはできません。特性を変更し
たり別のケーブル・モデルを読み込んだりすると、定義した特性は消去されます。
► “MEAS” キーを押します。
► “DTF Settings” ソフトキーを押します。
► “Cable Config” ソフトキーを押します。
► “Define User Model” メニュー項目を選択します。
サブメニューが開きます。
► “Frequency” メニュー項目を選択します。
► 試験するケーブルの周波数を入力します。
► “Velocity” メニュー項目を選択します。
► ケーブルの速度を入力します。
► “Loss” メニュー項目を選択します。
► ケーブルの損失を入力します。
ケーブルを一時的に定義したこの段階で、測定を実行することができます。
なお、ケーブルのパラメータを 1 つでも変更したり、別のケーブル・モデルを読
み込んだりすると、一時的データは消去されるため、測定を続けるにはケーブル
を定義し直さなければなりません。
ケーブルの特性を定義した後に、カスタマイズしたケーブル・モデルを適用する必要
があります。
► “Cable Config” ソフトキーを押します。
► “[ ] User Model” メニュー項目を選択します。
R&S ZVH でカスタマイズしたケーブル・モデルを使用している場合は、“ User
Model” メニュー項目に [X] と表示されます。
2.2.1.3 DTF リストの操作
DTF リストには、 DTF 測定の結果が数値形式で表示されます。
► “MEAS” キーを押します。
► “DTF Settings” ソフトキーを押します。
► “DTF List” ソフトキーを押します。
測定時に検出されたピークを一覧にしたテーブルが開きます。
このテーブルには、次の情報が表示されます。
● “Peak”
結果で参照しているピークを示します。
● “Distance”
測定面からピークまでの距離を示します。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 24
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R&S ZVH ケーブル/ アンテナ試験モード
ケーブル/ アンテナ試験の設定
● “Return Loss”
ピークの振幅を示します。
リストに表示する情報を制限するために、DTF リストにしきい値を設定することがで
きます。その結果、一定のレベルを超えるピークのみがリストに表示されます。
► “MEAS” キーを押します。
► “DTF Settings” ソフトキーを押します。
► “DTF List Threshold” ソフトキーを押します。
しきい値(dB )を定義する入力フィールドが開きます。
► しきい値を入力します。
入力したレベルを超えるピークのみがリストに表示されます。
2.2.2 横軸の設定
“ FREQ/DIST ” キーには、ケーブル測定を実行するときに周波数と距離のパラメータを
定義するのに必要な機能が含まれています。
メニューの内容は、現在選択されている測定によって異なります。
2.2.2.1 DTF 測定用の周波数範囲の設定
デフォルト設定では、中心周波数に 1 GHz が、距離に 50 m がそれぞれ自動的に選
択されます。ケーブル長を変更した場合は、最適な分解能になるように各設定が最適
化されます。
現在の周波数設定を保持する必要がある場合は、スパンをマニュアルで定義するのが
最善の方法です。
周波数スパンの設定
周波数範囲を設定するときには、最初にスパンを設定し、次に中心周波数を設定する
のが最善の方法です。
► “FREQ/DIST” キーを押します。
► “DTF Span” ソフトキーを押します。
デフォルトでは、長さの分解能が最適になるように適切なスパン(“Auto Span ” )
が自動的に計算されます。現在の中心周波数に対して所望のスパンが大きすぎる
場合、中心周波数が最小の周波数に設定されます。
► “Manual Span...” メニュー項目を選択します。
► スパンをマニュアル入力します。
入力したスパンが設定されます。設定できる最大スパンは、定義した最大ケーブ
ル長により異なりますが、“Auto Span” 機能で計算されたスパンを超えることは
できません。設定可能な最小スパンは 10 MHz です。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 25
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R&S ZVH ケーブル/ アンテナ試験モード
ケーブル/ アンテナ試験の設定
表示周波数範囲の設定
スパンを選択したら、結果を表示する周波数範囲を設定することができます。
デフォルト設定では、DTF 下限周波数と DTF 上限周波数は、スパンと中心周波数に
従って調整されます。中心周波数から下限周波数までの間隔、および上限周波数まで
の間隔は同じです。また、DTF 下限周波数と DTF 上限周波数を直接設定することも
可能です。
► “FREQ/DIST” キーを押します。
► “DTF Center Freq” ソフトキーを押します。
► 横軸の中心に配置する周波数を入力します。
スパンと中心周波数に従って、周波数範囲が調整されます。
► “FREQ/DIST” キーを押します。
► “DTF Start Freq” ソフトキーまたは “DTF Stop Freq” ソフトキーを押します。
► 下限周波数と上限周波数を入力します。
この設定に従って周波数範囲が調整されます。
下限周波数から上限周波数までの間隔は、スパンと同じでなければなりません。
スパンと異なる周波数範囲を入力した場合、各値が自動的に調節されます。
2.2.2.2 DTF 測定用の開始距離と終了距離の設定
開始距離と終了距離により、横軸のスケーリングが定義されます。
デフォルト設定では、横軸は 0 m を起点とし、設定した最大距離または終了距離ま
でを測定します。開始距離や終了距離を調整することで、ケーブルの特定部分にズー
ムインして、さらに解析を進めることができます。
► “FREQ/DIST” キーを押します。
► “Start Dist” ソフトキーまたは “Stop Dist” ソフトキーを押します。
► 表示範囲の起点および終点の距離を入力します。
自動設定スパン・モードでは、最適な表示分解能になるように周波数設定が調整
されます。
スパンをマニュアル入力で設定した場合は、定義したケーブルの部分にズームイ
ンされます。その場合でも、結果の確度は維持されます。
2.2.2.3 CAT 測定用の周波数範囲の設定(DTF を除く)
反射、伝送、またはケーブル・ロスを測定する場合、表示される周波数範囲は、スパ
ンと中心周波数、または下限/ 上限周波数によって定義されます。
スパン設定
どのスパンを選択するかは、解析する周波数帯域と、データが必要な周波数範囲に
よって決まります。
最小スパンは、どちらの測定のときも 10 Hz です。最大スパンは、使用する
R&S ZVH により 3.6 GHz(R&S ZVH4)または 8 GHz(R&S ZVH8)になります。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 26
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R&S ZVH ケーブル/ アンテナ試験モード
ケーブル/ アンテナ試験の設定
► “FREQ/DIST” キーを押します。
► “Span” ソフトキーを押します。
► 所望のスパンを入力します。
入力したスパンが設定されます。
表示周波数範囲の設定
デフォルト設定では、下限周波数と上限周波数は、スパンと中心周波数に従って調整
されます(中心周波数は横軸の中心に位置しています)。また、下限周波数と上限周
波数を直接設定することも可能です。
► “FREQ/DIST” キーを押します。
► “Center” ソフトキーを押します。
► 中心周波数を入力します。
または、スパンおよび中心周波数の代わりに、周波数範囲を設定します。
► “FREQ/DIST” キーを押します。
► “Start” ソフトキーを押し、下限周波数を入力します。
► “Stop” ソフトキーを押し、上限周波数を入力します。
2.2.2.4 CAT 測定用の信号規格の選択( DTF を除く)
R&S ZVH では、特定の信号規格での反射、伝送、ケーブル・ロスの測定用の設定が
用意されています。設定を選択すると、中心周波数やスパンなどのパラメータが読み
込まれるため、個別に設定する必要がなくなります。
► “FREQ/DIST” キーを押します。
► “Signal Standard” ソフトキーを押します。
► “Select Uplink” または “Select Downlink” のメニュー項目を選択します。
規格を選択するダイアログ・ボックスが開きます。
► 規格を選択します。
選択した規格の設定値が読み込まれます。
2.2.3 縦軸の設定
振幅メニューには、レベル表示に関連する設定があります。
2.2.3.1 ダイアグラムのスケールの調整
R&S ZVH には、測定ダイアグラムの垂直方向の表示を最適化するための機能を備え
ています。
レベル軸の単位は dB です。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 27
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R&S ZVH ケーブル/ アンテナ試験モード
ケーブル/ アンテナ試験の設定
基準値の設定
基準値を設定すると、基準線のレベルが定義されます。基準の単位は dB です。
基準値の位置は、縦軸上に黄色の三角形で示されます( )。
基準値を変更したときには、縦軸の表示ラベルが調整されます。基準値を変更すると、
トレースの上下位置が変更されます。基準線の位置は変更されません。
► “SCALE/AMPT” キーを押します。
► “Ref” ソフトキーを押します。
► 基準値を入力するか、ロータリ・ノブで基準値を移動します。
それに従って表示が設定されます。
表示範囲の指定
表示範囲を指定すると、縦軸のスケールが定義され、水平グリッド線間の振幅が決定
されます。
単位は、測定フォーマットにより異なります。
表示範囲を変更するときには、表示するレベルを変更することができます。これによ
り、表示している画面領域の外にある信号部分を表示範囲に含めることができます。
基準値の位置とトレースは変更されません。
► “SCALE/AMPT” キーを押します。
► “Range/Ref Pos” ソフトキーを押します。
► メニュー項目を選択し、表示範囲を選択します。
縦軸の自動調整
R&S ZVH の自動スケーリング・ルーチンを使用すると、結果がディスプレイに理想
的に収まるように縦軸のスケールが調整されます。このルーチンでは、トレースの最
大値と最小値を特定し、それに従って縦軸のスケールを調整します。
► “SCALE/AMPT” キーを押します。
► “Auto Scale” ソフトキーを押します。
縦軸の自動調整が実行されます。
基準位置の設定
基準位置を設定して、ダイアグラム内の基準線の位置を定義します。基準位置は 0 ~
10 の値で、ダイアグラムの水平グリッド線の 1 本を表します。0 は一番上のグリッ
ド線、10 は一番下のグリッド線に対応しています。
基準位置を変更すると、変更した分だけトレースの位置もシフトします。基準値自体
には影響しません。
► “SCALE/AMPT” キーを押します。
► “Range/Ref Pos” ソフトキーを押します。
► “Ref Position:” メニュー項目を選択します。
► 基準位置を入力します。
それに従って、トレースが移動します。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 28
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R&S ZVH ケーブル/ アンテナ試験モード
ケーブル/ アンテナ試験の設定
2.2.3.2 減衰の設定
R&S ZVH には、トラッキング・ジェネレータ出力と RF 入力の両方に信号を減衰す
る機能があります。
► “SCALE/AMPT” キーを押します。
► “TG Power” ソフトキーを押します。
► トラッキング・ジェネレータ出力での信号の減衰量を入力します。
0 ~ -40 dBm の範囲で信号を減衰することができます。
► “Receiver Att” ソフトキーを押します。
► RF 入力での信号の減衰量を入力します。
RF 減衰量は、 0 ~ 40 dB の範囲で 5 dB 刻みで設定することができます。
2.2.4 掃引の設定とトリガ
掃引を設定するときには、互いに関連のあるパラメータを扱う必要があります。これ
らのパラメータのほとんどは、掃引メニューにまとめてあります。
2.2.4.1 測定帯域幅の設定
測定帯域幅によって、レシーバのノイズ指数が決まります。S21 測定では、帯域幅が
狭いほど測定ダイナミックレンジが広くなります。ただし、帯域幅が狭いとフィルタ
の設定時間のために測定時間が長くなります。
定義可能な帯域幅は、1-3 シーケンスで 100 Hz ~ 100 kHz です。
► “ SWEEP/BW” キーを押します。
デフォルト状態では、帯域幅は自動的に選択されます(“Auto Meas BW” ソフト
キー)。この状態で、帯域幅はスパンに連動します。
デフォルト設定は、測定速度と性能のバランスをとったものです。
► “ Manual Meas BW” ソフトキーを押します。
測定帯域幅を定義する入力フィールドが開きます。
► 操作する測定帯域幅を入力します。
ハードウェア設定の帯域幅項目の前に赤色のドットが表示され、帯域幅とスパン
の連動がないことが示されます。
2.2.4.2 掃引モードの選択
掃引モードとは、R&S ZVH で実行する測定方法のことです。
デフォルト状態では、測定が連続して実行されます。このモードでは、指定された横
軸(周波数または時間)の範囲内で掃引が自動的に繰り返され、1 回の掃引を終了す
るごとにその結果に応じてトレースが更新されます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 29
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R&S ZVH ケーブル/ アンテナ試験モード
ケーブル/ アンテナ試験の設定
特定のトリガ条件を満たしているときなどは、シングル掃引からの結果を得るだけで
十分な場合があります。シングル掃引モードでは、指定された横軸(周波数または時
間)の範囲で掃引を一定回数(設定した平均回数による)だけ実行した後、測定が停
止します。さらに掃引が実行されるのは、そのように指示された後になります。
シングル掃引に含める掃引回数の設定について、詳しくは “ トレース・モードの選択
(Average )” を参照してください。
► “SWEEP/BW” キーを押します。
► “Trigger” ソフトキーを押します。
► “Single Sweep” メニュー項目を選択します。
シングル掃引モードが有効になります。
► “ Continuous Sweep” メニュー項目を選択します。
連続測定が再開されます。
2.2.4.3 測定ポイント数の変更
(測定)ポイント数とは、1 回の掃引で実行する測定回数を指定するものです。これ
により、測定の頻度が間接的に設定されます。測定ポイント間の間隔は、設定した周
波数範囲(スパンをポイント数で割った値)で決まります。ただし、測定ポイントは
選択した周波数範囲に等間隔で配置されます。
また、ポイント数により測定の分解能、すなわち確度も決まるため、測定時間にも影
響します。デフォルト状態では、201 ポイントの測定が行われます。このポイント数
で、高速な測定時間と十分な確度を得ることが可能です。周波数分解能をデフォルト
から上下させて測定するために、測定ポイント数を変更することができます。なお、
測定ポイント数を多く設定すると測定時間が長くなります。
► “SWEEP/BW” キーを押します。
► “Number of Points” ソフトキーを押します。
► メニューから、測定ポイント数を選択します。
2.2.4.4 測定のホールド
R&S ZVH を起動すると、すぐに測定が開始されます。ケーブル/ アンテナ測定では測
定を連続して実行するため、R&S ZVH にはホールド機能を搭載し、表示の更新を停
止して測定結果を解析できるようになっています。
► “SWEEP/BW” キーを押します。
► “Hold” ソフトキーを押します。
表示の更新が中断されます。
表示の更新を再開するには、“Hold” ソフトキーをもう一度押します。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 30
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R&S ZVH ケーブル/ アンテナ試験モード
ケーブル /アンテナ試験の設定
2.2.4.5 トリガの操作
R&S ZVH には、イベントに応答するために各種のトリガ機能を備えています。外部
トリガにも、内部で生成されるトリガにも対応しています。
► “SWEEP” キーを押します。
► “Trigger” ソフトキーを押します。
トリガを設定するサブメニューが開きます。デフォルトでは、フリー・ラン
(“Free Run ” )が有効になっています。
CAT モードでは、以下のトリガ機能が用意されています。
フリー・ラン(“Free Run ” )
現在の掃引が終了すると、新しい掃引が開始されます。R&S ZVH では、これがデ
フォルト設定になっています。
外部立ち上がり/ 外部立ち下がり(“External Rise / External Fall ” )
外部トリガ信号の立ち上がりエッジ(RISE )または立ち下がりエッジ(FALL )で掃
引が開始されます。外部トリガ信号は、Ext Trigger (BNC コネクタ)から入力されま
す。しきい値は 1.4 V 、すなわち TTL 信号レベルです。
► 測定に必要なトリガを選択します。
トリガ表示部(“Trig ” )に、現在のトリガ設定が表示されます。
外部トリガを選択したときは、遅延時間を入力することで、トリガ・イベントに対し
て測定開始を遅らせることができます。これによって、トリガ・イベントと測定の時
間差を設けることができます。
► “Trigger” ソフトキーを押します。
► “Trigger Delay...” メニュー項目を選択します。
トリガ遅延を指定する入力フィールドが開きます。
► トリガ遅延を入力します。
トリガ遅延の範囲は、0 µs ~ 100 s です。ステップ幅は、遅延時間の長さによ
り異なります。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 31
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R&S ZVH ケーブル/ アンテナ試験モード
測定結果の分析
2.3 測定結果の分析
2.3.1 トレースの操作
2.3.1.1 トレース・モードの選択
R&S ZVH には、いくつかのトレース・モードがあります。トレース・モードとは、
トレースを描画する方法のことです。
トレース・モードの詳細については、“ トレース・モードの選択 ” を参照してください。
► “TRACE” キーを押します。
