
ユーザー ガイド
RISKOptimizer
シミュレーション最適化用
Microsoft Excel アドイン
バージョン 5.5
2009 年 5 月
Palisade Corporation
798 Cascadilla St.
Ithaca, NY USA 14850
(607) 277-8000
(607) 277-8001 (Fax)
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sales@palisade.com (電子メール)

著作権表記
Copyright © 2009, Palisade Corporation.
商標について
Microsoft、Excel、Windows は Microsoft, Inc. の登録商標です。
IBM は International Business Machines, Inc. の登録商標です。
Palisade、RISKOptimizer、TopRank、BestFit、RISKview は Palisade
Corporation の登録商標です。
RISK は Tonka Corporation の一部である Parker Brothers の商標であり、商標
保有者の許可を元に使用されています。

目次
第 1 章: RISKOptimizer の概要 1
はじめに................................................... 3
インストール方法 .......................................... 11
第 2 章: RISKOptimizer と最適化について 17
RISKOptimizer について .................................... 19
従来の最適化とシミュレーション最適化の違い ................ 27
第 3 章: RISKOptimizer: ステップバイステップ 33
はじめに.................................................. 35
RISKOptimizer の基本操作 .................................. 37
第 4 章: 実用例 59
はじめに.................................................. 61
予算の配分................................................ 63
容量計画.................................................. 65
クラスのスケジュール ...................................... 67
先物取引のヘッジ .......................................... 69
製作工場のスケジュール .................................... 71
ポートフォリオの分散 ...................................... 73
i

ポートフォリオの配分 ...................................... 75
ポートフォリオ リスク ..................................... 77
巡回セールスマンの問題..................................... 79
利益管理 .................................................. 81
第 5 章: RISKOptimizer リファレンス ガイド 83
[モデルの定義] コマンド.................................... 85
[最適化設定] コマンドの [一般] タブ....................... 112
[最適化設定] コマンドの [ランタイム] タブ ................. 116
[最適化設定] コマンドの [表示] タブ....................... 120
[最適化設定] コマンドの [マクロ] タブ..................... 122
[最適化の開始] コマンド................................... 124
[ユーティリティ] コマンド................................. 126
RISKOptimizer ウオッチャー................................ 131
第 6 章: 最適化 141
第 7 章: 遺伝的アルゴリズム 153
はじめに ................................................. 155
歴史的背景 ............................................... 155
生物の例 ................................................. 158
コンピュータの例 ......................................... 159
第 8 章: シミュレーションとリスク分析 163
はじめに ................................................. 165
リスクについて ........................................... 165
ii

RISKOptimizer における不確実性のモデル化 ................. 171
シミュレーションを利用したモデル分析 ..................... 173
第 9 章: RISKOptimizer のその他の機能 175
制限の追加............................................... 177
処理速度の改善 ........................................... 187
RISKOptimizer の最適化の実装 ............................. 189
付録 A: RISKOptimizer の自動化 193
付録 B: トラブルシューティングと Q&A 195
トラブルシューティングと Q&A ............................. 197
付録 C: 参考文献 199
用語集 207
索引 217
iii

iv

第 1 章: RISKOptimizer
の概要
はじめに................................................... 3
RISKOptimizer の利点 ..................................... 3
従来の最適化処理 .................................. 3
不確定要素を伴うモデルの最適化..................... 4
不確実性のモデル化 ................................ 4
シミュレーションを使った最適化..................... 5
シミュレーション結果 .............................. 5
RISKOptimizer を使用したカスタム アプリケーション .. 6
RISKOptimizer によるシミュレーション最適化の使用例 . 6
インストールの前に ....................................... 7
製品パッケージの確認 ..................................... 7
このバージョンについて ................................... 7
ご利用のオペレーティング環境での作業 ..................... 7
サポートについて ......................................... 8
お問い合わせの前に ................................ 8
Palisade へのお問い合わせ.......................... 9
ステューデント版 ................................. 10
RISKOptimizer システム必要条件 .......................... 10
インストール方法 .......................................... 11
一般的なインストール方法 ................................ 11
RISKOptimizer のコンピュータからの削除............ 11
DecisionTools Suite ..................................... 12
RISKOptimizer アイコンおよびショートカットの設定......... 13
起動時に表示されるマクロのセキュリティ警告メッセージ..... 14
RISKOptimizer に関する追加の情報 ........................ 15
RISKOptimizer の「お読みください」(README) ファイル 15
RISKOptimizer チュートリアル...................... 15
RISKOptimizer の自己学習 ................................ 15
1

