JBMS JBMS-80 User Manual

高齢者・障害者配慮設計指針
―視覚表示物―
色覚の多様性に配慮した色の組み合せと
表示方法
:2009
JBMS-80
社団法人
ビジネス機械・情報システム産業協会
アクセシビリティプロジェクト 指標化 G 委員構成表
(主査) (委員) 浅 田 菜美江 富士ゼロックス株式会社
太 田 賢 二 シャープ株式会社 岡 雄 三 キヤノン株式会社 木 村 祐 介 セイコーエプソン株式会社 駒 宮 祐 子 東芝テック株式会社 三 觜 晃 弘 パナソニックコミュニケーションズ株式会社 渡 部 俊 彦 京セラミタ株式会社 江 崎 康 浩 (事務局) 竹 下 眞 仁 社団法人 ビジネス機械・情報システム産業協会
酒 井 英 典 株式会社リコー
入 谷 悠 コニカミノルタテクノロジーセンター株式会社 岩 波 正 恭 セイコーエプソン株式会社 内 山 洋 一 ブラザー工業株式会社
理想科学工業株式会社(2009 年 3 月迄)
標準化センター JBMS推進小委員会委員構成表
(委員長) 中 富 吉 次 東芝テック株式会社 (委 員) 内 野 利 夫 株式会社リコー(2009 年 1 月迄)
本 橋 敦 株式会社リコー(2009 年 1 月から) 伊 藤 亮 キヤノン株式会社 望 月 陽 富士ゼロックス株式会社 宮 川 哲 男 株式会社東芝デジタル メディアネットワーク社 (事務局) 竹 下 眞 仁 社団法人 ビジネス機械・情報システム産業協会
規格番号:JBMS-80 制 定:平成21年6月30日 原案作成:アクセシビリティプロジェクト指標化 WG 審 議:(社)ビジネス機械・情報システム産業協会 標準化センター JBMS推進小委員会 制 定:(社)ビジネス機械・情報システム産業協会 標準化センター
こ の 規 格 に つ い て の 意 見 又 は 質 問 は , 社 団 法 人 ビジネス機械・情 報システム産業協会 標準化セン ターへお願いいたします。
〒105-0003 東京都港区西新橋 3-25-33 NP 御成門ビル Tel 03-5472-1101(代表)
JBMS-80:2009 目次
目次
ページ
序文 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 1 適用範囲 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 2 引用規格 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 3 用語及び定義 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 4 一般的原則 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
4.1 基本方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
4.2 基本要件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 5 色の組み合せと選定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
5.1 色の組み合せ方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
5.2 色の選定方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
5.3 色以外の情報付加の方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
5.4 発光色に関する要件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 6 事務機器本体に関する要件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
6.1 機器本体の危険喚起表示に関する要件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
6.2 機器本体の表示部に関する一般的な要件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
6.3 印刷ラベルに関する要件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
6.4 操作部画面に関する要件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
6.5 プリンタドライバ画面に関する要件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
トナーカートリッジやインクカートリッジ包装箱に関する要件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
6.6 7 事務機器本体に付属する紙の取扱説明書に関する要件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
7.1 文字の色と書体 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
7.2 図の作成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21 8 色の計測方法及び検証 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
8.1 Lab 色指定を用いた混同色の簡易予測法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
8.2 検証方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