► “Trace Mode” ソフトキーを押します。
► “Clear/Write” または “Average:” のメニュー項目を選択します。
2.3.1.2 干渉信号の抑圧
フィールドで測定を実施するときは、他のアンテナなど、周囲の信号源からの干渉を
受けることがあります。干渉信号により実際の測定に歪みが生じた場合、測定してい
るシステムについて誤った障害が想定されることにもなります。
R&S ZVH には、実際の測定確度に影響することなく干渉源からの信号を抑圧する方
法が用意されています。
► “TRACE” キーを押します。
► “Trace Mode” ソフトキーを押します。
► “Suppression On” メニュー項目を選択し、干渉の抑圧を有効にします。
R&S ZVH は、測定に干渉する信号を検出し、結果の表示に現れないようにしま
す。ただし、測定しているシステムにある障害は、正しく表示されます。
抑圧用のアパーチャが自動的に決定されます。特定のアパーチャを適用したい場合は、
マニュアル入力で設定することもできます。
► “TRACE” キーを押します。
► “Trace Mode” ソフトキーを押します。
► “Aperture Manual” メニュー項目を選択します。
自動アパーチャ計算がオフになります。デフォルトのアパーチャは 1 です。
► “Trace Mode” ソフトキーを押します。
► “Aperture Size: 1” メニュー項目を選択します。
► 測定に対応したアパーチャ・サイズを入力します。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 32
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R&S ZVH ケーブル/ アンテナ試験モード
測定結果の分析
2.3.1.3 メモリ・トレースの操作
R&S ZVH は、トレースをトレース・メモリに転送することができます。また、現在
のトレースとトレース・メモリ内のトレースを表示して比較することも可能です。保
存されたトレースは、現在のトレースと区別するために白色で表示されます。
► “TRACE” キーを押します。
► “Trace Memory” ソフトキーを押します。
トレースがトレース・メモリに転送されます。
► “ Show Memory” ソフトキーを押します。
保存されているトレースが白色で表示されます。
“ Show Memory ” ソフトキーをもう一度押すと、メモリ・トレースを削除できます。
メモリ・トレースは、画像メモリにビットマップで展開されます。そのため呼び出し
たメモリ・トレースに対しては、基準レベルやスパンの変更が適用されません。
データセットを読み込むと、対応するトレースがトレース・メモリに保存されます。
“ Show Memory ” ソフトキーを押すと、このトレースを表示することができます。
2.3.1.4 トレース演算の使用
詳細については、2 ページの “ トレース演算の使用 ” を参照してください。
2.3.2 マーカの使用
R&S ZVH には 6 つのマーカがあり、そのうち 5 つはマーカまたはデルタ・マーカ
として使用することができます。
マーカは、トレース上のある点について水平・垂直座標を表示します。マーカの水平
位置は、測定ダイアグラムの上端から下端に伸びる縦線で示されます。ダイアグラ
ム・エリアの上にあるマーカ・リストに、使用中のすべてのマーカの正確な座標が表
示されます。
DTF の測定時には、横軸の単位はメートルまたはフィートになります。その他の測定
では、横軸は周波数軸を表します。縦軸の単位は、DTF とケーブル・ロスの測定では
dB、その他の測定では dBm です。
デルタ・マーカの位置は点線で表示され、他のマーカとは区別されます。デルタ・
マーカ・レベルは、常にメイン・マーカのレベルに関連しているため、デルタ・マー
カ・レベルの単位は常に dB です。デルタ・マーカ周波数はメイン・マーカと常に関
連しています。つまり、デルタ・マーカ周波数は、メイン・マーカが付いたポイント
の周波数とデルタ・マーカが付いたポイントの周波数の周波数差です。
複雑な信号を測定するには、マーカを 6 つまで有効にすることができます。マーカ
1 はノーマル・マーカであり、すべてのデルタ・マーカの基準になります。マーカ 2
~ 6 は、設定に応じてマーカまたはデルタ・マーカとなります。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 33
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R&S ZVH ケーブル/ アンテナ試験モード
測定結果の分析
マーカが有効になっている場合の画面レイアウト
1 マーカ・リスト
2 マーカ・ラベル : M(x)
3 デルタ・マーカ・ラベル : D(x)
4 アクティブなマーカ・ラベル(赤色のラベル)
5 デルタ・マーカ(青色の点線)
6 マーカ(青色の線)
7 マーカ入力フィールド
8 マーカ・メニュー
2.3.2.1 マーカの位置の設定
► “ MARKER” キーを押します。
マーカ・メニューが開きます。
マーカがまだ有効になっていない場合は、メイン・マーカが自動的に有効になり、
測定された最大レベルの位置に配置されます。また、マーカ周波数の入力フィー
ルドが開きます。
ここでは以下の操作を行うことができます。
● カーソル・キーでマーカの位置を設定する。
カーソル・キーでマーカの位置を設定するときのステップ幅は、スパンの 10%
です。
● ロータリ・ノブでマーカの位置を設定する。
ロータリ・ノブでマーカの位置を設定するときのステップ幅は、1 ピクセルです。
● テンキーを使用してマーカ位置を入力し、単位キーを使用して入力を確定する。
► “ENTER” キーを押してマーカ位置を確定します。
マーカ入力フィールドを閉じます。
デフォルトでは、ダイアグラム・エリア上部のマーカ・リストはアクティブです。
マーカ・リストに、すべてのマーカの水平位置と対応する垂直値が表示されます。
マーカ・リストがアクティブでない場合は、マーカ 1 と 2 のみ座標が表示され
ます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 34
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R&S ZVH ケーブル/ アンテナ試験モード
測定結果の分析
マーカ・リストのオン/ オフは、いつでも切り替えることができます。
► “ View List” ソフトキーを押します。
マーカ・リストは、直前の状態に応じてオン/ オフが切り替わります。
2.3.2.2 デルタ・マーカの位置の設定
使用中のノーマル・マーカに対し、デルタ・マーカを追加することができます。
► “MARKER” キーを押します。
► “New Marker” ソフトキーを押します。
デルタ・マーカが有効になり、測定された 2 番目に高いレベルの場所に配置され
ます。また、デルタ・マーカの入力フィールドが開きます。
デルタ・マーカがマーカ・リストに追加され、ノーマル・マーカ(M1 )からの相
対値が表示されます。
ここでは以下の操作を行うことができます。
● テンキーを使用してデルタ・マーカ位置を入力し、単位キーを使用して入力を確
定する。
● ロータリ・ノブまたはカーソル・キーを使用して、デルタ・マーカの位置を変更
する。
► “ ENTER” キーを押してデルタ・マーカ位置を確定します。
デルタ・マーカの入力フィールドが閉じます。
► さらにマーカを追加するには、 “ New Marker ” ソフトキーを何回か押して必要な数
のマーカを表示します。
2.3.2.3 マーカ・タイプの選択
新たに追加したマーカは、デフォルトでデルタ・マーカとなります。その座標は、1
番目のマーカ(M1 )からの相対値です。マーカ位置の絶対値が必要な場合は、デル
タ・マーカをノーマル・マーカに変換します。
► “MARKER” キーを押します。
► “Select Marker” ソフトキーを押して、変換するデルタ・マーカを選択します。
選択したマーカの記号が赤色になり、マーカ入力フィールドが開きます。
► “ Marker Type” ソフトキーを押します。
デルタ・マーカがノーマル・マーカに変換されます。マーカのラベルが(例えば
D2 から M2 に)変更され、その座標が絶対値で表示されるようになります。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 35
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R&S ZVH ケーブル/ アンテナ試験モード
マーカが無効になる場合
マーカ 1 (M1 )を削除した場合、そのマーカと相関関係のあるすべてのデルタ・マー
カも削除されます。
測定結果の分析
2.3.2.4 マーカの自動配置
R&S ZVH には、マーカを簡単に設定したり、現在のマーカ位置を元に本機を設定で
きる機能があります。
● “Set to Peak”
この機能を使用すると、アクティブなマーカまたはデルタ・マーカがトレース上
の最大値に配置されます。
● “Set to Next Peak”
この機能を使用すると、アクティブなマーカまたはデルタ・マーカが、トレース
上の 2 番目に高いレベル値(現在の位置からの相対値)に配置されます。
● “Set to Minimum”
この機能を使用すると、アクティブなマーカまたはデルタ・マーカがトレース上
の最小値に配置されます。
► “MKR ” キーを押します。
► “Set to Peak”、 “Set to Next Peak”、または “Set to Minimum” のソフトキーを押し
ます。
設定に従って、マーカが配置されます。
2.3.2.5 マーカの削除
マーカは、いつでも削除することができます。
選択したマーカの削除
► “ Select Marker” ソフトキーを押して、削除するマーカを選択します。
選択したマーカの記号が赤色になり、マーカ入力フィールドが開きます。
► “MARKER” キーを押します。
► “Delete Marker” ソフトキーを押します。
► “Delete Selected” メニュー項目を選択します。
► “ENTER” キーを押して選択を確定します。
マーカが削除されます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 36
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R&S ZVH ケーブル/ アンテナ試験モード
測定結果の分析
デルタ・マーカのみの削除
► “MARKER” キーを押します。
► “Delete Marker” ソフトキーを押します。
► “Delete All Delta” メニュー項目を選択します。
► “ENTER” キーを押して選択を確定します。
すべてのデルタ・マーカが削除されます。
マーカの一括削除
► “MARKER” キーを押します。
► “Delete Marker” ソフトキーを押します。
► “Delete All” メニュー項目を選択します。
► “ENTER” キーを押して選択を確定します。
すべてのマーカとデルタ・マーカが削除されます。
2.3.2.6 マーカ・サーチ制限の使用
R&S ZVH では、“ Set to Peak”、 “ Set to Next Peak”、 “ Minimum” の各機能を、トレ
ースの一部分だけに限定して使用することができます。
► “MKR ” キーを押します。
► “Search Limits” ソフトキーを押します。
► “Search Limits On/Off” メニュー項目を選択します。
► “ENTER” キーを押して選択を確定します。
マーカ・サーチ制限が有効になります。
サーチ制限の位置に [X] が表示されます。2 本の赤色の縦線は、ダイアグラム内の下
限と上限を示しています。
デフォルトでは、サーチ制限範囲はスパン全体に設定されています。
► “Search Limits” ソフトキーを押します。
► “Lower Limit” メニュー項目を選択します。
► “ENTER” キーを押して選択を確定します。
サーチ範囲の下限を定義するための入力フィールドが開きます。
► 下限を入力します。
► 単位キーを押して入力を確定します。
スパンが十分に広い場合は、下限を示す赤色の縦線が表示されます。
► 同様に、サーチの上限を定義します。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 37
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R&S ZVH ケーブル/ アンテナ試験モード
測定結果の分析
マーカ・サーチ制限の解除
► “Search Limits” ソフトキーを押します。
► “Search Limits On/Off” メニュー項目を選択します。
► 選択を確定します。
“Search Limits” ソフトキーが灰色に戻り、 “Search Limits” メニュー内の [X] の表
示が消えます。
2.3.3 表示ラインとリミット・ラインの使用
CAT モードでの表示ラインとリミット・ラインの機能は、スペクトラム・アナライ
ザ・モードの場合と同じです。
表示ラインの使用方法の詳細については、2 ページの “ 表示ラインの使用 ” を参照し
てください。
リミット・ラインの使用方法の詳細については、2 ページの “ リミット・ラインの使
用” を参照してください。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 38
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R&S ZVH 測定ウィザードの操作方法
測定結果の分析
3 測定ウィザードの操作方法
アンテナやケーブルの試験は、標準化された一連の測定を繰り返して実行しなければ
ならない場合があります。パラメータの調整を頻繁に行わずに、規定の測定が実行さ
れるように、R&S ZVH には測定ウィザードが搭載されています。
測定ウィザードを使用すると、複数の測定設定を組み合わせて、一連の測定(測定
セット)を作成することができます。関連するすべてのパラメータは測定の事前に設
定され、測定プロセスの実行中には変更できないため、このウィザードを使用して測
定を設定すると、ミスの防止や時間の節約に効果的です。
この章では、測定ウィザードの機能について説明します。ウィザードで実行できる各
測定の詳細については、それぞれ該当する項を参照してください。
● “ケーブル/アンテナ測定の実行 ” ( 2 ページ)
● “スペクトラム測定の実行 ” ( 2 ページ)
● “パワー・センサの使用 ” ( 2 ページ)
● “ネットワーク・アナライザ・モード(R&S ZVH-K42) ” ( 2 ページ)
ウィザードは、全ての動作モードで使用することができます。
なお、測定ウィザードを使用するためには、R&S ZVHView ソフトウェアをインス
トールする必要があります。
3.1.1 測定の準備
測定ウィザードを使用するためには、測定セットを R&S ZVHView ソフトウェアで定
義し、R&S ZVH に転送する必要があります。
R&S ZVHView ソフトウェアは本機に同梱されています。最新バージョンは、
R&S ZVH の Web サイト からダウンロードいただけます。
3.1.1.1 測定セットの作成
測定セットは複数のデータセットで構成されます。データセットは、周波数やスケー
リングなど、R&S ZVH の設定が格納されたファイルです。データセットを入手する
には、R&S ZVH をセットアップして設定を保存するか、事前に定義されたデータ
セットを使用します。
データセットの詳細については、2 ページの “ データセットの保存 ” を参照してくだ
さい。
► PC 上で R&S ZVHView ソフトウェアを起動します。
► ボタンをクリックして “Wizard Set Editor” を選択します。
測定セットを管理する機能のダイアログが開きます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 39
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R&S ZVH 測定ウィザードの操作方法
測定結果の分析
1 測定セットの名前
2 測定作業の説明
3 画面上の指示文に使用するフォントの種類(欧文フォントのほかにアジアフォントも一部サポート)
4 ケーブル・モデルの選択
5 概算ケーブル長
6 校正方式
7 PC から使用可能なデータセットの一覧
8 測定セットを構成しているデータセットの一覧
9 ファイル管理オプション
10 データセット・プレビューのボタン
► データセットを追加または削除して、測定セットを設定します。
このエディタでは、測定セットを構成している各測定ごとにコメントを追記すること
ができます。測定の名前を変更することも可能です。
► データセットを 1 つ選択し、 ボタンをクリックします。
別のダイアログ・ボックスが開きます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 40
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R&S ZVH 測定ウィザードの操作方法
► 所望の測定セットを含むファイル
を選択します。
► “ Select ” ソフトキーを押して選択
を確定します。
測定ウィザード・ダイアログ・
ボックスに戻ります。読み込んだ
測定セットに関する情報が表示さ
れます。
測定結果の分析
このダイアログ・ボックスでは、以下の操作を実行できます。
- 選択しているデータセットの名前を見る。
- 対応する測定の名前を定義する。
- 測定の実行に関する指示事項を書き込む。
- 『クイック・スタート・ガイド』に従って、ハードウェア設定をいくつか定
義する。
測定の誤操作を防止するために、測定セットに含める測定ごとに指示事項を追記
することができます。
これらの指示事項は、測定を開始する前に表示されます。
3.1.1.2 測定セットのアップロード
測定を行うには、測定セットを含んだウィザード定義ファイルを R&S ZVH にアップ
ロードする必要があります。
► ボタンをクリックして “Wizard Set Control ” 機能を選択します。
アップロードする測定セットを選択するダイアログ・ボックスが開きます。
► アップロードする測定セットを選択します。
► ボタンをクリックして各ファイルをコピーします。
3.1.2 測定ウィザードの使用
R&S ZVH で測定セットが使用可能になると、測定を開始することができます。
3.1.2.1 測定ウィザードの起動
► “ WIZARD” キーを押します。
ウィザード・ダイアログ・ボックスが開きます。ここに表示されている情報は、
後で文書化するときなどに使用できます。
► “ Load Meas Set” ソフトキーを押します。
ウィザード定義ファイルを選択するダイアログ・ボックスが開きます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 41
Page 50
R&S ZVH 測定ウィザードの操作方法
測定結果の分析
測定ウィザード・ダイアログ・ボックスには、次の情報が表示されます。
● “Measurement Definition”
使用しているウィザード定義ファイルの名前。このフィールドで “ ENTER” キー