2

はじめに
RISKOptimizer はシミュレーションと最適化を組み合わせることによ
って、不確実要素を伴うモデルの最適化を行います。RISKOptimizer
は、遺伝的アルゴリズム (GA: Genetic Algorithm) に基づく強力な
最適化手法とモンテカルロ シミュレーションを用いて、線形および
非線形処理による一般の最適化ツールでは解くことのできない問題を
解決できます。RISKOptimizer は、Palisade のリスク分析アドイン
@RISK と、Palisade 社の遺伝的アルゴリズムベースの問題解決ツー
ル Evolver を組み合わせたツールです。@RISK および、Evolver ま
たは Excel のソルバー機能に精通しているユーザーは、
RISKOptimizer を問題なく使用することができます。
この『RISKOptimizer ユーザー ガイド』では、まず RISKOptimizer
とその仕組みについて概要を説明した後、RISKOptimizer 特有の遺伝
的アルゴリズムとシミュレーション手法の実用例をいくつか紹介しま
す。また、このマニュアルは RISKOptimizer の各機能の説明が記載
された索引付きリファレンス ガイドとしてご利用いただくこともで
きます。
RISKOptimizer の利点
RISKOptimizer を使用すると、まったく新しいタイプの問題を最適化
によって解決できるようになります。RISKOptimizer では、制御が不
可能な未知の要素を含む問題に対して最適な答えを見つけることがで
きます。ソルバー (Excel に付属の線形および非線形最適化ツール)
や Evolver (Palisade Corporation の遺伝的アルゴリズムベースの
最適化ツール) といった一般的な最適化ツールでは、モデルの不確定
要素に起こりうるさまざまな値を入力した場合、最適な解を求めるこ
とができません。
従来の最適化処
理
3
ソルバーや Evolver で行われる従来の Excel ベースの最適化問題は、
次の要素から構成されています。
• 最小化、または最大化を必要とする、「ターゲット」セル (出
力)
• ユーザーが制御する、「調整可能セル」(入力)
• 一連の制限 (通常 COSTS<100 や A11>=0 などの数式で表します)

Evolver やソルバーを使った最適化では、調整可能セルの値がユーザ
ーの指定する許容範囲内で変更されます。調整可能セルで可能な値の
各セットにつき、モデルが再計算されてターゲット セルの新しい値
が算出されます。最適化が完了した時点で、最適な解 (または調整可
能セルの値の組み合わせ) が見つかります。この解は、入力した制限
を満たす範囲内で最適な (つまり最小または最大の) 値を返す、調整
可能セル値の組み合わせとなります。
不確定要素を伴
うモデルの最適
化
不確実性のモデ
ル化
モデルに不確実要素が含まれている場合、ソルバーまたは Evolver
で最適な解を生成することはできません。従来の多くの最適化モデル
では不確実性を無視することにより最適化を可能にしているため、モ
デルの実用的が損なわれます。シミュレーションを使用して最適な解
を探す場合には、強制的な方法により調整可能セルの可能な値を反復
計算で求めていました。この方法では、初期シミュレーションの実行、
1 つ以上の値の変更、シミュレーションの再実行、という一連の処理
が、最適な解と思われる結果が得られるまで繰り返し行われます。こ
のような処理は時間がかかるだけでなく、各シミュレーションのため
の値の変更方法も曖昧になります。
RISKOptimizer を使用すれば、モデルに伴う不確実性を計算に入れた
上で、信頼性の高い最適な解を求めることが可能です。
RISKOptimizer は、@RISK のシミュレーション機能を使用してモデル
に伴う不確実性を処理し、Evolver の遺伝的アルゴリズムを用いて調
整可能セルの可能な値を生成します。この「シミュレーション最適
化」の結果として、ターゲット セルのシミュレーション結果を最適
化 (つまり最小化または最大化) する、調整可能セル値の組み合わせ
が得られます。この方法では、例えばターゲット セルの確率分布の
平均値を最大化したり、標準偏差を最小化したりする調整可能セルの
組み合わせを見つけることができます。
不確実性のモデル化を可能にするため、RISKOptimizer では、スプレ
ッドシートの各要素に可能な値を @RISK のすべての確率分布関数を
使ってユーザーが記述できます。例えば、スプレッドシート セルの
10 という値は、=RiskNormal(10,2)という @RISK 関数で置き換える
ことができます。この関数は、セルの可能な値を平均値 10、標準偏
差 2 の確率分布 として記述します。@RISK と同様に、確率分布は
RiskCorrmat や DepC などの @RISK 関数を使用して相関することが
できます。
4