8.3 被験者による確認方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22 附属書A(参考)図で示した色票のRGB値・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23 附属書B(参考)参考文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24 解説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25
(1)
JBMS-80:2009
まえがき
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案 登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。社団法人 ビジネス機械・情報システ ム産業協会は,このような特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用 新案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
(2)
ビジネス機械・情報システム産業協会規 格
JBMS-80:2009
高齢者・障害者配慮設計指針―視覚表示物―
色覚の多様性に配慮した色の組み合せと表示方法
Guidelines for the elderly and people with disabilities
- Visual signs and displays -
The combination of a color and the method of a display of a color of having
taken the color vision defect person into consideration
序文
ビジネス環境における色彩の利用が増える中で,安全かつ快適な視環境を整備するため,事務 機器の設計において,識別性の高い色彩設計が要求されている。 この規格は,色覚異常のある人の知覚する色の基本色と呼ばれる色について,視覚表示物の色 彩設計における識別性の高い色の組み合わせと表示方法に関する指針を示したものである。この 規格では,色覚異常のある人の色の見え方を考慮して色の組み合わせ方法を規定したものである。
1 適用範囲
この規格は複写機,複合機,プリンタ,大判プリンタ及び広幅複写機など事務機器で使用され る視覚表示物,機器に付属する取扱説明書,プリンタドライバ及び消耗品包装箱について規定す る。複合機とは,JIS X 6910 の定義による。色覚の対象範囲は,1 型 2 色覚・3 色覚, 2 型 2 色 覚・3 色覚,参考として 3 型 2 色覚を加える。
また,成年層及び高齢者層は,それぞれ 20 歳代及び 60 歳代から 70 歳代を対象とする。これ 以外の年齢層にあっては,40 歳以下の年齢層には成年層を,50 歳以上の年齢層には高齢者層を それぞれ参考として用いることができる。
注記 1 高齢者の色の組み合わせ方法は,JIS S 0033 を参照。 注記 2 3 型 2 色覚の見え方は,参考提示とする。 注記 3 この規格は,識別性を必要とする色の組み合わせに適用する。
2 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。
これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS W 8301 航空標識 JIS X 8341-5 高齢者・障害者配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサ
ービス-第 5 部:事務機器
JIS Z 8102 物体色の色名 JIS Z 8105 色に関する用語
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JIS Z 8113 照明用語 JIS Z 8721 色の表示方法-三属性による表示 JIS Z 8722 色の測定方法-反射及び透過物体色 JIS Z 8724 色の測定方法-光源色 JIS Z 9101 安全色及び安全標識 JIS Z 9103 安全色-一般的事項 JIS Z 9104 安全標識-一般的事項
3 用語及び定義 この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1 基本色 人間の知覚する色の中で最も基本と考えられる色で,JIS Z 8102 で規定する有彩色の基本色,
赤,黄赤[だいだい(橙)],黄,黄緑,緑,青緑,青,青紫,紫及び赤紫の 10 色に,無彩色の 基本色,白,灰色及び黒の 3 色と,色覚異常のある人を考慮し,水色,ピンク及び茶色を加えた 16 色とする。この規格では基本色および考慮を必要とする色について事例をあげる。
注記 1 水色・ピンク・茶色は,JIS Z 8102 に規定される,慣用色名とする。 注記 2 基本色の色表は,慣用色名で規定されるマンセル値を基準として作成している。
また,色表の色は近似値であり,あくまで参考とする。
注記 3 本色で規定する以外の色は,全て JIS Z 8102 に規定される慣用色名からの引用で,
色表は慣用色名で規定されるマンセル値を基準として作成している。 また,色表の色は近似値であり,あくまで参考とする。
3.2 基本色領域
基本色として同定できる色の範囲で,視覚的に類似した色の群で構成される領域。
3.3 色覚異常
色覚異常とは,色の見え方や感じ方が正常色覚と異なっている状態を指す。その原因は網膜に ある色の判別を行う錐体細胞の異常などで,長波長感受性錐体(赤錐体)による見え方の状態に よって 1 型 2 色覚・1 型 3 色覚,中波長感受性錐体(緑錐体)による見え方の状態によって 2 型 2 色覚・2 型 3 色覚,短波長感受性錐体(青錐体)による見え方の状態によって 3 型 2 色覚・3 型 3 色覚,3 つの錐体全てが機能していない状態が 1 色覚とされる。