を押すと、“Load Meas Set” ソフトキーを押したことと同じになります。
● 測定の説明
測定作業についての簡単な説明。R&S ZVHView ソフトウェアで定義した説明が
表示される、読み取り専用のフィールドです。
● “User”
測定を実行する人の名前。
● “Site Name”
測定の実行場所。R&S ZVH でのみ使用可能なフィールドです。
● “Comments”
測定時の外部の状態など、測定に関するコメント。
● “ GPS Position”
GPS レシーバを接続している場合の GPS 位置。このフィールドで “ ENTER”
キーを押すと、 GPS 座標が更新されます。
● “ Use Wizard Cable Settings”
測定セットで定義されたケーブル特性を使用するか、現場でケーブル特性の変更
を可能にするのかを指定します。事前定義済みのケーブル特性を使用するには
“Yes ” を選択します。その場合、以下のパラメータはロックされます。
● “Cable Model”
測定対象のケーブル・モデル。ケーブル・モデルは R&S ZVHView ソフトウェア
で定義できますが、必要に応じてケーブル・モデルを変更することも可能です。
● “Clear Cable Model”
現在有効になっているケーブル・モデルを無効にします。
● “Cable Length”
測定対象のケーブルの長さ。
● “Calibration”
測定開始前に使用する校正方式。読み取り専用のフィールドです。R&S ZVHView
で定義する必要があります。
ウィザードで定義した測定シーケンスを開始する前に、R&S ZVH を校正する必
要があります。ウィザードの開始前に定義済みのルーチンで R&S ZVH をすでに
校正してある場合は、校正をスキップして測定が開始されます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 42
Page 51
R&S ZVH 測定ウィザードの操作方法
各測定の前に、メッセージ・ボックス
が表示されます。
測定結果の分析
● “Measurements”
測定作業を正しく完了するために実行する必要のある個々の測定(データセッ
ト)の一覧。まだ実行されていない測定も、この一覧に表示されます。
測定設定のパラメータの中には、R&S ZVH で直接変更が可能なものもあります。こ
れらは主に、測定セットを定義した段階では詳細が不明なパラメータです。また、
ケーブル長やケーブル・モデルが事前に定義したものとは異なる場合など、測定場所
によって詳細が異なるパラメータも含まれます。
► パラメータを変更するには、カーソル・キーでそのパラメータを選択し、
“ENTER ” キーを押して対応する入力フィールドを開きます。
► 現在の測定に対応していないパラメータは、すべて更新してください。
3.1.2.2 測定シーケンスの実行
これまでの操作により測定作業に関するすべてのパラメータを更新したら、測定手順
を開始することができます。
► “ Start Meas Set” ソフトキーを押します。
測定に合わせた R&S ZVH の校正が済んでいない場合は、校正ルーチンを実行す
るよう求められます。どの段階で校正するかは、定義した校正ルーチンによって
異なります。
詳細については、2 ページの “ 測定の校正 ” を参照してください。
R&S ZVH の校正が完了したら、測定セットに含まれている一連の測定を開始します。
測定の実行順序は、R&S ZVHView で定義されています。
このメッセージ・ボックスには、R&S ZVHView ソフトウェアで定義した測定の準備
および実行の方法に関する内容と指示事項が表示されます。
► ケーブルの接続など、必要な準備を行います。
► “Confirm” ソフトキーを押します。
データセットと測定セットで定義した内容に従って、測定が実行されます。測定
が終了すると、測定結果および というメッセージが表示されま
す。
測定ウィザードを使用している間は、どの測定パラメータも変更することはでき
ません。ただし、マーカ機能とスケーリング・パラメータだけは使用できます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 43
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R&S ZVH 測定ウィザードの操作方法
内蔵メモリの空き容量
内蔵メモリに結果を保存する場合は、十分な空き容量があることを確認してくださ
い。そうしないと、結果が失われる可能性があります。空き容量が不十分なときは、
ファイル・マネージャで古いデータを消去することができます。
測定結果の分析
測定ステップを 1 つ終えるごとに、以下の操作を行うことができます。
- 次の測定に進む(“ Continue” ソフトキー)。
現在の測定を終了し、次の測定に必要な準備を表示し、測定を開始します。
- 現在の測定を繰り返す(“ Repeat Meas” ソフトキー)。
現在の測定を繰り返します。例えば、期待した結果とは異なるため、再度、
測定を行いたい場合などです。
- 測定セットのシーケンスを中断する(“ Interrupt Wizard” ソフトキー)。
例えば、リミット・ライン違反によって期待した測定結果が得られない場合
などに、測定シーケンスの中断が必要になります。
その場合には、測定シーケンスを中断し、ウィザードの定義内容とは異なる
設定や測定を使用して問題の原因を探ってみることができます。
ウィザードを途中で中断したときは、ウィザードを使用していない場合と同
様にすべての機能が利用可能になります。
測定シーケンスを途中で中断すると、実行済みの測定の結果は R&S ZVH に
保持されます。
測定の再設定が終了したら、“WIZARD” キーを押し、“Resume Sequence” ソ
フトキーを押して測定シーケンスを再開します。
- 測定シーケンスを中止する(“ Cancel” ソフトキー)。
測定を中止し、“Measurement Wizard” ダイアログ・ボックスに戻ります。す
でに終了している測定の結果は、すべて失われます。
測定セットに含まれているすべての測定が終了すると、測定結果の保存の確認メッ
セージが表示されます。
► “ Save Meas Results” ソフトキーを押します。
選択されている記憶装置に結果が保存されます。
詳細については、2 ページの “ 機器の設定と測定結果の保存および読み込み ” を参照
してください。
測定セットの結果の内容は、実行した各測定に対応する一連のファイルとなっていま
す。評価しやすくするために、ウィザード・ダイアログまたは R&S ZVH で定義した
測定の名前がファイル名に含まれています。
同一の測定セットによる結果ファイルは、すべて同じディレクトリに保存されます。
ディレクトリ名は、「sitename_measurement_# 」という構文で、測定名と測定場所
を示すものとなっています。
測定や測定セットを 2 回以上実行した場合は、ファイルにもディレクトリにも昇順で
番号が付けられます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 44
Page 53
R&S ZVH 測定ウィザードの操作方法
測定結果の分析
3.1.3 結果の評価
R&S ZVHView ソフトウェアには、結果を評価し、測定レポートをまとめるための機
能が備わっています。ただし、結果の評価を始める前に、結果を PC にダウンロード
する必要があります。
► ボタンをクリックして “Wizard Result Control ” 機能を選択します。
ダウンロードする測定セットを選択するダイアログ・ボックスが開きます。
► ダウンロードする測定セットを選択します。
► ボタンをクリックして各ファイルをコピーします。
結果が使用可能になると、R&S ZVHView で測定レポートの作成をすることができま
す。
► ボタンをクリックして “Report Generator ” を選択します。
測定セットを管理するための機能のダイアログが開きます。
1 データセットのソース・フォルダ
2 データセットのプレビュー
3 レポートに取り込む測定データ
4 レポートの各ページに表示する情報の選択
5 出力形式の選択
6 レポートの保存 /読み込み
レポート・エディタを使用して、測定セット全体、または選択したデータセットのみ
に関する測定レポートを作成することができます。また、測定時に設定されたマーカ
を有効/ 無効にするなど、簡単な操作を実行することもできます。
► レポートに含む結果を追加します。レポート・ペインでチェックマークを設定し
たり、削除したりすることで、レポートに含める結果を選択できます。
► レポート形式を選択します。
► “Save” ボタンをクリックしてレポートを作成します。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 45
Page 54
R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の実行
4 スペクトラム・アナライザ・モード
(R&S ZVH-K1 )
R&S ZVH にファームウェア・オプション R&S ZVH-K1 をインストールすると、ス
ペクトラム測定を実行することができます。この測定モードでは、チャネル・パワー
測定などを実行する機能が使用できます。
4.1 スペクトラム測定の実行
R&S ZVH は、基本的なスペクトラム測定のほかに、さまざまな種類の測定にも対応
します。これらの測定についても、対応するアクセサリと組み合わせることによって、
より高度で複雑な測定作業が可能となります。
4.1.1 連続変調信号のチャネル・パワーの測定
チャネル・パワー測定では、変調信号のパワーを測定します。パワー・メータを使用
した場合は周波数範囲全体で測定を実行しますが、チャネル・パワー測定では特定の
伝送チャネルのパワーを測定します。周波数スペクトラム内の他の信号が結果に現れ
ることはありません。
R&S ZVH では、あるチャネル内のスペクトラムを測定するときに、チャネル帯域幅
よりも狭い分解能帯域幅を使用します。そして、トレース上の結果を積分してチャネ
ルのトータル・パワーを求めます。R&S ZVH では、以下のパラメータを考慮に入れ
ます。
● 表示モード(絶対または相対)
● 検波器
● 分解能帯域幅
このため、得られた結果を熱電対パワー・センサで得られる結果と比較することがで
きます。狭い分解能帯域幅は狭帯域のチャネル・フィルタの働きをして、チャネル外
の放射が結果に影響ことを防ぎます。
► “MEAS” キーを押します。
► “Meas Mode” ソフトキーを押します。
► “Channel Power” メニュー項目を選択します。
チャネル・パワーの測定を開始します。
デフォルトでは、3GPP WCDMA 規格が選択されています。チャネル帯域幅は 2
本の縦線で表示されます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 46
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の実行
チャネル・パワー測定の画面レイアウト
1 規格
2 チャネル帯域幅
3 チャネル・パワーの数値表示
4 チャネル帯域幅のグラフ表示(青色の線)
5 チャネル・パワー測定用のソフトキー・メニュー
4.1.1.1 規格の選択
通信規格に従った測定を実行する場合は、R&S ZVH のメモリに保存されている定義
済みの規格のリストから所望の規格を選択します。リストにない規格に基づいて測定
を実行するために設定を作成することもできます。
► “MEAS” キーを押します。
► “Standard” ソフトキーを押します。
規格を選択するダイアログ・ボックスが開きます。
► リストから規格を選択します。
► “Select” ソフトキーを押して選択を確定します。
選択した規格の設定値が読み込まれます。規格に最適なスパン、分解能帯域幅、
ビデオ帯域幅、掃引時間、検波器が自動的に設定されます。
パラメータを変更したことなどにより、選択した規格に合わなくなった場合は、
規格の表示の前に赤色のドットが表示されます( )。
R&S ZVHView ソフトウェアを使用して規格をユーザ定義し、USB や LAN インタ
フェースを経由して R&S ZVH に転送することができます。R&S ZVH のメモリに保
存できる規格の数は、R&S ZVH に保存している他のデータセットの数によります。
詳細については、2 ページの“ 機器の設定と測定結果の保存および読み込み ” を参照し
てください。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 47
Page 56
R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
最適な基準レベルを決定するため
の測定が実行されます。
スペクトラム測定の実行
4.1.1.2 基準レベルの設定
基準レベルとは、予測される RF 入力のパワー・レベルのことです。基準レベルを設
定するときは、最大基準レベルを超えるパワーの信号を入力して R&S ZVH がオー
バーロード状態にならないように注意してください。
信号帯域幅と比べて狭い分解能帯域幅でパワーを測定するときに、トレースが測定ダ
イアグラム内に入っていても、R&S ZVH がオーバーロード状態になる可能性があり
ます。オーバーロード状態にならないようにするために、ピーク検波器を使用して最
大の分解能帯域幅で測定を実行してください。これによって、トレースが基準レベル
を超えることを防ぎます。
操作を簡単にして、誤測定を防止するために、R&S ZVH には基準レベルを設定する
自動ルーチンが搭載されています。
► “SCALE/AMPT” キーを押します。
► “Level Adjust” ソフトキーを押します。
この測定には、分解能帯域幅 1 MHz 、ビデオ帯域幅 1 MHz 、およびピーク検波
器が適用されます。自動測定の終了後に、最適な基準レベルが設定されます。
4.1.1.3 チャネル帯域幅の設定
チャネル帯域幅とは、パワー測定を実行する周波数範囲のことで、中心周波数の前後
にまたがる範囲として設定します。
► “MEAS” キーを押します。
► “Chan BW” ソフトキーを押します。
チャネル帯域幅を設定する入力フィールドが開きます。
► チャネル帯域幅を入力します。
入力したチャネル帯域幅に対して適切なスパンが設定されます(スパン = 1.2 x
チャネル帯域幅)。これにより、チャネル・パワーの誤測定が回避されます。
設定可能な最小チャネル帯域幅は、833 Hz (スパン = 1 kHz )です。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 48
Page 57
R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の実行
4.1.1.4 スパンの変更
通常は、R&S ZVH で自動設定されるスパンによって最適な結果が得られます。しか
し、測定対象以外の信号成分を検出するために、現在のスパンの外にあるスペクトラ
ムも表示したい場合があります。スパンをチャネル帯域幅の最大 10 倍に拡げ、測定
チャネル外のスペクトラムを表示できるようになります。
► “ FORMAT/SPAN” キーを押します。
デフォルト設定では、“Auto Span” が設定されています。これにより、現在のパ
ワー測定に対して最適なスパンが自動的に設定されます。
► “ Manual Span” ソフトキーを押します。
スパンを定義する入力フィールドが開きます。
► スパンを入力します。
チャネル・パワー測定で設定可能な最大スパンは、チャネル帯域幅の 10 倍です。
これよりスパンを大きくすると、測定対象のチャネルに含まれるトレースのポイ
ント数が不足するため、チャネル・パワーの測定結果の確度が低下します。
► “ Auto Span” ソフトキーを押します。
再び、スパンが自動計算されます。
4.1.1.5 最大チャネル・パワーの測定
信号レベルが大きく変動する場合は、最大ホールド(“Max Hold ” )機能で最大チャネ
ル・パワーを定義することができます。
► “MEAS” キーを押します。
► “Power Display” ソフトキーを押します。
► “Max Hold” メニュー項目を選択します。
パワー表示が “Power” から “Max Power” に切り替わります。
“Max Hold” 機能を無効にして通常のパワー表示に戻る場合は、 “Clear/Write” を有効に
します。
► “Max Hold” 機能を無効にするには、 “Power Display” ソフトキーを押します。
► “Clear/Write” メニュー項目を選択します。
パワー表示が “Power ” に戻ります。
4.1.1.6 パワーの表示単位
パワーには、単位を変更することができます。デフォルトの単位は dBm です。
► “MEAS” キーを押します。
► “Power Unit” ソフトキーを押します。
► サブメニューから単位を選択します。
選択した単位でパワー・レベルが表示されます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 49
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の実行
4.1.2 占有帯域幅の測定
伝送ネットワークを適切に運用するためには、すべての送信機がそれぞれに割り当て
られた帯域幅を遵守することが求められます。占有帯域幅とは、送信機の全パワーの
うち指定された割合が含まれる帯域幅をいいます。
多くの規格では、99% が収まる帯域幅を占有帯域幅と定義しています。そのため、
99% がデフォルト設定となっています。他の割合が必要な場合は、10 ~ 99.9% の
範囲で設定することができます。
チャネル帯域幅を入力した後、最適な結果が得られるように各測定パラメータが自動
的に選択されます。
► “MEAS” キーを押します。
► “Meas Mode” ソフトキーを押します。
測定メニューが開きます。
► “ Occupied BW” メニュー項目を選択します。
占有帯域幅の測定が開始されます。
占有帯域幅は 2 本の縦線で表示されます。
占有帯域幅の画面レイアウト
1 規格
2 占有帯域幅の数値表示
3 チャネル帯域幅
4 パワー割合
5 占有帯域幅のグラフ表示(青色の線)
5 占有帯域幅測定用のソフトキー・メニュー
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 50
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の実行
4.1.2.1 規格の選択
通信規格に従った測定を実行する場合は、R&S ZVH のメモリに保存されている定義
済みの規格のリストから規格を選択します。リストにない規格に基づいて測定を実行
するために設定を作成することもできます。
► “MEAS” キーを押します。
► “Standard” ソフトキーを押します。
規格を選択するダイアログ・ボックスが開きます。
► リストから規格を選択します。
► “Select” ソフトキーを押して選択を確定します。
選択した規格の設定値が読み込まれます。規格に最適なスパン、分解能帯域幅、
ビデオ帯域幅、掃引時間、検波器が自動的に設定されます。
R&S ZVHView ソフトウェアを使用して規格を作成、編集し、USB や LAN インタ