シミュレーショ
ンを使った最適
化
RISKOptimizer の最適化処理では、GA ベースの最適化エンジンで生
成された可能な試行解のそれぞれに対して完全なシミュレーションを
実行します。試行解のシミュレーションの各反復試行でスプレッドシ
ートの確率分布関数がサンプリングされ、ターゲット セルの新しい
値が生成されます。シミュレーションが完了すると、試行解の結果と
して、最小化または最大化する必要のあるターゲット セルの分布に
関する統計が得られます。この値は最適化エンジンに返され、遺伝的
アルゴリズムによって新たなより良い試行解を生成するために使用さ
れます。新しく生成された各試行解を使用して再びシミュレーション
が実行され、ターゲット統計のさらに新しい値が生成されます。
従来の最適化ツールと同様に、RISKOptimizer にも必要な制限を入力
できます。制限は 1 つのシミュレーションの各反復につき確認する
(反復試行制限) か、各シミュレーションの終了時に確認する (シミ
ュレーション制限) ことができます。通常、反復試行制限は従来のソ
ルバーまたは Evolver と同様の制限です (例: A11>1000)。シミュレ
ーション制限は、モデル内で指定したセルのシミュレーション結果の
分布に関する統計を参照する制限です。標準的なシミュレーション制
限 と し て は 、 例 え ば 「A11 の平 均値 >1000 」 が 挙 げ ら れ ま す 。
Evolver と同様に、ハード制限とソフト制限のどちらでも指定でき、
ハード制限に違反した場合はその試行解が拒否されます。
RISKOptimizer では大量のシミュレーションを実行するので、処理時
間をできるだけ短縮して最適な解を迅速に算出できるように 2 つの
重要な手法が採用されています。まず、RISKOptimizer は収束を監視
することにより、過不足のない反復数を判断します。これにより、タ
ーゲット セルの確率分布から得られた統計および、制限で参照され
る出力分布からのすべての統計が安定したものになります。さらに、
RISKOptimizer では Evolver の遺伝演算子を使用して、できる限り
短時間で最適な解が得られるような試行解を生成します。
シミュレーショ
ン結果
RISKOptimizer には、シミュレーションの結果をスプレッドシートに
直接返すことのできる、一連のシミュレーション統計関数が用意され
ています。例えば、RiskMean (セル参照) という関数は、入力された
セルのシミュレーション分布の平均値を、ワークシートのセルまたは
数式に直接返します。さらに、RISKOptimizer で求めた最適なモデル
解に関する詳しい統計や表が必要な場合には、RISKOptimizer で作成
したすべてのモデルを Palisade Corporation の Excel 用リスク分
析およびシミュレーション アドインである @RISK で直接シミュレー
ションすることができます。RISKOptimizer のシミュレーションは
@RISK を基盤としているので、@RISK でシミュレーションを行うため
に RISKOptimizer モデルに変更を加える必要は一切ありません。
5

RISKOptimizer
を使用したカス
タム アプリケー
ション
RISKOptimizer には、その機能を使用するカスタム アプリケーショ
ンを構築するための完全なマクロ言語が付属しています。
RISKOptimizer のカスタム関数を Visual Basic for Applications
(VBA) で使用して、最適化処理の実行や最適化の結果を表示すること
もできます。このプログラミング インターフェイスの詳細について
は、RISKOptimizer デベロッパー キットのヘルプ マニュアルを参照
してください。このマニュアルは RISKOptimizer の [ヘルプ] メニ
ューからアクセスできます。
RISKOptimizer
によるシミュレ
ーション最適化
の使用例
不確実要素を伴うモデルの最適化により、これまで最適化が不可能だ
った多くの問題を解決できるようになります。シミュレーションと最
適化を組み合わせることで、原則的には不確実要素を伴うすべてのモ
デルを最適化することができます。例えば次のような問題を最適化で
きます。
♦ 不確実な市場環境における、新製品の最適な製造量および製造能
力レベルの判断
♦ 需要が不確実な場合の最適な在庫水準の判断
♦ リスクを最小化するためのポートフォリオ配分
♦ 製品市場が地理的に分散しており需要レベルが不確実な場合に工
場で製造すべき最適な製品ミックスの判断
♦ ヘッジ取引に最適なオプション購入レベルの判断
♦ さまざまな制約下で同じ製品を異なる価格で販売する場合の収益
管理
♦ タスクの所要時間が不確実な場合のスケジュール管理
6

インストールの前に
RISKOptimizer をインストールして使用する前に、RISKOptimizer の
製品パッケージに必要なものがすべて含まれているか確かめ、お使い
のコンピュータが特定用途の最小要件を満たしていることを確認して
ください。
製品パッケージの確認
RISKOptimizer に は 、 @RISK イ ン ダ ス ト リ ア ル版および
DecisionTools Suite インダストリアル版が含まれています。@RISK
インダストリアル版 CD-ROM には RISKOptimizer Excel アドイン、
RISKOptimizer のサンプル ファイル、索引付きの RISKOptimizer オ
ンライン ヘルプ システム、Excel 用 @RISK インダストリアル版お
よ び @RISK for Excel ファイルがそれぞれ含まれています。
DecisionTools Suite インダストリアル版には、上記すべてとさらに
追加のアプリケーションが含まれています。
このバージョンについて
このバージョンの RISKOptimizer は、Microsoft Excel 2000 または
それ以降に 32 ビット プログラムとしてインストールできます。
ご利用のオペレーティング環境での作業
このユーザー ガイドは、Windows オペレーティング システムおよび
Excel についての一般的な知識がある読者を対象としています。特に
以下の知識が必要です。
♦ ご利用のコンピュータ、およびマウスの使用法に精通してい
ること。
♦ アイコン、クリック、ダブルクリック、メニュー、ウィンド
ウ、コマンド、オブジェクトといった用語に精通しているこ
と。
♦ ディレクトリ構造やファイルの命名といった、基礎的な概念
を理解していること。
7