3.4 正常色覚・P-type・D-type
図や例においては,利便性を優先し 2005 年以降の“日本眼科学会”の用語,色覚チェックツ ールの用語を容易に推測できる,この規格独自の用語(正常色覚・P-type・D-type)を使用する。 色覚関連用語を表1に示した。
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(参考)色覚
以前の
の用語
約 95%
チェック ツールの
用語例
参考頻度 (日本人男性)
約 1.5%
約 3.5%
約 0.0001%
この
規格
用語
正常色覚 P-type
D-type
表 1-色覚関連用語
2005 年
日本眼科学会
以降
の用語
(参考)2005 年
日本眼科学会
正常色覚 normal color vision 1 型 2 色覚 protanopia 1 型 3 色覚 protanomaly 2 型 2 色覚 deuteranopia 2 型 3 色覚 deuteranomaly
3 型 2 色覚 tritanopia 第 3 色盲 Tritanope 3 型 3 色覚 tritanomaly 第 3 色弱 1 色覚 achromatopsia 全色盲 約 0.0001%
第 1 色盲 Protanope 第 1 色弱 第 2 色盲 Deuteranope 第 2 色弱
3.5 明所視 少なくとも数カンデラ毎平方メートルの輝度レベルに順応した時の正常眼による視覚。物の色
3
と形が良く見える視覚で,例として,日中の野外,十分に照明された室内などにおける視覚。
3.6 暗所視 ごく暗い光でかん(杆)体のみが働くような状態で,100 分の数カンデラ毎平方メートル未満
の輝度レベルに順応したときの,正常眼による視覚を暗所視(scotopic vision)という。
3.7 表面色
(対象物の)表面から拡散的に反射又は放射しているように知覚させる色。
3.8 発光色
一次光源として光を発している面に属しているか,又はその光を鏡面反射しているように知覚 させる色。
3.9 可視範囲
人間が見える光の波長範囲。境界はかなりあいまいで 380nm から 780nm とも,400nm から 700nm ともいわれる。
3.10 機能色
信号機の赤は止まれ,黄は注意,緑は進めのように,色彩に意味合いを持たせた色。
3.11 混同線
色覚異常のある人が見分けづらい色の組み合わせは,CIE xy色度図上でほぼ一直線上に並ぶ。 この線を混同線という。
4 JBMS-80:2009
3.12 安全色
安全の意味が属性づけられた特別な特性を持つ色。
3.13 対比色
図記号,文字,地色などを用いて,安全色を引き立たせる効果を持つ無彩色。
4 一般的原則
4.1 基本方針
情報アクセシビリティを確保・向上するために,事務機器が守らなければならない基本方針は, 次による。
a) 事務機器を企画・開発・設計するときに,色覚異常のある人が利用できるように配慮する。 b) 事務機器の企画・開発・設計段階で,利用者の要求事項を考慮するとともに,色覚異常のあ
る人への対応の確認・評価を行ない,製品へのフィードバックに努める。
c) 提供する情報アクセシビリティにかかわる安全性を確保する。 d) 色覚異常のある人への対応機能を付加した場合でも,利用していた機能を停止させない。
4.2 基本要件
識別性の高い色彩設計を確保・向上させるために,事務機器が守らなければならない基本方針 は,次による。 a) 利用者の色覚特性によらず操作に必要な情報が得られ,使用する色は機能色として情報の
区別が確実にできる。
b) 使用する色は,表示判読性,視認性が確保できる。 c) 実際の照明条件や使用状況を想定して,色覚異常のある人にも見分けやすい配色を選ぶ。
色だけでなく“形の違い”“位置の違い”“線種や塗り分けパターンの違い”などを併用し, 使用者が色を見分けられない場合にも確実に情報が伝わるようにする。
例1 見分けにくい色だけによる選択手段は用いない。又は,文字情報を併用する。 例2 状態表示の情報を表示灯の点灯,消灯,点滅及び図記号で補完する。
d) 利用者が色名を使ってコミュニケーションすることが予想される場合,色名を明記する。
例3 トナーカートリッジ或いはインクカートリッジ容器に,“Y”,“C”などの名称を
記載している。
例4 調整画面で色名や記号を記載している。
5 色の組み合せと選定
色の選定及び組み合せ方法は,色覚異常のある人の識別性に応じた色の選定と組み合せを作成 する。
以下,1 型 2 色覚(P-type),2 型 2 色覚(D-type)の見え方を表した色票は全て,正常色覚
1)
の見え方を表した色票を色覚チェックツール Vischeck
を用いて変換した参考色であり,実際の
見え方と異なる場合がある。また,5.1 及び 5.2 で提示している事例の色票はディスプレイに表 示する場合,各機器のカラープロファイリングによって異なった見え方となる。さらに,プリン トアウトする場合は色が大きく異なる場合があるので特に注意が必要である。
事例に用いた色の RGB 値は,参考値として付属書Aに添付する。
1)
Vischeck は,色覚チェックツールの一例である。この情報は,この規格の利用者の
便宜のために記載するもので,この製品を推奨するものではない。
明所視での,識別しやすい・識別し難い基本色の組み合せを表2に示した。
表 2-明所視での,識別しやすい・識別し難い基本色の組み合せ
黄赤
黄緑
青緑
青紫
赤紫 灰色
水色 ピンク 茶色
注a) △は,以下の例において識別し難い配色とされる色の組み合わせ。
赤 黄赤 黄 黄緑 緑 青緑 青 青紫 紫 赤紫 灰色 黒 水色 ピンク 茶色
a)
○b) △
b)
○は,以下の例において識別しやすい配色とされる色の組み合わせ。
5
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