フェースを経由して R&S ZVH に転送することができます。R&S ZVH のメモリに保
存できる規格の数は、R&S ZVH に保存されている他のデータセットの数によります。
詳細については、2 ページの “ 機器の設定と測定結果の保存および読み込み ” を参照
してください。
設定を変更したり、データセットを作成したりする場合には、以下の点に注意してく
ださい。
● スパンとチャネル帯域幅は、常に連動しています。どちらかを変更すると、もう
一方が自動的に調整されます(スパン = 5 x チャネル帯域幅)。
● 分解能帯域幅は、チャネル帯域幅の 1 ~ 4 % となるようにします。これにより、
占有帯域幅を高い確度で測定することができます。
● ビデオ帯域幅は、分解能帯域幅の 3 倍以上にする必要があります。これにより、
ビデオ・フィルタによる信号ピークの圧縮を原因とした不正な結果が回避されま
す。
● できるだけ、RMS 検波器を使用してください。対象の波形に関係なく、常に正し
いパワー測定を行うことができます。
● 掃引時間は、結果が安定するように設定する必要があります。掃引時間を長くす
ると、RMS 検波器の積分時間も長くなり、より安定した測定値が得られます。
4.1.2.2 基準レベルの設定
基準レベルとは、予測される RF 入力のパワー・レベルのことです。基準レベルを設
定するときは、最大基準レベルを超えるパワーの信号を入力して R&S ZVH がオー
バーロード状態にならないように注意してください。
信号帯域幅と比べて狭い分解能帯域幅でパワーを測定するときに、トレースが測定ダ
イアグラム内に入っていても、R&S ZVH がオーバーロード状態になる可能性があり
ます。
オーバーロード状態にならないようにするために、ピーク検波器を使用して最大の分
解能帯域幅で測定を実行してください。これによって、トレースが基準レベルを超え
ることを防ぎます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 51
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の実行
操作を簡単にして、誤測定を防止するために、R&S ZVH には基準レベルを設定する
自動ルーチンが搭載されています。
► “SCALE/AMPT” キーを押します。
► “Level Adjust” ソフトキーを押します。
最適な基準レベルを決定するための測定が実行されます。
この測定には、分解能帯域幅 1 MHz 、ビデオ帯域幅 1 MHz 、およびピーク検波
器が使用されます。自動測定の終了後に、最適な基準レベルが設定されます。
4.1.2.3 チャネル帯域幅の設定
チャネル帯域幅とは、パワー測定を実行する周波数範囲のことで、中心周波数の前後
にまたがる範囲として設定します。
► “MEAS” キーを押します。
► “Chan BW” ソフトキーを押します。
チャネル帯域幅を設定する入力フィールドが開きます。
► チャネル帯域幅を入力します。
入力したチャネル帯域幅に対して適切なスパンが設定されます(スパン = 5 x
チャネル帯域幅)。これにより、チャネル・パワーの誤測定が回避されます。
設定可能な最小チャネル帯域幅は、2 kHz (スパン = 1 kHz )です。
4.1.2.4 占有帯域幅の割合の定義
デフォルト設定では、占有帯域幅内のパワー割合は 99% です。これはほとんどの規
格で要求される値です。他のパワー割合を規定する規格を測定する場合は、デフォル
ト値を変更することができます。
► “MEAS” キーを押します。
► “% Power BW” ソフトキーを押します。
パワー割合を定義するための入力フィールドが開きます。
► パワー割合を入力します。
ここで入力する値は、チャネル帯域幅内に必要なパワーの割合(トータル・パ
ワーの割合)であり、スパン全体でのパワーを基準とした相対値です。
これにより、占有帯域幅がトレース・ウィンドウ内にグラフ表示されるほか、そ
の上部に数値でも表示されます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 52
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の実行
4.1.2.5 スパンの変更
通常は、R&S ZVH で自動設定されるスパンによって最適な結果が得られます。しか
し、測定以外の信号成分を検出するために、現在のスパンの外にあるスペクトラムも
表示したい場合があります。スパンをチャネル帯域幅の最大 10 倍に拡げ、測定チャ
ネル外のスペクトラムを表示できるようになります。
► “ FORMAT/SPAN” キーを押します。
デフォルト設定では、“Auto Span” が有効になっています。これにより、現在の
パワー測定に対して最適なスパンが自動的に設定されます。
► “ Manual Span” ソフトキーを押します。
スパンを定義する入力フィールドが開きます。R&S ZVH
► スパンを入力します。
チャネル・パワー測定で設定可能な最大スパンは、チャネル帯域幅の 10 倍です。
これよりスパンを大きくすると、測定対象のチャネルに含まれるトレースのポイ
ント数が不足するため、チャネル・パワーの測定結果の確度が低下します。
► “ Auto Span” ソフトキーを押します。
再び、スパンが自動計算されます。
4.1.3 TDMA 信号のパワー測定
GSM などの TDMA (時分割多元接続)方式は、複数のユーザが 1 つのチャネルを
共有する場合に使用されます。各ユーザには一定時間またはタイムスロットが割り当
てられます。TDMA パワー測定では、これらのタイムスロットの 1 つのパワーを測
定します。
TDMA パワー測定は、時間軸測定です(スパン = 0 Hz )。パワー測定を外部トリガ
またはビデオ・トリガで開始し、パワー測定時間を指定することができます。
時間軸で不適切なパワー測定を実施しないように、信号全体が選択した分解能帯域幅
内にあるようにします。分解能帯域幅が狭すぎる場合には、表示パワーが実際のパ
ワーより低くなる可能性があります。
► “MEAS” キーを押します。
► “Meas Mode” ソフトキーを押します。
測定メニューが開きます。
► “ TDMA Power” メニュー項目を選択します。
TDMA パワーの測定が開始されます。
測定範囲は 2 本の縦線で定義されます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 53
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の実行
TDMA パワー測定の画面レイアウト
1 規格
2 TDMA パワー
3 測定限界
4 トリガ遅延
5 トリガ・レベル
6 測定時間
7 TDMA パワー測定用のソフトキー・メニュー
4.1.3.1 規格の選択
通信規格に従った測定を実行する場合は、R&S ZVH のメモリに保存されている定義
済みの規格のリストから規格を選択します。デフォルトでは、GSM/EDGE 規格が選
択されています。リストにない規格に基づいて測定を実行するために設定を作成する
こともできます。
► “MEAS” キーを押します。
► “Standard” ソフトキーを押します。
規格を選択するダイアログ・ボックスが開きます。
► リストから規格を選択します。
► “Select” ソフトキーを押して選択を確定します。
選択した規格の設定値が読み込まれます。選択した規格に対して最適な設定内容
が自動的に設定されます。
R&S ZVHView ソフトウェアを使用して規格をユーザ定義し、USB や LAN インタ
フェースを経由して R&S ZVH に転送することができます。R&S ZVH のメモリに保
存できる規格の数は、R&S ZVH に保存されている他のデータセットの数により異な
ります。詳細については、2 ページの “ 機器の設定と測定結果の保存および読み込
み” を参照してください。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 54
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の実行
4.1.3.2 バースト長の設定
バースト長とは、R&S ZVH で測定を実施する測定時間のことです。掃引時間以下の
値を選択することができます。
► “MEAS” キーを押します。
► “Burst Length” ソフトキーを押します。
バースト長を定義するための入力フィールドが開きます。
► バースト長を入力します。
入力した時間にわたって測定を実行します。
掃引時間を超える値を入力した場合は、バースト長が掃引時間と同じ時間に設定
されます。バースト長をさらに長く設定する場合には、まず掃引時間を長くする
必要があります。
最小バースト長は 1 トレース・ピクセルに相当する時間です(= 掃引時間/631 )。
4.1.3.3 基準レベルの設定
基準レベルとは、予測される RF 入力のパワー・レベルのことです。基準レベルを設
定するときは、最大基準レベルを超えるパワーの信号を入力して R&S ZVH がオー
バーロード状態にならないように注意してください。
R&S ZVH の分解能帯域幅は A/D コンバータの後段にデジタルで実装されているため、
選択した分解能帯域幅によっては、A/D コンバータでの信号レベルがトレースで示す
レベルより高くなっている可能性があります。
A/D コンバータがオーバーロード状態になるのを防止するために、分解能帯域幅とビ
デオ帯域幅を最大にし、ピーク検波器で信号を測定する必要があります。そのときの
最大トレースにより、最適基準レベルが決定されます。
操作を簡単にして、誤測定を防止するために、R&S ZVH には基準レベルを設定する
自動ルーチンが搭載されています。
► “SCALE/AMPT” キーを押します。
► “Level Adjust” ソフトキーを押します。
最適な基準レベルを決定するための測定が実行されます。
この測定には、分解能帯域幅 3 MHz 、ビデオ帯域幅 3 MHz 、およびピーク検波
器が使用されます。自動測定の終了後に、最適な基準レベルが設定されます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 55
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の実行
4.1.3.4 トリガの使用
バーストを測定するときにトリガをかけます。
トリガがアクティブである場合、デフォルトで TDMA 測定用のビデオ・トリガが適
用されます。ビデオ・トリガのレベルは縦軸の範囲の 50% に設定されていますが、
変更することができます。つまり、バーストの立ち上がりエッジがこの 50% ライン
を超えると、測定がトリガされます。
被測定物にトリガ機能が備わっている場合、外部トリガを使用して測定をトリガする
こともできます。
► 被測定物のトリガ出力を R&S ZVH のトリガ入力に接続します。
► “SWEEP/BW” キーを押します。
► “Trigger” ソフトキーを押します。
► “External Rise” または “External Fall” のメニュー項目(立ち上がり /立ち下がり
エッジ)を選択します。
トリガがアクティブになり、測定結果が表示されます。
ディスプレイ上にバーストの一部が見えない場合があります。これをバースト全体を
見えるようにするには、トリガ遅延を設定します。
► “Trigger” ソフトキーを押します。
► “Trigger Delay” メニュー項目を選択します。
トリガ遅延を定義する入力フィールドが開きます。
► トリガ遅延を調整し、測定範囲を表す 2 本の縦線の内側にバーストが見えるよう
にします。
4.1.4 隣接チャネル漏洩比(ACLR )の測定
隣接チャネル漏洩比(Adjacent Channel Leakage Ratio: ACLR )の測定は、2 つ以上
の伝送チャネルでパワーを測定し、一方の伝送チャネルの隣接チャネルまたは代替
チャネルのパワーも評価する方法です。ACLR 測定は、無線通信規格ごとに定められ
たチャネル設定に従って実行されます。
► “MEAS” キーを押します。
► “Meas Mode” ソフトキーを押します。
測定メニューが開きます。
► “ ACLR” メニュー項目を選択します。
隣接チャネル漏洩比の測定を開始します。
ACLR 測定はチャネル・パワー測定と同様に、チャネル帯域幅より狭い分解能帯域幅
を使用してチャネル内のスペクトラムを測定します。ACLR 測定は、チャネル帯域幅
のほかに、チャネル間隔、隣接チャネルの帯域幅、隣接チャネル間隔によっても定義
されます。R&S ZVH では、最大で 12 本の搬送チャネル、および搬送チャネルの左
右いずれかの 12 本の隣接チャネルでの測定に対応しています。2 本以上の搬送チャ
ネルまたは隣接チャネルを測定するときは、マーカ・リストの下に各チャネルのパ
ワーが一覧表示されます。チャネルは、赤色(伝送チャネル)または緑色(隣接チャ
ネル)の縦線で示されます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 56
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の実行
ACLR 測定の画面レイアウト
1 規格
2 マーカ情報
3 リミット・チェック情報
4 チャネル情報
5 伝送チャネル(赤色の線)
6 隣接チャネル(緑色の線)
7 代替チャネル(緑色の線)
8 マーカ(青色の線)
9 ACLR 測定のソフトキー・メニュー
定義済みの規格は、チャネル・パワー測定と同じです( 3GPP WCDMA、 cdmaOne、
CDMA2000 1x)リストにない規格について、設定の定義を R&S ZVH 本体で行うこ
とができます。また、R&S ZVHView ソフトウェアを使用して定義、管理することも
可能です。
設定内容のカスタマイズに際しては、有効かつ正確な測定結果が得られるよう、以下
の点を考慮してください。
● 基準レベル
信号帯域幅に比べて狭い分解能帯域幅でパワーを測定するため、R&S ZVH が
オーバーロード状態にならないように注意してください。チャネル・パワー測定
時と同様に、“Level Adjust” ソフトキーを使用して基準レベルを最適なレベルに自
動設定してください。
● スパンの設定
有効な結果を得るためには、周波数スパンは搬送チャネルと隣接チャネルをカ
バーし、かつ測定マージンとして 10% を確保しておく必要があります。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 57
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
周波数スパンの設定
周波数スパンが測定対象のチャネル帯域幅(または隣接チャネル帯域幅)に対して大
きすぎると、トレース上で利用できるチャネル当たりのポイント数がわずかになって
しまいます。そのため、使用しているチャネル・フィルタに対する波形計算の精度が
低下し、測定確度に悪影響を及ぼします。したがって、周波数スパンの選択に際して
は、上記の点を考慮することを強く推奨します。
スペクトラム測定の実行
“ Auto Span ” 機能によりスパンが自動的に計算される場合は、以下のようにして
スパンが算出されます。
(伝送チャネル数
定マージン
ここで、測定マージンは、チャネル間隔とチャネル帯域幅の合計の約 10% です。
● 分解能帯域幅の設定
分解能帯域幅(resoluton bandwidth: RBW )は、適切な測定速度とするためにも、
またチャネル外のスペクトラム成分を抑圧するためにも、広すぎたり狭すぎたり
しないことが必要です。目安として、チャネル帯域幅の 1 ~ 4 % 程度が推奨さ
れます。
測定対象チャネルの内側および周囲のスペクトラムの特性が平坦であれば、広め
の分解能帯域幅を選択することができます。例えば、cdmaOne 規格で隣接チャ
ネル帯域幅が 30 kHz という規格設定においては、分解能帯域幅として 30 kHz
を使用します。この場合、隣接チャネル近辺のスペクトラムで通常はレベルが一
定であるため、適正な結果が得られます。NADC/IS136 規格の場合、このように
はなりません。つまり、送信信号のスペクトラムが隣接チャネルに漏れ出すため、
分解能帯域幅が広すぎると帯域幅の狭すぎるチャネル・フィルタが選択されるこ
とになります。そのため、隣接チャネル・パワーの測定値が高くなりすぎます。
“ Auto RBW” 機能により RBW が自動的に計算される場合は、以下のようにして
RBW が算出されます。
RBW ≦
この場合、使用可能な RBW ステップ(1 、3 )で得られる最大の分解能帯域幅が
選択されます。
チャネル帯域幅の
- 1)x
伝送チャネル間隔
1/40
+ 2 x
伝送チャネル帯域幅
+
測
● ビデオ帯域幅の設定
適正なパワー測定値を得るためには、ビデオ信号の帯域幅が制限されてはなりま
せん。対数ビデオ信号の帯域幅を制限すると、信号が平均化されてしまい、パ
ワーの指示値が低すぎる結果になります(ビデオ帯域幅が非常に低いときで -
2.51 dB )。そのため、ビデオ帯域幅(video bandwidth: VBW )は、分解能帯域幅
の 3 倍以上にする必要があります。
“ Auto VBW” 機能により VBW が自動的に計算される場合は、以下のようにして
VBW が算出されます。
VBW ≧ 3 x RBW
この場合、使用可能なステップ幅で可能な最小の VBW が選択されます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 58
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
N
i
i RMS
s
N
P
1
2
1
スペクトラム測定の実行
● 検波器の選択
RMS 検波器を使用するのが最も適しています。測定する信号の特性に関係なく、
RMS 検波器で正確にパワー測定を行うことができます。 IF 包絡線の全体を使用
し、測定ポイントごとにパワーが計算されます。選択した分解能帯域幅の 5 倍以
上のサンプリング周波数で、IF 包絡線がデジタル化されます。そのサンプル値を
もとに、測定ポイントごとに以下の式でパワーが計算されます。
ここで
si = A/D コンバータの出力におけるデジタル化線形ビデオ電圧
N = 1 測定ポイント当たりの A/D コンバータ値の数
P
= 測定ポイントで示されるパワー
RMS
パワーの計算が終了すると、パワーの単位がデシベルに変換され、その値が測定
ポイントとして表示されます。
原理的には、サンプル検波器も使用可能です。サンプル検波器では、チャネル内
のパワーを計算する測定ポイントの数が限られるため、結果がやや不安定になり
ます。
4.1.4.1 規格の選択
通信規格に従った測定を実行する場合は、R&S ZVH のメモリに保存されている定義
済みの規格のリストから規格を選択します。これらの定義済みの規格は、最良の結果
が得られるように設定されています。リストにない企画に基づいた測定を実行するた
めに、新しい設定を作成することもできます。
► “MEAS” キーを押します。
► “Standard” ソフトキーを押します。
規格を選択するダイアログ・ボックスが開きます。
► リストから規格を選択します。
► “Select” ソフトキーを押して選択を確定します。
選択した規格の設定値が読み込まれます。規格に最適なスパン、分解能帯域幅、