サポートについて
テクニカル サポートは、有効なメンテナンス プランをお持ちの
@RISK 登録ユーザー様に対して無償で、あるいはインシデントごとに
有償で提供しております。@RISK 登録ユーザーになるには、
http://www.palisade.com/support/register.asp にてオンライン登
録を行ってください。
電話でのお問い合わせの際には、あらかじめ製品のシリアル番号とユ
ーザー ガイドを手元にご用意ください。また、コンピュータで作業
できる状態でご連絡いただければ、さらに質の高いテクニカル サポ
ートを受けることができます。
お問い合わせの
前に
テクニカル サポートへのお問い合わせの前に、次の事柄をご確認く
ださい。
• オンライン ヘルプを参照しましたか?
• 本ユーザー ガイドを確認し、オンライン マルチメディア チュ
ートリアルの内容を参照しましたか?
• 「お読みください」(README) ファイルを読みましたか?このフ
ァイルには、マニュアルに収録されていない、最新の
RISKOptimizer 製品情報が記載されています。
• 問題となっている障害は再現することが可能ですか?また、別の
コンピュータやモデルでも、問題点を再現することは可能です
か?
• 弊社の Web サイトをご覧になりましたか?弊社サイトの URL ア
ドレスは http://www.palisade.com です。このサイトのテクニ
カル サポートのセクションには、最新の FAQ (テクニカル サポ
ートに寄せられた質問とその回答集を収録した、検索可能なデー
タベース)、および RISKOptimizer のパッチが掲載されています。
RISKOptimizer およびその他の Palisade ソフトウェアの最新情
報をいち早く入手できるよう、弊社のサイトには定期的にアクセ
スされることをお勧めします。
8

Palisade へのお
問い合わせ
Palisade 社では、RISKOptimizer に関するご質問、ご意見、および
ご提案をお待ちしております。テクニカル サポートには、以下のい
ずれかの方法でご連絡いただけます。
• 電子メール: support@palisade.com
• 電話: +1(607) 227-8000 (米国)、米国東海岸時間平日午前 9 時
から午後 5 時まで。テクニカル サポートへの電話案内の指示に
従ってください。
• ファックス: +1(607) 227-8001 (米国)
• 郵便:
Technical Support
Palisade Corporation
798 Cascadilla St
Ithaca, NY 14850 USA
Palisade Europe へのお問い合わせをご希望の場合:
• 電子メール: support@palisade-europe.com
• 電話: +44 1895 425050 (英国)
• ファックス: +44 1895 425051 (英国)
• 郵便:
Palisade Europe
31 The Green
West Drayton
Middlesex
UB7 7PN
United Kingdom
Palisade Asia-Pacific へのお問い合わせをご希望の場合:
• 電子メール: support@palisade.com.au
• 電話: +61 2 9929 9799 (オーストラリア)
• ファックス: +61 2 9954 3882 (オーストラリア)
• 郵便:
Palisade Asia-Pacific Pty Limited
Suite 101, Level 1
8 Cliff Street
Milsons Point NSW 2061
Australia
9

いずれの方法でお問い合わせいただく場合でも、必ず製品名、正確な
バージョン番号、およびシリアル番号をご連絡ください。正確なバー
ジョンは、 Excel の RISKOptimizer メ ニ ューから [RISKOptimizer
について] コマンドを選択することで確認できます。
ステューデント
版
ステューデント版の RISKOptimizer に対する電話でのサポートは提
供しておりません。サポートが必要な場合は、以下の方法をご検討く
ださい。
♦ 担当の教授または教育助手に相談する。
♦ http://www.palisade.com にアクセスして FAQ を参照する。
♦ 電子メールまたはファックスで弊社のテクニカル サポート部
門に連絡する。
RISKOptimizer システム必要条件
RISKOptimizer の必要システム条件は以下の通りです。
• ハードディスクが備わった Pentium 以上のパーソナル コンピュ
ータ
• Microsoft Windows 2000 SP4 またはそれ以降
• Microsoft Excel バージョン 2000 またはそれ以降
10

インストール方法
RISKOptimizer は、Microsoft Excel のアドイン プログラムです。
RISKOptimizer は、Excel のメニュー バーにコマンドを追加して、
スプレッドシート プログラムの機能を強化します。
一般的なインストール方法
RISKOptimizer のセットアップ プログラムは、ユーザーが指定した
ハードディスク上のディレクトリに RISKOptimizer システム ファイ
ルをコピーします。Windows 2000 およびそれ以降でのセットアップ
プログラム実行方法は、以下の通りです。
1) CD-ROM ドライブに @RISK インダストリアル版または
DecisionTools Suite インダストリアル版 CD-ROM を挿入します。
2) [スタート] ボタンをクリックし、[設定] > [コントロール パネ
ル] をクリックします。
3) [プログラムの追加と削除] アイコンをダブルクリックします。
4) [インストール/アンインストール] タブの [インストール] ボタ
ンをクリックします。
5) 画面に表示されるセットアップ手順に従います。
RISKOptimizer のインストール中に問題が発生する場合は、インスト
ール対象のドライブに十分な空きスペースがあることを確認してくだ
さい。十分な空きスペースが確保できたら、再度、インストール手順
を実行してください。
RISKOptimizer
のコンピュータ
からの削除
11
ご 利 用 の コ ン ピ ュ ー タか ら、 @RISK イ ンダストリアル版または
DecisionTools Suite インダストリアル版と一緒に RISKOptimizer
を削除したい場合は、コントロール パネルの [プログラムの追加と
削除] ユーティリティを起動し、@RISK または RISKOptimizer の項
目を選択します。

DecisionTools Suite
RISKOptimizer は、Palisade 社が提供しているリスク分析・意思決
定分析のためのセット製品、DecisionTools Suite と連携させて使用
することができます。デフォルトの RISKOptimizer インストール手
順では、メイン ディレクトリである「Program Files\Palisade」の
サブディレクトリに RISKOptimizer がインストールされます。これ
は、「Microsoft Office」ディレクトリのサブディレクトリに Excel
がインストールされるのと同じ要領です。
Program Files\Palisade ディレクトリに作成されるサブディレクト
リの 1 つが、RISKOptimizer ディレクトリ (デフォルト名
「RISKOptimizer5」) です。このディレクトリには、RISKOptimizer
アドイン プログラム ファイル (RISKOPT.XLA) に加えて、サンプル
モデルおよび、RISKOptimizer を実行するために必要な関連ファイル
が含まれています。Program Files\Palisade には、SYSTEM というサ
ブディレクトリも作成されます。このディレクトリには、共通のヘル
プ ファイルやプログラム ライブラリなど、DecisionTools Suite の
すべてのプログラムで必要とされるファイルが含まれています。
12

RISKOptimizer アイコンおよびショートカットの設
定
RISKOptimizer のセットアップ プログラムは、タスクバーのプログ
ラム メニューに、RISKOptimizer コマンドを自動的に作成します。
ただし、セットアップ作業中に問題が発生した場合、あるいは、後日
このコマンドを手動で作成する場合は、以下の手順に従います。
1) [スタート] ボタンをクリックし、[設定] を選択します。
2) [タスクバー] をクリックし、[スタート メニュー プログラ
ム] タブをクリックします。
3) [追加] をクリックし、[参照] をクリックします。
4) RISKOPT.EXE ファイルを探し、このファイルをダブルクリッ
クします。
5) [次へ] をクリックし、プログラムのショートカットを保存す
る、対象のメニューをダブルクリックします。
6) 名前として「RISKOptimizer」と入力し、[完了] をクリック
します。
13

起動時に表示されるマクロのセキュリティ警告メッ
セージ
Microsoft Office には、Office アプリケーション上で不要なマクロ、
または悪意をもって作成されたマクロが実行されるのを防止するため
に、さまざまなセキュリティ設定 ([ツール] > [マクロ] > [セキュ
リティ]) が用意されています。最低限のセキュリティ設定を使用し
ない限り、マクロ付きのファイルを読み込むたびに警告メッセージが
表示されます。Palisade 社のアドインを実行するたびにこのような
メッセージが表示されることを防ぐため、Palisade では自社のアド
イン ファイルにデジタル署名を付与しています。したがって、いっ
たん Palisade Corporation を信頼できる作成元として登録すれば、
Palisade 社のすべてのアドインを警告メッセージの表示なしに開く
ことができます。以下の手順に従ってください。
• RISKOptimizer の起動時に、次のような [セキュリティの警
告] ダイアログが表示されたら、[この発行者のドキュメン
トをすべて信頼する] チェック ボックスをオンにします。
14