ビデオ帯域幅、掃引時間、検波器が自動的に設定されます。
R&S ZVHView ソフトウェアを使用して規格をユーザ定義し、USB や LAN インタ
フェースを経由して R&S ZVH に転送することができます。R&S ZVH のメモリに保
存できる規格の数は、R&S ZVH に保存されている他のデータセットの数により異な
ります。詳細については、以下を参照してください。
● “ 機器の設定と測定結果の保存および読み込み” (2 ページ)
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 59
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
► “MEAS” キーを押します。
► “Channel BW” ソフトキーを押し
ます。
すべてのチャネルについてチャネ
ル帯域幅を指定するダイアログ・
ボックスが開きます。
► 帯域幅を変更するチャネルを選択
します。
► “ ENTER ” キーを押して入力を有
効にします。
スペクトラム測定の実行
4.1.4.2 測定の設定
R&S ZVHView ソフトウェアで規格を作成、編集する機能のほかに、R&S ZVH 本体
で測定設定を定義する機能も備えています。
伝送チャネル数の設定
► “MEAS” キーを押します。
► “Channel Settings” ソフトキーを押します。
► “Tx Channels” メニュー項目を選択します。
伝送チャネル数を定義する入力フィールドが開きます。
► 測定に必要となる伝送チャネル数を入力します。
隣接チャネル数の設定
► “Channel Settings” ソフトキーを押します。
► “Adj Channels” メニュー項目を選択します。
隣接チャネル数を定義する入力フィールドが開きます。
► 測定に必要となる伝送(代替)チャネル数を入力します。
トレース・ダイアグラムに伝送チャネルの境界が赤色で表示され、隣接チャネル
や代替チャネルの境界は緑色で表示されます。
チャネル帯域幅の設定
チャネル帯域幅とは、パワー測定を実行する周波数範囲のことで、中心周波数の前後
にまたがる範囲として設定します。
► チャネル帯域幅を入力します。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 60
入力したチャネル帯域幅に対して適切なスパンが設定されます。これにより、
チャネル・パワーの誤測定が回避されます。
設定可能な最小チャネル帯域幅は、833 Hz (スパン = 1 kHz )です。
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
チャネル間隔の特殊の定義について
無線通信規格の中には、CDMA2000 DS/MC1/MC3 または IS95 B/C 、IS97 B/C 、
IS98 B/C などのように、チャネル間隔の定義が異なるものがあります。これらの規格
では、チャネル間隔は、伝送チャネルの中心から一番近い隣接チャネルの境界までの
差分と定義されています。R&S ZVH ではこのような特殊の定義を考慮することな
く、常に、あるチャネルの中心からその隣のチャネルの中心までの距離をチャネル間
隔と見なします。
► “ Channel Spacing ” メニュー項目
を選択します。
すべての伝送チャネルと隣接/ 代替
チャネルについて、チャネル間隔
を定義するダイアログ・ボックス
が開きます。
► 間隔を変更するチャネルを選択し
ます。
► “ ENTER ” キーを押して入力を有
効にします。
スペクトラム測定の実行
チャネル間隔の設定
R&S ZVH の場合、チャネル間隔とは、伝送チャネルの中心周波数と次の伝送チャネ
ルの中心周波数の差分、または伝送チャネルの中心周波数と隣接チャネルの中心周波
数の差分と定義されます。
► “MEAS” キーを押します。
► “Channel Settings” ソフトキーを押します。
► 間隔を入力します。
その後の測定では、新しい間隔値が適用されます。
マルチキャリア信号で測定を実行するときは、伝送(Tx )チャネルの相互間隔を定義
することができます。デフォルトでは、システム内のすべての Tx チャネルが等間隔
に配置されているものと見なします。したがって、最初の 2 本の Tx チャネルに対
して入力した間隔が、他のすべての Tx チャネルにも自動的に適用されます。
Tx チャネルごとにチャネル間隔が異なるシステムで測定する場合は、各 Tx チャネ
ルに対して個別のチャネル間隔を入力フィールドに入力して設定することができます。
チャネルが等間隔でない場合、中心周波数によるチャネル配置は以下のようになりま
す。
● Tx チャネル数が奇数の場合
中央の Tx チャネルの中心が中心周波数に配置されます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 61
● Tx チャネル数が偶数の場合
中央にある 2 本の Tx チャネルを使用し、そのチャネル間の周波数が計算されま
す。この周波数が、中心周波数に配置されます。
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の実行
シングルキャリア測定の場合にも、隣接チャネルまたは代替チャネルの間隔を使用で
きます。R&S ZVH では、最大 12 本の隣接チャネルで測定を実行することができま
す。通常、Tx チャネルから 1 番目の隣接チャネルが、隣接チャネル(Adjacent
Channel: ADJ )と呼ばれます。その他は、代替チャネル(Alternate Channel: ALT )
と呼ばれます(ALT1 ~ ALT11 )。
デフォルトでは、隣接するチャネルの間隔は同一と見なしています。その場合は、1
番目の間隔値を入力するだけで済みます。その値から、以降の隣接チャネルがすべて
計算されます。2 番目以降のチャネルの間隔を変更した場合は、それ以降のチャネル
間隔のみが更新されます(それ以前の間隔は変更されません)。
例えば、1 番目の隣接チャネル間隔(ADJ)を 20 kHz に設定すると、以降の間隔は
40 kHz(ALT1)、60 kHz(ALT2)、80 kHz(ALT3)、100 kHz(ALT4)、120 kHz
(ALT5)... となります。
ここで、3 番目の代替チャネル(ALT3)の間隔を 100 kHzに変更した場合、以降の
代替チャネルもそれに従って調整され、125 kHz(ALT4)、150 kHz(ALT5)... とな
ります。
4.1.4.3 測定結果のノーマライズ
デフォルト設定では、各チャネルや隣接チャネルのパワーは dBm 単位で表示されま
す。これに対し、信号/ ノイズ・パワー密度を測定するためや S/N 比を求めるために、
信号のパワー密度で表示することも可能です。
► “MEAS” キーを押します。
► “Channel Settings” ソフトキーを押します。
► “Channel Pwr/Hz” メニュー項目を選択します。
ノーマライズ機能が有効になり、単位が dBm から dBm/Hz に切り替わります。
dBm/Hz 単位で表されるチャネル・パワー密度は、 1 Hz の帯域幅の内側にあるパ
ワーに相当し、以下のように計算されます。
チャネル・パワー密度
4.1.4.4 絶対値と相対値での結果表示
結果の表示方法について、隣接チャネルの絶対パワーを表示するか、伝送チャネルの
1 つに対する相対パワーを表示するかを、設定することができます。
► “MEAS” キーを押します。
► “Power Display” ソフトキーを押します。
► 絶対値で結果を表示するには、 “Absolute” メニュー項目を選択します。また、伝
送チャネルの 1 つに対する相対値で結果を表示するには、“Relative” メニュー項
目を選択します。
=
チャネル・パワー
- log10
(チャネル帯域幅)
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 62
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
► “Channel Settings” ソフトキーを
押します。
► “Channel Limit Relative” メニュー
項目を選択します。
各々の隣接チャネルの相対リミッ
トを定義するダイアログ・ボック
スが開きます。
► リミットを定義するチャネルを選
択します。
► “ Select ” ソフトキーを押して入力
を有効にします。
スペクトラム測定の実行
4.1.4.5 基準チャネルの選択
隣接チャネルの相対パワー値を求めるときに、特定の伝送チャネルを基準チャネルと
して設定することができます。
► “MEAS” キーを押します。
► “Channel Settings” ソフトキーを押します。
► “ACLR Ref Setting” メニュー項目を選択します。
基準チャネルを選択するサブメニューが開きます。
► 基準チャネルの決定方法を選択します。
以下の方法が使用できます。
- “ Tx Channel”
基準チャネルとして特定の伝送チャネルを選択します。そのチャネル番号を
入力して選択します。
- “ Min Power Tx Channel”
最小のパワー・レベルのチャネルが基準チャネルになります。
- “ Max Power Tx Channel”
最大のパワー・レベルのチャネルが基準チャネルになります。
- “ Lowest Highest Channel”
左端の伝送チャネルが、それより低い隣接チャネルに対する基準チャネルに
なります。右端の伝送チャネルが、それより高い隣接チャネルに対する基準
チャネルになります。
4.1.4.6 リミットの設定とチェック
ACLR 測定モードでのリミット・チェックは、リミット・ラインの処理とは独立して
います。各々の隣接チャネルについてリミットを定義することができます。隣接チャ
ネルのリミットは絶対値、相対値のいずれでも設定できます。
相対リミットの定義
► “ MEAS” キーを押します。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 63
Page 72
R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の実行
チャネルが緑色になり、最初の列のチェック・ボックスが選択された状態になり
ます。
► リミット値を入力します。
チェック・フラグが自動的に有効になり、以降のリミット・チェックにリミット
値が組み込まれます。
► 特定のチャネルについてリミット・チェックを無効にするには、ロータリ・ノブ
またはカーソル・キーでそのチャネルにカーソルを移動し、“Select” ソフトキー
を押してチャネルの選択を解除します。
絶対リミットの定義
► “Channel Settings” ソフトキーを押します。
► “Channel Limit Absolute” メニュー項目を選択します。
各々の隣接チャネルの絶対リミットを定義するダイアログ・ボックスが開きます。
► 絶対リミットを定義する手順は、相対リミットを定義する場合と同様です。
リミット・チェックの実行
► “Channel Settings” ソフトキーを押します。
► “Check Channel Limits” メニュー項目を選択します。
トレースの上の表に、リミット・チェックの結果が表示されます。リミット・
チェックで不合格となった結果については、赤色になり、パワー・レベルの前に
アスタリスク(* )が付きます。
4.1.5 スペクトラム・エミッション・マスクの測定
スペクトラム・エミッション・マスク(Spectrum Emission Mask: SEM )測定は、信
号のスプリアス・エミッションまたは相互変調積を検出する方法です。SEM 測定を
実行するときに、R&S ZVH では信号をスペクトラム・マスクで照合し、信号が特定
の規格に適合しているかどうかを調べます。そのため、R&S ZVH には各種の通信規
格に対応するスペクトラム・エミッション・マスクが、あらかじめ定義されています。
R&S ZVHView ソフトウェアで独自のスペクトラム・マスクをユーザ定義し、定義済
み周波数範囲とは別の周波数範囲で測定することができます。スペクトラム・エミッ
ション・マスクを定義する方法については、R&S ZVHView のマニュアルを参照して
ください。
► “MEAS” キーを押します。
► “Meas Mode” ソフトキーを押します。
► “Spectrum Emission Mask” メニュー項目を選択します。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 64
測定メニューが開きます。
スペクトラム・エミッション・マスクの測定を開始します。
Page 73
R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の実行
なお、実際の測定の周波数範囲は、R&S ZVH に設定した下限周波数と上限周波数に
より異なります。したがって、適正な測定結果が得られるのは、SEM の周波数範囲
が R&S ZVH の現在のスパン内にある場合に限られます。
SEM 測定の画面レイアウト
1 規格
2 マーカ情報
3 SEM リスト
4 リミット・チェック結果
5 スペクトラム・エミッション・マスク(赤色の線)
6 トレース(黄色の線)
7 マーカ(青色の線)
8 SEM 測定のソフトキー・メニュー
4.1.5.1 規格の選択
通信規格に従った測定を実行する場合は、R&S ZVH のメモリに保存されている定義
済みの規格のリストから規格を選択します。リストにない規格に基づいて測定を実行
するために設定を作成することもできます。
► “MEAS” キーを押します。
► “Standard” ソフトキーを押します。
規格を選択するダイアログ・ボックスが開きます。
► リストから規格を選択します。
► “Select” ソフトキーを押して選択を確定します。
選択した規格の設定値が読み込まれます。規格に最適なスパン、分解能帯域幅、
ビデオ帯域幅、掃引時間、検波器が自動的に設定されます。
R&S ZVHView ソフトウェアを使用して規格をユーザ定義し、USB や LAN インタ
フェースを経由して R&S ZVH に転送することができます。R&S ZVH のメモリに保
存できる規格の数は、R&S ZVH に保存されている他のデータセットの数により異な
ります。詳細については、2 ページの “ 機器の設定と測定結果の保存および読み込
み” を参照してください。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 65
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
► “ View List ” ソフトキーを押しま
す。
トレース・ダイアグラムの上にリ
ストが表示されます。
スペクトラム測定の実行
4.1.5.2 測定の設定の最適化
規格を選択して R&S ZVH に信号を入力した後に、R&S ZVH がオーバーロード状態
にならないように測定の設定を最適化することができます。
► “ Adjust Settings” ソフトキーを押します。
最適な基準レベルとスパンを決定するための測定を実行します。
4.1.5.3 テーブルでの結果表示
測定結果を数値形式で表示するためのテーブルを追加することができます。
► “ MEAS” キーを押します。
リストに 5 項目以上が記録されている場合は、ロータリ・ノブまたはカーソル・
キーでリストをスクロールしてその他の結果を見ることができます。なお、スク
ロールできるのは、アクティブな入力フィールドがない場合に限られます。
リストには次の情報が表示されます。
● Tx Power
伝送チャネルのパワー・レベル。
● Tx Bw
伝送チャネルの帯域幅。
● PASS/FAIL 情報
信号がスペクトラム・マスクの範囲内なら 、範囲外なら と表
示されます。
● Range [Hz]
周波数範囲。定義されたそれぞれの周波数範囲について、1 番目の数字は下限周
波数、2 番目の数字は上限周波数を示します。数字の後ろの文字は単位を表して
います(k = kHz 、M = MHz 、G = GHz )。
● RBW [Hz]
周波数範囲を測定した分解能帯域幅。
● Freq [Hz]
● Power Abs
周波数範囲内の絶対ピーク・パワー。
● Power Rel
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 66
基準チャネルのチャネル・パワーを基準とした相対ピーク・パワー。
Page 75
R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の実行
● Δ Limit
周波数範囲内のリミット・ラインからトレースまでの距離。負の値またはゼロは、
SEM リミット・テストに合格したことを示し、正の値はリミット・テストに不合
格であることを示します。
4.1.6 高調波歪みの測定
高調波歪み測定を実行すると、被測定物の高調波を簡単に識別することができます。
この測定モードでは、高調波の画像表示と全高調波歪み(Total Harmonic Distortion:
THD )の計算結果が表示されます。
高調波歪み測定は、周波数掃引モード(スパン > 0)とゼロスパン・モード(スパン
= 0)で実行することができます。測定が開始されると、R&S ZVH は設定した周波数
範囲内で信号の第 1 高調波(=最大信号)を探します。次に、すべての高調波が見え
るように周波数軸を調整します。ゼロスパン・モードでは、中心周波数は変わりませ
ん。
► “MEAS” キーを押します。
► “Meas Mode” ソフトキーを押します。
► “Harmonic Distortion” メニュー項目を選択します。
高調波歪みの測定を開始します。
高調波歪み測定を選択すると、すぐに高調波のサーチが始まります。測定では、設定
した数の高調波(デフォルト = 2 )が画面に表示されるように自動的に設定を調整し
ます。
高調波歪み測定の画面レイアウト
1 高調波リスト
2 全高調波歪み( %)
3 全高調波歪み( dB)
4 トレース
5 高調波を示すマーカ(青色の線)
6 高調波歪み測定のソフトキー・メニュー
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 67
Page 76
R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の実行
4.1.6.1 高調波の数の定義
デフォルトでは、信号と第 1 高調波が表示されます。各高調波とも、マーカが付いて
表示されます(上の例では M1 と M2 )。なお、設定されているマーカはすべて、高
調波の絶対周波数を示すノーマル・マーカです。
同時に、全高調波歪み(THD )の値が計算され、その結果がトレース・ダイアグラム
の上のボックスに表示されます。この値は % と dB の両方の単位で表示されます。
2 つ以上の高調波を見たい場合は、最大で 6 つまで表示することができます。
► “MEAS” キーを押します。
► “Harmonics” ソフトキーを押します。
► 表示する高調波の数を入力します。
4.1.6.2 高調波の表示の最適化
他の高調波が表示範囲から外れている場合でも、それらの高調波にはマーカが配置さ
れています。
► “MEAS” キーを押します。
► “Adjust Settings” ソフトキーを押します。
測定を実行し、すべての高調波が表示されるように、最適な基準レベル、周波数、