RISKOptimizer に関する追加の情報
RISKOptimizer に関する追加の情報は、以下の方法で入手できます。
RISKOptimizer
の「お読みくだ
さい」(README)
ファイル
RISKOptimizer
チュートリアル
このファイルには、RISKOptimizer の概要と、最新のバージョンに関
する新しい情報が記載されています。「お読みください」ファイルを
表示するには、Windows の [スタート] メニューから [プログラム]
> [Palisade DecisionTools] > [お読みください] を選択し、
[RISKOptimizer 5.5 for Excel - お読みください] をクリックしま
す。RISKOptimizer をお使いになる前に、このファイルの内容を確認
することをお勧めします。
RISKOptimizer オンライン チュートリアルでは、RISKOptimizer を
初めて利用されるユーザーを対象に、RISKOptimizer および遺伝的ア
ルゴリズムの概要について説明しています。このチュートリアルはご
く短時間で修了できます。チュートリアルへのアクセス方法について
は、次の「RISKOptimizer の学習」セクションを参照してください。
RISKOptimizer の自己学習
RISKOptimizer の 使 い 方 を 素 早 く 習 得 する に は 、オ ン ラ イン の
RISKOptimizer チュートリアルを利用するのが一番簡単です。このチ
ュートリアルでは、エキスパートによるサンプル モデルをムービー
形式で紹介しています。このチュートリアルは、RISKOptimizer の主
要機能について解説したマルチメディア プレゼンテーションです。
チュートリアルを実行するには、RISKOptimizer [ヘルプ] メニュー
の [RISKOptimizer へようこそ] コマンドを選択します。
15

16

第 2 章: RISKOptimizer
と最適化について
RISKOptimizer について .................................... 19
RISKOptimizer の仕組み .................................. 20
遺伝的アルゴリズム ............................... 20
確率分布とシミュレーション........................ 20
最適化について .......................................... 21
Excel でモデルを構築する理由 ............................ 22
Excel モデルにおける不確実性のモデル化................... 23
シミュレーションを使った不確実性の考慮................... 23
RISKOptimizer の利点 .................................... 24
より正確で意味のある分析.......................... 24
優れた柔軟性 ..................................... 25
使いやすさ ....................................... 25
従来の最適化とシミュレーション最適化の違い ................ 27
従来のスプレッドシートによる最適化の処理................. 27
シミュレーション最適化の処理 ............................ 28
RISKOptimizer を使った最適化の各手順 .................... 29
確率分布の入力 ................................... 29
ターゲット セルと統計の指定....................... 30
調整可能セルの入力 ............................... 30
制限の入力 ....................................... 31
最適化とシミュレーションのオプションの設定 ........ 31
最適化の実行 ..................................... 32
17

18

RISKOptimizer について
RISKOptimizer ソフトウェア パッケージを使用して、不確実性を伴
うモデルの最適な解を簡単に見つけることができます。
RISKOptimizer は、目標とするシミュレーション出力を得るために最
適な入力を判断するツールです。例えば RISKOptimizer を使って、
利益を最大限にするための最適な条件の組み合わせや順序を判断した
り、利益を得るための最小リスク (最小誤差) や、最小量の原料から
得ることのできる商品の最大価値の予測などを求めることができます。
RISKOptimizer は Microsoft Excel スプレッドシート プログラムの
アドインとして機能します。まず Excel を使って問題のモデルを設
定してから、RISKOptimizer を使ってその問題を解決します。
まず Excel で問題のモデルを作成してから、RISKOptimizer アドインで解決します。
Excel は、問題の実用的なモデルを作成するために大半のユーザーが
必要とする、すべての数式、関数、グラフ、およびマクロ機能を提供
します。RISKOptimizer
は、モデルに含まれる不確実性と、探してい
る解を指定するためのインターフェイスおよび、その解を見つけるた
めのエンジンを提供します。この 2 つのプログラムを連携させるこ
とにより、実質的にモデル化が可能なすべての問題
に対する答えを見
つけることが可能になります。
19

RISKOptimizer の仕組み
RISKOptimizer は、Palisade 社独自の一連の遺伝的アルゴリズムを
使用して問題の最適な解を検索し、確率分布とシミュレーションを用
いてモデルに含まれる不確実性に対応します。
遺伝的アルゴリ
ズム
確率分布とシミ
ュレーション
RISKOptimizer では、モデルの最適な解を見つけるために遺伝的アル
ゴリズムを使用しています。遺伝的アルゴリズムはダーウィンの進化
論の原理を模倣したもので、ある問題に対して何百もの起こりうる解
が存在する中で、これらが互いに競争し合った結果「適者」のみが生
存するような環境を作り出します。生物の進化と同じように、各解が
その優れた「遺伝子」を子孫の解に受け渡し、解の集団全体がさらに
より良い解へと進化し続けていきます。
遺伝的アルゴリズムの分野では、その基盤である進化論の分野と似た
用語がよく使われます。例えば、「交差」関数を使って解の検索を絞
り込む、「突然変異」率により「遺伝子プール」の多様化を促進する、
解または「個体」の「個体群」全体を評価する、などという言い方を
します。RISKOptimizer の遺伝的アルゴリズムの仕組みについて詳し
くは、「第 7 章: 遺伝的アルゴリズム」を参照してください。
RISKOptimizer では、モデル内の変数に含まれる不確実性を処理する
ために、確率分布とシミュレーションが使用されます。これらの機能
は、Palisade 社の Excel 用リスク分析アドイン @RISK によって提
供されます。確率分布を使用して、モデルに含まれる不確実要素の可
能な値の範囲を指定します。例えば、「RiskTriang(10,20,30)」のよ
うに確率分布関数を使って可能な値を入力します。この関数は、モデ
ル内のある変数の最小値が 10、最頻値が 20、最大値が 30 であるこ
とを指定します。その後、シミュレーションを使用して、最適化エン
ジンにより生成された各試行解のすべての可能な結果の分布が求めら
れます。
20