スパンを決定します。
4.1.6.3 高調波リストの起動
高調波の正確な周波数を確認したい場合は、各高調波(マーカ)の周波数値が示され
たマーカ・リストを起動することができます。
► “MKR” キーを押します。
► “View List” ソフトキーを押します。
各高調波の値を一覧にしたマーカ・リストが表示されます。
4.1.7 振幅変調度の測定
振幅変調度測定では、振幅変調された信号を解析し、測定結果から信号の変調度を計
算します。なお、この測定は振幅変調信号を入力した場合にのみ正常に機能します。
► “MEAS” キーを押します。
► “Meas Mode” ソフトキーを押します。
測定メニューが開きます。
► “ AM Modulation Depth” メニュー項目を選択します。
振幅変調度の測定を開始します。
測定を開始した後、トレースに 3 つのマーカが配置されます。1 番目のマーカは、
ピーク・パワー・レベルに配置されます。この位置は、搬送波のレベルと見なされま
す。2 番目と 3 番目のマーカは、デルタ・マーカです。これらのマーカは、搬送波
の左右にあるピーク値に対称的に配置されます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 68
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の実行
デフォルトでは、デルタ・マーカ 2 が編集対象となっています。このデルタ・マーカ
の位置を移動すると、もう一方のデルタ・マーカもノーマル・マーカを基準に同じ距
離だけ移動します。このような調整が行われるのは、デルタ・マーカ 2 (D2 )を移動
した場合のみです。デルタ・マーカ 3 (D3 )を移動したときは、D3 のみが再配置さ
れます。
各マーカの値から、振幅変調度が計算されます。振幅変調度とは、基準マーカ位置の
パワー値とデルタ・マーカ位置のパワー値との比率です。両側の振幅変調側波帯のパ
ワーが同じでないときは、その平均値が使用されます。
振幅変調搬送波を見つけられない場合は、 というメッセー
ジが表示されます。
振幅変調度測定の画面レイアウト
1 マーカ・リスト
2 変調度
3 トレース
4 しきい値ライン
5 マーカ(青色の線)
6 振幅変調度測定のソフトキー・メニュー
4.1.7.1 しきい値の設定
信号に必要な最低パワー・レベルとして、しきい値を設定することができます。信号
のパワーがしきい値より低いとマーカが設定されないため、変調度は計算されません。
► “MEAS” キーを押します。
► “Threshold” ソフトキーを押します。
しきい値を設定するための入力フィールドが開きます。
► しきい値を入力します。
しきい値は、ダイアグラム・エリアに青色の横線として表されます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 69
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の実行
4.1.7.2 設定の最適化
適切な結果を得るために、R&S ZVH に搭載している自動調整ルーチンを使用するこ
とができます。
► “MEAS” キーを押します。
► “Adjust Settings” ソフトキーを押します。
掃引が実行され、3 つのマーカに対してピーク・サーチのシーケンスが繰り返さ
れます。
4.1.7.3 マーカ・リストの起動
搬送波とその側波帯の正確な周波数を確認したい場合は、各マーカの周波数値が示さ
れたマーカ・リストを起動することができます。
► “MKR” キーを押します。
► “View List” ソフトキーを押します。
搬送波と側波帯の値を一覧にしたマーカ・リストが表示されます。
4.1.8 スペクトログラム表示の操作(R&S ZVH-K14 )
オプション R&S ZVH-K14 を使用すると、測定結果をスペクトログラムで表示するこ
とができます。
スペクトログラム表示には、信号のスペクトラム密度が周波数軸と経時変化の両方で
同時に示されます。
他の結果表示と同様に、横軸は周波数スパンを表します。縦軸は、時間を表します。
スペクトログラム内の時間は、上から下に時系列に進みます。すなわち、ダイアグラ
ムの上端が現在の値になります。すべてのパワー・レベルに異なる色をマップして、
各周波数の振幅を 3 次元的に表しています。したがって、結果は 2 次元のダイアグ
ラムとなっています。
測定されたパワー・レベルに割り当てられる色は、以下によります。
● 選択したカラー・テーブル
● スペクトログラムの基準レベル
● スペクトログラムのレベル範囲
スペクトログラムは高さが各 1 ピクセルの横線で構成されていますが、これをフレー
ムと呼びます。デフォルト状態では、1 回の掃引が終了するごとに 1 つのフレーム
がスペクトログラムに追加されます。つまり、各フレーム内のデータ量は掃引時間に
よって決まります。R&S ZVH ではスペクトログラムは上から下に進み、古くなった
タイム・ラインは 1 ポジションずつ下がっていくため、現在のフレームは常にダイア
グラムの上端にあります。このため、一連のフレームは時系列に並んでいます。
► “MEAS” キーを押します。
► “Meas Mode” ソフトキーを押します。
► “Spectrogram” メニュー項目を選択します。
スペクトログラムが表示されます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 70
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の実行
スペクトログラムの画面レイアウト
1 結果表示
2 マーカとタイム・ラインの情報
3 スペクトラム結果表示(オプション)
4 マーカ /デルタ・マーカ(縦線)
5 スペクトログラム
6 タイム・ライン T1 と T2(横線)
7 スクロール方向
8 スペクトログラムのソフトキー・メニュー
デフォルトでは、スペクトログラム表示は 2 つのウィンドウで構成されています。上
側のウィンドウでは、測定したスペクトラムをトレース・ラインとして表示します。
下側のウィンドウでは、測定結果をスペクトログラムで表示します。スペクトログラ
ム内の時系列情報は、R&S ZVH の内蔵メモリによる制約を受けます。測定したフ
レームやスペクトラムは、1024 個まで R&S ZVH の内蔵メモリに保存されます。表
示の高さが限られているため、データの一部が見えなくなります。
4.1.8.1 スペクトログラムの更新制御
連続掃引モードの場合は、スペクトログラム・モードに入ると、すぐにスペクトログ
ラム表示が開始されます。
シングル掃引モードの場合は、次のシングル掃引を開始するまではスペクトログラム
にラインが追加されません。
連続掃引モードのときは、スペクトログラムの更新を停止することができます。
► “MEAS” キーを押します。
► “Hold” ソフトキーを押します。
連続掃引モードのときは、スペクトラム表示での測定が停止するわけではありま
せん。上側のウィンドウのトレースは、引き続き更新されます。スペクトログラ
ムの表示だけが停止します。
► “ Hold” ソフトキーをもう一度押します。
スペクトログラムの更新が再開されます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 71
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の実行
スペクトログラム結果表示には、測定の設定を変更するまで結果が読み込まれます。
設定を変更すると、すぐにスペクトログラムがクリアされ、再び読み込みが始まりま
す。
スペクトログラムをマニュアル操作でクリアすることも可能です。
► “MEAS” キーを押します。
► “Clear” ソフトキーを押します。
4.1.8.2 信号履歴の閲覧
スペクトログラムの表示領域から外れた測定結果のヒストリ部分を見る方法は 2 種類
あります。
► “MEAS” キーを押します。
► “Spectrogram Settings” ソフトキーを押します。
► “[ ] Spectrogram Full Screen” メニュー項目を選択します。
これで、画面のダイアグラム・エリア全体がスペクトログラムに使用されます。
スペクトログラム内のライン数、すなわち表示される期間が、2 倍以上になりま
す。
► “ Spectrogram Full Screen” メニュー項目に [X] が付きます。
ただし、測定結果を評価するためにスペクトラム結果を表示したままにしたい場合も
あります。そのため、スペクトログラムには表示されていないスクロールバーがあり、
これを操作して見たいフレームまでスペクトログラムを上下にスクロールすることが
できます。
スペクトログラムのスクロール
スペクトログラムを表示しているときに、ロータリ・ノブを回したり、上/ 下のカーソ
ル・キーを使用することができます。
スペクトログラム履歴がスクロールします。
スクロールできるのは、入力フィールドまたはメニューが使用中でない場合に限られ
ます。スペクトログラム・スクロール機能を使用するには、以下の手順を実行します。
► “CANCEL” キーを押します。
► ロータリ・ノブまたは上 /下のカーソル・キーを使用します。
スペクトログラム履歴のスクロールが使用可能になります。
スペクトログラムの右側に見える記号は、画面に表示中のスペクトログラム部分の位
置を示しています。
● 下向き矢印のみがスペクトログラムの右下隅に表示されている場合は、一番上の
フレームが直近に記録されたトレースを表していることを示します。
● 上向きと下向きの 2 つの矢印が表示されている場合は、表示されているスペクト
ログラム領域が履歴の中間辺りであることを示します。
● 上向き矢印のみがスペクトログラムの右上隅に表示されている場合は、スペクト
ログラムの一番下のラインが履歴バッファの最終ラインを表していることを示し
ます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 72
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
この場合、振幅が 30 dBm の信号
部分はスペクトログラムで黄色に
なり、振幅が非常に小さい信号の
部分は暗緑色になります。このレ
ベル範囲に含まれる部分は、この
2 色の中間色で表示されます。色
の分布範囲が非常に広いため(約
150 dBm 以上)、測定した信号の
詳細を区別できないことが予想さ
れます。
スペクトラム測定の実行
4.1.8.3 表示の設定
スペクトログラムにおいて色は重要な要素であるため、R&S ZVH では結果表示を見
やすくする方法をいくつか用意しています。
基本的な表示設定方法は、配色を選択することです。
► “Spectrogram Settings” ソフトキーを押します。
► “Spectrogram Color Table” メニュー項目を選択します。
設定可能な配色のサブメニューが開きます。
● デフォルト( “Default”)
● 緑 -黄( “Green-Yellow”)
● 緑 -青( “Green-Blue”)
● 黒 -白( “Black-White”)
● 赤 -紫( “Red-Purple”)
● 青 -黒( “Blue-Black”)
以下に示す例は、緑-黄の配色をもとにしています。
► 最も見やすい配色を選択します。
画面の色が、選択した配色に調整されます。
現在の設定に対して適切な色分布となっていないこともあります。これを解決す
る方法は 2 つあります。
まず、基準レベルをカットすることで、信号に含まれていないレベル範囲をカ
ラー・マップから除外することができます。
例: デフォルトでは、スペクトログラムの基準レベルは 30 dBm です。
したがって、測定している信号の全体のレベル分布に合わせてカラー・マップを
調整する必要があります。例えば、レベル範囲が約 30 dB で、最大レベルが約 60 dBm、最小レベルが約 -100 dBm という信号について、緑-黄の配色を使用し
ているとします。デフォルト設定のままでは、スペクトログラム全体が緑色系だ
けで構成されているため、振幅レベルを区別しにくくなっています。これは、黄
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 73
色系で表示されるレベルが信号に含まれていないためです。
結果を見やすくするために、スペクトログラムの基準レベルを、初回に測定され
た最大パワー・レベルに近い値にします。
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
信号の細かな違いはまだ現れてい
ない結果となっています。唯一変
わったのは、全体の色合いがシフ
トしたことです。この例では黄色
にシフトしていますが、これは基
準レベルに相当する色が緑色から
黄色にシフトしたからです。配色
を構成している他の色が使われて
いません。これは、スペクトログ
ラムのレベル範囲がこれまでと同
じ(150 dB )ためです。
つまり、振幅の小さい信号部分は
緑色系になり、振幅の大きい信号
部分は黄色系になります。
このように、スペクトログラムを
最適に表示する方法は、レベル範
囲を狭くして、信号レベルの最低
部分をカラー・マップの下端に
マップし、最高部分をカラー・
マップの上端にマップすることで
す。
スペクトラム測定の実行
► “Spectrogram Settings” ソフトキーを押します。
► “Spectrogram Reference Level” メニュー項目を選択します。
スペクトログラムの基準レベルの入力フィールドが開きます。
スペクトログラム表示の実行中に測定された最大レベルに近い値に、基準レベル
を設定します。この例では、基準レベルを約 -60 dBm にする必要があります。
► 所望の基準レベルを入力します。
スペクトログラムの基準レベルが、入力した値にシフトされます。
スペクトログラムの基準レベルはスペクトラム表示に影響しません。同様に、ス
ペクトラムの基準レベル(振幅メニュー)もスペクトログラムに影響しません。
そのため、スクリーンショットを見ると、スペクトラム・トレースは変更前の画
像とまったく同じです。
► “Spectrogram Settings” ソフトキーを押します。
► “Spectrogram Level Range” メニュー項目を選択します。
► レベル範囲を 40 dB に設定し、信号全体を捉えるようにします。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 74
スペクトログラムのレベル範囲の入力フィールドが開きます。
この例では、信号のレベル範囲は約 -60 ~ -100 dBm です。
レベル範囲が調整された結果、色の範囲全体を信号のレベル範囲にマップするこ
とができます。
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
ノイズ・フロアの詳細を表示し、
ピーク・レベルを除外するために
は、スペクトログラムの基準レベ
ルをノイズ・フロアのすぐ上に合
わせる必要があります。こうする
と、基準レベルより上の信号部分
が 1 色で表示されます。この色
は、カラー・マップの上端の色で
す。
スペクトログラムを保存するダイ
アログ・ボックスが開きます。
► スペクトログラムの名前をテン
キーで入力します。
デフォルトでは、
「Spectrogram### 」という名前で
スペクトログラムが保存されます
(### は昇順番号)。
► “ Save ” ソフトキーを押してスペク
トログラムを保存します。
スペクトラム測定の実行
最後に、信号ピークのみに色が付き、ノイズ・フロアが黒色になるようにスペク
トログラムを調節します。レベル範囲をさらに狭くし、ノイズ・フロアが表示範
囲から外れるようにします。
► レベル範囲を 40 dB から 35 dB またはさらに狭めて 30 dB に変更します。
これにより、黒色で表示されたノイズ・フロアと信号部分とのコントラストが高
くなります。
4.1.8.4 スペクトログラムの記録
スペクトログラムのデータを保存しておくと、文書化の際や、記録データの詳細解析
に利用できます。
► “MEAS” キーを押します。
► “Save Spectrogram” ソフトキーを押します。
保存したスペクトログラムは、いつでも再生することができます。
R&S ZVH の内蔵メモリに保存できるスペクトログラムの数は、 R&S ZVH に現在
ある他のデータセットの合計サイズにより異なります。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 75
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
1 番目のタイム・ライン(T1 )は絶対
時間値に相当し、2 番目(T2 )は 1
番目のタイム・ラインからの相対値と
なっています。両方のタイム・ライン
とも、結果表示の上端にある最新のス
ペクトログラム・ラインに位置してい
ます。
スペクトラム測定の実行
4.1.8.5 スペクトログラムの再生
スペクトログラムを記録して内蔵メモリ、USB メモリ、または SD カードに保存し
た場合、その測定結果を後で見ることができます。
► “ Playback” ソフトキーを押します。
または
► “Meas Mode” ソフトキーを押します。
► “Spectrogram Playback” メニュー項目を選択します。
保存されたスペクトログラムの呼び出し
► “ Recall Spectrogram” ソフトキーを押します。
スペクトログラム・データのファイルを選択するダイアログ・ボックスが開きま
す。スペクトログラム・データのファイル拡張子は「*.spm 」です。
► ファイルを選択します。
► “Select” ソフトキーを押して選択を確定します。
スペクトログラムが読み込まれ、そのデータがディスプレイに表示されます。
呼び出されたスペクトログラムに対して表示を状況に合わせてカスタマイズする
など、基本的にスペクトログラム記録モード時と同じように操作することができ
ます。
そのほかに、現在選択されているスペクトログラム・フレームに対応するスペクトラ
ムを表示することや、R&S ZVH のメモリに入っているすべてのフレームのスペクト
ラムを表示することも可能です。
再生モードでのタイム・ラインの操作
特定の時点に対応するスペクトラムを表示するには、2 本のタイム・ラインを使用し
ます。
再生モードに入ると、スペクトログラムに 2 本のタイム・ラインが表示されます。
ここで、R&S ZVH のメモリからスペクトログラム・フレームを 1 つ選択することが
できます。
► “ Select Time Line” ソフトキーを押します。
1 番目のタイム・ライン(T1)の位置を定義する入力フィールドが開きます。
► タイム・ラインの位置を設定します。数字を入力するか、ロータリ・ノブで位置
を設定します。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 76
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
1 番目のタイム・ライン T1 のタイ
ム・スタンプを、最新フレームと呼び
ます(例えば「00:00:50:000」という
タイム・スタンプは、最新フレームの
50 秒前にデータが測定されたことを
意味します)。
► “ Select Time Line ” ソフトキーを
もう一度押します。