最適化について
最適化とは、数多くの起こりうる解の中から最適なものを見つけ出す
過程のことです。通常の場合、問題には特定の数式や制限に基づいて
相互に作用する、多くの変数が関与しています。例えば、それぞれが
複数の商品をさまざまな数量生産している 3 つのプラントを所有す
る企業があると想定します。各商品の生産費、各プラントから各店舗
への出荷コスト、そして各プラントの制限を前提とした場合、運送費
を最小限に抑えた状態で各地のリテール店舗の需要を満たすには、ど
のような生産方法が一番適しているでしょうか。最適化ツールは、こ
うしたタイプの問題を解決するために設計されています。
一般的な最適化では、特定のリソースを前提とした場合に
最高の利益につながる組み合わせを見つけます。
上記の例で可能な各解は、どのプラントがどの商品を生産しており、
それがどのトラックでどのリテール店舗に運送されるか、を完全に指
定したリストで構成されます。最適化の問題のその他の例としては、
利益を最大限にする方法、コストを最小化する方法、最多数の人命を
救助する方法、回路のノイズを最小化する方法、一連の都市間の経路
を最短化する方法、そして最も効果のある広告メディアの購入ミック
スの判断、などが挙げられます。また、最適化の問題の重要なカテゴ
リとして、スケジュール管理が挙げられます。これには、特定の勤務
シフト中の効率の最大化や、さまざまなグループの会議時間の予定重
複を最小化する問題などが含まれます。最適化について詳しくは、
「第 6 章: 最適化」を参照してください。
不確実性の伴う問題を、従来の解決ツールで処理することはできませ
ん。これは、モデル中の不確実性に対処する機能が欠けているためで
す。例えば上記の例で、各地のリテール店舗の需要が確実ではないと
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します。すると、各店舗に必要な商品の正確な数量がわからないこと
になります。従来の問題解決ツールでは、各店舗に必要な数量を仮に
推測していました。この場合、モデルの最適化を行うことはできても、
需要レベルを推測しているために、このモデルは実際の状況を正確に
反映していないことになります。ところが RISKOptimizer では、こ
の需要レベルを推測する必要がありません。RISKOptimizer では、確
率分布を使って可能性のある需要レベルを指定し、内蔵のシミュレー
ション機能を使用して、起こりうるすべての需要レベルを考慮した上
で最適化の結果を求めることができます。
RISKOptimizer で生成された最適な解は、最適化の対象モデル内の目
標または「ターゲット セル」の 1 つの最大値や最小値ではなく、そ
の目標の最大または最小のシミュレーション統計となります。
RISKOptimizer が実行する各シミュレーションにより、目標の可能な
結果の分布が求められます。この分布には、平均値、標準偏差、最小
値、などのさまざまな統計が含まれます。したがって、上記の例では、
利益分布の平均値を最大化する入力や、標準偏差を最小化する入力を
見つける必要があります。
シミュレーションについて詳しくは、「第 8 章: シミュレーション
とリスク分析」を参照してください。
Excel でモデルを構築する理由
どのような体系であっても、その効率を上げるには、まずその動作を
理解する必要があります。体系のモデルを構築する理由は、ここにあ
ります。複雑な体系を調査する場合、これを抽象化したモデルが必要
となりますが、そのモデルから実世界に通用する結果を得るには、変
数間の因果関係を単純化し過ぎないことが肝心です。今日ではソフト
ウェアの機能改善やプロセッサ処理能力の向上により、経済学者は経
済のより現実的なモデルを構築し、科学者は化学反応の予測精度を高
め、またビジネスマンは企業モデルの感度をより高めることが可能に
なっています。
この数年間でコンピュータ ハードウェアおよび Microsoft Excel な
どのソフトウェア プログラムが飛躍的な進歩を遂げ、パーソナル コ
ンピュータさえあれば誰もが複雑な体系の現実的なモデルを構築でき
るようになりました。Excel の組み込み関数、マクロ機能、そしてク
リーンでわかりやすいインターフェイスを使えば、初心者であっても
複雑な問題のモデル化と分析を簡単に行うことができます。モデルに
ついて詳しくは、「第 9 章: RISKOptimizer のその他の機能」を参
照してください。
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Excel モデルにおける不確実性のモデル化
分析を行う上で重要な材料であると判断された基本要素が、Excel モ
デルの変数となります。例えば、金融関連の問題をモデル化する場合、