2 番目のタイム・ライン(T2 )の
位置を定義する入力フィールドが
開きます。
スペクトラム測定の実行
0 を入力した場合は、タイム・ラインのマーカが最新のフレームに設定されます。
入力可能な最大値は 1024 (R&S ZVH のメモリに格納できるフレームの最大数)
です。
ここで、すべてのフレームが画面に表示されているとは限りません。表示領域か
ら外れた履歴部分にフレームがある場合は、そのタイム・ラインも表示されてい
ません。これを再表示するには、スペクトログラムをスクロールしなければなり
ません。
上側のウィンドウには、タイム・ラインの位置にあるフレームのスペクトラムが表示
されています。したがって、タイム・ラインを動かせば、メモリに格納されているス
ペクトラムの履歴をたどることができます。
マーカ情報フィールドには、タイム・ラインのタイム・スタンプが表示されます。
► テンキー、ロータリ・ノブ、またはカーソル・キーで数字を入力します。
選択したフレームに 2 番目のタイム・ラインが配置されます。このときも、マー
カ情報フィールドにタイム・ラインのタイム・スタンプが表示されます(ΔT
値)。2 番目のタイム・ライン(T2 )に関する情報は、1 番目(T1 )からの相対
値です。そのため、2 番目のタイム・ラインを 1 番目のタイム・ラインより上の
フレームに設定した場合は、2 番目のタイム・ラインのタイム・スタンプが負の
値になります。
ロータリ・ノブまたはカーソル・キーでタイム・ラインを動かしてスペクトログラム
のフレームを順次スクロールしていくと、各時点で選択されているフレームに対応す
るスペクトラムが画面上側のウィンドウに表示されていきます。
スペクトログラム再生機能を使用することで、信号レベルを経時的に詳細に解析し、
マーカを操作してスペクトラム表示で信号の詳細を比較することができます。
タイム・ラインのマーカ(横方向)に加え、スペクトログラム内のマーカ(縦方向)
も使用できます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 77
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
マーカやタイム・ラインを操作して、
特定のイベントが発生した瞬間をスペ
クトラムで正確に特定することができ
ます。
► “ MARKER” キーを押します。
マーカが有効になり、表示中のス
ペクトラムのピーク・レベルに設
定されます。
► ロータリ・ノブまたはカーソル・
キーを使用して、横軸上のマーカ
を、解析する周波数の位置に移動
します。
スペクトラム測定の実行
または、テンキーで周波数を入力します。
► “ Select Time Line ” ソフトキーを押し、ロータリ・ノブまたはカーソル・キーを使
用してスペクトラムをたどり、目的のスペクトラムを上側のウィンドウに表示し
ます。
選択したタイム・ラインのタイム・スタンプには、スペクトラムに表示されてい
るイベントが発生した時間が正確に示されます。
マーカ機能の詳細については、以下を参照してください。
● “ マーカの使用” (2 ページ)
中断したスペクトログラムの記録を再開
新しいスペクトログラムの記録を開始するには、以下の手順を実行します。
► 再生モードのときに、“ Live Update” ソフトキーを押します。
測定を新たに開始します。
4.1.9 等方向性アンテナの使用
電界/磁界強度を測定する場合は、等方向性アンテナ(R&S TS-EMF、オーダー番号
1158.9295.13 )を R&S ZVH に接続することができます。このアンテナは 30 MHz
~ 3 GHz の周波数範囲に対応します。
このアンテナには、電界/ 磁界強度を測定するための 3 つの直交アンテナ素子があり
ます。R&S ZVH では、プローブ・パワー・ソケットより 3 つのアンテナ素子を順番
にトリガし、それぞれの測定の結果から、電界/磁界強度 E r(r = 合成電界/磁界強
度)を計算します。
各アンテナ素子のトランスデューサ・ファクタ、およびアンテナ・ケーブルのケーブ
ル・ロスは、測定時に補正されます。R&S TS-EMFZ2 (オーダー番号
1166.5708.02 )などの延長ケーブルを使用する場合は、トランスデューサ・ファクタ
を使用してケーブル・ロスを考慮に入れることができます。トランスデューサ・ファ
クタはアンテナに固有であるため、TS-EMF アンテナに付属して提供されます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 78
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
アンテナの自動検出
ローデ・シュワルツ製の等方向アンテナを接続した場合、R&S ZVH はそのアンテナ
を自動的に検出し、測定に組み込みます。
トランスデューサ・ファイル
等方向性アンテナのトランスデューサ・ファイルには、「*.isotrd 」という拡張子が付
いています。この拡張子のファイルからトランスデューサ・ファクタを選択すると、
等方向性アンテナ測定が自動的に起動します。
スペクトラム測定の実行
R&S ZVHView ソフトウェアを使用して、トランスデューサ・ファクタを R&S ZVH
に転送することができます。等方向性アンテナを用いた測定を有効にするためには、
「*.isotrd」という拡張子の付いたトランスデューサ・ファクタ・ファイルを選択する
必要があります。詳細については、2 ページの “ トランスデューサ・ファクタの使用 ”
を参照してください。
試験セットアップ
ケーブル測定の試験セットアップは、R&S ZVH および等方向性アンテナ R&S TS-
EMF で構成されます。ケーブルは、アンテナに接続します。
► N 同軸コネクタの付いた RF ケーブルを RF 入力(ポート 1)に接続します。
► アンテナに付属しているアダプタ・ケーブルを使用して、制御ケーブル( X/Y/Z
軸の切り替え用)の 9 ピン D-Sub コネクタをパワー・センサ・インタフェース
に接続します。
► “MEAS” キーを押します。
► “Meas Mode” ソフトキーを押します。
► “Isotropic Antenna” メニュー項目を選択します。
アンテナが、関連する測定に組み込まれます。
R&S ZVH では、最終測定結果を表示する前に、 3 本のアンテナ軸それぞれにつ
いて測定を実行します。これにより、トレースの更新頻度が低くなります。
トランスデューサ・ファクタの使用
等方向性アンテナを使用する場合は、トランスデューサ・ファクタを選択することが
できます。
► “AMPT” キーを押します。
► “Transducer” ソフトキーを押します。
トランスデューサ・ファクタを選択するダイアログ・ボックスが開きます。
► “Primary Transducer” メニュー項目を選択します。
► 「 *.isotrd」という拡張子が付いたファイルから、トランスデューサ・ファクタを
選択します。
► “ Select” ソフトキーを押して選択を確定します。
アンテナの延長ケーブルを補正するために、2 次トランスデューサも選択します。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 79
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の設定
► “Transducer” ソフトキーを押します。
► “Select Secondary Transducer” メニュー項目を選択します。
トランスデューサ・ファクタ(dB )を選択するダイアログ・ボックスが開きます。
► リストからトランスデューサ・ファクタを選択します。
► “Select” ソフトキーを押して選択を確定します。
詳細については、2 ページの “ トランスデューサ・ファクタの使用 ” を参照してくだ
さい。
4.2 スペクトラム測定の設定
4.2.1 横軸の設定
“ FREQ/DIST ” キーには、スペクトラム測定の横軸の設定に必要な機能が含まれていま
す。
メニューの内容は、現在選択されている測定によって異なります。
スペクトラム・モードでは通常、横軸に周波数情報が示されます。周波数の設定は、
中心周波数を指定する方法と、特定のスパンについて下限周波数と上限周波数を定義
する方法があります。
測定する信号の周波数がわかっている場合は、中心周波数を信号の周波数に一致させ
る方法が適しています。高調波などのように特定の周波数範囲にある信号をサーチす
る場合は、下限周波数と上限周波数を入力してスパンを定義する方法が適しています。
4.2.1.1 中心周波数の定義
中心周波数とは、ダイアグラム・エリアの横軸の中心に位置する周波数をいいます。
► “ FREQ/DIST” キーを押します。
周波数メニューが開きます。
“ FREQ/DIST ” キーを押すと、中心周波数を定義する入力フィールドが自動的に開
きます。入力フィールドが有効になっていない場合は、“Center Freq” ソフトキー
を押すと入力フィールドが開きます。
► 中心周波数を入力します。
入力した周波数が、新しい中心周波数になります。
中心周波数を設定する際にスパンの範囲が、R&S ZVH の最大値から外れる場合があ
ります。その場合は、スパンが自動的に縮小されます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 80
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の設定
4.2.1.2 周波数のステップ幅の定義
ロータリ・ノブまたはカーソル・キーで中心周波数を設定する場合、1 ステップの距
離はスパンに依存します。ロータリ・ノブを使用する場合、最小ステップ幅は 1 ピク
セルです。トレースは 631 ピクセルで構成されているため、1 ステップはスパンの
1/630 になります。カーソル・キーを使用する場合、ステップ幅はスパンの 10% ま
たはグリッドの 1 目盛になります。
別のステップ幅を設定することができます。
► “FREQ/DIST” キーを押します。
► “CF Step Size” ソフトキーを押します。
設定可能なステップ幅が表示されたサブメニューが開きます。
- “ 0.1 x Span”
ステップ幅は、スパンの 10% または横軸の 1 目盛になります。
- “ =Center”
ステップ幅は、中心周波数の値になります。
これは、高調波での測定に適したステップ幅です。中心周波数を増減すると、
中心周波数が自動的に次の高調波に移動します。
- “ Manual...”
任意のステップ幅を定義することができます。
周波数が一定間隔で並んでいるスペクトラムを簡単に評価できるようになり
ます。
► メニューからステップ幅を選択します。
それに従ってステップ幅が調整されます。
ステップ幅をスパンの 10% または中心周波数に設定した場合、R&S ZVH の内部で
ステップ幅が設定されます。ステップ幅をユーザ定義するときは、ステップ幅を定義
する入力フィールドが開きます。
4.2.1.3 周波数オフセットの設定
衛星用ダウンコンバータなどの周波数変換器で測定する場合は、結果の基準として変
換前の周波数を使用すると都合がよい場合があります。そのため、R&S ZVH では周
波数オフセット機能を搭載し、中心周波数を算術的に上下にシフトすることができま
す。これによって、被測定物の入力周波数が表示されます。
正の周波数オフセットは、1 Hz ~ 100 GHz の範囲で 1 Hz 単位で設定可能です。負
の周波数オフセットの最大値は、設定した下限周波数により異なります。下限周波数
は、周波数オフセットを考慮に入れた場合も、必ず ≧ 0 Hz でなければなりません。
► “FREQ/DIST” キーを押します。
► “Freq Offset” ソフトキーを押します。
周波数オフセットを設定する入力フィールドが開きます。
► 周波数オフセットを入力します。
設定してある中心周波数に周波数オフセットが加算されます。周波数オフセット
が設定されたときは、中心周波数に赤色のドットが表示されます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 81
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の設定
4.2.1.4 下限周波数と上限周波数の定義
高調波や周波数が不明な信号を測定する場合は、下限周波数と上限周波数を定義する
方法が適しています。
► “FREQ/DIST” キーを押します。
► “Start Freq” ソフトキーを押します。
下限周波数を定義する入力フィールドが開きます。
► 下限周波数を入力します。
► “Stop Freq” ソフトキーを押して上限周波数を設定します。
入力した値に従って、始点が下限周波数、終点が上限周波数となるように横軸が
変更されます。
入力した上限周波数が最大周波数範囲の外側になる場合、上限周波数は設定可能
な最大周波数に変更されます。
横軸のラベルが “ Center” と “ Span” から、“Start” と “ Stop” に変わります。
4.2.1.5 スパンの設定
スパンとは、中心周波数にまたがる周波数範囲で、スペクトラム・アナライザが画面
に表示する範囲です。どのようなスパンを選択するかは、測定する信号および実行す
る測定の種類によって異なります。目安としては、信号が占有する帯域幅の 2 倍以上
をスパンとします。
周波数軸測定の場合は、R&S ZVH4 では 100 Hz ~ 3.6 GHz 、R&S ZVH8 では 100
Hz ~ 8 GHz の範囲で設定可能です。
設定したスパンが 0 Hz (ゼロ・スパン)の場合は、時間軸で測定が実行されます。
► “FORMAT/SPAN” キーを押します。
“FORMAT/SPAN ” キーを押すと、スパンを定義する入力フィールドが自動的に開
きます。入力フィールドが有効になっていない場合は、“Manual Span” ソフト
キーを押すと入力フィールドが開きます。
► スパンを入力します。
横軸のスパンが調整されます。
最大スパンとそれより狭いスパンを切り替える場合は、数値を入力することなく切り
替えることができます。
► “FORMAT/SPAN” キーを押します。
► “Full Span” ソフトキーを押します。
周波数範囲全体のスペクトラムが表示されます。
► “ Last Span” ソフトキーを押します。
周波数範囲全体を表示する直前に設定したスパンに変更されます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 82
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の設定
時間軸測定
時間軸測定は、数値入力をしなくても起動することができます。時間軸で測定するとき
のスパンは 0 Hzです。信号は現在の中心周波数でのみ測定されます。スペクトラムが
表示されるのではなく、一定期間内の信号パワーが表示されます。横軸が時間軸になり
ます。表示は常に 0 s が始点になり、設定されている掃引時間が終点になります。
► “FORMAT/SPAN” キーを押します。
► “Zero Span” ソフトキーを押します。
0 Hz のスパンが設定され、時間軸で測定が実行されます。
4.2.2 縦軸の設定
縦軸の設定に関する項目は、振幅メニューに含まれています。“SCALE/AMPT” キーを
押すと、振幅メニューが開きます。
4.2.2.1 基準レベルの設定
基準レベルは、ダイアグラム上端のグリッド線で表されます。基準レベルにより、表
示段階に至るまでの入力信号の増幅量が設定されます。基準レベルが低いと、増幅量
が大きくなります。つまり、微小な信号でも明瞭に表示されます。
ダイパワーの信号を測定する場合は、基準レベルを高く設定します。これは、アナラ
イザの信号経路がオーバーロード状態になることを防止し、また信号を表示範囲内に
維持するために必要なことです。コンポジット信号のスペクトラムを測定する場合は、
基準レベルがすべての信号をカバーするのに十分な高さであり、かつすべての信号が
測定画面内に収まっていることを確認してください。
► “SCALE/AMPT” キーを押します。
“AMPT ” キーを押すと、中心周波数を定義する入力フィールドが自動的に開きま
す。入力フィールドが有効になっていない場合は、“Ref Level” ソフトキーを押す
と入力フィールドが開きます。
► 基準レベルを入力します。
基準レベルを変更した場合は、それに合わせてトレースの位置が変更されます。
デフォルトでは、基準レベルはダイアグラム上端のグリッド線の位置です。ダイアグ
ラム・エリアの上端に重なってしまう信号がある場合は、基準レベルの位置を別のグ
リッド線に変更することができます。現在の基準レベルの位置は、縦軸上の対応する
グリッド線に三角形で示されます( )。
► “SCALE/AMPT” キーを押します。
► “Range / Ref Pos” ソフトキーを押します。
サブメニューが開きます。
► “ Ref Position 10...” メニュー項目を選択します。
基準位置を定義する入力フィールドが開きます。
► 基準レベルとするグリッド線の番号を入力します。
入力範囲は 0 ~ 10 です。「0 」は一番下のグリッド線、「10 」は一番上のグ
リッド線を指します。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 83
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の設定
4.2.2.2 表示範囲の設定
表示範囲により、縦軸のスケーリング(分解能)が決まります。デフォルト状態では、
表示範囲は 100 dB の対数スケーリングとなっています。つまり、各グリッド線が
10 dB に相当します。R&S ZVH では、縦軸の分解能が異なる表示範囲を設定するこ
ともできます。
ただし、分解能を高くしても、マーカ・レベルの指示値などの確度が向上するわけで
はなく、トレースから値を読み取りやすくなるだけです。
また、縦軸に線形スケールを選択することもできます。その場合、パワー・レベルは
基準レベルに対する割合で表されます。線形スケーリングは、時間軸で振幅変調搬送
波を表示する場合などに役立ちます。
► “SCALE/AMPT” キーを押します。
► “Range / Ref Pos” ソフトキーを押します。
表示範囲を選択するサブメニューが開きます。
► 表示範囲を入力します。
それに従って縦軸が変更されます。
4.2.2.3 表示単位の選択
デフォルトでは、縦軸(基準レベル)スケールの単位は、dBm です。dBmV 、dBµV 、
Watt 、Volt も単位として使用できます。適切な単位を選択すると、マーカ・レベルが
正しく表示されます。マーカ・レベルの単位が基準レベルの単位と同じ場合です。
► “SCALE/AMPT” キーを押します。
► “Unit” ソフトキーを押します。
表示単位を選択するサブメニューが開きます。
► リストから単位を選択します。
それに従って、縦軸のラベルが変更されます。
4.2.2.4 基準オフセットの設定
基準レベルに対して基準オフセットを定義することができます。基準オフセットによ
り、基準レベルが高くなります。RF 入力にアッテネータやアンプを挿入してある場
合などに効果があります。R&S ZVH では、レベルを表示するときに損失や利得が自
動的に考慮されるため、計算する必要がありません。RF 入力で生じる減衰量は正の
数、増幅量は負の数で入力します。
► “SCALE/AMPT” キーを押します。
► “Ref Offset” ソフトキーを押します。
基準オフセットの入力フィールドが開きます。
► オフセットを入力します。
オフセットが測定に組み込まれます。
オフセットが 0 でないことを示すために、“Ref:” の前に赤色のドットが表示され
ます( )。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 84
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の設定
4.2.2.5 RF 減衰量の設定
RF 減衰機能を使用すると、アナライザ内部の入力範囲を調整することができます。
この機能は、基準レベルと連動しています。基準レベルを高く設定した場合、RF 減
衰機能は以下の表に従って切り替わるため、入力ミキサは常に線形範囲内で動作しま
す。
R&S ZVH には、以下の 3 種類の減衰モードがあります。
● “Auto Low Distortion”
このモードが有効になっている場合は、以下の表に従って RF 減衰量が 10 dB
大きく設定され、指定した基準レベルにおいて入力ミキサのストレスが 10 dB 低
くなります。これは、CATV ネットワークなどでスペクトラムが密に占有される
場合、入力ミキサが R&S ZVH 固有のスプリアスを減少させることができます。
しかし、入力ミキサの前での減衰量が大きくなるため、R&S ZVH 固有の表示ノ
イズは増加します。
● “Auto Low Noise”
このモードでは、 RF 減衰量が 10 dB 小さく設定されます。これにより
R&S ZVH の感度が高くなります。つまり、入力ミキサの前での減衰量が小さく
なるために、固有の表示ノイズが減少します。
● “ Manual”
減衰量をマニュアル操作で選択します。
RF 減衰量およびプリアンプの状態については、測定設定ダイアログおよびディスプ
レイのハードウェア設定で確認することができます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 85
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の設定
► “SCALE/AMPT” キーを押します。
► “RF Att / Amp / Imp” ソフトキーを押します。
► “Auto Low Distortion” または “Auto Low Noise” のメニュー項目を選択します。
表に従って減衰量が設定されます。
► RF 減衰量をマニュアル操作で選択する場合は、 “ Manual: 0 dB ” メニュー項目を選
択します。
RF 減衰量を設定する入力フィールドが開きます。減衰量は、0 ~ 40 dB の範囲
で 5 dB 刻みで設定することができます。
マニュアル減衰モードであることを示すために、“Att:” の前に赤色のドットが表示
されます( )。
4.2.2.6 プリアンプの使用
入力感度を上げるために、R&S ZVH には入力ミキサの後段に 20 dB のプリアンプが
組み込まれています。
デフォルト状態では、プリアンプはオフになっています。パワーの低い信号を測定す
る場合は、プリアンプをオンにすることができます。
► “SCALE/AMPT” キーを押します。
► “RF Att / Amp / Imp” ソフトキーを押します。
► “Preamp On” または “Preamp Off” のメニュー項目を選択します。
プリアンプのオン/ オフが切り替わります。
4.2.2.7 入力インピーダンスの設定
デフォルト状態では、入力インピーダンスは 50 Ω となっています。
R&S ZVH は、 75 Ω にも対応しています。 R&S ZVH では、 RF 入力そのものを 75
Ω に変更するのではなく、 RF 入力に接続している 75 Ω のマッチング・パッドを選
択するようになっています。 75 Ω のマッチングには、 50/75 Ω マッチング・パッド
R&S RAZ を推奨します(推奨アクセサリを参照)。 75 Ω のインピーダンスを設定す
ると、自動的に変換係数が考慮されます。
“SCALE/AMPT” キーを押します。
► “RF Att / Amp / Imp” ソフトキーを押します。
► インピーダンスを選択します。
トランスデューサ・ファクタを有効にして、その他のマッチング・パッド( R&S
RAM、 R&S FSH-Z38 など)を使用することも可能です。
4.2.2.8 トランスデューサ・ファクタの使用
詳細については、“ トランスデューサ・ファクタの使用 ” を参照してください。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 86
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード( R&S ZVH-K1)
200 kHz の分解能帯域幅の設定
200 kHz の帯域幅は、スパンに連動しないため、RBW の自動選択がオンの場合には
選択されません。
200 kHz の分解能帯域幅をテンキーで入力しなければなりません。
ロータリ・ノブまたはカーソル・キーを使用しているときには、200 kHz の帯域幅は
スキップされます。
スペクトラム測定の設定
4.2.3 帯域幅の設定
R&S ZVH でフィルタ帯域幅をセットアップする設定は、すべて帯域幅メニューに含
まれています。“SWEEP/BW” キーを押すと、帯域幅メニューが開きます。
4.2.3.1 分解能帯域幅の設定
スペクトラム・アナライザの分解能帯域幅により、周波数軸測定の周波数分解能が決
まります。これにより、隣接する周波数をどの程度分離できるかが決定されます。そ
の結果がどのように表示されるかは、分解能フィルタの通過帯域によって異なります。
分解能帯域幅(Resolution Bandwidth: RBW )は、以下のように測定に影響します。
● 周波数の近い 2 つ以上の信号を分離して表示するためには、帯域幅が十分に狭い
(分解能)フィルタが必要です。例えば、2 つの正弦搬送波を分解する場合、こ
の 2 つの周波数差が選択した分解能帯域幅より小さい場合には、分離することが
できません。
● 分解能フィルタの帯域幅は、R&S ZVH で表示されるノイズにも影響を与えます。
帯域幅が狭いほど、表示されるノイズは減ります。帯域幅を 1/3 にしたり 3 倍
にしたりすると、表示されるノイズは 5 dB だけ増減します。帯域幅を 1/10 倍
または 10 倍に変更すると、表示されるノイズは 10 dB だけ変化します。
● 分解能帯域幅は、測定速度にも影響を与えます。スペクトラムを本来の姿で表示
するには、分解能フィルタがすべての対象周波数で整定する必要があります。狭
い帯域フィルタは広いフィルタよりも時間がかかります。そのため、分解能帯域
幅が狭くなるほど掃引時間が長くなります。帯域幅を 1/3 にすると、掃引時間は
9 倍になります。帯域幅を 1/10 にすると、掃引時間は 100 倍になります。
R&S ZVH の分解能帯域幅は、 1-3-10 シーケンスで 1 Hz ~ 3 MHz です。このほか
に、200 kHz の分解能帯域幅も選択可能ですが、これはマニュアル操作で選択する必
要があります。
R&S ZVH のデフォルト状態では、分解能帯域幅はスパンと連動しています。つまり、
スパンを変更すると、分解能帯域幅が自動的に調整されます。このように、スパンを
変更すると分解能帯域幅が自動的に設定されるため、多くの場合、分解能帯域幅をマ
ニュアル操作で設定する必要はありません。
► “ SWEEP/BW” キーを押します。
デフォルトでは、分解能帯域幅はスパンに連動します。
► “ Manual RBW” ソフトキーを押します。
分解能帯域幅を定義する入力フィールドが開きます。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 87
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
掃引時間の自動調整
デフォルト・モードでは、分解能帯域幅を変更すると、掃引時間が自動的に調整され
ます。これは、選択した分解能フィルタに必要な時間を考慮するための調整です。最
大許容掃引時間は 1000 s です。分解能の狭いフィルタの場合、スパンが長くなる
と、この掃引限度を超過することになります。その対策として、最大許容掃引時間に
達すると、スパンが自動的に調整されます。
スペクトラム測定の設定
► 分解能帯域幅を入力します。
入力した分解能帯域幅が測定に適用されます。
分解能帯域幅とスパンの連動が解除されたときは、“RBW:” の前に赤色のドット
が表示されます( )。
► 分解能帯域幅とスパンを再び連動させるには、 “ Auto RBW ” ソフトキーを押しま
す。
4.2.3.2 ビデオ帯域幅の設定
ビデオ帯域幅(Video Bandwidth: VBW )は基本的に、トレースを平滑化するために使
用します。ノイズを減らし、それによりパワー・レベルを見やすくすることで、平滑
化効果が実現します。
ノイズの低減はビデオ・フィルタによるものです。このローパス・フィルタは、ビデ
オ帯域幅を規定し、信号の電圧の高周波部分を遮断します。包絡線検波器では IF 成
分を除去し、包絡線のみを出力しますが、その包絡線検波器を通過した IF 信号の
(DC )電圧がビデオ電圧です。この包絡線出力はビデオ信号とも呼ばれます。
下の図は、このプロセスを振幅変調信号に適用した場合について、時間軸で表したも
のです。
振幅変調信号の場合、包絡線信号(ビデオ信号)には、搬送波のレベルに対応する
DC 成分が含まれています。ビデオ信号には、AM 周波数と同じ周波数を持つ AC 成
分も含まれています。
ビデオ・フィルタの帯域幅が AC 成分の周波数より狭い場合、AC 成分は最大周波数
に応じて抑圧されます。AM 成分を正確に表示するには、フィルタの遮断周波数を変
調周波数よりも大きくする必要があります。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 88
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の設定
正弦波にノイズがある場合、変調信号をノイズと考えることができます。ビデオ帯域
幅を狭くすると、ビデオ・フィルタの遮断周波数を超える高周波ノイズ成分が除去さ
れます。ビデオ帯域幅が狭いほど、ビデオ・フィルタ出力でのノイズ振幅が小さくな
ります。
R&S ZVH のビデオ帯域幅は、1-3-10 シーケンスで 1 Hz ~ 3 MHz です。デフォル
ト状態では、ビデオ帯域幅は分解能帯域幅に連動し、分解能帯域幅と同じになります。
分解能帯域幅を変更すると、それに合わせてビデオ帯域幅が自動的に調整されます。
ビデオ帯域幅は、以下のような影響を測定に与えます。
● 変調信号を測定する場合は、ビデオ帯域幅を十分に広くして、有意な変調成分が
除去されないようにする必要があります(≧ RBW )。
● ノイズ成分のない信号を表示するには、できるだけ小さなビデオ帯域幅を選択し
ます(≦ 0.1 x RBW )。
● パルス信号を測定する場合は、ビデオ帯域幅を分解能帯域幅の 3 倍以上にして、
パルスのエッジが歪まないようにします。
分解能帯域幅と同様に、ビデオ帯域幅も掃引速度に影響を与えます。各測定の前に、
ビデオ・フィルタが整定している必要があります。
► “SWEEP/BW” キーを押します。
► “VBW” ソフトキーを押します。
► “Manual” メニュー項目を選択します。
ビデオ帯域幅を定義する入力フィールドが開きます。
► ビデオ帯域幅を入力します。
入力したビデオ帯域幅が測定に使用されます。
分解能帯域幅とビデオ帯域幅の連動が解除されたときは、“VBW:” の前に赤色の
ドットが表示されます( )。
► “VBW” メニュー項目を押します。
► ビデオ帯域幅を分解能帯域幅に再び連動させるには、 “Auto” メニュー項目を選択
します。
4.2.4 掃引の設定とトリガ
掃引を設定するのに必要な項目は、掃引メニューにまとめられています。
“ SWEEP/BW ” キーを押すと、掃引メニューが開きます。
4.2.4.1 掃引時間の設定
掃引時間とは、1 つのトレースに含まれている結果を取得するのに要する時間です。
周波数軸(スパン > 0 )においては、掃引時間とは、指定されたスパンでスペクトラ
ムを測定するのに要する時間です。スペクトラムにスパーが表示されないようにする
ためには、掃引時間として以下の条件を満たす必要があります。
● 掃引時間は分解能帯域幅に依存します。掃引時間が短すぎると、分解能フィルタ
が整定する時間が不十分のため、表示レベルが極端に低くなります。詳細につい
ては、“ 分解能帯域幅の設定 ” を参照してください。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 89
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の設定
● 掃引はスパンに依存します。スパンを広くした場合は、掃引時間も長くする必要
があります。
デフォルト状態では、掃引時間がスパンと分解能帯域幅に連動することで、不正な設
定を回避しています。連動が有効になっている場合は、スペクトラムの表示が適正か
つ有効となる最短の掃引時間が自動的に設定されます。
R&S ZVH では、600 MHz のスパンごとに 20 ms 以上の掃引時間が必要です。スパ
ンを広くすると、掃引時間も長く設定されます。
時間軸(スパン = 0 )においては、ビデオ電圧が経時的に表示されます。横軸が時間
軸になり、0 s が始点、選択した掃引時間が終点になります。時間軸での掃引時間の
範囲は 200 µs ~ 1000 s です。
► “ SWEEP/BW” キーを押します。
デフォルトでは、“Auto SWP Time” が有効になっています。
► “SWP Time” ソフトキーを押します。
► “Manual” メニュー項目を選択します。
掃引時間を設定する入力フィールドが開きます。
► 掃引時間を入力します。
ビデオ帯域幅とスパンまたは分解能帯域幅との連動が解除されたときは、“SWT:”
の前に赤色のドットが表示されます( )。
4.2.4.2 掃引モードの選択
掃引モードとは、R&S ZVH による測定の実行方法のことです。
デフォルト状態では、測定が連続で実行されます。このモードでは、指定された横軸
(周波数または時間)の範囲内で掃引を自動的に繰り返し、1 回の掃引を終了するご
とにその結果に応じてトレースが更新されます。
特定のトリガ条件を設定しているときなどは、シングル掃引からの結果を得るだけで
十分な場合があります。シングル掃引モードでは、指定された横軸(周波数または時
間)の範囲で掃引を設定した回数(設定したアベレージ回数による)だけ実行した後、
測定を停止します。さらに掃引の実行についても、毎回、ユーザの指示が必要です。
シングル掃引時の掃引回数の設定について、詳しくは “ トレース・モードの選択
(Average )” を参照してください。
► “SWEEP/BW” キーを押します。
► “Trigger” ソフトキーを押します。
► シングル掃引モードで測定するときは、 “Single Sweep” を選択します。連続して
測定するときは、“Continuous Sweep” を選択します。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 90
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R&S ZVH スペクトラム・アナライザ・モード(R&S ZVH-K1 )
スペクトラム測定の設定
4.2.4.3 トリガ機能の操作
信号に関する特定の条件の下で測定を行う必要がある場合に、トリガを使用すること
ができます。トリガは特定のイベントに応答します。トリガが有効になっている場合、
トリガ条件が満たされると測定を開始します。トリガは、本機の内部で生成したもの、
または外部入力したものを適用することができます。
R&S ZVH では、以下のトリガ機能を提供しています。
● フリー・ラン
現在の掃引が終了すると、新しい掃引が開始されます。デフォルト状態では、こ
れが選択されています。
● ビデオ・トリガ
ビデオ電圧が設定したレベルを超えたときに新しい掃引が開始されます。ビデ
オ・トリガは時間軸(スパン = 0 )でのみ利用できます。
周波数軸では、スタート周波数で生成されるビデオ電圧が特定されないため、ビ
デオ・トリガで測定が開始されることはありません。
● 外部トリガ(立ち上がり/ 立ち下がりのエッジ)
外部トリガ信号の立ち上がりエッジ(RISE )または立ち下がりエッジ(FALL )で
掃引が開始されます。外部トリガ信号は、BNC コネクタ Ext Trigger から入力さ
れます。しきい値は 1.4 V 、すなわち TTL 信号レベルです。
● ゲート・トリガ
ゲート・トリガが有効なときは、R&S ZVH のトリガ入力に印加されるゲート信
号が掃引を制御します。印加されたゲート信号がアクティブになり、設定ゲート
遅延時間が経過すると、測定が開始されます。指定されたゲート長に達すると、
測定が中断されます。その後にゲート信号がアクティブになると測定が再開され、
以後同様に繰り返されます。
この方法でパルス信号を測定することができます。ただし、パルスがアクティブ
である間のみ測定が実行されるように、ゲート遅延とゲート長を設定してあるこ
とが条件です。ゲート測定は周波数軸(スパン > 0 )でも時間軸(スパン = 0 )
でも可能ですが、外部ゲート信号と組み合わせて実行する必要があります。
► “SWEEP/BW” キーを押します。
► “Trigger” ソフトキーを押します。
トリガ・ソースを選択するサブメニューが開きます。
► トリガ・ソースを入力します。
トリガが有効になります。
オペレーティング・マニュアル 1309.6946.18 - 04 91
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遅延時間の定義
ビデオ・トリガを時間軸で使用するとき、または外部トリガを使用するときは、遅延
時間を入力することでトリガ・イベントに対して測定開始を遅らせることができます。
このようにして、トリガ・イベントと測定の間に時間差を設定することができます。
トリガ遅延の範囲は、0 µs ~ 100 s です。分解能はサブレンジに依存します。
► “SWEEP” キーを押します。
► “Trigger” ソフトキーを押します。
► “Trigger Delay...” メニュー項目を選択します。
トリガ遅延を定義する入力フィールドが開きます。
► 遅延時間を入力します。
トリガ・レベルの定義
ビデオ信号を使用するときは、トリガ・レベルを定義する必要があります。トリガ・
レベルは基準レベルの割合として定義します。100% のトリガ・レベルは、基準レベ
ルと同じです。例えば、50% のトリガ・レベルは、縦軸の中央に相当します。
R&S ZVH では、ビデオ・トリガ・レベルは三角形で示されます。
► “SWEEP/BW” キーを押します。
► “Trigger” ソフトキーを押します。
► “Trace Video” メニュー項目を選択します。
トリガ・レベルを定義する入力フィールドが開きます。
► トリガ・レベルを入力します。
ダイアグラム・エリアに横線が追加されます。この横線がトリガ・レベルを示し
ます。
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