コスト、売上げ、利益、といった変数が考えられます。地学の問題を
モデル化する場合には、鉱床までの深度、石炭層の厚み、間隙率、と
いった変数が考えられます。各状況に独自の変数があり、これはユー
ザーが決定します。
場合によっては、モデル内でこれらの変数が取る値がわかっているこ
ともあります。これらは確実な値で、統計学では「決定的」変数と呼
ばれることもあります。これに対して、変数の取る値がわからない場
合もあります。これらは不確実、または「確率的」な変数です。モデ
ル内の変数が不確実な場合、その不確実性の性質を指定する必要があ
ります。これには、確率分布を使用して、変数が取り得る値の範囲
(最小値と最大値) および、その範囲内の各値の発生確率を指定しま
す。RISKOptimizer では、不確実な変数およびセル値を、次のような
確率分布関数として入力します。
RiskNormal(100,10)
RiskUniform(20,30)
RiskExpon(A1+A2)
RiskTriang(A3/2.01,A4,A5)
これらの「分布」関数は通常の Excel 関数と同様に、ワークシート
セルや数式内で使用できます。
シミュレーションを使った不確実性の考慮
RISKOptimizer は、シミュレーション (モンテカルロ シミュレーシ
ョンと呼ばれることもあります) を使用して、最適化の処理中に生成
される可能な各解に対してリスク分析を行います。ここで言うシミュ
レーションとは、コンピュータで、セル値と数式内の確率分布から無
作為に選択された一連の値を使って、ワークシートを繰り返し再計算
することにより、起こりうる結果の分布を生成する手法のことを指し
ています。つまり、コンピュータが可能な入力値のすべての組み合わ
せを試し、起こりうる全結果のシミュレーションを行うわけです。こ
れは、ワークシートで何百、何千といった「仮説」の分析をすべて 1
度に実行するのと同じです。
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シミュレーションの各反復試行において、スプレッドシートの確率分
布関数がサンプリングされ、ターゲット セルの新しい値が生成され
ます。シミュレーションが完了すると、試行解の結果として、最小化
または最大化する必要のあるターゲット セルの分布に関する統計が
得られます。この値は最適化エンジンに返され、遺伝的アルゴリズム
によって、さらに新しいより良い解を生成するために使用されます。
新たに生成された各試行解を使用して再びシミュレーションが実行さ
れ、ターゲット統計のさらに新しい値が生成されます。
RISKOptimizer の利点
相互に作用する多くの変数を前提として、これらの変数の最適な組み
合わせ、順位、またはグループ分けを判断する必要がある場合、人は
つい知識と経験に基づく推測をしがちです。そして、単なる推測にと
どまらずモデル化や分析を行うためには、複雑なプログラミングや難
解な統計または数学的なアルゴリズムが必要だと思っている人も沢山
います。優れた最適な解が見つかれば、数億円の資金や、大量の燃料、
また数ヶ月分の作業時間を節約することが可能になります。高速なデ
スクトップ コンピュータを安価で入手でき、Excel や
RISKOptimizer といったソフトウェアも手軽に購入できるようになっ
た今日では、単なる推測だけで対処したり、貴重な時間を割いて手作
業で多くのシナリオを試したりする必要はありません。
より正確で意味
のある分析
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RISKOptimizer では Excel のすべての数式と確率分布を使用して、
あらゆる問題のより現実的なモデルを構築できます。RISKOptimizer
を使用する場合、特定のアルゴリズムが実世界の複雑さに対処できな
いためにモデルの精度が落ちる、ということはありません。従来の一
般的なソルバー (統計および線形プログラミング ツール) では、ユ
ーザーが問題の変数間の相互作用について無理に推測する必要がある
ため、結果として極端に単純化された非現実的なモデルが出来上がり
ます。これらの最適化ツールでは、不確実性を伴うモデルの要素が取
りうる値の範囲を考慮に入れることができず、ユーザーは不確実な変
数の値を推測するよう強要されます。これらの解決ツールで対応でき
るレベルにまで問題を単純化してしまうと、得られる解も抽象化され
た非実用的なものとなります。そして、問題に多くの変数、非線形関
数、ルックアップ テーブル、if-then ステートメント、データベー
ス クエリー、または確率的 (ランダム) な要素が含まれている場合
には、モデルをいかに単純化したとしても、こうしたツールで問題を
解決することは不可能です。